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コーリンベルトはいるの?いらないの?の巻

星わにこ
2022/01/19 00:00
着物を着る人なら誰もが一度は目にしたことがある「コーリンベルト」(着物ベルト)。使っていらっしゃいますか? 広衿を畳んだ幅を固定して、衿元を美しく整える便利グッズです。なぜコーリンというかというと、開発者の高林三郎さんの苗字を音読みしたものだから~(チコちゃん風)。紐を何本も使って着付けが大変だと着る人がいなくなってしまう、という危惧から昭和32年に開発されたアイテム。コーリンベルトは商標登録されている商品名です。「着付けベルト」「着物ベルト」が一般名称ですが、通りがいいので以下コーリンベルトでお話させていただきます。 ゴムベルトの両端にクリップがついているもので、これを使って着付けされる方は本当に多いですよね。余談ですが、クリップが金属製のものは飛行機に乗るとき保安検査でひっかかる可能性もあるので、着物で旅行の際は避けたほうがよいかもしれません。 よく着付けレッスンにいらした方に「コーリンベルトはなぜ使うの?」と質問をうけます。 そのときはこんなふうにお答えしています。 1 襟元をクリップで止めることで簡単に固定できる 2 おはしょりを一重にしたいとき、三角あげが容易にできる 3 伊達襟などを使う時、クリップで綺麗に止められる 4 伊達締めをする前にコーリンベルトをした段階で着物のシワが整えやすい 5 伊達締めを省略することもできる 6 衿が緩んできたとき、コーリンベルトのクリップを上から押すと緩みが直る 参考:振袖や訪問着の伊達衿のゆるみを直す方法☆の巻 逆に欠点はというと ・うまく使わないと、襟元が詰まってくる ・クリップが肋骨に当たって痛くなることがある あと、欠点ではないけれど、あくまで便利グッズ、補助グッズなので使わなくても着付けはできる、ということでしょうか。なんでも良い点悪い点を知って、使う使わないを選択されればいいと思います。 私自身はコーリンベルトを使うかというと、使ったり使わなかったり。まったくの気分次第(えー・笑)。初心者のときは、使う着付けのやり方を習ったので、何も考えずに使っていましたが、やはり「衿がつまる、あばらが痛い」という問題に直面しました。 この解決方法は「コーリンベルトの長さを肩幅より少し広くする」と習うのですが、それをもっとゆるゆるにして、動いた時にゴムが強く引き合わないようにすること。 それから、クリップを必ず左右同じ高さにつけることです。高さが違うと、ゴムが斜めに引き合って、衿がどんどん詰まってしまいます。 あとは、あまり上につけないこと。私はウエスト補整をたかはしきもの工房の満点腰すっきりパッドスキニーを使っているんですが、その上にクリップがくるようにしています。そうすると体に当たって痛いということもありません。 「コーリンベルトは痛い」と頑なに使わなかった時期もありますが、着付けがまあまあできるようになってきて、またその便利さに目覚めて使い始めました。うまくつかえば痛くない(あばらの位置とかもありますから、これは個人差もあると思います)。 コーリンベルトを使った時は伊達締めを省略することが多いです。前に紐が1本減ると本当に楽ですよ。胸紐もいりません。この「紐を減らす」ことこそが開発者の高林先生の狙い。普段に楽に着るとき、ぜひ試していただきたいです。 逆にコーリンベルトを使わないときは、使わなくても着られるから~(再びチコちゃん風)。このときは伊達締めは必須ですが、なにかの調子でゴムベルトが悪さをして衿がつまっちゃう、ということはなくなるので、本当に気分次第ですね。使わないのは紬のときが多いです。逆にやわらかもののときは衿が広がってくるような気がするので使います。気分だけかもしれませんが‥‥。自装ってそんなもんなんじゃないでしょうか。 他装のときは、礼装で伊達襟を挟むことが多いので、コーリンベルトは必須ですね。コーリンベルトがないときは、伊達襟をコーリンベルトをとめる位置に小さい着付けクリップで固定しちゃいます。 結局いるの?いらないの?と言われると、どっちでもいい、となりますでしょうか(いつもこの結論)。絶対なくてはならないものでもないので、絶対使う!という人も一度使わない着付けにもチャレンジされてみてはいかがでしょうか? 私は便利なので、あると嬉しい派です。使わない派の方もそれでよし。でも、なんと70年近く使われているロングセラー。使い方を覚えておいて損はない便利グッズだと思いますよ!

成人式ヘアスタイルは水引&金箔&ドライフラワー流行中の巻

星わにこ
2022/01/12 00:00
成人を迎えられた皆様、そしてご家族の皆様本当におめでとうございます! オミクロン株の脅威の中,今年の成人式はなんとか開催された自治体が多かったのではないでしょうか。 そんな中、今年は4人のお嬢さんのお支度を手伝わせていただきました。二日連続で振袖のお嬢さんもいて、若さってすごいなと感服です。 さてさて振袖についてはママ振袖あり、レンタルあり、お誂えありといろいろですが、今年の髪型はポニー&編みおろしスタイルのお嬢さんが多かったですね。あと、編み込みでボリュームを下めにもってくる方が流行のようです。 盛り盛りの時代、お団子の時代、いろいろありましたが今年はポニーに飾り紐やレースで編み込みをして、金銀の飾り、ドライフラワーに、水引と金箔をあしらったものが見られました。 金箔と水引とか金沢発信なの!?と思ったのですが、実は海外の「gold leaf hair」という金箔を髪にあしらうアレンジが発祥で、2019年ごろからウエディングに取り入れられはじめ、成人式にも流行が始まったよう。 水引とあわせて、とても和風で、着物にも合いますよね。後ろから見た時もとても華やかです。後ろ姿で指で「20」のポーズをとってインスタにアップするときも帯結びとあわせて、実に映えます! SNSなどにはあまり顔出しせずでも華やかに装ったところを見せたい!という今の時代必要とされている髪型なのかも~! 着付けさせていただいたお嬢さんたちも4人中2人がこの髪型でした。前撮りでもリクエストが多かったです。水引や金箔、ヘアアクセサリーはメルカリや100均などで調達するんだとか。若いお嬢さんたち、堅実ですね。 こぼれ話ですが、金箔はジェルで貼り付ける形式だと万一剥がれて落ちて着物につくととれなくなってしまうということで、使わないでくださいというレンタル会社さんもあったのだとか。ジェルに混ぜ込んでつけるほうが安心のようです。 水引もいろんなアレンジがあって、見ているだけでも楽しいです。美容師さんの技術も素晴らしいですよね。カラーリングもいろいろで黒髪だけでなく、ピンクや紫なども振袖にあうんですよね~! みんなネイルも凝っています。ネイリストの方たちも成人式用のネイルで成人式前は忙しいと伺いました。支える裏方さんたちも力が入ると思います。だって若い子たちがさらにキラキラになるお手伝いですもんね。 この晴れの日のためにみんなわくわくと準備しているのだな~と思うと、じんときちゃいます。振袖で楽しい1日を過ごしてもらえるように、最終仕上げの着付けも美しく、苦しくならないよう、崩れないよう細心の注意を払わねばと気持ちが引き締まります。 着付けをさせてもらう側の私は、だいたい年末ぐらいから、成人式の当日のスケジューリングや準備や、着付けの復習や練習、イメージトレーニングといつも頭の片隅に振袖のことがあって、当日まで緊張しつつ過ごしています。無事に終わると本当にホッとします。。。 手首は痛くなるし、立ったりしゃがんだりで太ももはぱんぱんになるし、爪が割れてしまうのでジェルネイルをしているのですが、そうすると爪は大丈夫だけど指と爪の間が割れちゃってアルコール消毒をすると飛び上がるくらい痛い‥‥。次の日は使い物になりません(笑)。 でも、眩しいばかりのお嬢さんたちの笑顔をみると疲れも吹き飛びますね! このお仕事が大好き!と1年で一番思う日かもしれません。もっともっときれいに手早く素敵に楽な着付けができるよう、精進精進! また、来年度からは18歳成人となるということで、成人式が混乱しそうですね。多くの自治体が「20歳を祝う会」という形で継続するようですが、中には18歳での成人式を敢行するところも。高校3年生での成人式となれば受験真っ最中の人も多いでしょうし、振袖を着る余裕もなかなかないかもしれませんね。 高校を卒業して、学業をしながらまたお仕事をしながら、20歳で同窓会も兼ねて晴れ着でみんなと会える日を楽しみに準備をする、今の成人式がちょうどいい気がするのですけれど、令和の成人式はどうなっていくのでしょうか。 願わくば、この先も振袖を着てお祝いすることが続くとよいなあと思います。だって本当に、振袖って気分があがりますもん!!! 日本女性の第一礼装のパワーは半端じゃない! 男子も羽織袴、いいですよ! 礼装着物で人生の節目を祝う喜びをこれからも経験してほしいなあと願う2022年の成人の日でした。

やっぱり晴れ着は気分が上がる!着物の黄金世代を楽しもうの巻

星わにこ
2022/01/05 00:00
明けましておめでとうございます。 なんと!このコラムも足掛け10年目に突入いたしました。えっ!もうそんなに経つの! 自分では何も変わらないつもりだったのに、10歳も年を重ねているという事実にお、おう。。。となりました。読者の皆様、担当様に感謝感謝の年の初めです。 本年も相変わらずコラムが書けたらいいなあと、そして、また皆さんに読んでいただけたらいいなあと思っております。拙い上に好き勝手書き散らかしているコラムではございますが、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。 今年のお正月は友人ファミリーと恒例の初詣にいき、元旦仮面ライダー映画を見に行くことから始まりました。大好きな人たちと大好きな映画を見るという当たり前のことができるってなんてありがたいことでしょうか。今期はジョ狩がイチオシですが、藤岡弘、の息子さんが50年の時を経て仮面ライダー1号として登場したのが衝撃でしたね。なんかもう、仮面ライダーもこのままいくと伝統芸能になるんじゃないかと思いますね。ちなみに毎年お正月にヒロインが振袖を着ることもなくなってちょっと寂しいです。紅白もお正月の番組も本当に着物も振袖も減りましたね~。着物ウオッチングの楽しみが減ってしょんぼりです。これが令和のお正月かぁ~。 それでもまだまだお正月は着物!というわけで(前振りが長すぎる‥‥)着物初めは訪問着にしました! お正月というとなんとかのひとつ覚えで引っ張り出してくるこの南天の絞りの訪問着ですが、10年経っても全然着られるのが着物って本当にすごいですね。そしてこのコロナで結構体重増加してしまったんですが、そんな変化もまあなんとかしてくれるのも着物のすごいところです。 そして帯はお正月、しかも3が日のどこかで締めなければ締める時ないよねというピンポイントな袋帯「一富士二鷹三茄子」。買ったころには少し地味かなと思っていましたが、これからちょうどよくなってくるのでは、としっくり感を感じました。 帯揚げはそれこそ10年ほど前に買った加藤萬さんの絞り帯揚げ。帯留めは真珠にしました。 めったにしない刺繍の半襟はやっぱり気分があがります! そして紅白で見たマツケンサンバを歌いながらゴールドの伊達襟を挟んでみました。もう普段は絶対しないような盛り盛りもお正月ならでは。着物はどんどん盛り盛りにしていけるのがまた楽しいところですよね~。 実は年末からずっと着物の整理に向き合っていて、もうこれも着ないあれも着ないと自分に言い聞かせていてテンションが下がる一方だったのですが、やっぱり、一年に1度、箱を開けて富士山の袋帯を取り出して華やかな訪問着を纏うと無条件でうきうき。テンションも爆上がりです。 やっぱり着物だよ!(単純) 洋服で「はあ~テンション下がる~」とぼやいてた自分に喝を入れたい! 着物を着ていると、ご年配の方に「いいわね、私も昔はよく着たわ、もう気力も体力もなくて着られない。今のうちにたくさん着てね!!」と言っていただくことがあります。 人生には「この時期やっておくといい」というようなことがあります。いつからでも遅くはないとはいえ、やるに越したことはない「時」があるのです。例えば運動神経は9~12歳ごろに最も発達すると言われています。 若い時の着物は言うに及ばずですが、それにも増して50代60代は着物のゴールデンエイジと言ってもいいのではないでしょうか。 年齢を重ねただけの貫禄も出ますし、子育てもひと段落して自分の時間が持てるようになり、着物を楽しむ余裕もできます。人生100年時代、長いとはいえ体力はどんどん落ちていきます。その中で自分を楽しむ人生これからですよ~。 そしてなにより、令和の時代は、着物も自由になりました。うそつき衿などで簡単に着る方法もいっぱいあります。細かいしきたりに囚われすぎる必要はもうないのです。スタンダードは大事ですが、培った今の自分の感覚を信じて着てよいと思います。 コロナ禍で「もう着物いいかな~」なんて思いかけていた方がいらしたら、ここでどーんと晴れ着をもう一度着てみていただきたい! 気分爆上がり保証いたします。私も今年はまた、着物とのおつきあいをもう一度見直して、自分が楽しい着物ライフを送りたいなと改めて思っております。 10年目の「オトナの着物生活」始めます。今年もどうぞよろしくお願い申し上げます!

毎日足袋を履き続けたら足のサイズがさらに!変わったはなし。の巻

星わにこ
2021/12/22 00:00
あと少しでクリスマス、そして大晦日。いろいろあった今年も暮れていきます。ここのところ少しお出かけもできるようになり、日常が戻ってきた感がありますね。直接会ったり話したりできる有り難さを噛み締めています。 先日東京でゑびす足袋さんの催事があったので、新年用の新しい足袋を買いに行きました。そこでまた足のサイズを見てもらったところ、なんと! 足首がさらに1センチ、足幅周りが5mm減って、細形の足袋が履けるようになっていたのです。 昨年毎日のように足袋と「こたび」を履いていて、劇的な変化を遂げた私の足ですが、今年もしつこく履き続けていたら、さらに変化を遂げていました! 関連記事:毎日足袋を履いたら足のサイズが変わったはなし。の巻 なんとこの2年で、ゆったりから普通、普通から細形に変わったのです。 どんだけ緩んで幅が広がってたの!私の足!! アーチ部分が柔らかくなり、きゅっと縮むようになっていました。 「本当は小さい華奢な足なのよー。サイズがあった足袋を履いていたから、本来の足の形が戻ってきた」と言われ驚きです。華奢! 私の人生に縁のなかった華奢という言葉!! 足幅も変わったけど、浮き指で足裏を使って外体重で歩いていたせいでできていた大きなタコが、柔らかくなりほぼ消えて足がとても柔らかくなりました。体重の掛け方が治ってアーチができたためです。 こたびを履き続けて外反母趾が治った方のお話もありました。私の外反母趾はまだ治ってはいないけど、何十年もかけてなったものだから、すぐには治らないけどちゃんと歩けるようになれば変わってくるとのこと。 今までゆるいぶかぶかの靴とかストレッチ足袋とかで広がり放題だったものが、きちんと自分サイズの足袋を履くことで本来の足の形が戻ってきたのです。 道理でこのごろ、こたび(S)が脱げやすいなあと思っていたのです。すごいなー人間の足。 ゆるくなったこたびも、両サイドを縫い縮めればサイズが小さくなるので使えるとのこと。早速直して、さらに足幅きゅっとしなくては! 万年ゾウ足だった私が、細形とか!! こたびはSSでいいとか! こんな日がくるなんて!! うっそ! ゑびす足袋の白記さんの手をとってぴょんぴょんしてしまいました。ゑびす足袋のある大阪に足を向けて眠れません!! 眠るといえば、足にアーチができて血流がよくなったせいか、冷え性で寝る時は靴下を2枚履いていた私が、このごろは裸足で寝ているんです。あと、股関節も痛くなくなりました。この変化もすごい!! まださすがに新しいこたびSSはちょっと履くのによいしょよいしょという感じですが、これも履き続ければ変わってくるはず。 こたびよりも、足袋を履いていたほうが足首までカバーするので、より足の使い方がよくなると聞きました。家の中でも足袋を履いてみるか!(フンス(鼻息 でも、足袋の裏がすぐ汚れちゃうんだよね~(※掃除しろ)というと、裏の汚れが落ちにくくなってきたら、家用のものは墨汁で染めちゃうといいよ、と白記さん。 紅茶やコーヒー染めもいけるそうです。そんなに濃くしなくても、家庭で汚れが目立たない程度の色に染めて、洗って薄くなったらまた染めるとのこと。 染料などを使って染めてもいいけれど、家にあるもので気軽にできるからいいですね。白足袋も活躍期間が伸びそうです。 そんな話を聞いていたら、裏が黒の柄足袋も自分サイズで作っていただけると聞き、オーダーしたくなってお願いしてしまいました。着物のときは白足袋派だけど、和洋ミックスや洋服に足袋も来年は挑戦してみようかな! 窮屈はいや、のびのびがいいとずっと思っていたのですが、足を適切に支えてくれる足袋の力ってすごいのですね。自分の足にあった足袋を履くことの大切さをさらに痛感した年末でした。 あとは痩せることができたら。。。(切実(切実(大事なことなので2回言いました) 皆様はどんな年末をお過ごしでしょうか。少し早いですが、今年のコラムはこれで最後となります。今年もとりとめのないコラムにおつきあいいただき本当にありがとうございました。どうぞよいお年をお迎えください。 わにこ 拝

お太鼓の山、丸くするか四角くするか?の巻

星わにこ
2021/12/15 00:00
急に寒さが厳しくなった気がする東京、そろそろ厚手の着物コートを出さねばと思いはじめました。10月からの袷のシーズンに入ると着付の仕事も増えるのですが、お客様によって体型がいろいろ。補整もなんですが、訪問着の場合帯の形も大きなポイントだよな~と感じます。 背の高い方やふくよかな方は、お太鼓を大きめに。小柄な方やきゃしゃな方は控えめにというのを心がけていますが、お太鼓の山の形もお好みがありますよね。 着付けの時は礼装ということもあり、お太鼓の帯山はまっすぐ大きめに華やかにと心がけますが、丸い自然なラインを好まれる方もいらっしゃいます。近年主流は真っ直ぐラインですが、年配の方やアンティーク好きな方はこの丸いラインを好まれる気が。 そもそもお太鼓結びってなんぞやということですが、江戸時代後期に亀戸天神のお太鼓橋再建のお祝いの折に深川の芸者さんたちがだらりの帯ではなく、下を持ち上げて結んだ新しい帯結びで練り歩いたのが「お太鼓結び」の起源だとか。太鼓じゃなくて太鼓橋にちなんだ名前なのですね。 だから形的には、四角いがよい、丸いがよいということもないわけなんですが、今まで着物を着てきて言われたことや調べたことをまとめると。 四角いお太鼓は現代的、粋なかんじ。丸いお太鼓はやさしく、はんなりとしたかんじ。関東ではまっすぐ、関西では丸いラインが好まれるとも。粋筋の人は帯山をまっすぐして、素人さんは丸くするものよと年配の方に言われたこともあります。 あとは自分が持っていきたいベクトルに合わせればよいですよね。 私は帯山が真っ直ぐ作りやすいということで帯枕の幅が25センチのものを愛用しています。帯山がまっすぐでお太鼓が大きめのほうが、ちょい太めのおばちゃん(私)は背中の幅やお尻の大きさが目立たないというのがその理由です(切実)。 が、普通の帯枕の幅は20センチ前後。これだとどうしても帯山の端を支える部分がないので、丸めのラインになります。それも自然で優しい感じでよいですよね。きゃしゃな方や小柄な方は長い帯枕を使うと帯が大き過ぎるように見えてしまうので、ちょっと控えた長さのほうがよいかもしれません。 あとは厚みもありますね。一般的には礼装はふっくら大きめな帯枕、普段着は控えめと言われています。 が、どれも「絶対そうでなくてはならない」という「ルール」や「決まり」ではありません。 着付けは教科書通りや習った通りにしなくては!という気持ちが強い方も多いと思いますが、ここは何センチが正解!角度はこう!というようなものでもなく、もっと感覚的に自分の「好み」も反映してもオッケー! お太鼓の形や大きさは、個性と好みで決めてよい。着付けや着姿も然りです。自分に合っていて、気持ち良い方法や形をチョイスしてくださいね。

因(ちな)み柄と推し着物というジャンルの巻

星わにこ
2021/12/08 00:00
やっとおでかけも普通にできはじめた昨今ですが、先日友人に誘ってもらって東京宝塚劇場にいってまいりました。一体何年ぶり!?という宝塚観劇でしたが、お芝居もさながらショーの魅力にどっぷり浸かって、キラキラパワーチャージしてきました。 トップさんたちの歌やダンスももちろん楽しみなのですが、一番ぐっとくるのはロケットというラインダンス。主に春に宝塚音楽学校を卒業したばかりの下級生が踊るのですが、初々しくて本当にきゅんとします。「ヤァ!」という掛け声を聞くと、涙と元気が湧いてくるのです。 私のようにたま~にしか見に行かないものでも、いつも変わらず安定のキラキラで初見でも序列がわかる親切設計が素晴らしく、感動します。 仕事帰りにそのまま観劇に行ったので洋服だったのですが、着物姿の方もちらほらいらしていました。友人に紹介いただいた方は、お芝居の舞台が会津ということで、会津木綿コーデで。シルクウールのドット柄の羽織は、星組の星のよう。 今まで因みコーデといえば、因み柄の言葉通りモチーフばかりを気にしていましたが、素材や産地もありなんだなと目から鱗でした。 着物での観劇は、この因(ちな)みコーデが醍醐味なのですよね~! 会津木綿も教えていただくまで気づかないというさりげなさ。でもたとえ誰も気がつかなくても、自分が満足できていればいい。それが因み柄とか、因みコーデの楽しみです。 気がついて「素敵!」と言ってくれる人がいたらなお嬉しい。 因むのは、なんでもいいのです。着物でも帯でも、帯留めや半襟、足袋や草履でも。演目に因む場合もありますし、応援している役者さんに因む場合もあります。江戸時代からあった、着物の楽しみのひとつですね。 最近はこの、因みコーデは「推し着物」という名称のほうが親しみやすいかも。 まさに「推し」に因んだコーディネートの総称が推し着物。色や柄を取り入れるだけでなく、もっと積極的に着物や帯にそのものズバリの絵を描いてしまったりすることも。 私ただいまゴールデンカムイという漫画にはまっているのですが、Twitterで尾形上等兵というキャラの推し着物コーデをされてる方を発見。軍服モチーフの着物はもちろん、長襦袢も刺青人皮柄。帯も尾形の絵だらけです。しかも!帯は自作のゴールデン色の帯に油性ペンで絵を描いちゃうという大胆さ! 他にも自作のセーラームーンなどの推しコーデも紹介されていて、感動してしまいました。限界突破感半端ない。 他にもこの推しコーデの表現として、「Tシャツかぶせ帯」というものもあると知りました。半幅帯を結んだ上にバンドTシャツなど、好きなTシャツを銀座結びのような形にかぶせてとりつけるという荒業です。バンドネームや、好きなTシャツの柄がそのまま帯の柄になるという画期的な方法。 以前「布を挟む、貼付けるだけで帯が因み柄に変身!の巻」というコラムで、帯に布地を挟んだり貼ったりする方法をご紹介しましたが、それより簡単です。すごい。 いやあ~因み柄も時代にあわせて進化を遂げているんですね! ちなみに(笑)私のゴールデンカムイでの推しは鯉登少尉なのですが、クリスマスイブイブがお誕生日だそう。私も推しコーデデビューを目論んでいます! 完成したらお披露目しますね! お楽しみに! えっ誰も楽しみにしてない? いいのいいの、因み柄は自分が楽しければいい、密やかな楽しみなのです(開き直り? 書いた時点で密やかでもなんでもないですが(笑)推しと着物、大好きな組み合わせを考えるだけでも楽しいものですよね。皆様もぜひ推し着物、さりげないものから全開まで、お楽しみくださいませ!

クリスマスは着物も和洋ミックスコーデで?の巻

星わにこ
2021/12/01 00:00
え!うそ!もう年末!? 焦る気持ちもありつつも、楽しいこともいろいろある12月。今年のクリスマスもまだおうちクリスマスなのかなとは思いますが、おしゃれは楽しみたいですよね。 クリスマスはもともとキリスト教の行事ですし、和洋ミックスコーデはいかがでしょうか。自分が楽しむおしゃれなら、決まりに囚われずいろんなミックスができますよね。西洋の文化が流れ込んできた明治時代から、着物の下にシャツを着るなどいろんな組み合わせが行われていきました。 若い方たちもとっても自由に楽しんでいますよね! むしろ着物について先入観がなかったりするほうが頭が柔らかくていいのかもしれません。今日はいろんなミックスコーデの中から取り入れやすそうなものをご紹介します。 <長襦袢チェンジタイプ> ・スタンドカラーのシャツを着る 明治時代の書生さんスタイルが思い浮かびますね。女性だとフリルタイプのシャツをよく見かけます。スタンドカラーに限らず、シャツを襦袢がわりにするもの。 ・パーカー(フーディ)を着る パーカーの前が、衿にいいかんじにフィットします。後ろから見ても可愛い! 最近はパーカーって言わないんですって? フーディだと子どもに教えてもらいました。。 ・ハイネックのセーターを着る 冬の普段着には最高のあったかさ。着物の欠点、首が寒い!を解決してくれる神コーデです。 <スカートにチェンジタイプ> ・スカートイン 裾除け代わりにロングスカートを履いて、着丈をちょっと短くして裾フリルみたいに見せちゃいます。これだと身丈が短い着物も着られるし、高身長さんにおすすめ。 ・スカートオン 袴がわりにスカートを着物の上に着ます。楽。自由。 <帯をベルトに> 帯をしないで、サコッシュベルトのようなものにしたり、腰紐だけ結んであえて上はカシュクールスタイルのワンピース風に着物を着ます。 <洋服メインの場合> ・ワンピースに半幅帯 先日、「この冬は帯揚げスカーフ&帯締めベルトで決まり!?の巻」でご紹介した和洋ミックスの達人さんが教えてくれた技です。大きなリボンみたいで可愛い! ・道行をワンピース風に 最初見た時は目からウロコでした。はあ~。やわらか頭がほしい。 などなど、もうほんと、いくらでも自由に組み合わせて楽しめます!  冬は、着物の上に洋服用のコートを着るのもいいですよ。袖はどうするの?とよく言われますが。お袖は体にくっつけて、腕だけコートの袖に入れればいいんです。 あまりジャストフィットのアウターは難しいですが、ちょっと余裕のあるサイズなら大丈夫です!(ゴールデンカムイの杉元スタイル) あとは自分のセンスと美意識とのすりあわせ。年齢や決まりにとらわれず、楽しむ心を忘れずに、きものの可能性を探ってみませんか?

七五三の三歳の着物を二歳から五歳まで着る方法の巻

星わにこ
2021/11/24 00:00
今年も七五三のシーズンがやってきましたね。11月15日、江戸時代に徳川家が「袴着の儀」を行ったことに習い、その日に子供の成長を祝うようになったもの。現代では、日にちが前後してもだいたい11月の都合のよい日に氏神様にご挨拶にいく慣習となっています。 三歳女子は「髪削ぎの儀」、五歳男子は「着袴の儀」、七歳女子は「帯解きの儀」という平安時代の通過儀礼をもとにしていて、それぞれ三歳は着物と被布で、五歳は羽織袴で、七歳は振袖に大人と同じように帯を結んでお祝いします。 子供の着物は「揚げ」といって、肩や腰の部分をつまんで縫って裄や身丈を調整しておはしょりをとったりしなくても、羽織って紐を結べば着られるようになっています。 この「揚げ」を大きくつまめば丈が短くなるので小さいうちはたっぷりとって、育ったら揚げを小さくすればよいという、着物を買い替えなくてもすくすく育つお子さんのサイズに合わせられるという大変優れたシステムになっています。 子どもはどんどん大きくなるから洋服なんてすぐサイズアウトしてしまうし買い替えないといけないけど、その点この「揚げ」で調整できる着物はよくできているなあと思います。 七五三は毎年撮影スタジオで着付けをするのですが、いろんな身長のお子さんがいるので、レンタルのものは衣装合わせにきていただき裄や身丈を測らせていただいて、肩上げと腰上げを調整して着ていただきます。今年多かったのは、七五三のお祝いをされるお子さんの妹さんも着物が着たいというリクエスト。 一歳違うとかなり身長も違うのですが、二歳のお子さんも五歳のお子さんも、三歳のお着物の肩と腰の揚げを調整してお召しいただけました。帯は体の負担にならない兵児帯で。ひらひらと帯が揺れて、なんとも可愛らしかったです。特に小さいお子さんが大きく揚げをした着物を着ているのはえもいわれぬ可愛らしさで、魂が洗われました。 お祝いの着物はレンタルでもいいのですが、三歳の被布セットは洗える素材のものならお手頃な価格から揃っています。ネットに入れて洗濯機で洗えば綺麗になりますし、子供が汚しても気になりません。三歳の時に1回だけ着ると思うとなんだかもったいない気がしますが、二歳の頃から五歳までお正月やひな祭りに着物を兵児帯で簡単に着せてあげられる着物だと思うと、購入して楽しんでもいいのではないでしょうか? 被布はお祝いのときだけ使用して、長襦袢と着物があればOK。セットには兵児帯がついてこないことがほとんどなので、帯は別に購入されるとよいでしょう。洗える素材のものならお手頃価格です。 セットに入っている状態では三歳の平均身長にあわせて揚げがしてありますので、ここを調整すればいいのです。 コツは、もともとしてあった揚げを取らずに、その横に並行して縫うこと。元の揚げより大きくとるときは元の揚げはそのままにして(本当は取るのですが、ご自分でなさる分にはよいと思います)、お子さんが大きくなったら新しくした揚げを取ればいいのでらくちんです(ズボラ案ですみません)。 もっと大きくなって揚げを小さくするときは、もともとの縫い目は外します。 もともと揚げをしてない場合は、肩の場合は肩裄の真ん中をつまんで短くしたい分だけ縫えばOKです。あまり表に大きく縫い目が出ないよう二目落とし(一目落としでもOK)で縫っていきます。 腰の場合は、身丈を測ってその真ん中をつまんで短くしたい分だけつまんで縫います。こちらは帯で隠れる部分なので、落ちてこないようにざくざく縫えば大丈夫。 ものすごく乱暴な説明をしてしまいましたが、昔は自宅でだれでもやっていたこと。直線で縫えばいいだけなのでハードルも低いです。私も男の子でしたが、四歳のときに五歳の祝い着を買って、七五三はもちろん六歳までお正月やらなんやらと着せまくりました。転がりまくられても、食べているものをこぼしちゃっても、洗えるものなら心が穏やかです(笑)。 もちろんお祝いに正絹でよいものを、というのもまた素晴らしいことです。どんな風に着せたいか、ご自分が納得できるほうを選ばれるとよいと思います。 もし、小さなお子様お孫様がいらっしゃる方がいらしたらちょこちょこ着せられるように早めに七五三用の三歳着物・五歳着物を手にいれられるのもいいのではないでしょうか?

袋が入った着物の裾を直す方法★応急処置編の巻

星わにこ
2021/11/17 00:00
着物の裾が袋になったとか袋が入ったとかいうことがあります。表地と裏地のつりあいがとれず、どちらかがたるんでしまうことを言いますが、裏地が弛んでいるのはともかく表地が弛んでいると、裾がぶよぶよでがっかりしてしまいますよね。 畳んである状態で気がつくことはあまりなく、前日にハンガーにかけたらあれ?とか、実際着てみたら裾が‥‥ということがほとんどではないでしょうか。 表地の弛みは、着付けでも少しはカバーでき、腰紐を締めたときに表地だけを上に引き上げて弛みをとってしまえば気にならなくなります。でも、結構技術を要しますし、自分で着るときは上前はともかく、下前や後ろまでこのテクニックを使うのは至難の技です。 それに、たとえなんとかなったとしても、着て動いているうちにやはり弛みは出てきてしまいがち。 胴裏と八掛の縫い合わせている部分でたるみの釣り合いをとって縫い直せば袋はなおることもありますが、程度によっては仕立て直しをしなくてはいけないことも。そしてお直しとなればやはりそれなりにお値段もします。自分で誂えたものならともかく、リサイクルショップで買ったものとか古いものとかにそれだけお金をかけるかというとちょっと悩ましいところ。 裾を解いて表と裏の釣り合いを取り直すという裏技もネットでみかけたことがありますが、なかなか縫う部分も長いし、うまくできるか自信もなく、トライをあきらめていました。 袋になってしまったものは基本諦めるというスタンスをとってきた私ですが、でも諦めてしまうくらいならなにか方策はないものかとずっと考えてきて先日、弛んだ分をひきあげてつまんで縫ってしまえばいいのでは?と思いつきました。 早速表地のほうが袋になってしまっていた着物で試してみることに。 結果は……ジャーン! ご覧くださいこのビフォーアフター。 一体どうしたのかというと 1)床に平らにして置いて、弛みを上に撫で上げる 2)浮いた表地をつまむ 3)ざくざくと縫って止める これだけです! 縫う場所は、だいたい腰紐が通るあたり、着れば見えない部分になります。これ以上上までたるみを持っていくのは結構難しかったので、ウエストあたりが妥当かと思います。ご自分の腰紐の位置を確かめて目安にしてください。 びっくりするほどたるみがあって、余った生地がつまめました。 あくまでも応急処置で、縫ったままにしておくとまたいろいろ問題も起きそうですから、脱いだら糸は外して仕舞ってくださいね。 このところずっと七五三の着付けなどで肩揚げや腰揚げをしていたので、もしかして縫ってしまってもいいのでは!?と思いつき、やってみたらうまくいったのでご報告です!! あくまでも和裁素人の思いつきですが、結果よければすべてよし。 「あ、袋になっちゃった(><)」という着物で、ご自分で針目を通してもいいと思うものがあったら試してみてください。 久々にテンションがあがった、裏技発見でした!

落語を聞きに着物でGO!の巻

星わにこ
2021/11/10 00:00
先日10月29日に深川江戸資料館に落語を聞きにいきました。九代林家正蔵師匠と入船亭扇辰師匠の二人会です。 落語といえば寄席、と言うイメージですが、コンサートのように独演会や二人、一門会などもいろんなところで行われています。チケットを買ってお芝居を見に行くような感覚で行けますから、初心者にもおすすめなのです。 この日は、前座が正蔵師匠の息子さんのぽん平(ぽんぺい)さんで「子ほめ」。正蔵師匠は「孝行糖」扇辰師匠「甲府ぃ」中入り後「千早ふる」トリは正蔵師匠「一文笛」。 いずれも先日亡くなった小三治師匠との思い出がある演目とのこと。正蔵師匠がかつてあった真打ち試験で小三治師匠がいいんじゃないかと言ってくれて合格できたと、試験の日の様子を枕で語った後の本題「孝行糖」。次に扇辰師匠が実は「孝行糖」は真打ち試験で正蔵師匠(当時はこぶ平)がかけたものと種明かしをされ、試験の日のかつての大師匠たちがこの会場にも座っているかのような感覚になり、わあーと鳥肌が立ちました。 扇辰師匠の時事問題絡めつつ攻めた枕も大笑い。こういう笑いはやっぱりライブでないとなかなか楽しめないかも。張りのある豆腐売りの声にも惚れ惚れです。 そして正蔵師匠ですが、やはり私の世代にとってはタレントとしての若い頃のちょっとウッカリのこぶ平のイメージがとっても強かったのですけど、いやはや全くそのイメージが覆されました。古典落語本当に素晴らしかったです。 滑舌もよくて、渋い、でも滲み出るお人柄の明るさのある芸風。そんなに落語に詳しいわけでもない私ですが、感動しました。ここまでくるのに、どれだけの努力をされたのでしょうか? 胸熱です。正蔵?ああこぶ平ね、なんて思ってる方にぜひ聞いていただきたい。とっても良い時間を過ごしました。 落語は話芸で笑わせてもらうのはもちろんですが、噺家さんの着物姿も楽しみのひとつ。ものすごーくこなれた着姿で、所作もかっこいい。先日、米津玄師さんのPVで落語家さんを演じている様子をコラムに書いたところ大きな反響をいただいたんですが、高座で枕(本題に入る前にするちょっとした小噺や世間話のこと)が終わると、さっと羽織を脱いで長着姿になり、本題に入る様子が本当にかっこいいのです。 これを見に落語に通う人もいるくらいよ、と銀座いち利の女将さんもおっしゃっていましたが、流れるように羽織紐を解き、スルッと羽織をぬぐ様子はなんともいえず粋だったり、色気があったり。普段なかなか男性の着物姿を見ることもありませんから、落語を聞くことに加えて、着物好きには目の保養ですよ。 前座は着流しですが、二ツ目に昇進すると羽織や袴が着けられるようになります。お侍さんが出てくる噺では袴をつけたり、演目によって着分けるそうです。 この日正蔵師匠は落ち着いた濃い目の色合い、扇辰師匠は白髪に映えるきれいな薄い色目の羽織と着物でとても素敵でした。扇子や手ぬぐいを見立てで様々な小道具に見立てるのですが、それも見所です。 小学生の頃、柳亭燕路師匠の『こども寄席』が愛読書だった私。好きすぎて部員一人の落研を作り、「猫の名前」を文化祭で披露しようとして当日高熱を出して休んだ過去があります(ダメじゃないか)。でも、本の中の古典落語のネタは今でも忘れないし、熊さんはっつぁん御隠居さんは私の心の隣人です。ぽん平さんの「子ほめ」もこども寄席で一生懸命覚えたので懐かしかったです。 古典落語は時代劇を見るようなものですから、これまたきもの好きには楽しい世界ですよね。噺家さんによって細かい演出や落ちも変わったりもしますし、知っているネタならいっそう楽しめます。自分も着物で行ったら一層楽しい。きもので落語、また行きたくなっちゃいました。 芸に触れ、動画もいいけどやはりライブに勝るものはない。そして文化は人間に必要なものだとしみじみ思いました。さて着物を着てどこに行こう?と思ってる方には落語、おすすめです!

お役にたった!?着付小物収納のプチネタの巻

星わにこ
2021/11/03 18:00
皆様着付け道具をどんな風に持ち運んでいますか? 毎回「腰紐と~伊達締めと~」とやっていると忘れてしまうので、私はトラベルポーチにまとめていて、そのまま持ち運んでいます。家でも、そのままにしておいてたんすにひっかけて使っています。 すぐあれがないこれがないになる私には必需品です。 関連記事:これは使える!トラベルポーチで着付小物の整理の巻 そんなコラムを書いてから気がついたらもう5年の歳月が経っていました(驚)。時々「真似してます」なんてお声かけいただくこともあったんですが、先日着付けのレッスンに来てくださった方が実物を持ってきてくれました! ひっかける式のポーチではないのですが、コンパクトにまとめて着付け道具が入っています。フルオープンタイプなので、とっても使いやすそう。 腰紐、きものベルト、伊達締め、コーリンベルト、仮紐、ゴムなどが手に取りやすく入っていて、外側に着付けピンチも。 そして、えり芯収納は綿棒の空き容器に入っていました。この切れ込みはもともと入っていたものだそうで、とっても出し入れしやすそう。えり芯収納についてもコラムを参考にしてくださったそうです。ポーチにシンデレラフィットしていますね! 関連記事:えり芯の収納☆空き缶を使うと便利でしたの巻 このえり芯収納も反響があって、ガムテープの芯は幅もぴったりでいいというお声もいただきました。このコラムも書いてからもう3年! 時の経つのが早すぎる~! ポーチのお写真も撮らせてくださったH様、本当にありがとうございました。   YouTube全盛の時代、いつもコラムを書きながら「これは読んでくださる方はいるのだろうか? 参考にしていただけたりすることはあるのだろうか?」とよく思うのですが、読んでますよ~とおっしゃっていただけるのがなにより嬉しく。そしてさらに、こうやって実際に「やってますよ~」と見せていただけて、なんだか涙が出そうに嬉しかったです。 皆様のお声が励みで続けております。今後も読んでいただけるようがんばります。またやってみたらよかった、ここがだめだったというようなご感想、いつでもお待ちしております! あと、ネタの提供も常時受け付けております! 気軽にお声かけいただけると嬉しいです(^^)よろしければいいねボタンぽちもよろしくお願いいたします。(どんどん欲がw 拙いコラム&イラストではありますが、これからもどうぞよろしくお願いいたします。

きものでアフタヌーンティを楽しむ。の巻

星わにこ
2021/10/27 00:00
緊急事態宣言が解除されて、ちょっとおでかけしてもいいかな?と思っていたところに、キモトモ(着物友達)から「ちょっと気分の上がる着物を着てアフタヌーンティでもいかが?」というお誘いが。 自分の楽しみのために着物を着ておでかけ、なんていつ以来でしょう。二つ返事で行くことにして、椿山荘のマロンアフタヌーンティーに。予約をして、指折り数えて楽しみに。まだ締めたことのない紅葉の染め帯をしようとまず決めて、そこからコーディネート。大好きな色無地ででかけることにしました。 普段、仕事で晴れ着の着付けなどもさせていただいているけれど、自分でやわらかものを着るのはひさしぶり。いつもはうそつき衿でちゃちゃっと着てしまいますが、ひさしぶりに絹の長襦袢を着ました。 とろんとした絹の重みが肌寒くなってきた気温に心地よく、まさに「纏う」という言葉がぴったり。歩くときに足に感じるなんともいえない柔らかい衣擦れの感触も懐かしく、気分があがります。 きものは、この贅沢な感触が魅力なんだな~とうっとりしました。 お袖の振りが長襦袢と着物とコートでぴったりと合って3重になっているのを、揃えて楽しんだり。自分だけの小さな満足がいっぱい。 そして、一緒におでかけしてくれたキモトモさんたちのおしゃれもまた眼福で。切嵌め刺繍の訪問着、初お披露目の帯、おばあさまの形見の黒猫の帯留、刺繍半襟、苧環の帯締、エトセトラエトセトラ。思い思いの「とっておき」を、お互いに素敵ね、と褒め合うのもくすぐったくて嬉しくて。 栗尽くしの美味しいアフタヌーンティは、目にも口にも美味しくて大満足。 アフタヌーンティといえば、英国発祥の喫茶習慣。まず最初に3段重ねのティースタンドが思い浮かびますよね。一番下がサンドイッチなど軽食、中段がミートパイやスコーンなど温料理、上段がデザートになっていて、下からいただくものだそう。お茶はおかわり自由で、いろんな種類のお茶が選べます。一杯目はストレートで、二杯目はミルクティーでなど味の変化も楽しめて、日常ではなかなか叶わない、まさにお味の宝石箱、テーマパークやあ(彦摩呂) ちょっとずつ味わう「栗」がテーマなお料理とお菓子はとっても贅沢気分。ホテルのサーブはとってもスマートで、とても優雅な時間を過ごせました。 やわらかものとアフタヌーンティという、ちょっと非日常の楽しみがこんなに嬉しく、気分が上がるとは。 また元の生活に戻っていけるのか、まだ波があるのか。おそるおそる出かけてみた久々の「おでかけ」でしたが、とても心が満たされました。家で美味しいものを食べるのもいいけれど、やっぱり友達に会って笑顔でご馳走を楽しむことって必要なことなんだとしみじみ。 まだまだ医療従事者の皆様への負担も大きく、すぐに元通りにはなれないけれど、ちょっとずつ。 コロナ禍以前にはなんでもなかったことが、できなくなって初めてこんなにも大切なことだったのだなと思い知らされることがたくさんあります。 同時にあれもできないこれもできないと思うより、これもできる、あれもできると、今可能な喜びや楽しみを大事にできたら楽しいですよね。 この1年半ほどでずいぶんと考え方や常識も変わったけれど、変わらないものもある。着物もなんだか着る気がなくなっていたけど、袖を通してみたらまた着たくなったわ、なんて声も。 あとやっぱりね、出かけてみるといかに普段「どうせどこに行くわけでもないし」ってオシャレに気持ちが向いていなかったかに気がつきますね。撮ってもらった写真を見て、コロナ太りの現実を目の当たりに! わーん! 自分のことを考え直すいい機会にもなりました。 少しづつ、失われた時間をそれぞれに取り戻して行けたらありがたいなあと感じたおでかけでした。

この冬は帯揚げスカーフ&帯締めベルトで決まり!?の巻

星わにこ
2021/10/20 00:00
緊急事態宣言も解除されて、やっと少し着物でおでかけしてもいいなあと思われている方も多いのではないでしょうか。きょうから大阪でキモノEXPOですね。先週は銀座で、私も会場にお邪魔しておりました。 初日は暑いくらいだったのに途中から急に気温が下がって羽織ものが欲しくなり、ああ、いよいよ袷のシーズンなんだなと皆様の着物姿を見ながらわくわくしていました。ワークショップや講演も盛況で楽しそうでしたよ! さて、そんな中洋服のお客様が「今日は着物で来られなかったから、和を取り入れてきました」とおっしゃってウエストを指さされるのでよく見るとなんと、帯締めをベルト代わりにされていました。あまりにさりげなくて、気づかなかったほど! サイドに垂れている撚房もおしゃれ! 「初日にゲットした帯締め帯揚げのセットなんです」とおっしゃるので「え?」と見直すと、なんと首に絞りの帯揚げをスカーフ代わりに巻いていらっしゃったんです。 ベースのツーピースとカラーコーディネートもばっちりすぎて、言われるまでそれが帯揚げとわかりませんでした。帯締めと帯揚げと洋服のコーディネートが本当に素敵で、トシちゃん感激!(古いネタすぎてわからない) ふわふわっと巻いていらしたらもしかしたら気づいたかもしれませんが、垂らすだけのシンプルさがまたすごくかっこよかったんです。お願いしてお写真とらせていただいたのでご紹介しますね! 考えてみたら、帯揚げってシルクだしスカーフとして使うのも素敵ですよね。スカーフを帯揚げに使うのはよくしているのに、なぜ逆はおもいつかなかったんだろう? コロンブスの卵か!?と目から鱗が100枚くらい落ちました。 好みのものはもちろん、なんだか色が派手でつかいにくいとかいう帯揚げももしかしたらスカーフにしたら有効活用できるかも!? 早速ちりめんの帯揚げをクビにくるくる巻いてみたら、収まりもいいしあったかい!! シルク100%ですからね、贅沢ですね。 いろいろ巻いてみたんですが、綾子系のつるんとしたものはまさにスカーフのようですし、ちりめんや絞りの入ったものは少し伸縮性もあるし空気も含むのでまきつけやすく、暖かいです。首に巻いて形が作りやすいのは後者ですね。先の部分を見えないように巻き込んでしまうとプチスヌードみたいでいいかんじです。 久々に大コーフンしてしまいました。まあこういうものは、多分にセンスに左右されるものでありますけれども、リメイクでもなく、あるものそのまま活かせるとなるとトライの価値はある!と思います。 帯締めもブラウスとかちょっとウエストマークしたいときに素敵かも。 帯揚げとかね、本当何枚もってるの? しかも可愛い模様とか入っててもしちゃうとほぼ見えなくて残念、なーんて思っていたものが活きるとくればやってみたさ倍増です。 今年の冬はご一緒に帯揚げスカーフ、帯揚げマフラーデビューしませんか?

羽裏がかっこいい!男羽織をマニッシュに着こなせ!の巻

星わにこ
2021/10/13 00:00
やっと着物を着ても暑くないかな?と思える気温になった東京です。とはいえまだまだ単衣でもいいぐらいですが、外に出るとちょっと肌寒かったり。そんなときの調節に便利なのが羽織です。 羽織もやはり着物と同様、薄羽織、単衣、袷とあって着用時期も決まっています。 関連記事:羽織の着用時期の目安って? よく「楓(紅葉)が色づく頃から、桜が散る頃まで」といいますが、これは袷の羽織を着る時期の目安です。2014年のコラムでは10月くらいからと書いていますが、温暖化が進んで11月くらいから、に変更してもいいくらいではないかと思いますね。 一方暖かくなって活躍期間が伸びるのが薄羽織やレース、単衣などの羽織です。特にレースの羽織は半襟などと同じようにカジュアルシーンであれば、衣替えのルールに縛られないで使うことができるので、「今日はレースの気分だわ」というときいつでも使えるのがいいですね。 羽織のいいところは 1、オシャレをより楽しめる 2、ちりよけになる 3、脱ぎ着自在で体温調節ができる 4、着付けのあらかくしもできる(笑) でしょうか。 気に入った羽織を着ればテンションも上がりますし、着物とのコーディネートでよりおしゃれも楽しめます。 また、着物や特に帯をちりほこり、汚れから守ってくれますので外出時も安心です。 羽織は、道行やコートと違って室内で脱ぐ必要がないので、着たままでもいいし脱いでもいいので体温調節に役立ちます。オンオフ自在は嬉しいですよね。 レースは透けてしまいますが、透けない単衣の羽織なら、多少帯結びがまずくても隠してしまえるので、ちょっと気持ちが楽です(笑)。お太鼓が隠れてしまうので最初からしない!という荒技も。昔は普段着用に前帯だけマジックテープで止める「前だけ帯」があって、それを羽織を羽織って使ったりもしたそうです。普段に着物を着ていた時代の知恵ですね。自由な発想で着たらいいのですよね。 ちょっとおすすめしたいのは、男性用の羽織を着ること。 私は裄が67センチなのでリサイクルの着物で安価に十分な大きさの羽織やコートを入手するのは難しいのですが、男性用なら簡単に裄ピッタリのものが見つけられます。多少袖丈が長くても、袖は人形仕立てといって振りの部分が縫われてしまっているので、着物と袖の長さがあっていなくても見えません。いい。 それから、男羽織は羽裏がかっこいいものが多いのです。龍虎に鯉、富士山などの風景画、茶道具やちょっと艶っぽい美人画などなど、粋なものがたくさん。羽裏が凝ったものを探し始めるとキリがありません(笑) 男羽織はちょっと重くて、ちょっとマニッシュなジャケットを羽織っているようなテイストになります。紋付だと決まりすぎ(というか主水スタイル@必殺仕事人になりがち)になるので、私は髭紬の男羽織を着たりしています。丈も長いものが多いので、かっこいいスタイルになりますよ。 クールなコーデに合わせてもいいし、派手な着物に合わせてもまたよし。 いつもの羽織スタイルとちょっと変わった楽しみかたはいかがでしょうか。

名残の月の着物雑感の巻

星わにこ
2021/10/06 00:00
10月になりましたね。10月1日は衣替えの日であり、着物も単衣から袷に切り替わる日ではあるのですが、すっかり夏が戻ってきたような気温でまだまだ袷などとんでもない、単衣でも暑いくらいの東京です。もう本当に衣替えの時期も見直す時代に入ってきているのではと感じますね。 お茶の世界では、10月を名残月と呼ぶそうです。11月は炉を開き、新しいお茶の口切りをするいわば「お茶のお正月」。10月は1年かけて味わってきたお茶をいただくのも、また半年間慣れ親しんだ風炉でのお点前もお終いの月というわけです。これが最後と名残を惜しみつつ、来る新しい季節への思いを巡らす月なのですね。 また季節は巡ってくると言っても、コロナ禍を体験して毎年同じことが繰り返せるわけではないとしみじみと感じました。自分も年齢を重ねて、まさに今青春時代!の息子を見ていると、なるほどもう春は私には巡ってこないのだなあと実感します。 まだ暑いけれども本当に暑くて大変だった夏も終わってしまったのだなんてちょっとおセンチになるのは、やっぱり暑いといいつつ日も短くなった秋だからでしょうか。確実に冬は近づいてきているし、やっぱりちゃんと準備をしなければいけないのですよね。 天気のよい休日に、やっと夏ものの帯、帯揚げ、帯締めをやっと仕舞いました。うそつき衿やじゅばんの半襟もぐずぐずしていましたが、まだそのままにしていた絽を塩瀬やレースやらに付け替えて準備完了です。 老年期が冬とするならば、派手さはないけれどゆっくりと上質に、寒さの備えをしっかりとして落ち着いて静かに暮らせたらいいなあと夢想しつつ。譲っていただいた着物で、今は地味だなあと思っているものも、きっと似合うようになってくるのでしょう。 現実には、相変わらず目の前のことでいっぱいいっぱいで「うわー!」と場当たりとその場凌ぎとかになってしまうことが容易に想像できますが‥‥。ほんと成長がなくてとほほですけれども。もうめちゃくちゃ突っ走れる体力もないので、無理せず少しづつ。とはいえ、後回しにしてしまうと二度とできないこともあると身に染みて感じることもあり‥‥。 この頃電子書籍で新しい漫画をちょこちょこ読んでいるのですが(紙派でしたが、老眼に伴い拡大して見られる電子書籍の虜にw)、転生ものやタイムリープものが多くて驚いています。現実には、そんなことは起こらないので、失敗を糧になんとか今持ってるカードでやるしかないんですよね。 あとは、電子書籍もそうですが、今までの思い込みに囚われず新しいものにチャレンジするのは大事だなということも感じています。 コロナ禍では、着物の処分の相談もよくされました。きっと家にいて自分と向き合って、いろいろ思われた方も多いのでは。私も、箪笥の中身を大幅に見直すべきだな~と思っています。着物や帯はもちろんのこと、着付け小物や肌着もついあれも使えるこれも使えるとひきだしにつっこんでいますが、自分がいつかいなくなり箪笥の中身を処分してくれる人が見た時に「ああ始末のよい人だったな」と思ってもらいたいと思います。今のままでは確実に「なんじゃこりゃ。ひでえ‥‥」となること請け合い!(うわーん!)とりあえず着古した和装ブラと虫食いのあるモスリンの腰紐を買い替えよう(あわわ)。 今からでも遅くはない。まだ名残の月のうちに‥‥。体が動くうちに、身辺整えて豊かな老後を迎えたいと思う秋でございました。まずは着物の箪笥、がんばります。

総絞りの帯揚げをアイロンで伸ばして大人の帯揚げに☆の巻

星わにこ
2021/09/22 00:00
総絞りの帯揚げは買うととても高いものですが、やはり七五三や振袖など子供や若いお嬢さんの礼装に使うイメージが強いですね。 若い時には帯揚げはボリュームたっぷりに結びますし、年齢が上がってくると控えめにしますから、総絞りは似合わなくなってきます。 大人が使って悪いというわけではありませんが、若い頃のものをそのまま使っているなあ、という感じになってしまいがちです。もう使わない(使えない)なあ、とたんすの肥やしになっているものをお持ちの方もあるのではないでしょうか。 譲ったり、小物を作ったりするのもよいですが、色など気に入ったものであればアイロンで伸ばして自分で使うというのもおすすめです。 スチームアイロンをしっかりと生地をひっぱりながらかけると、絞りの山が平らになります。まったく平らにはなりませんが、これだけでちょっとふんわりした使いやすい帯揚げの出来上がりです。 絞りを伸ばすと、糸をくくって染まっていない白い部分がよく見えるようになるので、絞ってある状態より少し色が薄く見えます。それもまた大人っぽく使いやすいのではないでしょうか。 総絞りではありませんが、よくある見える部分だけ絞ってある帯揚げにアイロンをかけて伸ばしてみました。 左側がビフォーで右側がアフターです。幅もぐんとひろがりますね。色もやさしくなってよい感じです。 優しい雰囲気のかわいい帯揚げになりました。これなら50代の私でも使えます! ふんわりしていて、ちりめんに近い感じで伸縮性も少し残っているので、とても扱いやすいです。ちょっとドレッシーな装いの時に。 ただし、一度伸ばしてしまうと元には戻りませんのでご注意を! 絞りが伸びてしまった時は 今回は、絞りの帯揚げに関する情報をもうひとつ。総絞りに限らず、飛び絞りやりんだしなど、一部の絞りの帯揚げは、ちょっと絞りが伸びてしまったなと思ったら、やかんの湯気や、スチームアイロンの湯気(押し当てないで、蒸気だけをあてる)ことで、もとの絞りの高さが戻ります。 この方法は、自然にのびてしまった場合は元に戻りますが、今回のようにアイロンで強く引き伸ばしてしまったものはもどりませんので悪しからずです。 絞りの帯揚げ豆知識でした。

ほんのり色付きレース半襟で秋色コーデの巻

星わにこ
2021/09/15 00:00
単衣がしっくりくる気温になりましたね。単衣は夏物と袷のシーズンの間、初夏と秋に活躍します。初夏と違って、秋はすこしシックに装いたいですね。 帯や帯揚げ帯締めなどの小物を秋らしくするのはもちろんですが、半襟のトーンを真っ白から少し落とすだけでぐっと秋の装いになります。 おすすめしたいのは、色付きレース半襟。レース半襟はカジュアルシーンなら衣替えを気にせず使うことができますし、そろそろ半襟の切り替えどうしようかなと悩むようなときに本当に便利。 ちょうど今頃9月の半ばは、あー半襟変えないと!と思うクライマックス(笑) 関連記事:夏から秋への半衿、帯揚は? 組み合わせおさらいの巻 毎年うーん、合ってるかな?と一応確認したりする衣替えルールですが、レースの半襟なら、ここを気にしなくてもいいと思うと本当に便利なんです。 黒や葡萄色など秋らしい濃い色もいいのですが、アイボリーやベージュ、薄茶など真っ白じゃないものに変えるだけで温かみが加わり秋らしさがアップします。あと、レースの質感もちょっとドレッシーでいいですよね。 レースと一言で言っても、綿レース、光沢のあるレースなどの素材感や柄でも雰囲気が変わりますから、選ぶ楽しみがいっぱいありますよ! レースはちょっと、という方でも、オフホワイトやアイボリーなどほんの少し色の入ったペールトーンの半襟にするのであればあまり抵抗はないのではないでしょうか。 それだけで、同じ単衣でも初夏と秋を着分けることができますので、色付きレース半襟での秋の演出、まだやったことないかもという方、ぜひお試しください。

パソコン&スマホ試着室で憧れの牛首紬コーデ!小物使いで印象チェンジの巻

星わにこ
2021/09/08 00:00
気がついたらすっかり季節は秋に。今年はなんだか夏が短かったような? 暑いと嫌なくせに、涼しくなると寂しいのはどうしてでしょうか。 でも、涼しくなると途端に着物を着る気もアップしてきますね。そんな気持ちを久々に妄想コーデにぶつけてみました。 いち利モールの試着室がパソコンもリニューアルして、ただいま第10回コーディネート大会開催中。9月23日まで3コーディネート投稿できます。大賞に選ばれると一式プレゼントとのこと。太っ腹企画ですよね。そして最近離せばわかるお年頃の、ローガンズのわたくしとしては、パソコンの大きい画面で新コーディネート画面が確認できるようになったのが嬉しい限りです。 さて早速! ここは思いっきり夢をぶつけようと、1度は着てみたい憧れの牛首紬をベースにコーディネート開始。白山工房の横段ぼかしはしゃっきりしすぎずとっても着やすそうです。 牛首紬は石川県の重要無形文化財。大島、結城と並んで日本三大紬のひとつです。流通量が少ないので、なかなか見る機会が少ないものです。二匹の蚕が偶然に作る玉繭から挽かれた特殊な糸で織られており、釘に掛けて引っ張っても破れないという丈夫さから、別名「釘抜き紬」とも呼ばれています。紬ですが、白生地で織ってから染める染め織両方の魅力があります。私にとっては郡上紬と並んで、憧れの紬です。 帯はちょっと力を抜いて、光沢のある細かい市松地紋にヤツデなどの大きな葉模様がデザインされた9寸名古屋帯。着物と同じトーンの色合いで、秋色の落ち着いたコーディネートにしてみました。 着物と帯の色を合わせると、ワンピース感覚になって洋服の中でも浮きません。でも、全体がのっぺりとしがちなので、帯揚げと帯締めでキリッと締めます。反対色を持ってきてもいいのですが、あえて同系色のちょっと濃い色目で強弱をつける方向にしてみました。こういうはんなりコーデが好きなんですよね~。 同じ着物と帯でも、小物を黒で揃えるとかなりキリッとした趣になります。帯揚げも帯締めも半衿も、面積としては全体の10%に満たないのに、全く違う印象になるから不思議なものです。おしゃれ着、カジュアルシーンでは好みと個性で自分の好きなように決めてよいと思います。 実際手元にあるもので、あれこれ色を取り替えようとおもうとなかなか骨がおれますが、試着室ならすいすい。先入観に囚われないでばんばんいろんなものを合わせることができます。色の感覚を磨くのにももってこいですね。同系色よし、反対色よし。好みのパターンも探れます。 基本は、帯や着物の中にある色を拾うと馴染みがよいのですが、思い切って離れた色を持ってきても「わお!」となる場合もあるので、時間を忘れてカチカチしてしまいます。 実際には実物を合わせてみるのが一番ですが、こうやってイメトレしておくと柔軟に楽しめるようになりますよ。 着物と帯はもちろんだけど、小物合わせも可能性無限大! 秋の夜長をスマホ&パソコン試着室で楽しんでみませんか。

汚れ防止に。衣装敷の表はどっち? 定期的に買い替えようの巻

星わにこ
2021/09/01 00:00
衣装敷、皆様使ってらっしゃいますか? だいたい畳一畳弱くらいのサイズで着物を着る時に下に敷く和紙などでできた敷物で、着付師さんには必須アイテムですよね。「たとう紙」とも言われることもあります。 でも着付け教室では使ったけど、自分で着る時にはあまり使わないという方も多いのではないでしょうか。 昔は畳の上で生活していたので、畳のささくれや細かなゴミなどが着物につかないよう衣装敷を使ったものです。絨毯やフローリングでも、同じことですね。 衣装敷には三角のポケットがついているものが多いですが、このポケットがついている方がオモテ面になります。着付けの勉強をしているときに、このポケットに余分な糸くずなどが出たときに中に隠して集めておくよう教わりました。 ポケットがついていないものでも、汚れ防止が主目的ですから表と裏を区別できるように模様などがつけられています。きれいな面が常に表になるように、ということですね。 また出先で着替える必要があるときなどは、どんな場所かもわかりませんから、これが1枚あると安心です。 私は自分で着物を普段に着るときには滅多に使いませんが、訪問着などちょっとよそ行きのものを着るときには使います。 汚れがつかないという実用面が一番の仕様理由ですが、なんとなく「正式感」があるからです。よそ行きの着物を着るということは、身なりをきちんと整えるということ。衣装敷を使って、普段よりちょっと丁寧に着付けをすることで、「今日はちゃんとしました」という気持ちになれます。 またその衣装敷を敷いているスペースの中に、準備をして着付けを完結させるのも、始末がよく美しい所作ですよね。ゴミや汚れ、普段の雑さから離れて、ちょっとオーバーかもしれませんが、清浄な空間を作る結界のようなものかもしれません。 これは本当に自己満足や自己暗示でもありますが、実はこういう「手順をきちんと踏みました」というようなことは、着付けにおいては大事な部分だと思います。 着物や帯だけでなく、着付けに使う道具にもいろいろな意味や想いが込められていると私は感じています。面倒なことは全部やらなくていい、気にしなくていい、ただ着ればいいというのであれば、着物に対してこんなに思い入れもなかったのではと思います。 もちろんこだわりすぎて「こうでなくてはならない!」と決めつけたり押し付けたりというのはまた違いますが、着物にまつわるエトセトラな知識をインプットして、私は今日こうしたいから、これを選んで身につけていますというアウトプットをしたいなといつも心がけています。 私の場合、衣装敷を敷くときは「今日はよそ行きの着物を、きちんと着るぞ!」という気合いの現れみたいなものでもあります。また、猫を飼っているので、着物をたたんだり広げたりするときにも使います。風呂敷なんかを代用もできますが、やはりパリッとした衣装敷を敷くと気持ちがいいし、盛り上がります。 この衣装敷、紙製のものが多いので使っていると結構破れたり汚れたりしてしまいます。高級和紙製はちょっといいお値段ですが、消耗品なので基本お手頃なお値段ですし、不織布やビニール製のものあります。私はセールの時期などにストック買いをしておいて、ちょっとくたびれてきたなと感じたら取り替えるようにしています。着付け教室用のがそろそろ替え時かな(^^;) そういえば衣装敷もってないな、とかくたびれているかも?と思われたら、セールのときが狙い目です(^^)新しいものはやっぱり気持ちがいいですよ。

胸のシワも解消★着物を着たら背筋を伸ばして!の巻

星わにこ
2021/08/25 00:00
あ、鼻がむずむずする(><)と思ったら、秋だなと思うブタクサアレルギーのわにこです。とはいえまだまだ着物を着ると暑いですね。 さてさて今回は「姿勢」の話です。先日着物ででかけたときに、鏡に映った自分に衝撃を受けたんです。背中を丸めていてすっごくおばあちゃんぽい!! しかも肩から胸にかけて大きなシワが‥‥。 あわてて背筋をのばして、袖口をひっぱって胸のシワを取りましたが、いやいや、気を抜くとこんな姿になっているのかとショックでした。着付けのときは姿勢にも気をつけているのでそこまででもないですが、無防備に歩いていたりするとかなりしょぼしょぼ。。。 家の中にいると、あまり動かないしスマホやパソコンを見ている時間が長くなるので気づいたら猫背の巻き肩ポーズになりがち。それでなくても年齢を重ねてくると背中が丸くなってきています。 鏡を見ながら再確認してみると、背筋を伸ばしているつもりでも歳をとってくるとそこまで背筋を伸ばしているように見えないことがわかりました。肩甲骨をぐーっと寄せて、「そんな!?」と思うくらい胸をはってやっと「背筋が伸びてるな」というかんじです。 胸のシワはよく「補整を入れて」と言われますが、姿勢の要因も大きいと思います。 補整も大事なのですが、ちょっと姿勢を見直してみるといろんなシワや着崩れが解消されます。お腹のぽっこりも、ちょっとお腹をひっこめる意識をすると変わりますよね。補整をしているけどいまいちという方は、姿勢を意識してみてください。 なんでもひとつだけで解決するということはあまりなく、小さなことの積み重ねでトータルで素敵に見えたりキレイに見えたりするんだと思います。 もちろん年齢なりの素敵さもありますが、やっぱり着物を着ておでかけしたときは少しでもキレイ見えしたいですよね~。 最近、高口里純先生の『グランマの憂鬱』という漫画を読んだんですが、めっちゃ素敵な着物グランマ(おばあちゃん)が登場します。若い方はもちろん年齢を重ねても背筋を伸ばして。姿勢を正して生きていこう!なーんて思っている今日このごろでした。