新着記事

アーカイブ

メールマガジン・会員登録はこちらから

秋の七草、月、雁、菊‥‥秋単衣を楽しもうの巻

星わにこ
2022/09/28 00:00
毎年夏には「暑い暑い!着物とか無理!」といいながら着物を着るのですが、さすがに10月も近くなってくると単衣が心地よく、「ああ着物が着たいな!」と思うようになってきます。 暑いと思わずに着物を楽しむことができることの、なんと快適なことよ。夏物ではない、軽い着物を手に取るのもなんだかうきうきです。 私の単衣は、仕事のときに着ることが多いのでだいたい紬、あとはセオαですが、もう少し気温が下がってくると厚手の木綿やウールにも手が伸びます。 今はなかなか寒くならないので10月もまだまだ単衣なことがほとんどです。昔は「単衣なんて、春1ヶ月秋1ヶ月しか着ないからいらないのでは」と言われたこともありますが、今は気候も変わって単衣を楽しむ時期が増えていますよね。 4月の後半から6月、9月10月と、4~5ヶ月の間活躍する単衣。普段に着物を楽しむ人たちにとってマストアイテムではないでしょうか。 だいたい20度~27度の間で暦と相談して単衣にするかどうかを決めます。その方によると思いますが、春は23度超えたら単衣、秋は27度になったら単衣、ぐらいを目安にしている私です。 秋単衣、とタイトルに書きましたが、その意味は「秋に着る単衣」(そのまんまじゃ)。秋しか着られない単衣を指す贅沢な意味もあります。 秋草(秋の七草の桔梗、萩、女郎花、藤袴、撫子、葛、すすきなどを組み合わせたもの) 紅葉、銀杏、ぶどう、柿、栗、うさぎ、月、雁、稲、菊‥‥ など、秋の文様を秋に着るのは、季節を楽しむ感があっていいですね。秋草は夏の終わりに来る夏物にもよく使われていて、涼しさを表現するのに使われることもあります。 もちろん、ぶどうやうさぎ、菊など1年中着られる柄もありますが、それを秋に着ることでより趣が感じらます。 柄だけでなく、色もやはり、春の単衣と秋の単衣は着たくなるチョイスが変わるもの。 私の場合は、着物自体はベーシックな色柄のもので、帯や帯揚げ、帯締めなどで季節の色を取り入れてコーディネートを変えています。 今年は、きもチャリ!もありましたし、箪笥の中身を大幅に見直して減量しています。手を通さない着物を減らすぞ!と意気込んております。 着ると思って残したものでも、着てみてやっぱり‥‥と思うものは思い切って処分していこうかなと。 早速いただきものの単衣、着ないでずっとしまっていたものに袖を通したら、上前の目立つところにシミが! しまいジミというやつでしょうか‥‥。少ない数で管理をきちんとしていこうと改めて反省しました。 あと‥‥やっぱり太ったかも‥‥なんか‥‥身幅が‥‥あれ‥‥。な~んてことも含めて、季節を感じています。(感じてないでなんとかしなくては汗) とにかく揃えることが楽しくてどんどん増やしてしまった着物ですが、減らす痛みを乗り越えて、大切に愛おしむフェーズに入れればいいなあ。 減らす減らすといいながら、春に記念で!と牛首紬を誂えましたし、あと、リサイクルで紗合わせを入手したんです。 でもそれまで「あれも欲しい!これも欲しい!いつか!」と思っていたものを、絶対欲しいと思っていたものをえい!!と手に入れたら、なんかすっかり物欲が満足してしまって。この中でなんとかするぞ、という気持ちになっています。 まあこれもね、出かけて素敵な着物とかを見てしまうと揺らぐんでしょうけど(笑)、それも人生ということで。 軽やかな単衣の時期を過ぎるといよいよ着物が一番楽しい袷の季節になりますね。この季節の移り変わりをわくわくと待ち遠しく感じるのは、やっぱり着物が好きだからでしょうか。 この秋は、着物ででかける機会が増えたらいいなと思う秋の日でした。

きもチャリ!2022ありがとうございました。の巻

星わにこ
2022/09/21 00:00
先週末8月のコラムでも宣伝させていただいた、きものチャティーバザール略して「きもチャリ!」を開催しました。 数十年に一度という大型台風が上陸ということで、都内でも電車が止まったり大変な中でしたが、なんとか無事終えることができました。 コラムを読んで、と寄付をくださった方やお買い物にきてくださった方もいて、本当にありがとうございました。サイズや状態もよいものをお譲りいただき、いろんな方のところにお嫁に出すことができました。感謝しております。 また改めてご報告しますが、売り上げは「ハタチ基金」に寄付させていただきます。ありがとうございました。 「その着物、どうする? 好きだから知っておきたい保管・メンテ・処分の方法」星わにこ著(河出書房新社)より 久しぶりの開催、しかもまだまだコロナ禍ということで、昭和な家スタジオを一緒にやっている瑞穂ちゃんと手探りで準備を始めましたが、走りだしたら今までボランティアで関わってくれていた友人たちがさっと必要なところで手伝ってくれ、荷受けから設営、販売から撤収まで非常にスムーズに行うことができ、ほっとしています。 拙著にも登場する友人たち、気持ちよく手を貸してくれて改めて感謝感謝でした。 宅急便は30箱、たくさんの着物を直接搬入にきてくださった方もいらして、狭いスタジオの中が着物の山に埋もれ、これは陳列は無理‥‥かも?と、私も夜しか眠れませんでした(寝とる)。 でも、設営には片付けコンサルタント、バザーの鬼、催事販売のプロなどなどが集結してあっという間にスタジオがお店に変身! 毎回値段をどうつけるかが悩みどころです。できたらたくさんの方のところで有効活用してほしいので、お手頃なリサイクル値段を心掛けました。 自分で気に入ったものを掘り出すのも楽しみですが、どんな着物かもわかるとお買い物も楽しいですよね。寄付してくださった方に、サイズやどういう着物です、ということがわかる「着物カード」をできたらつけてくださいと図々しくお願いしたのですが、それをつけておいたので、参考にしていただけたのではと思います。 また今回は高崎のきものサロン「にきたえ」の小峯さんが、地元でもきもチャリ!をやってみたいから勉強させて、とおっしゃってスタッフに入ってくださって、着物の目利きをしてくだいました。全てではないけれどこれはこういうところがよい着物、ということをお客様にちゃんと伝えて販売することができたかなと思います。私も勉強の機会をいただけて嬉しかったです。 お客様には試着で、似合うものを探してもらうのも楽しかった! 「日舞で使う」「落語を聞きにいきたい」とか「パーティ用に」とかの着用目的を聞いて、出した着物が気に入ってもらえるとめっちゃ嬉しかったです。お客さんとスタッフで、あーでもないこうでもないと言い合う時間も、いいものだな~と再認識。 どの着物も帯も「ああ~お似合いだな~」という方が連れ帰ってくださるのが、毎回不思議です。とにかくお値打ちなので、爆買いされる方も。近くのコンビニから宅配便を出した方も数名いらっしゃいました。わかる‥‥! 閉場時間には、腕利きの片付け隊が集結。あっ!というまに残った着物も箱詰めされ、NPO法人エコメッセさんに引き取っていただいて撤収完了。さらに着物として引き取り不可のウールなどをリサイクルショップ「秘密のさくらちゃん」に引き取っていただけることになりました。 こうして2022年のきもチャリ!プロジェクトは無事終了。あとは寄付などの事務作業を残すのみとなりました。本当にありがとうございました! 寄付して嬉しい、買って嬉しい、売り上げは誰かの役に立つ、と三方よしのイベントになったのではないかなと思います。ただ運営のマンパワーは相当必要なので、そこがうまくできるかどうかが課題かもしれません。 今回私が特に嬉しかったのは「片付けるきっかけになりました」とか「片付けてみたら、知り合いの人たちが意外ともらってくれました」などのお声をいただけたこと。まずは動いてみると、意外と解決の道が見えるのかもしれません。 もうすでになさっている方も多いかとは思いますが、コロナ禍でおやすみしてしまった、いろんな形で着物を活かして楽しむ機会がまた増えていくといいな~と思います。 改めまして、「きもチャリ!」へのご協力、ありがとうございました(ぺこり)。

夏の宿題?8月31日の浴衣と花火。の巻

星わにこ
2022/09/07 00:00
まだまだ暑い日はあれど確実に涼しくなってきて、あんなにしんどい夏だったのにちょっと寂しいと思ってしまうのはなぜでしょう。 我が家の高校生男子ですが、この夏のお盆に中学の同級生グループで花火をすることになったから浴衣を着せて、と言ってきました。 親の趣味で、小さい頃から着物を着せまくってきたけれど、小学校の卒業式は袴は嫌!とスーツを選んで以降、あんなに着物を着るのを嫌がっていたのに‥‥どういう心境の変化でしょうか。母嬉しい。 もちろん二つ返事で引き受けて、浴衣を用意しましたよ(親バカ)。友達も着せてというのでそれも二つ返事です。 いそいそ浴衣と帯、手ぬぐいと扇子を友達分も用意して待機。 しかし、当日。巨大低気圧が日本に向かっているということであえなく中止。あら残念、と思っていたら、なんと8月31日に再トライすることになったとか。 最終日、みんな宿題終わってないんじゃないの?と思いましたが、浴衣で花火をすることも夏の宿題みたいなものか、と。 コロナ禍でもう3年、お祭りも花火大会もなくおでかけもままならなくて。子どもたちが沢山の青春を楽しむ機会が失われてきたことを思うと、学校の宿題より優先かもねと思ったり。 お友達は浴衣が初めてだそうで「えっやばい!帯ってこんな下なんすか!やばい!足が!ハイキックするときはどうしたらいいんすか!」というので、着物を両手でめくってしてください、と言っときました(笑)「手ぬぐいってどうするんすか」「女子が座る時敷いてあげなよ」って言ったら「そんな80年代の少女漫画みたいなこと! え、かっこよ」って。さてハイキックはしたのか、てぬぐいは敷いてあげたのか。 男子は着せ甲斐がない、なんてよく言いますが、なになに男子の浴衣もとってもいいもんだ。 当日は無事お天気ももって、男子も女子も浴衣で集まり、手持ち花火を楽しんだ模様です。女子たちの浴衣はどうだった? 写真ないの?っていったら、見せてくれたけど暗くてなにもわかりませんでした(爆) 楽しかったっ!って笑顔で帰ってきた男子たち。また来年も浴衣で花火をしたり見れたりするといいねえ。そして浴衣も自分で着られるようになったらいいなあ。 当方浴衣でデート的な10代の思い出がないため(寂)、夏の終わりの浴衣と花火を想像しただけで、えらいエモい気持ちになりました。 できるなら、ちょっと無理をしてでもいろんなことをやってみるといい。人生ももう秋になってきた身としては、アオハル満喫の若者たちの姿が見られるだけでもほくほくした気持ちになったのでした。