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おはしょりぽっこりお腹は裾除けで持ち上げろ!の巻

星わにこ
2020/09/30 00:00
すっかり秋になりましたね。着物を着るのが楽しい季節到来です! なんといっても重ねて着る着物は暖かい。体を優しく守ってくれます。 さて、秋と言えば食欲の秋……。わかっていてもつい秋の味覚を見かけたら、食べ過ぎちゃう。私は今、栗ブームでモンブランを見かけると買って食べてしまう病なのです‥‥イカンイカン! ちょっと太ったなと思うと、着物を着たとき気になるのがおはしょりのぽっこりです……。細い方でも、年齢を重ねてきたらココだけ気になる……という方もいらっしゃるのではないでしょうか。 ウエストに補整を入れてくびれをなくすと目立たないといわれても、出ているものはひっこめられないと思っているアナタ、おはしょりぽっこりをなくす方法があるんです! もちろんウエストに補整を入れることは大事です。ウエストがくびれたところに紐をぎゅっと締めると、おはしょりは広がってしまうから。だからウエストとヒップがくびれていたら、そこには補整をしてください。 そしてもうひとつ。それは、お腹のお肉を持ち上げること。 持ち上げることで、おはしょり部分はすっきりします。えっ、持ち上げたお腹はどうなるの?と申しますと、上に移動します(爆)それじゃあなくならないじゃないの!と心配はご無用です。帯に隠れます。見えるところがすっきりすれば、細見えです! どうやって持ち上げるのかと申しますと、裾除けのサラシ部分を使います。通常サラシ部分はウエストに巻きますが、これをお腹に巻くのですっ。ただ巻くのではなく、端をしぼるようにお腹を持ち上げながら巻くのです。 お腹のぽっこり部分にサラシ部分をしっかりあてて、紐の付け根をナナメ上に持ち上げるように引き上げます。そうするとお腹が持ち上がります。持ち上がったお腹がそのままになるように、紐を後ろでクロスしてきゅっと引き締めて前で結びます。 引き上げるのがちょっと難しいなという場合は、サラシの紐の付け根を三角に折り返して縫っておくと、引き上げやすくなります。要は、お腹を包んで持ち上げやすい形にするわけです。ガードル裾除けといって、もっと引き上げやすい形状になっている裾除けも売られていますよ。  ポイントは、サラシをひっこめたいお腹の位置に巻くこと。お腹を持ち上げるようにして巻いて結ぶこと。ちょっときつい?と思うくらい引き締めてください。引き締めても、お腹は苦しくありません。これは、ナカナカ効きますよ!!  裾除けはしない、とか、そんなの面倒、とか言う方には、ウエストの補整とこのお腹の持ち上げを両方やってくれるスグレモノ商品もあります。それがたかはしきもの工房の『満点腰すっきりパッドスキニー』です。必要な部分だけにタオルなどをサンドイッチして、ウエストを埋めるようにお腹をひっこめてピッタリと巻いたら、上から手をいれてお腹のお肉を持ち上げて腰パッドのなかにしまっちゃいます。腰肉も同様に。自分のお肉で補整ができるというコペルニクス的発想です!   いくら着物が寸胴で着やすいからといって、細い方はともかく太ってたら、数少ない細いところにタオルなんか巻いて、太いところにあわせて補整していたら、どんどん太くなっちゃいますよね。そんなことっ!絶対したくないっ! 帯だって長さが足りなくなっちゃうっ! と思いませんか。それは私も思っていました。だったら痩せろという突っ込みは受け付けません! 今、今なんとかしたいのです!  着物だって洋服と同じ。お腹もガードルを履くように、上に持ち上げたらいいのです。上に持ち上げたお肉は、ウエストの補整にもなります。着物でもガードルを履いてお召しになる方もいらっしゃいますが、トイレのとき結構なテクニックが必要になります。まずは、裾除けの巻き方をちょっと変えてみて、サラシの力でお腹を持ち上げてみませんか。  お腹(丹田)を意識してサラシ部分をきちっと巻くと、腰骨も支えられるので、とても気持ちがいいのです。昔の湯文字と同じです。  お腹をサラシでひきしめて、おはしょりスッキリに変身しちゃおうぜ!

八掛の色で着物が変身!ちらりと見える裏地の美の巻

星わにこ
2020/09/16 00:00
「わたどう」ことドラマ「私たちはどうかしている」の登場人物の着物姿、話題ですね~! 公式ホームページにもそれぞれのコーディネートについて解説してあったりして、ふむふむ参考にしております。帯締めをたすきがけにしていたり斬新なアイデア(@@)も! 季節柄薄物がたくさん出てきますし、男子着物も山盛りで目の保養&勉強になりますです。 その解説の中に、「袖口から見える色と帯締の色をあわせた」という一文がありました。確かに位置も近いので、色をあわせるのはいいかも。その視点でコーディネートしたことがなかったので、目ウロコでした。袖口から見える色とは、つまり八掛の色ですよね。 八掛とは、袷もしくは胴抜き仕立てのときにつける裏地のこと。袖口2枚、すそ回し(衽、前身頃、後ろ身頃×2)で6枚の合計8枚の布です。 仕立て上がりの場合は選べないし、自分でお誂えをするときにも、訪問着には共八掛といってもうセットになっているし、なんとなくおすすめの色があったり、そんなに深く考えたことはないわ、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。 そもそも、裏地なので、袖口にちらりとこぼれるか、歩いたときにちょっと目に入るとか、そんな小さな面積しか表からは見えません。それなのに、八掛の色が派手とか若いとか、気に入らないとか落ち着かないとか、そんなことを感じるのも事実。 なぜだろう?と思っていたのですが、八掛って一番自分が目にするものなんですよね。着るとき、干すとき、畳むとき。なにより、着ている間中、自分の体にあたっている面積が大きな色なわけです。 自分自身が色の影響を、実は一番うけるのが八掛なのかもしれません。 大島の真っ赤な裾除けを、緑にとりかえたとき、ふう、と安心したような気持ちになったものです。 一般的には若い頃作った着物も40~50歳くらいで、八掛の色を替えると、長く切られるようになると言います。確かに、真っ赤や、可愛いピンクはちょっと気恥ずかしくなってくるお年頃。もちろん、それが大好きで自分が気に入っていれば替える必要はないと思います。だいたい年をとってくると緑とか金茶とかね、すすめられますね。 逆に言うと、自分がめっちゃ好きな色、ラッキーカラーとかを使った着物を着たらテンションがあがりますよね。調和しやすいのは表地の柄の1色を選ぶやり方。反対色やビビットなものなどを持って来てもハッとするものになります。 「裏勝り」というのは、表地よりも派手な裏地をつけることを言います。江戸時代、奢侈禁止令が出されて贅沢で派手な着物がNGになったとき、町人たちは裏地に凝ったというところから生まれた言葉。羽織の裏や、八掛を派手にしておしゃれを楽しんだというものですが、面白い柄の八掛をつけたりしたらまさにおしゃれ上級者。 八掛は、素材も様々。やわらかものには精華やパレスといった生地を、紬には紬八掛を使いますが、すべりのよい薄めの生地であれば代用することもできます。薄目の襦袢地なども使うことができるでしょう。 仕立て替えのときには、八掛の色を染め変えることもできます。 礼装の共八掛には模様が染められたりもしていますが、カジュアルなものにつける八掛はだいたい無地の1色か、ぼかしです。ぼかしは、ふきで外に色が見える部分だけに色がついていて、あとはぼかして内側は白い色のままになっているもの。表地より濃い色の八掛を使うときなどはぼかしにします。 なかなか自分でこれ!という八掛を選ぶシーンも少ないかもしれませんが、普段からもしこの着物の八掛の色を変えるとしたら‥‥なんて、想像しておくといざというときに「これがやりたかった!」という夢が叶えられる気分が味わえるかもしれませんよ! これ、考え始めると、自分の着物だけじゃなくて道行く人の八掛が気になって仕方なくなる病になります(笑)はやいもので、もう来月から袷のシーズン。普段着ではまだまだ単衣を愛用される方も多いとは思いますが、素敵な着物姿の方を見かけたら八掛もチェック! じろじろ見すぎないように要注意ですが(笑)あとは、雑誌やドラマでもチェック! コロナで着物を着る機会も減ってしまいましたが、ぼちぼち街でも着物姿の方を見かけるようになってきましたね。なにも用事がなくても、たまには袖を通したいなと思える着物のオンシーズンがやってきます。ご自分の袷の着物の八掛チェックもぜひ。もし擦り切れていたりしたら、思い切って取り替えたりなんかしてもいいかもですよ!

拇指球で歩け!草履でペッタン歩きにならない法の巻

星わにこ
2020/09/09 00:00
最近のあまりの運動不足に「歩くこと」をできるだけ増やそうと思い、自転車をなるべく使わないで歩いて買い物に行くようにしたりと心がけております、わにこです。お散歩のときは、畳草履(ビーサンみたいなの)や一本歯の下駄などを履いたりしていたのですが、歩き方を変えたら「ペッタンペッタン音」がしなくなった!というお話、よかったら聞いてください。 結構なベタ足の私、いわゆる浮き指で歩いていたために、足の裏には大きなタコができていたし、なんだかカックンカックン揺れて歩いていました。一度足の裏のタコを削ってもらったときに「歩き方を根本的に変えないとまた同じことになりますよ」と言われたのですが、なかなかなおらず。 草履を履いても、かかとが浮いて草履にうちつけられるために「ペッタンペッタン」という足音をさせていました。これ、ちょっとかっこわるいんですよねえ。 歩き方が悪いんだと頭でわかっていても、なかなか直せないというか、よくわからないというか。すっすっと歩く先輩がたに伺うと、ペッタンペッタン音がしないようにするには ・鼻緒をきつめにして、足の指でキュッと挟むようにして草履を履く ・すり足で歩く(かかとをあげない) ということは言われるのですが、この「鼻緒をきつめにする」と足の指が痛くて、私には無理だったんです。ゆるくすげてもらってずぼっと奥まで入れるのが楽だから、とずっとそうしていました。 浮き指で歩いているので、指に力もなく、鼻緒を挟むこともできなかったんですよね。 先日ちょっとご縁があって、ハイヒールの歩き方というのをレッスンしていただいたんです。私のペッタン歩きでは、ヒールのある靴なんてただ足が痛くなるだけでムリ100万点ってずっと思っていたのですが、姿勢に気をつけ、拇指球(ぼしきゅう:足の親指の付け根にあるふくらみ)に体重を乗せて、つま先から出して歩くと楽に歩けたのです。 これは、いわゆるウォーキングシュースでの歩き方とはまた違うのですが、いままで、かかとに体重が乗りすぎていたのだと初めて気がつきました。 そして体を揺らさないこと。少し背伸びをするような気持ちで、首を伸ばして視線を高くしてみると、視界が揺れない!(あたりまえ) すーーーっと流れるように歩けるではありませんか。 ビーサンも、拇指球に体重を乗せると指先に力が入るので、ペッタンペッタン言わない。一本歯の下駄は、そもそも拇指球に体重を乗せないと歩けない(笑)。 ずっと「鼻緒を指で挟む」ということができず諦めていたのですが、そりゃあかかとに重心がいってたら、指に力は入らないはずです。足の前側に重心がいけば、指にも自然と力が入る。 あーもっと早く知りたかった。。。 そうすると、今までずぼっと奥まで指をつっこんでいた草履がとたんに履きにくく感じます。拇指球に力が入れにくく、指が遊んでしまうからです。 これか!これがよく着物の達人がおっしゃる、「鼻緒が緩んで歩きにくい」というやつか! あと、かかとが少し台から出ててもよいというけど「はみだしとったら、台にあたってかかとが痛いやんけ」と思っていたのですが、かかとに重心がこなければ、そんなに痛くないのですよね。 だから、もし私と同じように草履で歩くと「ペッタンペッタンいうなー」とか、どうも素敵に歩けないとか、鼻緒はユルユルじゃないといやだし台も大きめじゃないといやだ、なんて思っていらっしゃる方がいたら、ぜひ試していただきたい。 拇指球で歩く! という意識をもって、すり足で。 これで自然と鼻緒もつかむ感覚が生まれるし、草履が足からあまり離れなくなるのでペッタンいわなくなるはずです。そして、素敵な歩き方ができるはずです。 姿勢や、重心、いろいろ細かいことはありますが、まずはこの意識だけでも結構変わりますので、お悩みの方はまずここから意識を変えてみてください。 さて、私も鼻緒の緩い草履を直さねば。。。

着物は、着ないから捨てるというものではないのだ。の巻

星わにこ
2020/09/02 00:00
もう終わらないのではと思えた夏も陰りを見せて、急に涼しさを感じるようになりましたね。季節ってすごいですね。 さてこのごろ、ご依頼があってぽちぽちと七五三の家族写真の撮影をしています。印象深かったのが、七五三の着物がお持ち込みが多かったこと。新しく買ったというのではなく、お父様、お母様が子供のときに着たものを、お子さんが着るというケースです。 その着物たちは、お手入れをして大切に仕舞われていたのでしょう。とてもよい状態のままでした。もちろん小物など30年近く仕舞われていたものでしょうから、新品のようなわけにはいきませんが、時間がよい味を出してくれていました。 離れて住むおばあちゃまから送ってもらいましたと、お父様の5歳の袴を息子さんが着て撮影。箱の中には産土様のお守りが入っていて、お父様が七五三の祝いをされたときの様子が思い浮かぶようでした。 また、お母様の着た7歳の振袖をお持ち込みのお客様も。大人の小紋を振袖に仕立て直したもので、どっしりと重みがあり、用意されたおばあさまのお気持ちがこもっているなあと感じました。お母様の訪問着もお持ち込みで。このときは、コロナでおばあさまに撮影を見に来てもらえないからと、新しい試みでZOOMで撮影の様子を中継させてもらい、喜んでいただけました。 自分が着た祝い着で、子供のお祝いができるというのは、着物ならでは。自分の子供が着て、またそれを孫が着るというので用意ができるおばあさまは、またどんなに嬉しいことでしょうか。昨年の七五三でやはりお母様のお被布をお嬢さんが着たときに、おばあさまがいらして、あの子が小さいときはこうだったなんてお話をされたときには、めちゃめちゃ感動してしまいました。その着物がどんな気持ちで作られたのか、それを着たときのパパやママはどんな風だったのか。そんな話をきくことも、また得難い体験です。 振袖や訪問着などもお持ち込みのものは、やはりどれも持ち主に似合います。なんといったらいいのかな、着物も「わたくし出番を待っておりましてよ!」というようなここ一番の輝きを見せるのです。畳まれた状態ではわからないよさが、パーッと見えてくるのです(私のお得意の妄想だけじゃないと思います!!力説!) レンタルでも同じように、選ばれた着物が、「この人に着てもらうのを待っていた」というように輝くのを見るときがあります。え、この着物、こんなに素敵だった!?とびっくりすることもしばしば。着物が、晴れの日をとびっきりに彩ってくれるのですね。 晴れ着というものは、そういうものなのかも。洋服は、3年もしくは1年着なかったら処分なんてよく言いますが、着物、こと晴れ着に関しては20年だろうが30年だろうが、もっともっと長かろうが、人生でふさわしいときに纏われる時を待っているもの。出番がきたとき、着た人を輝かせて、晴れ着を着たというその喜びと記憶を刻む装置なのかもなんて思っちゃいます。 着なきゃもったいない!って、普段から着るものでは、やっぱりないわけです。まあ、お遊びで着たりすることもあるけれど、それもそんなにあることじゃなく。やはり、ふさわしき時ふさわしき場で用いられる、特別な物。誂えた人や、関わった職人さんたちの気持ちがこもっているもの。数年着ないからといって、捨ててしまうものではないわけです。 もちろん、自分で新たに誂えるのもすばらしいし、やってみたいことです。それがまた受け継がれることがあれば、それはなんと嬉しいことでしょうか。長く年月が経たないとわからないところも、ぐっときます。 一方で受け継いだ物や、すでに持っているもの、譲られたものなど。いつか着てみたい。もしくは、誰かに着てもらいたい。そんな風に思えるものがあったら、大切に保管してほしいと思います。全部でなくていい。大事なものだけあれば。たくさんありすぎると、その価値に気づきにくくなるということもありますから。 出番があるかどうかわからない。そんなものをとっておいて何になるの?といわれるかもしれませんが、着物好きな皆様にならこの気持ち、わかっていただけるのではないでしょうか。 このごろ私は片付けにはまっていて、自分が死んだら全部ゴミだよななんて思いながら、買い直しのきくものはかなりな勢いで鬼捨てしているわけですが、写真と晴れ着ばかりはポイポイ捨ててよいものでもないと改めて思っています。 どちらも厳選して、大切にしておきたい。まあ、ひどい顔でうつってたりするような写真は捨てたりデジタルで遺しておけばいいかと思うんですけど、見て幸せになれる自分と大切な人の写真は紙焼きでおいておきたいなと思います。着物も同じ。いつか、それを見て懐かしむ自分と、誰かのために。 コロナで生活も変わってしまい、人生も後半戦となって、自分にとって何が必要なのか、そしていらないものなのかを考え続けている今、あらためて着物、こと晴れ着の力って、ほんとにすごいものなんだなとしみじみ感じている次第です。