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汁ハネ注意!お食事時の着物を守れ!の巻

星わにこ
2023/12/27 00:00
この年末年始は、ひさしぶりに忘年会、パーティ、新年会などなど、会食の機会が増えているのではないでしょうか。そして、パーティときたら着物。せっかくなので着物で出かけたいですよね! そんなうきうきワクワク楽しみにしていた忘年会を風邪をひいてすでに2つも行けなかったりしている間抜けな私です。先週はコラムもお休みをいただき申し訳ありませんでした。 新年会こそは!と今から楽しみにしているのですが、着付け教室の生徒さんが、外食したときにお醤油が跳ねて着物を汚してしまったんです、というお話をしてくださいました。いつもは気をつけているのに、あっ!と思った時にはぽちゃん、とお醤油のお皿にお料理を落としてしまい、さらにそんな時に限って同席の方がお皿になみなみとお醤油を注いでくださってたりして、胸元に点々とシミが‥‥。 わかる‥‥。スローモーションで脳内再生できる、大変リアルなお話でした‥‥。 シミはついてしまったら、乾いた布やティッシュでそっと水分をとって、あとはプロに任せるのが吉とわかっているのに、いざその場では慌ててしまって、つい濡れたおしぼりで叩いてしまったんです、とも。わかりすぎます‥‥。次の日すぐにお手入れに持っていったけれど、痛い出費でしたとおっしゃっていました。 そしてそんな時に限って、ナプキンとかをしていないものなんですよね‥‥。帯にはかけていたけど、胸元はノーガードだったそう。 せっかく着物でおしゃれをしていったのに、食事のとき汚れたら困るからといってがっつりエプロンやナプキンで隠してしまうのはちょっと寂しいですよね。でも、お食事には危険がいっぱい。汁ハネ超危険御三家のトマトソースのパスタ、カレーうどん、ラーメンはさすがに着物では食べないかもしれませんが、比較的安全と思われる和食にも醤油皿という伏兵がいたとは‥‥。 それから、ワイングラスを筆頭とした飲み物のグラスが超危険です。自分がこぼさなくても、他の人がこぼしたり、ぶつかったりという被害もあり得ます。私も帯がだめになってしまったことがあります。特に飲み会は本当に注意です。 じゃあどうすればいいのよ!というところで、私は特に守りたい着物のときは撥水加工されている大判のおひざかけを着物の衿にはさんで、胸元、帯から膝までガードしています。撥水風呂敷「ながれ」を使うことも。この「撥水加工」が肝です。せっかくガードしていても、水分が沁みてしまっては悲しいので‥‥(悲しい思いをしたことがあるらしい)。 胸元と帯だけでなく意外とお膝も、ころんと食べこぼしが落ちてしまうこともあり、危険なのでございます。あと、撥水加工の大判のものは雨が降ってきた時など帯を 洗える着物などのときは帯さえ守れればいいや、と帯だけガードすることもあります。 私のやり方だと、右胸がガードできてないし、正解とは言えないと思います。そもそも汚してしまう時は汚してしまうわけですが、そのあたりは「できること」「したいこと」「見栄え」などを天秤にかけて自分なりの落とし所を探ってくださいね。 私のお茶の先生は、お稽古の合間の食事のときなどは「汚れちゃうから割烹着を着なさい~」というくらい。私も子供に着物を着せている時とかは、必要以上に心配してしまうかも。 我々シニアに近づいて参りますと、ばっちり「エプロン」というのをしちゃうと、介護みが感じられてしまうことも‥‥。 食べこぼしとは話がずれますが、振袖だとお袖も心配! 30年前のきもの雑誌の広告で、お食事やお手洗いでも安心の「振袖ぽけっと」という商品がありました。確かに振袖での立食パーティとか心配しかないですよね。うむ、確かに安心。でも、でも、振袖の意味が!(笑)。ちなみにあのコーリンベルトのコーリン株式会社の製品で、現在も販売されています。 気をつけるにこしたことはないですが、どこまでガードするかは場の雰囲気もありますし、臨機応変にいきたいですね。会食の増えるシーズン、お互い無事に乗り切りましょう! 本年も、拙いコラムを読んでくださって本当にありがとうございました。気がつくと10年を超えて続けさせていただいていることに驚き、改めて感謝です。毎週書いているので常に着物ネタに飢えております。なにかあったら教えていただけると大喜びします。来年は健康に気をつけてお休みなしで無事完走できるようがんばりたいと思いますのでお見捨てなきようどうぞよろしくお願い申し上げます。 皆様、よいお年をお迎えくださいませ。

大人の振袖、楽しみませんか?巻

星わにこ
2023/12/13 00:00
師走は忙しいけれど着物をきて出かけたくなるシーズンですね。忘年会、クリスマスパーティ、観劇‥‥。ちょっと華やかなコーディネートを楽しみたくなります。カジュアルや和洋ミックスもいいけれど、年末年始はがっつり重めの晴れ着を着たくなります。 人生も、節目には装いたいもの。 誕生日、七五三、入学式・卒業式、十三詣り、成人式、結婚式、いろんな自分の記念日‥‥。年をとれば、還暦から長生きの節目のお祝いもあります。私は今50代半ばなのですが、周りの友人達も勤続30年とか銀婚式とか子育てが終了したとか、退職、転職、そして還暦とそれぞれの自分の節目を迎えています。 先日、カメラマンの友人と運営している写真スタジオ「昭和な家スタジオ」で大人の振袖撮影会を企画して参加者を募集したところ、あっという間に満員御礼。合計10名様の大人振袖を着付け&撮影させていただきました。みてみてこの輝く笑顔!(黒い洋服のすっぴんは着付け担当の私でございます(^^;)めっちゃ嬉しそう) 自分の節目に記念で撮ろう!という人、楽しそうだからという理由で参加した人などいろいろでしたが、いやいや大人の振袖姿、マジで見応えがありました。 普段スタジオでは成人式や十三詣りなどの振袖の着付けをしています。若いお嬢さんたちの振袖姿はそれはそれは花の蕾が綻んで咲き始めるような美しさと可愛らしさがあり、本当に素敵です。振袖は未婚女性の第一礼装とされており、さすが、その時期に着るための着物だなと納得です。 一方未婚既婚はともかくとして、昔から三十振袖四十島田という言葉があるように、三十才をすぎても振袖を着るなんて若作りでしょ、といわれてきました。私も40歳の頃からパーティや友人たちとの集まりなど「自分の楽しみ」として振袖を楽しんできましたが、「世間的にはよろしくないかもだけど、内輪でたのしむならいいじゃない」とちょっと背徳感(笑)ありつつの装いでした。 でも、この10年ほどで随分と変わってきたように思います。2019年に東京キモノショーで「大人の振袖ショー」として還暦の女性たちが振袖を着るショーがありました。観覧していたのですが、若作りということではなくその年齢に相応しい着こなしで、それはそれは素敵でした。そして、それぞれの振袖に対する想いも紹介され、その人の歩んできた人生に思わず涙がこぼれてしまったり。終始感動でした。 関連記事:還暦で着る大人振袖☆東京キモノショー2019の巻 還暦で振袖を着る!というのは、一つの選択肢として浸透してきている気がします。 昭和な家の大人の振袖撮影会も、着付ける方もパワーをもらえる楽しさ&テンションマックスでした。 ご自分の振袖を着る方も、レンタルで着る方も、もうね、大人ですから、自分に似合うものをバシッと選ばれるわけです。それぞれが、来し方を振り返りつつ満を辞して着る振袖の美しさと格好良さ。そして、可愛らしさも。いろんなことを乗り越えて、凛と咲く大輪の花のようでした。 20歳の時に着た白い寿光織の振袖を黒に染め替えて、アンティークの丸帯にあわせた方。お嬢さんのために購入した振袖だけど、実は自分がこういうのが着たかったのかもと嬉しそうに袖を通される方。レンタルで大好きな色を選んで、見事に着こなす方。 テンションが上がって、参加者みんなで大奥ごっこが始まったり(爆笑) 一人での撮影もいいんですが、人数が集まると、さらに楽しさが加速するかも。コーディネートから相談に乗って、着付けまで。私も本当に楽しかったです。 撮影会の様子は着物雑誌『月刊アレコレ』221号でも取材していただきました。特集記事を読むと、自分も振袖が着たくなってきます。 還暦記念、勤続記念、退職記念、子育て完了記念、今までの自分にご褒美記念などなど理由はなんでもいい。 20歳だから、というような理由ではなく、自分のライフステージの変わり目に、自分で決めて自分で着る振袖。大人の振袖、もっと着る人が増えたらいいな。昭和な家スタジオでも随時受け付けております♪(宣伝かよ) 確かに気力も使うし、準備も費用も結構かかる。だけど、着た時の満足感とやった感は半端ないです。大人もぜひ振袖パワ―、ここぞというときにお試しください。

前結び用帯板で伊達締め省略がさらに胸元天国だったの巻

星わにこ
2023/12/06 00:00
先月のコラム「マジでおすすめ、帯枕の紐を下に引き抜くと天国!の巻」にたくさんの反響をいただいてびっくりしています。たかはしきもの工房アドバイザーさんの考案と書きましたが、他にも同じやり方を考えていらっしゃる方がたくさんいらしたようです。みんな少しでも楽になりたい!という気持ちは同じですよね。 私は胸元を締め付けられると苦しく感じてしまうタイプで、一度すずろベルトを胸紐がわりに巻いて着付けしてもらったときに、苦しくて呼吸が浅くなり倒れてしまったことがあるほど。胸紐もしたくないですし、伊達締めもできるだけしないし、帯枕の紐は帯の下から引き出して胸元にあがってこないようにしますし、肌着の紐も低い位置で結びます。 うそつき衿で着物を着ていますが、ウエストでするベルトも上に上がってくるのが嫌なので、肌襦袢の紐にからげて上に上がってこないように対策しています。 自分がそうなので、皆多かれ少なかれ同じだと思っていたのですが、「伊達締めをしないと落ち着かない」とか「胸元をきつく縛るのが好き」という方もいて、このあたりも個人の好みなんだなあと感じ入っている次第です。 それでも一般的には鳩尾(みぞおち)は人間の急所。ここに紐の結び目があたって食い込んだりすると苦しいというのはあると思いますので、なるべく胸元には紐が多くならないように他装のときなどには気をつけています。 さてそんな私が最近はまっているのは「前結び用帯板」。帯を回しやすくするために、ぐるっと胴体を一周するように装着する帯板です。 前結びをするようになったというわけではなく、帯は後結びをしているのですが、この胴をぐるっと抑える帯板をすると、伊達締めを省略しても胸元が浮いてきにくく着崩れしにくいのです。暑い時期にはちょっと無理かも‥‥と思いますが、もうこの時期は大丈夫!! 前結び用帯板はいろんな種類がありますが、固いタイプより、後ろがシャーリングややわらかい素材になっているもののほうが楽に感じます。最近発売されたたかはしきもの工房の前結び用帯板はメッシュなので、夏もいけるかも(自分は秋から使い始めたのでまだ未検証です)。 これの何がいいかというと、伊達締めをしないので胸元がすごく楽&帯枕の枕ひもを下に引き抜く技をするときに、帯板の下に紐類がなにもないので帯の下から手を差し込むだけで、的確に枕紐をつかんで引き下げられること。 伊達締めや胸紐をしていると、間違ってそれをひっぱって解いてしまう事故が多発していたので、これは快適です。らくちん胸元フリー感覚を求めている方がいらしたら、前結び用帯板、ぜひ試してみてください!