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帯留をネックレスでも楽しもうの巻

星わにこ
2022/07/27 00:00
いやー夏だけど、湿気がすごくてなんだかもう夏バテを起こしているわにこです。年々夏に弱くなっている気がする‥‥。 前回の帯留を透明ヘアゴムで安定させる技は、結構反響をいただきました。帯留と帯締めのマッチングやぐらぐら問題で悩んでいる人は多い! あと、帯締めを結んでしまってからなんかぐらぐらするなあ、っていう時も、帯留をつけた状態で金具のところに透明ヘアゴムをあとから8の字にかけるだけでもぐらぐらには効果があります。ほんとにいい仕事してくれるので、あ、と思ったときにはぜひお試しください。 コーデのアクセントに使いたい帯留ですが、皆様いくつくらい持ってらっしゃいますか? 私はこの間数えて見たら25個ありました。普段帯留をあまりしない派なんですが、一目惚れして買ったものやいただきものなど、気づけば結構な数に。 せっかくあるのに、めったにしないのでなんだかもったいない気も(貧乏性)。 でも先日、憧れの着物先輩が帯留をチョーカーにしているのを拝見。とっても素敵だったので真似してみました。 帯につけているときは小さく感じても、顔の近くに持ってくると結構大振りで、パンチのきいたアクセサリーになりました! チョーカーにうまく通らない金具のサイズのものでも、透明ヘアゴムの技を使えば大丈夫。 チョーカーだけでなく、ネックレスのチェーンの長さを変えることで印象も変化しますね。少し長めのチェーンだと、ボリュームがある帯留でも扱いやすく感じます。カジュアルめの帯留めは革の紐に通すと相性がいいです。 年齢を重ねてきて、大振りのアクセサリーも似合うようになってきたので、チャレンジしていきたいところ。あとは素肌の上もいいですが、タートルネックの上とかだと馴染みやすいかも。 和風だったりアンティーク風だったり、あまりネックレスにないモチーフのものだったりすると面白みが増しますよね。 若い頃はアクセサリーなんて全然興味がなかったけど、おばちゃ、いえマダムになってくるとちょっと大きなアクセサリーで華を添えたいなあと思うようになりました。キラキラが足りなくなってくるので補充したくなる自然の摂理(?)でしょうか。 帯留はうってつけの大きさとインパクトがあるのでぜひお手持ちのネックレスチェーンやチョーカーにあわせてみてくださいませ。革紐なんかでもかっこいいですよ!

透明のヘアゴムで帯留めをフィットさせるの巻

星わにこ
2022/07/20 00:00
今年は早々に梅雨があけたと思いきや、雨もまだまだ多くて蒸し蒸しする日が続いていますね。 でも、街で夏着物や浴衣を見かけると涼風が吹くような気持ちがします。着ている本人は暑いとは思うんですけどね。夏の着物姿は本当にいいものです。 最近は女性の浴衣の帯結びも多様化してきて、半幅帯も文庫や矢の字だけでなく、三重紐を使った変わり結びや結ばない帯結び、ベルト風の帯、大人のへこ帯などいろいろなバリエーションがありますね。思い思いに楽しむ浴衣姿はみているだけで楽しくなります! また最近は半幅帯にも帯締めやベルトをする方が増えています。夏用の帯締めはレース組のものがありますが、特にこだわる必要はなく、半幅帯に飾り的に使うのであれば細い紐を使ってもいいし(靴紐を使っている方も!)可愛いものを楽しめるチャンス! そして、ワンポイントに帯留めも楽しみたいですね。帯留めも本当にいろいろあって、プチプライスのものから、アンティークの工芸品までさまざまです。季節やおでかけ先、コーディネートにあわせてチョイスしたい! 帯留めを使うだけでなく手持ちのブローチを流用すると、プチプライスで好きなものをいろいろ楽しめてしまいます。ブローチ用の帯留め金具を使うと便利です。でも、結構金具の位置が合わなかったり金具が大きすぎてぐらぐらしたり。 あとは帯留めでも、帯締めの太さによって使えたり使えなかったり。帯締めが細くてぐらぐらしたり、帯締めが太くてこの帯留めをしたいのに! 通らない!いん!いん!ってなったことありませんか? そこで使えるのが、透明のからまないヘアゴム(ウレタンゴム、モビロンゴム、PU(ポリウレタン)ゴムなど呼び方はいろいろ)です。 1)帯締めが細くてブローチ用金具や帯留めがぐらぐらするとき 帯締めが細くて帯留めがぐらぐらしてしまうときは、帯留めに帯締めを通してから帯留めの金具に8の字にゴムをかけると、帯締めにフィットして安定します。 2)帯締めが太くて帯留めが通らないとき 逆に帯締めが太いとか、三分紐じゃない普通の帯締めに帯留めを通したいというときは、金具にゴムを通して、そのゴムに帯締めを通せばOK! とにかく使える透明のモビロンゴム、100均などで入手できます。劣化して帯留めが落ちるといけないので、こまめに取り替えましょう。輪ゴムや普通のゴム紐よりも目立たず丈夫でおすすめです。 帯留めと帯締めの組み合わせの可能性をぐっと広げてくれますよ。

着物に割烹着の歴史を調べてみたよの巻

星わにこ
2022/07/13 00:00
昨年春から、『ゴールデンカムイ』にどっぷりハマっている私なんですが、取材が非常にしっかりしていることで知られているこの漫画。建物も実在のものがモデルとなっており、ロケ地ではないけれど建物めぐりをするのもファンの楽しみとなっています。 建物のモデルの三大聖地と言われているのが「北海道開拓の村」(北海道)「明治村」(愛知県)そして「江戸東京たてもの園」(東京)です。なかなか北海道・愛知までは足を運べないのですが、江戸東京たてもの園に先日行ってまいりました。 ここには、尾形の父の花沢中将邸(外観)のモデルの三井八郎右衞門邸、鉄砲店や背景として使いまわされている小寺醤油店など、古い建物が多くあります。歴史的な建物としてはもちろんですが、ゴールデンカムイだけでなくいろんなアニメや漫画にもモデルとして登場するので、それを見て回るのも楽しみのひとつ。 <以下単行本派の方ネタバレ注意> たてもの園には最終回で主人公杉元の幼馴染、梅ちゃんが女将として働く生花店もあります。 ここに登場する梅ちゃんの姿は、蝶々の着物に割烹着。絵を見ると蝶々は臈纈染ぽいかんじ。蝶の文様は蛹から美しい蝶となり羽ばたいていくということから、成長を祝う吉祥文様として愛されています。彼女が選んだ道を象徴しているかのようです。流石、野田サトル先生です。 そして着物の上に割烹着を着ていますが、馴染み深い昭和時代のレースやフリルがついているタイプではなく、シンプルな丸首のものです。そしてちょっと丈も長めでした。 この衿の形に興味が湧いて、割烹着について調べてみました。割烹着のルーツは1902年(明治35年)に赤堀割烹教場(現赤堀料理学園)で女性が和服で調理しやすいように考案されたものと言われています。やがて日本女子大学の実験着や作業着としても取り入れられ、一般に普及していきました。1907年頃に東京・銀座の花屋の女将がしていてもなるほど、な装いですね。 形はさまざまだったようですが、明治時代に調理場や学校で働く女性が使う作業着として誕生し、その便利さから大正時代には一般家庭に普及しました。その頃は丸襟が多かったようです。 昭和初期にはカフェーの女給さんの制服として、袖なし変形にレースや裾にフリルがつけた可愛いものが誕生し、フリルやレースがついたものが流行しました。 やがて戦争中には、「国防婦人会」の制服として、「着物競争を防ぎ、かつ活動を便ならしむ」ものとして採用され、割烹着に襷掛けの姿は愛国婦人の象徴となった時代もあります。この頃の衿の形は三角で、着物の衿合わせの形にそっています。レースなども贅沢は敵だということで姿を消します。 戦後は「お母さんの作業着」として、和服だけでなく洋服の上からでも腕までカバーできるエプロンとして家庭で愛用されました。これがいわゆる今、昭和生まれの私が想像する、角衿にレースがついていて裾はフリルになっている大量生産型の割烹着です。 同時に小学校の給食の配膳着にも使われるようになり、こちらは今でも子供たちが使っているところが多いと思います。自分が着たことより、子供が月曜の朝洗ってない給食着を出してくる悪夢を時々思い出します(笑)。 昭和でも時代が下がると、着物が一般的でなくなり田舎のおばあちゃんがチェックの丸首でアップリケとかついたやつを農作業や家事のときに着用するイメージに変容していきます。袖までカバーできるから、汚れ防止には一番いい形なんでしょうね。 確かに着物で家事やなにか作業をするときは、ぱっと羽織れる割烹着や水屋着があると便利です。今のように、なんでも汚れたらすぐに洗濯できなかった時代に重宝されたものでしょうね。割烹着にもその時代の流行があり、現代では和服で着る場合は裾が長く、シンプルで汚れが目立ちにくい色のものが好まれているようです。 なんだか、普段に割烹着が着たくなってきました。もう少し涼しくなったらトライしてみようかな!と思う単純なわにこでありました。

岐阜の鮎菓子「若鮎」まるけの茶会をしたよの巻

星わにこ
2022/07/06 00:00
『若鮎』という和菓子をご存知でしょうか? カステラ生地に求肥を包んで鮎に見立てたもので、鮎漁が解禁される夏の時期に和菓子屋さんの店頭に並びます。 鵜飼で有名な岐阜が発祥と言われていて、この季節になると食べたくなるお味。阿佐ヶ谷のうさぎやさんで買った若鮎の写真をSNSに載せたら、岐阜の鮎菓子を持っていくからお茶会をやりましょう!と、岐阜の友人・鳴海彩詠さんから連絡が。 どうせなら、いろいろな若鮎を食べ比べしよう!ということになり、上京の日程にあわせて10匹の生鮎菓子を用意することに。 2人ではもったいないからと、友人たちにも声をかけて集まって、若鮎品評会兼お茶会を開くことになりました。題して「若鮎まるけ茶会」(まるけ、は岐阜弁で「だらけ」「尽くし」という意味です)。 我が家は和室でお茶の練習ができるようになんちゃってお茶室仕様にしてあって、コロナ前は先生に出稽古をしていただいてお茶を楽しんでいましたが、それもできなくなってはや二年以上。 単なる物置になっていたところを必死で片付けて、なんとか人をお招きできる状態に。茶道具も、どこになにを仕舞ったっけ? なにがいるんだっけ? という状態でしたが、なんとか風炉を設えました。 鮎がテーマということで、お軸も鵜飼、花入も鮎籠を用意してもらい、着物のコーディネートも水と鮎のイメージで。彩詠さんは鮎の帯揚げ(!)、私は一度もしたことがない鮎の帯をすることにしました。 当日はもちろん楽しいのですが、この用意する時間というのが、お茶の楽しみの一つなのですよね~。気の合う人とのやりとりも、本当に嬉しいものです。 そして迎えた当日は、お昼に本当の鮎と朴葉寿司、美濃の地酒『百春』をいただき、まずは干菓子で薄茶をいただきました。 その後、生の若鮎10種(!)を計測、美濃和紙の巻紙の上に並べて、みんなで食べ比べ。 どれもそんなに変わらないのではと思っていましたが、並べてみると意外とみんな個性的! 色も形も結構違います。 だいたい15センチ前後、40gくらいが中間値でしょうか。体長5センチのちび鮎から、特注で作ってもらったという、体長20センチの大鮎も(求肥は三倍!) お味も、結構お店によって違うのです。皮も洋菓子ぽいものからどら焼き風、固め、ふわふわと個性があり、求肥も硬さや風味にそれぞれ特徴が。たくさん食べすぎて、順位などすっかりわからなくなってしまいました(笑)。 いただいた鮎菓子は下記の通り(順不同) 奈良屋本店「あゆ 」←皮は硬め、求肥は甘めでミルキー 関市虎屋「小瀬の若鮎」 ←やわらかふかふか、生っぽい求肥、どら焼き感 玉井屋本舗「登り鮎 」←皮はもっちり、蜂蜜入り求肥はねっとり 此の花亭「若あゆ」 ←スポンジカステラっぽいふわふわな皮、求肥はさらっとしている 岐阜虎屋本店「長良川あゆ菓子 」←洋菓子っぽい皮、柔らかい求肥、頭に求肥が少ない 甘泉堂本店「小さな小さな鮎菓子」←紫蘇入りの求肥 いろんな味がある 末廣屋本店「鮎 」←求肥が四角く、皮と独立したかんじ 仁太郎「あゆ」←しっかりめの皮、丸い胴体にゆず入りのぷるぷる求肥 豊寿庵「あゆ川 」←固めの皮、求肥は四角っぽくもちっと弾力がある 亀甲屋本舗「うかい鮎 」「うかい鮎特注20cm」←瓦煎餅ぽい薄い皮、甘い求肥 (特注の皮は厚い) 干菓子は 玉井屋本舗「やき鮎 」←歯応えがいい 奈良屋本店「かがり焼」←素朴な美味しさ 甘泉堂本店「サブレ 鮎ビーナス」←パッケージもレトロな洋菓子風 田中屋せんべい総本家「鮎焼き」(みそ入り大垣せんべい)←この発想なかった!固い!! 岐阜虎屋本店「香ばしい干菓子あゆ 」←見た目がクッキーみたい 山本佐太郎商店「あゆピー」←柿の種が鮎の形に!! なんと贅沢な鮎尽くし!! ああでもないこうでもないとお味見するのが本当に楽しかったです。 食べきれずに自宅に持ち帰っていただいた分もあり、味の研究は宿題にも。ちなみに我が家では、高校生が丸呑みにして平げてしまいました(笑) ほとんどが岐阜市内のお店ですが、わにこの故郷中津川の仁太郎のものも。やはり馴染みがある分、美味しいと思いました。今回は求肥のものばかりでしたが、餡が入っていたり、求肥に肉桂やしそ、ゆずなどで風味づけしてあったり、いろんなものがあります。 岐阜では、鮎菓子を買いまわるためのタクシープランもあるそうです。5月に東京駅で岐阜の鮎菓子が買えるイベントもあったそう。 夏の間のお楽しみですので、岐阜にいかれる方はぜひ本物の鮎と鮎菓子をお楽しみいただきたいです。また、ぜひお近くの和菓子屋さんで見つけたらお味見してみてくださいね。 めちゃめちゃ暑い日でしたが、久々に着物を着てお抹茶をいただき、お菓子を楽しみ、本当によい1日でした。お茶も着物も、簡単にといっても準備はいろいろ面倒で大変。でもその面倒で大変なのが、やっぱり大好きなんだろうなあ~と再確認した1日でもありました。付き合ってくださった皆様、感謝です。 Special thanks! 鳴海彩詠 Photo by 渡部瑞穂