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暑気払い。夏の鱧(はも)尽くしで京都気分の巻

星わにこ
2026/07/29 00:00
先日お茶のお稽古仲間の皆様に誘っていただき、暑気払いに参加してきました。京都に本店のある「三友居」の白金店で鱧尽くしのランチという贅沢なプランに、自分にご褒美とばかりに飛びつきました(笑)。 お恥ずかしながら鱧はほとんど食べたことがなく、憧れの食べ物。関西ではメジャーですが、関東ではあまりお目にかかりませんよね。谷崎潤一郎が好み、その最後の晩餐であったと言われる「牡丹鱧」や、皮一枚を残して細かく包丁を入れる超絶技法である鱧の筋切りなどについて知識として知っている程度でした。 京都の祇園祭は「鱧祭り」ともいわれるほど。今が旬ということで、祇園祭のコンチキチンという鉦(かね)の音をBGMに聴きながら、京都気分で涼やかな室礼の個室で美味しい鱧のコースをいただきました。 憧れの牡丹鱧、鱧の湯引き、鱧寿司、鱧巻天ぷら、鱧茶漬け……とまさに鱧尽くし。御酒もいただいてしまいました。このほかに鮑とずいきの酢の物の前菜、京茄子のいやあ贅沢贅沢。柾目の美しい木の盆に次々とサーブされていく江戸切子、錫、緑交趾などなどの器も素晴らしく、椀の蓋には露が打たれていたり、添え物の葉っぱが梶の葉(平安時代から七夕の短冊に用いられたもの)だったりと、盛り付けも素晴らしくてうっとり。 鱧のほどよく脂身のある白身は上品で、でもしっかり元気が出るお味。調理法によってふんわりほろりから、しっかり噛み締めまでバラエティに富んでいて鱧、満喫いたしました。 お店の箸袋に見慣れぬ二文字の漢字があり、一文字目は「羹(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹く」のあつものかな?二文字目は知らない、なんて読むの?と話題となってお店の方に聞いてみると「こうかく」と読むことを教えてくださいました(漢字はイラストを参照してください)。特に前述のことわざは関係なく「あつもの、吸い物」を指す言葉だそう。今は辞書にも載っていないのだそうです。その場でキモトモがネットで検索してくれたところ、1992年の『大漢語林』(大修館書店)には記載されているようですが、帰ってから自宅の1995年の『大辞林』(三省堂)第2版には載っていませんでした。ひとつ賢くなりました。目にも口にも脳にも栄養が行き届いて、今年の夏ものりきれそう! お出かけにあたってせっかくなので絽の江戸小紋を用意したのですが、当日37度とゲリラ豪雨予報でワンピースで出掛けてしまった私です。だがしかし、ご一緒したキモトモの半数が着物で、絹紅梅や小千谷縮、セオαなど涼やかな姿に惚れ惚れ。やっぱりマダムランチは着物だよね!  夏着物は着るハードルが高いからこそ、着られたときの喜びは最高なんですよね。あと脱いだ時の開放感も最高(笑)。着ていけなかったコーデをここで供養させていただきます。 絽の江戸小紋(洗えるやつ)、アンティークの絽の帯(鱧じゃなくて鮎)、瓢箪の帯留(6つの瓢箪で無病!)でこの季節ならでは(鼻息)と考えてみました。考えてみるだけでも楽しかったです(弱)。今回は洋服ででかけても帰ってすぐ寝ちゃうくらいぐったりだったので、体力をしっかりつけて、残りの人生夏も着物を楽しみたいとしみじみ思いました。 皆様も機会があれば、そして気力体力が許せば、夏着物を楽しんでくださいね!

浴衣は「昼は紺地、夜は白地」「昼は白地、夜は紺地」どっち?の巻

星わにこ
2026/07/22 00:00
先週末は、仕事場の近くの中野・新井薬師の盆踊りでした。キモトモ6名で集まって、浴衣姿で繰り出しました。踊りの輪は浴衣率が高くて、揃いの浴衣の高校生くらいのグループがいたり、お子さんはカラフルな浴衣や甚平に光るヘアバンドとかをつけていてとっても可愛かったです~! 私はひさびさにワニの浴衣を引っ張り出してきて、黒の子猫柄の帯で、黒っぽいコーデ。会場でも藍や青など、大人っぽい色の浴衣が多かったのですが、白地の浴衣が一際会場で明るく映えていてとっても素敵でした。 私が昔よく言われたのは浴衣は「紺地は昼、白地は夜」。これは昼の強い日差しの中では白地は透けやすく濃い色の方が安心という意味と、夜は白地のほうが明るく映えるということだと習いましたが、この言葉に深く納得いたしましたね。 一方私はニンジャスタイル?で、すっかり夜の闇に溶けておりました(笑)。目立ちたくないとき、隠密行動には最高かもしれません。。 逆に江戸時代には「昼は白地、夜は紺地」とも言われていたそうです。これは昼は白地が涼しげに見えてよいし、夜は藍染の紺地のほうが蚊などの虫を寄せ付けずよいという説。「昼は紺地、夜は白地」も江戸時代から言われていたという説も。そもそも浴衣は湯上がり着、普段着として着用されていたものですし、これが決まりというわけではなく、こっちがイケてる、いやこっちがかっこいい、みたいな話で、どちらでも好きな方でよいのかなと思います。 屋外での盆踊り会場では白地が素敵だったし、また夜でも明るい場所では紺地が映えるかもしれません。もうここはお好みですよね。 今は音頭だけじゃなくてなんでもあり? YOASOBIの曲で踊ったり、正統派の東京音頭、中野音頭、ハワイアン音頭、炭坑節と踊って帰ったのですが、帰りかけたところで中野名物ボンジョヴィ(盆ジョヴィ)の「Livin' On A Prayer」がかかり、もう少し踊っていればよかった!ってなりました(笑)。盆踊りは同じ動作の繰り返しなので、踊っているうちにどんどん楽しくなりますよね。 暑いけれども少し涼しい風も吹いていて、夏の夜を満喫いたしました。 その後もひとしきりおしゃべりなどして、解散。日中のおでかけや街中では、浴衣でも足袋を履いたり衿を入れたりきちんと感が欲しい年齢ではありますが、ご近所に気楽な浴衣姿でおでかけも楽しいな~と思った夜でした。 ちなみに「Livin' On A Prayer」が名物?の「盆ジョヴィ」こと「中野駅前大盆踊り大会」は今年は8月1日(土)・2日(日)だそうです。今年は行ってみようかな? 皆様もご近所の盆踊りに浴衣でおでかけ、いかがでしょうか。

体型のお悩みにはコレ!着物の補整のおすすめ本2冊の巻

2026/07/08 00:00
相変わらずAIにあれこれ聞いてみたりしている私ですが、同年代の友達も調べ物だけでなく人生相談、ダイエット、手相占い、家計関連、画像加工、ちょっとしたおしゃべりなどなど仕事以外で日常に活用している人もたくさんいて、そんな使い方できるの!なんて情報交換もしたりしています。ChatGPT派、Gemini派、Copilot派、まだまだ新しいものがいっぱいでてきて、それぞれ好みがわかれていて面白いです。 私はChatGPTにミッチー風で受け答えしてとリクエストしたら、音声会話でもめっちゃタメ口になったので敬語で話しましょう!と言ったら、結構堅苦しい敬語の後に最後にベイベー、ってつける変な返答になってきました(笑)。 一方、着物のことなど聞くと結構「それは違うのでは」という返答も多いので、あまりあてにしていないし、そもそもネットで検索してもせいぜい平成以降の情報しかあたれませんし、その情報が正しいかどうかもわからない。その上、結構な確率でこのコラムが表示されたりして「おまえ(私です)には聞いてない!」ということもしばしば(滅)。YouTubeも勉強になりますが、なにしろ見るのに時間がかかって結局ほしい情報じゃないこともあったり。先日岸惠子さんのエッセイを読んだこともあり、やっぱり本だよね! と原点回帰している今日この頃です。 もちろん着物の常識もだんだん変化していますし、YouTubeや新しいグッズなどを見るのも楽しいけれど、やはり着物を着ている人が多かった時代の本は今読んでも「なるほど」と思うことが多いです。みんなが抱えるお悩みは結構普遍的で、着付の技術はいろいろな本が出ているので、自分の好きな着付の先生の本を読み込むのも楽しいですよね。 意外とないのが、補整の本。着物を着るには土台をしっかりすると意外と着付のおなやみがなくなります。体型別の補整のお悩みについては、体と着物の関係がよくわかるこの2冊が私のバイブルです。 ・『骨格と着つけの関係―着くずれしない着つけ』笹島寿美(2007年 神無書房) ・『手ほどき七緒 「たかはしきもの工房」髙橋和江さんの十人十色の「補整」術』髙橋和江(2018年 プレジデントムック) この2冊は、補整ってなんぞ?という疑問に鮮やかな解答を示してくれる本なので、もしまだ未読の方がいらしたらおすすめいたします! さらしやタオル、補整用品まで使い方だけでなく「どうしてそういう補整をするのか」ということがよくわかります。 先日も雨の日にパラパラと読み返して「なるほど!」と目から鱗がいっぱい落ちました。本を買ったときにはわからなかったことも、着付を続けてきた今だからこそまたわかるようになったこともあり。理屈が頭に入ると、自分がそれが必要かどうか足し算引き算もできるようになります。 着物本は古いものも面白いのですが電子書籍になってないものが多いので、図書館だけでなく古本屋さんでも目を光らせていると掘り出し物があったりしますよ。スマホやパソコンもいいけど、たまには本もおすすめです! 過去記事: 岸惠子さんの「魔物・きものの魅力」を読んでの巻 古本屋さんでゲット☆昔の着物雑誌が面白かったの巻

めちゃくちゃ素敵!新日本髪で還暦振袖。の巻

星わにこ
2026/07/01 00:00
毎週毎週、とりとめもなく「オトナの着物生活」についてよしなしごとを書き連ねておりますこのコラムですが、担当さんから「15年目に突入ですよ~」と言われてびっくり!えっ、15年ですかっ! 始めたのはついこの間のことのようなのに‥‥。いろんなことがありつつも、続けてこられたのも読んでくださる皆様のおかげです。本当にありがとうございます。 万屋のような私ですが、友人と和装フォトスタジオも運営しております。着物で記念写真を撮影してほしくて立ち上げたのですが、それも気づいたら14年目。43歳で着物を仕事にするぞ!と着付を習い直して、着物ラブの気持ちだけでここまでこられたことに改めて驚きと感謝でいっぱいです。 さて、そんなフォトスタジオの人気撮影メニューが「還暦振袖」「再演(大人の振袖)」なのですが、ありがたいことにネットで検索してきてくださるお客様が増えています。いくつになっても、振袖が着たいという気持ちわかります!! 実は私は成人式に振袖を着なかったので、振袖デビューが40歳(2度目の成人式と言い張って着た)。その後なにかと理由をつけては着ています。なにしろ振袖は着たときのテンションが、ただ袖が長いだけなのにまるで別次元。訪問着では得られない高揚感があります。 昔は未婚女性しか着られないもの、また「三十振袖四十島田」という言葉があったように未婚であっても若いうちしか着られないと言われたものですけれど、今はパーティやお楽しみであれば自分が着たいと思えば着られる時代。 区切りの年に、振袖を着てお祝いして欲しいな!と思い、そして自分たちもぜひやりたいな!と作った撮影メニューですので、お客様がニコニコで撮影を楽しんでくださると本当に幸せを感じます。 先日、「日本髪で振袖を着て還暦を祝いたい」というお客様が来てくださいました。スタジオでは昔ながらの日本髪ではなく新日本髪になりますが、オプションメニューもあり。成人式に親御さんが誂えてくださった振袖で記念写真を撮影。 成人式や卒業式のほかにも、40代のとき国際的なパーティで着る機会があり、そのときにせっかく着たからと会場の写真館で記念撮影もされたのだとか。今回そのお写真をお持ちいただいたので、同じポーズで撮影もしました。 40代のお写真もとっても美しいですが、今この時の表情が本当に生き生きしていて、素敵ではないですか? 撮影中も「自分じゃないみたい、とても気持ちがあがっています、嬉しい!」とおっしゃってくださっていたのですが、そのウキウキが私たちスタッフにも伝わって、お支度から撮影まで、本当に本当に楽しい時間でした。 自毛で念願の日本髪にされて、キラキラの振袖姿から、帰りはこれまた素敵な白大島の単衣に素晴らしい紅型の帯に着替えをされて、そのまま神社にお参りに行かれて、銀座に寄って「素敵ですね」とお声かけもいただきましたとご連絡をくださいました。喜んでいただけて、このお仕事やっていてよかったな~としみじみ。 私も来年いよいよ還暦。体調の不安やもの忘れに増えるシワと、若いころのようにいかないことが増えてため息が出そうになりますが、でもこんな素敵なお祝い写真のお手伝いをさせていただくと、年を重ねるのも楽しみになります。素敵な見本を見せていただけて感謝です。 あまりに素敵だったので、自分も近年楽第一でショートヘアだったのですが、美容師さんに聞いたら肩下くらいまであれば新日本髪結えますよ!と言われたので、還暦祝いに向けて伸ばすぞ!!!と決意しました。 60年という年月を生きてきて、誰しも決して楽しいこと嬉しいことばかりではなかったはず。水戸黄門の「人生楽ありゃ苦もあるさ」という歌も、子供のころは「そんなもんかね」としか思いませんでしたが、今は「涙の後には虹もでる」、ほんとそう!って心から思います。晴れやかな笑顔を見られると、心の底からおめでとうございます!すごい!素晴らしい!って思います。成人式の振袖とはまた違った、美しさがここにあると思います。 諸事情によりスタジオは来年でクローズすることになってしまったのですが、還暦撮影メニューは同年代だからこそできるヘアメイク・着付・撮影のお祝い隊として出張撮影ができたらいいなと思っております。そして還暦振袖(前後3、4年は誤差の範疇)が世の中に認知されて、もっとたくさんの皆様に楽しんでいただけたらいいなと思っております!