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やっぱり絞りの浴衣が好き!一生モノの魅力の巻

星わにこ
2026/08/26 00:00
めちゃくちゃ暑くなったかと思うと、豪雨だったり、なかなか夏着物に手が伸びていなかったのですが、8月に入って盆踊りやイベントの浴衣着付のお手伝いが続きまして。みなさんの素敵な着姿を見ていたら、浴衣が着たくなっちゃいました。 体調のこともあって、タンスを開けてみたもののちょっと腕組み。でも、17年前に作った有松絞りの藍色の浴衣を触ったら、これがふんわりとやわらかで。これなら着られるかも、って思い切って着てみたら。 やわらかいし、シボで肌にピッタリ張り付くこともない。ふうわりと体に沿って、とっても楽。麻の着物ほど風が通る感覚はないけれど、その分汗をかいてもしっかりと吸ってくれるのが心地よし。いつもは入れる衿芯も省くと、さらに体を柔らか~く包んでもらっているようで、疲れも少なく楽しいおでかけとなりました。 着物初心者のときに憧れて絞りの浴衣を作ったけど、いまどきのカラフルなものではなく超スタンダードな藍色を選びました。その後華やかな発色のセオアルファや、綿麻の雪花絞り、小千谷縮などなど、いろいろ欲しいものや着たいものが目白押しで、いつのまにかちょっとオーソドックスすぎる絞りの浴衣にはあまり袖を通さなくなっていました。 ちょっとおとなしすぎるというか、飽きちゃったというか。でも、改めて袖を通してみたら……ちょっと待って、なにこれ超快適!! そして年齢的にもそのベーシックさがしっくりくるようになっていて、私の中で絞りブームが再燃しそうです。 絞りの最大の魅力といえば、括り職人さんがひとつひとつ糸で細かく括ったあのポコポコとした立体的なシボですよね。括りでしか表現できない模様もさることながら、その凹凸があることでほどよく肌から離れて、でも汗を吸ってくれる。 見た目も着心地もふわっと柔らかくて、大人の肌を優しく綺麗に見せてくれる効果もあります。 一つ一つ絞られた、手仕事が作り出す優しい模様は、プリントの浴衣には出せない大人ならではの贅沢だなあとしみじみ感じます。 また、絞りの凹凸で生地にふんわりとした伸縮性(ストレッチ感)あるためか、体に優しく沿って着崩れしにくいです。シワも気にならないし、ノーアイロンでオッケー!というかむしろアイロンで絞りを潰したらだめなので気をつけて! また、うそつき衿と足袋をプラスすれば夏着物風にもいけちゃいます。「浴衣だとカジュアルすぎるかも……」という場所でも大丈夫。 夏の名古屋帯などキリッと締めれば、ホテルランチや美術館などにも着ていけます。買ったばかりのころに夏着物風に着てデパートに立ち寄ったら、ものすごく丁寧な接客を受けて驚いたことがありました。絞りパワーすごし。 1着で「夕涼み用の気軽な浴衣」と「ちょっとお出かけ用の夏着物」の二刀流ができるなんて、素晴らしすぎませんか? まさにお手入れしながら何年、何十年と付き合っていける「一生モノ」。着込むほどに柔らかく肌に馴染んでいく過程も愛おしい。普通の浴衣よりもちょっと贅沢ではありますが、頑張って買った17年前の自分をちょっと褒めてあげたい(笑)。 やっぱり絞りは、夏の浴衣の女王だわ‥‥と改めて思ったのでございました。

紐の結び目のごろつきに気をつけろ!の巻

星わにこ
2026/08/19 00:00
もうすっかり暦の上では立秋、秋に向かっているわけですがまだまだ夏真っ盛り。花火大会や盆踊りのある日などは浴衣姿もたくさんみかけて、嬉しくなります。私も、ちょこちょこと浴衣着付けのお仕事もいただくシーズンです。 今年も盆踊りの浴衣着付をさせてもらったのですが、お客様に着終わってから「なんかあばらのあたりにあたって痛いです」と言われ、コーリンベルトも使ってないしなんだろう?と脱ぎながら確認していくと犯人は、浴衣下スリップを結んで止める紐でした。一番下で、体にあたるところなので、ここの結び目がごろついてしまうと痛いですよね。 自分で結んだところなので‥‥と恐縮されましたが、しんどい思いのまま過ごさず伝えてくださってよかったです。再度着付けのときには、その紐は結ばずに対処しました。下着の紐って意外と固かったりして、こういうこともあるんだなと勉強になりました。要チェックやで!(スラムダンク)。 下着の紐だけじゃなく、腰紐や伊達締めの結び目も痛いところにごろっと当たってしまうと、痛かったり気になったりすることがありますよね。よくあるのはコーリンベルトの留具かあばら骨にあたる、というものですが、紐の結び目もなかなかの攻撃力があります。 蝶々結びにすると結び目が大きくなるので、片蝶結びにしたりからげることで結び目部分を小さくする工夫をするといいですよね。 高さも重要です。あんまり胸元高くぎゅうぎゅう締め付けると苦しいですし、補整のクッションの上に紐をあてるとしっかり締めても苦しくないです。 あと、よくお伝えするのは、体の中心をさけて結んでください、というもの。鳩尾のラインに結び目がくると、最初はそうでもなくてもだんだんとその存在がボディーブローのように効いてくることがあります。 私は胸紐の結び目は右側の衿の上にくるところをおすすめしています。生地が重なっているので体にあたらないし、微力ながらそこに結び目があることで衿の浮きを押さえてくれるからです。ちりも積もれば……ですけれど、「なぜ自分は結び目をここにするか」ということも、自分なりに納得する理由があると着付けに自信が出るような気がします。 なんとなく~とか、今回はこうなっちゃった~ということもあるかと思いますが、着付けって自分はこう思うからこうしてる、ということの積み重ねだと思います。 たまにぽーっと着付けをしていて、なんだか気崩れちゃうな、と思うと「あれ気をつけるの忘れたわ」と思い当たる節があったりします。 着付けはとにかく手数が多いですし、着物や帯によっても違いもあるので毎回同じ仕上がりにはならず、いつもパーフェクトにはなりませんが、だからこそ、上手く着られたときは嬉しいもの。結び目ひとつと侮ることなかれ。場数をこなすこと、そして漠然とではなく自分なりに考えて着ることが上達の秘訣なのかなと思います。

半幅帯考2。昭和から令和で1メートルも長く進化!?の巻

星わにこ
2026/08/12 00:00
先週から半幅帯についてあれこれ想いを馳せているわけですが、2000年ごろに「矢の字」「吉弥結び」の名称が入れ替わった?という仮説。この頃、半幅帯の長さが長くなったのも関係しているのかな?と思い、つらつら考えてみました。 昭和の半幅帯って、結構短いし幅も狭いですよね。だいたい3m20~50cmで、幅も約15cm(四寸)です。これだと文庫結びか貝の口がせいぜい。 実家のタンスによく入っている、単衣のウールの半幅帯(端っこがフリンジになっているやつ)など、無地だったりして本当に浴衣、普段着用というかんじです。博多帯も短い。 普段着ですから、割烹着などで隠れますし手早く結べる長さだったのですね。 これが平成の2000年代になってくると、3m80cmぐらいの少し長い半幅帯で結ぶリボン返しやみやこ結びなどといわれるようなアレンジ結びが登場します。この頃はもう着物は「おでかけ着」ですから、おしゃれ優先となり長さが長くなってきます。 また平均身長も伸びて、従来の四寸幅ではちょっと狭くてものたりないことから、16.5cmから17cmの広幅に変化していきました。 令和の現在では半幅帯は、カジュアルな単衣帯だけでなく、リバーシブルで使える小袋帯と言われる4m~4m40cmの長尺帯が増えています。もちろん広幅ですから、前から見ると名古屋帯も顔負けの豪華さがあるものも。パタパタ結びやレイヤー結びといった三重ゴム紐などを使った飾り結びも登場して、帯締め帯揚げなどもしたりしておしゃれなお出かけ用に定着。 逆にこのマキシマム路線に反して、2018年ごろからayaaya先生による「結ばない帯結び」という、折って巻くだけで簡単に着物を着よう!というカジュアル路線も登場。むしろこの結び方(というか装着方法?)だとそんなに長さもいらないということで2mほどの短い半幅帯も登場したり、ベルトみたいに巻くだけの帯ベルトやサッシュベルトも登場したりミニマム化も進んでいます。 これはおばあちゃんのタンスに入っていた、1周分しか巻けないような前だけ見せ帯(簡易帯)の進化系とも言えるかも。 基本がカジュアルだからこそ、かくあるべしというのもゆるっとしていて、その時代に合わせて愛用される形が変化している。半幅帯を自作する人も多いですし、結び方も自由だし、半幅帯こそ好きな長さで楽しめるアイテムなのかも。 正解を求めるより自分流でもっと遊んでいいのかな、と思った2週にわたる半幅帯考でした。

半幅帯「矢の字結び」と「吉弥結び」の違いの巻

星わにこ
2026/08/05 00:00
暑い時期は半幅で気楽に普段着物や浴衣を楽しみたい!けど、意外と半幅の帯結びってお太鼓みたいに形の正解がわかりづらいのでどうしていいかわからない~という方も多いのでは。 我々大人世代は文庫結びやリボン結びなど上に重心があるものよりも、少したれがあってぺたんこな矢の字結びなどのほうが好ましくもなってきます。アシンメトリーで視線も分散しますし、帯締めも使うしお尻もカバーしてくれるので、着付レッスンでもよくリクエストされる結び方です。 で、またよく聞かれるのが「矢の字結び」と「吉弥結び」、さらに「貝の口」「後見結び」の違いってなんですかというもの。 貝の口はたれがなく、男性の帯結びと同じくぎゅっと結ぶので帯締めをしなくても落ちません。でも、他の3つは帯を折り紙のように折って形をつくるので帯締めで抑えないと安定しないという違いがあります。 で、半幅帯におけるその3つの違いって何?という話なんですが、これがまた、よくわからないんですよね。矢の字と吉弥はたれの角度が違う?とか後見結びは右上に出る角が帯の全幅で、大きめ?とか、曖昧な印象しかなかったので、今回ネットや書籍で調べてみました。 AIは「矢の字のたれはまっすぐ、吉弥はななめ」とまとめていましたが、いやいや私の認識は矢の字のたれは斜めなんですが?と思い、両者をサーチしてみると、結び方動画なんかを見てもタレの角度は斜めとまっすぐで意外とばらばら。 最近よく出ている「貝の口、矢の字、吉弥の違い」という動画では、矢の字はたれを最初に作って残りで結び目を作っていく形式(たれがまっすぐ)、吉弥は結んだ時のあまりでたれを作る(だからななめ)とのこと。 自分が最初に習って矢の字だと思っていたものは、これだと吉弥結びということになる?と思い、色々調べてみたのですが、マジで混在していました。 私のぼんやり認識では「矢の字は貝の口にたれをつけたもの、吉弥は江戸時代の引き抜き結びの応用でたれを先に作るもの」と思っていたので、ぬぬぬ、と家中の着付け本を出してきてみたところ、見事に混在。私が着付を習い始めた平成初期の本では、この認識があっていました。 1992年『きものレッスン』(主婦と生活社)や1993年『定本着つけと帯結び百科』(講談社)、2007年笹島寿美先生の『笹島式決め技の極意 帯結び100選』(世界文化社)1997年綾秦節先生の『賢いきものの楽しみ方』(世界文化社)ではこの分類でした。 でも、2016年発行のオハラリエコ先生の『ふだん着物のらくらく結び 半幅帯と兵児帯』(世界文化社)ではこれが逆に。2018年の石田節子先生の『5分で結べる! 簡単らくらく 半幅帯のお洒落』(世界文化社)でも逆になっており、さらに吉弥結びと思われるものを「斜矢の字」として紹介されていました。手持ちの大久保信子先生の書籍には矢の字が紹介されておらず、どちらかは不明。 どうも2000年代にこのあたりの認識の逆転があったのではないかと推察。2000年代というとインターネットの発達や2004年に雑誌『七緒』の創刊がありましたから、そのあたりが大勢の転換点なのかなと思います。ちなみに動画で紹介されているわれらが銀座いち利の女将も2000年代以降、つまり21世紀方式(勝手に命名)です。 で、やはりなにが正解ということはなく、自分が「矢の字」と思ったら矢の字や、ということでいいのではないかなと思いました。私は古い人間なので、20世紀方式で「矢の字」って思っていますが間違いではないと。みんな違ってみんないい。 こんな時代の流れの背景をちょっと知っていると、豊かな気分になれますね。意外なところで時の移り変わりを感じたものであります。帯は世に連れ、世は帯に連れ……。 そもそもカジュアルなものなので、半幅帯は好きな形で「私のオリジナルよ~」くらいの気持ちで楽しめたらいい。「それは間違いよ!」と自分のものさしで図りすぎない寛容さが肝要かと。お後がよろしいようで。