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やっと着られた!紗袷でしあわせ~♪の巻

星わにこ
2024/06/26 00:00
紗袷とは、絽と紗、もしくは紗を二重(無双)に仕立てた着物のこと。透ける生地が二重になっているので、微妙なモワレ模様になり、また表側の生地はだいたい無地で裏側の生地に模様を描くことでそれが表地を通して透けて見えるのがとても美しい着物です。 長年憧れ続けてきたこの「紗袷」。以前もこんなコラムを書いたことがあります。 関連記事:いつかは欲しい!憧れの紗袷(しゃあわせ)の巻 戦後に新橋の芸者さんが5月末の「東をどり」の際に着てから流行したといわれ、5月末から6月頭のほんの10日間ほどしか着ることができないとも言われます。 年に10日間しか着るチャンスがないなんて、すごくスペシャル感ありますよね。今では、5月末から6月、また9月の単衣の時期には着用OKじゃない?と言われていて、秋の柄の紗袷もあります。 生地もさることながら、縫製もとても難しく、縫える和裁師さんも減っているそうです。いつかは着てみたいと思いつつ、お値段もですが着用期間の短かい贅沢な着物であることも相まって指をくわえてみているだけだったのですが、昨年リサイクルで自分のサイズピッタリのものを見つけ、えいやー!と購入してしまいました。 透ける裏地の絵柄が柳葉の模様で、表地にはドロンワーク(織糸を束ねたりして穴を作り透けた模様を作る刺繍の技法)で水玉があらわされていて、葉っぱの上を水滴が転がる様な、なんとも可愛らしい意匠にも一目惚れ。 あまりに好みすぎて、買った時点で満足しすぎてしまい、大事に仕舞い込んでいました。今年は東をどりを観に行ったのですが、そこでまさに紗袷を着ている方をお見かけし「ここに!!着てくるべきだった!!」と気付いたけれど後の祭り。その後もなかなか着る機会がなく6月も終わりに近づいて‥‥となったとき、着る機会が訪れたのです。 昨年から、元気が出るお金相談所の安田まゆみ先生に監修いただいたり、先生の著書にマンガを書かせてもらったりとご一緒させていただいた本が3冊。いずれもなんだかばたばたしてしまい、打ち上げもしてなかったのですが、みかねた共通の友人の片付けコンサルタントのさかもとりえさんが「出版祝いをやりましょう!」とセッティングしてくれたのです。 りえさんは、拙著『その着物、どうする?』でも着物の収納のアドバイスをしてくれた頼れるお片付けのプロ。私に安田先生を紹介してくれた恩人でもあります。今回は5月に出た本『もめないための相続前対策』にこんなブログも書いてくれました。 全然着物とは関係ないんですけど、今後相続に関係ある人は知識として持っていたほうがいい情報が詰まった本です。私はマンガを担当させていただいて、いろいろ考えさせられました……。 そして、その出版のお祝いということで、銀座のアルマーニのレストランでシャンパンでアペリティフ‥‥という「ここで紗袷を着ないでいつ着るの?」という素敵シチュエーション。ですよね? ですよね? 暑いけど、夕方からだったのでなんとかがんばって着て行きました。 素敵なお二人と、素敵なお祝いの会。この間までの私だったら「暑いから……」とか言い出しそうでしたが、東をどりのときに「これからの人生、着物を着る機会は有限。機会を逃したらもう次はないかもしれない」と強く思ったのです。 そしていつも着物はそれを着た時のことを記憶するアルバムみたいなもの、と言っているのですが、まさに「紗袷でしあわせ」な記憶を残すことができました。あの時、これを着ていたな、というのはいつまで経っても忘れないものですよね。しあわせなデビューができた紗袷の着物、また素敵な機会が巡ってくること(6月か9月でなんとか単衣が着られる気温の時という限定条件有)を願って‥‥。 紗袷に絽の帯、スッキリと帯揚げなし 6月なので真珠の帯留で 暑いの面倒だの言わないで、せっかく持っている着物は、箪笥から出して活躍させてあげたいなと思ったことでした。

着物リメイクで贅沢なシルクのふんどし!?の巻

星わにこ
2024/06/19 00:00
またちょっと断捨離ブームがやってきて、年初からいろいろなものを処分しています。過去いろいろ着物のリメイクにチャレンジしたこともあった私ですが、最近はもう針に糸を通すのも一苦労で、全然重い腰があがりません。なので、反物を切るだけでなにかに使えないか考えたりしています。 関連記事:浴衣地をバスタオルがわりにしたらよかったの巻 友人が「いらない着物があったらリメイク材料に欲しい」と声をかけてくれたので、ほいほいもらってもらったのですが‥‥。そのうちの古い正絹の胴裏が、なんとこのたび「ふんどし」に生まれ変わって私のところに戻ってきました!!! ふんどしにハマっているという友人、「笑えるくらい、純白で花嫁っぽいのよ~!」と送ってくれたのですが、開けてびっくり。ふんどしなのに、正絹で光沢もあるから、そして白いから、本当に花嫁衣装みたいなんです(爆笑) シルクのゴージャスさは、ふんどしになっても失われないのですね。すごいです。 ふんどしといっても、1メートルくらいの布を巻き込んで使う越中ふんどし型ではなく、ウエスト部分がゴムが入っていて、その輪っかを布がゆるやかに繋いでいるいわゆる「もっこふんどし」型。 もっこふんどしは、パンツとおなじように履けばいいのでとてもらくちんです。本来のもっこふんどしは、紐で結ぶのですが、いただいたものはゴム式だったので、まさにパンツ感覚。 で、パンツと何が違うかというとピッタリ密着しないので、すーすーします。以前、たかはしきもの工房の綿テコ(パンツなしで装着)を試したとき感じたあの解放感。あの解放感が蘇りました! 最初は心許ないかなと思ったのですが、暑くなってきた今日このごろ、とにかくムレないので、とても快適です。これはやみつきになるかも‥‥。 調べてみると2010年台からこの女子ふんどし愛用者が増えているそう。日経クロストレンドには2016年に「“ふんどし女子”が急増中?ハマる理由はこれだった!」という記事もありました。ふんどし専門店もありますし、Youtubeにはふんどしの作り方動画もたくさんありました。 日中履くのに抵抗がある場合でも、夜だけでも、しめつけから開放されることで冷えやむくみが改善され、体によいという説も。鼠蹊部の締め付けがないので、リンパも流れやすいのだとか。 しかも今回作っていただいたふんどし、なんと正絹でございます! シルクでございます奥様。光沢、肌触りも素晴らしく、熱伝導率が低いので夏涼しく冬あたたかい。通気性もよく人間の肌の成分に近い素材で、静電気がおこりにくく、お肌にとても優しい高級素材です。 そういえば昔、バブルのころ、シルクのパジャマをもらって大事にきてたな~!なんて思い出しました。もったいないと仕舞っておいて使わずに終わるくらいなら、どんどん活用したらいいですよね。 身につける度に正絹の肌触りのよさがダイレクトに感じられる肌着にリメイクは、とってもいいかも!と思いました。まさに御蚕纏(おかいこぐるみ)の言葉そのままになれちゃいます(笑)。気になった方は、ぜひお試しください!

なんと連載コラム12年目突入ありがとうございます!の巻

星わにこ
2024/06/12 00:00
風が吹こうが雨が降ろうが、担当さんに「まだですか?」とお尻をたたいてもらいつつ毎週毎週書いているこのコラムですが、前回でなんと12年目に突入しました。2013年6月に、いち利モールのイベントに参加したのがきっかけで前代担当者さんにお声をかけていただき始まったこのコラム。まさかこんなに長い間続けさせてもらえるとは誰が思ったでしょうか。 12年といえば干支も一周。当時生後二ヶ月だった子猫も今や11歳のシニア目前。小学生だった子どもも大学生になりました。アラフォーだった私ももう還暦が視野に入ってまいりました(白目)。 これは一体誰かの役に立ったりするものだろうか‥‥と思いながら、着物のお話(主に自分の失敗談)を書いてきたわけですが、何度か忌引き病欠はさみつつ、こんなに続けられたのもひとえにメルマガの素敵な一言コピーを見て、ポチッと読みにきてくださる読者の皆様と、ギリギリ原稿を神アシストでアップしてくださるイケメン担当さんのおかげでございます。 制作裏話となりますが、初めは手書きでペン入れした原稿にパソコン(フォトショップ)で色をつけていました。途中でクリップスタジオというペイントソフトを導入し、全部デジタル制作に。2021年からはiPadでずっと描いていて、iPadではコラム+コミックエッセイ2冊と実用書のコミック漫画を2冊分描きました。表面に貼った書き味がよくなる保護シートが削れてぼこぼこになり、ついに先日Apple Pencilが昇天してしまいました。 そこで憧れの液晶タブレットを購入したのですが、まだいまいち使いこなせず、手書きにパソコンで色付けという原点回帰を起こしています(爆)ペンタッチが変わったら「やっと使いこなせるようになったわね」と暖かい目で見ていただけたら嬉しいです。いまのところ液タブはサブモニターになっております(爆)。 へっぽこワンパターンイラスト(自覚あり)で本当に恐縮なのですが、見てくださった皆様に少しでもわかりやすくお伝えできたらいいなと、自分なりに努力を忘れず、精進してまいりますので、今後ともご愛顧いただけると幸いです。 そんなコラムをせっかくなので思い出深いものを駆け足で振り返ってみたいと思います。1年に1本振り返っても11本(驚)。お時間ありましたら読んでくださいませ。 ●(2013)着物イベントでキモトモを作っちゃおう!の巻 私がこのコラムをはじめるきっかけになった着物イベントのお話です ●(2014)わにこの女優体験記★「細雪」エキストラに出演しちゃいましたの巻 なんと!あの名作「細雪」で明治座の舞台に立ったわにこ!オーディション体験記もあります。 ●(2015)憧れの!十二単体験しちゃいました★の巻 今年は大河ドラマで話題の装束。貴重な経験をさせていただきました。 ●(2016)見やすくコンパクトに収納☆名古屋帯のくるくる巻畳みの巻 これで名古屋帯をどう畳むか問題から解放されました! ●(2017)おでかけイベント、着物で観劇♪明治座「細雪」に行ってきました!の巻 なんと!イベントで一緒に皆様とおでかけさせていただきました。後に出演者さんにお話を聞いたら、2階席最前列にずらりと並ぶ着物姿のわたしたちを見て帯揚げとか直してから舞台に出たとおっしゃってました(笑) ●(2018)国王陛下謁見は訪問着で!?の巻 この年は映画「バーフバリ」にどハマりしていました(笑) ●(2019)還暦で着る大人振袖☆東京キモノショー2019の巻 年をとるのは素敵なことですと思った「大人振袖」 ●(2020)超簡単。清潔な晒(さらし)でつくる縫わないマスクの巻 コラム史上一番アクセスがあったそう。コロナ禍、いろいろ必死でした。 ●(2021)因(ちな)み柄と推し着物というジャンルの巻 推し着物も、着物の楽しみのひとつ! ●(2022)出版記念パーティをしてもらったぞ★の巻 なんと10年ぶりの本が出ました! パーティもしてもらえて生きててよかった(爆) ●(2023)夏は帯揚げなくてもいいのかも……の巻 帯揚げなし着付けにハマった発端です。 ●(2024)卒業式。着物の母の気持ちの巻 子供の卒業式での大事件。そんなに言われること?と本人は曰ってましたが、言われるでしょうよ。 「きもの熱」で突っ走っていた12年前から、振り返るといろんなことがありました。いろんな方との出会いもあり、またもう会えない人もいます。自分もいつまでも生きているわけではないなと実感する人生後半戦に。 健康に気をつけて、着物をゆるゆる楽しみつつ、コラムのネタ探しも続けていきたいと思います。今後ともお付き合いいただけると幸いです。皆様も、どうぞ健康第一!でオトナの着物生活を楽しんでくださいね! <ちょっと宣伝です> 6月18日(火)13時~、八王子のよみうりカルチャーさんで思い出のお着物 整理・処分術という公開講座をいたします。平日ですが、着物の整理は心の整理。大切な着物の行先を一緒に考えましょう~~!という講座です。まだお申し込み受付中です。もしよろしければいらしてください!

お出かけ先でお太鼓が落ちた!救世主は結束テープ!?の巻

星わにこ
2024/06/05 00:00
今週は、国立能楽堂にキモトモと定例公演を見に行きました。お庭の青紅葉と紫陽花が目に美しく‥‥というレポートを書く予定だったのですが、行く道すがらに電車の中で帯締めが解けてお太鼓が落ちる(人生初)という大事件が発生したため急遽そちらをお届けしたいと思います‥‥。 ことの発端は、一緒にいくキモトモがいつもいつも素敵な帯留めをしているので、私もしてみんとせんと思ったのが始まりでした。6月だからアンティークの若鮎の帯留めをと考えたのです。3分紐とセットになっているもので、この季節にぴったりじゃん(鼻息)と。 あまり帯留めをしないので、こちらも初使い。帯を結んでさあ帯締め、となったときですね、帯留めが帯締めに固定タイプだったんですが、帯締め自体が金具で止める方式で、長さ固定。しかも‥‥‥長さが足りない!! 私の胴回りに対して圧倒的貧弱さ!!貧弱貧弱ゥ(責任転嫁) 前日見ておけば‥‥という後悔は先に立たず、迫る出発時間。これはなんか紐を足すしかないと細めの真田紐を切って結んで、なんとか胴回りに間に合わせたのですが‥‥。 電車の中でちょっと帯締めが緩いかもしれん……と触った瞬間、ばらんと解けましたね、帯締めが! 無論、お太鼓も落ちましたね(白目) こんな日に限って、羽織も仮紐も持ってきてない。大丈夫だなんて、うっかり信じたら……だめだめだめだめだめよ!と頭の中のピンクレディーがSOSを踊りはじめましたね。 立っている人もそこそこいる電車内で、こそこそっとお太鼓の形を戻して、帯締めを結び直してですね、大きめショールを羽織って、ランチ待ち合わせの駅で降りて、目の前のドンキホーテに飛び込みましたね。 帯締めが不安な今、仮紐でお太鼓を抑える方式でお太鼓を固定するしかないと考え、紐を探す我(57)。 参考記事:短い帯は隠し仮紐で固定できるぞ。の巻 黒いゴム紐なんかがあるとベストだったんですけど、お店のお姉さんに聞いたら、ないですとのこと。時間もないので店内でなんとかするべし!と見渡して、梱包用の紐とハサミでなんとかするかと売り場を見渡すと、なんかよさげなものが‥‥。 じゃーん!「長さを調節できるバックルつき 結束テープ!!」これだ!! 結束テープのおかげで、なんとかお太鼓の平和が1日保たれました。(1メートルの長さがあれば余裕やろ!と思っていたけど、結構ぎりぎりでダイエットと誓いなおした私です) 別に結束テープじゃなくてもいいんですけど、なんでも使えるってことですよね‥‥。樹木希林さんが、帯締めを忘れてホテルの湯沸しポットのコードを代わりに使ったという有名なエピソードがありますよね。並べるのもおこがましいですが、困ったときには人間いろいろ考えつくものですね。 キモトモからは「お太鼓が落ちた!10分遅れます」とメッセージが入ったりして、お太鼓落ちるデー(なにそれ)だったのかも。 まあそんなこんなありつつも無事、美味しいランチもいただけて、観能も叶いました。定例公演は狂言の「地蔵舞」と能「水無月祓」。座席で見られる字幕に助けられつつ、安らぎの周波に気をちょこちょこ失いつつ、堪能いたしました。キモトモもリアルなかたつむりの帯留めで、とっても素敵でした。いつもセンスがいいわあ。。 私のコーデは、渋めがテーマ。塩沢の単衣に茶の八寸帯、帯揚げなし。そして欲張って大きいのを選びすぎた山葡萄のカゴバックでございました。 そして正直ですね、着物でのおでかけも慣れっこだよってどこかで慢心してたんでしょうね‥‥。やっぱり前日ちゃんと準備することの大切さを思い知った事件でございました。 終わってみれば、天気もよくとても穏やかなよい午後で、普段のバタバタ(と直前のトラブルw)から開放された時間となりました。心のお洗濯、大切。ほんと、余裕を持って暮らしたいものです(自省)。