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震災5年目のきもチャリ!(お着物チャリティバザール)の巻

星わにこ
2016/03/16 00:00
 先週の3月11日‥‥震災から5年が経過しました。去年も、同じように、同じイベントについてコラムを書きましたが、また今年も書かせてください。  女性クリエイター仲間と、震災1ヵ月後から「なにかできることはないか」という気持ちで始めたチャリティイベントも今年9回目となりました。仲間のイベントに参加し続けている、というだけなんですが、できる範囲で細く長く続けて行けたらという気持ちでいます。  チャリティの寄付先は「みちのく未来基金」という、震災で親を亡くした子どもたちに奨学金を支援しようという公益法人です。震災時に0歳だった進学希望者がこの奨学金が不要となるまではおよそ四半世紀。長い活動となります。微力でも、忘れないで続けていきたい。そんな気持ちでいます。  最初はクリエイターの作品をチャリティ販売していましたが、途中から「いらない着物があるんだけど、なにかできないか」と相談をうけたことをきっかけに、不要な着物を寄付していただき、それをイベント販売して売上を寄付する、ということをはじめました。 「お着物チャリティバザール(略してきもチャリ!)」。集まる着物は玉石混交で、目利きでもなんでもない私たちにはその着物に見合った値段をつけることが難しい。なので、非常にリーズナブルなお値段で基本は着て、活かしてくださる方にお譲りしています。  何度か行って定着してきた感もあり、着物を着ない方がいらない着物をまとめて処分するときにこのイベントのことを思い出して寄付を申し出てくださったり、よく着る方でも着ないものを持ち込んで、さらにイベントで好みの物をゲットして二重で寄付をしてくださったり‥‥。毎回、協力してくれるお店もあります。続けていけるのも、ご協力してくださる皆さんのおかげ。  箪笥の肥やしの着物を、欲しい方へ橋渡しすることで、チャリティにもなり、手放した人も買った人も、そして着物も活かしてもらって、皆が笑顔になれる気がして、携わり続けています。正直手間はかかるし大変なのですが、準備段階から協力してくれる人も増え、また着物たちがどんどんお客様に笑顔で持ち帰られるのを見るのが楽しくて、続けられています。  今年も3月11日~13日の3日間、「wasurenai 2016」と題してイベントを行い、アーティストマーケットと一緒にきもチャリ!も開催しました。  きもチャリ!会場となった「昭和な家」の二階の4畳半と3畳の二間は、一番にぎわったときには寒い日だったのに、窓をあけないと暑いくらいの熱気に包まれ、たくさんの着物が広げては羽織られ、畳まれまた広げられ、皆でわいわい「これは」「あれは」と大騒ぎ。  人が羽織ると着物が違って見えるんですよね! 準備から、ずっとそこにある着物を見ている筈なのに「あら、あんな素敵なのあったっけ!」と、誰かが持っているのを見て、目が釘付けになることもしばしば。あの人が掴んでいるあの着物、買うのやめないかな~、わたし欲しいな~なんて横目で見ていたり(笑)  どんな着物にも白馬の王子様(?)みたいに、似合った素敵な人が現れるのが面白い! 私が羽織ってもなんだかイマイチなものが、違う人が羽織ると「パア~ッ」と音がするくらい素敵になったりするんです。これが不思議!! そして着物好き同士の情報交換も楽しみのひとつ。  今年は、取り壊されてしまう京都の町家から江戸縮緬の色留袖などのアンティーク、ほかにも加賀友禅の留袖や凝った裏地の袖を通してない型染め小紋などなど、びっくりのよいものもあり、それもリーズナブルなお値段で大切にしてくださる方のところにお嫁入りしていきました。  着物の他にも未使用の下着や足袋から、帯締め帯揚まで小物もいろいろで、上から下まで一式お買い上げ、という方も。あるもので、うま~くコーディネートもできちゃったりします。  シミがあったり、訳ありだったりするものも、初心者の方の練習用やステージ衣装など、いろんな活路を見いだして、活躍の場に旅立っていきました。お子さんの着物や、男性の着物も。最後まで売れなかったり、汚れでどうしようもないものは、つるし雛や裂き織りなどの細工物用に。  捨てられるはずだった着物、買ったけど似合わなくてお蔵入りになっていた着物や帯が有効活用されて、その売上が寄付できるというのはいいよね! と続けている次第です。  着物のチャリティバザーを行っている団体は他にもあります。もし不要な着物があったら、そういったところへの寄付も選択肢の一つに加えていただけたら、と思います。  着物という、好きなものに関わることで、できることをできるだけ。関わる人が笑顔になれることも、大事なこと。チャリティについてはいろいろな考え方があると思いますが、まだまだ道途中の東日本大震災の復興を応援したいと、仲間と続けている小さな活動のお話でした。