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半幅帯「矢の字結び」と「吉弥結び」の違いの巻

星わにこ
2026/08/05 00:00
暑い時期は半幅で気楽に普段着物や浴衣を楽しみたい!けど、意外と半幅の帯結びってお太鼓みたいに形の正解がわかりづらいのでどうしていいかわからない~という方も多いのでは。 我々大人世代は文庫結びやリボン結びなど上に重心があるものよりも、少したれがあってぺたんこな矢の字結びなどのほうが好ましくもなってきます。アシンメトリーで視線も分散しますし、帯締めも使うしお尻もカバーしてくれるので、着付レッスンでもよくリクエストされる結び方です。 で、またよく聞かれるのが「矢の字結び」と「吉弥結び」、さらに「貝の口」「後見結び」の違いってなんですかというもの。 貝の口はたれがなく、男性の帯結びと同じくぎゅっと結ぶので帯締めをしなくても落ちません。でも、他の3つは帯を折り紙のように折って形をつくるので帯締めで抑えないと安定しないという違いがあります。 で、半幅帯におけるその3つの違いって何?という話なんですが、これがまた、よくわからないんですよね。矢の字と吉弥はたれの角度が違う?とか後見結びは右上に出る角が帯の全幅で、大きめ?とか、曖昧な印象しかなかったので、今回ネットや書籍で調べてみました。 AIは「矢の字のたれはまっすぐ、吉弥はななめ」とまとめていましたが、いやいや私の認識は矢の字のたれは斜めなんですが?と思い、両者をサーチしてみると、結び方動画なんかを見てもタレの角度は斜めとまっすぐで意外とばらばら。 最近よく出ている「貝の口、矢の字、吉弥の違い」という動画では、矢の字はたれを最初に作って残りで結び目を作っていく形式(たれがまっすぐ)、吉弥は結んだ時のあまりでたれを作る(だからななめ)とのこと。 自分が最初に習って矢の字だと思っていたものは、これだと吉弥結びということになる?と思い、色々調べてみたのですが、マジで混在していました。 私のぼんやり認識では「矢の字は貝の口にたれをつけたもの、吉弥は江戸時代の引き抜き結びの応用でたれを先に作るもの」と思っていたので、ぬぬぬ、と家中の着付け本を出してきてみたところ、見事に混在。私が着付を習い始めた平成初期の本では、この認識があっていました。 1992年『きものレッスン』(主婦と生活社)や1993年『定本着つけと帯結び百科』(講談社)、2007年笹島寿美先生の『笹島式決め技の極意 帯結び100選』(世界文化社)1997年綾秦節先生の『賢いきものの楽しみ方』(世界文化社)ではこの分類でした。 でも、2016年発行のオハラリエコ先生の『ふだん着物のらくらく結び 半幅帯と兵児帯』(世界文化社)ではこれが逆に。2018年の石田節子先生の『5分で結べる! 簡単らくらく 半幅帯のお洒落』(世界文化社)でも逆になっており、さらに吉弥結びと思われるものを「斜矢の字」として紹介されていました。手持ちの大久保信子先生の書籍には矢の字が紹介されておらず、どちらかは不明。 どうも2000年代にこのあたりの認識の逆転があったのではないかと推察。2000年代というとインターネットの発達や2004年に雑誌『七緒』の創刊がありましたから、そのあたりが大勢の転換点なのかなと思います。ちなみに動画で紹介されているわれらが銀座いち利の女将も2000年代以降、つまり21世紀方式(勝手に命名)です。 で、やはりなにが正解ということはなく、自分が「矢の字」と思ったら矢の字や、ということでいいのではないかなと思いました。私は古い人間なので、20世紀方式で「矢の字」って思っていますが間違いではないと。みんな違ってみんないい。 こんな時代の流れの背景をちょっと知っていると、豊かな気分になれますね。意外なところで時の移り変わりを感じたものであります。帯は世に連れ、世は帯に連れ……。 そもそもカジュアルなものなので、半幅帯は好きな形で「私のオリジナルよ~」くらいの気持ちで楽しめたらいい。「それは間違いよ!」と自分のものさしで図りすぎない寛容さが肝要かと。お後がよろしいようで。

暑気払い。夏の鱧(はも)尽くしで京都気分の巻

星わにこ
2026/07/29 00:00
先日お茶のお稽古仲間の皆様に誘っていただき、暑気払いに参加してきました。京都に本店のある「三友居」の白金店で鱧尽くしのランチという贅沢なプランに、自分にご褒美とばかりに飛びつきました(笑)。 お恥ずかしながら鱧はほとんど食べたことがなく、憧れの食べ物。関西ではメジャーですが、関東ではあまりお目にかかりませんよね。谷崎潤一郎が好み、その最後の晩餐であったと言われる「牡丹鱧」や、皮一枚を残して細かく包丁を入れる超絶技法である鱧の筋切りなどについて知識として知っている程度でした。 京都の祇園祭は「鱧祭り」ともいわれるほど。今が旬ということで、祇園祭のコンチキチンという鉦(かね)の音をBGMに聴きながら、京都気分で涼やかな室礼の個室で美味しい鱧のコースをいただきました。 憧れの牡丹鱧、鱧の湯引き、鱧寿司、鱧巻天ぷら、鱧茶漬け……とまさに鱧尽くし。御酒もいただいてしまいました。このほかに鮑とずいきの酢の物の前菜、京茄子のいやあ贅沢贅沢。柾目の美しい木の盆に次々とサーブされていく江戸切子、錫、緑交趾などなどの器も素晴らしく、椀の蓋には露が打たれていたり、添え物の葉っぱが梶の葉(平安時代から七夕の短冊に用いられたもの)だったりと、盛り付けも素晴らしくてうっとり。 鱧のほどよく脂身のある白身は上品で、でもしっかり元気が出るお味。調理法によってふんわりほろりから、しっかり噛み締めまでバラエティに富んでいて鱧、満喫いたしました。 お店の箸袋に見慣れぬ二文字の漢字があり、一文字目は「羹(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹く」のあつものかな?二文字目は知らない、なんて読むの?と話題となってお店の方に聞いてみると「こうかく」と読むことを教えてくださいました(漢字はイラストを参照してください)。特に前述のことわざは関係なく「あつもの、吸い物」を指す言葉だそう。今は辞書にも載っていないのだそうです。その場でキモトモがネットで検索してくれたところ、1992年の『大漢語林』(大修館書店)には記載されているようですが、帰ってから自宅の1995年の『大辞林』(三省堂)第2版には載っていませんでした。ひとつ賢くなりました。目にも口にも脳にも栄養が行き届いて、今年の夏ものりきれそう! お出かけにあたってせっかくなので絽の江戸小紋を用意したのですが、当日37度とゲリラ豪雨予報でワンピースで出掛けてしまった私です。だがしかし、ご一緒したキモトモの半数が着物で、絹紅梅や小千谷縮、セオαなど涼やかな姿に惚れ惚れ。やっぱりマダムランチは着物だよね!  夏着物は着るハードルが高いからこそ、着られたときの喜びは最高なんですよね。あと脱いだ時の開放感も最高(笑)。着ていけなかったコーデをここで供養させていただきます。 絽の江戸小紋(洗えるやつ)、アンティークの絽の帯(鱧じゃなくて鮎)、瓢箪の帯留(6つの瓢箪で無病!)でこの季節ならでは(鼻息)と考えてみました。考えてみるだけでも楽しかったです(弱)。今回は洋服ででかけても帰ってすぐ寝ちゃうくらいぐったりだったので、体力をしっかりつけて、残りの人生夏も着物を楽しみたいとしみじみ思いました。 皆様も機会があれば、そして気力体力が許せば、夏着物を楽しんでくださいね!

浴衣は「昼は紺地、夜は白地」「昼は白地、夜は紺地」どっち?の巻

星わにこ
2026/07/22 00:00
先週末は、仕事場の近くの中野・新井薬師の盆踊りでした。キモトモ6名で集まって、浴衣姿で繰り出しました。踊りの輪は浴衣率が高くて、揃いの浴衣の高校生くらいのグループがいたり、お子さんはカラフルな浴衣や甚平に光るヘアバンドとかをつけていてとっても可愛かったです~! 私はひさびさにワニの浴衣を引っ張り出してきて、黒の子猫柄の帯で、黒っぽいコーデ。会場でも藍や青など、大人っぽい色の浴衣が多かったのですが、白地の浴衣が一際会場で明るく映えていてとっても素敵でした。 私が昔よく言われたのは浴衣は「紺地は昼、白地は夜」。これは昼の強い日差しの中では白地は透けやすく濃い色の方が安心という意味と、夜は白地のほうが明るく映えるということだと習いましたが、この言葉に深く納得いたしましたね。 一方私はニンジャスタイル?で、すっかり夜の闇に溶けておりました(笑)。目立ちたくないとき、隠密行動には最高かもしれません。。 逆に江戸時代には「昼は白地、夜は紺地」とも言われていたそうです。これは昼は白地が涼しげに見えてよいし、夜は藍染の紺地のほうが蚊などの虫を寄せ付けずよいという説。「昼は紺地、夜は白地」も江戸時代から言われていたという説も。そもそも浴衣は湯上がり着、普段着として着用されていたものですし、これが決まりというわけではなく、こっちがイケてる、いやこっちがかっこいい、みたいな話で、どちらでも好きな方でよいのかなと思います。 屋外での盆踊り会場では白地が素敵だったし、また夜でも明るい場所では紺地が映えるかもしれません。もうここはお好みですよね。 今は音頭だけじゃなくてなんでもあり? YOASOBIの曲で踊ったり、正統派の東京音頭、中野音頭、ハワイアン音頭、炭坑節と踊って帰ったのですが、帰りかけたところで中野名物ボンジョヴィ(盆ジョヴィ)の「Livin' On A Prayer」がかかり、もう少し踊っていればよかった!ってなりました(笑)。盆踊りは同じ動作の繰り返しなので、踊っているうちにどんどん楽しくなりますよね。 暑いけれども少し涼しい風も吹いていて、夏の夜を満喫いたしました。 その後もひとしきりおしゃべりなどして、解散。日中のおでかけや街中では、浴衣でも足袋を履いたり衿を入れたりきちんと感が欲しい年齢ではありますが、ご近所に気楽な浴衣姿でおでかけも楽しいな~と思った夜でした。 ちなみに「Livin' On A Prayer」が名物?の「盆ジョヴィ」こと「中野駅前大盆踊り大会」は今年は8月1日(土)・2日(日)だそうです。今年は行ってみようかな? 皆様もご近所の盆踊りに浴衣でおでかけ、いかがでしょうか。

体型のお悩みにはコレ!着物の補整のおすすめ本2冊の巻

2026/07/08 00:00
相変わらずAIにあれこれ聞いてみたりしている私ですが、同年代の友達も調べ物だけでなく人生相談、ダイエット、手相占い、家計関連、画像加工、ちょっとしたおしゃべりなどなど仕事以外で日常に活用している人もたくさんいて、そんな使い方できるの!なんて情報交換もしたりしています。ChatGPT派、Gemini派、Copilot派、まだまだ新しいものがいっぱいでてきて、それぞれ好みがわかれていて面白いです。 私はChatGPTにミッチー風で受け答えしてとリクエストしたら、音声会話でもめっちゃタメ口になったので敬語で話しましょう!と言ったら、結構堅苦しい敬語の後に最後にベイベー、ってつける変な返答になってきました(笑)。 一方、着物のことなど聞くと結構「それは違うのでは」という返答も多いので、あまりあてにしていないし、そもそもネットで検索してもせいぜい平成以降の情報しかあたれませんし、その情報が正しいかどうかもわからない。その上、結構な確率でこのコラムが表示されたりして「おまえ(私です)には聞いてない!」ということもしばしば(滅)。YouTubeも勉強になりますが、なにしろ見るのに時間がかかって結局ほしい情報じゃないこともあったり。先日岸惠子さんのエッセイを読んだこともあり、やっぱり本だよね! と原点回帰している今日この頃です。 もちろん着物の常識もだんだん変化していますし、YouTubeや新しいグッズなどを見るのも楽しいけれど、やはり着物を着ている人が多かった時代の本は今読んでも「なるほど」と思うことが多いです。みんなが抱えるお悩みは結構普遍的で、着付の技術はいろいろな本が出ているので、自分の好きな着付の先生の本を読み込むのも楽しいですよね。 意外とないのが、補整の本。着物を着るには土台をしっかりすると意外と着付のおなやみがなくなります。体型別の補整のお悩みについては、体と着物の関係がよくわかるこの2冊が私のバイブルです。 ・『骨格と着つけの関係―着くずれしない着つけ』笹島寿美(2007年 神無書房) ・『手ほどき七緒 「たかはしきもの工房」髙橋和江さんの十人十色の「補整」術』髙橋和江(2018年 プレジデントムック) この2冊は、補整ってなんぞ?という疑問に鮮やかな解答を示してくれる本なので、もしまだ未読の方がいらしたらおすすめいたします! さらしやタオル、補整用品まで使い方だけでなく「どうしてそういう補整をするのか」ということがよくわかります。 先日も雨の日にパラパラと読み返して「なるほど!」と目から鱗がいっぱい落ちました。本を買ったときにはわからなかったことも、着付を続けてきた今だからこそまたわかるようになったこともあり。理屈が頭に入ると、自分がそれが必要かどうか足し算引き算もできるようになります。 着物本は古いものも面白いのですが電子書籍になってないものが多いので、図書館だけでなく古本屋さんでも目を光らせていると掘り出し物があったりしますよ。スマホやパソコンもいいけど、たまには本もおすすめです! 過去記事: 岸惠子さんの「魔物・きものの魅力」を読んでの巻 古本屋さんでゲット☆昔の着物雑誌が面白かったの巻

めちゃくちゃ素敵!新日本髪で還暦振袖。の巻

星わにこ
2026/07/01 00:00
毎週毎週、とりとめもなく「オトナの着物生活」についてよしなしごとを書き連ねておりますこのコラムですが、担当さんから「15年目に突入ですよ~」と言われてびっくり!えっ、15年ですかっ! 始めたのはついこの間のことのようなのに‥‥。いろんなことがありつつも、続けてこられたのも読んでくださる皆様のおかげです。本当にありがとうございます。 万屋のような私ですが、友人と和装フォトスタジオも運営しております。着物で記念写真を撮影してほしくて立ち上げたのですが、それも気づいたら14年目。43歳で着物を仕事にするぞ!と着付を習い直して、着物ラブの気持ちだけでここまでこられたことに改めて驚きと感謝でいっぱいです。 さて、そんなフォトスタジオの人気撮影メニューが「還暦振袖」「再演(大人の振袖)」なのですが、ありがたいことにネットで検索してきてくださるお客様が増えています。いくつになっても、振袖が着たいという気持ちわかります!! 実は私は成人式に振袖を着なかったので、振袖デビューが40歳(2度目の成人式と言い張って着た)。その後なにかと理由をつけては着ています。なにしろ振袖は着たときのテンションが、ただ袖が長いだけなのにまるで別次元。訪問着では得られない高揚感があります。 昔は未婚女性しか着られないもの、また「三十振袖四十島田」という言葉があったように未婚であっても若いうちしか着られないと言われたものですけれど、今はパーティやお楽しみであれば自分が着たいと思えば着られる時代。 区切りの年に、振袖を着てお祝いして欲しいな!と思い、そして自分たちもぜひやりたいな!と作った撮影メニューですので、お客様がニコニコで撮影を楽しんでくださると本当に幸せを感じます。 先日、「日本髪で振袖を着て還暦を祝いたい」というお客様が来てくださいました。スタジオでは昔ながらの日本髪ではなく新日本髪になりますが、オプションメニューもあり。成人式に親御さんが誂えてくださった振袖で記念写真を撮影。 成人式や卒業式のほかにも、40代のとき国際的なパーティで着る機会があり、そのときにせっかく着たからと会場の写真館で記念撮影もされたのだとか。今回そのお写真をお持ちいただいたので、同じポーズで撮影もしました。 40代のお写真もとっても美しいですが、今この時の表情が本当に生き生きしていて、素敵ではないですか? 撮影中も「自分じゃないみたい、とても気持ちがあがっています、嬉しい!」とおっしゃってくださっていたのですが、そのウキウキが私たちスタッフにも伝わって、お支度から撮影まで、本当に本当に楽しい時間でした。 自毛で念願の日本髪にされて、キラキラの振袖姿から、帰りはこれまた素敵な白大島の単衣に素晴らしい紅型の帯に着替えをされて、そのまま神社にお参りに行かれて、銀座に寄って「素敵ですね」とお声かけもいただきましたとご連絡をくださいました。喜んでいただけて、このお仕事やっていてよかったな~としみじみ。 私も来年いよいよ還暦。体調の不安やもの忘れに増えるシワと、若いころのようにいかないことが増えてため息が出そうになりますが、でもこんな素敵なお祝い写真のお手伝いをさせていただくと、年を重ねるのも楽しみになります。素敵な見本を見せていただけて感謝です。 あまりに素敵だったので、自分も近年楽第一でショートヘアだったのですが、美容師さんに聞いたら肩下くらいまであれば新日本髪結えますよ!と言われたので、還暦祝いに向けて伸ばすぞ!!!と決意しました。 60年という年月を生きてきて、誰しも決して楽しいこと嬉しいことばかりではなかったはず。水戸黄門の「人生楽ありゃ苦もあるさ」という歌も、子供のころは「そんなもんかね」としか思いませんでしたが、今は「涙の後には虹もでる」、ほんとそう!って心から思います。晴れやかな笑顔を見られると、心の底からおめでとうございます!すごい!素晴らしい!って思います。成人式の振袖とはまた違った、美しさがここにあると思います。 諸事情によりスタジオは来年でクローズすることになってしまったのですが、還暦撮影メニューは同年代だからこそできるヘアメイク・着付・撮影のお祝い隊として出張撮影ができたらいいなと思っております。そして還暦振袖(前後3、4年は誤差の範疇)が世の中に認知されて、もっとたくさんの皆様に楽しんでいただけたらいいなと思っております!

着物の袖も濡れにくい!傘の「クロス持ち」試してみたの巻

星わにこ
2026/06/24 00:00
雨予報、台風予報が気になる今日この頃ですが、雨の日だって着物が着たい! 以前はとにかく雨の日は大きい傘!と決めていて、65センチや70センチの透明ビニール傘を愛用していました。これはこれでいいのですが、「途中で降り出すかも?」「止んでしまうから傘を持ち歩かなければならない」というようなとき、ちょっと持て余すんですよね。 そして、重い。若い頃、おばあちゃんがペラペラのバッグとかを持つのを不思議に思って見ていましたが、それは軽いからなんですね……。歳をとると、軽いものしか持てなくなるんですね……。軽さこそが正義なんだということを知りました。 というわけで、よほどの1日中土砂降りとかではない限り、近年は軽い折り畳み傘で道中も畳んで吸水ポーチに入れてバッグに仕舞う(忘れるから)というムーブになったわけですが、当たり前だけど傘が小さいと濡れるんですよね。 多少濡れてもいいような仕様にはしていくのですが、もう少しなんとかならないものかと思っていたら、友人が雨に濡れにくい傘の差し方を教えてくれました。 ポイントは二つ。高い位置に差さないで、なるべく頭に傘を近づける。こうすることで肩の濡れがかなり変わります。 もうひとつは「クロス持ち」と言われるものですが、傘を持った手を胸の前で反対の肩のほうにクロスさせるというものです。 こうすると、傘の中心が体の中心に寄るので、普通に差した時に濡れがちな反対側の肩や荷物も濡れにくいというわけです。簡単なことだけど、そういえばしたことなかった! 傘の軸を顔の前に持ってきて、なるべく傘の真ん中に入ろうとしていたことはありますが、もう一息反対側に寄せることで、傘を持っている側の袖がぐっと内側に入りますし、反対側の肩も守られます。袖が本当に濡れにくくなります。衿元も守られるかんじがしてよきです。 普通に差した時と違って、反対側に傘が張り出すので、人混みなどを歩く時は勝手が違ってぶつかったりしないように最初はちょっと注意が必要かもしれません。でも、すぐ慣れますよ。 ほんのちょっとしたことですが、かなり変わりますのでぜひ試してみてください! もちろん着物のときだけでなく、洋服のときも同じです。梅雨の時期もおでかけを楽しみましょう。

カレンブロッソ用雨カバー『雨履音』使ってみたの巻

星わにこ
2026/06/17 00:00
雨予報が気になる季節になりましたね。寒暖差も結構あって、着るものにも迷う今日この頃ですが、梅雨があけてしまうと本当に暑くなるので、いまのうちに単衣も楽しんでおきたいところです。 さてさて、雨といえば雨支度を迷うところですよね。雨グッズって、実際は使わないかもしれないんだけど、あるとやはり心強くて安心できます。防災備蓄のようなものでしょうか。私くらいの雨女になってくると着物のレイングッズも一通り揃えてございます(涙)。 参考記事:正絹着物でもできる雨の日対策 今でもよく見ていただいている雨対策記事があるのですが、書いたのがなんと13年前(爆)。基本変化はないのですが、この時使った「おとも」が流石に経年劣化でもう寿命ですよね、という状態になってしまい、代わりのものを探していました。 ウレタンの雨草履も持っていたのですが、それも考えてみると10年以上前に購入したもので、履いて出かけると加水分解を起こす可能性大。見た目は綺麗なのに、歩いてるうちに本当に、本当にぐしゃあ。。。ってつぶれますからね。 つい最近もウレタン草履の崩壊の話を2回ほど聞きました。そう。見た目は綺麗なのでわからないんですよ。恐ろしいです。 私の雨草履も、黒の台に白い鼻緒で前ツボが赤、というお気に入りのものだったのですが、この梅雨を前に泣く泣く手放し。雨草履は、そんなに何回も履いたわけではなくもったいないような気もしますが、つま先が冷えそうな寒い日にも履きましたし、なによりお気に入りのものがあるということが、雨の日も楽しくしてくれましたし、買ってよかったと思っています。 さて雨草履をまた買うかどうしようかと思ったところで、急いで買うより気に入ったものがあれば購入しようと考えて、代わりに雨カバーの新しいものを入手することに。 また「おとも」かな、それとも気になってたけど購入に至ってない「つま先美人」かな、と思っていち利モールを覗くとなんか、新しいカバーが出てる! その名も「雨履音(あめりね)」。カレンブロッソのカフェぞうり用のつま先カバーだそうです。早速購入してみたんですが、なるほどカレンブロッソのロゴも入ってしっかりしていて、綺麗です。底面のカレンブロッソ特有のしまうま柄のビブラムソールの模様も入っていて、とっても可愛い。 そこではたと気づいたんですが、カフェぞうりがビブラムソールに変更になったのは2020年から順次だそう。私の持っているつま先が丸いカフェぞうりは全部旧タイプのクレープ底でした(爆) ビブラムソールのものは、角形しか持っていなかった。 近年角形が気に入ってしまい、角型ばっかり履いていたのですよね~。ということはぁ~丸型のものは、全部少なくとも5年以上前のものばかりということ。。。おおぅ~。。。これは草履も買い替えなのか? お財布と会議の必要が。。。 と、いろいろな個人的問題が噴出しつつも、使ってみたかったしセールだったしで「雨履音」を購入。クレープ底の丸型にもピッタリでした。とってつけ感がなくて、まるで最初から雨草履でしたというような一体感です。でも雨草履と違って取り外し可能ですから、小雨の日など出先までつけていって、屋内では外すというような使い方もできますね。 ちなみに角形にははまりはするけど無理やり感がすごすぎて使用しないほうがよさそうです(知ってた)。 先日小雨の日に使ってみましたが、綺麗な透明カバーでがっつりカバーされている感が心強く、心配していた底面は意外と傷も少なく、ざぶざぶ洗って乾かせて、よかったです。 見た目だと踵にかけるベルトがちょっと弱そうですが、これも繰り返し使ってみてまたレポートしたいと思います。パッケージには、もしちぎれたら有償でお直しができるかもしれないので相談してね(意訳)と書いてあります。 足元の雨支度をお考えの方、候補にいれてみてはいかがでしょうか?

畳の表替えと職人さんの粋な黒足袋のお話の巻

星わにこ
2026/06/10 00:00
先日、自宅の畳の表替えをしてもらいました。我が家はマンションの一室が畳で、小上がりのようにして茶室っぽく設えているのですが、普段は私の寝床です(笑)。リフォームしてから8年、そろそろかなと思っていたところに愛猫の吐き跡が決定打に。猫様の啓示ですね(遠い目)。 ネットで検索して、口コミのとてもよかった世田谷の畳店さんに問い合わせたところ、打ち合わせから引き取り・納品まで非常にスムーズに対応していただけました。実際に畳表を見せていただき、せっかくだからと国産のい草で、黒縁の「ザ!茶室」な畳にすることに。 当日は朝に引き取っていただき、午後には納品。高さの調整もしていただきながら畳を敷いていただくと、あっという間に部屋が綺麗になり、真新しい畳の香りに包まれました。気持ちいい~! 実家は日本家屋でほとんどが畳だったので、やっぱり落ち着きます。 今回の依頼で表替えの下見と打ち合わせに来ていただいた時、職人さんの足元をみるとなんと足袋! なぜなんだろう?と好奇心がむくむく。そこで今回表替えをお願いした波貝畳店代表の浪貝俊行さんにお話を伺ってみました。 畳職人さんは修行のときから足袋を履くのだそう。礼儀でもあり、足袋を履くことで畳を傷つけにくく、歩く感覚で畳の状態もわかる。靴下では感覚が変わってしまうし、夏場は汗や足跡が畳についてしまうこともあるので、足袋以外は履かないのだとか。 黒や濃紺の足袋に雪駄という足元は、まさに伝統産業の職人さん!という感じで、粋でかっこいいだけでなく、ちゃんと理由があったのですね。 畳の話をもう少し。畳はそもそもオーダーメイドで、大きさはもちろん、厚さも1.3センチから6センチまで選べ、床暖房にも対応可能。最近人気の琉球畳(縁なしタイプ)は普通の畳より高価で、表替えなどランニングコストもかかるそう。「縁もいろいろな色柄が選べますし、一周回って普通の畳のほうがかっこいい気がしてます」と浪貝さん。着物と同じで「お誂え」と思うと、どんな畳を選ぶか考えるのが楽しくなりますね。 また、「裏返し」「表替え」など、畳床本体をそのままにい草部分の入れ替えをすることでさっぱりしたり、そのあたりも着物の洗い張りのことを思い出したり、ものを大切にする和の文化を感じます。 日頃のお手入れについても教えていただきました。新しい畳には「洗土(せんど)」といって、い草を泥染したときの泥が少し残っています。これは綺麗に拭き取ってしまうより、使いながら乾拭きなどで馴染ませていくと、薄い膜のような役割を果たして畳の青みを保ち、艶を出して美しい日焼けにつながっていくのだとか。 ベストはお座敷ほうきと乾いた布での乾拭き。クイックルワイパーのドライタイプでもOK。掃除機は目に沿ってかける。ただしルンバなどのロボット掃除機は畳が傷んでしまうのでやめたほうがよいそうです。えええっ、やってしまってました(白目)。畳さん申し訳ない! 着物と畳はとっても相性がよく、着物を着たり脱いだり畳んだりは、やっぱり畳の上がしっくりきます。ちょっと転がって体を休めるのも、畳の上だとリラックスできますよね。和室が少なくなった今どき、置き畳でリビングの一角に和のスペースを作られるお客様も多いのだそうです。 職人さんのお仕事に触れると、ものを大切にしたくなります。せっかく新しい畳になったのだから、これからはロボット掃除機に頼らず、ちゃんと手をかけようと思うわにこでございました。

ミッチー30周年を帯締めの薔薇結びでお祝いの巻

星わにこ
2026/06/03 00:00
どうも毎年ミッチーこと及川光博さんのワンマンショーに参泉(参加)するのが人生の季節行事となっているわにこです。今年はなんと!ワンマンショーが開催されるようになって30周年なのだとか。ツアータイトルは「TAKE IT ROSY!」ということで、ベイベー(ファンのこと)たちには、薔薇になっていらっしゃいという素敵なお達しが。 それにしても30周年とは、本当に素晴らしいです。流行らず廃らずというけれど、この出力を続けることは、並大抵ではありませんよね。私は2000年の武道館に初めて参加したので(当時はまだ参泉という言葉はなかった)、私なんて新参者ですみません、とずっと思っていたのですが、もう26年も経っていました。結構な古参やん(爆)泉友と年越しライブやディナーショーなどもあったなあ。光陰矢の如し! 今年は体調こそイマイチだったものの、仕事をセーブしていたので妄想する時間だけはたっぷりあって、CDを購入して予習し、ミッチーのツアーイメージ写真のスーツの薔薇柄の生地と似たものを購入して、簡単付け帯を作ったりしてめちゃくちゃ楽しみにしていました。 が、やはり術後20日で着物を着て3時間踊ったりするのはちょっと体力がたりないかも。。。ということで体調優先で楽なワンピースにスニーカーに変更。というわけで当日着られなかった渾身?の薔薇コーデをこちらで供養させていただきます。。。 メインはミッチーとお揃い(?)の柄の帯。作り方はこちらの三部式作り帯と同じですが、今回は土台を使わない帯を切って三部式に。それに布を布用ボンドで貼り付けるという荒技に出ました。 参考記事:楽しみ方も4通り。リバーシブル3部式作り帯の作り方の巻 参考記事:布を挟む、貼付けるだけで帯が因み柄に変身!の巻 裁縫ではなくもはや工作。でも土台がしっかりしていると、結構綺麗に仕上がるんですよ。 そして、薔薇色の帯締めを花玉結びのアレンジで薔薇風にしてみました。房を片方は葉っぱのように花玉結びの横に出し、余った分はつたのように絡めて。 参考記事:春の帯締め花玉結び風の巻 こんなにやる気マンマンお色気ムンムン(ミッチー語)だったのに無念です。本当に健康あっての推し活だなとしみじみいたしました。 話はずれますが、SNSなどで着物で観劇やコンサートに来られると帯の分座席から離れて前のめりになり、後ろの人に迷惑なのでやめてほしいというような投稿が話題になっていましたね。私、何度もお太鼓でワンマンショーに行っていてなんかちょっと胸がちりちりしてしまいました。振袖の飾り結びはさすがに邪魔かもしれないけど、髪の毛もりもりとかじゃなく普段着物&お太鼓や半幅は許容範囲なのではないでしょうか。炎上していたけど、観客層にもよりますし着物着ている人をひとくくりにして攻撃や謎ルールを押し付けるのはやめてほしいなあと感じています。会場もいつもより着物ベイベーが少ないかんじで、いてもぺったんこの半幅帯にされていて、気にされているのかなと思いました。まあそういう意味ではこのコーデも着ていったらダメだったのかな?とちょっとしょんぼり。 とはいえせっかくわくわくコーディネートしたので、みてもらえたら嬉しいです! 会場にも行くことができたし、せめてもと思い、余った布で東袋を作って持って行きました。ミッチーをお祝いする東京会場6250本の薔薇の1本になれた(つもり)ことは、とってもいい思い出になりました。 今年は同じくSNSで「ミッチーのワンマンショーは一度は見るべき」というという投稿がバズって、初心者ベイベーがものすごくたくさん参泉されていたようです。本当にミッチーのワンマンショーは、私は年に一度が精一杯だけど、それでも生きる楽しみ、心の元気の特効薬です。ミュージシャン及川光博をみたことがない方はぜひ一度観てほしい。キラキラして笑えて泣ける沼ならぬ、泉に浸かってしまうかもしれませんよ~! 30年間、変わらぬクオリティでときめきとエンターテインメントを提供し続けてくれる星(推しじゃなくて)。感謝しかありません。私もがんばらねばと毎年思います。これからも、ミッチーさんには健康でワンマンショーをいけるとこまで続けてほしい。そして、私もいけるとこまで参泉したいと、養生を強く誓うのでありました。

岸惠子さんの「魔物・きものの魅力」を読んでの巻

星わにこ
2026/05/27 00:00
さてさて実は5月の頭に不整脈の手術をして、家でごろごろムーブのわにこです。心臓の音が静かになって、心穏やかになりました。 で、あまり無理もよくないという話でごろごろしながら本を読んだりしているのですが、ネットの古本屋さんで1983年刊の『細雪のきもの』(旺文社)というずっと読みたかった本をゲットしました。谷崎潤一郎の松子夫人監修で市川崑監督の映画『細雪』の着物のグラビアや、女優さんや制作スタッフの話が掲載されているということで、私が欲しいなと思った時にはもう絶版で、地元図書館にも入っていなくて、古本で買うにはちょっと高いなと思ってそのままにしていたのですが、手術を機に「やりたいと思ったことは、できるならやっていこう」と思い、注文しました。 届いて早速本を開くと、『細雪』の公開同時のチラシ、映画鑑賞割引券、朝日新聞の記事の切り抜きが挟まれていて、誰かのファンの方かそれとも細雪マニアか、とにかくこの本を大切にしていたどなたかが昭和58年に購入したものが、めぐって私のところにきたんだなと胸熱になりました。 何度も何度も見たシーンの着物たちの色柄を美しい写真で見ることができて、超大満足。そして監督や出演者の方たちのエピソードや、着物の制作秘話、着物リストと、本当に手に取ることができてよかった~~!! 読んでから映画をみるとまたこれ一層愛が深まります。 そして私たちの一世代、二世代前の人たちの「きもの考」も読むことができるのですが、1983年に着物はすでに、いいものだけどそんなに着ることもないみたいな存在。それを戦前の船場の老舗のお嬢様たちの着こなしに寄せられたかどうか? というような話もちらほら。それでもやはりまだ、着物は細雪の時代と地続きで、時代劇なども盛んでみなが着てはいなくても着物姿はどういうものかみんなが知っている時代だったかなと思います。 そんな中で、長女の鶴子役であった岸惠子さんの「魔物・きものの魅力」というエッセイに頭を殴られたくらい衝撃をうけました。 岸惠子さんはたくさんの本を上梓されていますが、この一節はその中の『パリ・東京井戸端会議』という映画評論家の秦早穂子さんとの往復書簡の本からの転載。『細雪のきもの』同様絶版となっていますが、こちらは新潮文庫に入っているので古本入手も、図書館で借りて読むことも容易です。 国際結婚をするにあたり、パリに大好きなきものを百着以上持参したという岸さん。でもパリで着る気にはなかなかなれなかったそう。その心を紐解くと、外国で「着物を着る」ということが、日本人であるという意識の高揚と自分の中で他民族への対抗心のようなものが芽生えるような気がするというものでした。 映画監督でフランス人の夫が、岸さんが着物を着たのを見て、美しいけれど、明るくざっくばらん部分が消えてまるでサムライのような別の尊大なシロモノのように感じられると言われたそうですが、着物にはそんな「装置」的な部分もあるのかもしれません。また男性に比べて不自由なところも多い女性の着物にはそういった女性の自我を抑えるように感じられる側面もあったのは否めない。 岸さんは戦争も体験されているし、着物の持つそういった「魔力」を敏感に感じ取られたのかもしれません。そして同時に抗えない着物の魅力も。そして本にはこの文章の横に、岸さんの美しい着物姿の横顔の写真が、光と影のようにポジとネガで掲載されていました。 戦後20年あたりで生まれた私は、もう着物に対して「自分を縛るもの、押さえつけるもの」という感覚は薄れていて、そこから必死に抜け出したい、逃げ出したいと思った女性たちの気持ちがわからなかった。ただ、なんでこんな綺麗なのに着ないんだろ、しんどいし面倒だからかな、としか思わなかったけれど、戦後に着物から抜け出した女性たちは、もう絶対元に戻らない!と思っていたのかも。 だって、戦前つまり今からたった80年ほど前までは、女性が自分の名前で財産を持つ権利もなかったのです。今は当然と思われていることも認めてもらえなかった時代の象徴のひとつが着物だとしたら、着物に罪はないけど敬遠されても仕方ないかもと、上の世代の女性たちの「好きだけど、着ない」「着物は持ってはいるけどね‥‥」という呟きの奥底にある気持ちがちょっとわかったような気がしました。 そして今、もっと若い世代の人たちがそんな着物の側面から完全に離れて自由闊達にファッションとして楽しんでいて、それが実現していることが本当に素晴らしい。決してこの、自由にファッションとして純粋に着物を楽しめるようになった環境を手放して欲しくないと思います。同時に、なんで日本人が着物を着なくなったのか、少し深掘りして知っておくことも。物事にはなんでも二面性があるもので、白黒で割り切れないことがいっぱいです。 今はネットでなんでも情報が手に入り、AIが聞きたい答えを囁いてくれるかもしれないけれど、印刷物にしか残っていない情報もたくさんたくさんあります。特に、ちょっと昔の話は本当にそう。 老眼がつらい&インターネット老人会の私だけど、これをきっかけにまた本を読もう!という気持ちになったのでした。

マレーシアの結婚式で白無垢が大活躍したぞの巻

星わにこ
2026/05/20 00:00
先日、長年のネット友達のお嬢さんがマレーシアで結婚式を挙げられました。お相手はマレーシア留学中に出会った大学のチューターさん。結婚にあたって、お嬢さんはイスラム教に改宗したそう。愛の力は偉大です……! 結婚の話を聞いた時には、子供のころから友人の日記を通じて成長を見守り、昭和な家スタジオにも成人式の後撮りで来てくれたお嬢さんだったので、あのKちゃんがついに国際結婚か!しかも学生結婚!と完全に気分は親戚のおばちゃんだった私なのですが、そんなところに「伝統的な日本の婚礼の姿もマレーシアで披露したい!」とお母様から白無垢レンタルの打診が。 いうことでマレーシアで行われる結婚式のために花嫁衣装の白無垢と新郎の羽織袴の衣装用意のお手伝いさせていただきました。今回はそんな異文化が優しく溶け込んだ、笑顔いっぱいの結婚式のエピソードをご紹介したいと思います。 「白無垢貸して~」「いいよ~」と気楽に請け負ったものの、衣装合わせもできないためサイズなどもすべてリモートでお伺い。花婿さんのサイズも裄や袴下を測ってもらい、それにあわせてご用意しました。とりあえず日本国内のご実家に送るべく大きい段ボールを探しながらこれは、どうやってマレーシアに運ぶのかな?と思っていたら、友達から「スーツケース1つに入りますか?」と質問が。 いえいえ!!打掛は布団みたいなものですから(語弊)とてもボリューミー!一つでは収まらない! 運搬は手持ちでスーツケースでということがわかったので、なるべく空気を抜いて風呂敷で動かないように梱包することにして箱などは最小限に。それでも打掛や掛下や帯、小物の数々、草履、そして新郎さんの羽織袴……と、一式を揃えるとなかなか大きな荷物です。これを140サイズの段ボールにつめこんだ私も褒めてほしいし(爆)、結局自分たちの持ち物は最低限にして、婚礼衣装を大きなスーツケース2つと小さなスーツケース1つに入れて運んだご家族には拍手しかありません。 花嫁衣装ならではの装飾品もたくさんあるのでリストを送ると、「懐剣」は税関を通るか?と質問が。剣は本物ではなく、多分紙でできてます(私も中身を見たことがない)というやりとりも。安全検査や移動中も、持っていかれるご家族はきっとドキドキだったはず。パパ、ママ、お姉さんと総出で本当によく運んでくださいました! そして現地で白無垢着付はどうするのかと思ったら、ネットで検索したところ日本人会に着付師さんがいらして引き受けてくださったそう。当日は見事な着付けで、お二人とも本当に凛とした美しい姿に。感動でした。 ここでちょっと、マレーシアの結婚式のプチ雑学を。日本の結婚式といえば、招待状が届いて、席が決まっていて、時間通りに始まって……というカッチリしたイメージが強いですよね。 一方マレーシア(特にムスリムの方々)の結婚式はとっても自由でアットホーム。メインのお披露目パーティーはビュッフェ形式が一般的です。招待客の数も桁違いで、時には1000人以上になることも! 一日中開催されていて、ゲストは好きな時間に訪れてお祝いして食事をして帰っていく、街中みんなでお祝いするような大イベントなのです。 面白くて素敵なのが、ゲストのドレスコード。マレーシアの結婚式では、新郎側・新婦側などでそれぞれ「チームカラー」を決めて、おそろいの色の伝統衣装を着て出席する文化があり、会場がカラフルな色彩で埋め尽くされます。一目でどちらの親族かわかるのも楽しいですし、出席するチームによって色が違うので会場全体を見てもとても華やか。お二人が通うマラヤ大学のチームはパープルだったとか。色を揃えてみんなで祝福するのは、参加する側もウキウキしそう。今回、新郎側はピンク、新婦側はカーキで揃えたということで友人もカーキの素敵なマレーシアの民族衣装のパジュクロン風のワンピース姿でした。黒留袖は荷物が多すぎてさすがに諦めたそうです。ですよね。。 そしてマレーシアの婚礼では、新郎新婦もお揃いの色のきらびやかな伝統衣装を纏います。衣装の色は二人で好きな色に決めるのだそう。今回の主役はさわやかな水色を選んで、それがまた本当に美しかったです。 まずはマレーシアの婚礼衣装で婚礼の儀式。新郎はバジュムラユという服にサンピンという腰巻きにソンコックという黒い帽子。新婦はパジュクロンで、レースや刺繍の豪華なヒジャブ(マレー語でトゥドン)を巻きます。バジュクロンは、美しい絹織物でできておりこれまたうっとり。 午後には日本の婚礼衣装に着替えて披露。イスラム教の教えに則ると女性は髪が見えないようにヒジャブを頭に巻くのですが、日本の綿帽子スタイルがこれがもう、驚くほどの大正解! 髪をすっぽりと包み込む綿帽子の美しいシルエットがイスラムの世界にこれほどマッチするとは。花嫁はもとより、花婿さんの黒紋付スタイルもとてもよくお似合いで、本当に素晴らしい! マレーシアの伝統衣装と日本の白無垢&袴スタイルの両方を披露したところ、現地のゲストの皆様からも大絶賛、撮影の嵐だったそうです。午後の白無垢での登場時間が少し遅れてしまい、その姿を見ようと待っているお客様で会場の外までいっぱいになってしまったとか。待ちきれずに控室を見学して帰られる方も。改めて白無垢パワーすごい!ってなりました。 国境を越え、宗教や文化の違いを優しく笑顔で包み込んで、たくさんの愛情で彩られた素晴らしい結婚式。 どのお写真を拝見しても、笑顔、笑顔がいっぱいでこちらも幸せな気持ちに。日本の婚礼衣装をトランクに詰めて運んだご家族の愛情と、ネットが繋いでくれた素敵なご縁、そして何よりお二人の純粋な想いが、マレーシアの地で日本の伝統衣装が現地の伝統と見事に溶け合う、奇跡のように美しい瞬間を生み出していました。 小さかったお嬢さんが大人になって、いつの間にか自分の手から離れて、未知の世界に羽ばたいていくその背中を見守る友達の気持ちを想いつつ。 佳き日を迎えられたお二人には言葉や文化の違いを楽しみながら手を携えて、笑顔の絶えない素敵な家庭を築いて欲しいと心より願います。新しい未来へ歩み出すお二人の人生が、これからもたくさんの幸せで満たされますように。 本当におめでとうございます!

衣替えの衝撃!!防虫剤は大切だった‥‥の巻

星わにこ
2026/05/13 00:00
ゴールデンウイーク皆様いかがお過ごしでしたか? 天気がさわやかな日も多かったので、衣替えやこたつの片付けなどをがんばったのですが、衝撃の事件がありました。ウールの虫食いの話です。。写真などはありませんが虫が苦手な方は閲覧注意です。 先に結論を言っておくと「防虫剤は大切だ!!」ということです。 だいたい古い着物なんかだと目が痛くなるほど防虫剤の匂いが染み付いていたりして「そんなに防虫剤なんて入れんでもいいやろ!」とほとんど虫対策など気にせず過ごしていた私。絹の着物は、虫食いはほとんど起こらないですし、ウールと分けておけばいいくらいの管理方法でした。 洋服も、昔はウールのコートやセーターを気をつけて管理していましたが、今はほとんど持っていなくて。虫食いも気にすることなく防虫剤の存在も忘れているくらいだったのですが……。 子供の部屋に置いている衣装ケースに子供の着物をしまっていて、5月の節句だし鎧兜や鯉のぼり、アンティークの男子一つ身コレクションなどを虫干ししようかと取り出そうとしたら‥‥なんか、ざらざらする。。。と思ったら、ウールの子供着物がパラパラと崩れるくらい虫に食われていて、コイガという蛾が、大発生していたのです。ぎゃああああああああ!!って声が出ましたね。その子供着物が青かったため、コイガちゃんたちのさなぎも青かった‥‥。 思い出の着物も、アンティークの一つ身も、アウトでした。一つ身のほうは、モスリンの紐と、混紡と思われる表地が絹以外のところを規則的に点々と食べられていて、本当に絹は食べないんだな~!って感心しつつも、泣く泣く唐獅子さんと三番叟を踊る童子にお別れをしました。あーあ。 子供にはなんか虫が飛んでるなあって思ってたんだよね!と叱られるし、着物はダメになるし、なにより虫害のショックがもう……。 虫食いのことを甘くみていた自分が間違っておりました。 うおおお!!と対策を検索し、掃除しまくり、早速薬局で匂いがつかない系の防虫剤を購入してきて泣きながらタンスの引き出しに入れまくりました。クローゼットにも吊るしました。 皆様はきっときちんと管理されていると思いますが、念の為、ウールの着物は防虫!虫干し! 紐もモスリンは要注意です!! 大事ですと再度アナウンスさせていただき、私のゴールデンウイーク報告を終わります(悲)。

黒留袖の新常識!?謎ルールが増えている?の巻

星わにこ
2026/05/06 00:00
私もすっかり年齢を重ねまして、最近は友人からお子様の結婚式に着る留袖のご相談や着付を承ることも増えてまいりました。このコラムも最近黒留袖ネタが多いですよね。最近つくづくと、黒留袖ってほんと第一礼装だけあって、振袖ともひけをとらない美しさがあるなあと感じ入っているところです。 そんなこんなで黒留の話題をよく伺うのですが、昨年聞いてびっくりしたのが関西で新郎側のお母様が自分の持っているお花柄の黒留袖を着ようと思ったら、「優しい花柄は新婦側の母。新郎側は鳥や乗り物などがおすすめ」と言われ、結局レンタルしたのだとか。そんな話は初めて聞いたので驚いて、以降機会があるごとにいろんな人に黒留インタビュー(笑)をしています。識者のご意見も、それは初耳だしそんなことはないのでは?という結論に今は至っています。でもまた先日関東の別のお母様から「新郎側は新婦側よりあまり華やかにならないように」と言われたというお話を伺って「うーん」となっているところです。 地域性やローカルルールもあるのかとは思いますが、どちらも名前を聞いたら多分知っている格式高い神社やホテルでの話でむむむむむ。式場のおすすめに従えば間違いないのでしょうが、ちょっともやもやするお話です。 親という立場は主役ではないし、とんでもなく常識はずれをしなければ両家で話してお互いよければそれでいいのではないかと思っているのですが、どうでしょうね。近年、お祝い事のゲストの着物も花柄は「散る」から縁起が悪いとかこじつけとしか思えない謎ルールの話を聞いたり、まあなんでも時代と共に変化するとはいえ、それはどうかな~と思うことも。 だいたい、お嫁入りしたときに持たされた嫁入り着物の黒留袖だったら、その時点で子供の性別などわかりっこないわけで、このお話は本当にどこで発祥したのか謎としか思えません。 黒留袖と言っても着る立場によってはおすすめの柄行とかはあるとは思います。例えば、姉妹兄弟の結婚式で自分が既婚で30代とかであれば華やかな柄行、新郎新婦の祖母だから少し控えめな柄行、とか年代で言われることは昔からあります。でも、仲人がいて仲人も黒留袖で、とか親戚の立場で黒留袖というようなことが減ってきた現代ではそんなに厳密に「あの黒留袖はちょっと」みたいなことは起こり得ないのでは。そもそも主役は花嫁花婿のお二人なのですから。 もう黒留袖という時点でコードは満たしているのであり、結婚が決まってから購入したりレンタルしたりするのであれば別ですが、もともと誂えたものや引き継いだものがある人は、それをお祝いの心で着るのが一番よいと思います。だいたい、持っていても着る機会がないということだって十分あり得るわけで。だからこそぜひ、機会があれば袖を通していただきたい、日本人女性の第一礼装です。 昨今は親や親戚に着物の話を聞く、というようなことも減りました。ネットでAIにいろんなことを聞くと(AIじゃなくても普通にググっても勝手にAIがまとめてきたりしますよね)だいたいあっててもちょいちょいハルシネーションを混ぜてくることがあります。それを真に受けてしまってどんどん常識がずれていったりみたいなことっていろんなことで起きたりするのかもしれません。 もちろん、何が正解で何が絶対間違っているというつもりはありませんが、こと着物に関してはそれを着る「心」を大切にして、常識非常識を厳密ルールで縛りすぎるのを本当にやめた方がいい、面倒だし着ない方が無難、と思ってしまったらもう着物は誰も着なくなってしまうのではと危惧します。 お祝いの席にこそ、着物。もともとのお手持ちのものや受け継いだもの、ご自分がお祝いする立場に立って選んだもの。どれも準備も大変着るのも大変だけれども、ぜひ晴れの日には晴れやかな着物で! お祝いしていただきたいと心から願っております。

りくりゅうペアの園遊会の着物姿尊くて滅!の巻

星わにこ
2026/04/22 00:00
先週、春の園遊会が開催されましたね。各界著名人の皆様の着物姿が拝める機会としていつも楽しみにしているのですが、今回はミラノ・コルティナオリンピックで日本人ペア初の金メダリストとなったりくりゅうこと三浦璃来選手と木原龍一選手の着物姿が話題をかっさらっていましたね! ニュースでも流れている時間が長かったですし、SNSでも話題になっていたので着物好きな皆様ならすでにチェック済みだと思いますが、お二人の着物のディレクションをした家庭画報チームの記事も出ていて、再度盛り上がり。 以下私のただの着物好きの感想となりますが。 三浦選手は御所解きの柄が総刺繍という薄桃色の振袖に、これまた手織りの綴という未来を寿ぐロケット柄の丸帯という豪華な取り合わせ。神戸の老舗呉服店主がお孫さんのために制作したものなのだとか。振袖の可愛らしい雰囲気が小柄な三浦選手にピッタリで、でも幾何学模様にも見える色使いもモダンな丸帯の迫力がダイナミックな演技も思わせて素晴らしいコーディネートです。 木原選手は木原家の家紋「五三の桐」の五つ紋の色紋付の着物と羽織に、人間国宝・甲田綏郎さん制作の仙台平の袴。甲田さんの袴は羽生結弦選手が着用したことでも有名ですよね。着物と羽織は絶妙な色違いのさわやかな青磁色の美しいお召しで、とてもお似合いでしたね。 三浦選手の振袖は、2022年春号の「美しいキモノ」にも掲載されています。東山アキコ先生のインスタで写真を発見! こちらのお写真のほうが帯のロケットの柄がよりわかりやすいかもしれません。あ~着物の御所解き紋様の刺繍柄も帯の柄もじっくり拝見してみたい! コーディネートというと着物、帯、帯揚げ帯締め、そして半衿くらいかと思いきや、草履の前壺が赤なのも、芯の真ん中の段が朱なのもめっちゃ効いてますね。こうやって見ると、草履もコーディネートの大事なキモだなと思います。可愛いだけではない、三浦選手の魅力を引き立てていて、うっとり。 モダンで大胆な模様がはっと目をひく丸帯でしたが、木原さんが後ろからそっと帯の形を直してあげている?姿がニュースになっていましたね(どんだけウオッチしてるのか私)。 木原選手の色紋付は銀座の男性着物で有名な呉服屋さんでのお誂えでしょうか。これまたなんというか、男性の色紋付も、いいものだぁ~!と滅しそうになりました。上品で爽やかで、素敵の極み。白襟、白足袋もきりりと、雪駄の履き方も本当にかっこよかったですね。 また、おふたりが和装バッグとしてイタリアのハイブランド、Valextra(ヴァレクストラ)のイジィデをペアで持っていたのも注目されていましたね。男性が持つカチッとしたハンドバッグ、かっこよかったです。センスやなぁ。 りくりゅうペアは今季で引退とのことですが、日本のフィギュアのペア競技に計り知れない貢献をしたお二人。欲を言うと、この身長差カップルがゴールデンカムイのアシリパさんと杉元の扮装で滑っているところが見たかった(ヲタクですみません)。そんなことを夢見たこともありましたが、それはさておき今後のご活躍も心よりお祈りしております。 そしてまた機会があったらぜひ着物姿を見せていただきたい~! お隣のおなじくスノボで五輪金の村瀬心椛選手の深い蘇芳色の振袖も本当に素敵でした。こういう機会に一流のコーディネートで目の保養をさせてもらえて、本当にありがたい&着物のよさに目覚める人が増えたらいいな~&他の列席者の方の着物紹介もぜひ!と思うのでありました。

理想の腰紐ゲット!WATOME紐の巻

星わにこ
2026/04/15 00:00
腰紐と一言でいっても、素材や種類様々です。以前、いろんなタイプの腰紐をご紹介しましたことがあります。 参考記事:自分好みの素材と長さの腰紐は超楽ですの巻 この時、少し細めの綿の平紐タイプか、きんち紐を愛用していると言っていた私ですが、この度ついに理想の腰紐に巡り合いました。 それがWATOMEさんの「WATOME紐」です。 綿の腰紐なんですが、何がいいかというとですね 1)綿でかっちり目の素材である(体に食い込みにくいし滑らない) 2)七色の染め分けで紐の真ん中がすぐにわかる 3)長さの種類がある(カスタム不要!) 4)先が細くなっているのでごろごろしない 5)色使いが可愛い!(染めの堅牢度はお墨付きだそうです) 腰紐だけではなく胸紐として使えるくらいの幅と摩擦力があり、腰紐として使ったときには安定感があります。 なにより可愛い。超可愛い。可愛い蛇ちゃんみたいな七色のシマシマで、厄避けにもなってくれそうです。このシマシマは幅がだいたい6センチになっています。覚えておくと、あこれだいたい何センチ?というのの目安になったりするのでいいかも。 長さですが Sは196㎝、Mは220㎝、Lは242㎝となっています。 自分に必要な腰紐の長さは、着物を着てみて腰紐をしばってみて、これくらい欲しいというのを割り出したほうがいいです。 ウエスト何㎝なので、このサイズ、というのではなく、人によって腰紐を結ぶ位置が違ったり、補整をするかしないかでも変わってきますし、蝶々結びにする人、片蝶結びにする人、からげるだけの人でも、必要な長さが違います。 自分が一番使いやすい長さはどれか? 一度考えてみるのもよい機会かと思います。自分にジャストサイズのものを使うことは、着物や帯だけでなく小物も非常に使い勝手がよく、着るのも楽で時短になります。 もちろん、着物はサイズをある程度融通をきかせて着ることができるのもとってもいいところなんですが、毎度毎度の融通の手間が減ったら本当に楽になるんです。 よく着物関係のものに鋏を入れたらもったいないというお声もいただくんですが、もったいないという気持ちが楽したいより大きかったらそれでもいいと思うんです。でも、私は今楽がしたい!という方には、こういったカスタムはおすすめです。 1つ1つは小さなことでも、ちりつもで気がつくととっても早く着られたわということにもつながると思うのです。 腰紐迷子の方がいらしたらぜひ一度お試しください!

桜の時期に桜の着物。花柄は散るから縁起が悪いの?の巻

星わにこ
2026/04/08 00:00
東京はすっかり桜の盛りを過ぎてしまいましたが、黄緑の葉っぱがぴょこぴょことピンクの桜と共存している時期も、年をとってくるといいなあ、と思うようになりました。 桜と家族写真撮影も、今年はたくさん撮影させていただきました。卒業式、成人式、十三詣りなどなど、お祝いもいろいろで幸せ気分のお裾分けをいただきました。 私も、せっかくなので桜の着物と帯でカメラマンのみずほちゃんに写真をとってもらおう!と思ったら、雨で野望は叶いませんでした。残念! でも、桜の時期にこの帯がしたい、という帯を締めることができてよかったです。桜の訪問着は『昭和な家スタジオ』にいただいたもの。桜の帯締め、桜色の帯揚げで桜づくしです。 (もう少し痩せたい:定期) 桜柄を着る時期についてですが、枝つきだったり写実的でなければ、通年OKと言われています。私の桜の帯も、花びらだけなのでいつでもいいような気もしますが、散りゆく桜を惜しむという意味で、自分の中で「満開から散り際のあたりで締めたい帯」と思っています。そんなことを思っていると、なかなかドンピシャの時期に締められないこともしばしば。 カレンダーの日にちにあわせるというよりは、実際の桜の開花具合と日々にらめっこです。 私にとってそういう「この季節に身につけたい帯」は、お正月の初夢袋帯(一富士二鷹三茄子)、梅と鼓の名古屋帯、三月の木蓮の名古屋帯、四月の桜の花びら袋帯、五月の鎧モチーフの袋帯、七月の七夕帯、九月の菊の袋帯、十二月のクリスマス半幅帯などがあります。 いずれも、ここで締めずにいつ締める!というもので、気づくととっくにその季節が過ぎ去っているときもしょっちゅうです。だからこそ、締められた時の満足感が大きいのかもしれません。 着物も同じで、やっぱり梅柄は二月までにしたいよな、とか紗合わせは五月末、とかいろいろな縛りがあるわけで、その縛りがあるからこそ着物は面白く楽しいのだと思います。 よく「一年中着られる着物、帯はどれ」と聞かれますが、確かにいつでもいいのは便利だけれど、せっかく着物を着るのだったら、季節も一緒に楽しみたいと思ってしまいます。 着付教室の生徒さんが、最初は着られる時期が長いものを探していたけれど、それではつまらない気がして、今は季節を感じられるものが欲しいなあと思うようになったとおっしゃってました。わかる。 もちろん、日常着として楽しむ方もいると思いますが、私は着物は心の贅沢品だと思っているのですね。だから、そのときにしかできない装いをめいっぱい楽しみたい。 無地の着物も大好きだけど、そんなときには帯や小物で季節を感じたいし、着物でどーんと桜を着る!みたいな贅沢も本当に心満たされます。 さて話は変わって、最近花柄の着物は「散る」から縁起が悪いのでお祝いの席にはNGみたいなトンデモ説が出回っていますが、それこそとんでもない!と私思っております。誰がそんなことを言い出したのか? 本当に不思議です。昔から、訪問着や振袖などの晴れ着はほとんど花柄ですよ? 日本人が愛してきた美しい季節の花の意匠を、心ゆくまで愛でていただきたい。咲いた花びらは散るからこそに美しい。そいやそいや!ではないですか。散らなければまた次の花につながっていかないのですから。花の盛りは短くて、それが刹那だからこそ美しく、人の心に残るもの。その美しさを、永遠ではないと切り捨てるのはあまりに短絡的な気がします。もうそんなこといったら、花束も渡せなくなっちゃいますよね。 というわけで、花や植物モチーフの着物は、堂々と結婚式だろうがなんだろうが着ていただきたいと思う次第でございます。美しい花々の紋様が、まさにお祝いに「華」を添えてくれるでしょう。 これから桜前線が北上していくと思いますが、皆様もぜひ花と一緒に着物で季節を満喫してくださいね!

着物の抱き幅が足りない時の対処法の巻

星わにこ
2026/04/01 00:00
最近着物が縮んだ話ばっかりしている私ですが、なかなか元に戻らないのでいろいろと切実な問題が。下半身問題は身幅に影響し、上半身問題は抱き幅に影響が出てきます。 抱き幅とは、身八つ口(脇の開口部)のすぐ下、胸のあたりの幅のこと。前幅は、裾部分の、脇の縫い目からおくみ付けまでの幅となります。よくある着物の図で見ると、同じように見えますが、実は寸法を変えられます。 胸囲が大きい人や肩幅が広い人は抱き幅を広めにとるとしっかり胸が包めますし、逆に撫で肩や上半身がほっそりしている場合は狭くするとすっきりと着られます。 胸周りがだぶだぶしたり、衿の合わせが浅くなったりするのはこの抱き幅があっていないから。意外と大切な寸法なのです。立体裁断ではないので限界はありますが、ほんの数センチのことで着心地が変わります。 この抱き幅が余る場合は、以前ご紹介した「コーリンベルトのダブル使い」で解決できました!というお声をよくいただきます(自分は余らないので。。。涙) 参考記事:コーリンベルト2本使いで脇をスッキリさせる技!の巻 逆に抱き幅が足りず、衿のあわせが鋭角になってしまう場合はどうしたらいいのでしょうか。もちろん、お直ししたり、自分のサイズにあった着物を着るのが一番ですが、ねえ、着物って仕舞っている間に縮むこともありますし(嘘です、自分が育っただけです)、いただきものやリサイクルのものを着たいときもありますよね。 抱き幅が狭くて衿を深くあわせられない場合は、肌襦袢や襦袢だったら脇を解く、なんていう裏技もありますが、着物はこれができません。そんなときは3つの対処方法をお試し下さい。 1)広衿を広めに折る せっかくの広衿、折幅を広く折ることで幅を稼げます。衣紋部分は二つ折りですから、耳の下あたりから、衿先に向かって台形に広めに折っていきます。難点はあまり広くしすぎると衿がふかふかしたり、折り目の下側が出てきてしまうこと。思いきって裾広がりに二つ折りした状態で縫いとめてしまうのもありです。 2)半襟を肩の部分からたっぷりめに出す 衿を首から離す、また半襟をたっぷりめに出すと、その分抱き幅にも余裕が出ます。ばけばけ風に半襟を超たっぷり出す着方だとかなり着物の衿合わせが鋭角でOKですよね。 そこまではいかなくても、IKKOさん風着付の応用でOK。 参考記事:肩幅が狭く見える!ほっそり着付のコツ の巻 3)伊達衿を活用する 伊達衿の幅をちょっと広めにつけたり、重ね衿のように襦袢の衿の上に二重に衿を作るとその分着物の衿が鋭角になっても大丈夫。 参考記事:平安王朝絵巻!ぬりえ気分で紫陽花の重ね衿パーティコーデ☆の巻 番外)和洋ミックスで着る 中にハイネックやパーカー、シャツなどを着てしまえば衿が鋭角でも気にならない! といろいろ書きましたが、どれか一つでなくて合わせ技でじわじわ攻めるのもあり。お気に入りの着物は諦めないでなんとか工夫するのも、着物の楽しみかなと思ったりします。 え? 痩せればそんな苦労しなくていい? あーあー聞こえない(耳を塞ぐ)。でもほら、痩せるのは時間がかかるけど、今!着たい!ってこともあるわけで。 なにかの参考になれば幸いです。

ゴムの腰紐(腰ベルト)がずりあがっちゃう時の対処法の巻

星わにこ
2026/03/25 00:00
皆様腰紐は何を使っていらっしゃいますか? 私は綿かモスリン愛用なのですが、ゴムの腰紐を愛用されている方も多いのではないでしょうか。腰ベルト、ウエストゴムベルトなどと呼ばれる、金具でひっかけるタイプのものは、結ばなくてもいいので楽ですよね。 結び目もないのでごろついたりしないし、身丈の足りない着物でおはしょりがあまりとれない場合でも、ゴムベルトなら折り返し部分が短くてもボコボコしないしうまくいきますよ、と言われて私も使ったことがありました。 でも結局やめてしまったのは、ゴムのゆるっと感と締め付け感が共存している感じが苦手だったのと、動いているうちに腰ベルトが上に動いて裾が上がってきてしまうという問題が起きたためでした。結局モスリンか綿の普通の腰紐を愛用しています。 体感は人それぞれなので好みについてはさておいて、この「ウエストベルトと裾が上に上がってしまう問題」は、実はお腹が原因のことが多いです。ゴムは細いところに移動しようとしますから、腰骨の上からウエストまでの間にした場合、細いウエストのほうにずるずると上がっていってしまうのです。そうすると一緒に裾も上がってしまう。 解決策としては ・ジャストウエストで腰ベルトをする(最重要) ・腰ベルトを移動しにくいような絶妙な強さ加減に長さを調整してつける  (強すぎず、ゆるすぎない) ・ウエストでできない場合は補整をしっかりめに入れる(体を寸胴にする) などが考えられますが、いずれも着物の身丈などから諸々条件が厳しくなってきます。マイサイズの着物で、ジャストの強さで、などの条件を満たして着られる場合は強い味方になってくれる。 ゴムは伸びるから調整が楽かと思いきや、意外と使いこなすのにコツがいります。便利道具系のものによくあることなのですが、望ましい使い方ができていないと逆に不便になることもあるというお話です。 前述の「身丈が足りない着物でもおはしょりがとれる」というTipsには実はあまりむいていないアイテムかなと、私は思います。 先日腰ベルトずりあがる問題でご相談をうけたので、モスリンの腰紐を使ってみては?とご案内したところ、裾があがりませんでした!とご報告をいただきました。で、着物を脱ぐときに見てみたらモスリンの腰紐も結んだ位置より上に移動してたんだけど、裾はあがってなかったのはどうして?というご質問が。 腰紐も同じように動いているうちに細いところに移動するということはあるかもしれませんが、ゴムより摩擦係数が少ないので腰紐だけが移動して、着物を持ち上げるには至らなかったのではないかなと推察。 たかはしきもの工房の女将が「女の体はすべり台」とおっしゃっていましたが、曲線だらけの女性の体に、直線の着物を添わせて着るのでいろいろと不具合は起きてきます。それで生じるシワやたわみもよしとするか、ピシッと着るほうが好きなのか。楽に着たいのか、体を支えるように着たいのか。まずその好みから着付けのテクニックも変わってくる。 着付小物も最初に教わったものをそのまま使い続けていくのもいいですが、体型も体感も十人十色ですから、自分にあったものを探していろんなアイテムを試してみるのも大事だなと思う今日この頃でありました。

トンビ体験も!文豪気分が満喫できる「太宰治展示室 三鷹の此の小さい家」の巻

星わにこ
2026/03/18 00:00
三鷹市下連雀は、かの文豪太宰治の終の棲家なのだそうです。太宰治といえば、若かりし頃文学部の学生だった私にとってまさに神々の中の一人でした。上京したてのころ桜桃忌(6月19日、太宰の命日)に、当時まだ付き合う前だった彼氏に誘われて玉川上水を入水地を探して散歩してみたりしたこともあります(厨二極まる感)。今あらためて振り返ってみると、太宰治もいろいろ不適切にもほどがあるエピソードしかなくて驚きですが、当時はかっこいいと本気で思っていましたね(遠い目)。 さてそんな話はさておき。太宰治は津軽の大地主の家(現在の「斜陽館」)で生まれ育ったことで有名ですが、東京帝国大学に入学のため上京した後はあちこち移り住み、昭和14年から亡くなる昭和23年までは三鷹で過ごしたそうです。三鷹の禅林寺には太宰治の墓碑が建立され、今でも訪れる人が後をたちません。 そんな三鷹市美術ギャラリーには太宰治展示室があり、「三鷹の此の小さい家」という名で太宰が家族と暮らした自宅が再現されています。まるで自宅にお邪魔するかのように、玄関を開けて中に入るとそこには太宰の生涯や原稿、資料展示のほか、体験型展示室も。企画展示「三鷹奇譚」の開催中でした。 体験コーナーの床の間のある和室には、座卓と文机が設えてあります。文机では、引き出しから原稿用紙をとりだして、太宰の原稿を鉛筆で書写することもできます。 通院ついでの平日の昼間に来訪したためか、他に誰もいらっしゃらなかったので、机にも置いてあった「大恩は語らず」というエッセイをコクヨの原稿用紙に太宰の字を真似て写してみました。キーボードでかたかた打つのと違って、間違えたら黒く塗りつぶして横に書き直してあったり、当時は推敲も大変だっただろうな、と思いつつほんの四行ほどを書いてみたのですが、地味に楽しかったです。 そのあとは、和室の鴨居にハンガーでかけられている「トンビコート」も羽織ってよいということで、羽織ってみました。いわゆる「二重回し」で、うしろまでマントがあるウールのものでしたが、私の持っているものよりずっと軽く感じました。カシミアとかなのかな? トンビコートの実物に触って羽織れるって、着物好きには嬉しいポイントですよね。 以前トンビコートの記事を書いたのですが、今でも時々リポストされたりしていて、トンビコートに憧れている人も多いのかなと感じています。 関連記事:憧れのトンビコートは袖がない!けどあったかかったの巻 「太宰治展示室」は三鷹駅南口出てすぐのCORALの5階にあります。少し足をのばすと玉川上水も見られますし、太宰治御用達の酒屋だった場所に造られた「太宰治文学サロン」もあります。こちらは太宰関連図書が閲覧できたり、グッズなども販売されています。 また三鷹駅からバスに乗れば、太宰の墓碑のある禅林寺にもすぐ。歩いても20分程度なのでよいお散歩になります。ちょっとでも太宰に憧れたことがあるかつての文学少年少女もしくは人気アニメ『文豪ストレイドッグス』好きの方でまだ未訪の方は、聖地・三鷹を一度訪れてみてはいかがでしょうか。禅林寺には森鴎外のお墓もありますよ。 天気のよい日に着物でお散歩したら、あちこちの太宰スポットに文豪気分盛り上がること間違いなしです!

お太鼓の「て」の折り返しがピシッとキレイに決まるコツの巻

星わにこ
2026/03/11 00:00
やっと肋骨の痛みも左手を後ろに回すのも苦にならなくなってきたので、久しぶりに着物を着てみました。着物から少し離れていると、なぜあんなに面倒なことをして着物をきていたんだろう?という気分になってくるのですが、また着物を着てみるとしみじみと、ああこの面倒がわたしは好きなのだと再確認しました。 洋服とは比べ物にならないアイテム数。用意するのも片付けるのも面倒ですが‥‥ だがそれがいいッ! 帯もなんでこんな長いものをぐるぐるとしかも不可思議な形に仕上げていくのか謎ですが、それが好き。綺麗にできた時の達成感がたまりません。程よく気持ちよく、帯の光沢が出るように美しく体に巻けたとき、お太鼓の帯枕が高くピシッと決まったとき、お太鼓の形がバランスよく綺麗にできたとき、よしよし、ととても満足します。 結ばない帯結びや、簡単作り帯も全然問題ないんですがどこかで「ほんとは違う」という後ろめたさのようなものを感じていて、ちゃんと結ぶと安心できる気がするのです。このあたり、私はうそつき衿を使うのも、帯揚げを省略するのもへとも思わない人間なので、そう感じるポイントというのは本当に人それぞれなんだと思います。 だいたい、ちゃんと結ぶといっても結んでなくて、結び目のところはからげていただけだったりクリップで止めたりしているだけだったりするのでその「ちゃんと」の定義も本当に十人十色。これはいいけどこれはだめ、みたいな生理的なものは、それぞれが心の中で落とし前をつけて、人に押し付けたりせず、自分の「気持ちいい」を大事にすればいいですよね。 というわけで、私はお太鼓が好きなんだな、と再確認したんですが(前置きが長すぎた)表題の「お太鼓の「て」の折り返しがピシッと綺麗に決まるコツ」です。 ての折り返しとは、関東巻でいうと左側の、お太鼓を抑えるために差し込む側のことです。 この差し込む側をたれでお太鼓の形を作る前に、脇の部分(折り返しの山になる部分)を平らに整えておく、というのがそのコツです。これだけで、折り返しがとてもキレイにできて、ストレスなく、てがお太鼓に収まります。 「なあんだそんなこと?」と思われるかもしれませんが、これをしないと、てを入れてからこの折り返しの山のボコボコや微妙なシワができてしまい、横から見るとなんかくしゃくしゃ……ということになってしまいます。 てを前にもっていく時に、仮紐に預けたり、クリップでとめたりする前に、この「脇」のての折り返しの山になる部分を整える。 たったこれだけでお太鼓の形がめちゃくちゃキレイになります。このポイントに限らず、着付けも帯結びも折り紙のように、なるべくくしゃっとしないで折り目を平らにしたり、面を大切にする気持ちを持つと仕上がりがずいぶん変わりますよ。 このコラムを読んでくださっている方にはもう今更という方も多いと思いますが、そこあんまり気にしたことがなかったわ、という方ぜひ試してみてくださいね。