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雨の日も安心!セオアルファで国立アンティークカフェ巡りの巻

星わにこ
2026/09/16 00:00
秋の長雨は「すすき梅雨」ともいわれますが、今年は本当に雨が続きますね。雨で大変な思いをされている方も多いのではと心配になります。着物でおでかけもしづらいですよね。 久しぶりにキモトモ4人で、お出かけしよう!と約束した日もやっぱり雨が降りました。ひどく降られることはなかったのですが、止んだなと思うとパラパラ‥‥。1日中そんな調子の予報だったので、迷わず洗える着物のセオアルファに袖を通しました。 集合した4人は、セオアルファ2名(1人はブーツ)、某老舗洗える着物1名、ワンピース1名と、それぞれ「雨の日はこれ」という、着物好きならこうするかしらというチョイスが揃いました。とにかく自分の負担にならないおでかけが一番! 今回のお散歩コースは、国立駅から徒歩9分ほどのところにある、国分寺市に残る「沖本家住宅」。洋風と和風が一体となった、別荘庭園の風情が漂う昭和初期の建物です。こちらを利用した「カフェおきもと」で、アフタヌーンティー風のランチをいただきました。 和館は外からしか見学できませんでしたが、洋館を利用したカフェでは、2階に残る多摩空襲の焼け跡や、焼夷弾の跡も見せていただきました。昭和8年築ということで、戦争をくぐり抜けてきた建物なのだなあと、歴史の重みを感じます。 ランチは可愛いアフタヌーンティー盛り付けで、国分寺産の野菜「こくベジ」が使われていたり女子心も、お腹もしっかり満足。予約時間いっぱいおしゃべりしてカフェを後にしました。 傘をさす人、ささない人。道ゆく人も半々の中、一応傘をさしつつの我々はそのままぶらぶら10分ほど坂道を歩いて、一橋大学へ。ちょっとお邪魔して校内の風格ある建造物を外から見学させていただきました。 Photo:渡部瑞穂 有名な伊東忠太設計の兼松講堂(昭和2年築)をはじめとする建物には「怪獣がいっぱいいるのよ!」と詳しい友に言われて「?」って思ったら、本当にグリフィン、ライオン、蛇などなど、たくさんの空想と実在の動物たちのレリーフがそこかしこに。探して歩くのも楽しかったです。 目を引いたのが時計塔棟の屋根の上で睨みをきかせている2体の動物。「ワニのような鋭い歯!」というと「しっぽがないわよ」と友たち。 「狼かしら?」などといいつつ調べてみると幻獣(地獄の番犬、ライオンのデフォルメとも)で、門番として狛犬のように一対で入り口を守っている魔除けなのだそう。 重厚でありながら細部に伊東忠太の『生命(アニマ)』が宿っている、とても魅力的な学舎群は本当に素晴らしかったです。平安神宮や築地本願寺なども有名ですが、伊東忠太の建築物をもっと見てみたくなりました。 さてちょっと歩き疲れたところで、大学から徒歩7分ほどの駅前に戻り、昭和29年開業のレトロな「ロージナ茶房」でカフェタイム。 昭和感あふれるプリンやフルーツゼリー、チーズケーキなど思い思いのスイーツを楽しみつつ、着物トーク。それぞれの今年のやらかし(お買い物)の話でも盛り上がりました。 セオアルファも広衿にしたら暑い、居敷あてつけるとやっぱり暑いよねなどなど実感に基づいた有益情報交換も。もう15年来のキモトモさんたち、大好きなものを深く語れるって、やっぱり楽しい!!  雨だけど、出掛けてよかった。心にたっぷり栄養をもらった1日でした。

胸の真ん中盛り補整におすすめY字パッドとやっぱり姿勢の巻

星わにこ
2026/09/09 00:00
このコラムでよく読んでいただいている記事のひとつに「胸の補整は真ん中盛りで!の巻」があります。 胸がカパッと開いちゃう場合は、衿の重なりの下に土台を作ると落ち着きます。また肩下のシワは、その部分を埋めるのではなく、真ん中部分に高さを持たせるとよいというお話です。 肩下に補整を入れすぎると上半身が大きく見えてしまいますから、なるべく真ん中に寄せる。 そして、あとは姿勢ですね。胸の真ん中が高くなるイメージ大事です。「私はハト‥…」と思うといいかも(いいのか)。 胸の大きい方は和装ブラでご自分の胸を寄せてあげてこの「ハト胸」を作ることができますが、小さい方、細い方はこの部分に足してあげるとよいです。 といっても具体的にどうしたらいいのという話なのですが、ハンドタオルなどを盛りたい部分に入れるのをおすすめしています。またはパッドを組み合わせて小さなV字にして入れると鎖骨下から自然に補整ができます。 でも、組み合わせたりすると結構ずれちゃったりしますよね。 私自身は体に厚みのあるタイプなので、胸の補整を入れたら、もうラガーマンみたいになってしまいます(笑)。なので、普段は胸の補整を入れないのですが、必要な方には綿やタオルを入れたりして対応する部分です。 そこで、今年発売された、たかはしきもの工房の「胸パッドY字型」が、「こういうのが欲しかった!」という形でした。 使い方として、私がおすすめするのは、肌着に挟む方法です。 ブラなどに挟み込む方法だと、この補整はハリがあるので、動いているうちに補整が上にずり上がってしまうことがあります。 ブラの上、肌着の合わせにしっかりと挟み込みます。 このとき気をつけたいのが、肌着をゆるっと着ていると、ズレて落ちてしまうこと。肌着も、きちんと体を支えるようにピタッと着てください。 それでも心配なときは、安全ピンやマスキングテープなどで肌着に固定してみてもよいでしょう。 そして仕上げは、長襦袢の衿でしっかりとこの補整を押さえることです。 ここがふわっとしてしまっていると、補整も動いてしまいます。 それでも胸の補整がカパカパで落ちてきちゃうというようなことがある場合は、やっぱり姿勢に気をつけてみてください。巻き肩で、胸の真ん中が凹むような姿勢をとると、補整もズレてしまいます。 「私はハト‥‥」という呪文を思い出し、胸を張って真ん中を出してみてください。 出しすぎて、今度は反り腰にならないようにほどほどで……。 これは補整を足さない方も同じです。姿勢は胸元の美しさに直結しています。 私も気を抜くと、スマホ見ながら巻き肩になってしまいがちなので、着物のときは意識して胸を張っています。 肩のシワや、カパカパする胸元にお悩みの方は、ぜひ「真ん中盛り+姿勢」、試してみてください!

「お菓子な人びと」鮎菓子を鮎帯で食べ比べまくる!の巻

星わにこ
2026/09/02 00:00
夏に食べたいお菓子のひとつに、鮎菓子があります。どら焼き風の生地に求肥をはさんで折りたたみ、鮎に見立てた和菓子です。 優しい味も大好きなのですが、鮎の形がとっても可愛いのですよね。私も岐阜生まれなのでとても馴染みの深いお菓子で、和菓子屋さんで見かけるとついつい手に取ってしまいます。 先日、『お菓子な人びと』という、全国各地の郷土菓子や関係食品を食べ比べしながら学べる美味しいワークショップで、この鮎菓子が取り上げられると知り、参加してきました。 講師は以前、鮎菓子の「若鮎まるけ茶会」を拙宅で開催してくれた、鳴海彩詠先生。会場は、登戸のおしゃれなレストラン、花冠 Le Cafe et Salon Gastronomie。カウンター席で解説を聞きながら、鮎菓子を楽しみました。 関連記事:岐阜の鮎菓子「若鮎」まるけの茶会をしたよの巻 この時味わった10種類を上回る、13種類(!)のお味見をしながら、鮎菓子の話を聞く、贅沢な時間でした。 主催の日本食文化会議の松本先生、並木先生のお話もありました。発祥は鵜飼や鮎で有名な岐阜と言われていますが、もともとはポルトガルやスペインから渡って来た「南蛮菓子」であるカステラやカスドールをアレンジして生まれた生地だそう。 カステラが渡って来た当時、日本には小麦粉と砂糖のお菓子はありましたが、卵を使った生地はなかった。真似ようとしたけれども、「卵を泡立てて使う」という技術がなかったため、小麦粉、砂糖、卵という材料が同じでもふんわりせず、もっちりとした生地「中花種(ちゅうかだね)」が出来上がりました。 それがどら焼き系の和菓子となり日本各地で様々な進化を遂げました。中にあんこではなく、求肥を挟む岡山の「調布」というお菓子がありますが、鮎菓子もそういった各地の和菓子の影響をうけながら現在の形になっているそうです。 彩詠先生の鮎菓子フリークぶりは重々承知していたつもりだったけど、今回のために岐阜中をかけめぐり、地形や水系まで踏まえた鮎菓子MAPを作られていて、まじで、す、すごすぎる!!ってなりました。 それから、数々の鮎菓子グッズコレクションの披露もあり、可愛かったです! 鮎菓子愛が炸裂していて最高でした。 生鮎菓子は半匹ずつ、干菓子は丸っといただいたのですけど、さすがにお腹いっぱいになりました(笑)。お店ごとに特色があって食べ比べはとても楽しかったです。求肥もプレーンなものから、紫蘇や牛蒡、いちごや南濃みかん風味、またあんこやこんにゃくあんを挟んだ変わり種も。干菓子、せんべいも美味しかった! 私も鮎の帯をして、岐阜県民魂を表明(笑)。この日の彩詠先生は、鮎菓子を抱える鵜のTシャツ! いつも茶人で着物姿しかみたことがなかったので新鮮でした。 余談ですが、わにこの故郷中津川市加子母の仁太郎という和菓子屋さんでも鮎菓子がある(求肥がさわやかな柚子風味)のですが、なんと今年は、ナフサ不足の影響で包装用品の値上がりのため、作られていないとのこと。こんなところにも、国際紛争の影響が……。復活を祈っております。 どんなことでも、極めた人の話を聞くのは本当に面白い! 好きなことなら尚更! まだまだアンテナを張って、いろんなことを学んでいきたいなと思った夜でした。

やっぱり絞りの浴衣が好き!一生モノの魅力の巻

星わにこ
2026/08/26 00:00
めちゃくちゃ暑くなったかと思うと、豪雨だったり、なかなか夏着物に手が伸びていなかったのですが、8月に入って盆踊りやイベントの浴衣着付のお手伝いが続きまして。みなさんの素敵な着姿を見ていたら、浴衣が着たくなっちゃいました。 体調のこともあって、タンスを開けてみたもののちょっと腕組み。でも、17年前に作った有松絞りの藍色の浴衣を触ったら、これがふんわりとやわらかで。これなら着られるかも、って思い切って着てみたら。 やわらかいし、シボで肌にピッタリ張り付くこともない。ふうわりと体に沿って、とっても楽。麻の着物ほど風が通る感覚はないけれど、その分汗をかいてもしっかりと吸ってくれるのが心地よし。いつもは入れる衿芯も省くと、さらに体を柔らか~く包んでもらっているようで、疲れも少なく楽しいおでかけとなりました。 着物初心者のときに憧れて絞りの浴衣を作ったけど、いまどきのカラフルなものではなく超スタンダードな藍色を選びました。その後華やかな発色のセオアルファや、綿麻の雪花絞り、小千谷縮などなど、いろいろ欲しいものや着たいものが目白押しで、いつのまにかちょっとオーソドックスすぎる絞りの浴衣にはあまり袖を通さなくなっていました。 ちょっとおとなしすぎるというか、飽きちゃったというか。でも、改めて袖を通してみたら……ちょっと待って、なにこれ超快適!! そして年齢的にもそのベーシックさがしっくりくるようになっていて、私の中で絞りブームが再燃しそうです。 絞りの最大の魅力といえば、括り職人さんがひとつひとつ糸で細かく括ったあのポコポコとした立体的なシボですよね。括りでしか表現できない模様もさることながら、その凹凸があることでほどよく肌から離れて、でも汗を吸ってくれる。 見た目も着心地もふわっと柔らかくて、大人の肌を優しく綺麗に見せてくれる効果もあります。 一つ一つ絞られた、手仕事が作り出す優しい模様は、プリントの浴衣には出せない大人ならではの贅沢だなあとしみじみ感じます。 また、絞りの凹凸で生地にふんわりとした伸縮性(ストレッチ感)あるためか、体に優しく沿って着崩れしにくいです。シワも気にならないし、ノーアイロンでオッケー!というかむしろアイロンで絞りを潰したらだめなので気をつけて! また、うそつき衿と足袋をプラスすれば夏着物風にもいけちゃいます。「浴衣だとカジュアルすぎるかも……」という場所でも大丈夫。 夏の名古屋帯などキリッと締めれば、ホテルランチや美術館などにも着ていけます。買ったばかりのころに夏着物風に着てデパートに立ち寄ったら、ものすごく丁寧な接客を受けて驚いたことがありました。絞りパワーすごし。 1着で「夕涼み用の気軽な浴衣」と「ちょっとお出かけ用の夏着物」の二刀流ができるなんて、素晴らしすぎませんか? まさにお手入れしながら何年、何十年と付き合っていける「一生モノ」。着込むほどに柔らかく肌に馴染んでいく過程も愛おしい。普通の浴衣よりもちょっと贅沢ではありますが、頑張って買った17年前の自分をちょっと褒めてあげたい(笑)。 やっぱり絞りは、夏の浴衣の女王だわ‥‥と改めて思ったのでございました。

紐の結び目のごろつきに気をつけろ!の巻

星わにこ
2026/08/19 00:00
もうすっかり暦の上では立秋、秋に向かっているわけですがまだまだ夏真っ盛り。花火大会や盆踊りのある日などは浴衣姿もたくさんみかけて、嬉しくなります。私も、ちょこちょこと浴衣着付けのお仕事もいただくシーズンです。 今年も盆踊りの浴衣着付をさせてもらったのですが、お客様に着終わってから「なんかあばらのあたりにあたって痛いです」と言われ、コーリンベルトも使ってないしなんだろう?と脱ぎながら確認していくと犯人は、浴衣下スリップを結んで止める紐でした。一番下で、体にあたるところなので、ここの結び目がごろついてしまうと痛いですよね。 自分で結んだところなので‥‥と恐縮されましたが、しんどい思いのまま過ごさず伝えてくださってよかったです。再度着付けのときには、その紐は結ばずに対処しました。下着の紐って意外と固かったりして、こういうこともあるんだなと勉強になりました。要チェックやで!(スラムダンク)。 下着の紐だけじゃなく、腰紐や伊達締めの結び目も痛いところにごろっと当たってしまうと、痛かったり気になったりすることがありますよね。よくあるのはコーリンベルトの留具かあばら骨にあたる、というものですが、紐の結び目もなかなかの攻撃力があります。 蝶々結びにすると結び目が大きくなるので、片蝶結びにしたりからげることで結び目部分を小さくする工夫をするといいですよね。 高さも重要です。あんまり胸元高くぎゅうぎゅう締め付けると苦しいですし、補整のクッションの上に紐をあてるとしっかり締めても苦しくないです。 あと、よくお伝えするのは、体の中心をさけて結んでください、というもの。鳩尾のラインに結び目がくると、最初はそうでもなくてもだんだんとその存在がボディーブローのように効いてくることがあります。 私は胸紐の結び目は右側の衿の上にくるところをおすすめしています。生地が重なっているので体にあたらないし、微力ながらそこに結び目があることで衿の浮きを押さえてくれるからです。ちりも積もれば……ですけれど、「なぜ自分は結び目をここにするか」ということも、自分なりに納得する理由があると着付けに自信が出るような気がします。 なんとなく~とか、今回はこうなっちゃった~ということもあるかと思いますが、着付けって自分はこう思うからこうしてる、ということの積み重ねだと思います。 たまにぽーっと着付けをしていて、なんだか気崩れちゃうな、と思うと「あれ気をつけるの忘れたわ」と思い当たる節があったりします。 着付けはとにかく手数が多いですし、着物や帯によっても違いもあるので毎回同じ仕上がりにはならず、いつもパーフェクトにはなりませんが、だからこそ、上手く着られたときは嬉しいもの。結び目ひとつと侮ることなかれ。場数をこなすこと、そして漠然とではなく自分なりに考えて着ることが上達の秘訣なのかなと思います。

半幅帯考2。昭和から令和で1メートルも長く進化!?の巻

星わにこ
2026/08/12 00:00
先週から半幅帯についてあれこれ想いを馳せているわけですが、2000年ごろに「矢の字」「吉弥結び」の名称が入れ替わった?という仮説。この頃、半幅帯の長さが長くなったのも関係しているのかな?と思い、つらつら考えてみました。 昭和の半幅帯って、結構短いし幅も狭いですよね。だいたい3m20~50cmで、幅も約15cm(四寸)です。これだと文庫結びか貝の口がせいぜい。 実家のタンスによく入っている、単衣のウールの半幅帯(端っこがフリンジになっているやつ)など、無地だったりして本当に浴衣、普段着用というかんじです。博多帯も短い。 普段着ですから、割烹着などで隠れますし手早く結べる長さだったのですね。 これが平成の2000年代になってくると、3m80cmぐらいの少し長い半幅帯で結ぶリボン返しやみやこ結びなどといわれるようなアレンジ結びが登場します。この頃はもう着物は「おでかけ着」ですから、おしゃれ優先となり長さが長くなってきます。 また平均身長も伸びて、従来の四寸幅ではちょっと狭くてものたりないことから、16.5cmから17cmの広幅に変化していきました。 令和の現在では半幅帯は、カジュアルな単衣帯だけでなく、リバーシブルで使える小袋帯と言われる4m~4m40cmの長尺帯が増えています。もちろん広幅ですから、前から見ると名古屋帯も顔負けの豪華さがあるものも。パタパタ結びやレイヤー結びといった三重ゴム紐などを使った飾り結びも登場して、帯締め帯揚げなどもしたりしておしゃれなお出かけ用に定着。 逆にこのマキシマム路線に反して、2018年ごろからayaaya先生による「結ばない帯結び」という、折って巻くだけで簡単に着物を着よう!というカジュアル路線も登場。むしろこの結び方(というか装着方法?)だとそんなに長さもいらないということで2mほどの短い半幅帯も登場したり、ベルトみたいに巻くだけの帯ベルトやサッシュベルトも登場したりミニマム化も進んでいます。 これはおばあちゃんのタンスに入っていた、1周分しか巻けないような前だけ見せ帯(簡易帯)の進化系とも言えるかも。 基本がカジュアルだからこそ、かくあるべしというのもゆるっとしていて、その時代に合わせて愛用される形が変化している。半幅帯を自作する人も多いですし、結び方も自由だし、半幅帯こそ好きな長さで楽しめるアイテムなのかも。 正解を求めるより自分流でもっと遊んでいいのかな、と思った2週にわたる半幅帯考でした。

半幅帯「矢の字結び」と「吉弥結び」の違いの巻

星わにこ
2026/08/05 00:00
暑い時期は半幅で気楽に普段着物や浴衣を楽しみたい!けど、意外と半幅の帯結びってお太鼓みたいに形の正解がわかりづらいのでどうしていいかわからない~という方も多いのでは。 我々大人世代は文庫結びやリボン結びなど上に重心があるものよりも、少したれがあってぺたんこな矢の字結びなどのほうが好ましくもなってきます。アシンメトリーで視線も分散しますし、帯締めも使うしお尻もカバーしてくれるので、着付レッスンでもよくリクエストされる結び方です。 で、またよく聞かれるのが「矢の字結び」と「吉弥結び」、さらに「貝の口」「後見結び」の違いってなんですかというもの。 貝の口はたれがなく、男性の帯結びと同じくぎゅっと結ぶので帯締めをしなくても落ちません。でも、他の3つは帯を折り紙のように折って形をつくるので帯締めで抑えないと安定しないという違いがあります。 で、半幅帯におけるその3つの違いって何?という話なんですが、これがまた、よくわからないんですよね。矢の字と吉弥はたれの角度が違う?とか後見結びは右上に出る角が帯の全幅で、大きめ?とか、曖昧な印象しかなかったので、今回ネットや書籍で調べてみました。 AIは「矢の字のたれはまっすぐ、吉弥はななめ」とまとめていましたが、いやいや私の認識は矢の字のたれは斜めなんですが?と思い、両者をサーチしてみると、結び方動画なんかを見てもタレの角度は斜めとまっすぐで意外とばらばら。 最近よく出ている「貝の口、矢の字、吉弥の違い」という動画では、矢の字はたれを最初に作って残りで結び目を作っていく形式(たれがまっすぐ)、吉弥は結んだ時のあまりでたれを作る(だからななめ)とのこと。 自分が最初に習って矢の字だと思っていたものは、これだと吉弥結びということになる?と思い、色々調べてみたのですが、マジで混在していました。 私のぼんやり認識では「矢の字は貝の口にたれをつけたもの、吉弥は江戸時代の引き抜き結びの応用でたれを先に作るもの」と思っていたので、ぬぬぬ、と家中の着付け本を出してきてみたところ、見事に混在。私が着付を習い始めた平成初期の本では、この認識があっていました。 1992年『きものレッスン』(主婦と生活社)や1993年『定本着つけと帯結び百科』(講談社)、2007年笹島寿美先生の『笹島式決め技の極意 帯結び100選』(世界文化社)1997年綾秦節先生の『賢いきものの楽しみ方』(世界文化社)ではこの分類でした。 でも、2016年発行のオハラリエコ先生の『ふだん着物のらくらく結び 半幅帯と兵児帯』(世界文化社)ではこれが逆に。2018年の石田節子先生の『5分で結べる! 簡単らくらく 半幅帯のお洒落』(世界文化社)でも逆になっており、さらに吉弥結びと思われるものを「斜矢の字」として紹介されていました。手持ちの大久保信子先生の書籍には矢の字が紹介されておらず、どちらかは不明。 どうも2000年代にこのあたりの認識の逆転があったのではないかと推察。2000年代というとインターネットの発達や2004年に雑誌『七緒』の創刊がありましたから、そのあたりが大勢の転換点なのかなと思います。ちなみに動画で紹介されているわれらが銀座いち利の女将も2000年代以降、つまり21世紀方式(勝手に命名)です。 で、やはりなにが正解ということはなく、自分が「矢の字」と思ったら矢の字や、ということでいいのではないかなと思いました。私は古い人間なので、20世紀方式で「矢の字」って思っていますが間違いではないと。みんな違ってみんないい。 こんな時代の流れの背景をちょっと知っていると、豊かな気分になれますね。意外なところで時の移り変わりを感じたものであります。帯は世に連れ、世は帯に連れ……。 そもそもカジュアルなものなので、半幅帯は好きな形で「私のオリジナルよ~」くらいの気持ちで楽しめたらいい。「それは間違いよ!」と自分のものさしで図りすぎない寛容さが肝要かと。お後がよろしいようで。

暑気払い。夏の鱧(はも)尽くしで京都気分の巻

星わにこ
2026/07/29 00:00
先日お茶のお稽古仲間の皆様に誘っていただき、暑気払いに参加してきました。京都に本店のある「三友居」の白金店で鱧尽くしのランチという贅沢なプランに、自分にご褒美とばかりに飛びつきました(笑)。 お恥ずかしながら鱧はほとんど食べたことがなく、憧れの食べ物。関西ではメジャーですが、関東ではあまりお目にかかりませんよね。谷崎潤一郎が好み、その最後の晩餐であったと言われる「牡丹鱧」や、皮一枚を残して細かく包丁を入れる超絶技法である鱧の筋切りなどについて知識として知っている程度でした。 京都の祇園祭は「鱧祭り」ともいわれるほど。今が旬ということで、祇園祭のコンチキチンという鉦(かね)の音をBGMに聴きながら、京都気分で涼やかな室礼の個室で美味しい鱧のコースをいただきました。 憧れの牡丹鱧、鱧の湯引き、鱧寿司、鱧巻天ぷら、鱧茶漬け……とまさに鱧尽くし。御酒もいただいてしまいました。このほかに鮑とずいきの酢の物の前菜、京茄子のいやあ贅沢贅沢。柾目の美しい木の盆に次々とサーブされていく江戸切子、錫、緑交趾などなどの器も素晴らしく、椀の蓋には露が打たれていたり、添え物の葉っぱが梶の葉(平安時代から七夕の短冊に用いられたもの)だったりと、盛り付けも素晴らしくてうっとり。 鱧のほどよく脂身のある白身は上品で、でもしっかり元気が出るお味。調理法によってふんわりほろりから、しっかり噛み締めまでバラエティに富んでいて鱧、満喫いたしました。 お店の箸袋に見慣れぬ二文字の漢字があり、一文字目は「羹(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹く」のあつものかな?二文字目は知らない、なんて読むの?と話題となってお店の方に聞いてみると「こうかく」と読むことを教えてくださいました(漢字はイラストを参照してください)。特に前述のことわざは関係なく「あつもの、吸い物」を指す言葉だそう。今は辞書にも載っていないのだそうです。その場でキモトモがネットで検索してくれたところ、1992年の『大漢語林』(大修館書店)には記載されているようですが、帰ってから自宅の1995年の『大辞林』(三省堂)第2版には載っていませんでした。ひとつ賢くなりました。目にも口にも脳にも栄養が行き届いて、今年の夏ものりきれそう! お出かけにあたってせっかくなので絽の江戸小紋を用意したのですが、当日37度とゲリラ豪雨予報でワンピースで出掛けてしまった私です。だがしかし、ご一緒したキモトモの半数が着物で、絹紅梅や小千谷縮、セオαなど涼やかな姿に惚れ惚れ。やっぱりマダムランチは着物だよね!  夏着物は着るハードルが高いからこそ、着られたときの喜びは最高なんですよね。あと脱いだ時の開放感も最高(笑)。着ていけなかったコーデをここで供養させていただきます。 絽の江戸小紋(洗えるやつ)、アンティークの絽の帯(鱧じゃなくて鮎)、瓢箪の帯留(6つの瓢箪で無病!)でこの季節ならでは(鼻息)と考えてみました。考えてみるだけでも楽しかったです(弱)。今回は洋服ででかけても帰ってすぐ寝ちゃうくらいぐったりだったので、体力をしっかりつけて、残りの人生夏も着物を楽しみたいとしみじみ思いました。 皆様も機会があれば、そして気力体力が許せば、夏着物を楽しんでくださいね!

浴衣は「昼は紺地、夜は白地」「昼は白地、夜は紺地」どっち?の巻

星わにこ
2026/07/22 00:00
先週末は、仕事場の近くの中野・新井薬師の盆踊りでした。キモトモ6名で集まって、浴衣姿で繰り出しました。踊りの輪は浴衣率が高くて、揃いの浴衣の高校生くらいのグループがいたり、お子さんはカラフルな浴衣や甚平に光るヘアバンドとかをつけていてとっても可愛かったです~! 私はひさびさにワニの浴衣を引っ張り出してきて、黒の子猫柄の帯で、黒っぽいコーデ。会場でも藍や青など、大人っぽい色の浴衣が多かったのですが、白地の浴衣が一際会場で明るく映えていてとっても素敵でした。 私が昔よく言われたのは浴衣は「紺地は昼、白地は夜」。これは昼の強い日差しの中では白地は透けやすく濃い色の方が安心という意味と、夜は白地のほうが明るく映えるということだと習いましたが、この言葉に深く納得いたしましたね。 一方私はニンジャスタイル?で、すっかり夜の闇に溶けておりました(笑)。目立ちたくないとき、隠密行動には最高かもしれません。。 逆に江戸時代には「昼は白地、夜は紺地」とも言われていたそうです。これは昼は白地が涼しげに見えてよいし、夜は藍染の紺地のほうが蚊などの虫を寄せ付けずよいという説。「昼は紺地、夜は白地」も江戸時代から言われていたという説も。そもそも浴衣は湯上がり着、普段着として着用されていたものですし、これが決まりというわけではなく、こっちがイケてる、いやこっちがかっこいい、みたいな話で、どちらでも好きな方でよいのかなと思います。 屋外での盆踊り会場では白地が素敵だったし、また夜でも明るい場所では紺地が映えるかもしれません。もうここはお好みですよね。 今は音頭だけじゃなくてなんでもあり? YOASOBIの曲で踊ったり、正統派の東京音頭、中野音頭、ハワイアン音頭、炭坑節と踊って帰ったのですが、帰りかけたところで中野名物ボンジョヴィ(盆ジョヴィ)の「Livin' On A Prayer」がかかり、もう少し踊っていればよかった!ってなりました(笑)。盆踊りは同じ動作の繰り返しなので、踊っているうちにどんどん楽しくなりますよね。 暑いけれども少し涼しい風も吹いていて、夏の夜を満喫いたしました。 その後もひとしきりおしゃべりなどして、解散。日中のおでかけや街中では、浴衣でも足袋を履いたり衿を入れたりきちんと感が欲しい年齢ではありますが、ご近所に気楽な浴衣姿でおでかけも楽しいな~と思った夜でした。 ちなみに「Livin' On A Prayer」が名物?の「盆ジョヴィ」こと「中野駅前大盆踊り大会」は今年は8月1日(土)・2日(日)だそうです。今年は行ってみようかな? 皆様もご近所の盆踊りに浴衣でおでかけ、いかがでしょうか。

体型のお悩みにはコレ!着物の補整のおすすめ本2冊の巻

2026/07/08 00:00
相変わらずAIにあれこれ聞いてみたりしている私ですが、同年代の友達も調べ物だけでなく人生相談、ダイエット、手相占い、家計関連、画像加工、ちょっとしたおしゃべりなどなど仕事以外で日常に活用している人もたくさんいて、そんな使い方できるの!なんて情報交換もしたりしています。ChatGPT派、Gemini派、Copilot派、まだまだ新しいものがいっぱいでてきて、それぞれ好みがわかれていて面白いです。 私はChatGPTにミッチー風で受け答えしてとリクエストしたら、音声会話でもめっちゃタメ口になったので敬語で話しましょう!と言ったら、結構堅苦しい敬語の後に最後にベイベー、ってつける変な返答になってきました(笑)。 一方、着物のことなど聞くと結構「それは違うのでは」という返答も多いので、あまりあてにしていないし、そもそもネットで検索してもせいぜい平成以降の情報しかあたれませんし、その情報が正しいかどうかもわからない。その上、結構な確率でこのコラムが表示されたりして「おまえ(私です)には聞いてない!」ということもしばしば(滅)。YouTubeも勉強になりますが、なにしろ見るのに時間がかかって結局ほしい情報じゃないこともあったり。先日岸惠子さんのエッセイを読んだこともあり、やっぱり本だよね! と原点回帰している今日この頃です。 もちろん着物の常識もだんだん変化していますし、YouTubeや新しいグッズなどを見るのも楽しいけれど、やはり着物を着ている人が多かった時代の本は今読んでも「なるほど」と思うことが多いです。みんなが抱えるお悩みは結構普遍的で、着付の技術はいろいろな本が出ているので、自分の好きな着付の先生の本を読み込むのも楽しいですよね。 意外とないのが、補整の本。着物を着るには土台をしっかりすると意外と着付のおなやみがなくなります。体型別の補整のお悩みについては、体と着物の関係がよくわかるこの2冊が私のバイブルです。 ・『骨格と着つけの関係―着くずれしない着つけ』笹島寿美(2007年 神無書房) ・『手ほどき七緒 「たかはしきもの工房」髙橋和江さんの十人十色の「補整」術』髙橋和江(2018年 プレジデントムック) この2冊は、補整ってなんぞ?という疑問に鮮やかな解答を示してくれる本なので、もしまだ未読の方がいらしたらおすすめいたします! さらしやタオル、補整用品まで使い方だけでなく「どうしてそういう補整をするのか」ということがよくわかります。 先日も雨の日にパラパラと読み返して「なるほど!」と目から鱗がいっぱい落ちました。本を買ったときにはわからなかったことも、着付を続けてきた今だからこそまたわかるようになったこともあり。理屈が頭に入ると、自分がそれが必要かどうか足し算引き算もできるようになります。 着物本は古いものも面白いのですが電子書籍になってないものが多いので、図書館だけでなく古本屋さんでも目を光らせていると掘り出し物があったりしますよ。スマホやパソコンもいいけど、たまには本もおすすめです! 過去記事: 岸惠子さんの「魔物・きものの魅力」を読んでの巻 古本屋さんでゲット☆昔の着物雑誌が面白かったの巻