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衣紋がキレイに抜ける着方☆3つのポイント、プラス1の巻

星わにこ
2018/06/27 00:00
 着付をはじめたころ、一番の悩みは衣紋が詰まってしまうことでした。  抜き過ぎたくはないけど、詰まってしまうとカッコ悪い衣紋。シュっと形よく抜いて着たくて、着始めはかなり抜いているくらいのつもりなのに、着上がってみると、すでに詰まってしまっているのはこれいかに!  衣紋抜きをつけて、一生懸命引っ張っても、すぐ元に戻ってしまう。ドウシテー!! と思っておりました。  今なら原因はこんなことかなと思い当たります。 ・補整をしていないので、長襦袢や長着に余計なシワが入り、布が動いてそこから崩れる ・パパっと羽織ったり、焦って着ているので布目が泳いで落ち着かず、衣紋が動いてしまう ・長襦袢、長着ともに衿をあわせる時に、前に引っ張っている この3点を解消していけば、衣紋はずれにくいはず。  最初に、ウエストのくびれや胸を押さえるなどの補整をすること。これはどれだけきちっと着たいかにもよりますが、最低限腰にタオルを1枚まく、和装ブラなどで胸を押さえるというのはしたいところ。やはり補整がきちんとできていると、その先着るのがめちゃラクになります。  次に気をつけるのは、焦って羽織ったりしないこと。そろりと羽織って丁寧に着るのがポイントです。  ちゃちゃっとやってしまいたくなったり、焦るときもありますが、急がば回れの言葉通り、ゆっくりめに手を動かしていく。布を重ねる時は、空気を抜きながらあわせていくと、あとからズレにくいです。そして布目を整えて体にあてていきましょう。  最後に長襦袢の衿をあわせるときは、抜いた衣紋が戻らないように真横にひきながら、胸を包むようにあわせます。ここで前にひいてしまったり、あわせが浅いと、布地が泳いで襟元の崩れに繋がるのです。  長着も同様に、シワをとって手をゆっくり動かして着ます。  そして、ここからが重要なプラスワン。  長着の腰紐を結んで、おはしょりと襟元を整えた段階で、長襦袢の襟元はちょっと浮いているはずです。なぜなら長着を羽織るとその重さで長襦袢の衿が押されて緩むから。  なのでこの段階で長襦袢の襟元の浮きを押さえておくことが、その後の襟元の崩れと衣紋が詰まることの防止にとっても重要になってきます。長着をはしょって、長襦袢の背中側を引いて浮きを押さえます。  その際も、衣紋抜きがついているからと、衣紋抜きだけをぐいぐい引っ張ったりしないで、じわっと、衣紋抜きを引く(もしくは背縫いを引く)。次に背縫いの両脇10センチくらいのところを持ってじわっと空気を抜くように引いて、全体を後ろに引き下げてください。  そうすると、衣紋が抜けて、前の衿の浮きが収まるはずです。それでもまだ少し浮いていたら、前の衿先を持ってじわっと少しづつ引いてみて下さい。  ここでグイ!と引っ張ってしまうと、左右ずれてしまったり、崩れてしまったりしますので、あくまでもじんわりとすることがポイントです。  それから伊達締めや胸紐で襟元を押さえて帯を結べば、襟元の崩れは断然減りますよ~! とにかくパパっと着ないこと、布目を整えながら着ること。  衣紋がどうしても詰まって来ちゃう、というときには、上記の3点とプラスワンをお試しください。着姿がかわりますよー。浴衣も同様です。すっきりと衣紋を抜いて、素敵な夏の着物姿を楽しんで下さい!

着物を着る回数をこなすと見えてくること☆巻

星わにこ
2018/06/13 00:00
 東京は梅雨入り、雨の日と天気の日の気温差と低気圧に翻弄されているわにこです。  書類を整理していたら、8年くらい前に着物好きとして、新聞に取材された記事の切り抜きが出て来たんですが、その着姿を見てものすごいショックをうけたんです。  なにがって、衿は詰まってるのに広衿が開いてるわ、おはしょりはぶわぶわだわ、髪型もボサボサで、全体的になんじゃこりゃ! でも、当時は「自分は着物が着られる。エヘン!」くらいに思ってたし、着姿に問題があるとか思ったこともなかったんですよね。いやこれは、取材してくれた記者さんも着物を着る方だったのに、ちょっと手直ししてくれなかったものかと逆恨み(?)しそうになったり。  その頃は、いわゆる「着物警察」のおばさまに「ちょっとアナタ」と直されることもあったけど、そりゃ声もかけたくなるわなあ、と思ってしまう姿でありました(苦笑)。  思い返してみると、その頃は本当に自己流で、ちょっとだけ習ったりしたことはあるけどあとは本で独学。当時はyoutubeなんかで動画が見られる時代でもなかったし、だいたい毎回着付に2時間とか平気でかかっていました。  そもそも着る回数自体も少なかったですし、毎回悪戦苦闘というかんじでした。大体、着物で力を使い果たして、作り帯のお世話になることばかり。それでも「自分で着られる」と、いろんなところにお出かけしていたのは我ながら偉いなあと。  だって、下手だから着ない、と諦めてしまっていたら、そこで試合終了。下手でもなんでも着てでかけて、着崩れたりうまくいかなかったりもして、気をつけるようになったり、所作も身に付いたりしたことで、今があるわけですから。  いや、今があると言っても、まだまだ修行中なれど、人様に教えることも増え、着る時間も15分20分あれば着られるようになり。やはり着た回数に、着姿は比例するんだろうなと思います。  でも漫然と着ると、やはり上達はしないし、自分がそれでいいと思うと変わらない。常にこうしたらああしたらと、自分にあったやり方を探す人は、どんどん綺麗になる気がします。  回数をこなして、ある程度着られるようになってくると、達人の言っていることが理解できるようになってもきます。レベルに応じて理解力が上がるというか‥‥。なんでもそうかと思いますが。  同じ日に、久々に着付のDVDを見たら、以前は着る方法を追って見ていたのが、どうしてそこでそうするのかということや手さばきの大切さが初めて理解できた気がしました。先生のすごさも。  新聞に載っている自分が、その着姿に疑問を持たなかったように、とにかく順番を守って着るだけが精一杯のときは、その先に神経がいかないよなあ~としみじみ。  その人なりの着姿でいい。好みもあるし、みんな同じじゃつまらない。もっと綺麗に着たいとか、こんな風に着たいと思ったときには、教わったり研究したり、そして回数をこなして、所作も身に付けば着姿もこなれてくる。  あと、どんなに「これがいいわよ」と言われても、それのなにがいいか理解できるところまで自分がいっていなければ、馬の耳に念仏ですよね。おばちゃんになった今になって「ああ若い時もっと勉強すればよかった」と思うけど、若い時は遊びたかったみたいな(笑)。ちょっと違うか。  着物の着方の正解はひとそれぞれ。洋服と同じように構えずに自分がいいと思うように着られたらいいんだよな、と思います。  幸い、私の周りにはその着姿についてけなしたりする人もいなかったため、私も着物を着ることが嫌いにはなりませんでした。  とはいえなあ‥‥‥記事になってたくさんの人の目に触れる時はそれなりにちゃんとしたほうがいいし、知ってる人はちょっと直してあげるといいよね‥‥なんて、写真を見ながら思うわにこでした。

伊勢木綿でさわやか初夏コーデの巻

星わにこ
2018/04/18 00:00
 気温がぐんと上がったり下がったり、着物のおでかけに頭を抱える晩春ですね。桜がとても早く咲いたかと思ったら、一気に初夏の花まで咲いてしまい、いつもゴールデンウイークに楽しむ藤を見ながら、駆け足の季節に驚いています。  こうなるともう、単衣で過ごしたい。暑いと予報が出るとうそつき衿と、薄手のウールや木綿などの単衣に出動してもらっています。  でも急に気温が下がることもあるので、日焼け止め兼のアームカバーと大判ショールは手放せません。  暑ければ暑いで、寒ければ寒いで、悩んでばかりですね(笑)。でもこの四季の移ろいがあるから、日本は美しい。ボケないで済むかも?なんて思ったり。  木綿の着物はあまり持っていないので、こういう時期に活躍してくれそうな伊勢木綿で、最高気温が23度を超える日コーデを妄想してみました。  伊勢木綿は、もう織元が1軒しか残っていませんが、昔ながらの格子柄が大人カワイイチェックのワンピのようでとっても可愛いのです。肩掛けカバンやピクニックバスケットを持っておでかけしたくなってしまいますね。  八寸の帯に可愛い帯留をつけて、藤やツツジをみながらお散歩したいコーデです。  さわやかな初夏の風を感じながら、木綿の着物でおでかけしましょう!(妄想)

意外と知らない?足袋のはきかたおさらい☆の巻

星わにこ
2018/02/14 00:00
 突然ですが、皆様足袋をはくときはどんな格好ではいていますか? 足袋をはくときは、基本は体育座りポーズでひざを立ててはきます。ちょっとエレガントにはきたければ、横座りもアリ。体幹に自信のある人は、立ってはく?  さてさて引き続きぎっくり腰の余波で、おとなしめの生活をしているわにこです。とにかくゆっくり動き、腰に負担がかからないように‥‥なんですが、着物を着る時。着物を着るの自体は大変ではないんですが、足袋をはくときがちょっと、いえ大変辛い‥‥。  前屈みになってする動作が辛いんですね~。体育座りをしても横座りをしても、辛い! で、足を組んで履いてみたら、あらっ! コハゼに手が届きやすく、履きやすい! 皆様もう御存知でしたか? ちょっとお行儀が悪いですが、背に腹は変えられない。足袋は一番最初に履きますから、考えてみたらどんなポーズも自由自在ですよね。らくちんでした。  ついでに(?)足袋のはきかたのおさらいをしてみました。  最初に足袋を折り返して指をきちんと入れる。こうすると足袋をピタっとはけます。あと、よくつま先を伸ばして足袋を履こうとする方がいますが、つま先はたてて足首の角度を直角にしたほうがコハゼはとめやすいですよ。基本的なことですが、コハゼは下からとめていきます。 まとめると‥‥ (1)足袋のコハゼを外して、つま先に向かって半分に折り返し、足を入れて指を奥まで入れる。 (2)折り返し部分を元に戻して、かかとをきちっと納める。 (3)足首を直角にしてコハゼを下からとめる。二本の掛糸にこはぜをひっかけ折り返してとめていきます。一番上までとめたら、全体を後ろに引くようにして密着させると外れてきにくいです。 ※このとき、座って足を組むと、コハゼがちょうどよく見えて手が届きやすく、ラクにはけます。どうしても履きづらいとき、お試しください。  コハゼは、掛糸二本を一度にひっかけてとめますが、上のほうなど足首が太くてかけられないようなときは、手前の1本にかけたりしてもオッケー。自分にピッタリサイズの足袋を誂えられればそんなこともありませんが、市販の足袋はいろんなサイズがありますし、基本は伸縮性がないものなので、自分にあった足袋を探してください。  小さめの足袋をキュキュッとシワの入らないようにピタッとはいた足元は本当に美しいもの。でも結構痛かったり。かといってブカブカの足袋は不格好(^^;)このあたりは個人差がありますので、辛くなく美しく見える足袋が欲しいなあといつも思います。  私は特に甲高幅広の足なので、なかなかキレイに履ける足袋がなく、どうしてもストレッチ足袋にしてしまいがち。綿でピタリと決まった足元は憧れです。また、訪問先で草履を脱いで上がったりする場合はきれいな足袋でお邪魔したいもの。こんなときは替えの足袋を持っていくという方法の他、足袋カバーをつけていって、中に入った時に脱ぐという方法もあります。(時々、忘れてずっと履いていて気付いてあっ!ということも多いですが‥‥えっ私だけですか)。  ファッションとして履く足袋は、今いろんな素材のものが出ていますし、色や柄も豊富。寒い時期はネルや別珍の足袋もいいですね。レースや合皮などのものもあり、白ばかりにこだわらず、ラクに楽しく履ける足袋で遊ぶのもいいですよね。合皮のものなどは、草履にうまくあわせると、ブーツや靴っぽくもあり、カッコイイですよ。着物のときは必ず履くものなのに、ちょっとおざなりにしがちな足袋のおしゃれ。今年は私もいろんな足袋にトライしてみたいです。  もちろん、はくときもスマートに‥‥を心がけて(苦笑)。

妄想の限りなく降り積もる雪のドットコーデ☆の巻

星わにこ
2018/01/24 00:00
 寒さ本番! 東京は久々の雪景色。毎年大騒ぎしているような気もしますが、年に一度あるかないかの積雪では、心構えがちゃんとできないものですね。転んだりしないように用心したいものです。  かくいう私も着物で出かける仕事があり、この!大雪のときにこそ履きたい撥水モンペを仕事先に忘れて履いて出かけられないという失態。仕方ないのでレインコートと防寒コートの二枚重ねで出かけました。  だんだんと雪が降り積もっていく美しい日本庭園を窓から眺める一日は、仕事とはいえ心が潤いました。  雪かきや大変なことも多いですが、やはり雪が舞い、地面を白く覆い隠すと気持ちがフワリと上がるから不思議です。美しいものは、よきものかな。  今回はそんな雪をイメージしたドットコーデです。 http://bit.ly/2DzMWOp  ドット雨縞という名前の結城紬ですが雨から雪に変わって行く様子のようにも見えます。帯は白にドット。真っ白な空から降ってくる雪は、見上げるとグレーに見えますよね。帯揚も白にドット&ボーダー。帯締めも白に丸い石。半衿は白にラインストーンがキラキラしています。ワントーンだけど、可愛くてワクワクするようなコーデを目指してみました。  だんだんと雪が積もって、モノクロの世界に変わっていく。きれいでワクワク。家に御籠もりして、窓の外の雪見をしながら暖かい飲物を飲んでもいいし、しっかり着込んで外に出て雪だるまをつくるもよし!(雪かきをするのがベストですけども、これはなかなかウキウキしない(笑))  こんなことをいうと雪国のみなさまに怒られそうですが、たまの雪の日。あの雪の日は……なんて記憶にも残っていくものです。今年の東京の大雪、皆様はどんな思い出ができましたか?

着物の防寒2017☆三つの首を温めろの巻

星わにこ
2017/12/13 00:00
 冬将軍到来! いきなり雪景色になったところも多いのではないでしょうか。東京は雪こそ降っていませんが、乾燥して寒い日が続いていますね。  今回は着物の防寒についてちょっとおさらいしてみたいと思います。  着物は重ね着していますし、帯まわりもあったか。下着やコートなどの防寒も大切ですが、それにくわえて押さえておきたい、冷えポイントの首元・手首・足首の3つの首。ここをカバーさえすれば、着物は本当に暖かい衣服です。  まず首はマフラーやショールで。羽織りやコートでは首元はカバーできませんし、アップスタイルにしたときなど本当に後ろの首の付け根が寒い! 特に冷すと風邪をひくという風池(ふうち)というツボの部分は温めておきたいところ。  次は手首。こちらはアームカバーが有効です! 手袋とアームカバー両方しておくと最強。手袋はとってしまいますが、アームカバーはたくしあげておくだけでもOKです。  そして足首。こちらは足袋の下にはくハイソックスがマジあったか。以前は、スパッツなどを履いて防寒していましたが、足首が出てしまうのでやっぱり寒い。トレンカにしてみたこともありますが、スパッツやトレンカはお手洗いのとき上げ下ろしが面倒くさい。というのでここのところ、足袋の下にはくハイソックスタイプに落ち着いています。これにプラスしてステテコをはけば、足全体が暖かです。  難点があるとすれば、足袋のサイズがピッタリのものだとワンサイズアップしなくてはいけない時があることでしょうか。あとは、ちらっと階段などで足首のところが見えた時、目立つ色だとちょっと恥ずかしいです。ご自身のお肌の色にもよりますが、白めよりは濃いベージュのほうが、肌着っぽくなくて自然な感じがしますよ。  裏ワザとして、厚手の足袋ハイソックスを履いて、その上に足袋カバーやストレッチ足袋を履く、というものがあります。こうすると足の形も出難いですし、一見足袋をはいているようで、でもあったかラクラク。  あとは、足袋自体を暖かい素材にする、というのもアリですね。べっちんやネルなど、あったか素材の足袋にすると足先の冷えがかなり違います。最近では合皮の足袋などもあったりして、新素材のものを試してみるのもアリですね。厚手の足袋をはくと、かなり足元が頼もしいかんじです。  あとプラスワンアイテムとしてはホッカイロ。お太鼓の下につっこんでおくと暑くなったら取り出せて便利です。足先用ホッカイロを足袋の下に入れるのも、暖かいですよ。  3つの首をあたためて、着物でおでかけ楽しみましょう♪

やっぱり可愛い☆矢絣は若い女子しか着ちゃだめですか?の巻

星わにこ
2017/12/06 00:00
 寒くなってまいりましたね! 着物のときには足袋下ハイソックスとアームカバーが手放せないわにこです。  さて、先日ゲームマーケットに参加してきたのですが、フォントかるたというかるたの売り子だったため、やっぱ袴でしょ!というわけで袴姿でいってまいりました!  袴といえば、やはり矢絣の小紋にあわせたい!と矢絣の小紋に黒い袴をあわせてみました。  なぜ袴といえば‥‥かというと、大正時代に女学生たちの間で矢絣の御召に海老茶の袴姿が流行し「海老茶式部」と呼ばれたそうで、そのイメージが強いせいでしょう。マンガ「はいからさんが通る」でも、主人公の紅緒さんがこのスタイルでしたよね。先日の「はいからさんが通る」展に袴ででかけて以来、すっかり袴スタイルがお気に入りになっております!?  他に矢絣の着物というと、大奥の女中さんたちの姿も思い浮かべます。  矢絣は矢羽根絣、矢筈絣などとも言い、矢は射たらまっすぐ飛んで戻ってこないことから、嫁入りに持たせると出戻ってこない縁起柄とも聞かされてきました。これについては、辛かったら戻って来てもええんよ、とも思いますが(笑)それはさておき、よいところにお嫁入りできるようにということだったのでしょうね。  弓矢の模様は破魔矢などを連想させ、魔除けとして男子の着物の柄などに使われていますが、この矢絣については、行ったきりにならないように‥‥という願いから戦争にいく男性には着せない持たせないものだったそう。  魔を払い、まっすぐに、遠くに飛んで行く矢。模様に込められた様々な想いを知ると、身につける時に気持ちも変わる気がします。  大きな矢絣に花等様々に華やかな模様を使った崩し矢絣などもありますが、いずれも「若いお嬢さん」というイメージが強い、可愛らしい柄です。  実はそんなに矢絣に対しては思い入れもなく、普段は敬遠していたのですが、いざ着てみると、やっぱり可愛くてテンションがあがります! なんとなくハートがいっぱい飛んでるみたい。なんでしょうかこの若やいだ気持ち!!  フォーマルな場でなければ、自分が嬉しかったり楽しかったりすれば、年齢などにはとらわれずに好きな柄を身につけても構わないと私は思っています。だってファッションだから! 楽しんだもん勝ちではないでしょうか。  そして、知識として「この柄はこういうものである」と知って楽しむのとそうでないのとでは、楽しみの奥行きが全然違ってくると思います。  とはいえちょっと恥ずかしいわ、なんて思うときには、帯締めや帯揚などにさりげな~く好きな模様を取り入れるのもいいですね。  着てみて矢絣の魅力再発見!でした。やっぱり着物は、着てなんぼ。好きなもの、どんどん着てみよう!と思う年の瀬でした。

単衣の着物に「居敷当て」つける?つけない?の巻

星わにこ
2017/09/27 00:00
 気がつけば9月ももう終わり。秋晴れの日にそろそろ観念して浴衣や洗える夏物を洗ったり、お手入れに出したりして衣替えに備えています。自分で洗うときはもちろん、お手入れに出すときも、なるべくシミや汚れを事前にチェックしておくとよいですね。  そんなとき、時々あっ!と思うのがおしりのあたりの背縫いの「被せ(きせ)」(縫い目よりすこし余裕をもって布を折ってある部分)が開いて、縫い目が広がっているものがあること。  ピッタリ着付けて立ち座りが激しかったり、仕事や踊りなど動作が激しい場合はこの部分が広がってきやすく、酷いときは裂けてしまったりすることもあります。  ちょっとキケンかも!と思うような状態のものを発見したら、それを防いでくれるのが「居敷当て」です。居敷当ては、後ろ身頃の下半身部分だけにつける当て布。これがあることで補強になり、おしり部分の表地に力が直にかからなくなり、縫い目の開きを防いでくれます。  また、夏物や単衣では足が透けて見えたりするのを防ぐ効果も。また紬などの場合、足さばきもよくしてくます。  ウールなどの普段着の場合は、よく30センチ~40センチ四方くらいの共布でおしりの部分だけに居敷当てがつけてありますが、この場合は縫い目が表に出てしまうので、別布で後ろ身頃全体もしくは体の幅(共布=反物の幅)くらいにつけるものが多いです。  居敷当てをつけることのデメリットは、布が1枚増えるので暑い。別布でつけると洗濯の時に表地に収縮率が変わることがあり、お手入れに注意が必要。生地代、仕立て代がアップする、などがあります。あと、長襦袢を透けさせて楽しみたい着物などにはつけるとそこが透けなくなってしまいますのでNG。  でも、この居敷宛があると安心して着られるのですよねー。それに、透けが防げるので、暑い時期にうそつき襟にステテコ1枚で着られちゃうので結果暑くない! なにも知らないときは「料金が高くなる」という理由でケチってつけなかったのを、後悔しています。    基本仕立てる時につけるものですが、探せばお直しをしてくれるところもあるので、あとからつけてもらうこともできます。  これからもし、次のシーズンの単衣や夏物のことを考える時は、居敷当てのことをちょっと思い出してくださいね(^^)。着物の素材によってふさわしい居敷当ての種類も変わりますので、お仕立ての時に相談してみてください。  まだまだ日中暑いのでしばらく単衣は手放せそうにありませんが、朝晩は着物でおでかけによいかんじになってきました。秋の着物も楽しんでくださいね\(^O^)/

着物のしつけを外す☆飾りしつけと普通のしつけの巻

星わにこ
2017/09/06 00:00
9月に入ってすっかり秋めいてきましたね。もう夏着物には手が伸びず、単衣を着ることも。やっぱり、涼しいと着物が楽で楽しいです。  着付のお仕事もオンシーズンになります。先日は秋の結婚式出席のための留袖と訪問着着付のご相談をいただきました。留袖、訪問着のコーディネート相談も含めて、事前準備のため伺ったのですが、留袖は今回初めてお召しとのこと。しつけがついていました。  しつけはそもそも、着物を仕立てた時に、布を落ち着かせるためにするもの。  袖や裾に一目落としでついている、大きな縫い目のしつけはとりますが、留袖や振袖など礼装には「ぐし」と言って、掛け襟や袖口、裾などに細かい縫い目で白いしつけがしてあるものはこのままで使います。  これを間違ってとってしまうと(本当に細かいので、とるのはすごーく大変だと思いますが)押さえがなくなるので、フカフカになってしまいます。  一方、大きなしつけのほうは、とって着るもの。ついていると、「あら、とり忘れ」と思われてしまいます。初めて着る着物などは、前日に見てチェックしないと取り忘れて当日あわてることも。  新品でなくても、丸洗いなどのお手入れのときにこのしつけをしてあることもありますので、久しぶりに袖を通す着物は必ずチェックを。意外と着てから「あっ!しつけついてた(ガーン)」となることもあるあるですよね。  こうなると、あわてて着たままとったり、一部取り忘れたり‥‥。そしてそれがずっとそのままだったり‥‥(えー)。  でも、他の人のしつけとり忘れは目についちゃったりするんですよね~。しつけの糸の縫い始めのところが、とりきれずにピロ~ンと出ていたりすると「お仲間‥‥」と勝手に親近感を持つ私です(^^;)。  本当は、ちゃんと前日に落ち着いて着物のチェックをすべきだとわかっているけどなかなかできなかったりしてしまうのですが、実はとてももったいないこと。  落ち着いて前日着物のしつけをとるときは、とても幸せな気持ちになるものです。新しい着物やきれいになった着物に袖を通すワクワク感のせいでしょうか。この事前の準備の時間も含めて、着物を纏う楽しみなのではないかと。  お客様には、前日留袖のしつけをとって、ハンガーにかけて大きなシワをのばしておいてくださるようにお話しました。  あとはこれが結構忘れがちな襦袢の半衿つけ。どんな半衿をつけたらいいかや、帯締め帯揚げや小物などもご相談にのりました。草履バッグまで入れると本当に結構な数のアイテムを準備しなければならないんですよね。コーデだけじゃなくてヘアセットとか持ち物とか予定とか‥‥でもこの準備がまた楽しい!  普段から着物をお召しになるお客様でしたので、お話も早くて、当日の準備や足りない物についても確認がきちんとできました。晴れの席の準備は、お話を伺うほうもお裾分けをいただいて本当に幸せな気持ちになります。  この準備の時間を含めて「お祝いの儀式」なのだなあと実感。お手伝いさせていただけることに感謝です。精進せねば!  留袖のしつけを見せていただくと、おくみの裾のところに「松葉飾り」がしてありました。おめでたい席の着物だから、おめでたい松のモチーフが使われているのですね。この「松葉飾り」は飾りといいながら、とるしつけです。  とってしまうものなのに、この美意識と心遣い。日本の文化って素晴らしいなあ~と感動しました。比翼のほうにも同じように松葉飾りが入っていましたよ。その着物を纏う人が、幸せでありますように‥‥そんな祈りがこめられているように感じました。  最近はなんでもアリで簡単にすませてしまいがちですけれども、丁寧に準備をすることの大切さ、有難さを再確認。着物は、忙しすぎる毎日に、ちょっとブレーキをかけてくれるものなのかもしれませんね。もし着物を着られる機会があったら、ぜひ袖を通していただきたいなあと思う秋のはじめでした。

キュウリとかナスとか夏野菜コーデ6日間☆の巻

星わにこ
2017/08/30 00:00
 残暑お見舞い申し上げます。この言葉が使えるのもあと2日。8月も終わり、暑さも少しだけ和らいできましたね。とはいえ、この暑さの中着物でおでかけは結構気合いがいります!  そんな8月の後半、6日連続でお仕事で着物を着ました。この時期に着られるカジュアルな夏着物も帯も非常に限られている中の着回しコーデ。はっと気付くと色が薄い緑系に集中しており、キュウリっぽい‥‥。  そのことを仕事場で言うと先輩に「ウリ!ウリ!」と大受け。可哀想に思ったのか他の人が「メロン?」「それもウリ!」。マスカットとかクリームソーダとかも言ってくれたのですが、結局キュウリということに。  次の日は別の帯にしてみたのですが、今度はキュウリとナスということに。まあそう言われても、見事にキュウリ色系の着物と着物ばかりで自分で可笑しくなってしまいました。最終日だけ、キュウリ系の色を使わないで行ったら、「ナスだよね!」(爆)  もう一度そう思ってしまうと、元に戻れないのかも。  ちなみに、インナーはずっとたかはしきもの工房のうそつき衿。長襦袢が省略できるので、暑い時期本当に助かります!  以下着回し日記です。 【1日目】黒のしじら浴衣にペパーミントグリーンの帯。 【2日目】キュウリっぽいよね!と一番言われたウリコーデ。帯は前日のものを着回し。竹素材の夏着物の色がどんぴしゃりのキュウリ色なのか‥‥。 【3日目】着物も帯も替えて気分一新!のはずがキュウリ&ナスコーデに。着物はいち利モールの洗える着物です。 【4日目】帯はそのままで絹芭蕉の夏着物を着納めと思ってとり出すも、やはりキュウリ系の色のため、引き続きキュウリとナスに。 【5日目】竹素材の着物の色違いならキュウリっぽくならんでしょ!と今まで手が伸びなかった暖色系の着物に。でも帯が‥‥‥。実は着物じゃなくてこの帯がキュウリな原因!? 帯締めは2日目のものの裏側を出しています。 【6日目】もうキュウリとは呼ばせない! キュウリ色を排除して意気揚々と仕事に向かうも、ナス。と一刀両断になってしまったオチ。なんでだろう‥‥。  とここまで書いて、草履の色も緑だと気付きました!!!ソレダ! ‥‥‥夏野菜ですから‥‥‥季節にあったコーディネートということで。  こうやって写真を並べてみると、自分の持っている色や好きな色が一目瞭然。他の色も持っていたりはするんですが、その時の気分で選ぶ色って以外と似通ってしまうんですよね。  色もそうですが、柄物の少なさに改めてビックリもしました。無地ラーと呼んでください(なんだそれ)。たまにはコーデ写真を並べてみるのもいろいろ考える機会になりますね。  来年の夏は、別の系統のカラーにもチャレンジしてみたいと思う夏の終わりでした。

流行ってる!レースの羽織は便利です☆の巻

星わにこ
2017/06/21 00:00
 先週はこのコラムを病欠してしまい、大変申し訳ございませんでした。毎週毎週ギリギリでもなんでも担当の皆様に助けていただいて続けていたのに、お休みとなってしまい本当に無念です。月初めにひいた風邪が全く治らず、ぶりかえして結局1週間くらい寝込んでしまいました。地味に流行っているようですので、皆様も風邪にはお気をつけくださいませ(><)   流行っている、といえば一昨年くらいから、レースの羽織を着ている方をよく見かける気がします。最初は黒、白だったのが、最近はカラフルで模様も様々。バリエーションが豊かになっています。2枚目をお探しの方も多いのではないでしょうか。なぜこんなにレースの羽織姿が増えたかというと、思うに‥‥‥  便利だから!  なにが便利かというと、「季節を(かなり)問わない」ということでしょうか。  羽織は、ちりよけにもなりますし、帯結びに自信がないときや着付のアラも隠してくれる強い味方。コーディネートや羽織紐でもおしゃれ度もアップしますし、取り入れたいアイテムではありますが、着物や帯同様、着用時期が気になります。  このコラムをPCで見た時に「人気記事」というのが5つ見られるのですが、よくランクインしているのが2014年の4月に書いた羽織の着用時期についての記事。  袷、単衣、薄物の羽織の着用はいつごろなのかを書いたのですが、レースやシースルーはスリーシーズンOK、となっていますね。  これが同じスケスケの旧来の紗や絽の羽織の薄物であれば、かなり季節が限定されます。紗は5月から9月OKですが、実は同じ薄物でも絽の羽織は「絽目があるものは夏物だから」という理由で、6月中旬から8月一杯と言う厳しい旧来のルールが適用されがち。  そうとも知らず、薄物の羽織があったら便利なのに!と、ヒトメボレした絽の生地で長羽織を作ったものの、なかなか袖が通せていないワタシです。トホホ。  体感でいいじゃないのと言いますが、なかなか「決まり」がある、しかも着物と違ってプラス要素でわざわざ着るものですからルールを崩すのにはちょっと勇気が。しかも、その時期、暑いですから! いくらちりよけと言ってもなかなか出番がありません。  一方、レースの羽織は、ぐっとくだけたかんじになりますので、素材感さえ問題なければもう年中着ていても許されてしまうほどオールマイティ。浴衣にオンして楽しもう、という提案もあります。レースの半衿が季節関係なく使えるのと同じですね。  レースだけでなく、シースルーなど透ける素材の洋服地で作った羽織も同じように扱われることが多いです。これらの羽織は、広幅の生地で作られますので、背縫いがないことも。個人的には背縫いがあったほうが、キリっとして好みですが、必要のないものは入れなくてもよいという考え方もアリです。  いち利モールでもオリジナルレース羽織「ふわり」の種類が増えていて、どれも素敵で迷ってしまいます‥‥背縫いもあるタイプだし‥‥しかも今なら10%オフ‥‥こうやって迷っていると人気色からなくなっていくので、早く‥‥ああっでもっ‥‥と毎年煩悶している私です。「ふわり」のシリーズもいいんですが「しゃなり」のシリーズも捨てがたい‥‥‥!!  こうして悩んでいる間に、時が過ぎてしまうわけですが‥‥。最近は、もうズバっと買ってしまってバンバン着たほうがいいよね!と思いつつも、絽の羽織の失敗が尾を引いていて、ここまで引っ張ってしまうともうなんだか踏み出せなくて‥‥。神様、私に勇気をください! いやでもセールになってるあれも欲しいしこれも欲しいのでどうしたらいいですか!(知らんがな:神の声)  これからの季節、いえずっと、ますます活躍しそうなレースの羽織。黒や白のオーソドックスなものを持っている方も、その便利さに新作の中からもう1色、違う色目が欲しくなってしまうのではないでしょうか。とすると、これから1枚目を買う私はどの色を選んだらいいのか!!!  この煩悶も、まだまだ続きそうです(苦笑)。

夏の帯枕はへちま?麻?それとも新素材?の巻

星わにこ
2017/06/09 00:00
   関東も梅雨入りしましたね。雨も気になりますが、とにかくムシムシと暑いのが辛いこの季節。すこしでも爽やかに着物が着たーい!  着物、帯、インナーはもちろん、着付け小物も涼しい素材が気になりはじめます。メッシュのものなどもありますが、夏素材のクイーンはやはり「麻」でしょうか。  麻は熱伝導性に優れ、通気性、速乾性もあり、天然繊維の中で最も涼しいと言われています。しかも自分で洗える! 本当に魅力的な素材です。ハリがあるので、体に張り付かないのも涼しさの一因。そのかわり、すこし肌あたりがきつかったり、着膨れして見えるのが弱点。  着付け小物にももちろん麻のものがあります。腰紐や伊達締めはもちろん、帯板、麻わたを使った帯枕や補整も人気です。  もうひとつ、夏になると急に欲しくなるのが「へちま」。スポンジ状で通気性が非常によく、熱がこもらないので、夏の帯枕といえば「へちま」は不動の人気です。帯板などもあります。へちまの帯枕は自作!という方も。  自作と言えば、めちゃめちゃ暑い日にはタオルを巻いて帯枕をつくって、その中に保冷剤を入れるというテもあります。でも保冷剤は溶けてしまうので、あまり長時間向きではありません。  たかはしきもの工房の帯枕「空芯才」も人気があります。中に立体メッシュ素材が使われていて、通気性がよくてやわらかい。枕の長さがあるので、帯山の形が決まりやすく、背中にフィットするのでもたれたりしても痛くない。帯枕は固いものだと思っている方、目からウロコですよ。  その上、なんと洗濯できちゃう。意外と帯枕は汗を吸っているので、洗うとさっぱりします。特に夏向きというわけではなく通年仕様ですが、これが一度使ったらやめられません。私の周りでも、ほとんどのキモトモ(着物友達)が使っています。  私は、夏は空芯才とへちまと併用しています。へちまのほうが少し軽くて、背中への密着度がないので少し涼しい気がします。なのでカジュアルで気楽な帯のときなどはへちまで。形をきちっと決めたいときは空芯才です。  でもやっぱり固い帯枕を使うと背中が痛い‥‥。のでやはり空芯才の出番が多いでしょうか。  それから、帯枕は素材だけでなく、その形も注目したいところ。  帯のお太鼓の形はお好みがあると思います。短めで丸みがある枕で帯山が丸みをおびていたほうがいいという方、まっすぐなのがいいという方。その好みの形にも帯枕は関係してきます。  また、一般的に若い方は大きく高く、年齢を重ねるに従って小さく低く、というのが帯枕のセオリーです。そのほかに、礼装は高く華やかに、カジュアルは低めに、というものもあります。  特に夏帯に多い、薄くてやわらかめの素材は、帯山の形に枕の形が影響しやすいですから、どんな時に使うかに気をつけて選ぶとよいでしょう。  夏に限らずですが、意外と着付の小物は家にあったもの、最初にセットに入っていたものなど、そのまま使っている場合が多いです。小物類も、新しいものや新素材のものに変えてみると、びっくりするくらい着心地が変わる場合があります。涼しい素材にも目をむけて、着付の小物類を見直してみませんか?

「胴抜き」仕立てで暑さ対策。天候別コーデの巻

星わにこ
2017/04/19 00:00
 東京はいきなりの真夏日になったりして、もう袷が暑い!?という今日このごろです。穏やかな春はどこにいってしまったのでしょうか?  先週の金曜から3日間、仕事で着物を着る機会があったのですが気温が高く、初日からもううそつき袖も単衣に替えて、今まで重ね着していたインナーも減らし、肌あたりがさらりとしている大島紬で出かけました。でも、まだ冷房が入っておらず何とも生温いかんじ。  2日目は、袷は無理と判断して胴抜き仕立ての着物にしました。「胴抜き」とは、袷の時期に着るように、袖の裏や衿裏、八掛(裾まわし)はついているのですが、胴裏がありません。これは、去年洗い張りをして仕立て直すときに、張りが強い生地だったので「胴抜きにしたら?」と勧められたものです。  胴抜きは、袷の時期だけど暑くて‥‥という時などに活躍してくれます。暑がりだから、冬もずっとこの仕立て方という方もいます。  また少しでも胸元のボリュームをすっきり見せたい人、着物の生地が厚ぼったいときなどに有効な仕立て方でもあります。スリムな人には向かないこともあるかもしれませんね。  ちょっと張りの強い生地だったので、前より着心地がアップした気がしますし、暑さ対策という点でもやはり胴裏がない分快適でした。あとで聞いたらなんとこの日26度にもなっていたとか。室内にいたのでそこまでは感じませんでしたが、いやあ、お客様もタンクトップの方がいたわけだわ!と納得。  ひとつ欠点があるとすれば、胴裏がないので汗などダイレクトに着物の生地に響いてしまうということでしょうか。まあ、でもこれは単衣仕立てでも同じことなので、そんなに気にする事もないかなと思います。  これだけ袷の時期に暑い日が続くようであると、もっと胴抜き仕立ての着物が欲しいかも。冬も、東京ではそんなに寒くもないですし、室内に入れば暖房で暑いこともあるくらいですから、暖かさはインナーなどで調整して、着物は胴抜きでもいいのかも、などとつらつら思いました。  3日目は、雨予報だったので洗える着物で。暑さはそんなに感じませんでしたが、やはり着心地はあまりよろしくなく。でも、夕方から遠慮のない雨! 風が強いので傘をさしていても意味がなく、駅からポリの羽織の前をあわせて帯をガードしてブローチで留めて、家まで10分歩いて帰ったら全身ビッショリでした。そのまま洗濯ネットに入れて手洗いモードでお洗濯。次の朝には乾いていて、有難い!!  そんなわけで図らずも3日間、天気を見ながら違う着物に袖を通したのですが、同じ帯で通してみました。木綿の帯なのですが、春のお花畑みたいで今の時期、とってもしたい帯ナンバーワンなのです。着物は、気温だけじゃなく色柄や雰囲気でもこの季節に着たいというのがあって、そこが悩ましくて楽しいところ。帯締・帯揚もちょっと替えながら、どうかな~とは思ったのですが、意外と飽きずに(笑)3日間過ごせました。  こうして見ると、あんまり変わらないですね(笑)でも、着心地は結構違いましたよ~!   カジュアルシーンだったらもう単衣だっていいのですが、仕事だとそうもいかないときもあります。機会があったら胴抜き仕立ての着物は増強していきたいな、と思った春の真夏日でした。 関連記事:袷の時期に涼しく 胸元すっきり胴抜き仕立てのすすめ

妄想コーデ☆宝づくしに市松・七宝、縁起柄でお正月!の巻

星わにこ
2017/01/04 00:00
 あけましておめでとうございます。もう三が日過ぎてしまって、早! でもまだまだ1月中はお正月! 気持ちも新たに、今年もばんばん妄想してまいりますヨ(せんでええ)。  ということで、お正月は縁起のよい柄コーデでたくさん福を授かりたい! そんなお宝尽くしの妄想コーデを考えてみました。  着物と帯は「宝尽くし」。その名の通り、お宝が散りばめられている模様です。お宝は、仏教由来のものや日本独自のものまでいろいろなモチーフがあります。 「打ち出の小槌」は七福神の大黒様が持っている、願いを叶えてくれる小槌。 「金嚢(こんのう)」は財宝を入れる袋。宝袋。 「隠れ蓑」「隠れ笠」は笠は男性、蓑は女性の宝物で、身を隠す=身を守る縁起物。 「分銅(ふんどう)」は金の重さを秤で測るもの。富や財力。 「丁字(ちょうじ)」は香料のグローブ。高価で薬や染料としても使われた。 「宝巻(ほうかん)」書物の巻物。知恵や知識の象徴。 「宝鍵(ほうやく)」蔵の鍵。富の象徴。 「七宝(しっぽう)」光り輝く7つの宝玉。 「如意宝珠(にょいほうじゅ)」観音様が手に持っている願いが叶う珠。 などなど、パっと見では「何のお宝かわからない」というモチーフがたくさん。 でも、意味を知ると有難い気持ちになりますね。宝尽くしは、これらのモチーフの組み合わせ。どれとどれがないといけないという決まりもないですし、この他にも宝船や七福神、花模様などと組み合わせて「宝尽くし」と呼ぶこともあります。要は、お宝いっぱいの模様!ということですね。  半衿と帯揚は七宝模様。宝尽くしにも出てきますが、七宝とは七つの宝玉、「金、銀、 瑠璃(るり)、 玻璃(はり)、しゃこ、珊瑚(さんご)、瑪瑙(めのう)」を現しているそう。  また、帯締めは市松模様。この模様はもともと石畳模様と言われていたものが、江戸時代中期に歌舞伎役者の初代佐野川市松がこの模様の袴を用いて人気を誇ったことから、市松模様と呼ばれるようになったそう。どこまでも模様が同じように繋がっていくことから、子孫繁栄や長寿、事業拡大などの縁起模様として知られています。 http://bit.ly/2hJdb6g  ここにあげたものだけでなく、縁起のよい模様やモチーフはたくさんあります。好きな縁起模様を身につけて、福を招きたいですね。  ここ数年落ち込むことが多かったのですが、縁起柄のパワーもいただいて心機一転いい1年にしたい!と意気込んでおります。コラムもまた皆様に楽しんでいただけるよう練ってまいりますので、本年もどうぞよろしくお願いいたします\(^O^)/

赤コーデは勝負色! 「真田丸」の赤備えと房に注目の巻

星わにこ
2016/12/21 00:00
 大河ドラマ「真田丸」皆さん御覧になってましたでしょうか。私近年珍しく、大河を最後まで視聴しました! 最初は主人公の影の薄さと周りの濃さにびっくりしつつ、クライマックスにむけて「ああ、この時のためのこの1年」というような見事な展開に胸を躍らせました。  春休みには徳川家康の日光御鎮座400年ということで東照宮へ。ゴールデンウイークは信州上田まで馳せ参じ、年末は大阪城に!(時間の関係で近くまで行っただけですが‥‥)上田城も大阪城も六文銭の赤い旗がはためいて盛り上がっていました! 「赤備え(あかぞなえ)」というのは甲冑や旗などを朱色で統一した軍団編成のこと。最初は甲斐武田の飯富虎昌が用いたとされ、「武田の赤備え」が有名です。他に井伊直孝の「井伊の赤備え」。彦根城のゆるキャラひこにゃんも、この井伊の赤備えです。そして真田幸村が大坂の陣で敷いた「真田の赤備え」。  赤は太陽や血の色であり、生命力を象徴する色。遠くからでも目立ち、人間の脳を刺激し興奮させる色と言われています。「勝負色」ですね。年末のバーゲンでも赤い「SALE」の文字が踊ると闘争本能に火がつきますよね(つきませんか)。そして、赤は飛び出て見える色でもあります。甲冑が赤ければ実際よりも迫って見えたり、強そうに見えたりするのでしょう。  また身につけている本人のテンションを上げてくれ、赤い衣類を身につけると実際血行がよくなったり、暖かく感じたりするようです。巣鴨で売ってる赤いパンツとかもこういう効果ですよね。  上田と大阪に行った時に赤い旗がズラ~ッとはためいているのをみると、確かにテンションアップしました!  どちらも、帯締めと帯揚を真っ赤にして「赤備え」気分のコーデで行ったのですが、これだけでも気分があがりますから、全身赤になったらこれどうなるんでしょうか(笑)。やっぱり勝負服は全身赤!? と盛り上がっていたらキモトモに「全身赤とかサンタさんか還暦でしょ!」と言われ、ちとしょんぼり。  とはいえパワーを引き出す「赤」。ポイントで取り入れるだけでも効果ありそうですよ! 冬の寒さも吹き飛ばしてくれそうです。ちょっと元気がないなというようなとき、コーデに取り入れてみるとよいかもです。  それにしてもわたしがこんなにハマって見続けたのはなぜかしら、と考えたのですが、真田丸には「房」がめちゃめちゃ登場してきていたのですよね。特に大阪城は房天国! 置き物、襖など細部に至るまでインテリアは房だらけ。  そして、合戦になってくると、甲冑の房、馬の房、陣羽織の房と、房天国でした。それに気付いてからは、幸村が現れれば前から見ても房、後ろから見ても房、もう最後の赤い房だらけの馬具をつけた馬上のこれまた赤い房だらけの甲冑で鼻血が出そうでした。  まあ、わたしのような視点で見ている人はそういないかとは思いますが‥‥。年末に総集編がありますので、興味があったら房にも注目してみてください!  総集編が終わったら、真田丸(房)ロスでがっくりきそうなわにこでした! おまけ:大阪城前で赤備え(気分)にて。赤ってちょっと差すだけでも効きますね!

木枯らしに負けない!着物の足元防寒対策の巻

星わにこ
2016/12/14 00:00
 着物で一番冷えるのは三首(首元、手首、足首)です。その他は重ね着していますし、特にお腹周りは帯で本当に温かい。私が昔お世話になっていたアパートの大家さんは、「冬は着物が一番よ!」とおっしゃってましたっけ。  私は洋服でもスカートをはかないので、脛がスースーするのが一番苦手。なので冬は足袋の下に足袋下ハイソックスを履いて防寒しています。薄手の靴下なので足袋をストレッチにしたりワンサイズアップしたりして履いていますが、この暖かさには換えられません!!  ストッキングやもっと薄手のものもあって、足袋のサイズを気にせずに履けますが、暖かさがイマイチに感じてしまいます。礼装のときなどはそちらを選びますが、普段は断然、足袋下ハイソックス!  またもっとカジュアルなスタイルのときには、厚手の足袋ハイソックスを愛用しています。足袋型の靴下より厚手でヒザ下まであったか!   厚手だと足の形も出づらいので、最近はこの上に足袋カバーを履いてしまい、足袋を履いているような顔をすることもしばしばです(笑)。  ハイソックス型のよいところは、トイレに入る時に影響しないという事です。 防寒対策でスパッツやトレンカなどを履くと、よっぽどローライズでないかぎり帯の下にもぐってしまいますから、上げ下ろしが大変。モゾモゾアクションが着崩れにも繋がってしまいます。  それからもし出先でめちゃめちゃ暖かかったりしたら最悪脱ぐ事も可能だということ。  しかし、ひらり‥‥と着物の裾がはためいたり、ふとした拍子に見える足袋から覗く白い足首からふくらはぎ‥‥‥。とても色っぽいですよね。着物のお色気ポイントでもあります! まあ、そこは暖かさとどっちをとるかというご自身の選択で(笑)  足袋からはみ出ないタイプのインナーもありますし、足袋自体が暖か素材(別珍やフリースなど)もあります。  ものすご~く寒い日にずっと外、みたいな時は奥の手で足裏用のホッカイロを貼ったりもします。でも、実はあれ、つま先に貼るものなんですが足袋はつま先が割れているので指が暖まらないのですよねー。末端のつま先から冷えてきますから、足袋用に先が割れているホッカイロがあったらいいのにと思ったりします(ニッチすぎ?)。  洋服の人はファーのついたロングブーツとかなのに、なぜ着物は足袋1枚でふきっさらしなのか、かなり不利(不利っていうのか)ですよね。と思っていたら最近はスッポリ草履をつつむファーのカバーもあるとか? いろいろ考えますねー! だったら最初からブーツでもいいような気もしてきます。  思考グルグルしつつ、まだまだ考える余地があるかも? な冬の着物の足元事情でした。

冬に楽しみたい☆ウールの普段着物の巻

星わにこ
2016/12/07 00:00
 寒くなってきましたね。セーターが恋しい季節です。冬になると着たくなる着物、それはウール。  ウールの着物といえばアラフィフ以上には懐かしいものではないでしょうか。単衣仕立てで、家でお手入れできて、暖かい。冬の普段着にピッタリな着物です。少しチクチクする肌触りだったり、重かったりするものも多いですが、タートルネックとスパッツを着た上に羽織って半幅を結べば、全身暖かくて普段着に最高。コートを羽織ればおでかけも平気だし、もちろんキチンと襦袢の上に着ればカジュアルな外出着にもなります。  正絹の着物に比べてしまうと、ちょっとゴワゴワした感じが好きになれず、ずっと袖を通さないでいましたが、先日友達がちょっとサイケなウールの着物を上手く着こなしていて、それがとっても可愛くて、またちょっと着てみたくなりました。  絣柄のものなんかは「ザ☆昭和」になりがちですが、これも若い人が上手くコーデすれば可愛くなっちゃうのかも? なにより自分でお手入れできるのが魅力ですよね。  なかなか売っていませんが、昔は普段着として流行ったものなので、おばあちゃんやお母さんの箪笥に1枚くらいしまってある可能性が高いもの。また、リサイクルショップなどで激安で手に入れられる可能性も高いです。  おふるやリサイクルものはサイズが小さくても普段着ならご愛嬌。むしろ裄が短いほうが家事をしたりするのには好都合だったりします。対丈でも無問題ですし、はだけるのが気になるなら短めに着付けて前掛けとかしてもカワイイですよ~。  ひとつだけ、中古を手に入れる場合に気をつけたいのが「虫食い」。ウールだけに、虫食いの穴があいちゃっていることがよくあるのです。私も昔、お気に入りのウールの着物に穴があいていたのを発見したときはショックでした~! 結構「えっ」というところにあるので、よく見てください。  ですので保管のポイントとしては、防虫剤を入れて、必ず絹の着物とは別にしておくこと。ウールは虫がつきやすいので、本来虫がつきにくい正絹の着物も、もらい被害にあいやすいのです。モスリンもウールの一種ですので、モス襦袢やモス腰紐なども別に保管がおすすめです。  よく、浴衣を着て着物の所作を身に付けようといいますが、冬はウールの着物で過ごすのもいいですよ。着物姿で生活すると、どうしたらどこがはだけるとかどこが着崩れるとか、NGな動作もわかりますし、着崩れてしまったらどこをひっぱればなおるかなんてことも身に付きます。  着物は楽に着て、着崩れたら直せばいいのです。気軽な普段着からトライしてみましょう\(^O^)/   ちょっとウールがマイブームなわにこでした。

ハロウィン・コーデは色で決めよう☆の巻

星わにこ
2016/10/19 00:00
 朝は寒いなと思っても、日中結構気温があがるのでコーデに迷う今日このごろ‥‥とはいえさすがに袷でも耐えられるようになってきた東京です。  街はすっかりハロウィン一色。カボチャの限定パッケージお菓子が気になります(お菓子か)。大体一周して、限定ものよりは定番もののほうがやっぱり美味しいよね、ということにはなるんですが、やっぱり買ってしまうんですよね‥‥。何故人は限定に弱いのでしょうか。  着物も、定番以外にやはり季節ものでも楽しみたいですよね! ハロウィンコーデはそのものズバリ!なアイテム(ジャックオランタンやオバケ、黒猫の帯とか着物とか‥‥)はハードルが高いので、小物と色あわせでハロウィンっぽく見せるのもひとつアリかと思います。  色。黒、オレンジ、赤、紫‥‥このあたりを逃げ場なくみっちり組み合わせていくと雰囲気がでます。  というわけで今年のハロウィンコーデは、あえて色だけで攻めてみました。  http://bit.ly/2e4gIwQ  どれも特にハロウィンがモチーフなわけではありませんが、全体的にハロウィンなイメージ。  もちろん半衿や帯揚、帯留などにチラリ、ハロウィンイメージのアイコンをつければますます気分が盛り上がる事間違いなし。  あとは魔女帽子を被ったら、立派なハロウィンコーデの出来上がりです。私もこーんな感じで楽しんでみましたヨ! 着物も帯もハロウィンじゃなくても、魔女帽子だけでもいいような気もしてきましたが(笑)、要は楽しんだモン勝ちってことで(どうでもいいけど嬉しそうですね、ワタシ……(汗))。  ちなみにハロウィン、ここ10年くらいですっかり秋の行事として定着してきた感があります。昭和生まれのワタシの子どものころはなかったような。もともとは古代ケルト人の収穫祭で悪霊を追い払う、という行事だったそうですが、アメリカの民間行事として定着、それが日本でも定着、という流れのようです。クリスマスなどと違って特に特定の宗教の行事ではないというのが、なんだか意外でした。  またハロウィンの時期は日本のお盆のようなもので、亡くなった人が帰って来ると信じられており、同時に魔物もやってくるため、魔女やお化けなど怖いものに仮装することで魔除けになると考えられました。だから、皆コワ~イものに仮装するんですね。  私にとってハロウィンは、子どもと一緒に楽しめるイベントのひとつ、ぐらいに思っていたのですが、そう思うと今年は仮装に気合いが入りそうです(コスプレ好きなだけ?)。  着物だから、いや着物だからこそ楽しめるお洒落もいろいろ。季節を取り入れるのは、着物のお洒落の醍醐味。いろんな行事を楽しんじゃいましょう!

1年中OK!? 便利でおシャレなレース半衿の巻

星わにこ
2016/09/14 00:00
 最近、季節を問わず愛用しているのが「レース半衿」です。礼装以外なら、素材感が合っていれば1年中OK。こんな季節の変わり目、塩瀬には早いけど、絽縮緬なんて持ってないし‥‥な~んていうとき便利なのがレースです。  あまり季節を気にしなくていいし、お洒落だし、最近もっぱら愛用しております。「あらレースもいいわね」って、よく褒めていただけるんですよ。  市販のものでもいいですし、幅広のレース生地を買ってきてもOK。立体感があるのでちょっとニュアンスがあるお洒落な襟元になりますよ。  レースと一言で言っても透け透けなものから刺繍っぽく見えるような豪華なもの、モコモコでベロアのようなほっこりしたものまでいろいろなタイプがあります。一番顔に近いところにくるものですから、あててみて顔うつりのよい色のものを選びましょう。  綿レースは素朴で可愛いものが多く、肌あたりもよい。ポリエステルのものはキラキラと光沢があったり、華やかなものがたくさん。種類も豊富で値段もお手頃なのが魅力です。  人間最初に習ったことからなかなか外れるのは難しいようで、かくいう私もお茶をやっていたせいもあるのか半衿と足袋は白と決め込んで、そこからなかなか踏み出せなかったのですが、白いレースだったら抵抗なくつけることができました。  そこから、ちょっと生成りのレース、ほっこり素材のもの、薄い色のレース‥‥と段々冒険するようになり、最近ちょっとはまっているのが手作り作家さんのカラフルな布の上にレースが縫い付けてあるもの。土台の布はとってもキッチュで派手だったりするのですが、上に白いレースがあることで、程よくポップで可愛い襟元ができあがるのです。  それだけだとちょっとどうかな~というような色や模様の半衿も、上にレースを1枚かけると、色がちらりと透けてお洒落になったりします。  それからレースの半衿の何がいいかというと、半衿つけのときにかなりザクザク適当な針目で縫い付けてしまっても、シワやヨレが目立ちにくいということ(ええ)。これがまたやめられない一因でもあり(こら)。  ピシッと美しい、真っ白な半衿は気持ちが引き締まりますし、大事な時には気合いをいれたいもの。  でも普段のお洒落には、気がラクで可愛いレースの半衿、おすすめです。秋めいてきた空に、生成りのレースの半衿はいかがでしょうか。かしこまりすぎず、くだけすぎない、ほどよくお洒落な襟元を演出してくれますよ。まだ未体験の方がいらしたらぜひお試し下さい。

平安王朝絵巻!ぬりえ気分で紫陽花の重ね衿パーティコーデ☆の巻

星わにこ
2016/06/15 00:00
 いよいよ梅雨入り。梅雨寒になったりカラッと晴れたり、忙しい天気ですね。紫陽花も例年より早く咲いたようで、あちこちで目を楽しませてくれます。  先日、装束勉強会でご一緒させていただいている漫画家の鈴木淳子さんが「平安王朝絵巻ぬりえbook」を出版され、その出版パーティにお邪魔しました。  昨今大人の塗り絵が大ブームということで、書店にいくと細密な塗り絵がたくさんありますね。洋風のものが多い中、この塗り絵本は、和でしかも平安王朝ということで、想像力がかきたてられる内容になっています。源氏物語や伊勢物語などの有名な物語のワンシーンや季節の行事などが、有職故実に基づいた確かな監修のもとに、見事に描き出されていて圧巻。塗り絵の画材の選び方や塗り方ワンポイントなどのページもあって読み応えもあります。絵巻ということで、絵が横長なのも素敵なのです~。有職文様なども細かく書き込んであって、ぬりぬりしていると時間を忘れて集中できます。  当日は主役・じゅんじゅんこと鈴木さんの着物コーディネートと着付をさせていただいたのですが、お母様から譲られたという紫陽花のように見える単衣の着物に、十二単の五つ衣をイメージして五色の伊達衿を重ねて華やかさを出してみました。また、帯も半幅帯を2本かさねて、華やかに。色あわせがキモのコーデです。  五つ衣の色あわせは女房装束の「かさね色目」と言って、胸元、袖口、裾にこぼれる、五色の衣の色をどうあわせるかで素敵な名前がついています。特に四月以降の薄衣にあわせるかさね色目は「卯の花」「菖蒲」「撫子」「女郎花」「藤」「躑躅」など、美しい花の名前がついていて、それぞれの花を連想させる美しい色あわせになっているのです。  このかさねの色目から連想して正式なかさね色目にはないものですが、6月なので「紫陽花」をイメージし、手持ちの伊達衿を合わせてコーディネートしてみました。  色の順番に決まりがあるというと、守らなくちゃとか、間違えないようにしなくちゃと身構えてしまいますが、平安の女性たちも、きっと綺麗だなあと思う色を合わせていたと思うのです。どんどん華美になって重ねる衣の枚数が増えすぎて、禁止令が出されたという記録もあるほど。さぞかし自由な取り合わせで美しさを競ったのでしょうね。  ぬりえも、お手本のかさねの色目もよいけれど、自分の好きな色に重ねて塗ってみてはいかがでしょうか。小学生に塗らせたら、冠が紫になったり、袍が黄緑になったり、それはそれは自由でした。髪の色だって、自分が好きならば赤でも黄色でもいいではありませんか。  五色の重ね衿を使うときは振袖でのコーデばかりでしたが、今回初めてこの重ね衿を小紋で使ってみました。オーバーになりすぎるかな?と思いましたが、着物ってすごい。受け止めますね。小紋でもどーんと華やかになります!! パーティなどここぞというお洒落にはおすすめ! 鈴木さんの美しさにあいまって、本当に紫陽花の花が咲いているようで、うっとりでした。色無地などの襟元で楽しんでもよいかもしれませんね。  まさにぬりえ感覚。色で遊ぶ可能性、無限大。きまりにとらわれすぎないで、手持ちの着物や帯、伊達衿などの小物をあわせたり、かさねたり。平安の女房装束の色の世界にうっとりしながら、着物でももっともっと遊んでみたいなあと思ったのでした。 「平安王朝絵巻ぬりえbook」鈴木淳子 監修:八條忠基 ディスカヴァー・トゥエンティワン