いよいよ袷の着物のシーズンがやってきましたね。着物での外出が楽しい季節です! 私はというと着付けのレッスンや、七五三や振袖の着付けの仕事も増えてきてこれまた楽しい時期でもあります。
ここのところ、いただきものの着物や受け継いだ着物について思うことが続けてありました。
お友達の松岡美桔さんが出演する舞台・映像劇団テンアンツ「探偵 かねだはじめたがやすけ『犬噛唐草殺人事件』」を観に行ったのですが、おなじみ犬神家の一族のパロディで、美桔さんも着物で出演。美桔さんのお母様は趣味で着物の染めなどもされていたのですが、そのお母様が刺繍した蝶の絽刺しの帯と、おばあさまの指輪を衣装として使われていました。
絽刺しとは、絽の生地に絽目に沿って刺繍をする手法で、手芸としてとても流行った時期があります。そうしてできた刺繍を切り取り、帯地に縫い付けたものを何度か見たことがあります。とても手がかかるものですから、身内の方が丹精込めて刺したものは、特別ですよね。
私が観に行った回では長女役を演じられていて、その役柄にピッタリというのもありましたが、美桔さんは「舞台のテーマにもなっている親子の情を表現するのに力を借りた」とおっしゃってて、とっても感じ入るものがありました。
縁のあるものを身につけて、お守りのように感じたり、気持ちを支えたり。家族や親しい方から受け継いだものには、そんな力があるような気がします。
また、美桔さんからどちらもお母様が染めたという以前還暦ライブに着た振袖とお姉様の振袖を、家でしまっておいても着ることもないから記念撮影をした後に活用して、と昭和な家スタジオのレンタル衣装としていただいたのですけれど、それもやはり「還暦記念に振袖を着たい」という方が気に入って記念撮影に使ってくれたり。
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仕舞ってあるときには、ただそこにある着物や帯も、「ここで着たい」という出番があると、それに応えて力を発揮するんですよねー。人が着ると、パーっと輝くように見える。本当に着物って「着てこそ」と思います。
でも、それが日常ではなくて、ここぞ、という時だからこそというのもあるかもしれません。もう着ないから処分しようかな~なんて思ったりもするけれど、パズルのピースがハマるようにドンピシャの活躍場所があったりする(それがたとえ人生に一度でも)と、なんというか、やはり手放せないな‥‥と思ったりもするのですよね(沼)。
箪笥から飛び出して、生き生き輝く着物とそれを着た人の笑顔を見るのが、私は一番好きなのかも。などと思う、秋でした。
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秋田県でのシニア向けオンライン講座に出していただくことになりました。
『
着物と気持ちの整理講座』11月1日(水)10:30~
よろしくお願いいたします(ぺこり)