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着物を、自分を大切にするために着る。の巻

星わにこ
2020/10/07 00:00
10月になりましたね。暦の上では衣替え。着物の楽しい季節になりました。Gotoトラベルやイートなどもありますが、まだまだ気をつけながらの生活。なかなか着物を着る機会も作れないなあと思っていたのですが、先日久しぶりに着付けレッスンをすることになり、よいしょと着ました。 他装をしたりオンラインレッスンで家で着たりなんだりと、着物に常に触れてはいたものの、正直なところ「着物生活」というコラムを書かせていただいているにもかかわらず、自分でちゃんと着手外に出るのは夏にきもの展に行って以来。着方忘れてたらどうしよう? なんて思っていたのですが(おーい)、大丈夫でした。 きものレッスンといいつつもすでにご自分で十分着られる方に、細かいコツなどをお伝えするレッスンだったので、とても深いお話もできて着物の面白さを再確認しました。ちょっとお休みすると見えてくるものもあるというか、新鮮な視点で着物を見ることができました。なんでしょうか、青い鳥的な? 古女房の魅力的な? 「出かける機会がないから着物が着られない」というのは言い訳だったなあ~と。レッスンにきてくださった方が「自分で機会を作らないと絶対着ないので!」とおっしゃってましたが本当にその通り。 改めて着物って、用意するものがいっぱいある。着物を決めて、帯をあわせて、小物をあわせて終わりではなく、肌着、補整、半衿つけなどの下準備もしっかり。着付け小物も数が多いので、ちゃんと用意したつもりが帯板を忘れていました。 ちょっと当日身につけたものを書き出してみると、和装ブラ、補整パッド、肌着(スリップタイプ)、ステテコ、うそつき衿、うそつき袖、着物(長着)、コーリンベルト、伊達締め、腰紐、帯、帯揚、帯締め、帯枕、帯板、着付けに使う仮紐とクリップ、おっと忘れた、足袋! と普段着用にいろいろ省略したりうそつき衿で着てても18アイテムという多さ。着替える前に着ていた洋服の、ブラトップ、パンツ、長袖Tシャツ、上着、ジーンズ、靴下の6アイテムの実に3倍。普段着用にいろいろ省略したりうそつき衿で着ててもこのアイテムの多さ! 人によって使うアイテムの違いや使う使わないはあると思いますが、私の場合はこんなかんじ。 揃えるだけでも面倒くさっ!! そして、その面倒さが大好きなんだなということも再確認しました。効率とコスパが大事なら、ファストファッションで過ごせばいいのです。でも、このね。お気に入りのアイテム、何枚もの布、紐を用意して、自分をラッピングしていくような感覚が、とても好きなのです。なんだかとっても、自分を丁寧に扱っているようで、安心するというか、癒されるというか、ほっとするというか、自己肯定感が高まるというか。 着物は着るのが面倒なだけじゃない。後片付けも面倒です。くるくるぽんで洗濯機に入れられる、というものであってすらも、とにかくパーツが多いんや~! 面積ひろいんや~! ちっさいブラとパンツをちゃちゃっと洗うようなわけにはいかんのです。 その手間をかけても、着物を着る。なぜなら、着物を着ると楽しいから。 自分のことは自分で大切にして、自分でごきげんをキープして、ニコニコ暮らすのって大事ですよね。 ひきこもりがちな生活の中で、最近は掃除がブームだったのですが、掃除もやっぱり住環境をキレイにする、磨く=自分を大事にするということなんだなあと思います。無心でぞうきんがけをしていると、モヤモヤした気持ちも汚れと一緒にとれていくみたいです。 着物も同じように、無心に体に布を添わせていくと、精神集中ができるんですよね。逆に焦ったり迷ったりしていると、うまく着れません。 面倒で、大変で、でも愛しき着物。 なにも用事がなくても自分のために、また着ようと、思いました。 そしてやっぱりまだまだ、着物を着るとあつ~い! とにかく重ね着ですもんね。汗をめっちゃかきました。それを含めてエクササイズのような快感もあるのかも? なんて思ったり。 ちょっとご無沙汰しちゃったわ、なんてお仲間がいらっしゃったら、用もないのに着物に袖を通して外を歩いてみてください。気持ちもシャッキリ、テンションもあがりますよ。人に着せてもらうのもいいけれど、自分で着るのもまたよいものです。なにしろ好きなように着られますものね。自分のことを一番知っているのは自分ですから。 1年で、一番長い袷の着物シーズンを楽しみましょう。