透明のヘアゴムで帯留めをフィットさせるの巻
星わにこ
2022/07/20 00:00
今年は早々に梅雨があけたと思いきや、雨もまだまだ多くて蒸し蒸しする日が続いていますね。
でも、街で夏着物や浴衣を見かけると涼風が吹くような気持ちがします。着ている本人は暑いとは思うんですけどね。夏の着物姿は本当にいいものです。
最近は女性の浴衣の帯結びも多様化してきて、半幅帯も文庫や矢の字だけでなく、三重紐を使った変わり結びや結ばない帯結び、ベルト風の帯、大人のへこ帯などいろいろなバリエーションがありますね。思い思いに楽しむ浴衣姿はみているだけで楽しくなります!
また最近は半幅帯にも帯締めやベルトをする方が増えています。夏用の帯締めはレース組のものがありますが、特にこだわる必要はなく、半幅帯に飾り的に使うのであれば細い紐を使ってもいいし(靴紐を使っている方も!)可愛いものを楽しめるチャンス!
そして、ワンポイントに帯留めも楽しみたいですね。帯留めも本当にいろいろあって、プチプライスのものから、アンティークの工芸品までさまざまです。季節やおでかけ先、コーディネートにあわせてチョイスしたい!
帯留めを使うだけでなく手持ちのブローチを流用すると、プチプライスで好きなものをいろいろ楽しめてしまいます。ブローチ用の帯留め金具を使うと便利です。でも、結構金具の位置が合わなかったり金具が大きすぎてぐらぐらしたり。
あとは帯留めでも、帯締めの太さによって使えたり使えなかったり。帯締めが細くてぐらぐらしたり、帯締めが太くてこの帯留めをしたいのに! 通らない!いん!いん!ってなったことありませんか?
そこで使えるのが、透明のからまないヘアゴム(ウレタンゴム、モビロンゴム、PU(ポリウレタン)ゴムなど呼び方はいろいろ)です。
1)帯締めが細くてブローチ用金具や帯留めがぐらぐらするとき
帯締めが細くて帯留めがぐらぐらしてしまうときは、帯留めに帯締めを通してから帯留めの金具に8の字にゴムをかけると、帯締めにフィットして安定します。
2)帯締めが太くて帯留めが通らないとき
逆に帯締めが太いとか、三分紐じゃない普通の帯締めに帯留めを通したいというときは、金具にゴムを通して、そのゴムに帯締めを通せばOK!
とにかく使える透明のモビロンゴム、100均などで入手できます。劣化して帯留めが落ちるといけないので、こまめに取り替えましょう。輪ゴムや普通のゴム紐よりも目立たず丈夫でおすすめです。
帯留めと帯締めの組み合わせの可能性をぐっと広げてくれますよ。
着物に割烹着の歴史を調べてみたよの巻
星わにこ
2022/07/13 00:00
昨年春から、『ゴールデンカムイ』にどっぷりハマっている私なんですが、取材が非常にしっかりしていることで知られているこの漫画。建物も実在のものがモデルとなっており、ロケ地ではないけれど建物めぐりをするのもファンの楽しみとなっています。
建物のモデルの三大聖地と言われているのが「北海道開拓の村」(北海道)「明治村」(愛知県)そして「江戸東京たてもの園」(東京)です。なかなか北海道・愛知までは足を運べないのですが、江戸東京たてもの園に先日行ってまいりました。
ここには、尾形の父の花沢中将邸(外観)のモデルの三井八郎右衞門邸、鉄砲店や背景として使いまわされている小寺醤油店など、古い建物が多くあります。歴史的な建物としてはもちろんですが、ゴールデンカムイだけでなくいろんなアニメや漫画にもモデルとして登場するので、それを見て回るのも楽しみのひとつ。
<以下単行本派の方ネタバレ注意>
たてもの園には最終回で主人公杉元の幼馴染、梅ちゃんが女将として働く生花店もあります。
ここに登場する梅ちゃんの姿は、蝶々の着物に割烹着。絵を見ると蝶々は臈纈染ぽいかんじ。蝶の文様は蛹から美しい蝶となり羽ばたいていくということから、成長を祝う吉祥文様として愛されています。彼女が選んだ道を象徴しているかのようです。流石、野田サトル先生です。
そして着物の上に割烹着を着ていますが、馴染み深い昭和時代のレースやフリルがついているタイプではなく、シンプルな丸首のものです。そしてちょっと丈も長めでした。
この衿の形に興味が湧いて、割烹着について調べてみました。割烹着のルーツは1902年(明治35年)に赤堀割烹教場(現赤堀料理学園)で女性が和服で調理しやすいように考案されたものと言われています。やがて日本女子大学の実験着や作業着としても取り入れられ、一般に普及していきました。1907年頃に東京・銀座の花屋の女将がしていてもなるほど、な装いですね。
形はさまざまだったようですが、明治時代に調理場や学校で働く女性が使う作業着として誕生し、その便利さから大正時代には一般家庭に普及しました。その頃は丸襟が多かったようです。
昭和初期にはカフェーの女給さんの制服として、袖なし変形にレースや裾にフリルがつけた可愛いものが誕生し、フリルやレースがついたものが流行しました。
やがて戦争中には、「国防婦人会」の制服として、「着物競争を防ぎ、かつ活動を便ならしむ」ものとして採用され、割烹着に襷掛けの姿は愛国婦人の象徴となった時代もあります。この頃の衿の形は三角で、着物の衿合わせの形にそっています。レースなども贅沢は敵だということで姿を消します。
戦後は「お母さんの作業着」として、和服だけでなく洋服の上からでも腕までカバーできるエプロンとして家庭で愛用されました。これがいわゆる今、昭和生まれの私が想像する、角衿にレースがついていて裾はフリルになっている大量生産型の割烹着です。
同時に小学校の給食の配膳着にも使われるようになり、こちらは今でも子供たちが使っているところが多いと思います。自分が着たことより、子供が月曜の朝洗ってない給食着を出してくる悪夢を時々思い出します(笑)。
昭和でも時代が下がると、着物が一般的でなくなり田舎のおばあちゃんがチェックの丸首でアップリケとかついたやつを農作業や家事のときに着用するイメージに変容していきます。袖までカバーできるから、汚れ防止には一番いい形なんでしょうね。
確かに着物で家事やなにか作業をするときは、ぱっと羽織れる割烹着や水屋着があると便利です。今のように、なんでも汚れたらすぐに洗濯できなかった時代に重宝されたものでしょうね。割烹着にもその時代の流行があり、現代では和服で着る場合は裾が長く、シンプルで汚れが目立ちにくい色のものが好まれているようです。
なんだか、普段に割烹着が着たくなってきました。もう少し涼しくなったらトライしてみようかな!と思う単純なわにこでありました。
岐阜の鮎菓子「若鮎」まるけの茶会をしたよの巻
星わにこ
2022/07/06 00:00
『若鮎』という和菓子をご存知でしょうか? カステラ生地に求肥を包んで鮎に見立てたもので、鮎漁が解禁される夏の時期に和菓子屋さんの店頭に並びます。
鵜飼で有名な岐阜が発祥と言われていて、この季節になると食べたくなるお味。阿佐ヶ谷のうさぎやさんで買った若鮎の写真をSNSに載せたら、岐阜の鮎菓子を持っていくからお茶会をやりましょう!と、岐阜の友人・鳴海彩詠さんから連絡が。
どうせなら、いろいろな若鮎を食べ比べしよう!ということになり、上京の日程にあわせて10匹の生鮎菓子を用意することに。
2人ではもったいないからと、友人たちにも声をかけて集まって、若鮎品評会兼お茶会を開くことになりました。題して「若鮎まるけ茶会」(まるけ、は岐阜弁で「だらけ」「尽くし」という意味です)。
我が家は和室でお茶の練習ができるようになんちゃってお茶室仕様にしてあって、コロナ前は先生に出稽古をしていただいてお茶を楽しんでいましたが、それもできなくなってはや二年以上。
単なる物置になっていたところを必死で片付けて、なんとか人をお招きできる状態に。茶道具も、どこになにを仕舞ったっけ? なにがいるんだっけ? という状態でしたが、なんとか風炉を設えました。
鮎がテーマということで、お軸も鵜飼、花入も鮎籠を用意してもらい、着物のコーディネートも水と鮎のイメージで。彩詠さんは鮎の帯揚げ(!)、私は一度もしたことがない鮎の帯をすることにしました。
当日はもちろん楽しいのですが、この用意する時間というのが、お茶の楽しみの一つなのですよね~。気の合う人とのやりとりも、本当に嬉しいものです。
そして迎えた当日は、お昼に本当の鮎と朴葉寿司、美濃の地酒『百春』をいただき、まずは干菓子で薄茶をいただきました。
その後、生の若鮎10種(!)を計測、美濃和紙の巻紙の上に並べて、みんなで食べ比べ。
どれもそんなに変わらないのではと思っていましたが、並べてみると意外とみんな個性的! 色も形も結構違います。
だいたい15センチ前後、40gくらいが中間値でしょうか。体長5センチのちび鮎から、特注で作ってもらったという、体長20センチの大鮎も(求肥は三倍!)
お味も、結構お店によって違うのです。皮も洋菓子ぽいものからどら焼き風、固め、ふわふわと個性があり、求肥も硬さや風味にそれぞれ特徴が。たくさん食べすぎて、順位などすっかりわからなくなってしまいました(笑)。
いただいた鮎菓子は下記の通り(順不同)
奈良屋本店「あゆ 」←皮は硬め、求肥は甘めでミルキー
関市虎屋「小瀬の若鮎」 ←やわらかふかふか、生っぽい求肥、どら焼き感
玉井屋本舗「登り鮎 」←皮はもっちり、蜂蜜入り求肥はねっとり
此の花亭「若あゆ」 ←スポンジカステラっぽいふわふわな皮、求肥はさらっとしている
岐阜虎屋本店「長良川あゆ菓子 」←洋菓子っぽい皮、柔らかい求肥、頭に求肥が少ない
甘泉堂本店「小さな小さな鮎菓子」←紫蘇入りの求肥 いろんな味がある
末廣屋本店「鮎 」←求肥が四角く、皮と独立したかんじ
仁太郎「あゆ」←しっかりめの皮、丸い胴体にゆず入りのぷるぷる求肥
豊寿庵「あゆ川 」←固めの皮、求肥は四角っぽくもちっと弾力がある
亀甲屋本舗「うかい鮎 」「うかい鮎特注20cm」←瓦煎餅ぽい薄い皮、甘い求肥 (特注の皮は厚い)
干菓子は
玉井屋本舗「やき鮎 」←歯応えがいい
奈良屋本店「かがり焼」←素朴な美味しさ
甘泉堂本店「サブレ 鮎ビーナス」←パッケージもレトロな洋菓子風
田中屋せんべい総本家「鮎焼き」(みそ入り大垣せんべい)←この発想なかった!固い!!
岐阜虎屋本店「香ばしい干菓子あゆ 」←見た目がクッキーみたい
山本佐太郎商店「あゆピー」←柿の種が鮎の形に!!
なんと贅沢な鮎尽くし!! ああでもないこうでもないとお味見するのが本当に楽しかったです。
食べきれずに自宅に持ち帰っていただいた分もあり、味の研究は宿題にも。ちなみに我が家では、高校生が丸呑みにして平げてしまいました(笑)
ほとんどが岐阜市内のお店ですが、わにこの故郷中津川の仁太郎のものも。やはり馴染みがある分、美味しいと思いました。今回は求肥のものばかりでしたが、餡が入っていたり、求肥に肉桂やしそ、ゆずなどで風味づけしてあったり、いろんなものがあります。
岐阜では、鮎菓子を買いまわるためのタクシープランもあるそうです。5月に東京駅で岐阜の鮎菓子が買えるイベントもあったそう。
夏の間のお楽しみですので、岐阜にいかれる方はぜひ本物の鮎と鮎菓子をお楽しみいただきたいです。また、ぜひお近くの和菓子屋さんで見つけたらお味見してみてくださいね。
めちゃめちゃ暑い日でしたが、久々に着物を着てお抹茶をいただき、お菓子を楽しみ、本当によい1日でした。お茶も着物も、簡単にといっても準備はいろいろ面倒で大変。でもその面倒で大変なのが、やっぱり大好きなんだろうなあ~と再確認した1日でもありました。付き合ってくださった皆様、感謝です。
Special thanks! 鳴海彩詠
Photo by 渡部瑞穂
ご褒美着物をネットで誂えちゃった★その2 追いかけ仕立て?相対仕立て?の巻
星わにこ
2022/06/29 00:00
さて先週、牛首紬を清水の舞台から飛び降りてポチった話をしたわけですが、着るためには仕立てをお願いしなくてはいけません。
八掛はプロにお任せ、太ってしまった分寸法は自動計算という素晴らしいシステムに頼った私ですが、ここで反物の左右の向きを決めるという最終ミッションが課せられました。
追いかけ仕立てか相対仕立てか。「おっかけ」「ぶっつけ」などともいわれるのですが、要は反物が左右で色や柄が違う場合、それをどのように合わせて仕立てるかということです。
私の選んだ反物は、白から緑へのグラデーションになっているので、どう組み合わせるかでかなり印象が違うということになります。
まず、追いかけ仕立ては左右を同じ向きに繰り返していくので、リズミカルで大きな縞柄のようにも見えます。どちらかというとカジュアルなかんじがします。
相対仕立てとは、背中心を中心に、左右対称に仕立てるもの。色が広い面積で繋がるので、整った印象に。色などによっては難しいことも。
自分の持っているものは追いかけ仕立てのものが多いのですが、紬とはいっても今回選んだのはちょっとドレッシーな光沢のあるものなので、悩むところ‥‥。
衿の部分は、濃い色にすると締まった印象になりますが、今回は白にして顔写りがよいようにすることに。しかしその他が決めきれません‥‥。
そういえば! 銀座いち利の女将さんの動画で「おっかけ」と「相対」のお話をされていたような?と思い探してみるとありました!
参考動画:【女将解説】”おっかけ” ”相対” これで納得!お仕立て方法について
すると、なんと!
右側は追いかけ仕立て、左肩は相対仕立てという技があることを知りました!!
こうすると、左右で袖口の色が同じになるため整った印象にもなりますし、左肩にグリーンの色が面積が広く入るので柔らかい印象にも。
これだ!!
というわけで、いただいた図にはなかったのですが自分で塗り塗りして、可能か伺ってみました。
OKです、ということでこれでお仕立てしていただくことに!! はあ~めっちゃどきどきわくわくです!
そして待つこと約50日。
出来上がって参りました!
いち利モールの赤いトランク型の段ボール。久々です!! めっちゃ可愛くてテンション上がる!!
丁寧に梱包された中に、光輝くマイ牛首紬紬が~~!
写真で見たのと印象変わらず、地に入った曲線も美しい~♪♪
早速羽織ってみて、想像通りの仕上がりに大満足!
着ておでかけするのは秋以降ですが、今から楽しみすぎます!!
こんなコーデを考えてみました。ふふふふふ。
コロナ禍で減らすことばかりを考えていてお買い物も控えていて、久しぶりに着物を誂えたのですが、なんというかもう気持ちが爆上がり。大袈裟ですが、生きる喜びだ!!とすら思ってしまいました。
大切に袖を通すから、素敵な思い出一緒に作っていこうね~!なんて語りかけてなでなで。普段から着る着物も楽しいけど、やっぱりここ一番のおめかし着物はテンションの上がり方が違います。
さてどこに着ていこうかな!
今から秋が楽しみです(気が早い)
ご褒美着物をネットで誂えちゃった★その1の巻
星わにこ
2022/06/22 00:00
ちょっと怖い話をしますよ。私、なんと今年の誕生日がくると55歳になるんです。このコラムのお仕事を始めたときは45歳。ついこの間のことのようなのに‥‥。コラムでも、あれがいつか着てみたい、これが着てみたいなんて夢の着物の話をしていたんですが、いつかいつかと言っていたらもう人生終わっちゃうんじゃないですか? と思ったわけです。
私も、子供の手が離れたら着物生活してみたいとか、60歳すぎたら毎日着物でとか思っていたんですが、思ったような時間の余裕もないし、体力も年々衰えるばかり。着物を着ていると年配の方に話しかけられることも多いのですが皆さん「私も若い頃は着物を着たのよ。でももう無理、体力がないの。今のうちにいっぱい着なさい!」とおっしゃるのです。
今のうちなの!?
そしていつかは、自分で決めないと来ない!!
というわけで、他にもコラム10周年だし~とか本も出版できたし~とか55歳ってキリがいいし~とか、言い訳(?)をてんこ盛りにして、春に清水の舞台から飛び降りてみました~!
最初はよく着るものとか、仕事着にもできるとかいろいろ思ってみていたんですけど、いち利モールの春のセールで牛首紬に一目惚れ‥‥‥!
牛首紬は、昔から憧れの紬。なんともいえない光沢が魅力の紬です。こんなコラムも書いたりしていました。
パソコン&スマホ試着室で憧れの牛首紬コーデ!小物使いで印象チェンジの巻
しかも!なんと!!なんと57%オフになっている!! とはいえ、反物で10万円越えのお買い物‥‥。そしてお仕立て代もかかる‥‥。
長く着られるものということで無地の結城紬も候補にしていたんですがこちらならその半分‥‥ううーんううーんと一晩寝て夢にみて、やっぱりポチることにしました!!
ホワイトとグレーからグリーンにもやもやっとグラデーションになっている美しい反物です(語彙)。
以前の私なら、とりあえず反物で買っておいて、とか思ったかもしれせんが、人生後半戦はノータイム!と思いお誂えもお願いすることに。
ポチった際にお仕立て・加工オプションも選びます。ガード加工の有無、八掛の色を選んで、袷仕立てをお願いしました。
ここで問題発生です。八掛の色が!!選べない!! 表地の色が薄いと、濃い色にすると色が表に響いてしまうこともありますし、どれが合うかも実物を見ていないといまいち‥‥。迷いすぎて頭がぼーん!となりそうに。
最近私はこういうとき「プロに任せる」というスキルを身につけました。これはヘアスタイルやネイルなどで、自分でイメージしてあれこれ思うより、おまかせ!にしたほうが、よい結果が得られやすいということを体験したからです。昔は人に任せるなんて!と思っていましたが、新しい世界を見せてもらえたりもするし、というわけで、もうここはプロにお任せにすることに。
ぽち!!!!(ここ数年でもかなり気合の入ったポチ!。
もう、サイズに関しては着やすい着物の寸法を図って‥‥とか、以前いち利モールさんで誂えたのと同じに‥‥とか思いましたが、図るのも面倒くさい。
以前誂えた寸法のときより3キロ太っている‥‥などを鑑み、せっかくのお誂えなのでちゃんと体にあったサイズにしたい。もう、あと3キロ痩せる予定などという甘い見通し(泣)はしないと心に決めて
「身長」「ヒップ」「肩裄」「体重」を入力するだけでかんたん自動計算してくれる!というもので注文です。
ヒップも久しぶりにちゃんと図ったら厳しいものがありましたね‥‥体重‥‥‥。
でも、現実をうけとめて(爆)いまの私にあうものを。
まあ痩せたら痩せたでね! 着物は融通が効きますし(逆もまた然り)。
もちろん袖丈や褄下も細かく指定することもできます。褄下だけ、ちょうどいい!と思っている着物の寸法を図ってお願いしました。
あとは待つだけ‥‥と思ったら!
反物が左右で色が違うため、次は仕立て方について問い合わせが!!
「追いかけ仕立て」にするか「相対仕立て」にするかを決めなくてはなりません! あ、これはちょっと悩むやつ~~~!!
ということで次週に続きます!
自分で袷の着物を胴抜きにしてみた★の巻
星わにこ
2022/06/08 00:00
さて、足がまだ本調子でない私。外出控えて家の片付けをしよう!と思ったのですが、意外と片付けって立ったり座ったりちょこちょこしたり予想外の動きが多くて、集中するとふと足が痛いことを忘れてて変な方向に動かして「おわっ!」となること数度。
もう少し「座ってできること」はないものかとあたりをみまわし、ずっとやってみたかった着物の改造に取り組むことにしました。
本にも書いたのですが紬の着物で、重くて着づらいものがありました。処分したはずが‥‥あまりに好みすぎてなんとかならんかBOXにいれたままにしていたものが。
素材も紬だろうけどはっきりはわからず、実は胴裏も黄変してかなり厳しい状態。プロにお願いして仕立て直すとなると、予算的な問題もあるし、そこまでお金をかけて果たして着るのだろうか?と思うと諦め対象。でも、処分するなら思い切ってこの胴裏を外したらどうなるのか!?というのをずっとやってみたかったのです。
胴裏を外すといっても、ただばりばり~っと剥がせばいいかというと結構そういう問題でもなく、結構縫うところが多い。
1)胴裏と切り離した八掛を着物本体に縫い付ける
2)衿を内側だけ外して、胴裏を外して衿を再度縫い付ける
3)袖は底を解かないと裏地が外せないので、そこも再度縫う
4)背縫いや、各所縫い代のところをくけぬいする。
1~3はともかく、4がエンドレス!! 背縫いだけでなく、脇や袖の内側や、とにかく縫い代が露出したところはくけないとびろびろん~となってしまうので、どんなにざっくりでもいいのでくけなければ‥‥というわけでかなり!かなり座ったまま時間をつぶすという目的にピッタリマッチな作業でした。
途中で折りくけするのがいやになり(おいおい)袖の中など、見える可能性のあるところ以外は布の耳がみえたまま、ざくっと止めるなどしてみました。不都合がでたらまた考えたいと思います。
本当は背伏せもつけたほうがいいのでしょうけれど、とりあえずそのままにしてあります。強度がなくなると思うので、もう2回背縫いの直線を縫って補強しました。
さて胴裏を外したら、かなり軽くなり、ほんの数百グラムのことでこんなに着やすく感じるとは!と驚きでした。
さらに、かなり埃臭い匂いがしていたので、思い切って洗ってみることに!
水につけたら、やったことのある人はわかると思いますが、強烈な樟脳臭がもわ~~!! そして色がどんどん出てしまうのでささっと引き上げ。
脱水して、濡れたままの状態でアイロンをかけます。
あらかじめサイズをはかっておいて、アイロンで伸ばすんですが、だいたい横方向は縮まず、縦方向がぐんと縮みます。
袖丈は49センチが2センチ縮んでいたのでアイロンで伸ばしました。
身丈はなんと8センチ縮んでしまいました。八掛もあるしぐいぐい伸ばしてアイロンをかけるのが難しいので、八掛がおかしくならない程度に伸ばしながらかけて、よく乾かします。
こざっぱりして、普段着にさくっと着られそうな状態になりました。ふう~!
なんか夢中になって作業をしていて、全然写真をとっていなかったことに気がつきました‥‥(だめじゃん)
セルフリメイクやお手入れは、本当に試行錯誤の自己責任というやつですけど、思ったようにできたときはやっぱり嬉しい!!!
すごく大変かな?と、やってみたら1日の作業で終わったので、ず~っと後回しにしていたこともやってみればすぐなのかも?と思ったり。
意外とこれ「続きは明日やろう」にすると永遠にその明日がやってこないこともあるんですよね(自省)。
しかし、もう袷の季節は終わってしまった(爆)ので、秋以降の楽しみにしておきたいと思います(笑)そういうとこやぞ、自分‥‥。
足が~とかやる気がでない~とか言っていないで、できることをやってみたら気持ちがいいものですね。なかなかできないけど、もうちょっとがんばれわたし! 原稿も、はやくとりかかれ、わたし!
関連記事:袷の時期に涼しく胸元すっきり胴抜き仕立てのすすめ
大相撲!安美錦関の断髪式に行ってきましたの巻
星わにこ
2022/06/01 00:00
先週の日曜日、ご縁をいただいて「安美錦引退安治川襲名披露大相撲」に行ってきました。初・国技館! 初・枡席ということで若干緊張しつつキモトモの皆さんと着物でおでかけしました。
夏空のような好天、長い列が続いています。入り口で安美錦関(現安治川親方)が奥様と写真に応じていらっしゃいました。
親方の堂々とした黒紋付姿が素晴らしい~~~!! 着物好きの方はお相撲好きの方も多いですけど、いや、わかるー! 堂々たる体躯に髷に黒紋付ってめっちゃかっこいい!!
そして、奥様の装いもまた素晴らしかったです~。白い刺繍が施された白百合色のような上品な訪問着に輝くような金の松の袋帯。豊かに結いあげられた髪に上品な真珠の髪飾りが。主役の伴侶ということで品よく目立って、でも控えめで‥‥長身に着物が映えて、本当に素敵でした。
並んで中に入って、まずはちゃんこ鍋の振る舞いをいただいたのですが、美味しかった! そして初・枡席。赤い絨毯に赤い座布団。この赤い座布団が最後にわ~っと投げられるあれですね!!
写真:渡部瑞穂
実は私、国技館でお相撲観戦ってしたことがなかったんです。バアちゃん子の私にとってお相撲は、祖母とこたつで応援するものでした。そのテレビの中に、自分もいるんだ~ってなんか感動してしまいました。初めて!という友人とすごいすごーい!といちいち大興奮。行司さんや呼び出しさんの衣装にも目がいきます!
そして、房好きの私としては一度生で見たかった、土俵の釣り屋根の四方に下がっている四神を表すという巨大な4色の房!! 見られました!いや神々しい~~。うっとりです。
そもそもスポーツ観戦にあまり興味がなかったためか、今回が初!大相撲観戦。テレビで時々見たりという程度の私でも、22年という長い力士人生を歩まれた安美錦関は知っていました。コロナでこの断髪式も2回延長となり、やっと開催できたそう。
もうすぐ5歳になる息子さんと二人で、出身地青森の名物が散りばめられたおそろいの化粧回しで土俵入り。二年前に開催されていればきっと抱っこだったでしょうから、延期も悪いことばかりではなかったのかもしれません。
美味しいお弁当を食べながら、場所中とは違う和やかな雰囲気の中で相撲甚句や、取り組みを見て、とっても楽しかったです。
そしていよいよ断髪式。なんと350人という方たちが髷に鋏を入れていき、最後に師匠である伊勢ヶ濱親方が大銀杏を落とします。
一人一人との無言の対話‥‥お父様が鋏を入れて四方に礼をし、ぽんと肩を叩いて土俵を降りられたときに、思わず涙を拭う姿にじーんとしました。
私はこの後の仕事のため途中で失礼してしまったのですが、上位力士の皆さんの取り組みや照ノ富士関の横綱五人掛りなどもあり、また髷を落とし、タキシードに着替えて登場の安治川親方のご挨拶など、相撲ファンがおおいに盛り上がったようで、帰ってからニュースを何度も見返して反芻。
帰り道、発売されたばかりの安美錦関の自伝『けっぱれ相撲道』を拝読。相撲一家に育ち、子供の頃はプロレスごっこでも父に勝てなかったけど蝶野正洋のSTFを決めたことがあるとか爆笑!もありつつ、怪我と戦い続けた土俵生活、引退。そしてコロナを機に早稲田大学で学んだり、と常に前を向き自分を磨き続ける姿に超・感動。絵莉夫人との二人三脚も素晴らしくて、お二人が部屋を開いて、新しい時代の力士を育てるところを見てみたいと思いました。
お相撲ファンじゃなくっても、元気がもらえる本でした!おすすめです!
こんな機会も滅多にないと思い、怪我した足をテーピングしてこたび+足袋+草履でしたが、靴より楽に行けました。根性で行ってよかった!!
安美錦関のお人柄が感じられる、本当によい雰囲気の襲名披露にお邪魔させていただき感謝感謝の1日でした。
着物にあわせてネイルもおしゃれしたよ★の巻
星わにこ
2022/05/25 00:00
お祝いムードでいっぱいだった先週から一転、家具にぶつけて左足の薬指を骨を骨折してしまい、大人しくしているわにこです‥‥。気持ちがふわふわしすぎていたのでしょうか? 外出用件はすべてキャンセルさせてもらい、反省しつつ原稿書くぞ!と思っていたけど、つま先の小さな骨なのに存外痛くてダメージがあり、気がつくとはあ~と横になってしまって、なかなか仕事がすすみません‥‥。頑張れ私。
といきなりしょんぼりなスタートですが、そんな沈んだ気持ちを明るくしてくれているのが、パーティにあわせてキラキラにしてもらった手のジェルネイルです。
先週もちょっとだけ写真に載せましたが本の表紙に合わせた色で、ネイリストさんが得意な和柄をアートしてもらいました。じゃじゃーん。
ネイルアート:ネイルスタジオNoa
おめでたいからと金箔も入れてもらって、キラキラ! 赤い爪はマットにしてもらって、それもまたキラキラの中にもほどよい落ち着きがありとっても素敵な仕上がりです。着物でも洋服でも、爪の先がキラキラだとテンションがあがりますね!
私は爪が弱く、特に着付けの仕事を始めてからはハードな現場の後だと爪が割れてしまったりすることもあり、着物や帯を傷つけないためにもジェルネイルで補強しています。お茶のお稽古でネイルはNGですが、今はお休み中のため少し華やかにして楽しんでいます。
ネイルについては新しいものだけにいろいろな意見がありますよね。特に着物にネイルをあわせていいの、という戸惑いもあるかもしれません。
私は日常で自分の目に入りやすい爪がキラキラしていると、テンションがあがる派なので、自分のためにしています。マナーや人の目も大事ですが、人の迷惑にならなければ自分が一番楽しく嬉しいことをやっていこうかな~と思っています。
それから、決まったネイリストさんのところに通うようになって半年経つのですが、きちんとケアしてもらうようになったら爪の形が変わってきたんです。私は親指の爪が短くてそれがすごいコンプレックスでした。長く伸ばしてもぐにゃっとねじれてしまうので変だし‥‥と思っていたのですが、ネイリストさんに爪をケアしてもらうようになって、爪がまっすぐ伸びるように。
あと、爪がきちんと指について、ピンクの部分が増えて爪が大きくなってきたんです。すご!! ネイリストさん曰く、爪の成長点があってそれを損なわないようにすると爪は育つし、キレイになるんですとのこと。
ネイルの付け替えにいって、自分の素の爪が綺麗になっていくのを見るのも楽しみの一つになっています。
その他、ネイルを長持ちさせるコツも伺いました。
・シールをはがしたり、段ボールを爪でばりばりっ!と開けたりしない
(先端のコーティングが剥がれたり浮いたりしてしまうため)
・ハンドクリームやオイルで保湿する
(アルコール消毒や手洗いなど、手の油分や水分が奪われると乾燥でジェルネイルのもちが悪くなるので、適度な保湿を!)
・3~4週間でつけかえ
(定期的なお手入れが、長くキレイに楽しむコツ)
ばりばりっ!はやってしまうかも(汗)
私自身はいままで美容代にお金をかけることには、ちょっと罪悪感のようなものがあったり、もったいないと思ったり、どうせ私なんてという気持ちがあったりしたんです。髪も爪ももう限界!みたいになってから、ネットでお得なクーポンを探して、飛び込むみたいなことを続けていましたが、この1年~半年くらい、決まったところに通って、プロに委ねるということをしていたら、綺麗になったね!(あくまで当社比)といってもらえることが増えました。人に任せることって大事なんだなあと実感しています。
あとね、なんでも板につくまでちょっと時間がかかるのかなって思います。最初はなんか違う?と思っても、きっと自分に受け入れ体制ができていないということもあるのかも。石の上にも三年じゃないけど、最低でも半年くらいは文句言わずにしばらく続けてみるということも大事なんじゃないかなと、思っています。
着物も同じように、やっぱり回数を重ねないとわからないことも多いように感じています。着物もコロナで着るのをさぼってしまったので、またとにかく着る!というのを続けてみようかな。それにはまず、健康第一ですね。早く治れ、足の指(まずそこだ)。
出版記念パーティをしてもらったぞ★の巻
星わにこ
2022/05/18 00:00
毎回しつこく本の話題ですみません。十年振りのお祭りみたいなものなのではしゃいでいてもお許しくださいね。
読んだよ~と感想もいただいて、喜んでおります!!
コロナ禍で着物を着ておでかけする機会も減ってしまっていましたが、そろそろ気をつけながらの開催ならいいんじゃない?と友人が出版記念パーティを企画してくれました。
出版パーティというと立食でみんながわいわいというイメージでしたが、午後の外光がよく入る、明るいカフェで広めのテーブルに着席、ノンアルコールで楽しむ形式に。一之江のペリカンムーンカフェさんでお世話になりました。
たくさんのお客様が「ちょっとしたパーティ」にピッタリの着物でおしゃれしていらしてくれました! 来てくださった皆さんには本を書く段階からめっちゃお世話になっており、もうしょっぱなから涙&笑顔で顔がぐちゃぐちゃに(笑) ほとんどマスク着用だったのでよかった(笑)本当に幸せな時間を過ごさせてもらいました。
私もこんなことは人生にあるのだろうか?という「パーティの主役」にふさわしいコーディネートを一生懸命考えてみましたので今日はその紹介をさせてください!!
着物:翠山工房の辻ヶ花訪問着
お嫁入りの時に母が用意してくれた訪問着は、地色が綺麗で大好きな1枚。金通しの生地がキラキラして、こんなときでないとなかなか着られない!と思って選びました。結婚式の二次会にも着た思い出の晴れ着です。四半世紀以上経っても圧倒的晴れ着! 着物ってすごいなあ~と改めて思いました。
帯:菊の重ねの袋帯
四十歳の記念に自分の好みの袋帯を!と購入したもの。その時は大人になった!と思いましたが今思うとまだ若いな~(笑)「きものSALON」で取材していただいたときにも着ました。重なった菊が扇のようにも見えてお気に入りの帯です。
帯揚げ:前著ではじめてデパートで帯を買ったお話を描いたのですが、その時に一緒に買った雲文様の帯揚げです。三十年ものですが、ずっと活躍してくれているすごい子です。初心忘れずのつもりで選びました。
帯留:本が発売になった日になにか記念をと思ってこの白蛇ちゃんの帯留と目があってお迎えしました。普通の帯締めも通るので、帯締めは着物の色から一色とってピンクの冠組にしました。
半衿:パーティだ!ということでキラキラのビーズの半衿に。
足袋:ゑびす足袋さんの梅。細身の足袋がはけるようになって嬉しい!!! 足も小さく見えて嬉しい!!
草履:ワニの布を持ち込み、白い鰐皮風の台にすげてもらったものです。コロナ前に作って全く出番がなかったものをやっと履けました。
あとはネイルを本の表紙に合わせた色で塗ってもらったりして、かなり楽しんでおります。
ヘアはショートにしてしまったので、ヘアメイクさんに相談してヘッドドレスで華やかにしました。大好きな房もプラスしてもらいました~。
そして中身はたかはしきもの工房のうそつき衿です!
浮かれまくったコーデをどうぞご笑納ください。
着物で参加してくれた方も洋服の方も「なかなかおしゃれして出かけることがなかったから、楽しかった」とおっしゃっていただけて、本当に嬉しかったです。
おしゃれって大事!!
そしてリアルで会うって、大事!!
いっぱい喋って、キラキラしている皆さんの笑顔を見ていて本当に幸せになりました。都合が合わなかった方からも、お祝いのメッセージをいただいて、ひたすら感謝感謝の1日でした。
まだまだ手放しで大きな集まりができる状況ではないかもしれませんが、少しづつ楽しめることがまた戻ってきますように。
私も誰かのパーティに参加したいっ!
いただいたお花のいい香りに包まれて、まだぽわん、と余韻に浸っているわにこでした。
着物が捨てられない!と思ったらの巻
星わにこ
2022/05/11 00:00
着物を着ていると、「着物をもらって」と言われることが一度ならずとあるのではないでしょうか。
そう、着物は着る人のところに集まってくるものなのです。着物を着始めたころは、若かったこともあるのだと思いますが、いろんな方から着物を譲っていただきました。
ありがたく着させていただいて、お手入れをして、いろんな勉強(失敗含む)もしました。
一方で一度も袖を通していないものもありました。
サイズが合わなかったり、やっぱり趣味が合わなかったり、自分に似合わなかったり。そういうものはまた誰かに差し上げたり、チャリティに出したり。
でも、仕立て直しの可能性があるものや、自分では着れないけど可愛くてどうしても手放せないものや、いつか着るかもと思うものなど、手放すことができなくて、どんどん数が膨れがって収納崩壊を起こしたことも‥‥。
そう。着物って捨てられない! 本当に、どうしてなのでしょう。
同じ衣類でも、洋服は落ちないシミがついちゃった、擦り切れた、着古した、似合わなかった、サイズが変わったなどがあれば、処分することができます。
でも、着物は思い切れないのです。
体はひとつだから、大量の着物はいらないし所有もしきれない。どうしたらいいの! ということで今回書籍の取材でいろんな人に「着物を手放す」話を聞きました。
いろんな方法がありますが、ベテランの着物好きは大抵困っているのですよね。どうしてる? と聞くと「こっちが聞きたい」と言われたことも何度もありました(笑)。
話をきいて、紐解いていくと「着物は特別なものだと思っている」から、なのではないかな~と思い当たりました。
確かに、買うと高価だし、代々受け継ぐことができるものもあるし、捨てるのはもったいない。正直意地汚い気持ちもありました(笑)だけど、維持したり保管しておくのも大変です。
あとは「着物が大好きだから」こそ、手放せない。
でも、あの世まで持っていくわけにもいかないし、本当に気にいった着物だけに厳選して、それを片付けてくれる人も楽にできるようにしたいな~とも思うわけです。
ポイントは「もったいない」ということが理由なら、手放し候補だということ。
「大好き!」「着たい!」というのは手元に置いておく候補。
私も五十歳をすぎて人生後半戦。いつまでもどんどん増やせるわけではないし、欲しい着物もあるし(笑)、着物も新陳代謝を図っていかねばな~と考えています。
売る(買取、自分でフリマやネットで売る、店舗に持ち込む)、譲る、寄付する、リメイクする、捨てる。どれでもいいのです。自分が一番納得できる方法、心の負担にならない方法を選んでください。
私が主に選ぶ方法はチャリティと寄付なんですが、寄付しても迷惑そうなものについてはすっぱり諦めて捨てるということも、思い切れるようになりました。着物も洋服と同じ衣類だから、と思えるようになったのです。
まあこのへんは、この結論に辿り着くまでにいろいろ紆余曲折もあったし、まだ悩むこともあるんですが。
今回は、本を描きながらめちゃくちゃ着物の処分に向き合いました。結局、大幅に着物の数を整理して、かなり精神的にも楽になったし、残っている着物は大切にお手入れしながら着ていこうと思っています。
着物は、その時その時の思い出も全部映し出す鏡のようなものでもあります。これを着た時どうだった、誰になんと言われた、その時の気持ちはどうだった‥‥びっくりするほど、よく覚えているものです。もしそれが、とても悲しかったりいやなことだったら、どんなよいものでも思い切って手放すのもありでしょう。
着物は捨ててもばちはあたりません!
(はい、ちょっとバチが当たると思っていた昭和生まれです)
もし、あなたが持っている着物の量があきらかに自分のキャパをオーバーしていたら、着物を大事にしきれていないな、とか自分が着物に関してちょっとでも心が重いなと思うことがあったら、一度処分について考えてみませんか?
なかなか向き合えないこともあると思いますが、着物に向き合うことは自分に向き合うこと。わにこ五十五歳の春からの「着物の数が多いなと感じたら、本当に自分に必要か考えてみよう」という、おすすめでした。
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