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綸子や薄い帯揚げをふっくら結ぶ方法の巻

星わにこ
2023/04/26 00:00
「今日は袷でいくか? 単衣にするか?」と天気予報とにらめっこの4月末。フォーマルではなく、体感にあわせて着物を着ようと思うと春先と秋の入り口は気温に敏感になりますよね。 今年は3月末にもう24℃の予報が出て、早速単衣を出動させました。本来は6月1日が衣替えと言われますが、もうそんなことは言ってられないくらい、この頃は早くから暑くなります。かと思うと急に冷えたり、雨が降ったり。なかなか油断できません。 1年中単衣よ、という方もいますし、ウールや木綿などの普段着はそもそも単衣。もうそれでいいんじゃないか~と思う反面、袷の安定感や八掛の楽しみも捨てがたい。胴抜きという手も使いつつ、まだまだ端境期、欲張りに楽しんでいこうと思っています。 さてさて先日「着物は着られるけど、細かい部分のブラッシュアップがしたい」という上級者の皆様のレッスンがありました。その中で、冬は縮緬で普通に結ぶだけでもふっくらとうまく形になるけど、綸子や薄い生地の帯揚げがぺしゃんこになってしまう、というお悩みが。 結んでから余った部分をサイドに詰め込んでふっくらさせたり、撮影のときは綿を詰めるというようなこともしますが、余った部分を詰める方法は結び目がぐしゃっとなりがちでなかなか難しく、かといって綿のようなものも暑くなる時期に足したくない。 というわけで、ここでおすすめしたいのが、結ぶ前に帯揚げの先を折りたたんで二重にしてふっくらさせちゃう銀座いち利の女将方式。お伝えしたところ、なるほど!と喜んでいただけました。 やり方は以下の通り。 ・帯枕に帯揚げをかけて前にもってきたら、しっかり前に引いてピンと伸ばし、脇から30センチくらいのところで手前から折りたたみ、前にわたる部分を二重にします。 ・それを結べる太さに畳んで整理し、脇を整えてから着物と同じ打ち合わせにあわせ、一絡げします。 ・クロスしたところを立てて、上側を下におろし、それを抑えるように下側を折り返して両方一緒に帯の中につっこみます。 こうすると、あら不思議~~。サイドはふっくら、結び目はすっきりな帯揚げが完成です! 慣れるまで、折りたたんでそれを整える作業がうまくいかないかもしれませんが、慣れたらこっちのもん。帯につっこむ時の作業が早くて楽ですし、大人っぽい「いりく」結びも簡単。 年齢が上になると帯揚げは控えめにみせると言われますが、それにしても綸子などのときは控えめになりすぎることも。せっかくお気に入りの帯揚げをしたら、色のアクセントとしてもほどよく存在が主張できるように結べたらいいですよね。 帯揚げがぺしゃんこになりすぎる、うまく結べないという方はぜひぜひ試してみてください! <おすすめ> その他にも帯揚げ達人になれる技がみっちり解説されてるお宝動画はこちらです! 銀座いち利の女将ちゃんねる:女将流!帯揚げの結び方~前編~

帯の前結びと後ろ結びどっちがいいの?の巻

星わにこ
2023/04/19 00:00
名古屋帯や袋帯を結ぶとき、お太鼓を前で作る前結びの方が増えているなあ~と感じます。前結びは簡単!といわれますが、後ろ結びに慣れていると戸惑うことも多いです。今回は自分でもやってみて感じた、前結びと後ろ結びのいいところ悪いところをあげてみたいと思います。 前結びのよい点・悪い点 〇お太鼓の形や柄を確認できる 〇帯揚げも綺麗にかけられる 〇気持ちが楽! ×帯を回すとき、着崩れしやすい ×前結び用の帯板が必要。暑い ×意外と後ろで結んだりする作業も多い ×胸高には結べない 後結びのよい点・悪い点 〇回したりしないので、手早く結べる 〇帯板を選ばない ×お太鼓の形や柄が確認しづらい、見えないのでイライラする ×後ろ手の作業が多い ×難しく感じる 欠点としてあげたところも、改善余地はありますし、必ずしもそうではない場合もありますが悪しからず。 慣れてしまうと、後ろ結びのほうが早いし楽だと思うのですが、最初に覚えよう!としたときの敷居の高さは半端ないです。実際、着付けレッスンでお教えするのに超難関!なのがこのお太鼓。構造が理解できるまでは、「今どういう形にするために、なにをどう動かしているのか」がわからないんですよね。いまだにね、なぜお太鼓結びをしなくてはならないのか? その形である必然性はあるのか? こんなん誰が考えたんや??と思うこともあります。どうしてこんな面倒なことをしなくてはいけないのか! それは説明できません(笑)。そういうもんだと思ってやるしかない。その形があまり好きでなければ、他の結び方なり、服装をすればいいわけですから。 とはいえそんな、どうなってるかよくわからない形を、なが~い布(帯)を使って、ささっとできるわけでもない手順を踏んで形にしていくわけですから、最初はほんと頭に疑問符が浮かびまくります。最初から作り帯でええやんけ!と思ったりもします。 これは慣れと理解でしか解決できないと思います。とにかく回数結んでみる、あとは動画などを見てひたすらイメトレすることで上達します。慣れてくれば、自分のやりやすいアレンジを加えたりして楽にできるようになってきます。 でも、この「ひたすら回数をこなす」「イメトレをする」といういわゆる修行パートをぽーんと飛ばすことができるのが「前結び」なんですよね~~~~!!! いやほんとすごいと思います。 なにしろ、目で見て一番難しいお太鼓の形作りができるわけですから。今、私が、何にも知らないで一から帯結びを覚えなさいと言われたら、前結びを選ぶのではないかと思います。 でも実際は慣れているので自分でさっと着るときは、慣れている後ろ結びにすることがほとんどです。着付けは、体が覚えていて普段と違うことをしたりするとよくわからなくなったりすることもあるので、自分が慣れている方法が一番効率がいい。 でもやわらかくてお太鼓柄のここが出したい!と決まっているような帯や、帯揚げの柄を後ろ脇で見せたいポイントがある、というようなこだわりがあるとき、前結びをすることもあります。 帯結び含め、着付けは最終結果は同じでも、そこにい至るプロセスがそれぞれ着る人によって細か~く違ったりします。だって、要は着れればよかろうなのだ。ですから、手段は選ばなくていいはず。 いろんなやり方を知ると、それぞれのいいところを取り入れたり、自分にあったものがわかるので、「私はこれしかやらないの!」と決めつけてしまうのはもったいない。単に私が着付けオタクなだけかもしれませんが(笑) たまには自分と違う着付けの方法を、試してみるのも面白いですよ~!

気になるおはしょりの横もっこりを解消する★の巻

星わにこ
2023/04/12 00:00
着付けについて考えるシリーズ、おはしょり第三弾です。しつこくすみません‥‥。今回はおはしょりの横のぶかぶかをなんとかする!という考察です。 おはしょりがもこもこしたりスカートみたいにひろがっちゃったりするのは、着付けの問題というよりは実は補整が大きな原因だったりします。 ウエストの補整をしていない、もしくは足りないと、ウエストで腰紐が締まるとおはしょりにギャザーが寄った状態になってしまいます。ラムネビンに紙を巻きつけて、細いところに紐を結んだら、ぐしゃっとなってしまいますよね。 腰骨の上は「私、補整必要ないんで(キリッ)」というお腹のお肉が潤沢な方(私です)でも、やっぱりくびれています。その段差によって、特に体の横の帯の下、おはしょりがもこっとなってお尻が大きく見えてしまうという現象が‥‥。 なので、適切にこの腰骨の上のくびれを埋めてあげることで、ヒップとの段差がなくなり、おはしょりの横もっこりも解消されるという仕組みです。 あとは、着物のサイズがあわず、身幅が余っていたりしておはしょりの横がもっこりすることがあると思います。 だいたい、身幅が余った場合は体の真横でタックをとって、後ろ見頃の生地を前見頃につっこもう、と言われることが多いです。 そうすると、背中もすっきりするし、余った生地は横で処理する‥‥というものなんですが、これは実は体の真横で布がもたつくので、どうしてももこっとなりがち。 まあ、身幅が足りない方向で悩んでいる胴回りが潤沢な方(私です)は、あまりそういうことにはならないんですが、身幅があまるわ、というスレンダーな方にはこれは大きな問題です。 そこで、タックをとる場所を体の真横から、背中側に移動させましょう。そうすると、布が横で重ならなくなるのでスッキリするというわけ。 この背中タックは、他装のときに身幅が余ったりするとよく使われるテクニックですが、自分だとできないな~と思い込んでいたのですが、両手を後ろにしてウエストのところできゅっと左右同時にタックをとるようにすると案外いけます。 この時下方向にも引き気味にすると、すっきりとタックが入ります。 体型や着物のサイズ、補整や紐の位置、いろんな要因が重なってうまく行ったり行かなかったり‥‥。毎回、なにかしら「もっとこうだったら」と思うことがある着付け。うまくいったな~と思っても、写真をみたらあれれれ、と思うこともあったり、なかなか自分の理想には近づけないでいます。 あらかじめ形が出来上がっている洋服だったら、こんなふうに布の扱いで悩むことも少ないのかも。でも、それが面白くて着物を着ているのかもな~と、ああでもないこうでもないと考える時間が、好きなのでした。 今回もっこりとか書いていて、頭の中には『Get Wild』(シティハンターの主題歌)がぐるぐるしていたのはまた別の話です(こんなネタは何人の方がわかってくださるのだろうか)。 こんな私ですが、今後ともどうぞお見捨てなきようよろしくお願いします。。。

おはしょりを一重にする「三角上げ」考★の巻

星わにこ
2023/04/05 00:00
着付けについて考えるシリーズ(シリーズだったの?)、前回に引き続きおはしょりです。マニアックネタなので、好きな人だけ読んでください・・・。 おはしょりのお腹にあたる部分、上前と下前の布が重なって二重になっていると、ぶかぶかしてしまったりもっこりしてしまったりすることがありますよね。 この部分を一重にするためによく使われるテクニックが「三角上げ」。下前の衿をおはしょりまで下りないように三角に折り上げてしまうというもの。 コーリンベルトを使うとこれがかなり簡単にできます。下前の衿をコーリンベルトで留めたら、留め具の上に下前のおはしょり部分の布を持ち上げて押さえてしまえば、お腹の部分には上前の布しかなくなるというわけ。 これをすると、下前の衿がおはしょりのところで下にひっぱれなくなるので気崩れがなおしにくくなるのですが、やはりお腹のところはすっきりするし、折り上げた布でウエストの補整にもなるので一石二鳥のため、このやりかたを採用している方も多いのでは。 私はずっとこの「三角上げ」は、着崩れが直せなくなるのが欠点だと思っていたのですが、コーリンベルトの留め具を押して衿のゆるみを直す技を会得して以来、いけるでこれはと思っています。 参考:振袖や訪問着の伊達衿のゆるみを直す方法☆の巻 ところが、この三角上げの布を持ち上げる方向を逆にするという方法を、たかはしきもの工房の女将さんに教えてもらいました。 どういうことかというと、コーリンベルトは低めにして、衿はおはしょりのところで引けるように下ろしておき、右に向かって下前の布を持ち上げておはしょりを一重にするのです。 な、何を言っているかわからねーと思うが、おれも何をされたのかわからなかった・・・(ジャン・ポルナレフ談)というくらいコペルニクス的発想でした。イラストを見てみてください。 右側の上前の端がなくなるのでは?と思いきや、そんなこともなく、もしなければ引っ張ればいいし、右端の腰のもたもたがなくなるという凄技。しかも、下の衿も緩んだらおはしょりのところで引いて直せるんです。 へえ~?と思った方は、試してみてくださいね! 目鱗です。 ただ、このおはしょりを一重にする必要がない時もあるわけで、薄手の着物や痩せていておはしょりがふがふがしなければやらなくていいですし、逆にふくよかさんの場合、二重になっていたほうがしっかりとお腹を押さえてくれる効果もあったりして、一重よりよい場合もあります。本当にケースバイケースですね。 人の数だけ着付けのやり方はある・・・というわけで、いろいろ試して自分がやりやすくて綺麗に仕上がる方法はまだまだ探す余地がある、と思っています。 次回も引き続き、しつこくおはしょりについて考えたいと思います。「おはしょりの横のぶかぶかをなくすには」編、お楽しみに!

おはしょりナナメをまっすぐにする方法★の巻

星わにこ
2023/03/29 00:00
着付けについて考えるシリーズ(シリーズだったの?)、今回はおはしょりに注目してみました。 よくおはしょりは指1本分、などと言われます。だいたい7センチ前後ですが、背の低い人は控えめに、高い人はもう少しあってもバランスがとれると思います。 このおはしょりですが、裾つぼまりに着付けをする(上前の端を上げる)と、左側が長くなり、ナナメになります。これは構造上いたしかたないこと。 昭和時代のきもの本などを見ていると、ナナメでも当然ですよね!という感じですが、平成以降は床と平行に、まっすぐおはしょりを仕上げるようになっています。ナナメが変だな、と思うのは、着付け教室でもそう習うし、雑誌などでもまっすぐだから。 でも、このおはしょりをまっすぐにしようと思うとちょっと手直しをしなければなりません。 いくつか解決方法はあって、まず帯を結ぶ前にまっすぐに整えて伊達締めや胸紐で押さえてしまうやり方。 これは他装でよく行う方法。綺麗におはしょりを整えてから帯を結ぶので綺麗に仕上がります。でも、この方法の欠点は、着崩れて衿がゆるんだりした場合、おはしょりをひっぱって直す、ということが難しいこと。 胸下の紐が苦手ではない人はこれでもいいと思いますが、私は苦しくなってしまうので、この方法が苦手です。崩れないように胸紐や伊達締めをきつく結ぶと体がしんどいですから、着崩れても引いて直せるようにしておいたほうが楽です。 また、腰紐自体を左上がりにナナメに結んでおはしょりをまっすぐに見せるやり方もあります。これは体に紐がナナメにあたるので、体が歪む原因にも。 じゃあ一体どうしたらいいの?ということですが、帯を結び終わってから、おはしょりを帯につっこんでまっすぐに整える方法を採用しています。 見えるところ、おはしょりの長い部分をぐっと帯の中に押し込んだら、両手の4本指を下から差し込んで脇に扱いて真っ直ぐにします。このときちょっとお腹をひっこめるとなおよし。 着付けヘラを持っている方は使うとよりすっきりと扱くことができます。 これで胸元が緩んだりしたら、一度おはしょりを引っ張り出して下まで引き、緩みを直して、また帯につっこめばOK。 つっこんだだけでも、よほど帯が緩かったりしなければ、落ちてきたりすることはありません。 胸紐で調整する派の方も、よかったら一度試して見てください。楽ちんですよ! 次回はもうちょっとおはしょりについて考えたいと思います。「おはしょりを一重にするには」編、お楽しみに!

「お太鼓止め」は短い帯の救世主!の巻

星わにこ
2023/03/22 00:00
まだ三月半ばなのに東京ではもう桜が満開に近い状態で、あまりの早い春にあわあわ。年度末で追いまくられているうちに春が終わってしまうのでは? とドキドキしております。 でも、キモノオタクは通常運転。また日々着付けのことなど考えているのですが、最近は「お太鼓結び」を最速で結ぶにはというのを試していて、ずっと仮紐を使って結んでいたところをきものクリップを使うということをしてみたら、かなり時間短縮になりました。 結ばない代わりに、仮紐で押さえるところをクリップで止めるのですが、ゆるまないし、小さめのクリップならつけっぱなしでもOK。むしろ外さないほうが手間もない。ということでいいぞ!と思ったのですが、やっぱり時々クリップの形がぽこっと出そうで気になる時も‥‥。 そこで銀座いち利の女将さんの動画を見て、「お太鼓止め」を使えばいいのでは!と思い、使ってみたらめっちゃよかった! 平らでしっかりと止まり、つけていても違和感ゼロです。 関連動画:【便利グッズ】使ってみたシリーズ お太鼓止め編 あと、最近更なる胴回りの成長を遂げてしまった私‥‥(悲報)。先日、喪服を出してみたらあれっ!入らない!? なんか、しまっておいたら縮んじゃったのかな‥‥よくあることだって友達に聞いたな‥‥そうそう、帯もしまっておくと短くなっちゃうって聞いたことがあるな‥‥という現実逃避はおいておて(爆) 帯の長さが足りないためにお太鼓の返しが不十分で、このままではお太鼓が落ちてしまう危険が‥‥という時、このお太鼓止めがいい仕事をしてくれるのです。 まずは、結ばずにお太鼓止めで帯を止めることで、帯の長さが稼げること。 そして、さらに返しが短くてお太鼓が落ちそう!というときには、短い返しの部分(「て」で隠れるところ)にお太鼓止めを差し込むだけ。「て」を差し込む前にクリップをしてくださいね。 返しをクリップで止める場合は2ついるので、3つ必要です。 今までそんな時のピンチ案は「隠し仮紐」一択だったのですが、新たな裏技発見です。 関連記事:短い帯は隠し仮紐で固定できるぞ。の巻 実はこの返しを止めるのは、お太鼓止めを使う前に文房具のダブルクリップでもやったことがあります(爆)。ただ、挟むのにちょっと力がいるし、うしろに手をまわしてするのでちょっとがんばらないとだめ、また帯が傷つくかも?という場合はやめた方がいいかも。 お太鼓止めは差し込むだけでOKなので、比較的楽です。前結びの方だともっと楽に対処できると思います。 なんという‥‥なんというチームふくよかの強い味方‥‥。(チームふくよかでは、「裏技に頼らず痩せろよ」というつっこみは受け付けておりませんので悪しからず‥‥) 他にも、半幅結びの結び目を固定したり、帯が緩まないようさまざまな使い方ができるお太鼓止め。 お値段もリーズナブルなので嬉しいですね。もし、帯が箪笥にしまっていたら縮んじゃった!(縮まない)&お太鼓止め裏技やったことないわ、という方がいらしたらぜひ試してみてくださいね!チャオ!

袴のリボンに水引でワンポイントチャームの巻

星わにこ
2023/03/15 00:00
卒業式シーズンですね。コロナ禍でいろいろな式典も我慢してきたお子さんたちが、晴れ晴れと卒業式に臨めるのは本当によかったな~と思います。 2年前に成人式が中止になってしまったお嬢さんの記念写真の撮影をさせていただいたのですが、今年は卒業式。同じ振袖に袴をあわせて着付けをさせていただきました。とてもとても嬉しかったー! いまや振袖に袴をあわせるコーディネートもすっかり見慣れてきたように思います。お袖が長いと華やかでいいですよね~。 お母様は、拙著『その着物、どうする? 好きだから知っておきたい保管・メンテ・処分の方法』で、着物の収納・お片付けを監修してくれたさかもとりえさん。着物の準備も完璧でした! お祖母様が用意してお母様が来た振袖を受け継いで、キラキラの笑顔で卒業式に向かう姿を見て、涙~~~!! 佳き日の門出、本当におめでとうございます!! 「成長」を祝う縁起の良い蝶が舞う振袖に蝶の刺繍の袴姿が、とても素敵でした。 水引の髪飾りをつけていらしたので、袴のリボンに水引の飾りを添えさせてもらいました。リボンだけでも可愛いのですが、コサージュやワンポイントの飾りをつけても可愛いですよね! リボンの変形結びもいいし、シンプルな乙女結びもやはりスタンダードでよき‥‥。 本人の個性や学校の雰囲気にもよるとは思いますが、それぞれのスタイルで 袴は、後ろの帯をちょっと大きめに結ぶとバッスルドレス(※)みたいでいいですよね。ふわりと膨らむと、本当に可愛らしいし、着ている本人もテンションあがるんですよね~。 この時期、卒業式に出る先生のふりをして袴で出かける(コスプレ?)なんてこともしたことがありますが、実に楽しい。あと、とってもとっても楽ちんなんですよね。もっと普段に袴を履いたらいいのに。 なーんて思いながら、晴れの門出のお祝いの着付けをさせてもらえるってなんて幸せなんだろうと思う、春の日でした。 ※19世紀ヨーロッパで流行した腰あてをしてふわりと後を盛り上げるスタイルのドレス
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二色のふき・十二単の五衣のような振袖の巻

星わにこ
2023/03/08 00:00
どうも、振袖が好きすぎて困るわにこです。また振袖の話題で失礼します。 私が着付けを担当しているスタジオでは、成人式の記念撮影もしています。レンタルも多いですが、お持ち込みのお振袖での撮影もあります。お嬢様用にあつらえられたものもあれば、ママ振もあります。 先日、お母様が20歳のときに着た振袖のお持ち込みがあったのですが、初めて見るお仕立てでした。 袖口と裾のふきと、袖の振りが赤と緑の二重の二色になっていて、辛子色の比翼がついています。さらに振りの部分から見える襦袢が裏表違う色(辛子色と朱色)で無双になっており、重ねると十二単の五衣(いつつぎぬ)のように見えるというもの。 絹の織りなす色の襲に、思わずうっとり‥‥。 伊達襟も、ふきの色目に合わせた色が用意されていました。比翼でついている辛子色の間に緑の伊達襟を挟む込み、ふきと同じように二色になります。 振袖は蝶々の大きくて華やかな地紋が入った色無地に花紋が入っていて、あでやかな真朱(まそほ)色がとても素敵でした。 振袖自体が一色なので、ちらりと見えるふき、袖口、襟元に密やかにこぼれる色がとても効いていて、おしゃれ!! よく見ないとわからないところもまたこれぞ着物の醍醐味という感じで痺れます。 着物が大好きで、凝ったものや特別感が大好きだったというお祖母様が、お母様のために誂えたまさに世界に1枚だけの振袖。 「20歳のときは、なんだか演歌歌手みたい‥‥ってあんまり気に入らなかったんだけど、娘がこうして着てくれて、大切にしていてよかった。誂えてくれた母にも感謝です」とおっしゃっていて、じーん。 母から娘へ、さらに孫に‥‥着物と一緒に受け継がれていく気持ちを思うと、胸がいっぱいになります。 受け継ぐ着物と簡単に言いますが、子供を産み、それが女の子で、健康に育って無事成人しそれを祝う‥‥誰でも叶えられることかというと、実はそうでもなく、だからこそ尊いなあと感じます。 写真スタジオの仕事は、そんなご家族と着物の物語に触れられる大好きな仕事です。人生はいろいろあるけど、大切な人と笑顔で写真を撮る幸せのお手伝いをすることができる‥‥だから続けているのかもな、と、着物で笑顔のご家族を見ながら有り難く思うのでした。

振袖をドレス風に★還暦ライブ衣装の巻

星わにこ
2023/02/22 00:00
先日、松岡美桔さんのライブにいってきました。美桔さんはミュージカルの舞台などを中心に活躍されている女優さんで、着物繋がりのお友達でもあります。パワフルな歌声がかっこいい! 2019年には両足の人工股関節置換術を受けてリハビリを経て見事復帰し、2021年のレ・ミゼラブルにも出演。もうほんとに、尊敬する歌姫なのです。 このたび、なんとその美桔さんが還暦とのことで、記念にチャリティライブを開催。おなじく友達の初田せつちゃんのスタイリングで、20歳の時に着た振袖をドレス風に着ることに。当日せっちゃんが来られないため、急遽ピンチヒッターで着付のお手伝いに入りました。 その振袖は、美桔さんのお母様が紅型でご自分で染めて作られたそう。一ツ紋も入っていて、母の愛が溢れる素晴らしいもの。 今回はそれをワンピースの上に羽織って、ドレス風に。 ウエストをゴムベルトで止めてベルト部分で裾を引き上げ、帯を結んでドレス風な着こなしにトライ。途中で衣装替えもするので、さっと脱げる形です。 帯は織兵児帯を薔薇結びにして華やかに。とっても素敵でした。 お母様は昨年コロナで亡くなられており、ライブではそのお母様のエピソードも語られて、思わず涙‥‥。きっときっと還暦振袖で舞台に立つ娘を天国で見守っておられるはず。 ウクライナ支援と、児童虐待を受けた子どもたちの生活支援を行っているNPO団体へのチャリティライブということで、国境や人種、ジェンダーなどのボーダーを越えた平和や平等への想いが、歌声からひしひしと伝わってきました。 米倉斉加年さん作『多毛留』の朗読も。小さい時、母に買ってもらった絵本の挿絵が40年以上の時を越えて脳内に鮮やかに蘇り、鳥肌がたちました。百済の国から流れてきた乙女と漁師の物語と挿絵はそれはそれは美しくて、怖くて、悲しくて。 子どもの時にはわからなかった物語の意味を、教えてもらいました。 どうしようもないこと、起こってしまったこと。そして、なにを選んで生きるのか。 そのときわからなくても、いつかわかることもある。 年を重ねて、見える景色もある。 いろんな想いを受け取り、私も、がんばろ!と思えたライブでした。 60th anniversary charity live “Beyond Borders” ~Reading & Singing~ https://eplus.jp/sf/detail/3795840001-P0030001 25日まで配信されています♪ <おまけの宣伝> 着物と関係ない話で恐縮ですが、星わにこの4冊目のコミックエッセイ 『53歳シングルマザーのライフプラン』世界文化社 が本日2月22日に発売になりました。 着物の話はほとんど出てこず、計算や計画を立てるのが苦手で 行き当たりばったり人生のわにこが、コロナで仕事や体調に 不安を覚えて、エンディングノートとライフプランに取り組んだ お話です。人生後半戦、どうやって生きていこうかな、と 考えている方の、お役に立てば嬉しいです!

ニャンニャンニャンの日・猫結びの巻

星わにこ
2023/02/15 00:00
もうすぐ2月22日。ニャンニャンニャン、というわけで猫の日ですね。我が家にも2匹の猫がおります。知り合いの和裁士さんのマンションのお庭でノラちゃんが5匹子猫を産んだのを、そのままでは保健所に連れて行かれてしまう‥‥というので保護。先代の猫を20歳で看取って半年の我が家にも、どうかとお声がかかりました。 家族会議ですぐに引き取りが決まり、そのまま迎えにいって残っていた2匹を引き取ってはや9年。時がすぎるのは早いものです。いつも、絵の中に勝手に登場させているのがこの2匹。 姉妹だけあって、本当に仲良し。いつもくっついています。いっちょかみ気質で要領のいい女子力の高い茶トラの「いわし」と、人見知りで慎重でどうもワンテンポずれがちなキジトラの「さわら」。毎日布団を占拠され、小さくなって寝ている私ですが、これも幸せというやつですよね。まだまだ長生きしてほしいと思っています。 先代の猫から数えると、猫様の下僕暦も30年近くなりますが、本当に猫様にお仕えできていることをありがたく思っております。着物好きには猫好きも多いとも言われますが、同志の方がいらしたら深く頷いていただけるかと‥‥。これからもイラストの中に出てくると思いますが、猫派でない方も生ぬるく見守っていただけると幸いです。 さて、そんな猫の日にむけて、帯の猫結びのご紹介です。猫耳結びともいわれるこの結び方は、「て」を耳に見立てるもの。 名古屋帯をお太鼓と同じように胴に巻いて、ひと結び(からげてクリップでもOK)。「て」を耳に見立てるように、ななめに折りあげてクリップで止め、仮紐で止めます。 その上に銀座結び用の帯枕か仮紐でお太鼓を被せて、銀座結びと同じようにお太鼓を作ればできあがりです。 お太鼓の上線を少し丸い形にするとより猫っぽくなります! この、「て」で作る耳の形をいろいろ工夫すれば他の動物もできますね。 後ろ手で結ぶのは不可能なので、自分でやるときは前結びで結びます。半幅でもできますが、今回は名古屋帯での結び方のご紹介でした。銀座結びの変形になります。 回すときに耳が崩れがちなので気をつけて。何度か練習してみるとコツがつかめます。 結んでくれるか、後ろでちょっと形を整えてくれる誰かがいたらありがたい‥‥っていうやつですよね。 ほんとに猫の手も借りたいというところですが、ここで全く役に立たないのが猫様の愛おしいところです。最高。 皆様も素敵なニャンニャンニャンの日をお過ごしください。