浴衣のうなじ、衿芯インでキレイ見せ☆の巻
星わにこ
2019/08/14 00:00
セミの声と強い日差し、殺人的暑さに来年この時期東京でオリンピックってマジですかと白目になっている今日この頃。皆様ちゃんと熱中症対策されてますか?
夏の休日は、エアコンの効いた室内で、ついついパソコンでネットサーフィンや妄想コーデをして現実逃避してしまったり。でもねーこれだけ暑いと、前向きに「お洒落して出かけよう!」という気持ちになかなかなれませんよね。
この暑さでよいところは、お休みの日お洗濯をすれば、すぐに乾いてしまうこと。普段着やシーツや肌がけ布団なんかもばんばん洗ってばんばん乾かす。浴衣や洗える着物も、パリッと乾くので気持ちいいですよね?。
>ネットにいれて洗濯機にポン!? 浴衣のお洗濯とお手入れ☆の巻
さて、浴衣を着た時、着物と同様衣紋が綺麗に抜けていると、うなじがすっきりキレイに見えますよね。アップヘアも映えます。
と同時に、衣紋がちゃんと抜けていると、涼しいんです!
抜きすぎはよくないのですが、詰まっているより、適度に抜けていたほうが断然涼しい。首筋に風が通るようにすると、体感温度が全然違います。
でも、浴衣の衿を抜こうとすると、よっぽど糊がガチガチに固まっていない限り、ちょっとふにゃっとしてしまいキレイに抜けませんよね。 そんなときは、浴衣の衿に、衿芯を入れてしまいます。入れる部分はかけ衿の内側(イラスト参照)。このかけ衿の端っこは縫ってあるので、それを片方解いて中に衿芯を入れます。
入れる衿芯は、できるだけぺらぺらで柔らかいもの、メッシュなどがオススメです。硬いものを入れてしまうと、衿が浮いてしまい胸元がはだけてしまったりするので、必ず柔らかいものを。
衿芯を入れてみたけどうまくいかないというときは、芯の硬さにも気を配ってみてください。
浴衣は半衿がない分、襟元のあわせが浅かったりゆるかったりするとだらしなく見えてしまったり、セクシーになりすぎたり、逆におばあちゃんみたいになっちゃったりするので、前はきちんと合わせましょう。
あともうひとつ、衣紋をうまく抜くには、着付けのコツもありますのでよかったら、ご参照ください。
>衣紋がキレイに抜ける着方☆3つのポイント、プラス1の巻
キレイに衣紋を抜いて、すっきり涼やかな着心地をぜひ体感してみてくださいませ!
夏こそ作り帯☆着付け時間短縮で暑さ軽減!の巻
星わにこ
2019/08/07 00:00
暑い!マジ暑い! 二進も三進もどうにも暑くて吹き出す汗、化粧もなにも崩れ落ち、この上着物なんてとんでもない!と思ってしまう今日このごろ。
しかし! 夏着物をさらりと着こなせたら素敵ですよね?。街で涼しげな夏着物の人を見かけると、涼しい風が吹いてくるようです。?? 本当は暑いのは知ってます。でも、やっぱり憧れですよねー。
ココイチのお出かけにはやっぱりスキッと夏着物を着こなして出かけたい。
薄物に袖を通すトキメキを感じたい!
だが、暑い!(笑)
素材が涼しいもの、小物も夏仕様にして、保冷剤を仕込んだり(笑)着てしまえば、意外と大丈夫なんです。だけど、着る時点で心が折れることが結構あります。
なので、全部準備を済ませてから、この時だけはエコ精神を忘れて、エアコンで冷やしすぎじゃないの!?というくらいキンキンに部屋の温度を下げて、できたら扇風機もまわして、なるべく短時間でさっと着る! これが鉄則かと思います!
だけど、それでも帯を結ぶ時、いいポイントが出なかったり形が気に入らなかったり、そこでやりなおしの刑になってしまうと、気づくと汗だくになっていたり。帯結びって結構力も頭も使います。半幅帯で結ばない帯結びもいいですが、やっぱりお太鼓でドレスアップして出かけたい時もありますよね。
そんな時、私の心の強い味方が「作り帯」です。帯結びタイムが確実に短縮できますし、気に入った形にならないとか、模様が出ないとか、そんな心配もありません。
お太鼓の作り帯にはいろいろな種類があります。
代表的なものは
・最初からお太鼓の形になっているもので胴に巻くだけのもの
・帯を切らずにマジックテープなどをつけて作り帯にしたもの
・胴とお太鼓が別々になっていて、お太鼓が形になっているもの
・胴部分とお太鼓部分が平らな状態で二部、もしくは手が別になっていて三部になって
いるもの
といったところでしょうか。
お太鼓が形になっているものは背負うだけ、巻くだけで早いのですが、形が最初から決まりすぎていたり、いかにも作り帯という感じだったり、あと、収納に結構場所をとるんですよね。
その点、平らな状態で二部、三部になっているものは、普通に帯を結ぶ時と同じ感覚で好みのお太鼓が作れますし、収納も平らな状態でできます。私はこちらがお気に入りです。
特に、この方式のものは手の処理が様々で、胴に巻く部分が少し長めになっていて折り返す方式や、お太鼓側に手だけが縫い付けてあったり、様々です。意外とこれが思ったところに持って行きにくかったり、私は手間どってしまうことが多いので、三部式になっているものが一番気に入っています(時々あっ!手の部分がない?なんて焦る
こともありますが(ちゃんと仕舞っておけ>自分)
もし、夏に着物を着るのがハードルが高いなあーと思っている方がいらしたら、作り帯、ぜひ試してみてください。最初から作り帯になっているものもありますし、自分の帯を切って作り帯にしてもいいし、切るのに抵抗があったら、切らずに作れる作り帯もありますよ。
浴衣も同様。帯でつまづいて着ないのならば、作り帯上等ではないですか。
夏こそ! 着物を楽しんでみませんか。
雨の日の着物。裾はウエストベルトで持ち上げて!の巻
星わにこ
2019/07/17 00:00
心から、お日様が恋しい日々が続いている梅雨の時期。涼しいのは有難いんですが、洗濯ものも困っちゃうし、じめじめすぎて頭からキノコが生えてきそうです。早く梅雨明けしませんかねー。
先日、雨の日にちょっとしたパーティがありまして、着物ででかけた私ですが、「今日は雨だから、着物やめちゃった」という人が何人もいて、ちょっと残念でした。
私の場合、着物以外にそういう場に着て行くものがないので着物を着る選択肢以外ないわけなのですが(爆)、着物が濡れたら困るな、雨コートはどうしよう、暑いかな、雨草履もないし‥‥となると、着物を着ること自体をやめてしまうという気持ちはよくわかります。
もう、多少の雨なら図太く外出してしまうようになった私の、基本雨対策はこんなかんじ。
>正絹着物でもできる雨の日対策
ほとんど変わってはいないのですが、アップデートとしては、着物をめくりあげるときに使う腰紐は、着付クリップで帯にとめちゃう方式もオススメ。大雨の日は撥水モンペを履いてしまう手もあります。
でも最近、ウエストベルトをつかって、ちょっとだけ上げる方式というのをキモトモに教えてもらいました。
着物をめくりあげる方式は、裾がよごれなくて安心なんですが、めくるとき、下ろすとき、人前ではちょっと恥ずかしいですよね(^^;)
ウエストベルトを、ヒップのあたりに着物の上からセットします。ウエストベルトの上から好きなだけ裾をひきあげればOK。その上に雨コートを着てしまえば、裾が短くなっているのも見えません。コートを羽織ってから前を合わせる前に、裾の調整をすると、トイレに行かなくてもささっと身支度できます。
裾を下ろすときも、ウエストベルトをとればそれでOK。コートの紐をほどいたら、脱いでしまう前に、さっと外せば元通りなので、とてもスマートですね。
ウエストベルトは、本来腰紐の代わりに使うもの。平らだし結び目もできないので、おはしょりが短めの着物の時など重宝します。実はゴムがあまり得意でないので買ったけど使ってなかったのですが、雨の日に使えるようになって嬉しいわにこです。梅雨時だけでなく1年中使えるテクニックですので、覚えておいてくださいませ(^^)
結ばない帯結び☆太めのアラフィフが試してみたら?の巻
星わにこ
2019/06/26 00:00
今、結ばない帯結びが流行っていますね。大阪の着付師ayaayaさんが考案、Youtubeやインスタグラムでらくちんかんたんと大人気です。その他にも和洋ミックススタイルのような帯ベルトもあります。
要するに、半幅帯を半分の長さに折って、ぐるぐると巻いた上に、帯締めやベルトで止めちゃうと言うもので、へえ~そりゃ楽だよね! 確かになにがなんでも結ばなきゃいけないってこともない。作り帯なんか、巻いただけなんだから、結び目がなくても機能としては成立するはず。
大体、みんな帯が結べな~い! って苦労してるわけだから、そこがないとなれば、すごく着付のハードルが下がりますよね。夏の浴衣でも見かけることが増えるのではないでしょうか!
と思いましたが、ちょっと待って。結ばないということは、後ろ姿はフラットな半幅だけ‥‥。ということはすっっっごくおしりが目立っちゃうってことですよね。
そう思って、改めて「いいですよ!」「素敵ですよ!」と実践している写真を見てみると、若い人、スリムな人、スタイルがいい人‥‥‥。
あー。。。こうね、ちょっとでもおしりをみせたくないなと、半幅帯でもタレが下がるタイプの結び方をチョイスしている太めのアラフィフおばちゃん(自分)には絶望的な結び方なんじゃないかな……ということに気がついてしまいました。このおしりが、どーんと、丸見え……いやー!ムリムリありえない!
私もね、ずっと自分は中肉中背だと言い張ってきました。だけど、産後どんどん太って、現在臨月の体重などとっくに越えて、人生最高体重を更新中です。もう立派な太めのおばちゃんです。えーなんかもう想像しただけで絶望的になってきました‥‥。
でもでもね、そんなおばちゃんだって楽はしたいわけじゃないですか。夢をみたっていいじゃないですか(オーバー)というわけでどんなもんだか実験してみました(強心臓)。
お茶のお稽古で着装してみましたので、雑巾掛けはするわ立つわ座るわで、結構動きましたが、結んでないことで起きた不具合はありませんでした。途中、あ、ちょっとゆるんだ?と思ったときは、一番身体の内側になっている巻き始めの部分(輪になっている)に指を入れて、ぐっと締めれば結構簡単にゆるみが直りました。結構きちんと締めておかないと、危ないかもしれません。
楽にしたかったので、帯板ははぶきましたが、帯板をすればさらにキリっと締められそうです。結論、普通の帯結びと変わらないし、むしろ後ろに何もないのでかなりラク。ドアノブにひっかかって「ひいい!」なんてこともありません。
しかし……あまりに後ろ姿のノーマークぶりがどうしても厳しかったので、前でバラバラとつけてある帯端のポイントを、後ろに持って来てみました。そしたら…‥少しは救われた気がする‥‥おしりのライン丸見えよりは‥‥。気のせいかもしれないけど(爆)
それに、後ろにポイントを持って来たほうが、前から見ると一見普通の帯結びで、私はこのほうが好みでした。いかにも「結ばない帯結び、やってまーす!」にならないし、どうも前にいろいろポイントがあるのが落ち着かなかったので、オーソドックス好きな自分的にはこちらがよかったです。要は帯が外れなきゃいいわけですから、ヒダヒダをいっぱいとったり、もっといろいろ遊んでも面白そう。
ヒップラインに自信がある人は、どっちだっていいと思います!(結局そこね‥‥)。帯自体がベルトになっているようなものも、アリですよね。
結局結ばない帯結びは、帯締めをどれだけきちっと結ぶか、にかかっていると思うので、よく見かける、ビーズベルトや幅広ベルトで止めるのは理にかなっていますよね。帯締めにこだわらず、ベルトで止めた方が安心かもしれません(もちろん
先生には「まあ~後ろになんにもないなんて、遊女や寝間着じゃないんだから~」と言われてしまいましたが(^^;)簡易な結び方(巻いて挟むだけも含む)というのは、寝ても邪魔にならないということで、用いられてきた場面もあるのでしょうね。
でも今はもう令和。そんなことはキニシナイ。むしろ、洋服を見慣れた目で見れば、このほうが自然なのかもしれません。お太鼓結びは、外国の人から見ると「なぜリュックサックを背負っているの?」と言われるようなストレインジさなわけですから。これからはこちらがスタンダードになる!? そして着付け教室もいらなくなる!? そんなことを思ったら、うふふと笑えてきました。
だって、本当に時代が変わったんですもの。今まで、これでなくてはならないと、キュウキュウに締め付けられていたものが、ポンっと自由になった感じ。一体誰が、それを正しいと決めたの? といいたくなるような決まりやしきたりで窮屈きわまりなくなっていた着物の世界も、またファッションに解放される時がやってきたような。そんなワクワクを感じる「結ばない帯結び」でした。
気楽な場面ではまたやってみようと、太めのおばちゃんも思っております!
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博多小袋帯(麻の葉):薄黄『舞扇』
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博多小袋帯(絣):ピンク『筑前独鈷』【原田織物】
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博多小袋帯(小桜):黒『筑前独鈷』【原田織物】
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仕立て上がりリバーシブル半巾帯(ベルフラワー):茶『召しませ花』
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仕立て上がりリバーシブル半巾帯(麻雀牌):赤『召しませ花』
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仕立て上がり小袋帯(夜景):黒『空』
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仕立て上がり小袋帯(おさんぽ猫):エンジ『空』
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仕立て上がり本袋細帯(市松絣風):クリーム『夢』
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仕立て上がりリバーシブル半巾帯(獅子狩文錦/糸屋輪宝手)【龍村美術織物】
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仕立て上がりリバーシブル半巾帯(欧鳥繍華錦/定家緞子)【龍村美術織物】
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仕立て上がり西陣リバーシブル半巾帯(つる薔薇/レース):黒×グレー【田中伝×いち利 女将】
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仕立て上がり西陣リバーシブル半巾帯(結晶/更紗):紺×檸檬色【田中伝×いち利 女将】
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仕立て上がり墨流し半巾帯:グレー×深緑【いち利モールオリジナル】
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仕立て上がり墨流し半巾帯:水色×青藤【いち利モールオリジナル】
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博多紋小巾袋帯(菱/格子):薄緑×緑【協和織工場】
夏はヘチマ!帯枕の自作は結構カンタン!の巻
星わにこ
2019/06/19 00:00
梅雨の晴れ間の気持ちいい日が続いている東京です。帯も夏帯が登場しはじめました。夏帯とはいえど、やはりお太鼓にすると暑いもの。ちょっとでも涼しくしたいなと思うときには、自作のヘチマの帯枕を使っています。
<作り方などはこちら>
>保冷剤を入れる!ヘチマの帯枕を手作り☆の巻
なにが違うかというと、なにしろ軽い。軽いと身体への負担が全然違います。軽さって、涼しさにつながるんだなと実感。あと、固めなので身体に密着しすぎないのがいいところ。独特の空洞構造が、風を通して熱がこもらないのです。
やはり天然のヘチマはごわごわしますので、まくら紐は帯を痛めないようにヘチマの部分をくるむガーゼを二重にするか、たかはしきもの工房のまくら紐など、ちょっとしっかりした生地のもの(伸縮性のあるものがラク)をおすすめします。
自作すると好きな高さや長さにできるのもいいところ。天然素材なためか、つけているうちに身体に馴染んできます。ちょっとへたってきたなと思ったら、すこし厚みを足したり、育てている感じがします。私は、長さは市販のものより長めの25センチにしています。これくらいあると、お太鼓の山が決まりやすいし、高く持ち上げられて使いやすいのです。
ヘチマの中の芯は、そのまま残す場合もありますし、開いてとってしまって、芯のかわりに保冷剤をヘチマでくるんで使うこともあります。保冷剤は、買い物のときによくもらう銀色の保冷袋を切って、くるむと長持ちしますよ。暑い!これはヤバイ!と思う日のワタシの秘密兵器です。
個人的には、夏帯以外のしっかりした帯のときは支えや高さが足りない気がしますので、夏以外にはあまり使いませんが、一年中愛用しているわ!という方もいらっしゃいます。
今月7日発売の雑誌「七緒」58号でも、わにこがヘチマの帯枕の作り方をご紹介しています。2年前に作ったときよりも、さらに簡単に、バージョンアップしております。よかったら見てみてください(^^)材料さえあれば、意外と簡単なんです。
問題は、ヘチマの入手。以前はホームセンターや100円ショップなどでも見かけた気がするのですが、見当たらなくて、今年は結局ネットで探して買いました。これから夏にむけて店頭にも出てくるのかもしれません。
思いあまって、お庭にヘチマの苗を1本植えてしまった私です。自由にくるんくるんと伸びて絡まって行くつたが超かわいい! だがしかし、どうするつもりなのか。そんなに帯枕はいらないぞ(笑)炒めて食べてみようかな、化粧水を作ってみようかな、などと、あらぬ方向に妄想が発展していますが(毎度すみません)、もしまだヘチマの帯枕を使ったことがない方がいたら、ぜひ一度試してみて~とおすすめしちゃいます!
背縫いが破れた!応急処置はどうしたら?の巻
星わにこ
2019/06/05 00:00
先日、着物で仕事をしていたときのことです。ひょいとかがんだら、一緒にいる人に「背縫い破れてるよ~!」と教えてもらい。
ついに来た! わたしにも! 古い着物の「背縫いが破れる」瞬間が~! とか言っている場合ではなく、紺の着物にピンクの襦袢ではもう、目立つの目立たないのって大ピンチ。
でも、そこは呉服売り場でしたので、お店の方に着物を着たまま糸と針で応急処置をしてもらい、事なきを得ましたが‥‥。これは一人のときにやらかしたらお尻の下あたりという場所が場所だけに、まず第一に自分では気付けない(バリっと音がして気がついた、という方もいます)。たとえ気付いても、着物を着た状態では直せない。脱がないと手が届かない! 上着やストールやカバンなどでなんとか隠しつつ家に帰るか、誰か仮に縫ってとめてくれる人を探すしかない案件です。
一瞬、破れたところを養生テープで内側からとめようか、と思ったりしましたが、言ったら止められました(汗)。ですよね~。結論から言って、これという応急処置は‥‥思いつきませんでした。役にたたないコラムで申し訳ないです‥‥(><)が!が!
だって、脱がない限り自分ではどうしようもない場所なんだもの~~! で糸と針はと安全ピンは、着物を着る時はいつもバッグに入れておきましょう!! 自分ではなんともできなくても、頼める人がいればしのげます。特に安全ピンは、ちょっと襦袢が長くてでてきちゃう、とか袖ビリッ!などのときの応急処置にも大活躍してくれます。
背縫いが破れてしまった着物は、リサイクルの単衣で、居敷宛がついていなくて、「破れて下さい!」という条件が揃ったものだったのですが、そこまで古いものでもないと思い、油断をしていました。やらかしてみると、やっぱりおしりが裂けてるって、恥ずかしかった~~~~!!!
これから薄物の季節。単衣の着物の縫い目には負担がかかりがち。居敷宛をつけることが大事なんだな~としみじみ感じました。
破れないまでも、背伏せ(縫い目を倒してきせをかけてある部分)がひっぱられて開き、縫い目が丸見えとなってしまうのも防げます。
いただきものやリサイクルだとなかなかそうもいかないですが、誂えるときにはもう、絶対居敷当てはつける!!ソーイングセットは持ち歩く!!と強く誓いました。
ウールの普段着の着物など、よく共布でおしりの部分だけ居敷宛がついていたりしますが、なるほど必要なものなんですね!
ここがほつれるということは、もう全体の糸も弱っているということで、できたら洗い張り、仕立て直しが理想ですが、布も弱っている場合もありますし、古い着物は信頼出来る悉皆屋さんに相談して見立ててもらうのが安心です。
ただ費用もかかりますから、自力で直して行けるところまで着るか、着るのはあきらめて小物にするか‥‥そのあたりの判断もありますよね。
そして、ここでもうひとつ、ああ着物ってすごいな、手縫いってすごいなと思ったことは、糸は切れても布は切れていない、破れていないということです。これがミシン縫いだったりすると、縫い目が丈夫すぎて、布地がさけてしまうこともあるからです。背伏せが開いちゃうのも、ミシン縫いのものをよく見ます。そうすると、布が弱ってしまうので、もう縫い直しはできません。布を助けるためには、手縫いのほうがいいのですね。
お装束のことを勉強していたとき、とてもざくざくと粗く縫ってあるのに驚きましたが、そのとき生地を守るためにこうしてあるのだと伺いました。生地さえ無事なら、何度でも縫い直せばよいのですものね。
なにはともあれ‥‥おしりが破れるのはやっぱり辛い! 薄物の季節、着る前に危なくなってないか、ちょっとチェック!してみてくださいませませ。
日焼け&冷房対策☆着物にも夏ストールが便利だよ!の巻
星わにこ
2019/05/29 00:00
もう何を着ていいかわからない! と毎年言っている気はしますが、暑かったり肌寒かったり、予報で聞いてないよ!という雨が降ったり、本当に悩ましい日々が続いております。
この1ヵ月くらい、大活躍しているのがヨコ120センチ、タテ200センチという薄手の木綿の大判ショール。インド綿だと思います。特に着物用で買ったわけではないのですが、大きいので着物と帯をしっかりカバーできます。
ここまで大きくなくても、帯まで隠れるくらいの幅(横幅80センチ以上)あるといいと思います。
なにしろいいのが、さっと羽織れてさっと外せて、畳むのも適当でよくてコンパクト。カバンにふんわりつっこめばOKです。
日差しの強いときは日焼け止めにもなってくれますし、少々の雨なら広範囲カバーもしてくれます。薄手でもボリュームがあるので首をしっかりくるめば結構暖かい。でも、衣紋の部分をぬいて羽織れば風も通ってさほど暑くもありません。考えてみると、暑い国では大判の布を身体に巻いていることが多いですよね。
上着を持ち歩くより断然楽なので、洋服の時でも愛用しています。見た目はちょっと遊牧民みたいになりますが(笑)形も自由自在なのがグッド。冷房の効いたバスや電車に乗っても、少ない動作で羽織ったり、寒いところだけカバーできたりするのでめちゃめちゃ楽チンです。
あとはやはり、帯に汚れをつけたくないとき、混んだ電車の中など羽織っていると安心なのです。
今、この原稿を書いているときも、窓をあけたらちょっと肌寒かったので、早速肩にかけております。
木綿なのも大きなポイント。寒い季節には使えませんが、ざぶざぶ洗えるし、この時期重宝な素材です。
羽織モノももちろんよいのですが、それにプラスワンしてもいいくらい。
「夏ストール」という名前で、日焼け対策や冷房対策に大判のコットンやガーゼのストールが売られていますが、着物に使うなら、羽織った時に帯をストンとくるんでくれるように、すべりのよいものがおすすめです。透け感のあるものもおしゃれですよね!
気を使わず、くるくるっと適当にたたんでもいいのがまた嬉しい!
手頃なお値段で手にはいりますので、探してみてはいかがでしょうか。バッグに入れておくと、めっちゃ重宝ですよ!
雨にも負けず☆「細雪」令和元年版にいってきたよの巻
星わにこ
2019/05/15 00:00
5月に入り、時代は令和へ。その記念すべき最初の月に明治座で上演されているのが名作舞台『細雪』。このコラムにも何度も暑苦しく書いているので、またか~と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、ええまた(笑)観劇に行って参りました!
『細雪』は谷崎潤一郎原作で、時代は昭和初期。大阪船場の老舗蒔岡商店の四姉妹の物語。お嬢様育ちの四姉妹にも戦争の影が忍び寄り、それぞれに悩みや苦しみをかかえ、それでも、美しく前を向いて生きて行く姿に毎回感動いたします。見所はなんといっても、四姉妹の着物。法事、舞の会、夏着物、虫干し、送別会、花見‥‥。折々の晴れ着の華やかさに、ため息がもれます。着物好きなら絶対見ていただきたい舞台です。
髪飾りひとつとっても、長女は真珠に螺鈿、次女は珊瑚、三女は薄紅色の花、四女は白い花と、そのキャラクターを現しながら、それぞれを美しく彩っています。もう最初っから最後まで、そんな調子で着物、帯、小物ウオッチにも忙しい! 素敵すぎて、震えます。
今回、着物で細雪を観にいきましょう!と声をかけたところ、なんと15人の団体さんになり、食堂予約の支払いの時にも「えっ、こんな大所帯?」と驚かれた人数に(笑)。いつか、いち利モールのおでかけイベントで楽しくおでかけしたことを思い出しました。
5月ということで、着て行く着物が悩ましい時期。随分前から、暑いかも、暑かったらどうしようという心配ばかりしていたら、なんと、1週間前くらいから観劇予定日に雨予報が! 気温はその分上がらないようですが、雨は着物の大敵!
雨対策をすれば行き来は問題ないけれど、外の大きな細雪四姉妹の看板の前で写真を撮れないのが問題!!(そこなのか)
そして迎えた当日は‥‥雷が鳴り響く日(爆)。でも、そこまで酷い降りになることはなく、なんとか低空飛行でお天気は持ちました。
洗える着物にしたキモトモも。私は悩んで、雨に強い大島の訪問着にしました。袷ですが、薄手の大島は肌あたりもひやりとして暖かい時期になると袖を通したくなるもの。でもやはり紬なので「超・晴れ着感」はないかも。。。本当は振袖を着たいぐらいなのに!(大間違)
毎回、見終わった瞬間に「ぬおーもっと華やかな着物が着てみたい!!」という気持ちになっていること間違いなしなので、できるだけのお洒落をしていきたいなあと思えども、気候が私の前に大きく立ちはだかるのであった‥‥(オーバー)。それでも、舞い散る桜をイメージした着物と帯で、一応細雪コーデ!のつもり!(鼻息)しかしそれも、雨コートで隠れてしまうわけですが(笑)で張り切って出かけました!
思い起こせばここ数年5月6月に上演されることが多く、思いっきり晴れ着を着て行くにはちょっと暑くてしんどいのですよね。次は11~3月の間に上演されるといいなあ(我がまま)なんて思いつつ、一緒にいくキモトモ(着物友達)とあれを着ようかこれを着ようかとワイワイと相談するのもまた楽しい時間。
4人以上で着物で行って、写真を撮るのも楽しみのひとつ。四姉妹の誰なのか(笑)私は鶴子ねえちゃん、なかあんちゃん、きあんちゃん、こいさんと時にはポジションを奪い合い(笑)並んで撮るのも楽しいものです。女優気分で気持ちが華やぎますよ~~!! 自己満足でいいんです(笑)盛り上がります。
今回の四姉妹ポスターは,皆クラッチバッグを持っていました。クラッチバックを持ってのポーズもカッコいいので、これから行かれる方いらしたら、クラッチバッグを持っていかれるのもいいと思います! ええ、記念撮影のためにです(笑)
またこれ終わってからもあれがよかった、これがよかったと話が尽きませんし、お互いのコーデも楽しめます!「この帯は、いらなくなったらちょうだいね」なんて軽口を叩き合ったり(笑)ぜひぜひキモトモと一緒にお出かけしてほしいのでございます!!
何度も見ているし、お話や台詞も同じなのですが、演じる人によって、また自分のコンディションによって、心に響く場面が違ったりしてそれも面白く。今回もオーディションによるエキストラ出演があり、皆さんの着物姿を拝見するのも楽しかったです。
今回四姉妹は全員代替わり(?)して、長女浅野ゆう子さん、次女一路真輝さん、三女瀬奈じゅんさん、四女水夏希さんという、なんと歴代宝塚トップさんが3人もいるという高身長四姉妹。着物の柄がよく見えます(笑)と、パンフレットの対談でもおっしゃってましたが、サバサバと押しも強い感じで、男性陣がちょっぴり可愛らしく見えるほど。これが令和の、新時代の細雪なのかしら~と、楽しく拝見いたしました。
男性陣はあまりメンバーチェンジはなく、皆さん長~く演じてらっしゃるのですが、ことに私は長女夫の磯部勉さんと、4女恋人役の太川陽介さんはお二人以外はもう考えられず。次女夫葛山信吾さんも、最初若すぎるのではと思ったのですが、今や女優陣をもり立てるチームになくてはならない感。太川さんはなんと1998年から啓ぼん! いつまでも「ぼん」でいてほしい。誰がメンバーチェンジするより私にとって衝撃かもしれません。男性陣の安定感がまた四姉妹を引き立てて、素晴らしいんですよね~。男性はスーツだけではなく、正装の羽織袴姿もあり、これまたかっこいいんですよ~!
これでもかー!という豪華な晴れ着を着て「蒔岡商店のお嬢さん」からそれぞれの道へ、新しい夢へ、歩き始めるラストシーンは、生きていくこと、年齢を重ねるということへのエールのようです。悲しいことや辛いこともいっぱいあるけど、美しく装って、桜の下、上を向いて歩く姿に、勇気をもらいます。
昭和41年の初演から、総上演回数1500回を越えて長く愛される「細雪」。ほんとに何度見てもまた観たいと思うのです。おばあちゃんになっても、細雪を元気で、そして着物で観に来たいなと。
この上演期間、あと1回行く予定。と言ったら友達に「えっ、まだ観るの」と呆れられましたが(笑)女優さんが変わると、最初はどうしても前と比較してしまったりあれこれ考え過ぎてしまうので、落ち着いたところでまた細雪ワールドに浸りたいんですもん。(もん、て)何度観ても、楽しめます。
まだ月末まで明治座で上演されていますので、まだ観たことのない方、また観たいなという方、まだまだ間に合いますよ~。細雪の、豪華なお着物ワールドを堪能してみてはいかがでしょうか?
おつきあいくださったキモトモの皆さん、ありがとうございました~\(^O^)/
<おまけ>
わにこの細雪バカっぷりがわかる過去記事はこちらです。
└わにこ「細雪」オーディションに挑戦!の巻(2014/06/04)
└わにこの女優体験記★「細雪」エキストラに出演しちゃいましたの巻(2014/07/02)
└おでかけイベント、着物で観劇♪明治座「細雪」に行ってきました!の巻(2017/04/05)
還暦で着る大人振袖☆東京キモノショー2019の巻
星わにこ
2019/05/08 00:00
10連休、皆様いかがお過ごしでしたか? 私はなんだかんだとお仕事でした(^^;)お休みの間に、元号も平成から令和へ。時代が遷りましたね。
私は、この数年GW恒例のコレド室町で開催される「東京キモノショー」に出展側のお手伝いに入っているのですが、毎年来場される皆さんのバラエティ溢れる着姿に唸らされています。正統派も、カジュアル派も、和洋ミックスも、みんな楽しんで好きなものを着ている!というのが伝わって来て、とても嬉しくなります。
それから、すごく感じるのはそうして好きなものを着ている人は「着物が馴染んでいる」という自然さがあることです。気負いもなく、着物姿が自然。それは、イベントの場の雰囲気もあるのかもしれません。着物警察はいなくって、気後れしている人もなく、とてもにこやかな印象があります。いろんなきものイベントがありますが、そういう「なんでもあり」感がいつもいいなあと思います。
「東京キモノショー」という名前の通り、特にステージでの「ショー」が印象深いものがたくさんありました。中には立ち見のステージもあったようです。といっても、裏方なのでステージを実際見ることはできなかったのですが、今年はステージの映像がYouTubeにアップされて、誰でも見ることができます。
今年はお友達や知り合いもたくさんステージに上がったので見たかったな~と思っていたので、これは嬉しい! 大体次の日にはアップされているというオンタイムで、話題になっていたものをすぐに見られて満足。
中でも、「大人の振袖ファッションショー|成人式の思い出の振袖とともに」は、思わず涙がこぼれるほど感動してしまいました。
大人も振袖を着ましょう!な~んて常々言い続けている私ですが、この日ステージにあがったのはアラ還の女性たち。マジ大人です!
コスプレではなく、還暦を迎えて今までを振り返り、人生の区切り、再スタートの気持ちを振袖で。自分が20歳のときに着た振袖、娘のために作った振袖、東日本大震災で流されてしまった大切な振袖を胸に着るレンタル振袖‥‥。それぞれの想いがこもった振袖に袖を通し、いろいろなことがあった今だからこその笑顔でランウェイを歩く姿。
カッコイイ! そして美しい!
大人振袖ですから、小物も控えめ、帯結びもお太鼓や角出しだったのですが、振袖の持つオーラは、着る人の前を向く力強い心と結ばれてさらにパワーアップして見えました。
そのモデルさんの「物語」に心動かされ、また振袖の美しさにも感動し。振袖は、着物はただ美しいだけではなく、人の想いがこもっている。「着物の力とは、人の想いを繋ぐ、想いを映すこと。作り手の想い、誂える人の想い、着る人の想い、受け継ぐ想いだと思います」という、ショー主催のたかはしきもの工房の女将、髙橋和江さんの言葉に頷くワタシでした。
ああ、私も還暦を迎えた時に、こんなふうに、胸をはって振袖を着ることができるようになりたいと、新たな目標ができました。
20歳のときにはわからなかったこと。大人になって、はじめて知った気持ち。人生を、悲しいことや辛いことなどなにひとつなく過ごせる人などいないでしょう。でも、その分得られる喜びも、自分が目を向ければいくらでもある。いろんなことを背負い、でもそれに負けない力も身につけて。年を重ねることは、楽しいことだと思わせてくれる素晴らしいショーでした。
もうね、二十歳、四十歳、六十歳、八十歳、百歳になったら区切りで振袖着たらええんちゃうかな! その時その時の想いって、宝物になると思うのです。
今思うと、四十歳のときに着た振袖とか、ほんとピチピチでまだまだ若いなあと思いますもん(え、そうでもない?)。
未見のかたはぜひ! 動画を御覧下さいね。その他のショー動画も面白いですよ。きっと「いやあ~着物ってほんとにいいもんですね~!」と思えます!
私は、この数年GW恒例のコレド室町で開催される「東京キモノショー」に出展側のお手伝いに入っているのですが、毎年来場される皆さんのバラエティ溢れる着姿に唸らされています。正統派も、カジュアル派も、和洋ミックスも、みんな楽しんで好きなものを着ている!というのが伝わって来て、とても嬉しくなります。
それから、すごく感じるのはそうして好きなものを着ている人は「着物が馴染んでいる」という自然さがあることです。気負いもなく、着物姿が自然。それは、イベントの場の雰囲気もあるのかもしれません。着物警察はいなくって、気後れしている人もなく、とてもにこやかな印象があります。いろんなきものイベントがありますが、そういう「なんでもあり」感がいつもいいなあと思います。
「東京キモノショー」という名前の通り、特にステージでの「ショー」が印象深いものがたくさんありました。中には立ち見のステージもあったようです。といっても、裏方なのでステージを実際見ることはできなかったのですが、今年はステージの映像がYouTubeにアップされて、誰でも見ることができます。
今年はお友達や知り合いもたくさんステージに上がったので見たかったな~と思っていたので、これは嬉しい! 大体次の日にはアップされているというオンタイムで、話題になっていたものをすぐに見られて満足。
中でも、「大人の振袖ファッションショー|成人式の思い出の振袖とともに」は、思わず涙がこぼれるほど感動してしまいました。
大人も振袖を着ましょう!な~んて常々言い続けている私ですが、この日ステージにあがったのはアラ還の女性たち。マジ大人です!
コスプレではなく、還暦を迎えて今までを振り返り、人生の区切り、再スタートの気持ちを振袖で。自分が20歳のときに着た振袖、娘のために作った振袖、東日本大震災で流されてしまった大切な振袖を胸に着るレンタル振袖‥‥。それぞれの想いがこもった振袖に袖を通し、いろいろなことがあった今だからこその笑顔でランウェイを歩く姿。
カッコイイ! そして美しい!
大人振袖ですから、小物も控えめ、帯結びもお太鼓や角出しだったのですが、振袖の持つオーラは、着る人の前を向く力強い心と結ばれてさらにパワーアップして見えました。
そのモデルさんの「物語」に心動かされ、また振袖の美しさにも感動し。振袖は、着物はただ美しいだけではなく、人の想いがこもっている。「着物の力とは、人の想いを繋ぐ、想いを映すこと。作り手の想い、誂える人の想い、着る人の想い、受け継ぐ想いだと思います」という、ショー主催のたかはしきもの工房の女将、髙橋和江さんの言葉に頷くワタシでした。
ああ、私も還暦を迎えた時に、こんなふうに、胸をはって振袖を着ることができるようになりたいと、新たな目標ができました。
20歳のときにはわからなかったこと。大人になって、はじめて知った気持ち。人生を、悲しいことや辛いことなどなにひとつなく過ごせる人などいないでしょう。でも、その分得られる喜びも、自分が目を向ければいくらでもある。いろんなことを背負い、でもそれに負けない力も身につけて。年を重ねることは、楽しいことだと思わせてくれる素晴らしいショーでした。
もうね、二十歳、四十歳、六十歳、八十歳、百歳になったら区切りで振袖着たらええんちゃうかな! その時その時の想いって、宝物になると思うのです。
今思うと、四十歳のときに着た振袖とか、ほんとピチピチでまだまだ若いなあと思いますもん(え、そうでもない?)。
未見のかたはぜひ! 動画を御覧下さいね。その他のショー動画も面白いですよ。きっと「いやあ~着物ってほんとにいいもんですね~!」と思えます!
自分温度で単衣を着よう!の巻
星わにこ
2019/04/24 00:00
先日まで寒い寒いと思っていたら、急に暖かくなりましたね。一度ひいた風邪が抜け切らないわにこです。ちょっと身体が緩んだかな~と思ったのに、GWにはまた気温が下がりそう‥‥。一体なにを着たらいいの、と迷っちゃいますよね。
洋服は、気温で結構フレキシブルに対応するけど、着物だとつい「袷はいつまで‥‥」なんて決まりを気にしてしまいますよね。でもそんなことを言っていると、暑くてしんどい思いをする羽目に。
大体は、肌着や襦袢からどんどん涼しい仕様にしていきます。素材を変えたり、嘘つき襦袢を活用したり。
私はフォーマルでなければ、最高気温24℃を越える予報が出たら単衣を着る目安にしています。胴抜きにすることもありますが、透けない単衣なら見た目もそんなに変わりはありません。でも着心地はぐっと涼しい。裏地がない分、1枚脱いだようなものですから。
とはいえ、朝晩はぐっと冷え込んだりもするので、大きめのショールを持ち歩くようにしています。とりあえず、くびまわりが暖かいだけでも違いますよ。本来は袷の季節、まだまだ油断できないので、各々がた、ぬかりなく。
この24℃というのは、あくまでもわたしの目安。暑がりさん、寒がりさんはそのあたりを考慮して、自分の快適切り替え温度を見つけてね。だいたいこのへん、と思っておくと着るもの選びで迷う時間がぐっと短縮できます。
こうしてどんどん暦を気にしないで、気温で着るものを決めて行くと、単衣の出番は、意外と多いのです。6月と9月だけなんて、もったいない。4月後半から10月頭くらいまで、暑い日には大活躍です。
もちろん、肌寒い日もまだまだありますから、そんなときは袷の出番です。先日最高気温22℃くらいのとき、取材があって夏の着物を着たんですが、やっぱり寒かった(笑)夏着物は暑い暑いと思っていましたが、さすがに涼しいものなんですね~。やはり気温に合わせてチョイスしたほうがいい!と思い知りました(笑)
なんというか、このごろは春がなくて、いきなり冬から夏へ!みたいな気温の変化ぶり。4月から真夏日も珍しくありません。もうね~令和になりましたら、衣替えのルールもぐっとフレキシブルにしたほうがいいと思うんですよ。なんだかんだ言って、寒いのに夏着物を着たら寒いわけですから、そこらへんは心配しなくてもぐちゃぐちゃにはならないと思うのは私だけでしょうか。
結ばない帯結びも流行っているし、また着物のあるべき姿も変わっていくのではないかな~と思います。カルチャーやお洒落は、こうでなくてはならない!と言った途端に、硬直して死んでしまうもののような気がいたします。
私自身は、きっちり着ることが好きで、崩して着るんなら無理に着物じゃなくてもいいなという好みの持ち主なので、あまり冒険もしないんですが、こだわらない、自分に快適なお着物生活を、みんながそれぞれできる時代になるといいなあ。平成最後のコラムは、こんなかんじで締めてみます。キリッ。