着付けについて考えるシリーズ(シリーズだったの?)、前回に引き続きおはしょりです。マニアックネタなので、好きな人だけ読んでください・・・。
おはしょりのお腹にあたる部分、上前と下前の布が重なって二重になっていると、ぶかぶかしてしまったりもっこりしてしまったりすることがありますよね。
この部分を一重にするためによく使われるテクニックが「三角上げ」。下前の衿をおはしょりまで下りないように三角に折り上げてしまうというもの。
コーリンベルトを使うとこれがかなり簡単にできます。下前の衿をコーリンベルトで留めたら、留め具の上に下前のおはしょり部分の布を持ち上げて押さえてしまえば、お腹の部分には上前の布しかなくなるというわけ。
これをすると、下前の衿がおはしょりのところで下にひっぱれなくなるので気崩れがなおしにくくなるのですが、やはりお腹のところはすっきりするし、折り上げた布でウエストの補整にもなるので一石二鳥のため、このやりかたを採用している方も多いのでは。
私はずっとこの「三角上げ」は、着崩れが直せなくなるのが欠点だと思っていたのですが、コーリンベルトの留め具を押して衿のゆるみを直す技を会得して以来、いけるでこれはと思っています。
参考:
振袖や訪問着の伊達衿のゆるみを直す方法☆の巻
ところが、この三角上げの布を持ち上げる方向を逆にするという方法を、たかはしきもの工房の女将さんに教えてもらいました。
どういうことかというと、コーリンベルトは低めにして、衿はおはしょりのところで引けるように下ろしておき、右に向かって下前の布を持ち上げておはしょりを一重にするのです。
な、何を言っているかわからねーと思うが、おれも何をされたのかわからなかった・・・(ジャン・ポルナレフ談)というくらいコペルニクス的発想でした。イラストを見てみてください。
右側の上前の端がなくなるのでは?と思いきや、そんなこともなく、もしなければ引っ張ればいいし、右端の腰のもたもたがなくなるという凄技。しかも、下の衿も緩んだらおはしょりのところで引いて直せるんです。
へえ~?と思った方は、試してみてくださいね! 目鱗です。
ただ、このおはしょりを一重にする必要がない時もあるわけで、薄手の着物や痩せていておはしょりがふがふがしなければやらなくていいですし、逆にふくよかさんの場合、二重になっていたほうがしっかりとお腹を押さえてくれる効果もあったりして、一重よりよい場合もあります。本当にケースバイケースですね。
人の数だけ着付けのやり方はある・・・というわけで、いろいろ試して自分がやりやすくて綺麗に仕上がる方法はまだまだ探す余地がある、と思っています。
次回も引き続き、しつこくおはしょりについて考えたいと思います。「おはしょりの横のぶかぶかをなくすには」編、お楽しみに!