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短い帯は隠し仮紐で固定できるぞ。の巻

星わにこ
2022/01/26 00:00
1月も終わりになり、大寒となりました。節分までが1年で一番寒いと言われる時期です。今週は特に七十二侯で水沢腹堅(さわみずこおりつめる)、沢つまり流れる川の水も凍る寒さといわれる期間になります。 確かに寒い! そんな時期は温かみを感じさせる着物が着たくなりますね。久しぶりに髭紬の帯を取り出して結んでみたら‥‥あれ!たれが短い! このままではお太鼓ができない! また箪笥の中にしまっておいたら縮んでしまったわ・・・・。という冗談はさておき、そうだった~!短い帯なのを忘れてた。 でも、途中まで結んでしまって、結び直す時間もないし・・・・という時はありませんか? そんな時は、細い仮紐を使ってください! 短いたれで、普通にお太鼓を作って、引き返しが短くてもOKです。お太鼓の下線に仮紐を通して、結んでください。これでお太鼓の形ができて崩れることはありませんよね。 普通はそこで、手を通して帯締めを結べばこの仮紐はとってしまいますが、引き返しが短い場合には、帯締めで押さえられないのでお太鼓が落ちてしまいます。 でも、仮紐はしたままで、帯の中に仕舞い込んでしまうのです。これでお太鼓は崩れません。その上に手を通して普通通りに帯締めを結ぶだけ。 仮紐が見えてしまうと「あら」ということになりますので、なるべく見えないように帯の中に仕舞うのがポイントです。 短い帯を結ぶためには、手をなるべく短くとる、とか、前の部分を一重にする、とか結び方自体を変える、とかいろいろな方法がありますが、極端に短い帯以外はこの隠し仮紐方式で結んでしまいます。 理由は、帯の結び方を変えなくてもいいから。なにも考えずにいつも通りに結んで、長さが足りなければ仮紐で止めてしまう。一番楽ちんで時間短縮であります。 最後の最後で「あらっ!たれが短い!」となったときは、この裏技を思い出してくださいね!  それにしても、この禰豆子(ねずこ。正しい表記はネ+爾)ちゃんみたいな帯、一昨年まではこんな裏技なしで結べてた気がするんですが、タンスの中で(まだ言ってる)‥‥‥痩せたいです(切実)。

コーリンベルトはいるの?いらないの?の巻

星わにこ
2022/01/19 00:00
着物を着る人なら誰もが一度は目にしたことがある「コーリンベルト」(着物ベルト)。使っていらっしゃいますか? 広衿を畳んだ幅を固定して、衿元を美しく整える便利グッズです。なぜコーリンというかというと、開発者の高林三郎さんの苗字を音読みしたものだから~(チコちゃん風)。紐を何本も使って着付けが大変だと着る人がいなくなってしまう、という危惧から昭和32年に開発されたアイテム。コーリンベルトは商標登録されている商品名です。「着付けベルト」「着物ベルト」が一般名称ですが、通りがいいので以下コーリンベルトでお話させていただきます。 ゴムベルトの両端にクリップがついているもので、これを使って着付けされる方は本当に多いですよね。余談ですが、クリップが金属製のものは飛行機に乗るとき保安検査でひっかかる可能性もあるので、着物で旅行の際は避けたほうがよいかもしれません。 よく着付けレッスンにいらした方に「コーリンベルトはなぜ使うの?」と質問をうけます。 そのときはこんなふうにお答えしています。 1 襟元をクリップで止めることで簡単に固定できる 2 おはしょりを一重にしたいとき、三角あげが容易にできる 3 伊達襟などを使う時、クリップで綺麗に止められる 4 伊達締めをする前にコーリンベルトをした段階で着物のシワが整えやすい 5 伊達締めを省略することもできる 6 衿が緩んできたとき、コーリンベルトのクリップを上から押すと緩みが直る 参考:振袖や訪問着の伊達衿のゆるみを直す方法☆の巻 逆に欠点はというと ・うまく使わないと、襟元が詰まってくる ・クリップが肋骨に当たって痛くなることがある あと、欠点ではないけれど、あくまで便利グッズ、補助グッズなので使わなくても着付けはできる、ということでしょうか。なんでも良い点悪い点を知って、使う使わないを選択されればいいと思います。 私自身はコーリンベルトを使うかというと、使ったり使わなかったり。まったくの気分次第(えー・笑)。初心者のときは、使う着付けのやり方を習ったので、何も考えずに使っていましたが、やはり「衿がつまる、あばらが痛い」という問題に直面しました。 この解決方法は「コーリンベルトの長さを肩幅より少し広くする」と習うのですが、それをもっとゆるゆるにして、動いた時にゴムが強く引き合わないようにすること。 それから、クリップを必ず左右同じ高さにつけることです。高さが違うと、ゴムが斜めに引き合って、衿がどんどん詰まってしまいます。 あとは、あまり上につけないこと。私はウエスト補整をたかはしきもの工房の満点腰すっきりパッドスキニーを使っているんですが、その上にクリップがくるようにしています。そうすると体に当たって痛いということもありません。 「コーリンベルトは痛い」と頑なに使わなかった時期もありますが、着付けがまあまあできるようになってきて、またその便利さに目覚めて使い始めました。うまくつかえば痛くない(あばらの位置とかもありますから、これは個人差もあると思います)。 コーリンベルトを使った時は伊達締めを省略することが多いです。前に紐が1本減ると本当に楽ですよ。胸紐もいりません。この「紐を減らす」ことこそが開発者の高林先生の狙い。普段に楽に着るとき、ぜひ試していただきたいです。 逆にコーリンベルトを使わないときは、使わなくても着られるから~(再びチコちゃん風)。このときは伊達締めは必須ですが、なにかの調子でゴムベルトが悪さをして衿がつまっちゃう、ということはなくなるので、本当に気分次第ですね。使わないのは紬のときが多いです。逆にやわらかもののときは衿が広がってくるような気がするので使います。気分だけかもしれませんが‥‥。自装ってそんなもんなんじゃないでしょうか。 他装のときは、礼装で伊達襟を挟むことが多いので、コーリンベルトは必須ですね。コーリンベルトがないときは、伊達襟をコーリンベルトをとめる位置に小さい着付けクリップで固定しちゃいます。 結局いるの?いらないの?と言われると、どっちでもいい、となりますでしょうか(いつもこの結論)。絶対なくてはならないものでもないので、絶対使う!という人も一度使わない着付けにもチャレンジされてみてはいかがでしょうか? 私は便利なので、あると嬉しい派です。使わない派の方もそれでよし。でも、なんと70年近く使われているロングセラー。使い方を覚えておいて損はない便利グッズだと思いますよ!

成人式ヘアスタイルは水引&金箔&ドライフラワー流行中の巻

星わにこ
2022/01/12 00:00
成人を迎えられた皆様、そしてご家族の皆様本当におめでとうございます! オミクロン株の脅威の中,今年の成人式はなんとか開催された自治体が多かったのではないでしょうか。 そんな中、今年は4人のお嬢さんのお支度を手伝わせていただきました。二日連続で振袖のお嬢さんもいて、若さってすごいなと感服です。 さてさて振袖についてはママ振袖あり、レンタルあり、お誂えありといろいろですが、今年の髪型はポニー&編みおろしスタイルのお嬢さんが多かったですね。あと、編み込みでボリュームを下めにもってくる方が流行のようです。 盛り盛りの時代、お団子の時代、いろいろありましたが今年はポニーに飾り紐やレースで編み込みをして、金銀の飾り、ドライフラワーに、水引と金箔をあしらったものが見られました。 金箔と水引とか金沢発信なの!?と思ったのですが、実は海外の「gold leaf hair」という金箔を髪にあしらうアレンジが発祥で、2019年ごろからウエディングに取り入れられはじめ、成人式にも流行が始まったよう。 水引とあわせて、とても和風で、着物にも合いますよね。後ろから見た時もとても華やかです。後ろ姿で指で「20」のポーズをとってインスタにアップするときも帯結びとあわせて、実に映えます! SNSなどにはあまり顔出しせずでも華やかに装ったところを見せたい!という今の時代必要とされている髪型なのかも~! 着付けさせていただいたお嬢さんたちも4人中2人がこの髪型でした。前撮りでもリクエストが多かったです。水引や金箔、ヘアアクセサリーはメルカリや100均などで調達するんだとか。若いお嬢さんたち、堅実ですね。 こぼれ話ですが、金箔はジェルで貼り付ける形式だと万一剥がれて落ちて着物につくととれなくなってしまうということで、使わないでくださいというレンタル会社さんもあったのだとか。ジェルに混ぜ込んでつけるほうが安心のようです。 水引もいろんなアレンジがあって、見ているだけでも楽しいです。美容師さんの技術も素晴らしいですよね。カラーリングもいろいろで黒髪だけでなく、ピンクや紫なども振袖にあうんですよね~! みんなネイルも凝っています。ネイリストの方たちも成人式用のネイルで成人式前は忙しいと伺いました。支える裏方さんたちも力が入ると思います。だって若い子たちがさらにキラキラになるお手伝いですもんね。 この晴れの日のためにみんなわくわくと準備しているのだな~と思うと、じんときちゃいます。振袖で楽しい1日を過ごしてもらえるように、最終仕上げの着付けも美しく、苦しくならないよう、崩れないよう細心の注意を払わねばと気持ちが引き締まります。 着付けをさせてもらう側の私は、だいたい年末ぐらいから、成人式の当日のスケジューリングや準備や、着付けの復習や練習、イメージトレーニングといつも頭の片隅に振袖のことがあって、当日まで緊張しつつ過ごしています。無事に終わると本当にホッとします。。。 手首は痛くなるし、立ったりしゃがんだりで太ももはぱんぱんになるし、爪が割れてしまうのでジェルネイルをしているのですが、そうすると爪は大丈夫だけど指と爪の間が割れちゃってアルコール消毒をすると飛び上がるくらい痛い‥‥。次の日は使い物になりません(笑)。 でも、眩しいばかりのお嬢さんたちの笑顔をみると疲れも吹き飛びますね! このお仕事が大好き!と1年で一番思う日かもしれません。もっともっときれいに手早く素敵に楽な着付けができるよう、精進精進! また、来年度からは18歳成人となるということで、成人式が混乱しそうですね。多くの自治体が「20歳を祝う会」という形で継続するようですが、中には18歳での成人式を敢行するところも。高校3年生での成人式となれば受験真っ最中の人も多いでしょうし、振袖を着る余裕もなかなかないかもしれませんね。 高校を卒業して、学業をしながらまたお仕事をしながら、20歳で同窓会も兼ねて晴れ着でみんなと会える日を楽しみに準備をする、今の成人式がちょうどいい気がするのですけれど、令和の成人式はどうなっていくのでしょうか。 願わくば、この先も振袖を着てお祝いすることが続くとよいなあと思います。だって本当に、振袖って気分があがりますもん!!! 日本女性の第一礼装のパワーは半端じゃない! 男子も羽織袴、いいですよ! 礼装着物で人生の節目を祝う喜びをこれからも経験してほしいなあと願う2022年の成人の日でした。

やっぱり晴れ着は気分が上がる!着物の黄金世代を楽しもうの巻

星わにこ
2022/01/05 00:00
明けましておめでとうございます。 なんと!このコラムも足掛け10年目に突入いたしました。えっ!もうそんなに経つの! 自分では何も変わらないつもりだったのに、10歳も年を重ねているという事実にお、おう。。。となりました。読者の皆様、担当様に感謝感謝の年の初めです。 本年も相変わらずコラムが書けたらいいなあと、そして、また皆さんに読んでいただけたらいいなあと思っております。拙い上に好き勝手書き散らかしているコラムではございますが、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。 今年のお正月は友人ファミリーと恒例の初詣にいき、元旦仮面ライダー映画を見に行くことから始まりました。大好きな人たちと大好きな映画を見るという当たり前のことができるってなんてありがたいことでしょうか。今期はジョ狩がイチオシですが、藤岡弘、の息子さんが50年の時を経て仮面ライダー1号として登場したのが衝撃でしたね。なんかもう、仮面ライダーもこのままいくと伝統芸能になるんじゃないかと思いますね。ちなみに毎年お正月にヒロインが振袖を着ることもなくなってちょっと寂しいです。紅白もお正月の番組も本当に着物も振袖も減りましたね~。着物ウオッチングの楽しみが減ってしょんぼりです。これが令和のお正月かぁ~。 それでもまだまだお正月は着物!というわけで(前振りが長すぎる‥‥)着物初めは訪問着にしました! お正月というとなんとかのひとつ覚えで引っ張り出してくるこの南天の絞りの訪問着ですが、10年経っても全然着られるのが着物って本当にすごいですね。そしてこのコロナで結構体重増加してしまったんですが、そんな変化もまあなんとかしてくれるのも着物のすごいところです。 そして帯はお正月、しかも3が日のどこかで締めなければ締める時ないよねというピンポイントな袋帯「一富士二鷹三茄子」。買ったころには少し地味かなと思っていましたが、これからちょうどよくなってくるのでは、としっくり感を感じました。 帯揚げはそれこそ10年ほど前に買った加藤萬さんの絞り帯揚げ。帯留めは真珠にしました。 めったにしない刺繍の半襟はやっぱり気分があがります! そして紅白で見たマツケンサンバを歌いながらゴールドの伊達襟を挟んでみました。もう普段は絶対しないような盛り盛りもお正月ならでは。着物はどんどん盛り盛りにしていけるのがまた楽しいところですよね~。 実は年末からずっと着物の整理に向き合っていて、もうこれも着ないあれも着ないと自分に言い聞かせていてテンションが下がる一方だったのですが、やっぱり、一年に1度、箱を開けて富士山の袋帯を取り出して華やかな訪問着を纏うと無条件でうきうき。テンションも爆上がりです。 やっぱり着物だよ!(単純) 洋服で「はあ~テンション下がる~」とぼやいてた自分に喝を入れたい! 着物を着ていると、ご年配の方に「いいわね、私も昔はよく着たわ、もう気力も体力もなくて着られない。今のうちにたくさん着てね!!」と言っていただくことがあります。 人生には「この時期やっておくといい」というようなことがあります。いつからでも遅くはないとはいえ、やるに越したことはない「時」があるのです。例えば運動神経は9~12歳ごろに最も発達すると言われています。 若い時の着物は言うに及ばずですが、それにも増して50代60代は着物のゴールデンエイジと言ってもいいのではないでしょうか。 年齢を重ねただけの貫禄も出ますし、子育てもひと段落して自分の時間が持てるようになり、着物を楽しむ余裕もできます。人生100年時代、長いとはいえ体力はどんどん落ちていきます。その中で自分を楽しむ人生これからですよ~。 そしてなにより、令和の時代は、着物も自由になりました。うそつき衿などで簡単に着る方法もいっぱいあります。細かいしきたりに囚われすぎる必要はもうないのです。スタンダードは大事ですが、培った今の自分の感覚を信じて着てよいと思います。 コロナ禍で「もう着物いいかな~」なんて思いかけていた方がいらしたら、ここでどーんと晴れ着をもう一度着てみていただきたい! 気分爆上がり保証いたします。私も今年はまた、着物とのおつきあいをもう一度見直して、自分が楽しい着物ライフを送りたいなと改めて思っております。 10年目の「オトナの着物生活」始めます。今年もどうぞよろしくお願い申し上げます!