年に一度、普段は一見さんお断りの華やかな新橋の花柳界を垣間見ることができる「東をどり」が、今年で100回目を迎えるそう。昨年につづき、ご縁をいただいて新橋演舞場に友達と鑑賞に行きました。
新橋演舞場は、新橋の花柳界の組合が「京阪にある芸妓衆の発表の場所を東京にも」という悲願から、設立されました。大正11年に建設が始まったものの翌12年の関東大震災で工事は頓挫したばかりか、新橋も焼け野原となる大変な状況の中、それでも念願の演舞場が大正14年に完成しました。交渉の末「芸者の興行は不可」という警視庁の庁令も改正され、この年の4月に第一回の「東をどり」が開催されたそうです。
戦争で中断されたり、時代にあわせて興行の形を変えながらも続いてきた「東をどり」。今年は記念すべき100回目ということで、北は札幌から南は長崎まで19の花街から応援が駆けつけ、一層華やかな舞台となりました。
(「100回記念公演東をどり」パンフレットより)
私が伺ったのは5月26日の昼の回。向島(東京)と札幌、先斗町(京都)からのゲストを迎える回でした。客席も着物姿の方が多く、髪型や着こなしもこなれていて本当に眼福。開場を待って並んでいる段階から非日常感がすごいです。
私も今年は、気合いを入れて紗袷を着ていきました!
憧れの着物、紗袷についてはこのコラムでも何度かお話ししたかと思うのですが、戦後新橋の芸者さんがこの5月末の「東をどり」で着てから流行したものと言われています。着用期間がまさにこの時期、袷から単衣に切り替わる5月末~6月頭のほんの10日間だけとも言われる着物です。
(現在は単衣の時期に着用されることが増えていて、この限りではありません)
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まさにこの「東をどり」の鑑賞に着ないでいつ着るの?というわけです。自己満足なのではありますが、人生でやりたかった夢を一つ叶えられた気持ちです。感謝!!

そして舞台はいうに及ばず。女性の目から見てもぽ~っとなるくらい美しい芸妓さんたちが、美しい舞を披露。新橋の東京らしい粋な雰囲気、また他の花街の芸妓さんたちもそれぞれの雰囲気があり、うっとりの連続。贔屓の芸妓さんに声がかかるとまた盛り上がります。歌舞伎とはまた違う、女性ならではの美しさに魂を持っていかれちゃいます。
そして幕間には、憧れの料亭の食やお酒も楽しめます。昨年はお茶席に入りましたが、今年はお祝い気分で思い切ってドン ペリニヨンで乾杯しちゃいました! わお!! 長身黒服のイケメンがサーブしてくれる黄金の泡~~~。夢心地でございました(笑)。
他にも枡酒やビール、おつまみセットなどもあり30分では回りきれないので狙いを定めていくのがおすすめです。来年は料亭の卵焼き食べ比べがしてみたい(行く気マンマン)。。。芸妓さんが幕間に出てきてくれるので、運がよいと一緒に写真もとってもらえます。
そしてまた舞台に戻り、まわる橋をテーマの趣向を凝らした演目から、圧巻のフィナーレに。黒のお引きでずらりと芸妓さんたちが勢揃いするフィナーレは本当に華やか!!! 最後はてぬぐいがまかれて幕が降ります。今年はお友達の協力で、秀千代姐さんの手拭いをゲットしました。嬉しいっ!

華やかな高揚感の中劇場を出たら、向いの喫茶店「茶房 絵李花」で昭和なケーキセットなどいただきながら、舞台の感想やおしゃべりをして解散。この喫茶店は演出家の宮本亜門さんの実家としても有名で、待ち合わせをする人たちで賑やかです。この店内がまた華やかな着物姿の方が多く、夢の続きのようでした。
東をどりが、この先も続くことを願いつつ、自分自身もまた元気に1年過ごして、華やかな舞台を着物で観にこられたらいいな!と思った1日でした。
<昨年の様子>
「東をどり」で花柳界の華やかな踊りを堪能しました