卒業式シーズン。袴姿をあちこちで見かけます。これから3月後半は大学や小学校の卒業式で着用される方も多いのではないでしょうか。
時々袴の後ろがずり落ちて帯が見えていることがありますが、そうならないよう防ぐ方法を今回はご紹介したいと思います。
まずは所作。どんなにきちっと袴の紐を結んでも、座る時にスカートのひだを整えるように下に撫で下ろしてしまうと、後ろが落ちてきてしまいます。座るときには、脇のスリットからそっと手をいれて、後ろをふわっと持ち上げて座ると、袴のずり落ちが防げます。(男袴も同様です)
椅子にもたれても、後ろの山が崩れてしまいます。車の乗り降りのときも、後ろ側がひっぱられがちなので注意しましょう。これがもしかしたら一番のポイントかもしれません。
あとは、座っていて立ち上がる時に袴を踏んでないか確認しましょう。他の人や椅子に踏まれていることもあります‥‥。知らずに立ち上がるとアウトです。
とにかく袴を下方向に強くひっぱらない点を気をつけていれば大丈夫かと思いますが、着付けのときにもいくつかコツがあります。着付け師の方には釈迦に説法だと思いますが、卒業袴はご家族か着付けてあげることもあると思うので、ご参考までに……。
基本ですが、後ろ紐を結ぶときは、交差させるとき前紐にしっかりからげること。後ろは上側をしっかりと背中に密着させること。
それから袴紐が結ばれる胸下の部分、ウエストにタオルなどで補整を入れてあげること。あまり薄すぎるものではなく、ほどよい厚さのものを入れたいです。また、1枚では長さが足りないときもあるので2枚繋げたり、100均などでちょっと長めのロングタオルを購入してもいいでしょう。
補整が入ることで、少ししっかりと紐を結んでもクッションになって着る本人も苦しくないですし、紐も安定します。
もうひとつは、「へら」を帯の結び目に差し込むときに、ぐっと奥まで入れておくこと。さくっとさすだけでは、外れてしまって役にたたなかったりします。
へらという存在があるということは、やっぱり後ろは帯から外れて落ちやすいんですよね。特に、女子袴は男子袴のように腰板もないので、帯の根元にの腰板の付け根をあてて安定させることができません。ふんわりとした柔らかい山を作るようになっているので、より落ちやすい構造です。
着付けヘラなどで、へらをぐっと押し込んでおくとよく効きます。
この後ろの「へら」がないものもあります。そんなときは細い紐を安全ピンでとめるかちくちくっと縫ってとめて、その紐を帯の結び目にからげてあげるという奥の手があります。
あんまりひっぱりすぎると、袴のうしろのふわりとしたラインが崩れてしまいますが、ほどほどな強さで袴の腰板を帯に固定すれば、ずるっと帯が丸見えになってしまうようなことはありません。
お子さんなどの場合は、体も細くて袴も安定しづらかったりするので、補整を入れるのはもちろん、この裏技を使うのもひとつです。
卒業式、袴で1日楽に過ごして、楽しい思い出になるように‥‥。お子様、お嬢様に着付けてあげるときなど、参考になさってください。
それから、袴を着た人は「ふわっと袴を持ち上げて座る」ちょっとプリンセスな所作も忘れずに!