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着物と落語で初笑い!笑顔は自分で掴みにいこう!の巻

星わにこ
2023/01/04 00:00
あっ!という間に年があけて、三ヶ日も終わり。皆様どんなお正月を過ごされましたか? 今年は久しぶりの帰省やおでかけをされた方も多いのではないでしょうか。 私もお友達の家でにぎやかに年を越し、三日には着物友達と落語で初笑い! 柔らか物を着ておでかけしてみんなの笑顔に会えて‥‥久々に晴れやかな年始となりました。まだまだ感染予防に気をつけなくてはいけませんが、それでも人と会えるということは、こんなに幸せなことかと改めて感じた年始です。 でかけた先は『かめあり亭新春寿寄席』亀有リリオホール。亀有といえばこち亀、というわけで、両津さんの銅像と写真を撮ったりしながら、それぞれ素敵なコーディネートのお友達とそぞろ歩き&昭和な家のカメラマンのみずほちゃんに写真を撮ってもらったりしつつ、ホールに向かいました。 客席も、着物姿がちらほら。師匠方も紋付袴姿ありで、初春らしいいでたちでした。男性着物ってやっぱり素敵。そして羽織をさっと脱ぐ所作も、何度見てもほれぼれします。そういう姿が見られるのも楽しみのひとつ。 そして、やっぱり手を叩いて笑えるって幸せ! 落語はニワカな私ですが、どの噺も笑った笑った! 中でも扇辰師匠の夢の酒、引き込まれました~。女房のいじらし強さがウケる! 江戸家子猫師匠の鶯の初鳴きも素晴らしかった。5月に5代目猫八を襲名されるそうですが、私も3代目から知っているということで長く生きてきたんだな‥‥とここでもびっくり。 権太楼師匠は一時退院での出演とのことで大丈夫かしら?と思ったのですが、火焔太鼓の熱演、すんばらしかったです。お大事になさってください!! (マスクは写真を撮る時だけ外しました) そして私のコーディネートはこちら。 松の袋帯 竹の節入りの真珠の帯留 梅の小紋 お正月、ということで組み合わせてみました。自己満足ですけど、楽しい! お友達のコーデも素敵だったので紹介しちゃいます!黒の着物に赤い半衿で、「大奥」(よしながふみ)に出てくる水野祐之進イメージコーデ、お母様の泥大島で親孝行コーデ、素晴らしい縫い締め絞り、綾秦節先生プロデュースの豪華訪問着、これまた綾秦コレクションの訪問着ととりどりで目の保養でした。 そして、自分になんかあったら着物頼むね、とお互いに依頼しあうところまで(笑)いやほんと、大事だよ‥‥。 ついなにかと億劫で、まあいいかやらなくても、と思ってしまいがちですけれど、人生後半に入り寿命は伸びているけれど健康でいろいろなことができるのはそうは長くはない。あと、年とともに無理がきかなくて明らかに稼働時間も減っている(爆)。三ヶ日くらいごろごろするか、という気持ちと、着物を着て落語にいくぞ!という気持ちで、出かけるまでには逡巡もあったわけですが(笑) 生きていくということはいろいろなことがあり、楽しいことばかりでもありませんが、雲間から光が差すように、心が晴れやかになる時は本当に幸せを感じます。また、そういう時間や瞬間は、積み上げてきたものや自分から求めていかなければなかなか手にすることができないと、この頃思います。 去年は、ちょっとしんどいなと思うと着物を着るのをやめてしまいがちでしたが、やっぱり面倒でもなんでも着てしまえば、本当に心がしゃんとするんですよね~。できないときもあるけれど、ちょっと動けるときには手を伸ばして。たくさん着物も着て楽しもう!と思っています。今年は、着物を着る機会をとコミックを描く量を増やしたい! そしてこのコラムもなんと足掛け11年目に突入です。いつもだらだらと思ったことを書いているだけのようなコラムを読んでくださって本当に感謝しております。着物好きな皆様に、楽しんでいただけるようなものがかけるよう、精進して参ります。 今年もどうぞよろしくお願いいたします!

2022年着物コーディネートを写真で振り返るの巻

星わにこ
2022/12/28 00:00
今年もあと数日となりました。無事年末を迎えることができたな~というありがたさと、一向に終わらない模様の仕事と、なんとかしなければという焦燥感と大掃除は暖かくなってからでいいか‥‥という諦めの境地などなどがない混ぜになっている年の暮れ。。 今年はどんなことがあったかすでにぱっと思い出せなくてやばい私ですが、着物のコーディネートとともに振り返ってみました! 着物を着たら自撮りをしておくようにしているのですが、データはGoogleフォトに保存をしているので、「着物」と検索すると、着物の写真がざっと出てきます。 もちろんアルバムなどに整理するのが一番なのですが、わかっちゃいるけどその一手間ができない私にとって、神のようなこの機能……。 また全部ではないんですが、FaceBookにもコーディネート写真をあげてコーディネートメモをしているのでそれも記憶の補完になっています。Instagramには手が回らず、世間に取り残されていますが、できる範囲で記録をとっておくことって大事だなと、なにもかも忘れてしまう最近よく思います。 そんな自分のコーディネートを1ヶ月につき1枚を選んでみました。よろしかったらおつきあいくださいませ。 お正月は雪輪に南天の訪問着で。一富士二鷹三茄子の袋帯に、末広りの「八」個の真珠の帯留め、絞りの帯揚げ。この帯揚げはこのコラムを始めた頃にいち利モールで購入した加藤萬のもので、以来大事に使っています。刺繍の半衿をしてめっちゃお正月気分のコーデです。 2月は大雪が降ったので、雪だるまの帯留めをしています。岐阜のイラストレーター本間希代子さんのブローチです。帯締めや絞りの帯、縮緬の帯揚げも色も抑えめにして、雪と氷感を出してみました。着物は海老茶に柴草模様の小紋です。 ちなみにこのときは、帯枕がないという危機?を風呂敷とタオルで乗り越えた模様です。 関連記事:枕紐の代用を風呂敷でしてみたぞ!の巻 3月は紅花染の紬に玉ねぎ染めの帯揚げ。たんぽぽ色をイメージしてこの時期は黄色を使うことが多いです。帯は手塚治虫の漫画に出てくる「ヒョウタンツギ」みたいな柄でパキッとしたブルーがお気に入り。 4月は唐獅子模様の色大島。胴抜き仕立てにしてあります。もう4月から結構暑くなってくるので、さわやか色の帯締め。だるま模様の帯揚げに博多帯。 5月は拙著「その着物、どうする?」が発売になりました。その発売記念パーティでのコーデです。が結婚式の二次会用に誂えてくれた翠山工房の辻が花、20代で初めて買った雲文様の帯揚げ、四十歳記念に買った菊襲の袋帯、出版記念に買った数(SUU)の白蛇の帯留。目一杯おしゃれして、幸せでした! 関連記事:出版記念パーティをしてもらったぞ★の巻 6月はもう暑い~~ということで有松絞の浴衣にうそつき衿で着物風に。麻の半幅帯にワニの帯留め。三分紐をくるくるしてみました。 7月は透ける夏紬。帯は鮎。若鮎を食べ比べる若鮎茶会のためのコーデです。このアンティークの鮎の帯は、鮎に一目惚れして購入したものの、ついぞ締める機会がないまま十年以上眠っていたものです。出番がきてよかった! 関連記事:岐阜の鮎菓子「若鮎」まるけの茶会をしたよの巻 8月は雪花絞りの浴衣に黄色の半幅。お友達がもう着ないからと譲ってくれたのです。綿麻生地でさらっとした着心地です。嬉しい。 9月は単衣の紬に、キンゾウ商店のアフリカンファブリック帯。WEGOで買った洋服用のベルトをしています。「きもチャリ!」のときに来ていたコーデ。「きもチャリ!」にご協力いただいた皆様、本当にありがとうございました。 関連記事:きもチャリ!2022ありがとうございました。の巻 10月は上田のキモノマルシェへ。トークショーに出演!?ということで、出版記念に清水の舞台から飛び降りた牛首紬を着て行きました! 帯は中野スズミさんに描いてもらったワニの帯です。牛首紬、光沢があってめっちゃテンションが上がりました。 関連記事:ご褒美着物をネットで誂えちゃった★その1の巻 関連記事:キモノマルシェ2022信州上田にお邪魔しました!の巻 11月は大島紬にワニ?の帯。オオトカゲ、いや巣穴から出てきたイタチ、果てはアンキロザウルス説まで出ているこの謎の生き物ですが、あなたは何に見えますか? 私的にはワニです。ええワニですとも‥‥。 12月はグレーの紬に木立の染め帯。冬の木々を思わせる色なので、12月になると締めたくなる帯です。一年に1回はそれぞれ、好きな着物や帯に出番があると「ああ~今年も身につけることができた」と嬉しく、またほっとするような気持ちになります。 着物を着るということは、実は気力体力がないとなかなかできないもの。余裕のない毎日の中で「そりゃあ!」と気合を入れないと着られなかったりもします。それでも着るのは好きだから。。。 一年に一度しか袖を通さないものや、数年に一度のもの、まだ身につけられていないものもあったりして、着ないからいらないと言い切れない着物はやっかいだけど私にとっては愛おしいものばかり。そしてあと何年着られるのかなと思うと、心残りのないように着たい!と思います。 来年はもう少し着る回数を増やしたいなと夢みつつ、整理もがんばらねば‥‥。 今年も、すっとこどっこいな私の拙いコラムを読んでくださって本当にありがとうございました。 どうぞよいお年をお迎えください!

大島紬リメイクのジレがとってもよかった♪の巻

星わにこ
2022/12/21 00:00
着物のリメイクの洋服って、私も何度もチャレンジしているんですけど、着こなすのが結構難しくて、作ってもそのままになっちゃったりとかしているものも多かったりしませんか? 洋裁ができて、自分の思った通りのものが作れたらいいなあと思うのですが、ここまっすぐ縫うだけ、といわれてもお針が面倒なのでなかなか重い腰があがらない‥‥。 そんなとき、お友達がすごく素敵なリメイク服をいろいろ見せてくれて、中でも大島紬で作ったジレがすごく軽くてかっこよかったので、私もお願いしてしまいました! 男物の大島紬をリメイク用に購入してほったらかしにしていたものがやっと日の目を‥‥。 そして出来上がったのがこちら、じゃーん 着物でも、洋服でもいけて、1枚上に着るだけで軽いのに風をあまり通さない大島紬はあたたかい!  着物のときは帯なしで上に羽織ってもよいかんじでした。そういえばおばあちゃんが、着物で袖なしを着て帯なしで着てたなあ‥‥。楽であったかい!! お友達のジレは衿がなかったのですが、私のものにはついていて、それもまたよき。 裏地なしなので、畳むとすごくちっちゃくなって、軽くて持ち歩きもしやすくて、いい!! ポケットもつけてもらったので、便利!  あと、大島はツルツルしているので、猫の毛がつかなくて最高です!! 自分で作れない時は、人に頼んだらいい‥‥しみじみ感じました。 この頃、男着物に慣れてしまったら、ウエストの位置に幅広い帯をするのが億劫で‥‥半幅帯でもいらん‥‥とか思ってしまって、こんな風に着るのもいいかもなと思案中。 ジレ、ロングベストは縦ラインが強調されるのですらっと見える効果もあるのが嬉しいです!!  もちろん、晴れ着でびしー!!!とお太鼓をするのは、本当に気持ちが上がるし大好き!!なんですけど、普段はもうちょっと楽にならんかな?と。これも歳をとったってことなのかな~。いやズボラなだけ? あとね、着物のリメイク服って年齢があがらないと似合わない気がするんです。着こなし年齢があるというか‥‥。もちろん、若い人でも似合っている人はいると思うんだけど、全般的に‥‥。 だいたいリメイク服を着ている年代が上しかいないというのもあるかもしれませんが、素敵!と思うと大概お姉様方(私から見て) 私も、お姉様方のエリアに足を踏み入れられたということかもしれません。そして、わかる。着物好きだけど、もっと楽に身につけたいという気持ちが‥‥。 ちょっと着物リメイク服にもはまっちゃうかも?? さて一体、どこに行こうとしているのかわにこの着物道。自分でもよくわかりませんが、今後とも見守っていただけると幸いです。。

書生風?男着物で「ツダマンの世界」を観に行ったよ。の巻

星わにこ
2022/12/14 00:00
先日、Bunkamuraシアターコクーンで上演中の『ツダマンの世界』というお芝居を見に行きました! 松尾スズキの新作で阿部サダヲ主演、吉田羊、間宮祥太朗、江口のりこ(敬称略)はじめ錚々たるメンバーで、昭和の文豪物語。そして、舞台衣装が着物中心。ということで、友だちに誘われて二つ返事でGO! 最近、男着物を部屋着にすることにすっかりはまった私は、この際文豪風に男着物ででかけてみようと思い立ち、うきうき準備。襦袢ではなく、白シャツの上に男着物と羽織で渋谷に出かけました! いやこれ、着付け一瞬でした。 そして、建て替えになってしまうという東急本店とBunkamuraの見納め。どんどんデパートが姿を消して寂しいですね。 さよなら東急本店! ももせいづみさんのBunkamuraギャラリー展示を見て、ランチを食べて、いよいよ舞台。休憩挟んで3時間半という、ここは明治座!?というような長丁場でしたが、飽きさせない松尾スズキ節と俳優さんたちの熱演で、あっという間。まだ上演中ですのでネタバレは差し控えますが、阿部氏は相変わらずキュートでめちゃくちゃだし、吉田さんは美しいしキレ気味なのもかっこよかったし、江口さんの狂言回しは流石。そして間宮くんのボンボン役はハマりすぎて、ぜひパンプアップしてゴールデンカムイの鯉登少尉をやって欲しい!と思いました(感想が明後日の方向に‥‥) そしてなんと最前列での観劇だったため、本当に舞台の中に放り込まれたような臨場感。着物姿も堪能できました。特に男性が着物姿で激しい動きをしたりするのは新鮮。間宮くんが立ち上がって走り出す時、つっ!と右手で襟先を引き上げて裾を押さえたりする所作とかが間近で見られてほんとにほんとに目の保養でした‥‥。 さて一方男着物でお出かけした感想ですが、とにかく楽!! ウエストにまったく締め付けがなく、腰骨のところが帯でささえられるので、立っていても楽。着崩れてもさっと直せるし、全くノーストレス。 ただちょっと‥‥女子トイレに入りづらかったかも(^^;) 劇場で並んでトイレにいく勇気はありませんでした(爆) 女性着物のしゃんとした感じも好きなんですが、同じ着物か?と言いたくなる楽さ。着付けも対丈だし、衣紋も抜かないのでほんとうにあっというまに着られるし、なんでこんなに差があるの? コーディネートは青の紬に茶色の羽織。これはキモチャリ!で、子どもに着せたいなと買っておいたもの。ちょうど160センチ前後にジャストサイズのもので、もう子どもは大きくなって着られないけど私は着られる(!) 羽織紐は革に穴があけられているちょっとパンクなもの。足袋はゑびす足袋さんの革?足袋をチョイス。草履は角形のものにして、雪駄を意識してみました。 昔の男性ものはサイズが小さいので、今の女性にちょうどよいサイズのものは結構リサイクルでも出回っていますし、お手頃な値段で手に入ります。もし興味があったら、ちょっと羽織ってみてはいかがでしょうか? サザエさんの波平さんが、家に帰ってきてスーツを着物に着替える感覚がわかりますよ。ちなみに、おはしょりは作らないので、自分の身長に合ったサイズが大事になります。 目安としては身長―27センチが身丈のものを選ぶと良し。細身の人は少し短め、ふくよかさんはそれより気持ち長めを選ぶとよいでしょう。 セーターの上に来てもよさげだし、また機会があったら男子着物ででかけてみようとなんだか明後日の方向に着物熱が向かい中のわにこでした。

「ひもおとし」は山陰地方の七五三?の巻

星わにこ
2022/12/07 00:00
カメラマンの友人と、着物で記念写真を撮る写真スタジオを始めて7年目。10月から12月は七五三のお祝いの写真撮影がたくさん入ります。うれしいことにお兄ちゃんやお姉ちゃんのお祝いに続いて弟さん妹さんが来てくれたりも。1、2年ですごく成長していて、びっくり! すっかり親戚のおばちゃんのような気持ちになってしまっております。 さて今回は、ママが子供の時に着た着物で3歳のお祝いをしたいというお客様。松江のご出身ということで、ご実家のほうでも記念写真を撮ったけれど、東京でもお参りと撮影を、ということでしたが、お写真を見せていただくと3歳だけど可愛く帯を結ばれていました。 山陰地方では、七五三ではなく男女ともに数えの年の4歳のときに、それまで着物にひもをつけて着ていたものをやめて帯で着るようになるということで「ひもおとし」という成長を祝う行事があるのだそうです。 今では七五三と同じように11月に行うことが多いようですが、本来はお宮参りのように年齢に合わせていつでもお祝いしてもよいものだそう。 可愛らしい振袖をつけ帯で着て、はこせこ、末広、しごきと七五三の7歳の拵えと同じようにお支度をさせていただきました。数えの4歳ということで、まだ小さいけれど、立派なレディに見えて本当に本当に可愛らしかったです。 東京のパパの実家には、ひいおばあちゃんが縫っておばさまが着たという赤いお被布があって、それも帯を拵える前に着て撮影もしました。またこれも、可愛いこと可愛いこと。 双方のおばあちゃまがお祝いの着物を大切に保管してお孫さんが身につけるという、とっても素敵な「ひもおとし」と七五三のお祝いでした。 着物のことも、ひとくくりにして「これが正解」みたいに思ってしまったりもしますが、地方によっていろいろな伝統や習慣があるのですよね。そういうものもこうして、お子さんがお祝いされることで大切に受け継がれていくとよいなあと思った秋の日でした。

刺繍の半衿をたっぷり見せる着付けの巻

星わにこ
2022/11/30 00:00
クリスマスやお正月に向けて、ドレスアップした着物が着たくなる時期ですね。普段半衿は白オンリーの私でも、華やかな刺繍半衿をしたくなるシーズンです。 せっかく刺繍半衿をしたら、やっぱりしっかりと見せたいのが人の常。白半衿の場合は、すっきりと少なめに見せるのが粋な着こなしかと思いますが、綺麗な半衿はたっぷり見せたいですよね! でもなんか、いつも着物が半衿に被ってきちゃって、半衿を見せるって難しい!というお悩みもあるのではないでしょうか。 今回は半衿をたっぷり見せて着付けるコツをご紹介します。 まず最初に 「衣紋を思い切って抜く」ことです。 その次に 「襦袢の衿をこれでもか!と深く合わせる」ことです。 衿が合わさる角度が鈍角になるようにします。これは衣紋をしっかり抜いていないとできません。 ・襦袢の衿を胸の外側を通るように深く合わせる ・衿を合わせるときに、下に引かず、真横に、いやむしろ持ち上げるくらいの気持ちで合わせる この2つのポイントを守ってください。どうしてもできない!というときは、襦袢の身幅が足りないかもしれません。 身幅のあった襦袢を着るのが一番ですが、一応身幅が足りない時の超裏技もご紹介しておきます。 長襦袢の身幅が足りない時の超☆裏技!の巻 そして最後は、 「耳の下あたりで1センチくらい半衿を見せて着物の衿を合わせる」 です。普段は、耳の下あたりから半衿をのぞかせはじめると思いますが、これをもう少し後ろから見せるのです。こうすることで、半衿が見える面積が増えます。これも衣紋をしっかり抜いて、首の横で衿が寝ているような状態でないと難しいです。すべて衣紋の抜きと連動しています。 さらに、着物の衿は浅くやや鋭角にあわせます。着物も深く合わせてしまうと半衿が見えなくなってしまいます。 この3つのポイントを心掛けて、着てみてください。刺繍の半衿をしっかり見せられますよ。 クリスマスの柄の半衿や、おめでたいお正月の半衿、大好きなモチーフの刺繍半衿などなど、ぜひぜひお好きな半衿を「見せて」着てくださいね!

都腰巻きって知ってますか?の巻

星わにこ
2022/11/23 00:00
急に寒さが深まって、袷の着物に羽織ものが欲しくなる季節になりましたね。私は、羽織はチリ避けの意味も含めて、洗える素材のものを愛用しています。でもたまに正絹の羽織や道行を羽織ると、とろ~んとした落ち感にうっとりしちゃいます。マダム度が勝手に私の中で上昇し、なんとなく所作もおほほほほ、という感じになるのが不思議。 そんな着物のおしゃれが思いっきり楽しめるシーズン、本当に嬉しいです! 冬、外は寒くても、交通機関の中やでかけた先は暖房が効いているのでそんなに暖かい肌着とかは必要だと思っていないワタシでしたが、年々寒さに弱くなってきたような‥‥。昨年たかはしきもの工房の「ぺチコ」というあったか腰巻きと出会い、寒い日に裾除け代わりにしたらめっちゃ最高でした。 しかも、洋服のときにも使えるので、ロングスカートの下に履いて暖かアイテムとして愛用していました。でもやはり、下着ではあるのでお尻のラインとかはばっちり拾うので相当スタイルのいい人でないとスカートがわりにするには、上にチュニックのような長いものを着ないと厳しいかも。というところで、一度上にジャンパースカートを着るのを忘れて外出してしまい、青ざめたことがあるほどあったかです。。。 実は、これはお客様が持っていらした、ニットの腰巻きを現代に蘇らせたものだそう。私も、このニットの腰巻きをおばあちゃんのタンスで発見して、持っていました。朱色のと、ラクダ色の2色あり、履いたらあたたかだろうなと思いつつ、そこまですることもないかと一度も着たことがなかったんですが、ニットではなく、マイクロ抗ピルアクリルというしっとりなめらかな繊維で、またとってものび~る素材の「ぺチコ」をはいてみたい!と試してみたらとってもよかったのでした。 ニットのものは「都腰巻き」という名前で、昭和の中頃まで使われていたもののようです。昔はカシミヤのものとかもあって、高価だったのよ~とデパートの売り場で着物の大先輩に教えてもらいました。 上に着る肌襦袢も同じようにニットの素材のものがあったようです。他にも、ネルの腰巻きや肌襦袢もみたことがあります。今よりももっと寒く、暖房も火鉢だったりした頃。普段に着物を来ていた時代にはこういった暖かアイテムは必要なものだったのでしょうね。古い本や雑誌をみると面白い発見もあります。 今も、新素材で汗をかくと発熱をするようなもので暖かい肌着が誕生しています。調べると、結構いろいろな暖かアイテムが毎年誕生しています。洋服用のものを流用するのもありですよね。裾除けも、あったか素材だけでなく、普段ものびーる素材でスカート型もいいかも~と思ったり、いやすててこ履いているからいいかと思ったり、いろいろネットのお店をみてまわったりするのも楽しいです。 着物のアイテムは、私はこれ!と決めてしまいがちですが、新しいアイテムを時々試してみると、便利だったり快適だったり新しい発見があります。ときどき柔らか頭で探してみるのもよきですよ。

身丈の短い着物を楽しむ2つの方法の巻

星わにこ
2022/11/16 00:00
すっかり秋も深まって、東京も木々の葉が色づいています。紅葉ばかりでなく、銀杏やその他の広葉樹も、色が一段明るくなりますので、天気のいい日に外で写真を撮るととてもキラキラしておすすめですよ! さてさて、今日は気に入ってるんだけどサイズが小さい着物を着てしまおうというお話です。礼装では難しいかもしれませんが、普段着やファッションだったらいろんな楽しみ方ができます。 1)対丈で着て楽しむ 身丈が短いものの場合は、対丈で着てしまう。女性の着物は男性の着物とは着方が違うので、対丈で着ると着崩れやすいのですが、ちょっとしたコツでそれが防げます。 男性の着物が対丈でも着崩れないのは帯の位置が低いから。女性の帯の位置だとどうしても下が長くて、広がってしまいます。 そこで、ちょっとだけでもおはしょりを作ること。なーんだやっぱりおはしょりいるじゃん!と言われるかもしれませんが、このおはしょりは帯の中に収まる位置に作ります。いつもより、腰紐を高い位置にするのがポイント。 女性の着物の場合、このおはしょりが動きを吸収して着崩れを防いでくれる働きがありますので、帯の中にそれを作ることで問題解決ができます。 また、作ったおはしょりを整えて、裾窄まりになるようにするとグッドです。 対丈で着物を着ると、おはしょりがない分すっきり見えて脚長効果もあります。もっと対丈スタイルが増えてもいいのではないかな~と個人的には思っています。 2)身丈を短く着付ける もう一つの方法は、ずばり裾を短く着てしまうこと。そうするともちろん足がにょっきり出てしまうので、普通に足袋と草履を履いていてはお寺の小坊主さんスタイルになってしまいます。とんちんかんちん一休さんです(古)。 なので、こんな解決方法はいかがでしょうか。 ・スカート感覚でブーツや靴を履く。 ・見せ襦袢を下に履く。裾除けの裾がプリーツになっているものや、レースになっているものをわざと見せていくスタイル ・上に袴もしくはスカートを履いてしまう 短く着付けると和洋ミックススタイルと相性がいいので、いろいろ楽しんでみてはいかがでしょうか。寒くなってくると、ワンピース感覚で洋服の上にオン着物を楽しむのもいいなあ、と和洋ミックスをうまーく楽しんでいる皆さんをみていて最近思います。 特にこの夏から男物を着るのにハマっているので、ちょっとそのあたりの「着物はこういう着付けでなければならない」という、思っていないつもりでも頭の片隅で固まっていた意識がほぐれてきたのかもしれません。 私はこんなふうに楽しんでるわよーなんてことがありましたら、ぜひぜひ教えてくださいね! まだまだいろいろチャレンジしてみたいな!と思っているわにこでした。

秋の信州・着物旅してきました★の巻

星わにこ
2022/11/09 00:00
秋も深まってきて、東京も少し紅葉の気配が出てきましたね。1週空いてしまいましたが、今回は信州上田のキモノマルシェに参加した次の日、合流してくれたキモトモと二人で月曜日に小布施を観光したお話です。 長野のホテルに泊まったのですが、信州割で40%オフ、平日なので地域クーポン3000円がもらえるというお得さにびっくりしました。朝食を済ませて、駅のコインロッカーにスーツケースを預けて、身軽に観光に出発! まずは着物で善光寺詣り。紅葉もはじまっていて、とても綺麗でした。以前、牛にひかれて善光寺詣りというイベントに来て以来。おみくじをひいたらなんと「凶」。気を引き締めていきなさいということでしょうか。厄落としの絵馬を奉納してきました。 この絵馬、厄という字をくり抜いて落として奉納するんですが、厄という字に「病気」とか書いて落としている人もいたので、これはいいかもと「お腹のお肉」と書いて友達に大笑いされました。いや切実に落ちてほしいの‥‥。 そんなこんなで久々にお詣りをし、長野電鉄の善光寺下駅まで坂道をぶらぶら降ってお散歩。そこから電車で小布施に向かいました。 実は私、小布施に行ったことがなく今回が初めて。雰囲気のある街並みで着物にぴったりなんですね。ゆっくり観光しようと決めて、お昼を小布施堂で予約。そして憧れのモンブラン朱雀を『とんねる』で予約して、まずは信州小布施「北斎館」に。 北斎館では、着物をきていたため着物割で入場料が半額の500円に。知らなかったので思わぬお得で嬉しい。 今年のGW、岐阜の恵那市の中山道広重美術館でも北斎展をやっていて見たばかりだったので、今年は北斎卍様にご縁がある年なのか? と思いながら『秋のお宝大放出』という展示を楽しんできました。屋台の天井絵は大迫力! やっぱり実物を見るって大事だな~と感動。 お昼は栗尽くしの和食コース3500円。栗の茶巾絞りに椀もの、肉だんご、栗おこわにぶどう餅に栗の上生菓子。少し小雨もぱらつく寒い日だったので、あちあちのお料理で温まりました。いつもならちょっと躊躇するかもしれませんが、クーポン券で贅沢してしまいました。 そして、次は北斎を小布施に招いて逗留させたという地元の名士であり画家である高井鴻山の記念館へ。若冲の屏風絵があったり、なかなかの見応えでした。また記念館の建物自体もお屋敷で、素晴らしかった。 受付で、小さな甘柿をご自由にお持ちください、と配っておられたのでいただいていると、館長さんに声をかけられて、着物姿を褒めていただきました。着物で旅もよいものですね。 小布施の街中をぐるぐる歩いたりお店を覗いたりして、お腹をすこし空けてからいよいよ『とんねる』へ。憧れの朱雀モンブランをいただきました!! セミフレットアイスにナッツが入っているサクサクの中身に、贅沢に栗のクリームや栗あんが重ねられて、美味しかった~~~!!!  給仕されたときには「大きい!食べられるのか!?」と思いましたがぺろりでした(想定内)。9月限定の『栗点心 朱雀』というのにも憧れているので、またいつか小布施に来たいです(食べることばっかり)。 また長野電鉄で紅葉を眺めながら、長野駅に。そこから新幹線で1時間半ほどで東京に戻りました。いや~長野って近いですよね。いつも案内してくれる友達がいるので、コロナ前は友人たちが着物で旅行をよく楽しんでいたのですが、これなら気軽に来られるな~と納得です。 その頃はまだ、子供が小さくてなかなか旅行という気持ちにもなれませんでしたが、大きくなって手が離れてきた今、これからはこんな風に少しずつ友人との旅行が楽しめるようになるのかも。 今回の1泊着物旅行では、二人とも偶然、黒い洗える長羽織を羽織っていました。ちょうど気候的にもよかったし、汚れもあまり気にしないで済むし、少し小雨がぱらついても帯が濡れないので安心。キモトモは鏑木清方の『築地明石町』を見て、つい黒長羽織を誂えてしまったんだとか。わかる! わたしは、4年くらい前かな? いち利モールで「さらり」という厚みのある紗っぽい生地の洗える長羽織を購入したものを着て行きました。これが、少しだけ透け感はあるけど、生地がしっかりしているので長いシーズン着られるし、レースの羽織感覚で着用しています。すごく優れものなので、また再販されたらいいのになと思ってます。今度は色違いが欲しいなあ。 大人の楽しみに目覚めた、秋の1泊旅行でした。

キモノマルシェ2022信州上田にお邪魔しました!の巻

星わにこ
2022/10/26 00:00
先週の日曜日、長野県上田市で行われたキモノマルシェ2022というイベントに参加してきました! 長野のキモトモ(着物友だち)のおかげで、長野には何度も着物旅行に行っているのですが、コロナもあって久しぶりの訪問になりました。 キモノマルシェが開催されるのもコロナで3年ぶりということで、街は着物姿の人でいっぱいに。紬あり、アンティークあり、和洋ミックスあり、ロリィタあり、お子さんの着物姿もあり、男性もたくさん。とーってもバラエティに富んでいて、着物を楽しんでいる人の多さに嬉しくなってしまいました。(思わずお声かけしてしまった皆様、驚かせてごめんなさい!) シャツやブラウスの上に着物、着物onプリーツスカートなどなどとっても素敵で、私もやってみたくなっちゃいました。 会場は5カ所に分かれていて、フリーマーケット会場、着物のレンタル着付けができる会場、お茶や講演会の会場、組紐や染めなどが体験できる会場などなどバラエティに富んだ構成。私もフリマの会場を覗いて、水引のピアスをゲットしました! 主催者さんもびっくりの人出だったそうで、みんな着物でお出かけしたかったんだよね!と頷きまくり。私も本当に楽しい1日でした。 そして今回はなんと、上田紬の小岩井紬工房の小岩井良馬さんとトークショーをさせていただくということで会場の犀の角さんへ。小岩井さんは伝統工芸士リョウマという名前でYouTuberもされていて、今回はその公開録画とのこと。また、チャンネル内では人気の『着物警察』という動画のシリーズがあるのですが、密かにファンだった私(笑)。いつか出してくださいね~と言っていたら、今回出演させていただけることに!  そこで何を着ていこうか悩んだのですが、上田紬は持っていないし……と、思い浮かんだのが今年誂えた牛首紬。まだ袖を通していなかったので、これは今でしょ!ということで初おろし。帯はワニアピールで、中野スズミさんにお願いして描いてもらった「月に吠える鰐」にしました。帯揚げは招き猫、帯締めは長野のキモトモに譲っていただいたもの、足袋はゑびす足袋の革?足袋に、カレンブロッソでワニの布を持ち込んで鼻緒オーダーした角草履と、めいっぱいおしゃれをしていきました。 ちなみに、三大紬は大島紬、結城紬、三つ目は上田紬とも牛首紬とも言われます‥‥諸説ありますが、上田紬は歴史が深くとても素敵な紬です。格子や縞が素朴なこれもいつか手に入れたい憧れの紬です。 トークショーも着物警察も緊張しまくりで、目が泳ぎまくりでしたがリョウマさんが上手にアシストしてくださってなんとか終了! コーディネートも褒めていただいたり、とても嬉しかったです。そのうち動画が公開されると思いますので、よかったら見て下さいね!

絹という素材の美しさと「育てる」ということの巻

星わにこ
2022/10/19 00:00
先日、着付け教室の生徒さんが持っていらした深い青色の帯揚げが、それはそれは美しい光沢で、思わず「うわぁ~綺麗ですね!」と言うと、箪笥に入っていたお母様の帯揚げを染めてもらったものだとか。 シミが出ていて、そのままじゃ使えないなと思っていたら染め直しもできますよと言われたのでお願いしたの、とのこと。本当に新品同様の艶で、シミがあったとは思えない美しさ。職人さんの技術もすごい。しばしうっとり触らせていただいてしまいました。 染め直しは、色が派手になったものやシミがあるものなどを染め直すことで生まれ変わらせること。特に柔らか物は若い頃のものが派手になったから、というような理由で染め替えることがあります。 着物の表地だけでなく、生徒さんが持っていらしたような帯揚げや、八掛、帯なども染め替えで生かすことができます。絹は動物繊維なので、染まりやすいためこういった加工も発達してきたのですね。全体を同じ色で染めるなら、比較的安価にできますし、費用はアップしますが柄を活かしたければそこを糊伏して染めることも可能です。 染め替えは柔らか物で見ることが多いですが、紬もできます。織柄などは目立たなくなってしまうので、それが難点ではありますが、逆にそれがよい場合も。 いただきもので本当に気に入っている大島紬の着物があるのですが、大島の光沢がありながら柔らかく、藍色なのですがよ~く見ると大島特有の柄が浮かび上がります。もともとの着物は泥染で赤色が差してある龍郷柄だったと思うのですが、全体を藍色に染めているため、柄が目立たなくなっています。 龍郷柄は結構インパクトがありますし、「ザ・大島紬」というかんじですが、それに色かけをしたことで、大人しくどこにでも着ていきやすいような仕上がりになっていて、とても重宝しています。 そしてなにより、一度仕立て直しをしていることで信じられないくらい軽くしなやかで着やすくなっています。よく「紬は着て育てる」といい、「洗い張り3回目が最高」と言う話も聞きますが、こういうことなのでしょうか。 自分でも大島紬や紅花紬を仕立て直して着ているものがありますが、やはり洗い張り前よりも柔らかく身に沿うような感じがあります。 染め替えや洗い張りで仕立て直した着物は、新品になるわけではありません。だからこそ、愛着も湧くし、「育てる」という言葉も納得です。 自分では染め替えは八掛くらいしかお願いしたことがないので、染め替えはいつかやってみたいなと思っていることのひとつ。 でも結構費用もかかることですし、そうそう気軽にできることでもなく、着物熱でうかされまくっていた頃に比べると「まあ、そこまでしなくてもいいか」というような気持ちに正直なっていたのですが、その生まれ変わったという美しい深い深い青の帯揚げを見て、ああ、やはりまだ技術がある職人さんが残っているうちに、私が元気に着物が着られるうちに(笑)一度トライしてみたいなという想いが蘇りました。 着物好きの夢は、果てしないですねえ。

しごき帯は七五三だけじゃない!?大人のしごきの巻

星わにこ
2022/10/12 00:00
七五三シーズンに入り、毎週末七五三のお子さんの着付けと撮影が楽しみなわにこです。 3歳さんの被布姿は本当に何をしても可愛いし、5歳さんは可愛い中にも袴でりりしさが、そして7歳はあどけなくもお姉さんぽさも漂って、いよいよ小さな子供の時期を卒業するのだなあ、という感慨があります。 7歳の時には四つ身といって、身長の4倍の長さの反物を使って作られる着物を着ます。袖も長く、振袖のように華やかに帯結びをします。筥迫(はこせこ)や房つきの扇子を身につけ、帯の下線にしごき(しごき帯)を結びます。 このしごきですが、裾を長く下ろして着ていた時代に、外出するときに裾をあげるために使ったもの。花嫁さんの抱え帯も同じ役割です。 しごきは、幅30センチ、長さ2メートル30~50センチほどの無地の布に、先にフリンジ状の房がついています。この房の紐がおめでたい七宝結びになっているものが一般的です。 色も、赤や黄色、ピンクなどいろいろあり、柄入りのもの、先端の房もいろんな形状のものがあります。 帯の下に巻いて、後ろでリボン結びにすると、まるで腰のあたりに蝶々が止まってふわふわ揺れているようで、本当に可愛らしいです。 しごきは花嫁衣装で引き振袖のときに使われます。しごきの代わりに抱え帯が使われることも。抱え帯は、白無垢の掛下にも使われますが、役割はしごきと同じ。柔らかい素材のしごきと違って、綾子などを細い帯の形をした抱え帯は下に垂れる房はついていません。 大人がしごきや抱え帯をするのは、裾引きの着物のときが主でしたが、令和に入って成人式の振袖にしごきや抱え帯をする人が増えてきました。 華やかになりますし、成人式の振袖はほんとうにどれだけ盛っても可愛さましましですから、いいなあと思います。抱え帯もいいですが、しごきだとだらりと垂れた房が揺れて、またこれ可愛いものです。 本来後ろで蝶々結びをするものですが、可愛いので前で結んでいる写真も見かけます。それもまたよしですです。 注意としては、子供用だと長さが足りませんので大人用の3メートル50センチ前後あるものを使いましょう。柔らかめの布やレースで、手作りしてもいいかもしれませんね。 お祝いの日の衣装を考えることは、本当にわくわくと楽しいものです。七五三や成人式のお祝いのとき参考にしていただけたら嬉しいです。 最後にちょっと宣伝です! 10月23日(日)長野県上田市で開催される「キモノマルシェ2022」にゲスト出演することになりました。 伝統工芸士で着物YouTuberの小岩井紬工房の小岩井良馬さんとトーク対談をさせていただく予定です。 お近くの方、ぜひ遊びにいらしてくださいね!

男着物を部屋着にしてみたらめちゃ楽だった!の巻

星わにこ
2022/10/05 00:00
10月に入ってもまだまだ気温が下がらず、単衣を着ております。11月初旬になっても暑いな、と思うと単衣を着てしまったりもするのですが、この頃本当に軽いものしか着たくないんですよね。 若い頃は、重くても多少着づらくても「オシャレだ」と思うと着ていたのですが、もう~とにかく楽じゃないと体が辛い。これが歳をとるということでしょうか。 単衣も、厚地の木綿やウールは袖を通す気になれずにとうとう手放してしまいました。袷の着物も普段に着るものは、軽やかなものばかりに手が伸びます。 そもそもそんなに楽に過ごしたければ、着物を着るのも面倒なのでは?と言われそうですが、着物は着たいんですよね~。ワガママですよね(笑)。 できたら家でも着物で過ごしたいと常々思っていたのですが、なかなか実現していません。それはどうしてかというと、やっぱり帯がしんどい。半幅は楽だけど、でもやっぱりお腹のところに幅広く生地が巻かれているとそんなにリラックスした気分にはなれません。 それで夏にちょっと思い立って男物の麻の着物をへこ帯でTシャツとステテコの上に着てみたのですが、これが楽で楽で‥‥びっくり。 楽だけど、全身包まれているのでほっとするような感覚もあり、波平さんや昭和なお父さんたちが、自宅に帰って着物に着替えてくつろぐ気持ちがわかったような気がします。 ウエストではなく、丹田のあたりを帯で締めると体も楽だし、お腹周りも一切圧迫されないのでストレスフリー。 しかもそれで原稿とか書いてると、文豪気分です(笑) 11月に水上勉のエッセイが原作の映画「土を喰う日々―わが精進十二ヵ月―」が公開されますが、その先行ビジュアルが本に埋もれて原稿に向かう主演の沢田研二の和服姿でした。大好きだった祖父のようで、観たい!と楽しみにしていたのですが、最近予告編が公開されたので見てみたら全然和服姿が出てこなくてちょっとがっかり。本編には出てくるのかな? 土井善晴先生が料理監修をされているということで、そういう意味でもこの映画は観てみたいと思っております。 私の祖父は俳句や川柳を嗜んだり、趣味で原稿を書いたりする人だったのですが、やはり着物でよく机に向かったり、ごろ寝をしたりしていました。 そのビジュアルにめちゃくちゃ憧れがあって、実は数年前に『将来こうなりたい!』というテーマで、故郷の岐阜の実家で写真を撮ってもらったことがあります。東京を離れて、原稿を描いて暮らしたい私の夢です。 Photo by 渡部瑞穂 まさにこの部屋は、祖父が原稿執筆をしていたところ。このときは普通に女物の浴衣を着ていますが、これ男物だったらめちゃ楽やと思うんですよね。あぐらもかけるし。ごろ寝も楽やし。絶対ええわ。 おはしょりもいらないし、着崩れてもちゃちゃっとひっぱるだけで元通り。なぜあんな面倒なことをして女子は着物を着なくてはいけないの??という気持ちになります。 しかも、子供が私と同じ身長だったころに着せようと思って用意しておいたものが活きる‥‥。女性の身長の男着物はリサイクルでも比較的多いので入手しやすいです。 そんなわけで私の中で、男着物ブームが吹き荒れております。なんか、原稿も進む気がする~~(単純)。男性着物、いいですね。 皆様も男物で家でリラックスの波平スタイル(もしくは文豪スタイル)、まじでやみつきになりそうです。新しい扉が開きかけてる、わにこでした。

秋の七草、月、雁、菊‥‥秋単衣を楽しもうの巻

星わにこ
2022/09/28 00:00
毎年夏には「暑い暑い!着物とか無理!」といいながら着物を着るのですが、さすがに10月も近くなってくると単衣が心地よく、「ああ着物が着たいな!」と思うようになってきます。 暑いと思わずに着物を楽しむことができることの、なんと快適なことよ。夏物ではない、軽い着物を手に取るのもなんだかうきうきです。 私の単衣は、仕事のときに着ることが多いのでだいたい紬、あとはセオαですが、もう少し気温が下がってくると厚手の木綿やウールにも手が伸びます。 今はなかなか寒くならないので10月もまだまだ単衣なことがほとんどです。昔は「単衣なんて、春1ヶ月秋1ヶ月しか着ないからいらないのでは」と言われたこともありますが、今は気候も変わって単衣を楽しむ時期が増えていますよね。 4月の後半から6月、9月10月と、4~5ヶ月の間活躍する単衣。普段に着物を楽しむ人たちにとってマストアイテムではないでしょうか。 だいたい20度~27度の間で暦と相談して単衣にするかどうかを決めます。その方によると思いますが、春は23度超えたら単衣、秋は27度になったら単衣、ぐらいを目安にしている私です。 秋単衣、とタイトルに書きましたが、その意味は「秋に着る単衣」(そのまんまじゃ)。秋しか着られない単衣を指す贅沢な意味もあります。 秋草(秋の七草の桔梗、萩、女郎花、藤袴、撫子、葛、すすきなどを組み合わせたもの) 紅葉、銀杏、ぶどう、柿、栗、うさぎ、月、雁、稲、菊‥‥ など、秋の文様を秋に着るのは、季節を楽しむ感があっていいですね。秋草は夏の終わりに来る夏物にもよく使われていて、涼しさを表現するのに使われることもあります。 もちろん、ぶどうやうさぎ、菊など1年中着られる柄もありますが、それを秋に着ることでより趣が感じらます。 柄だけでなく、色もやはり、春の単衣と秋の単衣は着たくなるチョイスが変わるもの。 私の場合は、着物自体はベーシックな色柄のもので、帯や帯揚げ、帯締めなどで季節の色を取り入れてコーディネートを変えています。 今年は、きもチャリ!もありましたし、箪笥の中身を大幅に見直して減量しています。手を通さない着物を減らすぞ!と意気込んております。 着ると思って残したものでも、着てみてやっぱり‥‥と思うものは思い切って処分していこうかなと。 早速いただきものの単衣、着ないでずっとしまっていたものに袖を通したら、上前の目立つところにシミが! しまいジミというやつでしょうか‥‥。少ない数で管理をきちんとしていこうと改めて反省しました。 あと‥‥やっぱり太ったかも‥‥なんか‥‥身幅が‥‥あれ‥‥。な~んてことも含めて、季節を感じています。(感じてないでなんとかしなくては汗) とにかく揃えることが楽しくてどんどん増やしてしまった着物ですが、減らす痛みを乗り越えて、大切に愛おしむフェーズに入れればいいなあ。 減らす減らすといいながら、春に記念で!と牛首紬を誂えましたし、あと、リサイクルで紗合わせを入手したんです。 でもそれまで「あれも欲しい!これも欲しい!いつか!」と思っていたものを、絶対欲しいと思っていたものをえい!!と手に入れたら、なんかすっかり物欲が満足してしまって。この中でなんとかするぞ、という気持ちになっています。 まあこれもね、出かけて素敵な着物とかを見てしまうと揺らぐんでしょうけど(笑)、それも人生ということで。 軽やかな単衣の時期を過ぎるといよいよ着物が一番楽しい袷の季節になりますね。この季節の移り変わりをわくわくと待ち遠しく感じるのは、やっぱり着物が好きだからでしょうか。 この秋は、着物ででかける機会が増えたらいいなと思う秋の日でした。

きもチャリ!2022ありがとうございました。の巻

星わにこ
2022/09/21 00:00
先週末8月のコラムでも宣伝させていただいた、きものチャティーバザール略して「きもチャリ!」を開催しました。 数十年に一度という大型台風が上陸ということで、都内でも電車が止まったり大変な中でしたが、なんとか無事終えることができました。 コラムを読んで、と寄付をくださった方やお買い物にきてくださった方もいて、本当にありがとうございました。サイズや状態もよいものをお譲りいただき、いろんな方のところにお嫁に出すことができました。感謝しております。 また改めてご報告しますが、売り上げは「ハタチ基金」に寄付させていただきます。ありがとうございました。 「その着物、どうする? 好きだから知っておきたい保管・メンテ・処分の方法」星わにこ著(河出書房新社)より 久しぶりの開催、しかもまだまだコロナ禍ということで、昭和な家スタジオを一緒にやっている瑞穂ちゃんと手探りで準備を始めましたが、走りだしたら今までボランティアで関わってくれていた友人たちがさっと必要なところで手伝ってくれ、荷受けから設営、販売から撤収まで非常にスムーズに行うことができ、ほっとしています。 拙著にも登場する友人たち、気持ちよく手を貸してくれて改めて感謝感謝でした。 宅急便は30箱、たくさんの着物を直接搬入にきてくださった方もいらして、狭いスタジオの中が着物の山に埋もれ、これは陳列は無理‥‥かも?と、私も夜しか眠れませんでした(寝とる)。 でも、設営には片付けコンサルタント、バザーの鬼、催事販売のプロなどなどが集結してあっという間にスタジオがお店に変身! 毎回値段をどうつけるかが悩みどころです。できたらたくさんの方のところで有効活用してほしいので、お手頃なリサイクル値段を心掛けました。 自分で気に入ったものを掘り出すのも楽しみですが、どんな着物かもわかるとお買い物も楽しいですよね。寄付してくださった方に、サイズやどういう着物です、ということがわかる「着物カード」をできたらつけてくださいと図々しくお願いしたのですが、それをつけておいたので、参考にしていただけたのではと思います。 また今回は高崎のきものサロン「にきたえ」の小峯さんが、地元でもきもチャリ!をやってみたいから勉強させて、とおっしゃってスタッフに入ってくださって、着物の目利きをしてくだいました。全てではないけれどこれはこういうところがよい着物、ということをお客様にちゃんと伝えて販売することができたかなと思います。私も勉強の機会をいただけて嬉しかったです。 お客様には試着で、似合うものを探してもらうのも楽しかった! 「日舞で使う」「落語を聞きにいきたい」とか「パーティ用に」とかの着用目的を聞いて、出した着物が気に入ってもらえるとめっちゃ嬉しかったです。お客さんとスタッフで、あーでもないこうでもないと言い合う時間も、いいものだな~と再認識。 どの着物も帯も「ああ~お似合いだな~」という方が連れ帰ってくださるのが、毎回不思議です。とにかくお値打ちなので、爆買いされる方も。近くのコンビニから宅配便を出した方も数名いらっしゃいました。わかる‥‥! 閉場時間には、腕利きの片付け隊が集結。あっ!というまに残った着物も箱詰めされ、NPO法人エコメッセさんに引き取っていただいて撤収完了。さらに着物として引き取り不可のウールなどをリサイクルショップ「秘密のさくらちゃん」に引き取っていただけることになりました。 こうして2022年のきもチャリ!プロジェクトは無事終了。あとは寄付などの事務作業を残すのみとなりました。本当にありがとうございました! 寄付して嬉しい、買って嬉しい、売り上げは誰かの役に立つ、と三方よしのイベントになったのではないかなと思います。ただ運営のマンパワーは相当必要なので、そこがうまくできるかどうかが課題かもしれません。 今回私が特に嬉しかったのは「片付けるきっかけになりました」とか「片付けてみたら、知り合いの人たちが意外ともらってくれました」などのお声をいただけたこと。まずは動いてみると、意外と解決の道が見えるのかもしれません。 もうすでになさっている方も多いかとは思いますが、コロナ禍でおやすみしてしまった、いろんな形で着物を活かして楽しむ機会がまた増えていくといいな~と思います。 改めまして、「きもチャリ!」へのご協力、ありがとうございました(ぺこり)。

夏の宿題?8月31日の浴衣と花火。の巻

星わにこ
2022/09/07 00:00
まだまだ暑い日はあれど確実に涼しくなってきて、あんなにしんどい夏だったのにちょっと寂しいと思ってしまうのはなぜでしょう。 我が家の高校生男子ですが、この夏のお盆に中学の同級生グループで花火をすることになったから浴衣を着せて、と言ってきました。 親の趣味で、小さい頃から着物を着せまくってきたけれど、小学校の卒業式は袴は嫌!とスーツを選んで以降、あんなに着物を着るのを嫌がっていたのに‥‥どういう心境の変化でしょうか。母嬉しい。 もちろん二つ返事で引き受けて、浴衣を用意しましたよ(親バカ)。友達も着せてというのでそれも二つ返事です。 いそいそ浴衣と帯、手ぬぐいと扇子を友達分も用意して待機。 しかし、当日。巨大低気圧が日本に向かっているということであえなく中止。あら残念、と思っていたら、なんと8月31日に再トライすることになったとか。 最終日、みんな宿題終わってないんじゃないの?と思いましたが、浴衣で花火をすることも夏の宿題みたいなものか、と。 コロナ禍でもう3年、お祭りも花火大会もなくおでかけもままならなくて。子どもたちが沢山の青春を楽しむ機会が失われてきたことを思うと、学校の宿題より優先かもねと思ったり。 お友達は浴衣が初めてだそうで「えっやばい!帯ってこんな下なんすか!やばい!足が!ハイキックするときはどうしたらいいんすか!」というので、着物を両手でめくってしてください、と言っときました(笑)「手ぬぐいってどうするんすか」「女子が座る時敷いてあげなよ」って言ったら「そんな80年代の少女漫画みたいなこと! え、かっこよ」って。さてハイキックはしたのか、てぬぐいは敷いてあげたのか。 男子は着せ甲斐がない、なんてよく言いますが、なになに男子の浴衣もとってもいいもんだ。 当日は無事お天気ももって、男子も女子も浴衣で集まり、手持ち花火を楽しんだ模様です。女子たちの浴衣はどうだった? 写真ないの?っていったら、見せてくれたけど暗くてなにもわかりませんでした(爆) 楽しかったっ!って笑顔で帰ってきた男子たち。また来年も浴衣で花火をしたり見れたりするといいねえ。そして浴衣も自分で着られるようになったらいいなあ。 当方浴衣でデート的な10代の思い出がないため(寂)、夏の終わりの浴衣と花火を想像しただけで、えらいエモい気持ちになりました。 できるなら、ちょっと無理をしてでもいろんなことをやってみるといい。人生ももう秋になってきた身としては、アオハル満喫の若者たちの姿が見られるだけでもほくほくした気持ちになったのでした。

母の着物の処分に手をつけたの巻

星わにこ
2022/08/31 00:00
すっかり過ごしやすい気温になって、もう秋なのかな‥‥と思いきや、まだまだ暑さもぶりかえしたり、台風の様子が気になったり。着物も何に袖を通すか迷いますね。 今回はちょっと長い、着物の処分の話です。 さて今年の夏は、7年間放置していた実家の母の衣類の処分に乗り出しました。とはいっても、感染者数の急激な増加もあり、また自分の体調もイマイチだったことから直前まで帰れるのかどうなのかも悩んだりしていたため、予定も立てずに成り行きでGO。 実家は11LDK。大体「意味がわからない」と言われますが(笑)岐阜の山村にあり、私が子供の頃は7人家族で住んでいたため、まあそんな大きさに。田舎には珍しくない築70年ほどの古民家です。 父が亡くなってから母はずっと一人暮らしでしたが、その母も亡くなり空き家に。時々帰って空気を入れ替えたりしていましたが、岐阜なのでしょっちゅう帰るわけにもいかず、水回りからどんどん壊れていって困っていたところ、3年ほど前に地元の空き家対策委員会の方から連絡をいただき、賃貸物件に出すことに。 家の半分だけ借りてくれて、仏壇や荷物などそのまま置かせてくれて時々帰って泊まってもいい方がいれば、という虫のいい条件(笑)で出したところ、1年ほど経って借りてくださる方が見つかりました。そんなのってあり?という条件でしたが、言ってみるもんだなあ。 コロナ禍に入っていたので帰って片付けるということができず、借りてもらうエリアのものをとりあえず使わない部屋に押し込んでもらって、家を使ってもらうことに。なので、とにかく荷物がぎゅうぎゅうに詰め込まれた部屋が、見えないけどもう苦になって苦になって。 離れて暮らしているけれど、いつも心の片隅にそのことが気にかかっていました。 今回いつも東京から車を出して一緒に帰ってくれる友だちと子供と一緒に帰ったのですが、滝めぐりや花火見物の合間に手伝ってもらって、部屋にぎゅうぎゅうに詰め込まれていた母の衣類の処分ができました。 リサイクルや寄付、いろいろな選択肢があると思いますがとにかく大量で、分別する時間もないためもう今回は自治体のゴミ処分場に持ち込むことに。 どんどんと衣類、古いカバンや雑貨など70リットルの袋に友人と手分けして詰め込みました。 胸は痛みましたし、「おりょ~」という母の嘆きも聞こえてくる気がしましたが(笑)もうそんなことは言ってられない! 洋服箪笥2竿とハンガーラック3つにパンパンにかかっていた洋服、めぼしい着物はよけたあとの着物箪笥のウールの着物や小物など、どんどんと詰め込み。山のようなゴミ袋を処分場に持ち込んで、重量なんと170キロ! 処分場持ち込みの場合10キロ100円を支払うのですが、小物が入っていた箱を潰していた息子が「あっ!ばあちゃんのへそくり!」と7000円が入った封筒を発見。 処分代と、車で処分場まで捨てにいってくれた友人と息子のおやつ代にあててもらいました。ありがとう、お母さん。そして友人と息子に心より感謝(><) 時間があれば、いろいろと手間をかけたり使ってくださる方につないだりということもできたかと思うのですが、そして、それをどうしようかと思うあまりにずっと手をつけられずにきましたが、それもやりきれない量というものもあるなあと今回感じました。本当は業者さんにお願いレベルなので‥‥。 私の場合は、一気に手放せたことで本当に心からほっとして、開放された気持ちがしました。ここにくるまで7年かかってますが‥‥。 実はレスキューした着物はそのまま積んであるし、まだ屋根裏部屋や倉庫に山のような衣類や食器があるんですが‥‥それはおいおい(ため息) 着物に関しては、正絹のもので状態のいいものだけをとりあえずレスキューして保管。ウールの着物は、母がよく着ていたものを1枚だけ残しました。あと小物類は虫食いもあったりして、全部処分。 このあたりは、自分の着物の整理と処分で痛い目を見たので「ちょっともったいないと思う程度のものは残さない」という鬼の心で臨みました。ただ、ありがとう~と言いながらひたすら処分しました。 今回は衣類のみということで、まだ本や家具家電に手をつけてないせいか、そんなに捨てたのにあまりものが減ってないように見えるのが恐ろしい‥‥。どんだけの量が詰め込まれているのかっ!  でも薄暗かった部屋も窓が見えて光が入り、少し風通しはよくなった気が。そして心も少し軽くなりました。 いつか私が死んだとき。息子がしんどくないように自分のものも減らさないとな‥‥と反省もしました。家に帰ってから、再び断捨離に取り組んでいます。 捨てることにはずっと躊躇いと罪悪感を持っていましたが、量が多ければ全部まとめてゴミ扱いになってしまうことも。大事なものや使ってほしいものはそれなりに量もコントロールして厳選しておかなければいけないなと。 そんな死後の心配はさておいても(笑)、今現状、自分が使うものも同じこと。 そのためには、やっぱり処分もやむなしと、最近は割り切っています。 拙著『その着物、どうする?』にもこのあたりの葛藤は書いたのですが、一番自分の心が楽になる方法を選ぶしかないなと思います。 といいつつ、なかなか処分はできないのですが(だめだめ)。ちょっとでも、住まいと心の風通しをよくしたいなと思う今日このごろです。 <ちょっと宣伝> 9月には、久しぶりの「きものチャリティバザール」を開催予定です。私も、手放すものを持ち込み予定です! やっぱりまだ使えるものはどこかで役立ってほしいもの……。といいつつ、欲しいものと毎回出会ってしまうのですが、まあそれも幸せということで(笑) もし寄付を検討されている方がいらしたらどうぞよろしくお願いいたします。

冷感汗ふきシートで夏着物も涼しく!の巻

星わにこ
2022/08/17 00:00
まだまだ残暑厳しい毎日ですが、この時期本当に汗が困りもの。何を着ても暑いこの時期、夏着物も少しでも涼しく着たいために、皆様さまざまな工夫をされているのではないでしょうか。 私も涙ぐましい努力を重ねてまいりました。麻のステテコや冷感肌着、保冷剤などなどいいと聞けばすぐ試す! そして着物を着るときには、エアコンを効かせた部屋で扇風機を回しながら、とにかく汗をかかないで着ます。 着てしまえば意外と大丈夫なのですが、着るときは動きますから、その時点で汗をかいてしまうともうなかなか汗がひかなくてしんどいし、またかいた汗が冷房で冷えたりすると体が冷たくなることも。 また、室内や移動交通機関内は冷房が効いていても、家から駅まで炎天下を歩くときが問題。日傘は必須で保冷剤を握りしめて移動していました。 先日、新宿津田家の女将さんに「ビオレの冷シートを衿肩あきや胸元に挟むと、すっとして外を歩いても気持ちいいわよ。ゴルフをする人が肌着の下に挟むと涼しいって教えてくれたの」と耳寄り情報を教えていただきました。 早速ドラッグストアに走ってゲット。汗ふきシートはあまり使ったことがなかったのですが、メントール配合ですーっとする感覚が確かにマイナス3度感覚。 着物を着る前にも、さっと胸元や腋の下、首元など拭いておくとスキッとして汗が出にくい気がします。また、取り出してそのまま挟むよりも、肌着が濡れにくいかもしれません。 今まで、制汗剤をしゅーっと吹きかけていましたが、個人的にスプレーにむせがちなのでちょっと苦手でした。それよりスッキリして気持ちがよいです。 着物を着たら、そっと首元や襟元の肌の上に直接あたるように挟むと、すーっとした冷感が続きます。いつもははふはふ言いながら歩く駅までの道(10分程度)も、しゃっきりと歩けました。 電車内などで冷房が効いていたら、もう取り外してしまってOK。捨ててもいいし、小さいジッパー付きポリ袋などに入れておけば、後からまた汗ふきにも使えます(せこい)。 今まで解けちゃった保冷剤、もう一回冷たくならないかな!とか思っていましたが、こちらはバッグに入れておいて、都度使えばよし。洋服のときにも、便利です。 メントールの冷感刺激に弱い方やアルコール過敏症の方、肌の弱い方、乳幼児は使わないでくださいとのことなので、成分を見て合わない方は注意してください。 あと、濡れた状態のものなので、肌着に挟む時、特に正絹の着物などに付かないように気をつけてくださいね。 この夏知った、新兵器!! ご興味のある方はお試しくださいませ。

軽くて扱いやすい!ポリの兵児帯の簡単結びの巻

星わにこ
2022/08/10 00:00
着ていて「暑さ」や「しんどさ」を感じる要素として、「重さ」というのがあると思います。この時期、少しでも薄くて軽いものが着たいもの。 そして、とにかく汗をかきますから、洗える素材だとなおよし。 そんなこんなで最近は、夏に普段に着るのはセオαか綿麻なのですが、骨太でガタイがいいので、半幅帯だとちょっとボリューム不足。ただでさえ大きい背中がますます大きく見えてしまいそうで、いつも名古屋帯を選んでしまいます。 でも半幅帯のほうが、断然軽いし涼しいのですよね。知ってるんですけど、やっぱり背中がどーん、お尻がどーんと見えてしまうと思うと、手が伸びない。いろんな結び方を試してみて、長めの帯であればいけなくもないと思うのですが、どうも苦手意識が消えません。 そんな時に、救世主で現れたのが最近よく見かける、織兵児帯です。胴に巻く部分は二つに折って、結んで後ろに回す部分は幅広で使えるので、ボリュームも出しやすい。 兵児帯という名前で検索すると、くしゅくしゅタイプの兵児帯もあります。そちらはボリュームがあって、ちょっと重いものです。ふわふわに結んだりするときにはよいのですが、大人は平らなタイプのほうが使いやすいと思います。 ふんわりと結ぶこともできますし、名古屋帯のようにお太鼓や銀座結び風にもできます。そして、名古屋帯よりダントツ軽くて、扱いやすいのです。半幅のように、前で結んで後ろに回すやり方でいけちゃいます。 大人っぽい色柄も多いので、いいだけ大人な人も大丈夫。また、ギラギラな個性派もあったりして、夏にピッタリ。 しつこいですが、軽いので体も楽なんです。 私が気に入ってるのは、仮紐(帯揚げでもOK)を使ったパタパタ結び。結び方も簡単だし、結び目が下がってこないし、帯枕を使わない分体もらくちんです。 ポイントは、「て」を最後に帯枕のようにパタパタした羽根の土台にすること。こうすると形が決まりやすいです。私は、ボリュームを出したくないので半分に畳んだままですが、畳んだ羽根を広げるとふわふわにもアレンジできますよ。 この結び方は半幅帯でもできます。「て」を横に広げることで、横に張りが出るのでバランスがよくなっておすすめです! 半幅帯よりも軽くて扱いやすい兵児帯、いろんな結び方にトライしてみてはいかがでしょうか。

楽しんだもの勝ち!浴衣つれづれ夏。の巻

星わにこ
2022/08/03 00:00
暑い日が続きますね。陽炎が立ちそうな街の中を、日傘の着物姿を見かけると涼しげな気持ちになりますね。と、同時に「すごい‥‥まじすごい」と尊敬の念を覚えます。 まあ夏着物はやっぱり気合いだなあ~と思う今日このごろです。だってね、涼しくはないですからね。夏は何着ても暑いし‥‥夏着物はほんと脱ぐ時が一番幸せだったりするし(笑)。それでもなぜ着るかといえば、着たいから! そして大きなお祭りはないものの、ちらちらと浴衣姿も見かけます。今回は今年浴衣について思ったこと徒然をつぶやきますね。 今年はファストファッションチェーンの発売した2部式浴衣が話題になりましたね。着付けの仕組みがわかってしまうと、普通に着付けた方が断然早くて調整がきくのでいらない、となると思いますが、まったく着付けとか知らん!という人には福音なのかもしれません。昔から二部式や羽織るだけ、みたいな便利着付け着物系はいろんなものが出ては消え、出ては消えていますが、やはり応用の効かなさなのかな~と拝察。 時々七五三とかでも、着付けをしらなくても子供に着せられる!みたいな便利仕立てのものを見かけますが、マジックテープとかボタンやホックとかまじで融通がきかなくて「普通に紐で結ばせて!」と言いたいこともしばしば。ジャストサイズならいいのかもしれませんが、逆に面倒にしているのではと思う商品も結構あります。 でも、二部式発売ということよりも衝撃だったのは商品見本の着付け写真。えもんは詰まってぶっかぶかの上半身に低い位置の帯、なんとなくゆるふわなワンピース調の着付けでした。 プリントも洋風で可愛い色柄なこともあり、えー‥‥こんな風に変わっていくの? とちょっと不安になりましたが、子供につきあって行った武蔵野美術大学のオープンキャンパスには、学生さん制作の浴衣が展示してあり、そのデザインが斬新で素晴らしいのはいうまでもなかったのですが、着付けは伝統的で、ちょっとほっとしたり。 今年は浴衣フェアものぞいたりしたのですが、昔ながらの注染や絞りだけでなく、アフリカンプリントの浴衣やアイヌモチーフの浴衣などいろんな文化を取り入れたものも素敵でした。 浴衣は昔から、着物ではできないような大胆な柄を楽しんだりしたものですから、自分がかっこいいと思うものを自由に楽しんだらいいですよね。 帯だって結ばないやり方、簡単なやり方がいっぱいYouTubeで見られるし、下駄がなければサンダルでいいじゃない。帽子をかぶっても素敵だし、浴衣ってだけでテンションもあがりますから。 昨日見かけた道ゆく10代だろう浴衣のカップルは、二人とも自分でYouTubeとか見て着付けたんだろうなあ~ってかんじで、女の子はえもん詰まってて、男の子はウエストに帯してて、以前の私なら「ああーもっとこうしたらいいのに!」なんて気にするところだったと思うのですが、もう令和の今はなんかもうそれはそれで「あらいいわね~~!!」って心から思うようになってきました。 だってもうね、そんな、二人で浴衣でデートなんてそれを実現させただけでブラボーですよ。スタンディングオベーションですよ。きっと一生の思い出になるのよね、なんて勝手にうんうん頷きながら後ろを歩くおばちゃん(私)。ちなみに私には浴衣デートの思い出はありません(寂)。 着たいなと思ったら、着たほうが絶対楽しいよね。浴衣を探したり、買ったり、着方を知ったり‥‥。そこに、誰かが間違ってる、という権利はないはず。 着付けも時代とともに変わっていくものだから、若い人は若い人がこれでいいなと思ったように着ればいいよね~なんてしみじみ思うわけでした。あ、若くない人も(笑)。 一方で、私も今年は浴衣を衝動買い。セオαの柄物の浴衣で、よくみると猫がいるという模様に一目惚れ‥‥単衣代わりにも着ちゃおうかなと思っています。 素材も綿、綿麻、ポリエステルといろいろありますが、ポリエステルの進化はめざましくセオαなんかは比較的涼しく、どんなに汗をかいても洗濯機で気兼ねなく洗えるし乾きも早いので、じわじわと夏物にセオαが増えてきている私です‥‥。 浴衣は着物よりも比較的チャレンジしやすい価格帯ということもあるので、いろいろ試してみるのもいいですよね。 暑い暑いと敬遠していましたが、気がついたら真夏も折り返し! ぐだぐだしてないで、気合いを入れてやっぱり浴衣、着なくっちゃ!