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夏は女子もステテコ!はいた方が暑くない☆の巻

星わにこ
2018/08/15 23:59
 毎日暑いですね。拭いても拭いても汗が出て来るお年頃のわにこです。お年頃はおいといても、やはり夏は暑くて汗をかきます。  着物や浴衣を着ると、足の間に汗をかいて不快なことありませんか? 汗をかかないまでも、足と足がナマでくっつくと熱が伝わって暑く感じるものです(細い方のぞく(涙))。  そんなときおすすめしたいのがステテコ! もうとっくに履いてるわ~という愛用者の方も多いことでしょう。そんな私も熱烈なステテカー(っていうの?)。夏は足の間の汗をとってくれるし、冬は冬で温かいし、暖房の効いてるところで汗をかいても平気。すそよけ代わりに1年中手放せません。  ロングスカートの下にもオススメですよ。私はそのまま部屋着でウロウロしたりパジャマにすることもしばしばです。  でも、ステテコって今でこそユニクロのリラコなどでレディースもおなじみになりましたが、もともとはオジサンの下着というイメージですよね。明治時代に男性の袴や着物の下に履くものとして誕生し、昭和ではスーツのズボンの下に汗とりとし、また家でくつろぐお父さんがルームウエアとして履いていたものです。  このステテコ、実に日本の高温多湿の夏にピッタリな日本独自の肌着というのは御存知でしょうか。足の汗をステテコが吸うことと、ステテコをはくことでできる空気の層が、汗でべたつく衣服のさわやかな着心地を生み出しているんです。  綿クレープなどの素材は凸凹のある生地が肌にはりつかず、快適な履き心地になります。最近では、吸汗速乾の新素材のものも増えていますね。着物を着始めてこんな快適なものを男性に独占させるのはもったいなーい!と思うようになりました。  少しでも着るものを減らしたほうが涼しそうなものなのに、適正なインナーを着たほうが涼しいというこの不思議。「汗とり」を見直すと夏の着物はぐんと快適になります。  私が着物をきはじめたころは、女性用のステテコは入手しづらく、オジサンのステテコを履いたりしてました。とってもリーズナブルで(笑)快適だけどやっぱり前開きの部分が恥ずかしいし(爆)股上の深さが使いにいくかったです。  着物の下にステテコをはく、というのがなんか恥ずかしかったですし、そんな話をしたら、いいわねーという奥さんの隣にいた旦那さんに「ちょっとウチの嫁になにすすめてくれとんねーん」と突っ込まれたこともあります(笑)。  でもいまや「ステテコ」=オジサンではなく、レディースも選択肢が増えていますし、選ぶのも本当に楽しいですよね。  シルクのものや麻のもの、新素材の柄ものなどいろんなステテコを試しましたが、いまはたかはしきもの工房のローライズステテコで落ち着いています。このステテコは、ローライズなので帯にもぐらず上げ下ろしがしやすいのと、丈が長いので、ステテコだけで浴衣等を着たとき、素足が透けないのです。  でも、裾よけ代わりにするときは短めのほうが足さばきもいいし、より涼しくなると思います。防寒として考える時はちょうちんブルマーみたいに裾が絞ってあるものもいいですね。インナーとして着る時は濃い色や柄物は透けるので注意ですヨ。レースがいっぱいついてたりするとやっぱり可愛くて、気持ちが盛り上がります  もし! まだ! ステテコデビューしていない方がいらしたらこの夏ぜひ! そしてステテコの快適さを知っている方は、浴衣デビューの人にぜひ教えてあげてくださいませ(^^)

織兵児帯で大人の浴衣☆の巻

星わにこ
2018/08/01 00:00
 花火大会や夏祭り‥‥。あちこちで浴衣のお嬢さんを見かけるとついつい目で追ってしまう危ないわにこです。それぞれに可愛らしく美しく、微笑ましいものですね。あんまり着付は気にならないのですが、足を開いて座ったり歩いたりしてるのだけは気になる~! 座った時や歩くときちょっと気をつけるだけで、ぐんっとステキ度アップしますよ~! と心の中で叫んでおります。時々、心に直接語りかけてみたりするのですが、宇宙人ではないので、だめみたいです(笑)。それでも、浴衣でお洒落して外出する心意気やよし! 楽しい思い出ができますように。  浴衣の帯は半幅帯が定番ですが、織兵児帯もよいですよ。兵児帯は、子どもが結んでいる絞りなどのやわからい帯のことです。男性も楽に帯結びをするときは使っていたもの。昭和なお父さんの家着ご愛用で、サザエさんの波平さんがよく結んでいます。  大人の女性はあまり結ばないイメージですが、最近は大人の兵児帯も増えています。生地は様々ですが、半幅より気楽に締められます。柔らかいので帯結びもラクですね。  適度な張りがあり、すこしシボが入っているものが扱いやすいです。重めの生地だと帯結びが下がりがちなので、私は軽くて形が作りやすいポリエステル素材の織兵児帯を愛用しています。  リボン結びもしやすいし、三重紐を使った飾り結びもボリュームが出て可愛いんですよ! 落ち着いた色柄を選べば、大人もステキに結べます。座ったときにもたれてペシャンコになっても、ポンポンと下から持ち上げれば元の形に戻ります。  長いサイズのものが多いので、手先をゴムで縛ってお花のようにしたり、いろ~んな飾り結びが楽しめます!  浴衣だけでなく、普段のカジュアル着物にも活躍します。半幅よりも、軽くてボリュームが出るので、おしゃれ感が楽しめます。一年中大活躍ですよ。  一度トライしてみてください。やめられない楽チンさとアレンジの楽しさですよ(^^)v

羅の透け感で涼しさを演出する☆妄想の夏着物コーデの巻

星わにこ
2018/07/25 00:00
 災害レベルの猛暑ってどういうことなんでしょうか‥‥。本当に暑くて着物で外出どころか外出自体ためらわれる今日このごろ。首に保冷剤を巻いて仕事場までたどり着くのがやっと。今週末はすこし気温が下がりそうなのでなんとか生き延びたいと思います。  さて今回は久々の試着室妄想コーデ!(どんどんぱふぱふー)。これならなんとか着られるかも!という涼しさコーデを考えてみました。 http://bit.ly/2uYUK5j  まず着物は麻。麻の代表小千谷縮で! 瀧縞という文様の名前が夏感があっていいですね。独特の張り感で風を通すので涼しい。これくらいの色だと、すごく襦袢が透けたりもしないので、うそつき衿で着てしまうとさらに涼しさアップ。  そして帯は羅で。スケスケの帯なので涼感アップ!ですが、挟み込みの帯板の色が透けて見えることがあります。ベルトタイプのものを最初にしてから帯を結ぶ方式のほうが目立ちません。  挟み込み派の方にはたかはしきもの工房の「スケルトン帯板」という透明の帯板が活躍しますよ! ほんとに透明で、床に落とすと一瞬見失うほどです(視力大丈夫か)。大きめの穴がたくさん開いているのでムレもなく快適です。 https://ichiri-mall.jp/shop/g/g0279865000000/  あとは帯締めもレース組で。帯揚と半衿も麻にしました。平織りではなく適度なシボが、肌にはりつかず快適です。しかも麻は自分で洗えますから最強の夏着物です。  難点としては、肌当たりがちょっと固いことと、膨らんで見えること(爆)。1ミリでも細く見えたい身としては切実です。少し濃いめの色を選んだほうがスッキリ見えるかと思います。  仕上げは日傘と、涼しい顔の女優フェイス。間違っても夏着物のときには「暑いー死ぬー」などと扇子をパタパタしてはイケマセン。水分塩分補給をしながら「涼しい顔」を押し通すのです!  涼しげ~などと声をかけていただければ御の字です。着ている本人は涼しくなくても。。。夏着物は脱いだ時が一番「良かった!」と思える瞬間かもしれませんw  とはいえ保冷剤を持ったり、無理はしないなどこの暑さでは命優先で! 妄想で我慢するのもひとつかもです(えええ)。  まずは皆様健康で、夏を乗り切りましょう!

長3封筒を使って足袋を収納☆の巻

星わにこ
2018/07/18 00:00
 酷暑という言葉がピッタリのうだるような毎日。西日本豪雨の被害の甚大さと後片付けの過酷さを思うと言葉を失います。それどころではないかもしれませんが、もし水に浸かってしまって諦めきれない着物があったら、無料で洗いやお直し相談をされている呉服屋さんや団体もあります。遠慮せずにたくさんの手を借りて乗り切ってください! 命大事に、一刻も早い復旧を祈っております。  そんな折、ちょっと呑気な記事かもしれませんが‥‥。春に自宅と仕事場のダブル引越しをして、モノが積み重ねられたところで生活していた私ですが、やっと少しずつ片付ける気力が湧いてきました。  なにが問題だったかというとやはり「モノが多いこと」。モノが多いとどれが要不要かの判断もつかなくなるし、とにかく動けなくなってしまうのですよね‥‥。思い切って捨て始めてから、ちょっと動けるようになってきました。  着物も随分思い切って処分したのですが、まだまだ‥‥。減ったと思うと頂き物が舞い込んだりして、なぜ減らないの! です。もう自分では無理とあきらめ、またお片づけのプロに助けてもらおうと画策中です。  さてそんな私ですが、できることはちょっとでもやろうと小物類の片づけに手をつけました。私の場合、特に着物を着た時にアワアワするのが足袋。引き出しから出て来る足袋、出て来る足袋、全部右足とかなんでこうなるの! 基本白足袋しか履かないのがまた余計混乱のもとです。  安い時に買い足したり、汚れてしまったり、なくしてしまったりして混迷を極めている足袋の引き出しをなんとかするべと立ち上がりました。  まずは消耗品と割り切ってダメージの大きいもの、相方が見つからないものは思い切って処分(一体かたっぽはどこにいってしまったのか‥‥嘆息)。残った足袋を漂白して丁寧に洗い直し。  石けんプラス漂白剤つけおきで足袋のカンタンお手入れの巻  http://ichirimall.ldblog.jp/archives/49430357.html  真夏の日差しで一瞬で乾くのは、唯一ありがたい点です‥‥。さて、次はどうやってペアをはぐれさせないで収納するか、ですが‥‥。  ネットなどで調べてみると、1足づつ交互にしたり、印をつけたり‥‥とありましたが、実は私の足は外反母趾の幅広な上にむくみ体質という可哀想な象足でして‥‥ストレッチ足袋と幅広の足袋しか履けないのです。ストレッチ足袋って、ふにゃふにゃしてて、ブロードの足袋みたいにピシッと立たないんですよね~(哀)。よそいきの足袋とは別に、普段履きの足袋をなんとかしたい‥‥。  いろいろ考えた末、足袋カバーが紙で巻いて1足をまとめてあるのを参考に、洋3封筒(A4が三つ折りにして入るサイズ)を3つに輪切りにして、そこに足袋を入れてみました。お、なんかいいかんじ!  私は空いていた木箱に入れましたが、これは靴や草履の箱と大体同じ大きさです。空き箱を利用してもいいですね。  ついでにラベリングもして、使ったら戻すように。洗濯をしてもその封筒の輪っかに戻すだけなので、迷子がなくなりました。指定席を作ったことで買い替えのタイミングもわかりやすくなりそう。 (ちなみにストレッチ足袋にLとMが混在しているのは、めちゃむくんだときはLしか履けないからなんです‥‥どんだけ足がむくむねん!)  もし、白足袋ばかりで左右が迷子になっちゃう!という方がいらしたら、試してみて下さいね。もっといい方法あるで!という方がいらしたら、ぜひ教えて下さい!(他力本願か)  いずれにせよ、数を絞って管理することの大切さを痛感中のわにこでした。

スカーフを夏の帯揚に☆の巻

星わにこ
2018/07/11 00:00
 あっという間に梅雨が明け,東京は連日猛暑が続いております。暑い! 熱中症にならないように気をつけて水分補給しているつもりでも、足りないのか? 体調を崩しがちで年齢をひしひしと感じております。  さてさて、実は私、夏の絽の帯揚を結ぶのがちょっとニガテです。薄くて平らなので、形が決めるのが難しい! 結び目をキリっと平らにキープするのもサイドをシワシワにならなようにするのも、ボリュームがないので毎回うーむ。。。と唸っております。  麻の帯揚はわりとよいのですが、きついシワもつきやすい。こんなとき、テクニックいらずのちりめんの帯揚が恋しい! しかしふっくらした生地は暑苦しい!   そんなとき、100均のお店を覗いたら麻っぽい素材の長方形のスカーフが売っていました。好みの色と模様で「もしかしたらコレ帯揚にできるかも!?」とゲット。大きさは約30センチ×120センチ弱。  早速帯揚にしてみるとこれがなかなかポイントになってグッド! 何人かの方に帯揚素敵ね、って声をかけられたので思わずコレ、100均のスカーフなんですよ!っていいふらしてしまいました(笑)  もちろん普通に結ぶには長さが少し足りないので、結ばない方式で。 >たかはし女将直伝☆結ばない帯揚でキレイな結び目を作る方法の巻  帯揚の標準寸法は30センチ×160センチですが、帯揚を結ばない方式だと長いなと感じていたので120~130センチで十分。細身の人だともっと短くてもいいし、多少の前後はあるかと思いますが、目安にしてみてください。  少し透け感のある夏の長方形スカーフは、サイズがあえば帯揚にもなります。先日は逆に帯揚をスカーフにしている人を見かけましたよ~。  スカーフでなくても、そのサイズの布だったらいろいろなものを試してみて。カジュアルシーンだったら、質感や見た目で使ってしまっていいと思います。  絽の反物のはぎれも長さがあれば使えます。ただ、ちょっと幅があるのでその分厚みが出て、暑いなと感じることも。逆にいうと、綺麗には整えやすい利点も。    夏の帯揚は実は冒険しどころかも。小さな面積ですが、ハッと目にとまりやすく、自分からもよく見えるので好きな色柄を使うとテンションもアップします。  この夏、自分だけの帯揚探しをしてみませんか。

衣紋がキレイに抜ける着方☆3つのポイント、プラス1の巻

星わにこ
2018/06/27 00:00
 着付をはじめたころ、一番の悩みは衣紋が詰まってしまうことでした。  抜き過ぎたくはないけど、詰まってしまうとカッコ悪い衣紋。シュっと形よく抜いて着たくて、着始めはかなり抜いているくらいのつもりなのに、着上がってみると、すでに詰まってしまっているのはこれいかに!  衣紋抜きをつけて、一生懸命引っ張っても、すぐ元に戻ってしまう。ドウシテー!! と思っておりました。  今なら原因はこんなことかなと思い当たります。 ・補整をしていないので、長襦袢や長着に余計なシワが入り、布が動いてそこから崩れる ・パパっと羽織ったり、焦って着ているので布目が泳いで落ち着かず、衣紋が動いてしまう ・長襦袢、長着ともに衿をあわせる時に、前に引っ張っている この3点を解消していけば、衣紋はずれにくいはず。  最初に、ウエストのくびれや胸を押さえるなどの補整をすること。これはどれだけきちっと着たいかにもよりますが、最低限腰にタオルを1枚まく、和装ブラなどで胸を押さえるというのはしたいところ。やはり補整がきちんとできていると、その先着るのがめちゃラクになります。  次に気をつけるのは、焦って羽織ったりしないこと。そろりと羽織って丁寧に着るのがポイントです。  ちゃちゃっとやってしまいたくなったり、焦るときもありますが、急がば回れの言葉通り、ゆっくりめに手を動かしていく。布を重ねる時は、空気を抜きながらあわせていくと、あとからズレにくいです。そして布目を整えて体にあてていきましょう。  最後に長襦袢の衿をあわせるときは、抜いた衣紋が戻らないように真横にひきながら、胸を包むようにあわせます。ここで前にひいてしまったり、あわせが浅いと、布地が泳いで襟元の崩れに繋がるのです。  長着も同様に、シワをとって手をゆっくり動かして着ます。  そして、ここからが重要なプラスワン。  長着の腰紐を結んで、おはしょりと襟元を整えた段階で、長襦袢の襟元はちょっと浮いているはずです。なぜなら長着を羽織るとその重さで長襦袢の衿が押されて緩むから。  なのでこの段階で長襦袢の襟元の浮きを押さえておくことが、その後の襟元の崩れと衣紋が詰まることの防止にとっても重要になってきます。長着をはしょって、長襦袢の背中側を引いて浮きを押さえます。  その際も、衣紋抜きがついているからと、衣紋抜きだけをぐいぐい引っ張ったりしないで、じわっと、衣紋抜きを引く(もしくは背縫いを引く)。次に背縫いの両脇10センチくらいのところを持ってじわっと空気を抜くように引いて、全体を後ろに引き下げてください。  そうすると、衣紋が抜けて、前の衿の浮きが収まるはずです。それでもまだ少し浮いていたら、前の衿先を持ってじわっと少しづつ引いてみて下さい。  ここでグイ!と引っ張ってしまうと、左右ずれてしまったり、崩れてしまったりしますので、あくまでもじんわりとすることがポイントです。  それから伊達締めや胸紐で襟元を押さえて帯を結べば、襟元の崩れは断然減りますよ~! とにかくパパっと着ないこと、布目を整えながら着ること。  衣紋がどうしても詰まって来ちゃう、というときには、上記の3点とプラスワンをお試しください。着姿がかわりますよー。浴衣も同様です。すっきりと衣紋を抜いて、素敵な夏の着物姿を楽しんで下さい!

夏の洗える着物が進化してるゾ☆の巻

星わにこ
2018/06/20 00:00
 梅雨寒の日が続き、着物も洗える着物の出番が多い今日このごろです。着心地は正絹が抜群によいのですが、歩く距離が長かったりするとついつい洗える着物に手が伸びます。  普段着だったらもう、浴衣にうそつき衿で着物風に着てしまったり。最近の浴衣はぱっと見着物と区別のつかないような柄ゆきのものも増えていて、素材も綿以外のものなど、浴衣ですというと驚かれるものも。あまりこだわらずにどんどん気温や天気にあわせて着ています。  最近愛用しているのが、竹繊維のものやセオアルファなどのポリエステル素材。レーヨンやポリエステル素材のものは以前に比べると格段に進化していて、「夏用」と言われるものは特に涼しくなってきている気がします。綿麻や麻よりも落ち感がよくて愛用しています。  なにより、いいなと思っているのはシワになりにくいこと。天然の素材に比べて多少手荒に扱ってもヘイキな気がしています(当社比)。そして洗うと乾きが早い&ノーアイロンでオッケー。これが本当にラクチンなんです。昨年購入したいち利オリジナルの洗える夏着物も昨年はヘビロテでした。  丁寧に手入れしたり、ゆったりした時間を持つのも着物の魅力のひとつではありますが、そればかりだと面倒になっちゃって手が伸びなくなるということもあります。着たいときにサっと気負わず着られるものがあるというのは有難いですね。それが私にとってはポリ&うそつき衿でしょうか。  しかも、麻や綿のものよりちょっとだけよそゆき顔なのも気に入っています。色柄も鮮やかでキレイなものが多いですね。逆に、もうちょっと落ち着いたものが増えてもいいかな~と思ったりしています。  むかーし買ったポリ着物などはやっぱり着てみるとゴワゴワ落ち着かなかったり暑かったりするので、もしそんな経験をして「ポリや合繊はだめ!」と思っていらっしゃる方がいらっしゃったら、新しい素材のものにぜひトライしてみていただきたいなと思います。進化してますよ!  肌着もおなじく、夏涼しい素材のものもたくさん出ています。綿は着心地はいいのですが、汗で濡れてしまうとそのままで、かえって体が冷えてしまったり着物に汗ジミを作ってしまうことも。速乾性のあるポリエステルの肌着のほうが、着心地も機能性もよかったりします。  このあたりは、本当にお好みなのでどちらを選ぶかはそれぞれだと思いますが、どちらが絶対いいというわけではなく、それぞれの長所短所を把握して自分で選べばよいのではないでしょうか。  私も、気分やTPOで使い分けをしています。選択肢をたくさん持っておくのは悪いことではないと思います。逆に、自分はこれ、と決めてしまってそれでシンプルに着るのもアリ。  でも、気がつくと進化してグンっとラクになったり便利になったりしているものもあります。世の中だけじゃなく、一見変わらないように見える着物も同じこと。いろんな素材を面白がってトライしてみるのもいいものですよ!

着物を着る回数をこなすと見えてくること☆巻

星わにこ
2018/06/13 00:00
 東京は梅雨入り、雨の日と天気の日の気温差と低気圧に翻弄されているわにこです。  書類を整理していたら、8年くらい前に着物好きとして、新聞に取材された記事の切り抜きが出て来たんですが、その着姿を見てものすごいショックをうけたんです。  なにがって、衿は詰まってるのに広衿が開いてるわ、おはしょりはぶわぶわだわ、髪型もボサボサで、全体的になんじゃこりゃ! でも、当時は「自分は着物が着られる。エヘン!」くらいに思ってたし、着姿に問題があるとか思ったこともなかったんですよね。いやこれは、取材してくれた記者さんも着物を着る方だったのに、ちょっと手直ししてくれなかったものかと逆恨み(?)しそうになったり。  その頃は、いわゆる「着物警察」のおばさまに「ちょっとアナタ」と直されることもあったけど、そりゃ声もかけたくなるわなあ、と思ってしまう姿でありました(苦笑)。  思い返してみると、その頃は本当に自己流で、ちょっとだけ習ったりしたことはあるけどあとは本で独学。当時はyoutubeなんかで動画が見られる時代でもなかったし、だいたい毎回着付に2時間とか平気でかかっていました。  そもそも着る回数自体も少なかったですし、毎回悪戦苦闘というかんじでした。大体、着物で力を使い果たして、作り帯のお世話になることばかり。それでも「自分で着られる」と、いろんなところにお出かけしていたのは我ながら偉いなあと。  だって、下手だから着ない、と諦めてしまっていたら、そこで試合終了。下手でもなんでも着てでかけて、着崩れたりうまくいかなかったりもして、気をつけるようになったり、所作も身に付いたりしたことで、今があるわけですから。  いや、今があると言っても、まだまだ修行中なれど、人様に教えることも増え、着る時間も15分20分あれば着られるようになり。やはり着た回数に、着姿は比例するんだろうなと思います。  でも漫然と着ると、やはり上達はしないし、自分がそれでいいと思うと変わらない。常にこうしたらああしたらと、自分にあったやり方を探す人は、どんどん綺麗になる気がします。  回数をこなして、ある程度着られるようになってくると、達人の言っていることが理解できるようになってもきます。レベルに応じて理解力が上がるというか‥‥。なんでもそうかと思いますが。  同じ日に、久々に着付のDVDを見たら、以前は着る方法を追って見ていたのが、どうしてそこでそうするのかということや手さばきの大切さが初めて理解できた気がしました。先生のすごさも。  新聞に載っている自分が、その着姿に疑問を持たなかったように、とにかく順番を守って着るだけが精一杯のときは、その先に神経がいかないよなあ~としみじみ。  その人なりの着姿でいい。好みもあるし、みんな同じじゃつまらない。もっと綺麗に着たいとか、こんな風に着たいと思ったときには、教わったり研究したり、そして回数をこなして、所作も身に付けば着姿もこなれてくる。  あと、どんなに「これがいいわよ」と言われても、それのなにがいいか理解できるところまで自分がいっていなければ、馬の耳に念仏ですよね。おばちゃんになった今になって「ああ若い時もっと勉強すればよかった」と思うけど、若い時は遊びたかったみたいな(笑)。ちょっと違うか。  着物の着方の正解はひとそれぞれ。洋服と同じように構えずに自分がいいと思うように着られたらいいんだよな、と思います。  幸い、私の周りにはその着姿についてけなしたりする人もいなかったため、私も着物を着ることが嫌いにはなりませんでした。  とはいえなあ‥‥‥記事になってたくさんの人の目に触れる時はそれなりにちゃんとしたほうがいいし、知ってる人はちょっと直してあげるといいよね‥‥なんて、写真を見ながら思うわにこでした。

できたての和菓子でお抹茶をいただく贅沢☆巻

星わにこ
2018/05/30 00:00
西荻窪の一欅庵という昭和8年に建てられた登録有形文化財の素敵な建物で、「和のくらし展」というイベントがありました。  もう6年ほど続いている、素敵な出展者さんの着物や和のモノコトに触れられる素敵なイベントです。折りにふれてはお邪魔しているのですが、このところばたばたで2年ほどご無沙汰していました。久々に伺う一欅庵は、門の脇に立つ大ケヤキも懐かしく、中に入るとふうわりと迎えてくれるような優しい雰囲気に満ちていて、思わずただいまーと言いそうになりました。  この建物は、宮大工さんによる素晴らしい細工がここかしこに残っていて、とても凝った作りになっています。お庭も緑に溢れていて、今は作られていない板ガラスの建具に色が揺らいで映って、本当に美しい空間です。  そんな建物の一角にお茶室があり、今回はそこで催された「歌舞伎茶会」に参加してきました。和三盆恵菓さんが和菓子を目の前で作ってくださるのをいただき、それを鳴海彩詠さんのお点前でお抹茶でいただくという贅沢な茶会。和三盆恵菓さんが松本幸四郎さん襲名の記念の和菓子にあうコーヒー「煎」にあう「勧進帳」の世界を映す和菓子コンテストの受賞作「瀧の水」を作り、できたてをいただきます。  鳴るは滝の水、鳴るは滝の水、日は照るとも絶えずとうたり‥‥義経を逃がすため、富樫の前で弁慶が「延年の舞」を舞う場面に因んだもの。  美しい手さばきでスッスッと色の違う餡があわせられ、包まれ、形づくられ‥‥‥あっという間に美しい、舞扇を模した紅白の練切が出来上がります。  餡の材料や、どうしてその形に作るのかなど、説明しながらよどみなく動く職人さんの手。無駄が一切なくて素晴らしいの一言。それはそれは美しくて、さながらお点前を拝見しているよう。見惚れてしまいました。製糖会社で和三盆作りに携わり、その後和菓子職人への道に飛び込んだ和三盆恵菓のご主人、頼富さん。虎屋で10年修行され、越谷でお店を構えられました。昨年オープンしたばかりですが、贅沢に和三盆を使ったとびっきりの和菓子で今注目を集めています!  できたてで水分が飛んでいない練切は、やわらかくほどけてなんとも言えない美味しさ。そして優しく、でも豊かな風味。こんな美味しい練切を食べたことがあるだろうか? いやない!と断言しちゃうほどの美味しさでした。  お干菓子の和三盆も、えっ?というほど優しく口の中でほどけていきます。こんな食感初めてかも。  お茶は茶箱でのお点前で、あえて白拍子のような髪型の彩詠さんが「舞の白」というこれまた舞に因んだ名のお薄を点ててくださいました。ほうっと口の中に広がる風味がたまりません。  お道具立ても素敵で、茶室の開け放った窓から入る心地好い緑の風とともに、ザアッと弁慶の舞のシーンが浮かぶような。逃げてー義経逃げちゃってー!そしてこの後六方飛びだな~なんて想像して、ちょっとワクワク。  本当に贅沢で、素敵なひとときでした。 私も、「瀧の水」というお題にあわせて、帯まわりは瀧をイメージしたコーデで。こういうところは本当に自己満足の世界なのですが、参加する楽しみのひとつ。他のお客様のお着物コーデを拝見するのもこれまた楽しみなのですよね~。  あまり時間がなくてゆっくりできなかったのが残念でしたが、また秋にもイベントがあるそうなので参加したいな~と思っております。  個人的なことですが、この2、3年、なんだかいろいろありすぎて、お茶をゆっくり楽しむなんて余裕も忘れていた気がします。引越しも一段落してちょっと心に余裕ができてきたのかも? なんて、懐かしい場所と変わらぬ笑顔に会えて、リラックスできた週末でした。  一欅庵は、イベント開催時は中に入って見学することもできます。今週末は西荻窪のチャサンポーというイベントで開放されていますよ。本当に素敵な場所なので、教えたくないくらい(ええ~)ですが、機会がありましたらぜひ足を運んでみてください! >一欅庵和のくらし展 >一欅庵

憧れの白大島の単衣で初夏の妄想コーデ巻

星わにこ
2018/05/23 00:00
 もう5月から単衣でいいよねーと言いつつ、気温が上がったり下がったりでまだまだ袷も仕舞いきれない今日このごろ。この時期よく袖を通すのが大島紬です。ツルリと滑るような光沢のある南の織物は、触ると少しひやりとして、少し暑い日にも涼感を呼んでくれます。  単衣といえば憧れなのが白大島。大島紬には大きく分けて4種類の染色方法があります。 藍大島:藍染めの糸で織られたもの 泥大島:テーチ木泥染で染めた黒い糸で織られたもの 色大島:染料で様々な色に染めた糸で織られたもの 白大島:白い糸に絣模様を入れて織られたもの  大島紬と聞いてぱっと思い浮かべるのは泥大島かもしれません。独特の艶のある黒さが美しい。それに対して、白い地色に淡く華やかな模様が織り出されている白大島は、これまた独特の光沢と張りがありとても美しいもの。さわやかで、単衣に理想的ではないでしょうか。  色が薄いだけに、普段着とはいかないところがまた今日はお洒落するぞ!という日にピッタリ。日傘をさして、おすましして出かけたくなるような着物です。  今回の妄想コーデは美術品のように精緻な織で有名な「都喜ヱ門」の白大島を選んでみました。なにしろゴージャス感漂う着物ですから、洒落袋帯でどーんと重厚感漂うパーティコーデもできますが、今回はあえてさらりと、マチネの観劇に行くようなイメージで軽めのワンピース風コーデを目指してみました。 http://bit.ly/2khShxM  帯はさわやかな色あいの米沢の八寸で、緯糸に和紙を織り込んだざっくりとした地風で、単衣の季節にもピッタリです。帯締めはメノウの石を組み込んであり、帯留をしているようにも見えますね。  衿には青い小花のレース、帯揚もブルーでさわやかにまとめてみました。せっかく白大島で決めるので、小物も懲りたいところ。レースのハンカチや山葡萄の籠バッグ、日傘や扇子で夏を意識してみました。  ふう~こんなコーデが似合うようになりたいわ~。夏の着物は薄手なので思ったよりも体のラインが響きやすいです。冬の間に大事に貯めた脂肪を今のうちになんとかしなければ‥‥えっ、遅いですかっ!  さわやかな新緑の風を感じたい妄想コーデでした。

ひかりの茶会で見た「もてなし」と「しつらい」の茶の心の巻

星わにこ
2018/05/09 00:00
 GW明けは急に季節が巻き戻ったように寒くなってしまいましたね。ずっと仕事だったGWも終わり、ほっと一息のわにこです。  ゴールデンウイークは東京キモノショーというイベントにお仕事で入っていたのですが、私の楽しみは「ひかりの茶会」という、会場内で催されている星霜軒主催のお茶会に参加すること。  イベントが始まってから3年目、毎年違った趣向でお茶の新しい可能性を見せてくださる素晴らしいお茶会なのですが、かしこまらず、押し付けがましくなく、アートな空間装置、はっとするような美しいお道具としつらいと、美味しいお菓子とお茶を楽しめるのです。  お茶の世界は、決まりがうるさいし知識がないからと敬遠する方が多いですが、そんなことは気にすることなく、ひたすらに美しい空間と、お茶を楽しめる場。毎回、しかも毎日書も花もお点前もお菓子もお茶も変わり、そのときの出会いを大切にする、一期一会とはこういうことかと感動し、行ける日は時間を見つけて通わせていただきました。  今年は、錆和紙のアートや銀色の球体が浮かぶエントランスをくぐり、青い光の待合で時間を過ごしたあと、宇宙ステーションを思わせる円形のトラス構造に、美しい宇宙の色を思わせる絞りの反物が45反かかっている中に設えられたお茶席に案内されました。  毎日テーマが変わるのですが、私が特に感動したのは3日目の「星」のお席。自分の名前が星だから、というわけではなくです(笑)。  茶箱から、大切な思い出の品を取り出すようにお道具が取り出され、お点前がはじまる。BGMはラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」。お茶でBGMがかかるなんて、新鮮ですが、よりドラマチックにお茶の世界に入って行けるような気持ちがしました。  美しい銀河のような主菓子をいただき、お茶をいただきながら、松浦ひかり先生、吉森宗浩先生のお話に耳を傾ける。わかりやすく、やさしく、お茶の世界に誘われます。 「星」の席のテーマは、亡き人に想いを馳せる。星になった人と今を生きる人が宇宙に浮かぶ野点の席で出会う‥‥。星霜軒の名の由来ともなった吉森先生の宇宙物理学者のお父様や、亡きお母様にお茶を点てお供えし続けたという日々椀のお話を伺いなら、私も、今は亡き大切な人や猫たちを思い出していました。  それぞれの、大切な人を思い出し、お茶をいただく。それはまるで、あの世もこの世も関係なくまるで亡くなった人がニコニコ同席してくれているような。今いるこの空間が、この世ではないようなそんな感覚を覚えました。  辛い思いや、悲しい想いもあるけれど、茶箱にはたくさんのものは詰め込めません。大切で、楽しくて、美しかった思い出だけ詰めこんで、ときどき取り出して、語らって、また仕舞って‥‥。  そんな風にできたらと思ったら、ぽろりと涙がこぼれました。年ですかねー。 そして私も、いずれは星になり、この肉体から解き放たれて自由になれる。誰かが思い出してくれたときは、ニコニコの笑顔を思い出してくれるように‥‥生きていきたいなあと思いました。  お茶のお稽古をしていると、うまくできたとか手順が守れたとかそんなことばかり気にしてしまう自分がいますが、それは修練を積むしかなく、そこよりも、もてなしの心を持つことのほうが本意なのだなと改めて思う、素晴らしいホスピタリティ溢れるお茶会でした。  他の日も、テーマにそったBGMとお点前のコラボが素晴らしく、特に2日目のボレロの勇壮なメロディが流れる中、5人の男性がシンクロしてお点前をするという超絶カッコイイお茶席、残念ながら入れなかったのですが目撃した皆さんから興奮気味の報告を伺いました!見たかった!  最終日はTime to say goodbyeを聞きながら、8人でのお点前、またお客様から2人入って総勢10人で盆略点前を見せていただき、一期一会、別れと旅立ちを想い‥‥。本当に素晴らしいお茶会に参加できて、感謝の気持ちで一杯です。星霜軒では月釜も開催していらっしゃるので、いつか参加してみたいと思っております。  お茶はおもてなしとしつらいの総合芸術だということ、守るべきものと時代にあわせて変わっていくものがなければ、どんなに素晴らしいものでも続いて行くことはないということ。ただ、遊べばいいということでもなく、基本を踏まえたうえで自由に羽ばたく凄さを思い知った気がしました。  東京キモノショーでは本当にいろんな着こなしのトルソーとそしてお客様がいらして、着物に関しても、そんなことを思ったりしたのでした。いろんな好み、いろんな方向を見たり触れたりすることで自分の好みもまた化学変化を起こして、変わったり、戻ったり。それもまた楽しいものです。こうでなくてはならない、ということはない。そして、他を否定することはしたくない。という思いを新たにした5日間でした。 星霜軒

ゴールデンウィークは単衣でおでかけ!の巻

星わにこ
2018/05/02 00:00
 ゴールデンウイーク中、皆様はどんなご予定でしょうか? 平成最後の1年に突入したと思うと、1日1日を大切にしないと、とか、なんにもしてないなーという焦りとか、はわはわした気持ちになったりもして。  旅行やおでかけに、着物ででかけたい!と思うけど、東京はもう真夏日が続いております。24度超えたら単衣、というのをひとつの目安にしているのですが、もう4月から単衣まくりです。真夏日には単衣だって暑いくらいですよね。私は少しでも涼しく着られるよう、うそつきを使っています。 ●着物でうそつき!? 簡単便利なインナーの巻  着物は身八つ口(袖の付け根)が開いているし、着てしまえば意外とそんなに暑くもないものです。建物や乗り物の中は空調も効いているので、大丈夫。逆に、暑いからと肌着等を省きすぎると、汗が直接着物にいってしまうので、汗とりは必須になります。  その辺のバランスを差し引きしながら、天気予報と相談。最近は突然の雨などもあるので、ちょっと怪しいなと言うときは、薄いコートと晴雨兼用の傘を持っていきます。  このところ、毎年ゴールデンウイークにはきものイベントに参加しているのですが、今年は日本橋で今日から始まる「東京キモノショー」。アイコンにもなっている、宇山あゆみさんの人形が今年は中原淳一の世界とコラボ。めちゃくちゃ可愛いです。  そして私がなんといっても楽しみにしているのはキモノスタイル200という、マネキンでの着物展示です。着物は、やはり着るものです。実際にマネキンが着ているコーディネートを見るのはとても楽しいもの。反物や平面で見るのと違って、生きている着物と会話ができるような気がするのは私だけでしょうか。  会場に並ぶたくさんの着物や帯とおしゃべりしながら(心の中でです、心の中で(笑))ぶらぶら歩くだけでもとっても楽しいんですよ。バラエティに飛んだコーデの中からきっと好みのものが見つかるはず。また、え~っ!こんなのもあるんだ!という驚きも隠れているはずです。  毎年趣向を凝らしたお席が楽しみな、ひかりの茶会もあります。お茶は堅苦しい、敷居が高いと思っている方も、一度体験してみていただきたい素敵な世界です。今年はステージが中心ということで、それも楽しみですね。ファンションショー、アート展示やワークショップも充実しています。黒留ナイトもありますよ。東京キモノショーのすごいなと思うところは、伝統から最先端まで、いろんな着物のスタイルが一気に体験できるところかなと思っております。  私自身も着物を着るようになって本当に決まりを守って、白衿白足袋ばかりで着ていた着物。でもそれ以外の素敵でカッコいい着こなしやスタイルに触れて、これもいいんだ、あれもいいんだと目からウロコがいっぱい落ちて、楽しみ方が広がりました。  着物は興味があるけど、決まり事がいっぱいありすぎて、ちょっと‥‥という方にもぜひ見ていただきたいイベントです。  私も相変わらず、好きなので白衿白足袋が中心だけど‥‥。それしか知らないのと、たくさんある中からそれを選んでいるのでは、違うと思います。絶対そうでなくてはならない!という思い込みが外れると一気に世界が広がりますよ~! 私も会場でウロウロしているので、見かけたら声をかけてくださいね!  ゴールデンウイーク、着物に関連したイベントや場所はもちろん、着物はこうでなくてはいけない、こういうこところにしか着て行けない、というそんな思い込みも外して、いろんなところにおでかけしてみてはいかがでしょうか。

えり芯の収納☆空き缶を使うと便利でしたの巻

星わにこ
2018/04/25 00:00
 4月からいきなり真夏日になったかと思うと肌寒かったり、本当になにを着ようか迷ってしまいますね。なんかオールシーズン着られる衣服内温度調節付きの着物インナーとか開発されないかしらとか思ってしまうわにこです。  皆様えり芯の収納はどうされていますか? つい引き出しの中に結構ずさんに放り込んでおいて、折れてしまったりペコペコさせてしまったりしていませんか? え、私だけですか?  えり芯はまるめておくと、折れずに綺麗に収納しておけます。  以前は輪ゴムや髪ゴムで留めたりしていたのですが、輪ゴムは頼りない時もあったり、いい加減な私はゴムをどこかにやってしまうことも多く、着物クリップで留めておく方法に落ち着いていました。でもやっぱり、クリップが手近になかったり(どんだけモノの管理が苦手なんだか)。  クリップ留め形式は、持ち歩きにもとっても便利で気に入っているのですが、引き出しに入れると横になってしまったり、なんか納得いかない形が気になっていました。そこでキモトモに「丸いカンに入れるといい」と聞いて試してみましたよー!  おおー!これはスッキリでステキ。すっぽり入ってしまうと取り出しにくかったりするので、ちょっと浅めのカンに入れてみました。  予備のものや固さの違うものもスッキリ一緒にしまっておけるので便利!  大体直径8センチ前後のものが扱いやすそうです。あまり太くてもジャマですし、細くてもプラ芯だとクセがきつくつきすぎてしまいます。  使い終わったガムテープの芯とかデコって使ってもいいかもしれません。ペットボトルを輪切りにしたりしてもよいかもかも。  これでベコベコの衿芯にはおさらば! 引き出しの中もスッキリ! ですね\(^O^)/

伊勢木綿でさわやか初夏コーデの巻

星わにこ
2018/04/18 00:00
 気温がぐんと上がったり下がったり、着物のおでかけに頭を抱える晩春ですね。桜がとても早く咲いたかと思ったら、一気に初夏の花まで咲いてしまい、いつもゴールデンウイークに楽しむ藤を見ながら、駆け足の季節に驚いています。  こうなるともう、単衣で過ごしたい。暑いと予報が出るとうそつき衿と、薄手のウールや木綿などの単衣に出動してもらっています。  でも急に気温が下がることもあるので、日焼け止め兼のアームカバーと大判ショールは手放せません。  暑ければ暑いで、寒ければ寒いで、悩んでばかりですね(笑)。でもこの四季の移ろいがあるから、日本は美しい。ボケないで済むかも?なんて思ったり。  木綿の着物はあまり持っていないので、こういう時期に活躍してくれそうな伊勢木綿で、最高気温が23度を超える日コーデを妄想してみました。  伊勢木綿は、もう織元が1軒しか残っていませんが、昔ながらの格子柄が大人カワイイチェックのワンピのようでとっても可愛いのです。肩掛けカバンやピクニックバスケットを持っておでかけしたくなってしまいますね。  八寸の帯に可愛い帯留をつけて、藤やツツジをみながらお散歩したいコーデです。  さわやかな初夏の風を感じながら、木綿の着物でおでかけしましょう!(妄想)

卒入学式の着物とおばあちゃんの黒羽織☆の巻

星わにこ
2018/04/11 00:00
 この春は、子供の卒業式&入学式。そしてその間に自宅と仕事場の引越しをするという超ハードスケジュールでした。どうなることかと思いましたが、なんとか荷物だけは運び、ダンボールの中で生活しています。  そして子供の卒業式&入学式、いろいろバタバタになってはしまいましたが、両方とも子供たちの成長に感無量でした。  最近は担任の先生だけでなく、卒業生の袴での出席も増えているようで、いろいろ物議にもなったりしていますが、私は華美に装うという視点ではなく、本来の「礼装」という意味を考えてほしいなと思っています。袴も振袖も、本来は華美なもの、お金がかかるだけのものではなく、「礼装」としての意味が大事なのではないでしょうか。  でも今回は主役の着物のお話ではなく、保護者のことを書きたいと思います。  式には両方とも着物で出席。卒業式はお天気が怪しかったため、洗える付け下げに黒羽織で。小学校の卒業式は袴の子もちらほらいて、とても可愛かったです。担任の先生も、女性は袴姿でした。本当にキリっとしていて素敵でした!  一方保護者の着物姿は6年前の入学式に引き続きぼっち。さぞかし目立ってしまった!?と思いきや、袴の女の子のお母さんが「ちょっと袴が落ちて来ちゃったから直してもらおうと思ったのに、見つからなかった!着物でいた?」と言われるくらい、黒羽織を着てしまうと着物でも目立たないようです(笑)  母がよく黒羽織のことを「ぼろかくし」と言っていましたが、下がどんな着物でも、一つ紋付きの黒羽織を羽織るだけで改まった装いになり、かつ浮き難いのかもしれません。  昭和40~50年代は黒羽織が大流行し、学校の式でのお母さんの服装といえば、着物に黒羽織姿でした。私の母も学校行事で黒羽織を着ている写真が残っています。  私の黒羽織は、その母の黒羽織を仕立て直したもの。母は大叔母の紋付の着物を黒羽織に仕立て直したと言っていたので、むかしむかしの絹なのです。羽織るととろんと体に添って、本当に気持ちがよいのです。  そのリメイク顛末は以前コラムにも書きましたが、母との身長差もあったため、裄に生地を足したり、いろいろして仕立て直したものなのです。 >母の黒羽織をリメイクしてみましたの巻  中学校の入学式は色無地に黒羽織でした。こちらはもう1人訪問着姿の方がいました! 地域や学校にもよるかとは思いますが、もうちょっと着物姿が増えてもいいのになー!  スーツも同じかとは思いますが、着物はやはり日本人には格別の意味を持つ気がします。本当に気持ちも改まりますし、「礼装」という言葉の意味が体感できる気がします。  それから、あとは経済的な面も。私も特にこのために着物を誂えるなんてことはもちろんなく、いい感じに恰幅がよくなってまいった(涙)にも関わらず、25年前に作ってもらった着物をずっと着ております。  25年前の洋服とかよっぽどでないと着られませんよね。そういう意味では、非常に長く着られて経済的と言えなくもない。そして、上に着ている黒羽織なんて、仕立て直しをしているとはいえ織られてから軽く60年は経っています。  そして黒羽織につけている羽織紐は、義母が黒羽織につけていたもの。私の母はもうこの世にはいませんし、義母も遠く離れて暮らしています。でも、こうして母の黒羽織と義母の羽織紐を身につけて、式に出席することで、なにか皆に守ってもらっているような、嬉しく身が引き締まるような気持ちに。  そして、いよいよ新生活の始まり。  なんだか怒濤の日々でしたが、入学式に着た着物を汗とばしにかけておいたのを、畳んで畳紙におさめながら、少し落ち着いて足元を固めて、ゆったり生活していければいいなあ‥‥なんて。  この、なでながら畳んで、いろいろ想いながらする後片付けの時間も着物の特別な時間のような気がします。そしてあのときにこれを着たという記憶も、一緒に仕舞って‥‥。  さあ、また頑張ろう! と思うのでした。

肩幅が狭く見える!ほっそり着付のコツ☆の巻

星わにこ
2018/04/04 00:00
 まだ4月上旬だというのに、もうすっかり初夏のような陽気で、着物も何をきたらいいか迷ってしまう今日このごろ。単衣の登場時期が年々早くなっているわにこです。  さて、よく「着物体型」という言葉を耳にしたことはありませんか? なで肩で、胸は控えめ(笑)、ずん胴で‥‥というイメージです。こけしちゃんみたいな体型だと、体が筒状なので、立体裁断・縫製ではない平らな布である着物がきれいに着られるというわけです。  だから、体の凹凸に補整を入れると綺麗に着物が着られる‥‥というわけですが、着物用のブラジャーやウエスト・ヒップの補整は販売されているけれど、なで肩にする方法はない‥‥と諦めていませんか?  着方のコツで、かなりこの肩問題が解決するんです。しかもほっそり見えます!   美容家のIKKOさんの着物姿の肩、するりと滑り落ちるような美しいなで肩のラインですよね。でもIKKOさんの洋服姿を見るとしっかりと肩幅があります。それを着付で美しいラインに見せているんです。  その着付のコツとは、首から衿を離すこと。あとは衿を寝かせることです。そして半衿を多めに見せること。要するに、肩に乗っている着物の幅を狭くすることで、肩の幅が狭く見えるということです。  この衿を「離す」「寝かせる」ためには、結構衣紋を抜く必要があります。あまりやりすぎると品がなくなってしまうので、気をつけて。  そして半衿を見せる幅を広くすることで着物の肩幅が狭くなります。先日先輩から衣紋抜きの幅を広くとっているという話を伺いました。それもうまく衿を寝かせる一つの手ですね!  最近、テレビでドラマや芸能人の着物姿を見ると、肩が張っている人が多いなあ~頭が小さいからかな? すごく肩幅が広く見えるな~などと思っていましたが、それは実はピッチリと襟元をあわせすぎている、着付のせいだったのだと気がつきました。振袖は伊達衿を入れたりするので、同じ着付でもこの着物の衿のラインが首から離れるため、そんなに気になったりしないのですが、同じセオリーで着付けると肩幅が広く見えてしまうんですね。  もし、肩幅が広いから‥‥とお悩みの肩、いえ方がいらしたらぜひこの「衿を首から離す」着方をお試し下さい。肩幅だけでなく、ふくよかさんにもほっそり見えて嬉しいワザですよ~。あともう一つ。姿勢だけでも随分変わります。肩甲骨を寄せるイメージで、肩を後ろに落として下さい。  着付+姿勢で、めざせ!ホッソリ肩! ですです。

お引っ越しに収納に☆風呂敷包みの基本とコツの巻

星わにこ
2018/03/30 00:00
 そんな中、自宅と仕事場をダブルで引っ越すことになっているわにこです。しかも時期もどんかぶり、リフォームも同時進行でもうしっちゃかめっちゃかであります。終わらない冬はない! 明けない夜はない! 終わらない仕事もない! とブツブツいいながら、今日も荷物と格闘しております。  自宅も仕事場も、運ぶ着物の量が半端ない! 自宅のほうは、引越し屋さんから1箱に10枚ほど入る専用ダンボール(あるんですね!)をもらい、たとう紙のままばんばんつめこんでいます。が、仕事場は徒歩2分の場所に越すというのもあって、自力で引っ越すことにしたものの、着物の運搬がなやましい‥‥と思っていたのですが、これが、風呂敷に包むとあら便利!! 着物や帯って結構重いのですが、ふろしき包みにするととても運びやすいのです。  ダンボールに入れるときも、こまごましたものを風呂敷につつんでから入れると、非常に整理しやすい。  ドロボウさんが唐草模様の風呂敷を背負っている絵を見たことがあると思いますが、たしかに持って入るときはかさ張らず、どんなものでもざっくりまとめて包んで運べる。凄腕のバッグ&パッキンググッズです。  子供が小さいとき、風呂敷の上で遊ばせて、遊び終わったらおもちゃをざっくり包んで片付けておいたりもしましたが、本当に「なにかをまとめて包んじゃう」そして「運ぶ」ことにおいて、風呂敷ほどフレキシブルなものもないのではないでしょうか。  先日は、お膳7客を隣駅に運ぶというミッションがあったのですが、風呂敷のおかげで無事包んで運ぶことができました。いろんなサイズの箱なども、きちんと包めばかなりうまくパッキングできます。段ボール箱だと「後少しで入らない!」とかいう場面でも、自在に対応できるところがすごいなと思います。  また収納時にも風呂敷は本当に便利。私は衣替えしてオフシーズンの着物や帯、衣類は風呂敷につつんで押入れボックスに入れたり、スチールラックに積んでおいたり。種類別に分けておけば、その包みを手に取ればそこから探すことができるんです。  着物を風呂敷に包んでおくときのコツは、空気をぬきながら、丁寧に包むこと。角と角をあわせるとき、間の布を遊ばせないできちんと中に寄せること。こうすることで持ち運びのときに、中で布が遊ばないのでシワになるのを防げます。  引越しのときだけではなく、旅行や収納のときにもこれをするだけできれいにしまえますので、ぜひピッチリ包み込むようにしてみてください。なんだかいろいろなテクニックを覚えたくなりますが、基本の「平包み」「お使い包み」「四つ結び」を覚えれば基本大丈夫!  結び目はタテ結びではなく真結びで!(帯揚と同じです!) 「平包み」は結ばないで包む。ゴロゴしないし、なにか他の容れ物にさらにいれるときにはこれでも。 「お使い包み」は一つの角だけ結ぶ。いわゆるお弁当結び。1つの対角線で十分に荷物を包めれば結ぶのは1カ所でオッケー。 「四つ結び」は2つの角を結ぶ。ゴロゴロはしますがこれが中身が一番安定します。引越し等荷物として運ぶときには安心。  そして、風呂敷は汚れたら洗えます。畳んでしまえば邪魔にもなりません。改めて風呂敷の力に開眼したわたくし。バッグにも風呂敷を1枚入れて歩くようになりました。  風呂敷を一度、見直してみませんか?

桜尽くしの妄想コーデ☆試着室が新しくなったゾの巻

星わにこ
2018/03/21 00:00
 東京はもう開花宣言! 平年より9日も早いのだそう。ほんと早い。早いですよね~。少しまた気温が下がって、満開はまだ先になりそうですけれど、なんだか気持ちばかりが焦ってしまうのは私だけでしょうか。年度末で引越しもあってめっちゃ忙しいのに花見とか(><)できない!!できないよ~(自業自得ですが‥‥)。  さて、毎月恒例の妄想コーデも今回は桜をテーマにしました。使いたいモチーフがはっきりしている時は右上の検索窓に、モチーフ名を入れて探してしまいます。 「桜」と入れると、さすが国花。着物と帯だけではなく、帯締め帯揚げ半衿、帯留や足袋、伊達締めなどの着付小物までずら~っと表示されました。全身ぜ~んぶ桜コーデもできちゃいますね。帯板や着付クリップまで桜モチーフでいけちゃいます!  気に入った着物、帯を選んで「チェックした商品を試着する」ボタンを押すと、試着室に入れます。あっ! 試着室が変わった! 以前は試着した姿をチェックするのに、前と後ろから見た様子は切り替えボタンでチェックしていましたよね。それが同時に表示されるようになって、あら便利。  特に帯は、後ろ姿がよく見たいですから、わざわざ切り替えなくても見られるとイメージがはっきりするので、より妄想も膨らみます(笑)。  ちなみに私は着物の模様がわかりやすいので、いつも背景「なし」にしています。  今回は夜桜見物をイメージして妄想してみました。 http://bit.ly/2HMMav4  桜だけれどモノトーンでもちょっとキッパリしたコーデにしてみました。半衿と帯締めでちょっとだけ桜色を効かせて。帯締めも桜の模様です。  改めていち利モール全体を見てみたら、スッキリと見やすくリニューアルされてます!(気付くの遅っ!) 担当さんに聞いてみると、「ふっふっふ、『お仕立て・加工をする』ボタンが増えたり、いろいろ他にも便利になったんですよ~」とのこと。試着室だけじゃなかった!  ログインパスワードを再設定しなおすと、500円チケットがもらえました。そしていろいろ70%オフ‥‥‥! あーいけないものを見てしまったかもー!!   ちょっと欲しい帯留があったんだよね‥‥えーと‥‥‥、桜さくらコーデでは飽き足らず、さらに妄想の旅に出てしまいそうです。誰か止めて~(笑)。

リサイクル着物について考えた。の巻

星わにこ
2018/03/14 00:00
 先週無事「きもチャリ」が終わりました。仲間とやっているチャリティ活動の中で、着物でチャリティを、と始まったイベントですが、たくさんのご寄付をいただいて、もう6年近く続けています。  箪笥の肥やしになっている着物を寄付していただいて、それをお買い上げいただいて、公益財団法人みちのく未来基金という震災孤児の進学をサポートする団体に寄付しています。  こちらのコラムでご縁をいただいた方からもご寄付やお買い上げを頂いて、今年は3日間のイベント全体で50万円以上の寄付をすることができました。一方会場等の都合もあり、今後毎年の継続は厳しい状況ですが、できることを続けて行けたらと考えています。心を寄せて下さった皆様、本当にありがとうございました。  チャリティにやってくる着物たちは、ただの不要品だとは私には思えません。自分の着物でもう着ないからいらないというものもありますが、大体はおばあさま、お母様、ご縁のある方の着物を、ただ捨てたり売ったりすることができなくて、使って下さいとおっしゃるものが多いです。中には高価だっただろうな~とため息がでるようなものも。  仕分けや陳列を皆でやりながら「どういうものだろうね」と話す時間も楽しいです。畳む作業をしながら、着物や帯と心の中で話したり(危ない人)。またこの畳むという作業もいいのですよね。スタッフで入ってくれた友人が「こうやって手でなでて、畳むから、着物って愛着が湧くのかもね」と言っていましたが、本当にその通りだなと思います。  スタッフではわからないことも多いので、今回は「きものカード」というものを作り、だいたいのサイズやどういうものなのかを書ける方には記入していただいたのですが、皆さんがそれを大事にされていて、でも着られないからどこかで役にたってくれればという想いで寄付してくださったのだと伝わるものが多く、メッセージに感動するものも。  着物は、ただのモノではなく、なにか心を動かすものがあるようです。また、お母様の手刺繍や染め、おばあさまの編んだビーズ半衿などを寄付していただいた方もあり、気持ちが暖かくなりました。  そして不思議なのが、それぞれの着物に、それが似合う人が迎えにきてくれるということです。いくらフレキシブルに着られるといっても、着物にもサイズはありますし、リサイクルではなかなかピッタリのものを求めるのは難しいもの。だからこそ、あっ!とご縁を感じたものはお迎えしてしまうんですよね(笑)。  はんなりなもの、粋なもの、個性的な着物や帯など、それぞれ似合う人がお買い上げになっていきます。その様子はちょっと感動ものです。「この帯はどんな人が似合うんだろう?」と思っていたら「私はこれ」と持っていた方。「あ!帯が呼んだかも」と思うくらいイメージピッタリで思わず唸ってしまいました。  すごく個性的な色や柄の着物も、ちゃんと似合う人が現れる。着物の「引き寄せ力」を感じます。とはいえ、やはりどうしても3日間で全てを販売することはできません。  残った着物は、環境活動や被災地支援などを行っている「環境まちづくりNPOエコメッセ」さんに寄付させていただいています。こちらでは店舗で販売したり、着物フェアをしたり、着物としては着られないものは素材として活用してくださっています。(こちらの受付は随時です)  もちろん、着物は自分で新しいものをお誂えするのが最高ですが、リサイクル着物との出会いも捨てがたいものがあります。でもどうやって選んだらいいか、お手入れはどうしたらいいか、などなど不安もあるかと思います。  そんなときは「初めてのリサイクル着物 選び方&お手入れお直し」(髙橋和江著)をお勧めしちゃいます。マンガも交えつつ、わかりやすい構成になっています。マンガとイラストは私が担当させていただきました(宣伝か!)。著者はきものをたのしくやさしくおもしろく、のたかはしきもの工房の女将です。お手入れや畳み方のハウツーもあって、QRコードを読むと動画も見られるんですよ。名古屋帯の畳み方など、本当に便利です。  なんか最後の方は宣伝になっちゃいましたけれども(笑)、着物は中古だからいらない、とばっさりできない何かがありますよね。またリーズナブルに手に入るのも魅力です。洋服などにリメイクするのもいいのですが、着物好きとしては、着物はなるべく着物として着てほしいな~と勝手な願いを持っています。  それにはやっぱりもっと、着られる人を増やさないとですよね。着付はハードルが高いと思われがちですが、そんなこともないんです。まずは和洋ミックスでもいいし、自己流でもいいので、身につけてくれる人が増えたらいいなあ~。羽織なんか、カーディガンがわりに着るとなかなかいいですよ。正絹のものは着心地もあったかさも最高です。  箪笥から飛び出して、次の持ち主のところにお嫁にいく着物たちを見ながら、いろいろと想いをめぐらせた3日間でした。

着物はめぐるよ☆「きもチャリ」今年も開催の巻

星わにこ
2018/03/09 00:00
 東京はやっと暖かくなってきたなあと思ったらまた厳しい寒さと雨。三寒四温とはよく言ったものですね。もうすぐ春ですね。  そして、東日本大震災から七年。もう七年という気も、まだ七年という気もしますが、まだまだ生活が立ち直っていない方もたくさんいらっしゃいます。クリエイター仲間で集まって「wasurenai」というチャリティイベントを毎年この時期に開催して、収益金を親を被災で亡くした子どもたちの奨学金にあてている「みちのくみらい基金」に寄付する活動を続けています。  できる範囲でできるだけ。それぞれ作品や得意な技を持ち寄って、チャリティということで、わたしは着物を寄付していただいて販売する着物のチャリティバザー、略して「きもチャリ」部門で活動しています。  昨年はコラムで寄付をお願いしたところ、全国からたくさんの寄付をお送りいただき、過去最高の売上でした。今年も、覚えていてくださって送ってくださった方もいらっしゃいます。きもチャリの開催を楽しみにしてくださっている方も増えて、ありがたい限りです。  今年も、30箱以上のダンボールが受付日に届き、嬉しい悲鳴が。着物好きの仲間が集まって、仕分けや値付けをし、陳列。これがなかなか大変な作業です。目利きというわけではありませんから、着物の状態をざっと見て1000円、3000円‥‥と仕分けていきます。だから、掘り出し物があるかもなんです。帯も500円、1000円から。すごくよいものでも、とってもお得な値段。  今年は「着物カード」というのを作って、どんな着物なのか、一言添えていただけるようお願いしました。サイズの他におばあさまのもの、お母様のもの、どこで買ったか、何に似合うか‥‥メモしていただきました。寄付してくださった方の思いが伝わって、じーんとする場面も。  ただの古着のようでも、着物ってなんだかそれだけじゃない。気持ちがこもっているような気がします。だから、こうやって着ない着物たちが箪笥から飛び出して、着る人や作る人の手にわたってまた活躍して、しかもそれが奨学金の支援になる。チャリティの開催は正直大変なこともいっぱいですが、毎年それが励みになって続けています。  着物は、そのままきてももちろんいいし、和洋ミックスにしたり、羽織なんかは洋服の上にカーディガンがわりに着ても可愛いですよ。正絹だから、軽いし暖かいです。 >チャリティその後☆箪笥から飛び出した着物たち  ここ3年会場になってきた昭和な家が、今年取り壊されることになり、このスタイルでの開催はこれが最後になります。今後どういう形になるかはわかりませんが、奨学金の寄付につながるチャリティは続けて行けたらよいなあと思っております。チャリティは、大きな負担になっては続かないので、細く長く。できるときにできるだけ。そしてなにより、関わる人が楽しいことが大事だと思います。 https://www.facebook.com/events/732091060329268/  3月9日(金)~11日(日)の開催です。このコラムがアップされるころ、ちょうど開催中です。  リサイクル品でもこれは!というものに出会ったら、お手入れして着るのも楽しいものですよ。いち利モールさんでもクリーニングはじめ、裄直しなど、いろいろな着物のお手入れメニューがあります。受け継いだ着物、出会った着物……楽しんでおしゃれに着てあげたら、着物たちも大喜びですよね。  3.11はみんなにとって忘れられない日で。それぞれの想いを抱えて過ごされると思います。もしなにか、自分が関われることがあったら、目をむけてみてみてもらえたら。  前を向いて歩き出すためにも。