
単?無双?半無双?長襦袢のお袖と季節の巻
星わにこ
2015/10/28
木枯らし1号も吹いて、冬の足音が聞こえてきましたね。本格的に袷の季節。朝はとても寒くても、日中暑くなったり。日差しが強くても、風が強くて寒かったり。着物も、羽織やコートもそうですが、合わせる襦袢や下着で上手く温度調節しつつ楽しみたいですね。
襦袢は、袷に単を合わせて体温調節したりするのもアリ。秋10月、春5月あたりは暑かったら襦袢は単、という組み合わせもします。11月に入ったら、胴の部分は単で袖が無双(袷)になっていて、裾の部分が引き返しになっている袖無双銅単衣の襦袢、真冬は袷‥‥と言われますが、温暖化が進み、暖房もしっかりしている今はすべて袷仕立ての襦袢は暖かすぎるため、着用される場面が減ってきています。
暑がりの方の中には1年中単の襦袢を愛用しているわという方も。でも、袖の部分は結構見えるので、普段着に着物を着ている人には、体温調節しやすく取り替えやすいうそつき襦袢にうそつき袖の愛用者も多いです。
わたしも最近はうそつき襦袢にうそつき袖をつけたりしているのですが、素材だけでなく、単、半無双、無双と仕立て方があり、いつからいつまでがどの仕立てなの? と分からなくなることも。
半無双は、お仕立てをするとあまり見かけないかもしれませんが、嘘つき袖にはよくあります。半無双とは、袖口と振りという、外側から見える部分だけを袷(二重)にした仕立て方。これだと、暑さも軽減できますし、布の分量も少なくてすみます。
長襦袢お仕立てのときは袷の季節の襦袢には胴単衣、袷に関わらず無双の袖が基本ですが、無双の袖は袖全体が二重になっているため布をたっぷり使うので長襦袢の用尺が足りなくなるなんてことも。そんなときに半無双にすることもあるそうです。
季節や、気温、またフォーマルかカジュアルかで使う場面が変わってきますが、半無双は気楽なので、つい袷の季節はずっと半無双の嘘つき袖を使ったりしています。
さらにカジュアルな普段着で、袖の長さが短かったり長かったりで長襦袢の袖の長さが合わない場合は、最終兵器筒袖を使うことも。ちょっとレースが着いてたりすると、見えても可愛いのですよね。
襦袢も、着物以上にコダワリはじめるとキリのない世界。お気に入りの襦袢を着ている日は、例え外から見えなくても気分がウキウキします。長襦袢、二部式襦袢、嘘つき襦袢‥‥‥。
見えないけれど、着物の土台として重要な襦袢。意外と効いてる振りの色。
お洒落ゴコロと季節と衣類としての実用面。それがせめぎあって、着ている人の美意識やスタンスが一番出るのが実は襦袢部分だったりするのかもしれません。
着物のベストシーズン、襦袢のお洒落も楽しみたいですね。

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正絹長襦袢(流水に桜/小桜地紋):ピンク×黄緑
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正絹長襦袢(竜巻絞り風):橙×茶
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小千谷本麻襦袢:クリーム【杉山織物】
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新ローズカラー(袖なし)_S~L【き楽っく】(Sサイズ)
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新ローズカラー(袖付き)_S~L【き楽っく】(Sサイズ)
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洗える夏長襦袢:藤色『爽竹』【東レ】
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紋紗襦袢シルック(市松):ピンク【東レ】
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紋紗襦袢シルック(市松):利休【東レ】
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洗える楊柳長襦袢(猫獣戯画):濃グレー【撫松庵】
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洗える楊柳長襦袢(椿):水色【撫松庵】
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洗える夏長襦袢(絞り風梅花):ブルーグレー『爽竹紅梅襦袢』【東レ】
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洗える夏長襦袢(向日葵):薄橙【撫松庵】
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洗える夏長襦袢(唐草):ベージュ『爽竹ストレッチ襦袢』【東レ】
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洗える長襦袢(市松に花/ぼかし):オーロラ『爽竹』【東レ】
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洗える夏長襦袢(広巾):緑『爽竹』【東レ】
変わりやすい天気に冷房対策に、大判のストールを☆の巻
星わにこ
2015/07/08
梅雨本番。毎日基本は雨だと思って過ごしていますが、気温低めとはいえど、着物のおでかけで雨コートを着てしまうと結構蒸します。そもそも雨の日は、濡れてもいいように洗える素材の着物をチョイスすることが多いので、あまりに暑いときは雨コートを着ないこともあります。
そんな時、気になるのは帯まわり。帯は基本自宅でお手入れはできませんから、ここはガードしておきたいところ。帯揚、帯締めなどの小物も然り。でもちょっとした雨、降り出しそうな空だけど、まだ大丈夫、そんなときにコートや羽織りは暑い~~(><)というときに味方になるのが大判ストール。
大判でも薄手ならたたんでバッグに入れてもあまり邪魔になりません。大きさの目安は肩からかけて、帯がほぼ包まれるくらい。薄くても、細かい雨つぶ除けになれば十分と割り切って、使っています。
降るか降らないかわからない、天候が不安定なとき、雨コートまで持って歩くのも‥‥というとき、1枚持ち歩くと安心。頼れる味方になります。
また逆に、日差しがジリジリという時には、日よけにもなってくれる万能選手です。バッグにブローチやストールクリップを一つつけておくと、ストールを羽織った時にストール留めに使えて便利ですよ。
そしてこの時期もうひとつ読めないのが冷房。びっくりするほど効いているときがあり、ムシムシの屋外から中に入って一転冷えきってしまうことも。着物の場合は、洋服ほどダイレクトに冷えることはありませんが、それでも映画館や観劇の時など、動けないのに冷えてしまうのは辛いですよね。
雨で濡れていたりすると、寒さ倍増です。そんなときにもストールが活躍。ふんわり肩にかけたり、膝にかけたり。ものすごく冷えてしまうときは、見た目よりも体調が大事!というわけで衣紋のところ、首回りにすっぽりストールを巻いてしまいます。実は衣紋を抜いたところって、本当に冷えるんですよね。
こうすると、首のうしろの付け根の「大椎(だいつい)」というツボがあたたまりますので、体全体が暖まります。
冷房対策としては、わたしはもうひとつ薄手のアームカバーを持ち歩いています。着物は意外と肘が冷えてしまうもの。寒いな、と思ったら肘の部分にアームカバーをつけます。見た目が気になるときは中のほうにたくしあげておけば、あまり見えませんよ。
夏は暑さ対策ばかりに目がいきがちですが、実は雨や冷房対策も、快適に過ごすためには大切なポイント。ストールなどのアイテムを上手く取り入れながら、快適に梅雨をのりきりましょう!

顔うつりのいい傘とコートで雨の日のおでかけを楽しく♪ の巻
星わにこ
2015/06/10
東京も梅雨入りし、先日までの暑さがやわらいで「単衣でちょうどいいかも」という日が続いています。気温が下がったのはありがたいのですが、困るのはやはり雨。
雨が降るときものでのおでかけを止めたくなりますが、逆転の発想でお気に入りの雨具を揃えておくと、雨が降るとむしろ「やった!」という気分に(笑)。
張り切って着物を着る予定を入れると雨が降る「きもの雨女」のワタクシ、最初は着物をあきらめたりしていましたが、お気に入りの雨コートと雨草履、雨対策グッズを揃えてからは、どーんとこいという気分です。
暴風雨はさすがにおでかけ自体を躊躇しますが(笑)多少の雨なら、ワタシは紫陽花♪(妄想)くらいの気持ちで出かけます。
今年は、お気に入りの傘を発見! ぼかしが入って、取手に房がついているもの。着付教室の講師仲間の先生と一緒に見つけて、色違いを購入しました。
そのとき何色か広げてみて気がついたのですが、顔色がよく見える色と悪く見える色があること。確かに、傘をさすと上半身がすっぽりその色に包まれますから、影響は大きい。
あててみて一番顔うつりのよかった桃色のぼかしの傘を買いました。骨が多くて、大きいのもポイント。折りたたみの傘もよいのですが、着物のときは濡れないように大きさも大切です。
そして自分的にポイントが高かったのは、取手についている房! 雨の日でもお気に入りの傘があると思うと、うきうきおでかけできそうです。
先生は好きな色優先で、紫の傘の真ん中に黄色のぼかしが入っている月夜のような傘を。気に入った色を選ぶのも、なにより本人の気持ちがあがるので表情がよくなります。そういう選択肢もいいですね。
先日、午後から雨予報のときに、この傘を初めて使いました。雨に強い紬の着物でコーデを決めて、お気に入りの色の雨コートをバッグに入れて、足元は濡れても平気な雨草履か、合皮の草履。降ってきたら、さっとコートを羽織って、傘をさせばOK。
なんでしょうか、このどや顔(笑)。傘1本で、雨なのにとても気分のよい一日になりました。
そのほかに、雨の日にバッグに入っていると安心なのが、手拭。二枚入れておくと、首元の保護や雨を拭くのに重宝します。濡れるのが嫌な素材のバッグだったら、エコバッグをもっておいて、その中に入れてしまいます。
あまりに足元が濡れそうなときのために、着物のすそをめくって帯のところで留めるための腰紐かクリップ、替えの足袋もあると安心。
単衣の季節は、実は梅雨や台風など、雨とのにらめっこが続く季節でもあります。お気に入りの雨の日おでかけセットを作っておいて、雨の日のおでかけも楽しんでしまいましょう!


衣替えの季節 これで解決!単衣と半衿と帯の組み合わせの巻
星わにこ
2015/05/27
着物の暦ではまだ袷の時期だなんて信じられない気温が続く今日このごろ。すっかり単衣で過ごしています。この時期は天気予報とにらめっこで、23度超えたら単衣。すなわち、もうすっかり単衣生活に入っています。
でも、この時期悩んでしまうのが、帯や小物との取り合わせ。早々に単衣にスライドしてしまったら、帯はいつから夏物でいいの? 半衿はなにをつけたらいいの? 襦袢は?
礼装の場合はなるべく本来の時期のとりあわせにあわせて、そうでない場合はもう6月に入ったら、小物は夏物でオッケーじゃん? と思っています。先取り上等。見ている側も「あら涼しげ」とは思っても、「早い」「寒々しい」などという感想は、真夏日には浮かばないのでは。
そんなわけで小物との取り合わせの目安を一覧にしてみました。ご参考になれば幸いです。
6月は単衣の他に、この時期しか着られない紗袷という贅沢な着物があります。本来は一年の中で6月末の10日間しか着られない、と言われたものですが、今は単衣と同じ扱いで6月と9月に着用します。
襦袢は、中旬くらいまでは単衣で以降は絽なのですが、下に着るものなのでかなりなフライングも平気なのではないでしょうか(笑)。
着物のコーディネートを考える時には、いつも季節と格の決まり事と、手持ちのものと着たいものとの間でうーんと唸ってばかり。でも、これを考えるのもキモノの愉しみの一つだと思うのです。
改まった場合でなければ、「絶対こうでなくてはならない」ということはありません。
たくさんキモトモができて、皆それぞれの着こなしを楽しんでいることを知りました。答えは一つではないと、いつも思います。
好ましいと思う着物姿も千差万別。よく「あなた間違ってるわよ!」と言う人がいますが、程度にもよりますが(笑)間違ってるというあなたが間違ってるんじゃ? と思ってしまいます。
正解不正解じゃなく、素敵かどうか、そんな基準のほうが、楽しく着られる気がします。
一方で、私はこれが着たいから着る! の一点張りも見苦しく感じるときがあります。緩やかに、でも自然と季節の決まりを意識した着こなしで「もうそんな季節なのね」と見る人に感じてもらうのも、着物の魅力かと思います。
せっかく着物を着るのですもの、自分も周りの人も快適な、着こなしがしたいですね。

カーディガン感覚☆羽織で楽しむ春のお洒落の巻
星わにこ
2015/04/01
桜!桜!で一気に春がきたようですね。満開の桜を見ていると、気持ちがわ~っと沸き上がって、胸がいっぱいになります。
岐阜の山奥で育ったわたくし、桜といえば校庭に1本のソメイヨシノか山桜が4月の下旬ころに咲くのしか知らなくて、花の下にて春死なむ、とか梶井基次郎の小説とか、さっぱり実感がわかなかったのですが、進学で東京にきたときに学校近くの坂に咲き誇る桜並木を見て、なるほど!と思った想い出が。
それから何度もお花見をしたけれど、あと何回桜が見られるのか? 来年のいまごろは、どんな気持ちで桜を見ているのか? ソメイヨシノの寿命が60年ほどということで、どんどんソメイヨシノの樹が減り、変わりに3月上旬に咲く河津桜がたくさん植えられているのだとか。あちこちで桜が伐採されたり、大幅な剪定が行われているのを感じた今年のお花見。
新しい生活が始まる年度代わりのこの時期の、不安と期待が入り交じる独特な気持ちと結びつく桜の記憶も、変っていくのでしょうか。
さてさて、また前置きが長くなってしまいましたが(汗)、春といえば羽織。寒い時期にはコートを着てしまうし、少し春の気配がしてくると「羽織でおでかけしたいな」と思います。卒業式、入学式の黒羽織姿も、この頃ですね。
羽織の時期は「楓が色づくころから、桜が散る頃まで」と言われますが、まさにいまごろが袷の羽織を楽しむ最後。でもこんなに桜が早く咲いてしまうと、まだまだ肌寒いのに心もとないですよね(笑)。
帯付き(羽織ものを着ない、帯姿のこと)でのおでかけも粋ですが、羽織のお洒落ももっともっと楽しみたいものです。
羽織はカーディガン感覚で着られるもの。黒羽織以外はフォーマルには使いません。コートと違って室内で脱ぐ必要はないし、体感温度で羽織ったり、手に持ったり。気軽に楽しめます。
羽織の着用時期については去年のコラムで少し書きましたが、桜が散れば単衣の羽織、5月くらいからは薄物の羽織も活躍しはじめます。(http://ichirimall.ldblog.jp/archives/38164757.html)
羽織姿のわに的萌えポイントは、実は後ろ姿。帯で盛り上がってる背中のぽっこり感が可愛いところ、羽織の振りから、着物と襦袢の長さがぴったりと揃って色がこぼれているとうっとりです。自分で着たときも,何度も振りを触ってしまいます(^^)
この長さがぴったり添うためには、羽織の袖丈を気持ち控えて仕立てるとよいのだとか。もし、羽織の袖丈が長くてあわない場合は羽織の振りの部分を少し縫い止めると着物が飛び出てきません。
また、羽織はちりよけの役割も。私は帯の汚れ防止のために着ることもあります。お天気の怪しいときなど、洗える羽織を羽織れば、ちょっとした雨除けにもなります。昨年、セールで洗える夏物の羽織(といってもあまり透けない)を作ったので、着用を楽しみにしている私です。着られる時期は限られるので贅沢なものですが、透ける羽織に憧れていたので思い切って!
アンティークや古着などでは、紗、絽、二重紗など透ける羽織もたくさん見かけます。今より着物を着る機会の多かった時代にはもっと羽織が活躍していたのではないでしょうか。
羽織紐も、紐だけでなくビーズや石などで作ったものも可愛いです。アクセサリー感覚で楽しめますよ。羽織が好きすぎて、たまに洋服の上に羽織っているわにこです(笑)
もっと羽織を着てみませんか?

妄想お花見コーデ☆この際、桜になりきろう の巻
星わにこ
2015/03/18
春うらら、なんて言葉を思い出すようなお天気が続く東京です。先週は、桜が綺麗だったよ!という言葉に誘われて、装束着付術勉強会の皆様と椿山荘までお散歩に行ってみました。
神田川沿いの江戸川公園を埋め尽くすソメイヨシノはまだまだ先ですが、目白からのお屋敷街の梅を眺めながら椿山荘のお庭に入ると、緋寒桜、寒桜、阿亀桜に河津桜と、あちこちで満開になっている早咲きの桜が。気持ちまで花開くようです。
その桜を背景に結婚式の皆様が記念撮影をされていて、白無垢の花嫁さん、留袖や振袖の親族の方々の美しさにため息がほ~ぅ。特に振袖の帯結びをついついガン見しそうになってしまうわにこ、自制心を保つのが大変でございました(落ち着け)。
椿山荘のロビーで、桜と苺の限定ケーキセットをいただいて春気分満喫。
その後は、池袋に移動して勉強会の新歓でさくら肉をいただいて乾杯。一足早い、桜さくらの桜尽くし。なんか、大人になったなあ、なんて思う一日でございました。
これから春本番! ソメイヨシノの開花が待たれますね。お花見コーデはどうしましょう。いち利モールの試着室でまたまた妄想してみました。
http://bit.ly/18zoSqG
桜模様もいいけれど、花だけならいつでもいいけど枝が入ると時期だけ、花が咲いたらもう着られない、いやいや咲いている間はオッケー、日本の国花だからいつでもオッケー、などなど兎角いろんな意見に悩まされがちな桜の模様、えーい!と模様はやめて、色で勝負!
桜色の結城紬に、木肌と桜を連想させる絞りの帯、灰桜色の半衿と帯締めをして、幹の茶色の帯揚だけに桜吹雪を散らしてみました。
花の模様がなくても、桜コーデの出来上がり♪ まさに自分が桜の木になった気分で!(どんだけ妄想)
桜色のタッセルの帯飾りなどしても気分が盛り上がりそうです! 桜コーデでお花見、楽しんでくださいね!



袴について考えた。もっと袴を楽しもう の巻
星わにこ
2015/03/11
卒業シーズン! ご卒業の皆様、本当におめでとうございます。思えば4年前は、大震災の影響で卒業式が中止になったり、延期になったり……。何事もなく、平穏に卒業式が行えることは改めて有難いことだなあと感じております。
こういった式典で着物を着るのは気持ちが改まってまたよいものですね。卒業する方も、見送る方も、また保護者も。
卒業式での和装の定番といえば「袴」。今年は、友人のお嬢さんの卒業式の袴の着付を頼まれてドキドキワクワクしています。
先日は母校の生協に立寄ったら卒業式を前に、たくさんのレンタル袴のパンフレットが積まれていました。レンタル、着付、記念写真つきでいくら、というようなパックが主流なんですね。利用すればラクラク便利そうです。そして、掲載されている着物と袴がキラッキラなのに、改めてびっくり!!
自分のときは成人式の時に誂えた鮫小紋に、母が用意してくれた紫の無地の袴でした。周りもだいたいそんなかんじだったので、パンフレットの大柄の華やかな二尺袖小紋もしくは振袖に、刺繍&グラデーションの袴に目がチカチカ。盛り盛りすぎて、せっかくの若いお嬢さんの美しさが埋もれてしまいそうでもったいないわ~とおばちゃんは思ったりするのでした。
でも、こういう盛り盛りとキラキラが似合うのも若さならではなんですけどね。礼装の範囲を外れなければ、いいんだと思います‥‥が!! こういうレンタルパックが主流なのだとすると、ニュースで話題になっていた「卒業式での和装禁止」というのも、うっすらと理解できるような気がしました。
せっかくの民族衣装、時代に合わせて変化して行くものとはいえ「着物=華美=贅沢=式典では禁止」みたいな図式になってしまうのは悲しすぎ。昔と違って初めて着物に袖を通す人だっているわけだから、提供する側も、和装の良さを伝えるという役割も少し考えていただきたいな~と成人式に続いて、思ってみるのでありました。
さて。表題のオトナの袴ですが……本来は袴は男性のもの。女性の袴は平安以来宮仕えでしか着用されなくなっていたのが、明治になって宮中の外出着して採用。その後、女学校で女子学生が活動しやすいようにと考案されたのが現代の女袴です。
また、学生だけでなく、先生も着用されていますね。袴には別に年齢制限はないわけです。
袴=女学生という図式にとらわれないで、袴姿がもっと普及してもいいのになぁと思います。
袴をはく時は着物を短く着付けますから、裾さばきが格段に楽になりますし、草履じゃなくてブーツや短靴(パンプスもOK)なんですよ。かなり活動的に動いても大丈夫で便利なものなんです。
でもやっぱり袴で外出するのはためらわれる年齢のアナタ(私のことですね、わはは)。実は卒業式シーズンはオトナの女性が袴をはいて外に出ても「先生かしら」程度でお目こぼし(笑)いただけるので、袴をはいて外出するチャンス! 慣れて来たらその他のシーズンにもチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
そんなワタクシですが、昨年より女子袴普及部の活動に参加しております! 実はまだ外出叶っておりませんが、先輩方が袴姿で街を闊歩されている姿は年齢不問でかっこいい。先入観にとらわれて、袴を楽しまないなんてもったいないという気持ちになって参りました。もっと袴を。
式典では着ませんが、普段着としての袴には羽織もとっても似合うんですよ。
この3月は、袴での外出を目論んでいるワタクシです!! 無論、袴は無地でございますが(爆) あとは、袴を仕舞う紐の結び方を覚えなくては(><)何度やっても説明書を見ながらじゃないとできないんです‥‥。美しい紐の始末の形、マスターするぞ!
生きているうちに、やってみたいことは何でもやってみよう! なんて気持ちになっている、春間近でございました。

雪が降ったらどうする!?雪対策の巻
星わにこ
2015/01/14
寒いですね! 今年の成人式は、東京は気温は低かったものの本当によいお天気でしたね。新成人の皆様、おめでとうございます。関係ない私ですけども、まだ記憶に新しい二年前、大雪で大変だったことを思うと、ほっとしました。親御さんたちも、感慨深いものがあったのではないでしょうか。
でも、雪が降った地域もありましたね。雪の日の振袖も、見ている分には風情があって美しいものですが、寒かったのでは。またお手入れのことも想像するとドキドキしてしまいます(^^;)
どうしてもというのではない場合。雪が降った日は着物はあきらめたほうがいいのでしょうか? いえいえそんなことはありません。基本は雨の日対策と同じ。足元の工夫と、防寒対策さえしっかりすれば雪の日でも着物は楽しめます。
防寒対策は、とにかく首、手首、足首をカバーして。着物は重ね着ですし、帯まわりも暖かいですから、下着を着込んでしまうと暖かい室内で暑い思いをすることも。マフラー、手袋、アームカバー、膝下の足袋下タイツなど着脱可能なもので調節するとよいでしょう。
外で過ごす時間が多い場合は、使い捨てカイロを持ったり帯にはさんだりもよいです(これも貼るタイプを背中などに貼ってしまうと暑くなったとき困るので、取り出せる場所に)。
雪対策としては、着物が濡れたり汚れたりしないように、雨コートを着て(二部式なら下だけでOK)、その上から防寒のコートを。もしくは、道行き等を羽織った上から雨コートを着ればOK。気温と相談してプラスマイナスしてください。
寒くてサラサラの雪ならまだよいのですが、ボタ雪や溶けかけで泥はねが懸念される場合は裾をまくっておくか、洗える着物にしてしまうのもテ。
そして足元ですが「雪国の草履」といえば、憧れるのが「アザラシの毛皮の草履」です。アザラシの毛皮は撥水もしてくれ、暖かいのだとか。見た目もゴージャスで暖かそうです! 他にも、底の部分に凸凹加工がしてある、雪でも滑りにくい草履もあるそうです。
ですがですが。雪国の人に聞いてみたら「つま先も足元も寒いし、着物でもブーツはいて移動して、会場で履き替えるよ。普段着だったらそのまま」とばっさり。あ、ですよねー。
荷物は増えちゃうかもですが、一番賢い方法かも。車移動や、クロークがある場所へ行ったりするのであれば問題なし。着物=草履&下駄、と決めつけないで、状況を見て判断するフレキシブルさが大切なんですね。
ついつい着物はお約束がたくさんあって、正解かどうか答え探しにやっきになってしまう部分がありますが、ハードルをあげすぎて着ること自体を止めてしまうよりは、少し外れたってなんだって、着て楽しむ、お洒落をする、そういう気持ちのほうを大切にしたいなと、思う年のはじめでした。

着物の防寒対策最強アイテム現る!?南の国からきたあいつの巻
星わにこ
2014/12/03
もう師走! 今年も残すところわずかと思うか、あと1ヶ月もあると思うか。まだまだ2014年、あれもこれもやること山積で、もう一踏ん張りせねばと思いつつ、こたつで日々ゴロゴロ過ごしてしまい反省中のわにこです。
そして気圧配置も冬型に。本当に寒くなってまいりました。着物は体の中心部が帯で保護されているせいなのか、重ね着で空気の層ができるせいなのか、洋服でいるときほど寒さを感じないのですが、やはり、この時期は防寒対策をしっかりしたいところ。
とはいえ暖房の強い室内などでは暑くなってしまうことも多々あるため「なるべく簡単に着脱できるもの」で防寒対策をするようにしています。
着物で冷える部分は3つの首「首、手首、足首」なので、ここをカバーするものを用意します。
まず首はマフラーやショール。
手首は薄手のアームウオーマーと手袋で。長手袋も暖かいのですが、セパレートにしておくとなにか作業したいときに手袋だけさっととって、ひじはアームウオーマーで暖かいままというのが便利です。暖かかったらアームウオーマーは外してもいいのですが、薄手のものにしておけば、ひじの上にまくりあげておいてもあまり邪魔になりません。
足首は足袋の下にはくタイプの足袋インナーや、カジュアル着物のときにはロングタイプの足袋ソックスを愛用しています。足首からすねが冷えなければ、本当に着物は暖かく着られます。
いずれも、外したときにスマートにバッグに入れられるよう、薄手でかさばらないものにこだわっております。
さてここで問題です。寒いといえば雪。昨冬の東京の大雪のとき、着物ででかけた私を助けてくれた最強防寒アイテムはなんでしょう。ウールのコートはもちろんですが、着物のすそや足元を寒風からも雪はねからも守ってくれたすごい奴です。
答えは(早)、サルエルパンツです!
選んだのは布がたっぷり使ってあるタイプで、ひろげるとほぼ三角形になっているくらい股上がふか~いもの。裾が細くなっていないタイプをアジアンショップで見つけて「これはもんぺや水屋袴替わりに使えるかも!」とゲットしました。
股の切れ込みがほとんどないので、着物を普通に着た上に着物の裾をあげることなくそのまま履いてしまってOK。生地も厚手のコットンで、縞の織り模様なので和服とも相性よし。アジアはつながっているな~と実感。
雪の日はこれを履いてブーツを履き、上にウールのコートを羽織れば雪もへっちゃらです! 寒くない! 着物も汚れない! ブーツなのでぱっと見、着物姿には見えないですが(笑)
それからサルエルパンツは自転車に乗るときも超便利! 裾がはだけてもまったく見えないし、汚す心配もありません。帯つきのシーズンは、すれ違う人にちょっと「ぎょっ」とされますが(笑)快適です。
構造を見てみると、幅広の布を直線で折りたたんで縫ってあるだけ。作っても簡単そうです。でも、なんと2000円を切るという布代より買ったほうが安いお値段だったり(汗)
難点は、人前で脱ぎ履きするのがちょっぴり恥ずかしいことと、この季節着物の上にいったん履いたら暖かいので脱ぎたくなくなること(笑)普段着物はタートルネックセーターの上にウールの着物を着てサルエルパンツをON。こんなお気軽スタイルもたまにはおすすめです。
水屋袴もいいんですが、紐じゃなくてゴムなのがまた気軽で。考えてみたら、サルエルパンツって裁着袴(たっつけばかま)に形が似てますよね! 私が使っているタイプはもっとゆったりしたものですが。
夏はちょっと暑いな~と思いましたが、逆に考えると冬はこれくらい強い味方はない!というわけで防寒にも大活躍のサルエルくん。キモトモに紹介したところ「買ったよ」「わたしも買った」と大人気です。
先日、着る人がつくる着物情報誌「月刊アレコレ」で防寒についての特集でも紹介したところ、編集長さんも早速購入されたそう。112号に掲載されています。「七緒」でも大活躍の佐川由希さんや、元くるり店長の草萌さん、365日着物生活中のカメラマン渡部瑞穂さんと対談させていただいたのですが、皆さんそれぞれのこだわり防寒アイテムがあって目ウロコでした! やっぱり日常的に着物を着ている方のお話は勉強になります。そして皆さんとっても素敵でした
さてさてこんな便利なサルエルパンツなのですが、こうなると欲が出てくる! ほかの素材ではどうだろう? 冬用にエクセーヌみたいな素材とか夏用に涼しい素材はどうかとか、防水タイプもいいな、とか。袴みたいにサイドにスリットが入っていると通気性がよくなるんじゃない?などなど、次々理想のサルエルパンツを妄想してしまいます(笑)いち利モールさん、オリジナルサルエルハカマ、作りませんか~(なんて言ってみたりして……)
皆様も、和装用だけにこだわらず使えるアイテム探してみませんか? そして見つかったらぜひ、わにこにも教えてくださーい。

9月の着物と襦袢と帯と小物は?の巻
星わにこ
2014/09/03
急に涼しくなり30度を超える日が減ってきました。今年は秋が早く来たような気がします。20度台になってくると、単衣にも手がのびやすいですね。
さて、9月の着物と襦袢と帯と小物は何をあわせたらいいの? と毎年1年前の事を忘れて悩む私です。
まず着物は、9月は単衣、と言われていますが今は前半、気温によっては半ばくらいまでは夏物(絽)を着る方も。
また本来は5月後半だけに袷から単衣に切り替わる期間楽しむという贅沢な「紗袷」も、「単衣」と考えて秋の紗袷を楽しむ方も増えています。
襦袢は夏物で。後半は単衣の襦袢でも。半襟は単衣の季節、絽縮緬が大活躍です。絽ほど夏っぽくもなく、適度にボリュームもありでも涼しげでもあり。涼しくなってくれば単の襦袢、塩瀬などのすっきりした袷用の半襟も。
帯は、前半は絽の帯。中旬からは単や袷用(塩瀬など)の帯をあわせます。
帯揚げは、半襟と同じく絽縮緬が活躍です。袷の帯には袷用の帯揚げ、帯締めを合わせますが、これも透けないけど薄い、軽いなど気温に対して即したものを使います。
よく、着物は先取り!といいますが、春先などとは逆に、秋に暑いのに先取りで袷の小物を持ってくるのは体感的にも見た目的にも結構厳しいですよね。色目などで秋を感じさせながら、残暑でも暑苦しくない装いが理想ですね。ご自分のお洒落ゴコロとじっくり相談してみてください。
普段着は、気温にあわせてあまり細かいことは気にしなくてよいと思います! 絶対正しいとか間違ってるなんていうことはないけれど、衣替えの季節の知識があると自分が選んだものに自信がもてるかと思いますので、ちょっと頭の隅に「着物の季節表」を入れておくと便利です。
いずれにせよ、9月は夏から袷の季節に移り変わっていく過渡期となりますので、中旬とか前半とか後半とか、区切りが結構曖昧です。温暖化の昨今、10月までこの曖昧時期が続くと思います。
これは個人的な目安なのですが、27度くらいが絽と単衣の境目、22度くらいが単衣と袷の境目で(いずれも後者の上限温度感覚)暦とにらめっこしつつ、着分けています。下に着るものでも結構調整はききますので、皆さんも、自分なりの目安を見つけてみてください。
1年十二ヶ月、移り変わる四季も二十四節気や七十二節気に分けるほど、日本人は季節に敏感でした。着物のお洒落は、そんな季節にとても関わりが深いもの。ほんの短い期間でも、その時期だけしかできないお洒落を楽しみたいですねっ。
暦

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