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着付の勉強しなおしてます。の巻

星わにこ
2015/04/08 00:00
 桜も散っていよいよ新生活!の方も多いのではないでしょうか。すっかり春の陽気で体が緩んだところに、花散らしの雨で寒の戻りがきている東京です。寒い(><)  そんな中、入学式が各地で行われ、着物を着たよという話を聞くと嬉しくなります。でも、地域や学校にもよるのでしょうが、やっぱり着物の保護者は少ないようで。  私の子どもの入学式のときは、公立小学校で着物姿の保護者は自分一人だったので、ちょっとしょんぼりだったのですが、それをきっかけに「私も着たい」と言ってくれるママ友もあり、「着たいけど着れない」「面倒」「よくわからない」ということが多いのかなと思いました。嫁入りで揃えてもらったものがある、お母様の着物があるという人も多くて、これは着なくちゃもったいないですよね。  私も母が私の入学式に着た黒羽織を仕立て直して着ましたが、自分の子どもの時に母親が着たものを自分も着て子どもの成長を祝うことができるなんて、着物ならではの喜びかも。そうでなくても、母親の着物姿の記憶はきっと子どもの心に残るはず。せっかくの礼装ですから、民族衣装を胸を張って着て欲しいです。  さてさて、着物を着ていると「着せて」「教えて」と言われることが多くて、ほぼ自己流で着物を着ている自分としては自信をもってそれもできず、モゴモゴしていたのですが、昨年仕事場を持ったのをきっかけに一念発起して着付け教室に通い直しました。  最初は、仕事場で振袖写真を撮るため(!)に、振袖の着せ付けを習いにいった(またそういうピンポイントなことを‥‥)のですが、やはりきちんと習うと、いままで見えていなかったことが見えてきて、これではいかん!と猛反省。  先生の手さばきと、モタモタの自分の手さばき。未熟さを痛感するのと同時に、先生のように自分も美しく、きちんと着せられるようになりたい、着られるようになりたいと思うように。イチからやり直して、先月末講師養成コースを終了・試験合格し、初心者さんに着付を教える第一歩を踏み出すことになりました。  まだ研修期間などもありますし本格始動はこれからですが、ひとりでもたくさんの人に「着物って面白いな、楽しいな」と思ってもらえるようになりたい。  やっぱり自分で着物が着られて、おでかけできるって、本当に本当に楽しいですから!! 面倒もあるけど、それをはるかに凌駕する喜びと楽しさとワクワクドキドキが着物にはあると思います。  着物は好きだな~と思っていたけど、学んだらもっと好きになってきました。別に、着物は教室で勉強しなくても着られるものですが、機会があったらいろんなやり方を学びにいくのはおすすめです。ワンポイント講座などもたくさんありますから、自分だけのやり方にこだわらず、いろんな着方を知ってそこから自分にあったものを選んで行くというのも楽しいです。  こうでなくちゃならない、っていうものはファッションとしての着物にはないですし、体型も千差万別、着方にも正解はないと私は思っています。  また同時に、装束の勉強もご縁で始めることができ、今まで知らなかった雅な世界も体験中。十二単の襲ねの色目など本当にうっとりうっとりなのです。装束の着せつけというのも人にあわせ、場にあわせ。これいかに美しく、苦しくなく、着崩れず、また装束を痛めず着ていただけるか、知識だけでなく心の有り様も含めての勉強をさせていただいています。  伊達衿とかで着物にもこの日本古来の美意識を取り入れられないものかと妄想したり、また着物にまつわって勉強した染色などの知識で装束の理解が深まったり、相互に作用してどんどん「日本の衣装」にハマっている毎日です。  なまけものでウジウジのわたしが、一気にどかーんと動いたこの春でございます。それも、こうやってコラムで毎週着物に向き合い、いくら進んでもきりがないくらいの楽しさを実感し、また同じように思って下さる皆さんがいて、 初心に戻ってもっともっと勉強して深めた情報を責任を持ってお伝えしたいという気持ちがどんどん大きくなってきたからです。本当に感謝です。 「やってみたいけどいつか」「そのうちできたら」って思っていることはありませんか? いつかはそのうちやってくるかもしれません。でも人生は思うよりも短いとこのごろ思います。この春はじめてみませんか?

カーディガン感覚☆羽織で楽しむ春のお洒落の巻

星わにこ
2015/04/01 00:00
 桜!桜!で一気に春がきたようですね。満開の桜を見ていると、気持ちがわ~っと沸き上がって、胸がいっぱいになります。  岐阜の山奥で育ったわたくし、桜といえば校庭に1本のソメイヨシノか山桜が4月の下旬ころに咲くのしか知らなくて、花の下にて春死なむ、とか梶井基次郎の小説とか、さっぱり実感がわかなかったのですが、進学で東京にきたときに学校近くの坂に咲き誇る桜並木を見て、なるほど!と思った想い出が。  それから何度もお花見をしたけれど、あと何回桜が見られるのか? 来年のいまごろは、どんな気持ちで桜を見ているのか? ソメイヨシノの寿命が60年ほどということで、どんどんソメイヨシノの樹が減り、変わりに3月上旬に咲く河津桜がたくさん植えられているのだとか。あちこちで桜が伐採されたり、大幅な剪定が行われているのを感じた今年のお花見。  新しい生活が始まる年度代わりのこの時期の、不安と期待が入り交じる独特な気持ちと結びつく桜の記憶も、変っていくのでしょうか。  さてさて、また前置きが長くなってしまいましたが(汗)、春といえば羽織。寒い時期にはコートを着てしまうし、少し春の気配がしてくると「羽織でおでかけしたいな」と思います。卒業式、入学式の黒羽織姿も、この頃ですね。  羽織の時期は「楓が色づくころから、桜が散る頃まで」と言われますが、まさにいまごろが袷の羽織を楽しむ最後。でもこんなに桜が早く咲いてしまうと、まだまだ肌寒いのに心もとないですよね(笑)。  帯付き(羽織ものを着ない、帯姿のこと)でのおでかけも粋ですが、羽織のお洒落ももっともっと楽しみたいものです。  羽織はカーディガン感覚で着られるもの。黒羽織以外はフォーマルには使いません。コートと違って室内で脱ぐ必要はないし、体感温度で羽織ったり、手に持ったり。気軽に楽しめます。  羽織の着用時期については去年のコラムで少し書きましたが、桜が散れば単衣の羽織、5月くらいからは薄物の羽織も活躍しはじめます。(http://ichirimall.ldblog.jp/archives/38164757.html  羽織姿のわに的萌えポイントは、実は後ろ姿。帯で盛り上がってる背中のぽっこり感が可愛いところ、羽織の振りから、着物と襦袢の長さがぴったりと揃って色がこぼれているとうっとりです。自分で着たときも,何度も振りを触ってしまいます(^^)  この長さがぴったり添うためには、羽織の袖丈を気持ち控えて仕立てるとよいのだとか。もし、羽織の袖丈が長くてあわない場合は羽織の振りの部分を少し縫い止めると着物が飛び出てきません。  また、羽織はちりよけの役割も。私は帯の汚れ防止のために着ることもあります。お天気の怪しいときなど、洗える羽織を羽織れば、ちょっとした雨除けにもなります。昨年、セールで洗える夏物の羽織(といってもあまり透けない)を作ったので、着用を楽しみにしている私です。着られる時期は限られるので贅沢なものですが、透ける羽織に憧れていたので思い切って!  アンティークや古着などでは、紗、絽、二重紗など透ける羽織もたくさん見かけます。今より着物を着る機会の多かった時代にはもっと羽織が活躍していたのではないでしょうか。  羽織紐も、紐だけでなくビーズや石などで作ったものも可愛いです。アクセサリー感覚で楽しめますよ。羽織が好きすぎて、たまに洋服の上に羽織っているわにこです(笑)  もっと羽織を着てみませんか?

ウイッグで楽しむきものヘア☆の巻

星わにこ
2015/03/25 00:00
 開花宣言も出て、桜のつぼみがもうまんまる! ぽんぽんと、弾け始めた東京です。わにこ家の猫の額のお庭にも、水仙やムスカリが咲き始めました。未だ少し肌寒いですが、着物を着るのに本当にいい季節です。  今週末はお花見で盛り上がりそうですね!  先日仕事絡みで着物で鎌倉に行ったのですが、暑くもなく寒くもなく着物のおでかけにちょうどいい季節だなあと改めて。そのときは撮影で春らしい着物で来いということで、二つ返事で引き受けたものの、ちょっと困ったことが。  それは髪型!  実は、ここ数年ずっとアップにするためにロングヘアだったのですが、今年の始めに酷い頭痛に悩まされて、多くて重い髪をまとめるのも嫌になり5年振りくらいにバッサリとショートにしたんです。  そのときは本当に軽くなって「やったー!!」という気持ちだったのですが、私の髪質がなにしろ暴れん坊。朝起きるとバクハツしてしまいます。石川五右衛門かバクチクか。パンクロッカーだったらよかったねヽ(´-`)ノ ですが、まとまらなくて閉口~~(><)  洋服のときは帽子を被ってごまかしてやりすごしていたのですが、着物のときはこれが困った(><)  カジュアル着物はまあどんな頭でも、帽子を被ったっていいわけなんですが、ちょっとフォーマルな装いに、これが全くあわないヘアスタイル!!  ショートでも素敵にセットしている方はたくさんおられますが、私の場合はなんともかんとも。朝のセットの時間もロングのときに比べて激増、の割に成果なし(><) せめて一つに結べると、あとは付け毛やヘアアクセでなんとかなるんですが、結べるまでにはまだまだかかりそう。  ショートヘアをちょうど良くキープするのはずぼらではだめだと思い知らされました。ハネハネの元気な髪の毛をなんとか抑えてお茶のお稽古に出かけたら、色々な意見が出されるなかで最後には「今の髪型はフォーマル着物にあわないねえ」という結論に(涙)  さーて困った。自分的には髪を伸ばすしか道がなさそうなんですが、この中途半端な髪、伸びるまで一体どうしたら‥‥‥?  そこでひらめいた!!  ヅラ‥‥いえ! ウイッグがあるではないですか!!  全部隠しちゃえばいいんじゃね?(ピカーン☆  早速リサーチして、通販でショートのフルウイッグを購入してみました。お値段は2000円程。美容院にいくよりずっとずっと安いです。これなら失敗しても諦めがつく‥‥とポチッ。次の日にはもう届きました(早!)  付属のネットで髪をまとめて、すぽっと被ると‥‥‥。あら~! 美容院でセットしてきたみたいな髪型にあっという間に大変身!!  しかもほどよいボリューム感が着物にも似合いそうな予感です!  どうでしょうか~! 言われてみればウイッグですが自前の髪より全然着物にあうシルエットになりました(モデルがアレ(涙)なのはお許しください)  早速着付の教室に被っていったんですが、誰にも気付かれず。すごいなウイッグ!   教室の方に「髪の毛、伸びました?」と聞かれ「ウイッグなんです」と言ったら、めちゃめちゃウケました。その後、「早速買いました!」と報告が。  特に蒸れたりもしないし、今時のウイッグってよくできていますね~。お高いウイッグとかだったらもっとすごいんでしょうね!!  髪の毛が伸びても、これなら時々被ってもいいかも! というくらい気に入っております。そりゃあ、じ~っと見ると地毛とは違うし変かもしれませんが、こんなおばちゃんの髪型をそんなに見る方はいませんし(笑)朝のセットの時間の激減も有難い!  自毛でなんともならないときにこのウイッグがあると思うと、随分気が楽になりました。  今までも部分ウイッグはボリュームアップにも使っていましたが、フルウイッグは被ろうと思った事がなかったので今回、新しい発見でした。次は流行のボブウイッグにも挑戦してみようかな♪  また先日は素敵なショートヘアの女性に振袖を着てもらったのですが、ちょっと髪を盛りたいなということで、ショートにそのまま部分ウイッグを髷のように装着してもらったら、これまたいいかんじでしたよ! 部分ウイッグを使ったときは、付け根付近にかんざしや花などヘアアクセサリーをあしらうと、そちらに目がいくので境目が目立ちません。  ちょっとお洒落しておでかけ着物のときは、髪型も盛ると気分も盛り盛りになれます。ウイッグの力、ちょっと借りてみてはいかがでしょう♪

妄想お花見コーデ☆この際、桜になりきろう の巻

星わにこ
2015/03/18 00:00
 春うらら、なんて言葉を思い出すようなお天気が続く東京です。先週は、桜が綺麗だったよ!という言葉に誘われて、装束着付術勉強会の皆様と椿山荘までお散歩に行ってみました。  神田川沿いの江戸川公園を埋め尽くすソメイヨシノはまだまだ先ですが、目白からのお屋敷街の梅を眺めながら椿山荘のお庭に入ると、緋寒桜、寒桜、阿亀桜に河津桜と、あちこちで満開になっている早咲きの桜が。気持ちまで花開くようです。  その桜を背景に結婚式の皆様が記念撮影をされていて、白無垢の花嫁さん、留袖や振袖の親族の方々の美しさにため息がほ~ぅ。特に振袖の帯結びをついついガン見しそうになってしまうわにこ、自制心を保つのが大変でございました(落ち着け)。  椿山荘のロビーで、桜と苺の限定ケーキセットをいただいて春気分満喫。  その後は、池袋に移動して勉強会の新歓でさくら肉をいただいて乾杯。一足早い、桜さくらの桜尽くし。なんか、大人になったなあ、なんて思う一日でございました。  これから春本番! ソメイヨシノの開花が待たれますね。お花見コーデはどうしましょう。いち利モールの試着室でまたまた妄想してみました。 http://bit.ly/18zoSqG  桜模様もいいけれど、花だけならいつでもいいけど枝が入ると時期だけ、花が咲いたらもう着られない、いやいや咲いている間はオッケー、日本の国花だからいつでもオッケー、などなど兎角いろんな意見に悩まされがちな桜の模様、えーい!と模様はやめて、色で勝負!  桜色の結城紬に、木肌と桜を連想させる絞りの帯、灰桜色の半衿と帯締めをして、幹の茶色の帯揚だけに桜吹雪を散らしてみました。  花の模様がなくても、桜コーデの出来上がり♪ まさに自分が桜の木になった気分で!(どんだけ妄想)  桜色のタッセルの帯飾りなどしても気分が盛り上がりそうです! 桜コーデでお花見、楽しんでくださいね!

袴について考えた。もっと袴を楽しもう の巻

星わにこ
2015/03/11 00:00
 卒業シーズン! ご卒業の皆様、本当におめでとうございます。思えば4年前は、大震災の影響で卒業式が中止になったり、延期になったり……。何事もなく、平穏に卒業式が行えることは改めて有難いことだなあと感じております。  こういった式典で着物を着るのは気持ちが改まってまたよいものですね。卒業する方も、見送る方も、また保護者も。  卒業式での和装の定番といえば「袴」。今年は、友人のお嬢さんの卒業式の袴の着付を頼まれてドキドキワクワクしています。  先日は母校の生協に立寄ったら卒業式を前に、たくさんのレンタル袴のパンフレットが積まれていました。レンタル、着付、記念写真つきでいくら、というようなパックが主流なんですね。利用すればラクラク便利そうです。そして、掲載されている着物と袴がキラッキラなのに、改めてびっくり!!  自分のときは成人式の時に誂えた鮫小紋に、母が用意してくれた紫の無地の袴でした。周りもだいたいそんなかんじだったので、パンフレットの大柄の華やかな二尺袖小紋もしくは振袖に、刺繍&グラデーションの袴に目がチカチカ。盛り盛りすぎて、せっかくの若いお嬢さんの美しさが埋もれてしまいそうでもったいないわ~とおばちゃんは思ったりするのでした。  でも、こういう盛り盛りとキラキラが似合うのも若さならではなんですけどね。礼装の範囲を外れなければ、いいんだと思います‥‥が!! こういうレンタルパックが主流なのだとすると、ニュースで話題になっていた「卒業式での和装禁止」というのも、うっすらと理解できるような気がしました。  せっかくの民族衣装、時代に合わせて変化して行くものとはいえ「着物=華美=贅沢=式典では禁止」みたいな図式になってしまうのは悲しすぎ。昔と違って初めて着物に袖を通す人だっているわけだから、提供する側も、和装の良さを伝えるという役割も少し考えていただきたいな~と成人式に続いて、思ってみるのでありました。  さて。表題のオトナの袴ですが……本来は袴は男性のもの。女性の袴は平安以来宮仕えでしか着用されなくなっていたのが、明治になって宮中の外出着して採用。その後、女学校で女子学生が活動しやすいようにと考案されたのが現代の女袴です。  また、学生だけでなく、先生も着用されていますね。袴には別に年齢制限はないわけです。  袴=女学生という図式にとらわれないで、袴姿がもっと普及してもいいのになぁと思います。  袴をはく時は着物を短く着付けますから、裾さばきが格段に楽になりますし、草履じゃなくてブーツや短靴(パンプスもOK)なんですよ。かなり活動的に動いても大丈夫で便利なものなんです。  でもやっぱり袴で外出するのはためらわれる年齢のアナタ(私のことですね、わはは)。実は卒業式シーズンはオトナの女性が袴をはいて外に出ても「先生かしら」程度でお目こぼし(笑)いただけるので、袴をはいて外出するチャンス! 慣れて来たらその他のシーズンにもチャレンジしてみてはいかがでしょうか。  そんなワタクシですが、昨年より女子袴普及部の活動に参加しております! 実はまだ外出叶っておりませんが、先輩方が袴姿で街を闊歩されている姿は年齢不問でかっこいい。先入観にとらわれて、袴を楽しまないなんてもったいないという気持ちになって参りました。もっと袴を。  式典では着ませんが、普段着としての袴には羽織もとっても似合うんですよ。  この3月は、袴での外出を目論んでいるワタクシです!! 無論、袴は無地でございますが(爆) あとは、袴を仕舞う紐の結び方を覚えなくては(><)何度やっても説明書を見ながらじゃないとできないんです‥‥。美しい紐の始末の形、マスターするぞ!  生きているうちに、やってみたいことは何でもやってみよう! なんて気持ちになっている、春間近でございました。

おきものチャリティバザールのおはなし の巻

星わにこ
2015/03/04 00:00
 もうすぐ3月11日。4年前、皆さんはなにをされていたでしょうか。私は休みをとって、午前中に家族でずいぶん遅い七五三の記念写真を撮影し、午後、子どもと二人で家にいるところに2時46分がやってきました。  続々と届く被害状況の大きさの情報に驚き、節電で暗い街中と余震に怯えた日々は思い出すと胸がつまります。東京で、被害はさほどなかったにも関わらずこんなにも気持ちが塞がれるのに、被災された皆さんの気持ちを思うと言葉を失います。失われた命は戻ってこないし、そしてまだ解決していない問題も、復興も、道のりの途中なのです。  震災のすぐ後、所属しているクリエイターグループでグッズを作って売上をチャリティにしようという話が持ち上がり、手仕事で作ったグッズをネットで販売しました。不安な気持ちの中で、やることを見つけて、動いた事は自分たちの気持ちも落ち着きましたし、ほんの少しでも、被災地の役に立てればと始めたことでした。  その後、形を変え、場所を変え、その時に参加できるメンバーで続けて来たチャリティイベント、8回目を迎える事になりました。いよいよ今週末金曜日から「WASRENAI2105」と題して、友人と共同運営している東京・中野の新井薬師前「昭和な家」での開催となります。今までで一番たくさんのクリエイターさんが参加してくれることになり、ワクワクしています。  私のできることが、好きな着物に関連したことということで5回目と7回目は、着物のチャリティバザール(略してきもチャリ)でした。不要な着物を寄付していただき、販売して売上を寄付する。手探りで始めましたが、着物好きの皆さんの気持ちに支えられ、開催することができました。  今回は、6日にプチきもチャリとして、少しだけワンコイン着物などを販売します。それから8日には変身☆写真館として振袖で写真をとるお嬢さん(昔のお嬢さんも含む)の着付を手伝います。  過去のきもチャリを思い起こしてみると「やってよかったな」と思える事がたくさんありました。  売上が被災・津波遺児の未来に役に立ててもらえるのはもちろん、箪笥の肥やしの着物たちが、日の目を見ることができるし、なにより、皆さん自分に似合う着物をちゃ~んと見つけ出してきて、鏡の前で羽織ったときのその笑顔が見られるのが本当に嬉しかった!  自分の好みで「この着物はどうかな?」と勝手に思っていた着物にも、ちゃ~んとピッタリの人が現れるんです。本当に、不思議なんですよ。昨年秋のきもチャリでも、最終日に「とっても若向けの着物と喪服が結構残っちゃったな‥‥」と思っていたら、和太鼓をやってます!という若いお嬢さんが現れて、お似合いの着物達をどっさりと。喪服はスキンヘッドの美女が洋服の上にチャチャッと羽織って「いただくわ!」とお嫁にもらってくださいました。それがまた、喪服には全く見えず、黒がとってもファッショナブルで惚れ惚れ。  どんな着物にも、似合いの人が待っている! そう思いました。着物もとっても嬉しそうで、見ているスタッフも思わずにこにこ。  着物って不思議なもので、皆似合うものが全然違うのですよね~。同じ形のものなのに、着ると個性が鮮やかに浮き上がってくる。  チャリティというと、いろんな考え方があって、自分でも、果たしてこれは役に立っているのかな? ただの気持ちの押しつけでは? イベントをするよりも、直接稼いだお金を寄付したほうが早くない? 偽善? など色んな考えが頭をよぎりますが、自分が生活している場所で311を忘れないで、できることをしていこうという気持ちを,参加してくださる皆さんと共有できたらと思って、自分にできる範囲での参加を続けています。無理をするより、長く続けられるほうがいいと思うからです。  忘れないで、支援の活動を続けている方は全国にたくさんいます。同じ今週末に、大阪で続けられている「東日本大震災チャリティきものバザー」があります。キモトモが毎年スタッフとして参加されていますが、ボランティアでこれだけの規模のイベントを続けられていることに、本当に頭が下がります。そして、着物好きさんたちのパワーを感じます。 http://kimonobazaar.blog.fc2.com/  お近くの方はぜひ、足を運んでみてはいかがでしょうか。好きな着物をゲットして、チャリティにもなったらなんだか嬉しいですよね。  もうひとつ、震災後は余震もあって着物を着る事がためらわれるような空気がありましたね。オトナの振袖♪ なんて遊びができるのも、平穏無事な毎日でなければできないことなんだなと、改めて感じています。そしてそんなことで、無理矢理だって笑顔でいるうちに、本当に笑える日が、絶対来ると信じています。  年を重ねてきて、生きるということはいいことばかりではないし、時には「どうしてこんな目にあわなくちゃいけないのかな」とこぼしたくなることもあります。でも、皆多かれ少なかれ、辛い思いや傷を抱えている。生きている限りは生きていかねばならないのだから、ワハハ!と笑い飛ばしていけるように、強くありたいとこのごろ思います。なかなか思うようにはできない、ヘタレな私ですが……。  また今回のフラーレンのイベントは、着物チャリティは金曜日のみですが、連日素敵なグッズやワークショップが盛り沢山です。興味のある方がいらしたらぜひ、遊びにきてくださいませ。  わにこも会場で、お待ちしております\(^O^)/ http://f-ren.com/pray-for-japan/wasurenai2015/

「染の小道2015」開催!のれん染色体験しました\(^O^)/ の巻

星わにこ
2015/02/25 00:00
 急に暖かくなり、自転車を走らせていると梅のふくよかな香りが漂ってきて、春を感じる今日このごろ。三寒四温といいますが、気温の上下を繰り返して本格的な春がやってくるのでしょうね。  そんな早春の今週末、染色産業が盛んな新宿区中井で恒例の「染の小道」が開催されます。昨年は、紅型染めのチャレンジしてのれんを制作したり、いち利モールさんのイベントでも皆様と散歩させていただいたり、楽しかった! 皆さんのお着物姿が、街に溶け込んでいました。着物が似合う街、中井です。 http://ichirimall.ldblog.jp/archives/37327996.html  今年は個人でのれんの制作はしなかったのですが、昨年のワニのれんは、のれんアーカイブとしてギャラリーさくらさんに飾っていただけることになりました。  また、「百人のれん」として、染めの体験ができる講座が毎年秋に開催されています。今回は昨年の秋に友禅の制作過程を東京友禅会の皆様のご指導で体験させてもらいました! のれん作家さんだけでなく、このように体験講座での参加もできるのが嬉しいところ。  友禅は手描き。お絵描きは得意でしょと言われましたが、なかなか思うように線が出ません。まずは糊置きといって、予め描いていただいた下絵を糊でなぞって行きます。ビニールでつくったホイップ絞りのような形の小筒に糊を入れ、先を切って糊を絞り出します。これが均等な太さで出すのが難しい! 細くても防染の役割を果たさないし、太くても美しくない。プルプルと線が震えてしまいました(汗)  この糊を置いた部分は染まらないので、それ以外の部分に色を挿していきます。全体の色のバランスを見ながら、薄い色から挿します。染料を混ぜ合わせて好きな色を作るのですが、色の濃さは水で調整します。混ぜる水が多いと「はしり」といって水シミのような輪シミができてしまうし、濃すぎても塗りにくい。  糊を置いた部分は白く抜けるので、それも想像しながらの色挿しです。ザ☆無難野郎の私は、実際の花の色を想像しながら挿しましたが、他の方は北欧風あり、想像の花風あり、同じ下絵でも全く違うものができていくのが面白かったです。  糊落としや蒸しなどは先生方がやってくださって、受講生は染める楽しさを味わって、ということで、ひたすら色を選んでわくわくしながらの作業。最後には、金や銀でアクセントを入れました。デモンストレーションで、色とびした部分に金粉をまいたり、失敗した部分に金箔を貼って失敗も美しく仕上げたりという技も見せていただけました。  すこ~し金などの輝きが入ると、ぐっと絵に立体感がでてこれまた面白い。ついみっちり色々欲張ってしまいがちですが、やりすぎはNG。お汁粉に入れるほんのひとつまみの塩のような‥‥(すぐ食べる話にしてすみません)  そういう目で、着物や帯を見てみると金銀、刺繍などがさりげなく、本当に絶妙なバランスで入れられて、模様をひきたてているのですよね。日本人ならではの、美的感覚だなあと感じ入りました。  今年もまた、最後に湯のしで作品をべっぴんにしてもらい、皆の作品を縫い合わせてのれんに。「百人のれん」の友禅の花、自分もまだその仕上がりを見ていないので、すごく楽しみです!  名前は入りませんが、実はわたくしこの体験染めの絵の桜の枝部分に、ワニさんを騙し絵のように描いちゃいました(笑)。目にキラリンと金が入っています。ぜひ、こっそり隠れているワニさんを見つけてくださいませ!  いよいよ今週2月27日金曜日からイベントが始まります。街の真ん中を流れる妙正寺川では昭和30年代までは実際に、染め物を水洗いしていたのだそう。その風景が甦ったかのように、川の水面の上にかけられる反物が風に揺れる様は本当に美しく、ぜひ見ていただきたい光景です。  また街には97枚ののれんが一斉に飾られ、街全体が染めのギャラリーに変身。様々な染めの作品の中からお気に入りを見つけて下さい。お店にもいろんな特典やイベントが用意されていて、毎日通っても飽きません。このときならではのお買い得品もいっぱいです。  今年は、学生サークル「ちえの小道」がガイドツアーを毎日無料で行っています。見どころをばっちり案内してくれますよ。染色工房では、染めの体験ができたり、展示会場ではファッションショーも。音楽イベントなども開催されますので色んな楽しみ方ができます。要チェック!  中井には赤塚不二夫プロもあるので、運がよければウナギイヌの着ぐるみにも会えるかも!  当日も充実したパンフレットが配布されています。(ちなみにわにこのイラストも使っていただいてます(^^)v 見てね) 私もウロウロしていますので、どこかで見かけたら、ちょっと内気なので(ええ)どうか優しく声をかけてやってください。すごく喜びます!!  ぜひこの週末は、着物で染の小道のお散歩を楽しんで下さいね!

伊達衿に夢中!礼装のクラスアップにもお洒落にも の巻

星わにこ
2015/02/11 00:00
 最近、振袖やお祝いごとの礼装のコーディネートのご相談をいただくことがあるのですが、伊達衿が意外と大きい働きをするんだな~と改めて感じ入っております。  伊達衿は、重ね衿、比翼衿ともいって、昔は礼装の着物は重ねて着た(二枚襲など)名残です。留袖についている比翼がまさに二重襲の名残ですが、さらに簡易に衿の部分だけを二重に見せるものです。  振袖の襟元には必ずといっていいほど使われていますよね。昔は無地の羽二重地だった気がするのですが、地紋入り、ラメ入りは当然、最近では一連にパールなどを縫いつけてネックレス風に見せたり、レースを使ってヒラヒラにしたり……。なんでもありです(^^;)  私がハマっているのは、本来の伊達衿の使い方からはちょっと外れますが、伊達衿を振袖の衿に添わせて外に出すことをしないで、振袖の中、襦袢の上で何重かに重ねて、十二単風に見せる衿元です。半衿を見せる幅は抑えて、伊達衿を重ねていくのです。襲ねの色目を考えると素敵です!  また、振袖だけでなく、訪問着や付け下げはもちろん、色無地にも使うと礼装感がアップして華やかになります。ほんのちらりと見えるだけのラインですが、襟元に1色プラスするだけで見違えます。  淡い色の着物に濃い色を挿せばキリリと。淡い色をあわせればふんわりと。反対色、同系色、考え出すときりがなく(笑)最近どんどん伊達衿が増殖して‥‥(汗)だれか止めて~(汗)  形自体は非常に単純なものですから、作れちゃうかも?なんて野望まで。  それにお洒落と考えると、礼装だけに限らず楽しんでもいいと思うのです。以前、綾秦節先生に「紬に江戸小紋柄の縮緬の伊達衿を挿す」という超上級ワザを教わったのですが、これがウーンと唸るお洒落さ。  紬などには、礼装とは同じものではしっくりきませんから、似合う素材や色柄を見極めることが大事なのですね。  たかが伊達衿、されど伊達衿。あってもなくてもいい存在だけに、上手く使いこなせるとハっと目をひくコーディネートのアクセントになってくれます。伊達衿のポテンシャル無限大。  そんなわけで、ちょっと伊達衿沼にハマり中のわにこでした。皆様もぜひ伊達衿遊び、お試しを♪

帯締の裏表の見分け方、房に注目☆の巻

星わにこ
2015/02/04 00:00
 今日は立春。もう春なのですね。梅の花もほころんで、あちこちで春の気配がしはじめています。日も随分長くなってきました。  去年から友人と共同のアトリエ兼スタジオを借りて仕事をしているのですが、そこに前の住人の「一陽来復」というお札が残されており、調べてみたところ商売繁盛、金運のお守りだそうで。節分に設置するとよいと聞き早速早稲田の穴八幡宮でいただいてきました。立春から商い繁盛といきたいものです。  さてさて今日は、帯締の裏表の見分け方のお話です。なんとなく感覚で締めていましたが、実は、平組の場合は房の部分を見ると一目瞭然なんです。  房の付け根のしぼってある部分が膨らんでいる方が表、凹んでいる方が裏になります。組み模様や刺繍などしてある場合は、表の方がふっくらしているのがわかると思います。  留袖などに使う白と金銀の帯締は、金銀がゴージャスなので表かなと思いきや、白が多いほうが表なんです。  冠組(ゆるぎぐみ)の場合は、真ん中に1本筋が入っているほうが表です。某道明(ちっとも某じゃない)のものはタグがついていますが、そちらが裏側です。わかりやすいですね。ついてないものは、真ん中の筋を探せばOK!  撚り房のものなどは、あとから房を足したものなので帯締の端は平らになっています。組模様の凸凹で判別する方法になると思いますが、わからない場合は好きなほうを使ってよいと思います。三部紐なども裏表のないものが多いです。  今はリバーシブルで裏表で違う表情を楽しめるものが増えていますね。気分で締め分けるのもいいですし、帯のお太鼓の中でくるっと捻って結ぶと左右の色が変わってそれもまた素敵。何通りもの使い方ができます。  ちなみに、片側だけに模様や色などアクセントが入っているものは、華やかなほうを左側にして結びます。  帯締の裏表が違っても、正直人が見てもあんまりわからないもの。でも、知らないで裏表間違えているのと、知っていてきちんと締めている、もしくは崩して楽しんでいるのでは全然違うと思います。ちょっと胸をはって、装えますよ。

真綿パワー恐るべし!「ねこ」を背負ってあったか着物ライフの巻

星わにこ
2015/01/28 00:00
 大寒過ぎ、少し寒さも緩むのかな‥‥と思っていたらまだまだ冬将軍は居座りそうですね。寒い! 布団から出るのが辛い毎日です。  最近、家にいる間中背負っているのが「ねこ」。動物の猫ではなく、長野県南木曽町で作られている防寒着の名前なのです。木綿綿や真綿の入った長方形の薄い布団のようなものを背中に背負う形です。半纏の袖も前見頃もないバージョンとでもいいましょうか。亀仙人の甲羅が平らな状態です(余計わからんわ!)  いつぞや田舎の叔母が着ていて「そんな背中だけなんで本当にあったかいんかいな」と思ったのですが、これが暖かい!! しかも、袖も前見頃もないので全く動作の邪魔にならず、背負っているのを忘れるほど。すっかり忘れていて、ふと鏡を見てびっくりしたり(笑)  昨年、キモトモのお母様の手作りのねこを譲っていただいたのですが、もう手放せなくなっております。今こうして原稿を書いている間も、背中にはねこです。  上から上着を羽織ると、一層暖かい。おうち着物のときなど、羽織の下にねこを背負うとぽかぽかです。感覚としてはダウンインナーのようなかんじですが、背中だけ、というのがミソなんですね。  背中側の首の付け根のあたりに「風門」というツボがあり、ここはまさに「風邪の門」。風邪の引き始めなど背中がゾクゾクするあたり。ここを温めてあげると、風邪を寄せ付けないそうです。着物の時は、帯があるので腰のあたりは冷えないのですが、首筋から背中の上部が結構手薄。ねこは強い味方です。腰のあたりまで覆うので、本当に温かい!  着物、洋服の上に着るとこんなかんじです。(友情出演:キモトモ&猫) 「ねこ」と似たものに「背負い真綿」があります。布でくるんであるものと、ただ真綿をのばして下着や服の上に置いて、衣類の間に挟んで使うものがあります。挟むだけ? と思いましたが意外とこれがずれないんですね。  真綿は小さくちぎってのばして足袋や靴下の先にいれると暖かいですし、ひじやひざなどにあてる方も。持っているだけでじんわり温かさを感じます。布に挟めばまさに繊維の天然カイロ!  「綿」の素材も木綿綿、ナイロン綿などいろいろありますが「真綿」はシルク100%。軽く、光沢があり保温性も高く、消臭抗菌効果まであるというまさに綿の王様やぁ~なのです。  昔は冬の着物にはこの真綿を薄くのばして入れて防寒にしました。春になると綿を抜いたことから、四月一日と書いて「わたぬき」と読む苗字がありますね。絹は布としてだけでなく、綿としても日本人の生活に密接に関わっていて、半纏や布団だけでなく、いろんなシーンで大切に使われてきたもの。  キモトモが、着物の上に着る道中着型のコートにこの真綿をいれたものを着ていて、本当に素敵でした。もっとこういうタイプの着物コートがあってもいいのにな~。  布団は羽根布団。防寒着はダウン。な現代ニッポンではありますが、ずっと使われてきた防寒の知恵、真綿も見直してみたいなと思っている、わにこ(背中にねこ)でした。