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2024年の着物のおしごと振り返りの巻

星わにこ
2024/12/25
もう今年も終わってしまいますね~。皆様どんなクリスマスを過ごされたでしょうか? 12月は原稿を書いたり雪の長野に出張に行ったりパーティに行ったり撮影スタジオの仕事や着付レッスンをしたり。あっという間に過ぎてしまったわにこです。大掃除?なにそれ食べられますか? この1年、大好きな着物に関わる仕事がたくさんできたのでちょっと振り返ってみたいと思います。 1)このコラムの徒然をまとめた『裏ワザ満載無理なく楽しむ オトナの着物生活』が発売になったほか、『もめないための相続前対策 親が認知症になる前にやっておくと安心な手続き』(安田まゆみ共著) 『動画でわかる 誰でもカンタン楽ちん着付け』(髙橋和江著)の漫画やイラストを担当させてもらった! 2)SPILE ESSEN2024 ドイツでフォントかるたを袴姿で紹介した! 関連記事:SPILE ESSEN2024 ドイツでフォントかるたを袴姿で紹介したよ!の巻 3)昭和な家スタジオ&きもの教室でたくさん着付けやレッスンができた! 10年前からカメラマンの渡部瑞穂ちゃんと一緒に運営している「昭和な家スタジオ&きもの教室」では今年も素敵な撮影やレッスンをすることができました。 といっても、年初から3冊の書籍の漫画、イラスト、原稿執筆でぎゅうぎゅうになり、並行して定期で着方教室をしたり10月にはフォントかるたを売りにドイツまで行くというわにこ史上最も働いたイヤーとなっており、スタジオの仕事はぼちぼちという感じだったのですが、スタジオでやりたかったことが実現してきたな~という実感がありました。 それは「和装で家族写真」「和装で記念写真」を撮影してもらうということ。毎年秋以降は七五三と成人式の前撮りで忙しくなるのですが、主役だけでなくパパママにも着物を着て欲しい!という想いでプランにパパママ和装オプションをつけています。 スタジオをはじめたころは、お友達が記念撮影にきてくれるくらいだったのですが、ネットで探して七五三などの記念撮影にご利用くださるお客様が増えてきました。ホームページはわたしの手作りで、トップページにはわにこ作のポエムが書いてあるのですが、今年はじめて「感動しました」とのお言葉をいただき、すご~く嬉しかったです。 最初は七五三も成人式も、お母さんは着物を着てもお父さんはスーツというかんじでしたが、お父さんも羽織袴姿の写真をサイトやスタジオ前にもたくさん貼り出して「ぜひ全員で和装を!」とプッシュし続けた結果、この数年お父さんも当然のように和装をチョイスしてくださるようになりました。 いや~ほんと、胸アツです。だって数年前はどんなに「お父さんも着物どうですか?」と言っても固辞されまくっていたのに、このごろはお申し込み時から当然のようにお着物指定で、「5歳の時以来かも!」「はじめてかも!」とノリノリで着てくださいます。 そして、とっても似合うんですよね~!! パパも着物を着るのはうきうき楽しいことなんだ、って思ってもらえているようで私たちもとっても嬉しいです!  家族全員和装で撮影されるということは、私の着付人数も増えるということなんですが、準備と後片付けもなかなかのボリュームでこれは嬉しい悲鳴です。でも、撮影のときの皆さんの笑顔で全部吹っ飛びますね。 今年最後の撮影は、おばあさまの米寿のお祝いで息子さんご夫婦とお孫さんたちという総勢7名全員着物での家族撮影でした。お持ち込みの着物もあり、レンタルもありでしたが無事お支度もでき、とっても素敵な写真となりました。皆さん素敵でしたが、おばあさまの笑顔がそれはそれは素敵で、私もこんな米寿を迎えたいわ!と心の底から思いました。 あとは還暦振袖の撮影も楽しかったな~! 仲良しグループで来ていただくと盛り上がりが半端ありません。赤信号みんなで渡れば‥‥的な(いえいえそんなことはありません!) 来年も、たくさんの和装写真が撮れますように! そして年末、もう一つ感動だったのが「年末のパーティに着物を着たいので」と11月の終わりにきてくださった30代の生徒さん。浴衣は着られるとのことだったので、自主練ができれば可能かな?とスタートすることに。 本番で着る訪問着と袋帯で練習を開始したのですが、補整から帯まで一通り説明したのち、着物よりまず最初に袋帯を結べるようにしてきてくださいと宿題を出した1回目。家で動画を見て毎日2回練習しました!と2回目には完璧に。2回目に丁寧に着物の着方をお伝えしてまたこれも復習しておでかけまでされたそうで、3回目にはもう30分で訪問着が着られるようになっていました。 そして、パーティに出席しましたと、素敵なお写真を送ってくださいました。子育てもお仕事もばりばりされているのに、すごい。すごすぎる。 いつも「着付は回数です」としつこく言っている私ですが、今回はそれに目標とやる気を付け加えたらすごい!(語彙)と目が覚めるような気持ちでした。 着物を着られるようになるにはどれくらいかかりますか?とはよく聞かれますが、「やる気次第」という回答もありだなと。あとは若いって素晴らしいな~としみじみしました。 着付もそれぞれ、自分ができるペースで取り組めばいい。順を追って覚えていく着付教室の他にも、自分の苦手なところだけ練習にきたり、これをするにはどうしたらいいの?なんてよろず相談にのれるスタジオでの着付け教室もやっていきたいな~と思っています。 時々私の本職ってなんだろうな?と思うことはありますが、やりたいことを精一杯やれることに感謝しつつ、来年はもう少し落ち着いて諸々丁寧に取り組みたいと宣言し(笑)今年のコラムを締めくくりたいと思います。 素敵な来年を思い浮かべつつ、よいお年をお迎えくださいませ。

帯締めの左右って決まりがあるの?の巻

星わにこ
2024/12/18
先週に続き、しつこく帯締めの話題です。平組の帯締めの裏表はもう見分けができるようになりましたよね! よ~く見ないとわからないので、まあ逆でも問題はないですし、カジュアルなものだったら自分の好きな面を出すのもありなので、そういうもんなんだなと思っておくぐらいの豆知識でいいと思います。 関連記事:帯締の裏表の見分け方、房に注目☆の巻 さて裏表に続き、左右もあるってご存知でしたか?  留袖の帯締めは「左が金」と言われます。留袖用の帯締めは、半分で金と銀の2色になっているものがよくあるのですが、その時は必ず左に金が来るように結ぶ、という意味です。ご祝儀袋の水引と同じですね。 あと、帯に差す末広(扇子)も金と銀の面がありますが、金が見えるように差します。金のほうが格が高いため、表にするし左(上前側)にする、ということだそうです。 左右で違う色や模様がある帯締めの場合も、左側にポイントを持ってきます。礼装用の帯締めだと、片方にぼかしや模様が入っているものが多いですよね。 カジュアルなものはそもそもリバーシブルだったり、裏表左右は好きなようにしていいと思いますが、その時は「自分が見せたい」と思う色やポイントを左にもってくるとよいでしょう。 なぜなら、着物は左斜め前から見たときに胸や裾の模様が綺麗に出るようになっているから。柄付けも、そのようにされているのです。 写真を撮る時も、少し右を向いて左側を見せるようにします。なので帯締めのポイントも左だと目立ちますし、髪飾りの向きもメインを左につける、と考えると腑に落ちます。 例えば振袖の帯締めの飾り結びも卒業式の袴のリボンも、左右どちらで結んでもいいのですが、私は左で結ぶようにしています。写真をとったとき目立つから! 基本は押さえた上で自分はこういう理由で左右選択している、と思うとなんかすっきりしますよね~。 着付けの最後にもう疲労困憊していてなんでもいいから結んどけ!みたいになりがちな帯締めですが、小さな面積でも体の中心で存在感があるものです。おしゃれの仕上げの要として楽しんでくださいね!

平組の帯締めの結び目を綺麗にする方法の巻

星わにこ
2024/12/11
平組の帯締めって結ぶのが難しい~って思うときありませんか。特に結び目はこれでいいのか? 裏と表がぐるんぐるんしてしまって、なんか正解がわからない。なんか謎に立体的だけど‥‥などなど。 柔らかいものだとそこまででもないですが、礼装用の金銀糸が入ったものなどカチカチでさらに幅が広めだったりすると難易度が上がる気がします。柔らかいものも、引き締めすぎると結び目が団子になってしまったり‥‥。 いろいろなやり方があるかと思うのですが、最終的に結び目の左側の縦の部分だけが裏が見える、と覚えると裏表に迷わなくなります。 帯締めの裏表はリバーシブルカラーになっているとわかりやすいですが、そうでないものの見分け方はこちらを参考になさってください。とにかく帯締めも帯揚げもだいたい「ふっくらしたほうが表」です。 関連記事:帯締の裏表の見分け方、房に注目☆の巻 結び目を綺麗にするポイントは、引き締めすぎないこと。ゆるく結べという意味ではなく、結び目のところは平にしたいので、平組の帯締めの幅が狭くなるほどぎゅーっとひっぱりすぎないということです。 それでも、硬い帯締めだとぼこっと立体的になってしまったり、逆に柔らかいものだとぐしゃっと根元が潰れてしまったりします。 そんなときは、まずほどよい強さで結んだ後、結び目を親指と人差し指で挟んでぎゅっと平らになるように潰します。 ぎゅっぎゅっと、裏と表から結び目の真ん中を押さえると平らな六角形になりますよ! 押さえすぎると余った部分が下の帯締めとうまく沿わなくなってしまうのでほどほどに。 羽織紐を結んだ時も同じです。羽織紐の場合は完全に ぺったり平らにすると房の方向が定まって、全体が綺麗な形になります。 結び目を潰すか潰さないかで、仕上がりがかわります。六角形の結び目が綺麗にできていると、満足度大!です。 丸組や冠組の場合は不要ですが、平組の結び目を綺麗にしたいとき、最後に一手間かけてみてくださいね。

衿にファンデーション汚れをつけない方法の巻

星わにこ
2024/12/04
もう師走!いただきもののアドベントカレンダーのチョコを一日1個食べながら焦りを隠せない私です。一方、着物を着るのにはとても楽しいシーズンですよね。忘年会やクリスマスパーティ、もう来年の新年会の予定まで入れて、何を着ていこうかワクワクしています。 そして、着物を着たらあとのお手入れもきちんとしたいところ。正絹の着物は一度着たらお手入れに出すわけではなく、シーズンの終わりなどにまとめてします。お手入れに出すときには、つけてしまったシミや汚れがあれば申告して落としてもらうようにしています。 着物で汚れるところの筆頭に、衿汚れがあります。長い期間汚れを放置すると、汚れがとれなくなったり、変色してしまったりもします。原因はだいたいファンデーション、顔や手の脂ですので、ベンジンなど揮発油でご自分でお手入れするという方もいらっしゃると思います。 でも、汚れが防げれば一番いいですよね。というわけで、今回は衿汚れの原因と防止法をご紹介します。 衿にファンデーションや顔の脂がついてしまうのは、だいたい着付のときです。裾を合わせたり帯を結んだりするときに顔ごと下を向くと、顔が衿に触れてしまいます。 また、帯結びを確認しようと必要以上に振り返って鏡を見る動作も、顔が衿に触れてしまいます。 もちろん着物を着終わった後にも同じように下や後ろを見れば衿汚れがついてしまいます。この2つの動作に気をつけましょう。 解決方法としては、必要以上に下や後ろを見ないこと。具体的には、裾合わせをするときには鏡を見ること。床を見ないで鏡を見ることで、下を向きすぎなくて済みます。また、下を見るときも、なるべく視線だけで。顔をあまり動かさないことが大切です。 この「下を見すぎる」動作をやめて、なるべく前を向いて鏡を見て着付をすると、衿汚れ防止になるだけでなく、着崩れも起こしにくいですよ。 また帯を結ぶときには、後ろを振り返りすぎないこと。体をひねるとこれも着崩れにつながりますから、なるべく正面を向いて手の感覚で帯を結び、ポイントポイントで鏡を見て確認するようにしましょう。 あと、着付けのときには汗もかきます。衿をあわせたら、てぬぐいをはさんで汗やファンデがつかないようにして帯を結ぶという方もいました。それもひとつですよね。また、紐や小物をしゃがまなくても手に取れるところに準備しておくのも大事です。 衿を合わせ終わったら、衿に指を通して少し肌と衿の間に隙間を作るのも衿汚れ防止には有効です。こちらもご参照ください。 関連記事:衿元を指1本浮かせるといいこと3つの巻 なるべく汚さないで、着物のお手入れも楽にしたいですよね。ちょっと動作を気をつけるだけでかなり防げる汚れですので、衿汚れに悩んでいる方がいらしたら参考にしてくださいね!

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