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母の着物の処分に手をつけたの巻

星わにこ
2022/08/31 00:00
すっかり過ごしやすい気温になって、もう秋なのかな‥‥と思いきや、まだまだ暑さもぶりかえしたり、台風の様子が気になったり。着物も何に袖を通すか迷いますね。 今回はちょっと長い、着物の処分の話です。 さて今年の夏は、7年間放置していた実家の母の衣類の処分に乗り出しました。とはいっても、感染者数の急激な増加もあり、また自分の体調もイマイチだったことから直前まで帰れるのかどうなのかも悩んだりしていたため、予定も立てずに成り行きでGO。 実家は11LDK。大体「意味がわからない」と言われますが(笑)岐阜の山村にあり、私が子供の頃は7人家族で住んでいたため、まあそんな大きさに。田舎には珍しくない築70年ほどの古民家です。 父が亡くなってから母はずっと一人暮らしでしたが、その母も亡くなり空き家に。時々帰って空気を入れ替えたりしていましたが、岐阜なのでしょっちゅう帰るわけにもいかず、水回りからどんどん壊れていって困っていたところ、3年ほど前に地元の空き家対策委員会の方から連絡をいただき、賃貸物件に出すことに。 家の半分だけ借りてくれて、仏壇や荷物などそのまま置かせてくれて時々帰って泊まってもいい方がいれば、という虫のいい条件(笑)で出したところ、1年ほど経って借りてくださる方が見つかりました。そんなのってあり?という条件でしたが、言ってみるもんだなあ。 コロナ禍に入っていたので帰って片付けるということができず、借りてもらうエリアのものをとりあえず使わない部屋に押し込んでもらって、家を使ってもらうことに。なので、とにかく荷物がぎゅうぎゅうに詰め込まれた部屋が、見えないけどもう苦になって苦になって。 離れて暮らしているけれど、いつも心の片隅にそのことが気にかかっていました。 今回いつも東京から車を出して一緒に帰ってくれる友だちと子供と一緒に帰ったのですが、滝めぐりや花火見物の合間に手伝ってもらって、部屋にぎゅうぎゅうに詰め込まれていた母の衣類の処分ができました。 リサイクルや寄付、いろいろな選択肢があると思いますがとにかく大量で、分別する時間もないためもう今回は自治体のゴミ処分場に持ち込むことに。 どんどんと衣類、古いカバンや雑貨など70リットルの袋に友人と手分けして詰め込みました。 胸は痛みましたし、「おりょ~」という母の嘆きも聞こえてくる気がしましたが(笑)もうそんなことは言ってられない! 洋服箪笥2竿とハンガーラック3つにパンパンにかかっていた洋服、めぼしい着物はよけたあとの着物箪笥のウールの着物や小物など、どんどんと詰め込み。山のようなゴミ袋を処分場に持ち込んで、重量なんと170キロ! 処分場持ち込みの場合10キロ100円を支払うのですが、小物が入っていた箱を潰していた息子が「あっ!ばあちゃんのへそくり!」と7000円が入った封筒を発見。 処分代と、車で処分場まで捨てにいってくれた友人と息子のおやつ代にあててもらいました。ありがとう、お母さん。そして友人と息子に心より感謝(><) 時間があれば、いろいろと手間をかけたり使ってくださる方につないだりということもできたかと思うのですが、そして、それをどうしようかと思うあまりにずっと手をつけられずにきましたが、それもやりきれない量というものもあるなあと今回感じました。本当は業者さんにお願いレベルなので‥‥。 私の場合は、一気に手放せたことで本当に心からほっとして、開放された気持ちがしました。ここにくるまで7年かかってますが‥‥。 実はレスキューした着物はそのまま積んであるし、まだ屋根裏部屋や倉庫に山のような衣類や食器があるんですが‥‥それはおいおい(ため息) 着物に関しては、正絹のもので状態のいいものだけをとりあえずレスキューして保管。ウールの着物は、母がよく着ていたものを1枚だけ残しました。あと小物類は虫食いもあったりして、全部処分。 このあたりは、自分の着物の整理と処分で痛い目を見たので「ちょっともったいないと思う程度のものは残さない」という鬼の心で臨みました。ただ、ありがとう~と言いながらひたすら処分しました。 今回は衣類のみということで、まだ本や家具家電に手をつけてないせいか、そんなに捨てたのにあまりものが減ってないように見えるのが恐ろしい‥‥。どんだけの量が詰め込まれているのかっ!  でも薄暗かった部屋も窓が見えて光が入り、少し風通しはよくなった気が。そして心も少し軽くなりました。 いつか私が死んだとき。息子がしんどくないように自分のものも減らさないとな‥‥と反省もしました。家に帰ってから、再び断捨離に取り組んでいます。 捨てることにはずっと躊躇いと罪悪感を持っていましたが、量が多ければ全部まとめてゴミ扱いになってしまうことも。大事なものや使ってほしいものはそれなりに量もコントロールして厳選しておかなければいけないなと。 そんな死後の心配はさておいても(笑)、今現状、自分が使うものも同じこと。 そのためには、やっぱり処分もやむなしと、最近は割り切っています。 拙著『その着物、どうする?』にもこのあたりの葛藤は書いたのですが、一番自分の心が楽になる方法を選ぶしかないなと思います。 といいつつ、なかなか処分はできないのですが(だめだめ)。ちょっとでも、住まいと心の風通しをよくしたいなと思う今日このごろです。 <ちょっと宣伝> 9月には、久しぶりの「きものチャリティバザール」を開催予定です。私も、手放すものを持ち込み予定です! やっぱりまだ使えるものはどこかで役立ってほしいもの……。といいつつ、欲しいものと毎回出会ってしまうのですが、まあそれも幸せということで(笑) もし寄付を検討されている方がいらしたらどうぞよろしくお願いいたします。

冷感汗ふきシートで夏着物も涼しく!の巻

星わにこ
2022/08/17 00:00
まだまだ残暑厳しい毎日ですが、この時期本当に汗が困りもの。何を着ても暑いこの時期、夏着物も少しでも涼しく着たいために、皆様さまざまな工夫をされているのではないでしょうか。 私も涙ぐましい努力を重ねてまいりました。麻のステテコや冷感肌着、保冷剤などなどいいと聞けばすぐ試す! そして着物を着るときには、エアコンを効かせた部屋で扇風機を回しながら、とにかく汗をかかないで着ます。 着てしまえば意外と大丈夫なのですが、着るときは動きますから、その時点で汗をかいてしまうともうなかなか汗がひかなくてしんどいし、またかいた汗が冷房で冷えたりすると体が冷たくなることも。 また、室内や移動交通機関内は冷房が効いていても、家から駅まで炎天下を歩くときが問題。日傘は必須で保冷剤を握りしめて移動していました。 先日、新宿津田家の女将さんに「ビオレの冷シートを衿肩あきや胸元に挟むと、すっとして外を歩いても気持ちいいわよ。ゴルフをする人が肌着の下に挟むと涼しいって教えてくれたの」と耳寄り情報を教えていただきました。 早速ドラッグストアに走ってゲット。汗ふきシートはあまり使ったことがなかったのですが、メントール配合ですーっとする感覚が確かにマイナス3度感覚。 着物を着る前にも、さっと胸元や腋の下、首元など拭いておくとスキッとして汗が出にくい気がします。また、取り出してそのまま挟むよりも、肌着が濡れにくいかもしれません。 今まで、制汗剤をしゅーっと吹きかけていましたが、個人的にスプレーにむせがちなのでちょっと苦手でした。それよりスッキリして気持ちがよいです。 着物を着たら、そっと首元や襟元の肌の上に直接あたるように挟むと、すーっとした冷感が続きます。いつもははふはふ言いながら歩く駅までの道(10分程度)も、しゃっきりと歩けました。 電車内などで冷房が効いていたら、もう取り外してしまってOK。捨ててもいいし、小さいジッパー付きポリ袋などに入れておけば、後からまた汗ふきにも使えます(せこい)。 今まで解けちゃった保冷剤、もう一回冷たくならないかな!とか思っていましたが、こちらはバッグに入れておいて、都度使えばよし。洋服のときにも、便利です。 メントールの冷感刺激に弱い方やアルコール過敏症の方、肌の弱い方、乳幼児は使わないでくださいとのことなので、成分を見て合わない方は注意してください。 あと、濡れた状態のものなので、肌着に挟む時、特に正絹の着物などに付かないように気をつけてくださいね。 この夏知った、新兵器!! ご興味のある方はお試しくださいませ。

軽くて扱いやすい!ポリの兵児帯の簡単結びの巻

星わにこ
2022/08/10 00:00
着ていて「暑さ」や「しんどさ」を感じる要素として、「重さ」というのがあると思います。この時期、少しでも薄くて軽いものが着たいもの。 そして、とにかく汗をかきますから、洗える素材だとなおよし。 そんなこんなで最近は、夏に普段に着るのはセオαか綿麻なのですが、骨太でガタイがいいので、半幅帯だとちょっとボリューム不足。ただでさえ大きい背中がますます大きく見えてしまいそうで、いつも名古屋帯を選んでしまいます。 でも半幅帯のほうが、断然軽いし涼しいのですよね。知ってるんですけど、やっぱり背中がどーん、お尻がどーんと見えてしまうと思うと、手が伸びない。いろんな結び方を試してみて、長めの帯であればいけなくもないと思うのですが、どうも苦手意識が消えません。 そんな時に、救世主で現れたのが最近よく見かける、織兵児帯です。胴に巻く部分は二つに折って、結んで後ろに回す部分は幅広で使えるので、ボリュームも出しやすい。 兵児帯という名前で検索すると、くしゅくしゅタイプの兵児帯もあります。そちらはボリュームがあって、ちょっと重いものです。ふわふわに結んだりするときにはよいのですが、大人は平らなタイプのほうが使いやすいと思います。 ふんわりと結ぶこともできますし、名古屋帯のようにお太鼓や銀座結び風にもできます。そして、名古屋帯よりダントツ軽くて、扱いやすいのです。半幅のように、前で結んで後ろに回すやり方でいけちゃいます。 大人っぽい色柄も多いので、いいだけ大人な人も大丈夫。また、ギラギラな個性派もあったりして、夏にピッタリ。 しつこいですが、軽いので体も楽なんです。 私が気に入ってるのは、仮紐(帯揚げでもOK)を使ったパタパタ結び。結び方も簡単だし、結び目が下がってこないし、帯枕を使わない分体もらくちんです。 ポイントは、「て」を最後に帯枕のようにパタパタした羽根の土台にすること。こうすると形が決まりやすいです。私は、ボリュームを出したくないので半分に畳んだままですが、畳んだ羽根を広げるとふわふわにもアレンジできますよ。 この結び方は半幅帯でもできます。「て」を横に広げることで、横に張りが出るのでバランスがよくなっておすすめです! 半幅帯よりも軽くて扱いやすい兵児帯、いろんな結び方にトライしてみてはいかがでしょうか。

楽しんだもの勝ち!浴衣つれづれ夏。の巻

星わにこ
2022/08/03 00:00
暑い日が続きますね。陽炎が立ちそうな街の中を、日傘の着物姿を見かけると涼しげな気持ちになりますね。と、同時に「すごい‥‥まじすごい」と尊敬の念を覚えます。 まあ夏着物はやっぱり気合いだなあ~と思う今日このごろです。だってね、涼しくはないですからね。夏は何着ても暑いし‥‥夏着物はほんと脱ぐ時が一番幸せだったりするし(笑)。それでもなぜ着るかといえば、着たいから! そして大きなお祭りはないものの、ちらちらと浴衣姿も見かけます。今回は今年浴衣について思ったこと徒然をつぶやきますね。 今年はファストファッションチェーンの発売した2部式浴衣が話題になりましたね。着付けの仕組みがわかってしまうと、普通に着付けた方が断然早くて調整がきくのでいらない、となると思いますが、まったく着付けとか知らん!という人には福音なのかもしれません。昔から二部式や羽織るだけ、みたいな便利着付け着物系はいろんなものが出ては消え、出ては消えていますが、やはり応用の効かなさなのかな~と拝察。 時々七五三とかでも、着付けをしらなくても子供に着せられる!みたいな便利仕立てのものを見かけますが、マジックテープとかボタンやホックとかまじで融通がきかなくて「普通に紐で結ばせて!」と言いたいこともしばしば。ジャストサイズならいいのかもしれませんが、逆に面倒にしているのではと思う商品も結構あります。 でも、二部式発売ということよりも衝撃だったのは商品見本の着付け写真。えもんは詰まってぶっかぶかの上半身に低い位置の帯、なんとなくゆるふわなワンピース調の着付けでした。 プリントも洋風で可愛い色柄なこともあり、えー‥‥こんな風に変わっていくの? とちょっと不安になりましたが、子供につきあって行った武蔵野美術大学のオープンキャンパスには、学生さん制作の浴衣が展示してあり、そのデザインが斬新で素晴らしいのはいうまでもなかったのですが、着付けは伝統的で、ちょっとほっとしたり。 今年は浴衣フェアものぞいたりしたのですが、昔ながらの注染や絞りだけでなく、アフリカンプリントの浴衣やアイヌモチーフの浴衣などいろんな文化を取り入れたものも素敵でした。 浴衣は昔から、着物ではできないような大胆な柄を楽しんだりしたものですから、自分がかっこいいと思うものを自由に楽しんだらいいですよね。 帯だって結ばないやり方、簡単なやり方がいっぱいYouTubeで見られるし、下駄がなければサンダルでいいじゃない。帽子をかぶっても素敵だし、浴衣ってだけでテンションもあがりますから。 昨日見かけた道ゆく10代だろう浴衣のカップルは、二人とも自分でYouTubeとか見て着付けたんだろうなあ~ってかんじで、女の子はえもん詰まってて、男の子はウエストに帯してて、以前の私なら「ああーもっとこうしたらいいのに!」なんて気にするところだったと思うのですが、もう令和の今はなんかもうそれはそれで「あらいいわね~~!!」って心から思うようになってきました。 だってもうね、そんな、二人で浴衣でデートなんてそれを実現させただけでブラボーですよ。スタンディングオベーションですよ。きっと一生の思い出になるのよね、なんて勝手にうんうん頷きながら後ろを歩くおばちゃん(私)。ちなみに私には浴衣デートの思い出はありません(寂)。 着たいなと思ったら、着たほうが絶対楽しいよね。浴衣を探したり、買ったり、着方を知ったり‥‥。そこに、誰かが間違ってる、という権利はないはず。 着付けも時代とともに変わっていくものだから、若い人は若い人がこれでいいなと思ったように着ればいいよね~なんてしみじみ思うわけでした。あ、若くない人も(笑)。 一方で、私も今年は浴衣を衝動買い。セオαの柄物の浴衣で、よくみると猫がいるという模様に一目惚れ‥‥単衣代わりにも着ちゃおうかなと思っています。 素材も綿、綿麻、ポリエステルといろいろありますが、ポリエステルの進化はめざましくセオαなんかは比較的涼しく、どんなに汗をかいても洗濯機で気兼ねなく洗えるし乾きも早いので、じわじわと夏物にセオαが増えてきている私です‥‥。 浴衣は着物よりも比較的チャレンジしやすい価格帯ということもあるので、いろいろ試してみるのもいいですよね。 暑い暑いと敬遠していましたが、気がついたら真夏も折り返し! ぐだぐだしてないで、気合いを入れてやっぱり浴衣、着なくっちゃ!