先日、船橋にキモトモ(着物友達)が習っている日舞のオンライン発表会収録のお手伝いに行ってきました。今、舞台やイベントは開催が非常に難しく、日舞も例外ではありません。表現系の習い事は、発表する場があってこそモチベーションが保てる部分もあります。今まで何度か発表会を観に行っていたのですが、今年はコロナ禍で開催を断念。
以前の発表会の様子:
日舞発表会で衣裳着付見学☆藤娘って美しい!の巻
毎年市民センターでやっていた発表会を、オンラインでやろうという若いお師匠さん、藤蔭善次朗さんの発案で、衣装付きで松竹衣装さんや床山さんをお願いして7月に一度配信。11月にも、さらに演目を充実させての無観客配信を行うことになったというわけです。
観客席がない大広間の舞台での収録、控えの間で化粧や着付けをして、順番にお弟子さんたちが踊ります。師匠が主役の鏡獅子がメインの演目だったのですが、撮影も広間を利用したり、収録ならではの演出もあったりして、見応えありです。
私は写真撮影のアシスタントに行ったのですが、配信用の動画撮影のカメラもスマホで撮影し、師匠が自分で編集して数日で
Youtubeにアップするというスピード感。時代だな~とびっくり。
日舞の舞台は、踊り鑑賞ももちろんきもの好きにとってはたまらない、ザ☆日本の美の着物姿の宝庫。スタッフで伺ったにも関わらず、テンションが上がりまくり!!
お手伝いの合間に、衣装さんや床山さんのお仕事を見学させてもらったりお話をうかがったりもさせていただきました。裾引きや引き抜きなどの特殊な着付けを鮮やかな手さばきで仕上げて行く衣装さんのお仕事にうっとり。踊っているときに衿などが着崩れたりしないように、ところどころを糸で縫い留めるのですが、しゅっと糸を結んでシャッと伸縮リールについたはさみを伸ばして糸を切る所作がめっちゃかっこいい!!
どんどん美しい衣装が着付けられ、かつらをつけて、踊る社中の皆さんの華やかさ美しさにうっとり。最後のオフショットのところには、着付けの様子なども紹介されているので、そこもお見逃しなく!
床山さんにお話を伺ったところ、この舞台で一番大変なのは鏡獅子のお小姓、弥生のかつらとのこと。4キロ近くあるんだとか。高さもあるのでぐらんぐらんしちゃって大変だと思いますとおっしゃっていました。鏡獅子の毛振りに使う「獅子毛(振り毛)」よりも重いんだそうです。獅子毛は、動物のヤクの毛で作られているんだとか。近くで見ると、ちょっと縮れていてフワフワです。でもとにかく長い! お手入れが大変とのことでした。いつも客席から眺めているものを間近で見られて、とっても嬉しかったです。舞台のお仕事は春はもう全くなく、夏以降からぼちぼちと動き、こうした収録などで呼ばれることもあるが、やはり減っているということでした。
今回は明るいところで音響さんのお仕事も拝見できたのですが、演目にあわせて音楽を用意し、かけ声や拍子木も入れて行く手際も鮮やか。華やかな舞台はいろんな人の力でできているのですよねー。
自粛期間になってから、社中のお稽古もままならなくなり、オンライン稽古を始めたのと平行して、なんと自身の舞踊の動画を100日連続Youtube動画配信した善次朗さん。日舞界の先輩方がオンラインで発信をされているのを見て、自分も願掛けも兼ねて100日踊ってみようと思ったそう。
100日連続というのは踊るのも演目を決めるのも大変で、演歌に振り付けをして踊ったりも。最後は衣装付きで「千本桜」を披露。そういった経験値の積み上げもあり、3時間以上の発表舞台も、自分で編集して配信。
無観客でのオンラインながら本格的に衣装付きの舞台にしようと思ったのは、微力ながら日舞を支えている裏方さんたちにもお仕事をお願いできればとの気持ちもあったそう。伝統芸能の世界で培われてきた技術も、一度途絶えてしまえばそれを復活させることは本当に難しい。着物の世界にも通じるお話だと思って伺いました。
今は映像を誰もがスマホで気軽に撮影できるし、発信もできる時代。とはいえ旧時代の自分はなかなかなじみきれない部分もありましたが、こうして自分で軽々と映像も扱い、発信する姿を見せていただくと、感ずるものがあります。。。
まだまだ踊りたい演目がいっぱいあるんで、それを踊るまでは絶対くたばれません!という善次朗さん。今年日舞を教えはじめてから10周年、コロナ禍で日舞も従来のやり方では続けて行けないかもしれない中、試行錯誤で活動を続けられています。Youtubeでの発信も、実は6年前から。続けているうちにチャンネル登録者数が少しずつ増えてきているそう。何事も継続ですよねー。
今までは限られた人しか知らない、見られなかったこともYoutubeなら全世界に発信できるのがすごい。有料での舞台配信も増えているし、新しい可能性もいろいろ生まれてきそうです。衣装を片付けている動画やメイキング動画もとっても面白く、私も、何度も動画を見せてもらっているうちに日舞に親しみがわいてきました。たくさんの方に日舞の魅力が伝わりますように。着物ファンにはぜひみていただきたいチャンネルです!
ふじかげよしじろうチャンネル