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オトナの振袖!還暦振袖撮影のおはなしの巻

星わにこ
2025/07/02 00:00
今年に入って、オトナの振袖撮影や着付のお仕事が増えているわにこです。2019年の東京キモノショーで還暦の女性たちによる「大人の振袖ファッションショー」が行われてから、「大人も振袖を着てもいいじゃない」という風潮が生まれてきたように思います。 カメラマンの友人と運営している写真スタジオ「昭和な家スタジオ」でも大人の振袖撮影会は大好評。一人で撮影に来る方も、グループで撮影に来る方も、美しい振袖姿に変身して、とてもいい笑顔を見せてくださいます。 二十歳の時きた振袖をもう一度着たいとか、パーティに振袖で出かけたいとか、動機はいろいろですが、ヘアスタイルを決めて、フルメイクをし、振袖に手を通すと本当にわ~っとテンションが上がるんですよね。私たちスタッフも一緒にわくわくしてしまう楽しさです。 最初は振袖着て大丈夫ですか?とか、何を着たらいいか全然わからない、という感じなのが、実際振袖を羽織って、帯や小物を決めていくとどんどんお顔が輝いていきます。大人なので自分に似合うものもよくわかっているし、最終的にはなるほど!というお似合いのコーディネートが出来上がります。指輪などのアクセサリーも大振りで豪華めなのが似合うのも大人ならでは。 ご自分の振袖をお持ちくださる方もいれば、帯だけ、バッグなどの小物だけなどお持ち込みの方もいます。やっぱりご自分のものを活かしたほうが想い出にもなりますから、レンタルと組み合わせていただいています。 そんな中、先日大学の同級生4人グループで、卒業式の袴写真と同じ並びで撮影したいです!というお客様が。忙しい中予定を合わせて衣装合わせと撮影に来てくださいました。 お一人お一人お支度ができると歓声が。綺麗!可愛い!似合う!素敵!ってたくさんの褒め言葉が飛び交ってスタジオは大盛り上がりです。 まずは一人ずつ、立ちポーズや座りポーズ、扇や傘を持つなど小道具を使った撮影をします。リクエストでお持ち込みのフルートでのポーズ写真も撮影。 七五三や成人式もそうですが、前に着物で撮影したポーズと同じで撮影してほしいというリクエストもよくあります。家族や兄弟姉妹で「〇〇年後」と、比べてみると、来し方を振り返って胸がいっぱいになるものですよね。 この日は大学の卒業式に撮影したという、グループでの袴姿のスナップ写真をお持ちになりました。写真に映っているのは5人でした。 「もう一人仲良しの友達がいたんですけど、五十代で亡くなってしまって。着物が好きだったので、みんなで着たかったです」と着物姿のご友人のお写真をお持ちになって、卒業式と同じ並びでのグループ写真を撮影しました。ご友人も、着物姿で皆さんとニコニコ笑っておられるような気がしました。 そして、卒業後永きに渡ってずっと友情を持ち続けられるということも本当に素晴らしいですよね。集まった皆さんは、女子大生に戻ったみたいにとっても楽しそうで、私も一緒に盛り上がってしまいました。 成人式の時にも思うのですが、何事もそのお祝いの日が迎えられるのが普通、なんてことはなくて、無事に生きてこられたことの尊さ。特に還暦ともなると、そんな重みも増してきます。 こうやって大事に想ってくれる人たちがいる限り、人は生きているのだろうなと思います。また、人生を大事に生きなくてはと、亡くなってからも励まし続けてくれているのだろうなと。私も先日亡くなって30年経つ弟の学生時代の友達からお墓参りをさせてほしいという連絡を受け、家族以外にも大事に思ってくれている人の存在に涙が出ました。私も亡くなった大切な人たちのことを忘れずにいたいと強く思います。 山あり谷あり。順風満帆でなにもない平坦な人生など滅多にないのではないでしょうか。それぞれがいろんなことを乗り越えて迎えた干支ひとまわり、還暦からの出発の振袖姿はとっても輝いていました。オトナの振袖、やっぱり素敵です。 なんか胸がいっぱいでなかなか書けなかったのですが、やっぱり書き残しておきたいと思いキーボードをたたきました。 時には自分のポンコツぶりに嫌になってしまうこともあるけれど、生きていられることに感謝して、また着物を楽しめることにも感謝して、日々過ごしていきたいと改めて思っているわにこでした。