1月は新年会が何度かあり、今年は着物で参加しています! 先週はお友達と東京都小金井市にある臨済宗の尼寺、三光院さんで精進料理をいただいてきました。
三光院の精進料理は京都の曇華院の「竹之御所流精進料理」を継承しており、皇女や宮家から出家した女性たちが食べていたものということで、洗練されていて見た目にも美しいのが特徴だそう。二代目住職の星野香栄禅尼が精進料理の普及に尽力されたため、一般の人にも提供されています。
星野禅尼は精進料理の追求の他にも1980年代に『Zen Vegetarian Cooking』という英語で精進料理を紹介する本も出版されており、世界でベストセラーに。国際交流の中から生まれた新しい精進料理もあるのだとか。現在は、フランス料理研究家として活躍されたのち、精進料理の道に入られたという西井香春さんが受け継いでおられます。
精進料理については「お肉や魚を使わない料理ですよね」くらいの知識しかなかったのですが、かなりしっかりと説明を受けながら、作り置きはせず一皿一皿作りたてを提供していただく季節のお味は、滋味深く有難く感じられました。決して華美ではないけれど美しい器や飾りの葉なども使われて、目でも楽しめるのが御所流とのこと。
ほとんどお出汁を使わず、素材の味を楽しむというのも特徴で、供されるたびに「おいしー」「感動~」と声が漏れます。料理だけでなく器や室礼の由来などの説明もあり、いちいち納得。
最初はお菓子とお薄からいただくのですが、お菓子は直前に餡と大徳寺納豆を詰めたという最中で、三光院の印、笹竜胆紋の入った皮はぱりぱりで香ばしく、餡の甘味と大徳寺納豆の塩味が最高! お料理も見た目にも美しいものがたくさん。
定番だという大和芋の海苔巻きはころんと可愛らしく、やさしい食感にも驚き。ごま豆腐、揚げ物などもあり、大満足。お正月ということでくわいが使われていたり、旬のものを取り入れていて、毎月趣向がかわるそうです。
最後に啜り茶という、お煎茶を蓋椀でいただく体験をしました。煎茶道でいただくお茶のように、最後の1滴があま~くて美味しかったです。
日々の喧騒から離れて静かなお寺で、普段なかなかいただけない丁寧なお料理をいただいて心身ともに浄化されたような気持ちに。春の筍の時期、初夏の梅の時期‥‥と折々のおすすめを伺って、またぜひ来訪したい!!
禅は坐禅を組んで修行するだけでなく、「作務禅」といってこうして精進料理を作ったり清掃や日々の営みをすることもまた禅。それぞれの修行の形があるというお話に、もう少し日々丁寧に暮らしたいものだ……と感じ入りました。

13人という大人数で出かけたのですがうち5人が着物でした。今の時期ならではの梅の花、雪だるま、雪の結晶、椿などのモチーフが取り入れられているみんなのコーデを見せてもらうのも季節を感じられてまたよかったです。
私は、幹事をしてくれた友人にもらった帯にちょっと寺院ぽい建物の模様が入っている大島紬にしてみました。

ちょっと贅沢な時間、たまにはいいですね~。着物って、着るのはちょっと面倒くさいけど、そんなゆったりした時間にぴったり寄り添ってくれるものかもしれませんね。
<追記>
メニューやイラストの「豆腐の茶碗蒸し」の記述ですが、豆腐の『腐』の字が忌み言葉ということで三光院さんでは「おかべの茶碗蒸し」というそうです。おかべ、とは宮中の女房詞であり漆喰の壁のことで、豆腐を白い壁にみたてての言い換え。雅ですね~。