着物って、譲っていただいたりリサイクルで入手したり、古いものに袖を通す機会が結構あるのではないでしょうか。お母さんのもの、おばあちゃまのもの。私なんか、自分の若い頃の着物だって気がついたら30年以上経っているものもあります。
洋服だったら、そんな昔のものを着ようとはなかなか思わないのではないでしょうか。物理的に増量してサイズが合わないということもある(爆)んですが、たとえサイズが合ったとしても流行もあるし、第一処分してしまって手元にはないことも。
でも、着物はたとえ着なくてもずっと大切にしまってあったりして、多少のサイズの融通もきくし、着ることもできるしお直しも可能です。受け継いで着ることができるのは素晴らしいことだなあといつも思います。
一緒に、古い着付け小物や肌着、履物類も残っていて、そのまま使うこともあるのではないでしょうか。肌着や靴のそんな昔のものを身につけるというのは洋服だったら抵抗があるのではと思いますが、不思議と着物だと抵抗がない人が多いですね。
もちろん、未使用だったり新品同様だったりすることもありますし、そのまま使っても悪いことはないのですが、長年の経験から「草履だけは新しいものを買って」と言いたいです。
なぜなら、古い草履はまじ危険だからです。ウレタン草履は、加水分解といって経年劣化でぼろぼろと崩壊することがありますし、合皮はポロポロと剥がれてしまうこともあります。皮の草履でも、接着部分が剥がれてしまったりすることも。スニーカーなどでもみられる現象です。
大切にしまってあったものは、一見すると綺麗でなにも問題がないように見えますが、内部では確実に劣化がきています。中には大丈夫なものもありますが、私も古いウレタン草履の崩壊(履いて歩いているうちに、台がぐしゃり‥‥と潰れた)や、草履の底がベロンと剥がれたという経験がありますし、そういうトラブルは実際まわりでも結構起きています。経験した方や話をきいたことがあるわという方も多いのではないでしょうか。
靴やバッグなどでも、古い合皮のものは触るとベタベタしたり、強めに擦ってみると傷がついたりよれたりするものがありますよね。劣化でちょっとでもそういう傾向が感じられるものは、履くのはやめたほうが無難です。特に雨草履は注意!!
また1回しか履いてないのに、とか、全然綺麗に見えるのに、というものでも古いものはやはり劣化の危険があるのです。個人的な目安だと、ウレタン草履は一度でも履いたものは10年は無理(5年くらい)本革は保存さえよければ15~20年ものくらいはいけるかなと思いますが、それ以上古いものは私も手を出しません。それ以下のものでも保存が悪いものだとNGなこともあります。
着物でお出かけ、特に歩き回る場合は高価なものでなくても、自分の足に合った新しいものを購入されるのをおすすめします。。。出先で草履がダメになったときのリカバリーは本当に厳しいです‥‥。昔みたいに角々にはきもの屋さんはありませんし、デパートに駆け込んで高い草履を買う羽目になった人も。大事な日ならなおさらなので、本当に草履だけは古いのはやめておきましょ、とおすすめしています。
見た目はね、痛んでないの。本当に綺麗でもったいないの。でも、基本古い草履は消耗品。履くのはやめとこ、人に譲ったり売ったりするのもやめとこ、大切なものや素敵なものだったら写真をとって思い出に残しとこ、ということをお伝えしたいでございます。