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きものでアフタヌーンティを楽しむ。の巻

星わにこ
2021/10/27 00:00
緊急事態宣言が解除されて、ちょっとおでかけしてもいいかな?と思っていたところに、キモトモ(着物友達)から「ちょっと気分の上がる着物を着てアフタヌーンティでもいかが?」というお誘いが。 自分の楽しみのために着物を着ておでかけ、なんていつ以来でしょう。二つ返事で行くことにして、椿山荘のマロンアフタヌーンティーに。予約をして、指折り数えて楽しみに。まだ締めたことのない紅葉の染め帯をしようとまず決めて、そこからコーディネート。大好きな色無地ででかけることにしました。 普段、仕事で晴れ着の着付けなどもさせていただいているけれど、自分でやわらかものを着るのはひさしぶり。いつもはうそつき衿でちゃちゃっと着てしまいますが、ひさしぶりに絹の長襦袢を着ました。 とろんとした絹の重みが肌寒くなってきた気温に心地よく、まさに「纏う」という言葉がぴったり。歩くときに足に感じるなんともいえない柔らかい衣擦れの感触も懐かしく、気分があがります。 きものは、この贅沢な感触が魅力なんだな~とうっとりしました。 お袖の振りが長襦袢と着物とコートでぴったりと合って3重になっているのを、揃えて楽しんだり。自分だけの小さな満足がいっぱい。 そして、一緒におでかけしてくれたキモトモさんたちのおしゃれもまた眼福で。切嵌め刺繍の訪問着、初お披露目の帯、おばあさまの形見の黒猫の帯留、刺繍半襟、苧環の帯締、エトセトラエトセトラ。思い思いの「とっておき」を、お互いに素敵ね、と褒め合うのもくすぐったくて嬉しくて。 栗尽くしの美味しいアフタヌーンティは、目にも口にも美味しくて大満足。 アフタヌーンティといえば、英国発祥の喫茶習慣。まず最初に3段重ねのティースタンドが思い浮かびますよね。一番下がサンドイッチなど軽食、中段がミートパイやスコーンなど温料理、上段がデザートになっていて、下からいただくものだそう。お茶はおかわり自由で、いろんな種類のお茶が選べます。一杯目はストレートで、二杯目はミルクティーでなど味の変化も楽しめて、日常ではなかなか叶わない、まさにお味の宝石箱、テーマパークやあ(彦摩呂) ちょっとずつ味わう「栗」がテーマなお料理とお菓子はとっても贅沢気分。ホテルのサーブはとってもスマートで、とても優雅な時間を過ごせました。 やわらかものとアフタヌーンティという、ちょっと非日常の楽しみがこんなに嬉しく、気分が上がるとは。 また元の生活に戻っていけるのか、まだ波があるのか。おそるおそる出かけてみた久々の「おでかけ」でしたが、とても心が満たされました。家で美味しいものを食べるのもいいけれど、やっぱり友達に会って笑顔でご馳走を楽しむことって必要なことなんだとしみじみ。 まだまだ医療従事者の皆様への負担も大きく、すぐに元通りにはなれないけれど、ちょっとずつ。 コロナ禍以前にはなんでもなかったことが、できなくなって初めてこんなにも大切なことだったのだなと思い知らされることがたくさんあります。 同時にあれもできないこれもできないと思うより、これもできる、あれもできると、今可能な喜びや楽しみを大事にできたら楽しいですよね。 この1年半ほどでずいぶんと考え方や常識も変わったけれど、変わらないものもある。着物もなんだか着る気がなくなっていたけど、袖を通してみたらまた着たくなったわ、なんて声も。 あとやっぱりね、出かけてみるといかに普段「どうせどこに行くわけでもないし」ってオシャレに気持ちが向いていなかったかに気がつきますね。撮ってもらった写真を見て、コロナ太りの現実を目の当たりに! わーん! 自分のことを考え直すいい機会にもなりました。 少しづつ、失われた時間をそれぞれに取り戻して行けたらありがたいなあと感じたおでかけでした。