還暦で着る大人振袖☆東京キモノショー2019の巻
私は、この数年GW恒例のコレド室町で開催される「東京キモノショー」に出展側のお手伝いに入っているのですが、毎年来場される皆さんのバラエティ溢れる着姿に唸らされています。正統派も、カジュアル派も、和洋ミックスも、みんな楽しんで好きなものを着ている!というのが伝わって来て、とても嬉しくなります。
それから、すごく感じるのはそうして好きなものを着ている人は「着物が馴染んでいる」という自然さがあることです。気負いもなく、着物姿が自然。それは、イベントの場の雰囲気もあるのかもしれません。着物警察はいなくって、気後れしている人もなく、とてもにこやかな印象があります。いろんなきものイベントがありますが、そういう「なんでもあり」感がいつもいいなあと思います。
「東京キモノショー」という名前の通り、特にステージでの「ショー」が印象深いものがたくさんありました。中には立ち見のステージもあったようです。といっても、裏方なのでステージを実際見ることはできなかったのですが、今年はステージの映像がYouTubeにアップされて、誰でも見ることができます。
今年はお友達や知り合いもたくさんステージに上がったので見たかったな~と思っていたので、これは嬉しい! 大体次の日にはアップされているというオンタイムで、話題になっていたものをすぐに見られて満足。
中でも、「大人の振袖ファッションショー|成人式の思い出の振袖とともに」は、思わず涙がこぼれるほど感動してしまいました。
大人も振袖を着ましょう!な~んて常々言い続けている私ですが、この日ステージにあがったのはアラ還の女性たち。マジ大人です!
コスプレではなく、還暦を迎えて今までを振り返り、人生の区切り、再スタートの気持ちを振袖で。自分が20歳のときに着た振袖、娘のために作った振袖、東日本大震災で流されてしまった大切な振袖を胸に着るレンタル振袖‥‥。それぞれの想いがこもった振袖に袖を通し、いろいろなことがあった今だからこその笑顔でランウェイを歩く姿。
カッコイイ! そして美しい!
大人振袖ですから、小物も控えめ、帯結びもお太鼓や角出しだったのですが、振袖の持つオーラは、着る人の前を向く力強い心と結ばれてさらにパワーアップして見えました。
そのモデルさんの「物語」に心動かされ、また振袖の美しさにも感動し。振袖は、着物はただ美しいだけではなく、人の想いがこもっている。「着物の力とは、人の想いを繋ぐ、想いを映すこと。作り手の想い、誂える人の想い、着る人の想い、受け継ぐ想いだと思います」という、ショー主催のたかはしきもの工房の女将、髙橋和江さんの言葉に頷くワタシでした。
ああ、私も還暦を迎えた時に、こんなふうに、胸をはって振袖を着ることができるようになりたいと、新たな目標ができました。
20歳のときにはわからなかったこと。大人になって、はじめて知った気持ち。人生を、悲しいことや辛いことなどなにひとつなく過ごせる人などいないでしょう。でも、その分得られる喜びも、自分が目を向ければいくらでもある。いろんなことを背負い、でもそれに負けない力も身につけて。年を重ねることは、楽しいことだと思わせてくれる素晴らしいショーでした。
もうね、二十歳、四十歳、六十歳、八十歳、百歳になったら区切りで振袖着たらええんちゃうかな! その時その時の想いって、宝物になると思うのです。
今思うと、四十歳のときに着た振袖とか、ほんとピチピチでまだまだ若いなあと思いますもん(え、そうでもない?)。
未見のかたはぜひ! 動画を御覧下さいね。その他のショー動画も面白いですよ。きっと「いやあ~着物ってほんとにいいもんですね~!」と思えます!