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振袖や訪問着の伊達衿のゆるみを直す方法☆の巻

星わにこ
2019/12/25 00:00
 今年も残りあとわずか! クリスマスも平日でなんだか慌ただしく目を回しながら年を越しそうな予感しかないわにこです。  でも!お正月になれば、晴れ着。そして成人式の振袖と、華やかな着物を着る機会もあるのではないでしょうか。  そういった晴れ着に使われることが多い「伊達衿」。いつもの訪問着や付け下げ、色無地に足すとあら不思議。胸元が華やかになってフォーマル度がぐっとアップしますよね。  振袖には1本挿したり、2本、3本と重ね付けすることも多い伊達衿。伊達衿大好きな私は、十二単風に5本で着付けたりもすることも。5ミリくらいの幅で、一筋色が入るだけなのですが、意外と効きます! 八掛の色が結構効くように、よいポイントになります。  淡い同系色をあわせれば上品に、反対色を合わせればアクセントに。  色あわせも重要なポイント。例えば同じ赤でもちょっとした色の違いで着物がパっとしたり、くすんだりするので、気がついたら伊達衿がちょっとしたコレクションのように増殖してしまっております(阿呆)。  そんな素敵な伊達衿ですが、実は座ったり立ったりしていると、ちょっと緩んできやすいです。こうなると、せっかくのポイントが台無しに。  一番いいのは姿勢を崩さないこと。猫背にならないように気をつけていると、あまり胸元は緩まないのですが、それでもちょっと緩んで来ちゃったな‥‥と言う時に、緩みを直す方法がひとつあります。  それは、コーリンベルトのクリップを上から押すこと!  伊達衿を使う着付の場合、押さえる意味もあって、コーリンベルトというクリップがついた着付小物を使うことが多いです。コーリンベルトを使って着付けた場合、クリップで、衿と伊達衿を挟んで押さえてあるので、衿が緩んで浮いて来たら、帯の中のコーリンベルトのクリップ部分を探して、上からぐっと押すと衿の緩みがなおる、というわけです。  このクリップがある場所は左右の脇から10~15センチくらい(イラスト参照)。帯の上から指を入れると、あばら骨のあたりに固いものがあるはずです。それを指でぐっと押す。結構押すのに力がいるので、指で押せない場合は、扇子やなにかちょっと固いものを差し込んでぐっと下に押し下げると、衿の緩みが押さえられます。(ペンなど使う場合はインクが着物や帯につかないようめっちゃ気をつけて下さい!!)※コーリンベルトを使ってない場合は、この方法は使えません。  伊達衿を挿して着物を着たら、この裏技をちょっと思い出してください。  でも着物を着た時一番大事なのは姿勢。どんなにキレイな着物でも、姿勢が悪いとしょぼぼーんです。胸をはって、素敵な晴れ着姿を楽しんで下さいね。  今年も拙いコラムをお読みいただき、本当にありがとうございました。皆様どうぞよいお年をお迎え下さい。

お正月は家族で着物を!パパ着物もカッコイイの巻

星わにこ
2019/12/18 00:00
 あーー今年ももうすぐ終わってしまう! 気ばかり焦ってしまう師走です。4年ほど前から、成人式や七五三など記念写真撮影の着付のお仕事をさせていただいています。家族全員が揃う年末年始は実はご予約が多いのです。  成人式は、男子の凛々しい羽織袴の記念写真も結構多いのですが、パパの和服はほとんど見ません。家族写真で主役やママが着物でもいつも「なぜお父さんだけがスーツなのか」というのが疑問でした。  そこで、お父さんもぜひ和装で! と提案してレンタルを始めたところ、ぽちぽちと着てくれるパパが現れ、今では家族写真撮影のときの半分くらいが羽織袴姿をチョイスしてくれるようになりました。  これが、かっこいいんですねー。    だいたい、着物はよくお召しになりますか?と聞くと、結婚式以来です、とか七五三以来です、とか中には着た記憶がないですとおっしゃる方も。でも、これが似合うんですね~。  実はスーツって、西洋人体型が一番似合うようにできているんですね。逆に言うと、着物は日本人体型に一番合うようにできている。のでので、着物は日本人に一番似合うな~と実感しています。  この冬、七五三、成人式、結婚式とそれぞれのお父様の紋付袴姿の着付をさせていただいたのですが、若くても、年を重ねても、かっこいいのが紋付袴だなあ~としみじみです。  着たことがないものを着るのは、ちょっと勇気がいるかもしれませんが、こういう時にぜひ着てほしいなと思います。最近の着付の課題は正装のときの補整。男性も紋付のときにはちょっと補整を入れるといいかんじになるなということ。お腹まわりだけでなく、胸元もちょっと入れると紋がしっかり出るのですね。女性と同じだけど、体型が違うのでもっと勉強が必要だなと痛感しているところです。  お正月は、家族で着物で迎えるのも素敵ですね。正装とちがってもっと気楽にチャレンジできるとよいと思います。紬やウールもいいですね。タートルネックのセーターやパーカーの上に着物を羽織るミックススタイルから入るのもいいかもしれません。  私もお正月は着物で!という夢があったので、結婚してはじめてのお正月、相方にウールの着物を着てもらったのですが、そのときステテコという秘密兵器を知らなかったため、着物って寒いからやだ、と次の年から着てもらえなくなってしまいました。トホホ。  先日、中学生の息子がパーカーとスパッツの上に着物を着ていましたが、なかなかいいかんじでしたよ。銀魂とかに出て来るキャラみたいでした。あったかくするとか、着たときの快適さや楽さの工夫も大事かと思います(^^;)。そういう姿で、帯の位置とか、袂のさばきかたなんかに慣れると、どんどん所作もかっこよくなりますよね。  ただ着物もまた、昔の着方のままでなく、新しい着方、新しい所作がスタンダードになってくるのかもしれないなあ~と思ったり。  結局なにが言いたいかと言うと、おしなべて日本男子はめっちゃ着物かっこいいので、もっと着物を着て!というお話でした(えええ)

年末セールでオススメ防寒グッズを探せ!の巻

星わにこ
2019/12/11 00:00
 もう12月も上旬が終わり‥‥ってマジですか! 気がつくとあれもこれも積み残し‥‥気ばかり焦る師走。クリスマスのイルミネーションを見ると、毎年クリスマスの帯が欲しいな~と思いながら、パーティの予定もないしなあ、とまた今年も暮れていきそうな予感満載のわにこです。  しかし! 世の中は年末大バーゲンのシーズンでもございます。見ればついつい欲しくなる(笑)。今、いち利モールでは年末セールとあったかセールが重なってる時期!(15日まで)。1年がんばったご褒美に、なーんて言い訳しつつ物色している自分が危ないのは重々承知ですが、こういう時こそ後回しにしがちな小物やインナーに注目してみました。オススメの防寒グッズをご紹介です!  防寒でなにはなくとも着物の冬に欠かせないというくらい愛用しているのが足袋インナー。足元の冷え防止に必須なのです。ちょっとお色気には欠けますが(笑)スパッツなどを履くより、断然足元の寒さを防いでくれます。 私の愛用はこちら 足袋下ハイソックスのオークルベージュ  ちょっと厚めなので足袋は少し余裕のあるサイズにするのがおすすめです。もうちょっと薄い色もあるのですが、不思議とこの濃いめの色がチラっと見えた時に目立たない。あと絹のおかげか静電気が気にならないんです。  そんなに寒くないときはこちら、足袋インナーロング『ヒート+ふぃっと』。薄手なので足袋サイズも気になりません。薄手だけどよくあるストッキングタイプより断然あったかです。お値段お手頃な上に今セールかよ!(ポチッ)  チラっと見えた時やっぱり靴下が見えたらやだな~という方には足袋そのものが暖かいタイプか、足袋部分だけのインナーがおすすめです。  それから意外と冷えるのが、肘から二の腕。 ヒートテックなどを着込んでしまうと、これがもう脱げなくて暖房の暑いところで辛かったりするので、着脱できる着脱できるロングタイプのアームカバーがオススメ! ヒート+ふぃっとシリーズでありました。  白も可愛いけど、黒やグレーがコートに馴染んで洋服でも使いやすいので濃い色目もほしいところです。  首元はショールで。大判もいいのですが、冬は小さめのもので、コートの中にインしやすいものか、モフモフのファータイプを愛用しています。首を完全にくるんでしまうババスタイル。だって寒いんだもの(しくしく)。  ここまで書いて来て、すっぽりと体を覆う着物の中でチラ見えして美しい、首、手首、足首を完全に覆うスタイルだなと気がつきました(笑)。そのあたりの美学はそれぞれですよね。私はもう、首を出して歩いたら一発で風邪をひくのでがっつり覆う派です。  足袋下ハイソックスも、足袋が厚くなることで、草履の鼻緒が緩むからと履かない方もいます。私自身はそんなに気になったことはないのですが、このあたりもやはり美学というかこだわりですよね。  着物は、普段に着る分には洋服と変わらず、その人の好きに着ればよいと思うのです。そして、ここだけは譲れない!みたいなコダワリやスタイルも、それぞれだと思います。  自分の心地好いスタイルで、あったかい冬をお過ごしくださいませ。  あとはセールのときに肌着などを買って、お正月に着始めるのも気持ちが改まっておすすめですよ~。ちょっとくたびれてきたな、なんてものがあったら、今年のうちにさようなら。スッキリと新年を迎えたいものです。  着衣始め(きそはじめ)といって、お正月に新しいものを身につけるのは昔からよいとされてきました。  そうなるとやっぱり着物もねえ‥‥っと危ない危ない! 見るだけ見るだけ!(笑)でもめっちゃお安くなってる~!なんて誘惑と戦うのも楽しみ。年末のこのシーズン、お正月準備もお忘れなくです!

帯締めの房カバーに付箋紙が使える!の巻

星わにこ
2019/12/04 00:00
 七五三、振袖の前撮りなど着付仕事が忙しいこのシーズン。お持ち込みの着物を着付けることも多いのですが、時々アッ!と目からウロコがボロボロ落ちる技に出会うことがあります。  今日は、帯締の房を驚きのあるモノを使ってカバーしていらした方の技を紹介いたします。  それはなんと、付箋紙。帯締の房は実は私もいろ~~んなものを試してああでもないこうでもないと試行錯誤してきました。  和紙でくるんでテープでとめるやり方ですが、付箋紙ならばもうちょうどいい長さにカットされていてしかものりがついているという‥‥トレビアン!!  写真左がお客様のもの。振袖用なので、大きめのスクエアサイズ(75×75mm)の付箋紙でした。  右がわにこのもの。普通の帯締めなので50×75mmのものを使っています。普通の房だったらだいたい5センチくらいで収まりそうです。  試したところ、のりはしっかり止まった方がいいので、強粘着タイプがおすすめです。弱粘着タイプだとはがれてきてしまいました。  また、通常よく使うサイズの付箋紙だと房は1つ1つ包むのでないと大きさが足りないので、2つまとめてくるみたいもののためにしばらく大きな付箋を探すモードに入りそうです(笑)よく売っている大きいサイズのものは、長辺にのりがついているので、短辺についているものが欲しい! また見つけたら報告しますねー。  目ウロコのアイデア、お試しください。

身幅が足りない着物を裾つぼまりにする方法の巻

星わにこ
2019/11/27 00:00
 袷のシーズンも本格化してきて、半年振りにこんにちはする着物もあるわけですが、先日、ちょっと小さめサイズだけどお気に入りの小紋を着ようと思ったら‥‥‥あれっあれあれれっ(汗)しまっておいたせいか、着物が縮んでる!‥‥というのは嘘ですが、私の秋の成長に伴い、身幅が大幅に足りなくなっていたのです。  あーまあ仕方ないかと思いつつ、そのまま出かけたのですが(強心臓)、やはり出先で、先日身幅が足りない長襦袢をなんとかする方法を教えてくれた敏腕着付師さんに、もう少し裾つぼまりに着たほうがいいのでは?と言われてしまいました。  そうなんですよね~! 身幅が足りないと、下前がはだけてきがち‥‥。  実は身幅が大幅に足りないので‥‥と伝えると、あっ!そういう時は剣先に三角に布を足すといいんですよ~~!これ、コラムのネタにしてもいいですよ!と教えてくれました。なんという有難さ!!!  そうなのです。重ねが浅い下前は、うまく巻き込んでナナメに持ち上げるのが難しい。そこで、剣先に三角に布を足すことで、下前がうまくナナメに引き上げられるようになるというわけです。頭いい!!  早速試してみました!  ちょうど、下前を引き上げる時に身幅が足りないために、剣先だけが分離して上にあがって引きあげきれない衽の部分が、三角の布のお陰で剣先を引けばゆるやかに上に引き上げられて、裾つぼまりのラインを作ってくれるようになりました!  私は手元にあった木綿の布を使ってみましたが、とにかく、剣先と衽を繋ぐように布を足せば大丈夫。下前で隠れてしまうところですから、引く力に耐えられればどんな布でもOKです。引かれる三角の長辺部分をバイアスにしないことがポイントでしょうか(ここが伸びてしまうと意味がないので)。かなり雑ですみません。。。  あとは、もう大幅になんとかしたい!という場合は、剣先の下に裾まで布を足すのもアリだと思います。  やった! これで多少太っても大丈夫‥‥じゃなくて! マジでこの大増量をなんとかしなくては(汗)(汗)でも新米がおいしいよ~~(涙)(涙)  もし同じお悩みの方がいらしたら、ちょっと試してみてくださいませ。

ママの晴れ着で七五三☆の巻

星わにこ
2019/11/20 00:00
 お天気のよい日が続く東京、七五三のお祝いの親子連れを見ると幸せな気持ちになるわにこです。3歳も5歳も7歳も、それぞれに愛らしく美しい。子どもが無事育ったお祝いに、節目節目にお祝いし、感謝する。今よりも、医療が発達していなかった時代には、その有難さはまた別格のものだったことでしょう。自分も、息子の5歳のお祝いが出来たときは、なんだかほっとしたものです。  記念写真撮影のお仕事は、そんな節目のお祝いを写真に残すものですが、七五三の撮影はやはり子どもが主役だけあって、思うようにはならないし、ごきげんにあわせての進行となります。でも、その姿はそのときだけのもの。そう思うと、ハプニングがおこっても、それも想い出になりますよね。 「何度髪飾りをつけてもすぐ投げ捨てた」とか「七五三で袖を破ったので、それ以降着物を着ろと二度と言われない」とか「草履をいやがって足袋で神社の外をかけまわった」とか、中にはご祈祷のとき、申込書にパパが自分の名前を書いたため、お子さんでなくパパの名前で祈祷された、とか(爆)みんなそれぞれ、七五三あるあるです(笑)  今年はお客様から、ママが自分のおばあちゃんに縫ってもらった晴れ着でお祝いをしたので、それを娘さんにも着せたいというご相談がありました。 「自分が3歳のときにきた写真があるんですが、娘のほうが大きいはずなのに、羽織らせたらなぜかぶかぶかで‥‥使えますか」と言われたのですが、7歳でも着られる晴れ着で、肩揚げと腰揚げが解いてあったため、娘さんには大きかったのでした。  お預かりして、肩揚げと腰揚げをし、サイズをピッタリに調整。御詣りと記念撮影のお手伝いをさせてもらいましたが、すごーくよく似合っていました!   御詣りにはママのお母様もいらしていて、少しお話をさせていただいたのですが、ママの小さい時には、草履で歩けなかったのだとか。確かにママの小さいときのお写真も見せていただいたのですが、娘さんのほうがちょっと身長も高くしっかりしている印象。草履もちゃんと履いてしっかり歩いていました。  月齢で3歳になってすぐか、4歳近くなっているかの差もありますよね。「義母が縫ったものなんです。クリーニングに出してしまっておいたんだけど、少しくすんでしまったかも‥‥まさかまた着られる日がくるなんて」と喜んでいらっしゃいました。  そう、お母様がお手入れしてしまっておかなければまたこうして受け継がれることもなかったんですよね。その時点では、将来その女の子が女の子のママになって‥‥なんてことは想像もつかなかったはず。  着物を用意したひいおばあちゃんも、きっと喜んでらっしゃることでしょう。  そして、揚げさえすれば、サイズの調整が出来て着られる、着物ってすごいなと思いました。  ママも「私より似合っているみたい」なんておっしゃってましたが、本当にキラキラ輝く陽の光の中で、とってもとっても可愛らしかったです。  また7歳でも着られるね、とお話しましたが、3歳は被布で、7歳は帯姿で。同じ着物でお祝いできるってよくできていますよね。着物は鴛鴦の可愛らしい模様なのですが、3歳の今は鴛鴦のあたまがちょっぴり被布に隠れてしまっているけれど、7歳になったときは絵羽の模様が全部、キレイに見えることでしょう。想像しただけで胸アツです。  振袖は最近ママ振といってママの振袖を着るお嬢さんも増えていますが、七五三も、晴れ着が残っている方は受け継いで着られたら素敵だなと思います。全部ではなく、一部でも、ご先祖様から守られているようで、嬉しいものではないでしょうか。  着物のよさ、ってそういう「受け継ぐ喜び」にもあるのではないかなと思います。民族衣裳なのですから、ここイチ!なときにはぜひ着てほしいなと思います。日本人に着物って本当に似合いますから~~(力説)  子どもの着物姿に「似合うなあ~」と目を細めるパパママを見て、ほんとに似合いますよねえ~とウンウン頷くおばちゃんでした。子どもたちにも着物を身近に感じてほしいな!  この11月、七五三を迎えたお子様とご家族の皆様、本当におめでとうございます(^^)

帯のお太鼓をまっすぐに作る方法☆の巻

星わにこ
2019/11/13 00:00
 秋晴れの日が続き、週末は七五三の着物姿をちらほらとみかけた東京です。着物ででかけるのに、暑くもなく寒くもなく、よい気候。羽織を着るのはよく「紅葉の頃から桜が散る頃まで」と言われますが、そろそろ羽織りもののオンシーズンにもなりますね。羽織を着れば帯結びに自信がなくても、かくれちゃうからオッケー! 初心者さんのおでかけトライにもってこいのシーズンです。  帯結びに自信がない‥‥というとき、どうしても「お太鼓が曲がっちゃう」「傾いちゃう」というのをよく聞きます。どうやったらまっすぐになるのー、ということなんですが、答えはひとつ。  お太鼓を作る時に、鏡を見ない。  これにつきます。えっ!見ないとわからないのでは?と言われますが……。  鏡で後ろ姿を確認しようとすると、よっぽど大きな合わせ鏡かカメラで撮影しながら見るというようなことをしないかぎり、体を捻って確認するしかないですよね。体を捻って鏡を見ながらお太鼓を作ると、曲がる確率大! お太鼓が体の真ん中に来ない確率大! になります。  なので、帯を巻いて行くときは鏡を見て前帯がいい位置に来ているかを確認するのはいいのですが、お太鼓を作る時、たれに枕をあてるときは、鏡をみないで体をまっすぐにして、手の感覚で「帯が体の真ん中にきているか」「まっすぐ下にたれているか」を確認してから、枕をあててください。  このとき、枕が短めの場合は、枕が帯の真ん中にきているかも、鏡を見ないで手の感覚であわせてください。  なんなら眼を瞑って。私は瞑って、心の目で帯を見ています!クワッ(誰だよ) こうすると、指の感覚が他の情報に惑わされない気がするんです。もしよかったら試して下さい(笑)。  そうしてよいしょ、とお太鼓を背負うと、まっすぐ背負えます。体のくせなどでどっちかにずれるときは、ここまでやってからはじめて鏡を見て、チェックをしましょう。このチェックも、振り向いたり体を捻らないで、体をまっすぐにしたまま、横をむいて両サイドをチェックするのがいいです。  右左の横から見た帯に差があったら、ちょっと修正すればオッケー。くれぐれも、振り返らないことが肝要です。  たれの長さを決めるときも同じ。鏡を見ないで、手の感覚で指一本分のたれを決めていきます。お太鼓の形ができた、と思ったらはじめて鏡でチェックしてください。  慣れて来ると鏡をみなくてもできますが、ポイントポイントで鏡を見るのは自分の姿を客観的に見られるのでオススメです。  でも、鏡をじいい~~~っと見ながら着付けるより、手の感覚も大事にしながら着付けるとうまくいくような気がいたします。それぞれやり方は様々ですが、なんだかお太鼓が曲がっちゃう‥‥とかうまくいかない!というような時は、鏡を見るのをやめて、体に対してまっすぐかしら? と自分の体の感覚に問いかけてみてくださいね! あ、もちろん、ちょっと粋にタレをななめにしたいわ!なんてときもおためしください。手の感覚。

長襦袢の身幅が足りない時の超☆裏技!の巻

星わにこ
2019/10/30 00:00
 着物のトップシーズンがやってまいりましたね。今月の頭は暑くて袷なんて‥‥と思っていましたが、すっかり肌寒くなって、着物を快適に着られる気温になりました。紅葉狩りなどなど着物でおでかけしたくなりますね。  さて、もっぱら嘘つき衿で簡単に着物を着てしまっている私ですが、やはりちょっと気合いを入れてお洒落するぞ! な~んて、訪問着などをひっぱりだしてくると、それにあわせて作った長襦袢を着たくなります。  そんなとき。あれっ。長襦袢の衿がしっかり被らない。衣紋が抜きづらい。前のあわせがなんだか浅い‥‥もしかして、縮んだ!?  そうそう。着物とか長襦袢って、あまり着ないでしまっておくと、縮んじゃうんですよね~な~んて理由はなく、はい‥‥わたしが育ちました。というわけで、若い頃の着物や長襦袢の身幅がビミョウに(いえかなり)キビシイ。  痩せるしかないよね、とあきらめていたのですが、先日着付師さんに、そんな長襦袢の胸元をしっかりあわせる裏技を教えてもらいました!  それは、なんと、長襦袢の「脇をほどいて開く」という荒技!! 着付師さんも、どうしてもだめなとき、急を要する時、ご自分のものでほどいてもOKというときのみだけど、とはおっしゃっていましたが、なるほど、そうすれば衿をしっかり胸にかけられるので、衣紋もきっちり抜けますよね。  ただ、裾周りのあわせは深くならないのでそこは諦めですが、見えない部分なので不問で。袖の付け根から、腰の部分くらいまでの間の脇縫いをほどくのですが、それでも足りないときは、裾までほどいたこともあるそう。  あくまでも、どうしようもないときの応急処置、とおっしゃってましたが、もうちょっと衿があわせられたらいいのに‥‥と思うような、古い長襦袢でやってみるのはアリだと思います。よい子は真似しちゃいけません、な秘技とも言えるかも(笑)  肌襦袢の衣紋が抜けなくて、首元から見えてしまうような時に脇縫いをほどいてしっかり衣紋を抜き、胸の合わせを深くする裏技と同じ原理ですね。長襦袢を解く、という発想がなかったので目からウロコでした!  あまりないかもしれませんが、袷になっている長襦袢とかだとほどくのがちょっと難しいかもしれません。  もし、着用予定が差し迫っていてどうしても縮んだ(違)長襦袢を着なくてはいけないとき、背に腹は替えられない時、心の片隅に覚えておくとよい裏技かと思います。  どうも着づらいな~とか、うまく衣紋が抜けないな~と思っている長襦袢があったらそれはもしかしたら身幅が足りてないのかも!? あまり丈しか気にしない長襦袢ですが、そんなときは自分に身幅があっているかどうかも、ちょっと着目してみてはいかがでしょうか?

即位礼正殿の儀。装束の色で身分と年齢がわかる?の巻

星わにこ
2019/10/23 00:00
 令和元年10月22日祝日、即位礼正殿の儀がとりおこなわれました。台風19号の被害があり、いろいろと落ち着かない中、奥ゆかしく儀式が行われるのをテレビでみておりました。お祝いの気持ちと共に、装束スキーとしても、色や文様、着付などなど食い入るように見て家族にやや引かれていたりもしましたが(^^;)  装束は、皇室の儀式や神事にときに着用されるものであり、平安時代の形を今に伝えています。美しい形、色、正絹の輝き、どれをとってもひたすらに素晴らしい、世界に誇れる日本の伝統ですね。  男性は「袍(ほう)」女性は「十二単(じゅうにひとえ)」を着用します。この装束の色や文様には意味があり、立場や年齢によって変わります。奈良時代に制定された律令制では身分によって、着られる色が定められており、それが「禁色(きんじき)」です。  中でも、一人しか着ることがゆるされないのが絶対禁色。それが、太陽が最も輝く時の色を現したとされる「黄櫨染(こうろぜん)」と朝日が昇る色を現したとされる「黄丹(おうに)」です。黄褐色のような黄櫨染は、ハゼ・スオウで、濃い橙色のような黄丹はクチナシと紅花でそれぞれ染められています。黄櫨染は天皇陛下が、黄丹は皇太子がお召しになる色。令和の式典では、黄丹は皇嗣(皇位継承順位第1位の皇族)である秋篠宮殿下がお召しになりました。  テレビで30余年ぶりに見る平安絵巻のような装束での儀式を食い入るように(主にパーフェクトな袍や十二単の着付けを)拝見しておりました。今回は、外の廊下をお通りになる姿は見られず、高御座(たかみくら)の帳から天皇陛下がお姿を現される様子が、本当に荘厳で感動的でした。  女性皇族のお召しになっている五衣唐衣裳(十二単)にも色の違いがあり、皇后陛下しか着ることをゆるされないのが純白の唐衣(一番上の上着)。他の女性皇族の皆様は紫の唐衣をお召しになっていました。  その下の表着(うわぎ)は、年齢によって色が違います。高齢者(概ね40歳以上:え~~!)が二藍(紺)、それ未満が赤をお召しになります。  その下には打衣(うちぎぬ)を羽織り、その下に五衣(いつつごろも)といって、5枚の内着を着ています。この内着の色の重なりが、いわゆる十二単の重ねの色目であり、美しいグラデーションとなっています。等間隔で並び、胸元だけでなく、膝のあたりの衿下、そして裾にかけて引かれる重なりとこれぞ十二単のクライマックスやあ~!と言いたくなるような美しさ、たまりません!  あとは、長袴のお色も違っていたのに気付かれましたでしょうか? 雅子皇后陛下や秋篠宮妃紀子様は赤い緋袴(ひのはかま)、眞子様や佳子様は紫のような濃色(こきいろ)の袴でした。緋色は既婚者、濃色は未婚者(既婚でも第一子出産まではOKという説も)の色目とされています。  実は打衣や、単(五衣の下、肌着の上に着る)も同様のルールがあります。こうした色目でも立場や年齢を知ることができるのですね。そんなところにも注目して見ていただくのも、面白いのではないでしょうか。  装束が、その形だけでなく、決まりや着付け方とともに、1000年以上受け継がれていることはすごいことだなと思います。実際に儀式などで陽の目を見るのは、稀なこと。しかし、重要なこと。その日のために、守り、伝えている方々の努力に頭が下がります。着物も、そういうエッセンスを十分に受け継いだ、民族衣裳なのだなとしみじみ。  こういうことこそが「文化」なのだなと思います。  儀式が始まると、降りしきっていた雨が止み、虹がかかるというミラクル。そして富士山の初冠雪が雲間から姿を現すという、まるで神話のワンシーンのような出来事がおこったのにも胸が熱くなりました。  即位を宣言されるお言葉の中で、平和と福祉という言葉が、特に心に残りました。今回の台風の被害のように、辛いことや大変なこと、いつの世もたくさんの試練はあります。でもその中でも、みんなが自分が守りたいもの、大切にしたいものを見極め、人間らしく生きていける時代になってほしいと、こころより願う大切な1日になりました。弥栄。

楽しみ方も4通り。リバーシブル3部式作り帯の作り方の巻

星わにこ
2019/10/16 00:00
 台風19号で被害にあわれた皆様に心よりお見舞い申し上げます。東京住まいの私も気が気ではない時間を過ごし、日常生活が送れる有難さを噛み締めました。一日も早い復旧を祈っております。  先週のコラムで紹介した羽織のお袖サコッシュですが、気にって持ち歩いています。絞りのふわふわの触感が、すごく癒されて、お気に入りの布を身につける喜びってすごいなと実感中。正絹のパワーも感じます。  乳のアクセントには、鍵をカニカンで引っ掛けて使っています。これがカバンの中での行方不明を防いでくれて結構便利。可愛いからとつけた乳ですが、役にたってます!  どちらかというとできたら着物はそのままで着たい、とリメイクには積極的ではなかったのですが、気軽に身に着けられるものにして楽しめるのもいいなあと思っております。  さて、またまたソーイングネタなのですが。オリジナルプリントの布で帯を作ろう!という無謀なチャレンジをしました。  友人達と「フォントかるた」というかるたを作って販売しているのですが、そのフォントかるた模様の布を作ったら面白くない?という話で、とうとうオリジナルプリントで一反(50メートル(爆))の布を作ってしまった私達。それぞれ、バッグがほしいとかエプロンがほしいとか、好きなものを作ろうということになったのですが、私はもちろん、帯が欲しい(笑)。  もう一人のキモトモと共に、作り帯を作ろう!という話になりました。本格的な作りでは無理なので、ミシン縫いで、三部式にすることに。  三部式のいいところは、平らな状態のパーツを組み合わせればいいこと。なので、どうせなら裏表のリバーシブルで使えるようにと考えてみました。  キモトモが急ぎ着用したいパーティがある!とのことで、頑張って縫い縫い。  プリント布が結構ぎっしり模様なので(笑)、裏面とたれは無地にして、無地ではちょっと淋しいので、布描きペンで字を書いてみました。フォントは游明朝(笑)。好きな布が使えるのが手作りのいいところ。  これを胴部分(幅17センチ×長さ160センチ)とお太鼓部分(幅31センチ×長さ100センチ)、手部分(幅17センチ×50センチ程度)にわけて縫っていきます。  布はオックスなのですが、そのままではペラペラすぎるので、中に接着芯を貼りました。ただ、まだ暑い時期に作ったのでちょっとでも涼しいほうがいいという気持ちが働き、薄手の芯にしてしまったのですが、考えてみれば真夏には使わないだろうなので、もっとしっかりした厚い芯にすればよかったなと反省。厚手のほうがきれいに形が作れますし、やっぱりちょっとフニャフニャしちゃったそうです(キモトモ談)。  胴部分には、紐をつけます(腰紐を半分に切ってつけると縫わなくていいのでラクです)。今回、模様部分の余りのインパクト(笑)にお太鼓のタレの部分は無地にしたくて、途中継いで作りました。  あとはこれを装着するだけ。この三部式作り帯の弱点は、お太鼓の山が落ちやすいことなので、胴を巻いたら枕をのせるあたりにハンドタオルなどで「受け」をつくってあげるといいです。「トンボ」などを使ってもいいと思います。  この部分に、胴にひっかけるフックなどを縫い付ける方法もあるのですが、そうすると全部平らにたたんでしまえる三部式作り帯の良さが減るような気がするので、そのままがオススメです。  今回リバーシブルで作ったので、裏と表と組み合わせて4種類(手のむきを含めるともっと)の帯が楽しめます(イラスト参照)。  また、どうにも結びにくい短い帯とか、模様がうまくでないもの、シミがあってお太鼓だけ裏を使いたいものなども、思い切ってカットしてこの三部式にしてしまったものもあります。ただ、切ってしまうと元には戻りませんから、切ってもいいなと思うものに限るということで。  とにかくまっすぐ縫うだけなので、縫い物といったら、子どもの入学セットをなんとか作れた!程度のわたしでもオッケー! 自分の好きな布で作れると思うとワクワクしますよね。  ちなみに、キモトモの為に頑張る!とこのときはがんばって縫ったわたしですが、自分の分については未だ「ずく」がでなくてやってません(ええ~)。そこが最大の問題かもしれません。ヤル気の神様、降りて来て~(笑)。  組み合わせをアレコレ考える時間も楽しいもの。時にはこんな手作りも、自分が楽しい&タイヘンなので職人さんの有り難みがわかるという有意義な(?)経験になりました。秋の夜長のソーイング話でした。