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志村ふくみ100歳記念特別展を見てきましたの巻

星わにこ
2025/01/15 00:00
三連休は20歳を祝う会が全国各地で開かれましたね。東京は雪予報が出ていてドキドキしていましたが、晴天で終わってほっとしているわにこ@着付です。20歳の皆様、ご家族の皆様、心よりお祝い申し上げます。 さてコラムはちょっと前の話なのですが、大倉集古館に特別展『志村ふくみ100歳記念―<秋霞>から<野の果て>までー』を着物友達に誘われて観に行ってきました。 告白しますと志村ふくみさんのことは「あの~紬織の~人間国宝の方ですよね」くらいの知識しかなかった私。せっかく誘ってもらったしとても手が届かない着物だけど一度見てみたいな、と軽い気持ちで入館して、いきなりハンマーで殴られたような気持ちになりました。 今年100歳を迎えられる志村さんの作品がずらりと並んでいるその最初の<秋霞>と名付けられているさまざまな青が重なり織り出された着物。その力強さもさることながら、作品が生み出された背景の説明に驚きました。 二人の娘を抱えて離婚後、30歳を過ぎて民藝に携わっていた母・小野豊の導きもあり、紬織の道へ。子供を預けて近江で一から織を学び、やがて1958年の伝統工芸展でこの<秋霞>が奨励賞を受賞する。その後も次々と入選を果たして工芸界のスターとなっていく。それまで庶民の「布」だった紬が芸術として認められていったのです。 その始まりの着物は、深い湖のような、夜が深まりまた明けていくような佇まいで、そのあまりにも力強い存在感に圧倒されてしまいました。母の豊が「もうそれ以上の着物は織れないかもしれない」と評したほどの、代表作です。 各年代の作品が並べられ、琵琶湖の自然を写した作品や音楽や詩にインスピレーションを得た作品など、志村さんの織物は「芸術」なんだと思わされます。 100歳を目前に制作されたという最新作<野の果てⅡ>は、<秋霞>とは対照的な軽やかな色のグラデーションの作品。裾の日本ムラサキで染めた薄紫から曙のように明るくなり、紅花染めの薄桃から薄黄色へと変化していく様は、太陽の光のよう。そして肩の萌黄色は、今いる野なのでしょうか。それともこれから向かう野なのでしょうか。生きる力が込められたような秋霞と対照的に、こちらは軽やかで柔らかでふわりと肩の力が抜けるようで。 タイトルの「野の果て」の元となった自作の童話も展示されており、随筆家としても有名な志村さんの芸術の原点がそこにあるようでした。 紬織を見るときにはどんな糸でどんな染色をほどこしどんな技法で織ったのかということばかりについ目が行くものですが、それよりもそのものの美しさや佇まいとどんなバックグラウンドで製作されたものなのかということに焦点をあててみるというのが新鮮な体験でした。 いくつかの作品と、製作の背景の志村さんの人生や求めてきたものなどの一端を見ただけですが「これが芸術というものか」と感じ入り。随筆もたくさんあるので、拝読してみたくなりました。 自分的には昨年までずっとアウトプットばかりしてきた気がするので、今年は、博物館や美術館にもでかけて知識を深めるインプットの年にしたいななんて思っています。 1月19日までの展示となっておりますので、未見の方はぜひ! 着物で行くと、入場料が300円引きという嬉しいサービスもありますよ。

晴れ着はじめはホテルのアフタヌーンティでの巻

星わにこ
2025/01/08 00:00
あっという間に年があけて1週間! 年初の「週3着物生活」は家にいるときも洋服の上に着物を着るオーバーワンピ式×2日と、おでかけ着物×1日でした。オーバーワンピ式は、ゆるっと着てみたのですが、帯が意外と圧迫感があり男着物風に腰紐だけでいいんじゃん?と思ったり。 晴れ着始めは、キモトモ(着物友達)新年会で椿山荘へ。「晴れ着を着てアフタヌーンティを」ということだったので、私もがっつり訪問着と袋帯で参加しました。新年会にアラ還の12人の訪問着・付下げ(黒留も!)が集ったわけですが、かなりなはくりょ‥‥いえ華やかさでした! やはり晴れ着は気分が上がります。 ちょっと贅沢なお正月のアフタヌーンティ。見てくださいこの楽しそうなこと。美味しい紅茶をいただきながら、話に花が咲きました。キモトモの皆さんとは10年以上のお付き合い。仕事や子育ての悩みを相談し合い、今では介護と健康と老後について相談し合う仲です。せっかく晴れ着を着たので、ということで、カメラマンの渡部瑞穂ちゃんに写真もとってもらいました。この嬉しそうなこと(実際嬉しい)。 私のコーデはちょっと大人色の雲取り紋様と松竹梅に菊という重めの訪問着と、これまた大柄な松葉の帯。帯締めは貝の口亀甲組。帯揚げはこのコラムを始めた年に、いち利モールで記念で買った加藤萬の市松の疋田絞り。毎年お正月には使うことにしています。 半衿はこれまたいち利ロゴの入った鱗の刺繍半衿。厄除けにもいいとされる鱗柄ですが、今年は巳年なので一層よし!ですね。衣紋には銀座いち利の赤いロゴが入っているので、ちらっと見えるとさりげなくオシャレです。私は生成をヘビロテしていますが、カラバリもたくさんあっておすすめですよ! 上着はフルレングスのコートで、首元はもふもふショール&手袋&足元はしっかり足袋下ハイソックスで防寒していきました。お天気もよかったし、家に返ってスマホを見たら15000歩歩いていました。でも不思議と疲れを感じてない。 そこであれれ、と思ったのですが、家でリラックスしている時に来ている着物よりもずっと重い訪問着と帯なのに、しっかりと補整してピッタリ着付をしたほうが楽ちんだったのです。 「着物を着る時はきちっと布目を考えて体をしっかり包むと、布で体を支える」のだということが実感できました。ゆるりと着るのもお好みでいいと思うのですが、ゆるゆるだと私はかえって疲れる感覚がありました。今年はほどほどに楽におうち着物を着る研究をしていきたいところです。 まだまだ1月中は新春気分で、晴れ着も楽しみたいなと思っております。改めまして今年もよろしくお願いいたします!

オトナの週3着物生活はじめるよ!の巻

星わにこ
2025/01/01 10:00
新年あけましておめでとうございます。なんと元日にコラム更新という初めてのことにドキドキしております。いつも読んでくださる皆様のおかげで、長く続けさせていただいて本当に感謝しております。本年も、どうぞよろしくお願いいたします! せっかくなので新年の抱負など書いてみたいと思います。毎年コラムを締め切りに余裕をもって提出したいとか、思うわけなんですがなかなか‥‥。 いろいろ考えてみたんですけど、私はどうも性格も運勢も極端らしくて母にもオールオアナッシングすぎるとよく言われていたものです。でもずっと全力投球で目標に向かって集中して走り続けある日突然倒れて強制終了みたいなことから卒業したいなと思い、一昨年から体力をつけようとジムに通いはじめました。行けないこともあるんですが、最低週に1回行くと決めて、まあまあ続いています。 最初は毎日!あれもこれも!と張り切って始めたのですが、最近は「お風呂に入りにいくだけでもいい」と思ってとにかくその場にいけば合格としています。ジム友もでき、声をかけあって参加。ものすごく低レベルなのですが、なにもしないよりはいい。なにしろ運動とは縁のない人生を送ってきたので、私にとっては大きな進歩です。 リンパマッサージの先生にも「ジムに行くようになってから、体の状態がいいですよ」と言っていただき、この年齢でやっと「自分ができる範囲で続けることの大切さ」を知りました(笑)。 それでなんの話かというと、ずっと『オトナの着物生活』というタイトルでコラムを書いている割には、仕事だったりお出かけだったりネタ探しだったりということで着物を着ていて、日々の「生活」を着物で楽しんでいるかなというと、まだもうちょっと楽しめるんじゃないかな?気がしていました。 せっかく寝込んだりすることも減ったので、『毎日着物生活』どうだろう!?と友達にも言ってみたのですが、ちょっと待て待て。目標を高く持ちすぎて途中で倒れちゃうパターンでは?と思い直し、今年はほどほどに『週3着物生活』を楽しんでみよう!と。 25年くらい前に毎日着物生活を半年くらいしたことがあるんですが、着物に夢中で楽しかったけど、ある日気がついたらウエストが消滅していました(笑)だからやめたというわけではないんですが、洋服に戻ったらすとんとそのまましばらく着物も着なくなってしまったことがあります。 私はこれからの人生、なんでもほどほどで生きていくことを覚えたい(切実) そして出番を待っている箪笥の着物たちともいいお付き合いをするべく、『オトナの週3着物生活』はじめたいと思います! また今年も徒然コラムでご報告させていただきますね。 本年も一緒に着物生活楽しみましょう。

2024年の着物のおしごと振り返りの巻

星わにこ
2024/12/25 00:00
もう今年も終わってしまいますね~。皆様どんなクリスマスを過ごされたでしょうか? 12月は原稿を書いたり雪の長野に出張に行ったりパーティに行ったり撮影スタジオの仕事や着付レッスンをしたり。あっという間に過ぎてしまったわにこです。大掃除?なにそれ食べられますか? この1年、大好きな着物に関わる仕事がたくさんできたのでちょっと振り返ってみたいと思います。 1)このコラムの徒然をまとめた『裏ワザ満載無理なく楽しむ オトナの着物生活』が発売になったほか、『もめないための相続前対策 親が認知症になる前にやっておくと安心な手続き』(安田まゆみ共著) 『動画でわかる 誰でもカンタン楽ちん着付け』(髙橋和江著)の漫画やイラストを担当させてもらった! 2)SPILE ESSEN2024 ドイツでフォントかるたを袴姿で紹介した! 関連記事:SPILE ESSEN2024 ドイツでフォントかるたを袴姿で紹介したよ!の巻 3)昭和な家スタジオ&きもの教室でたくさん着付けやレッスンができた! 10年前からカメラマンの渡部瑞穂ちゃんと一緒に運営している「昭和な家スタジオ&きもの教室」では今年も素敵な撮影やレッスンをすることができました。 といっても、年初から3冊の書籍の漫画、イラスト、原稿執筆でぎゅうぎゅうになり、並行して定期で着方教室をしたり10月にはフォントかるたを売りにドイツまで行くというわにこ史上最も働いたイヤーとなっており、スタジオの仕事はぼちぼちという感じだったのですが、スタジオでやりたかったことが実現してきたな~という実感がありました。 それは「和装で家族写真」「和装で記念写真」を撮影してもらうということ。毎年秋以降は七五三と成人式の前撮りで忙しくなるのですが、主役だけでなくパパママにも着物を着て欲しい!という想いでプランにパパママ和装オプションをつけています。 スタジオをはじめたころは、お友達が記念撮影にきてくれるくらいだったのですが、ネットで探して七五三などの記念撮影にご利用くださるお客様が増えてきました。ホームページはわたしの手作りで、トップページにはわにこ作のポエムが書いてあるのですが、今年はじめて「感動しました」とのお言葉をいただき、すご~く嬉しかったです。 最初は七五三も成人式も、お母さんは着物を着てもお父さんはスーツというかんじでしたが、お父さんも羽織袴姿の写真をサイトやスタジオ前にもたくさん貼り出して「ぜひ全員で和装を!」とプッシュし続けた結果、この数年お父さんも当然のように和装をチョイスしてくださるようになりました。 いや~ほんと、胸アツです。だって数年前はどんなに「お父さんも着物どうですか?」と言っても固辞されまくっていたのに、このごろはお申し込み時から当然のようにお着物指定で、「5歳の時以来かも!」「はじめてかも!」とノリノリで着てくださいます。 そして、とっても似合うんですよね~!! パパも着物を着るのはうきうき楽しいことなんだ、って思ってもらえているようで私たちもとっても嬉しいです!  家族全員和装で撮影されるということは、私の着付人数も増えるということなんですが、準備と後片付けもなかなかのボリュームでこれは嬉しい悲鳴です。でも、撮影のときの皆さんの笑顔で全部吹っ飛びますね。 今年最後の撮影は、おばあさまの米寿のお祝いで息子さんご夫婦とお孫さんたちという総勢7名全員着物での家族撮影でした。お持ち込みの着物もあり、レンタルもありでしたが無事お支度もでき、とっても素敵な写真となりました。皆さん素敵でしたが、おばあさまの笑顔がそれはそれは素敵で、私もこんな米寿を迎えたいわ!と心の底から思いました。 あとは還暦振袖の撮影も楽しかったな~! 仲良しグループで来ていただくと盛り上がりが半端ありません。赤信号みんなで渡れば‥‥的な(いえいえそんなことはありません!) 来年も、たくさんの和装写真が撮れますように! そして年末、もう一つ感動だったのが「年末のパーティに着物を着たいので」と11月の終わりにきてくださった30代の生徒さん。浴衣は着られるとのことだったので、自主練ができれば可能かな?とスタートすることに。 本番で着る訪問着と袋帯で練習を開始したのですが、補整から帯まで一通り説明したのち、着物よりまず最初に袋帯を結べるようにしてきてくださいと宿題を出した1回目。家で動画を見て毎日2回練習しました!と2回目には完璧に。2回目に丁寧に着物の着方をお伝えしてまたこれも復習しておでかけまでされたそうで、3回目にはもう30分で訪問着が着られるようになっていました。 そして、パーティに出席しましたと、素敵なお写真を送ってくださいました。子育てもお仕事もばりばりされているのに、すごい。すごすぎる。 いつも「着付は回数です」としつこく言っている私ですが、今回はそれに目標とやる気を付け加えたらすごい!(語彙)と目が覚めるような気持ちでした。 着物を着られるようになるにはどれくらいかかりますか?とはよく聞かれますが、「やる気次第」という回答もありだなと。あとは若いって素晴らしいな~としみじみしました。 着付もそれぞれ、自分ができるペースで取り組めばいい。順を追って覚えていく着付教室の他にも、自分の苦手なところだけ練習にきたり、これをするにはどうしたらいいの?なんてよろず相談にのれるスタジオでの着付け教室もやっていきたいな~と思っています。 時々私の本職ってなんだろうな?と思うことはありますが、やりたいことを精一杯やれることに感謝しつつ、来年はもう少し落ち着いて諸々丁寧に取り組みたいと宣言し(笑)今年のコラムを締めくくりたいと思います。 素敵な来年を思い浮かべつつ、よいお年をお迎えくださいませ。

帯締めの左右って決まりがあるの?の巻

星わにこ
2024/12/18 00:00
先週に続き、しつこく帯締めの話題です。平組の帯締めの裏表はもう見分けができるようになりましたよね! よ~く見ないとわからないので、まあ逆でも問題はないですし、カジュアルなものだったら自分の好きな面を出すのもありなので、そういうもんなんだなと思っておくぐらいの豆知識でいいと思います。 関連記事:帯締の裏表の見分け方、房に注目☆の巻 さて裏表に続き、左右もあるってご存知でしたか?  留袖の帯締めは「左が金」と言われます。留袖用の帯締めは、半分で金と銀の2色になっているものがよくあるのですが、その時は必ず左に金が来るように結ぶ、という意味です。ご祝儀袋の水引と同じですね。 あと、帯に差す末広(扇子)も金と銀の面がありますが、金が見えるように差します。金のほうが格が高いため、表にするし左(上前側)にする、ということだそうです。 左右で違う色や模様がある帯締めの場合も、左側にポイントを持ってきます。礼装用の帯締めだと、片方にぼかしや模様が入っているものが多いですよね。 カジュアルなものはそもそもリバーシブルだったり、裏表左右は好きなようにしていいと思いますが、その時は「自分が見せたい」と思う色やポイントを左にもってくるとよいでしょう。 なぜなら、着物は左斜め前から見たときに胸や裾の模様が綺麗に出るようになっているから。柄付けも、そのようにされているのです。 写真を撮る時も、少し右を向いて左側を見せるようにします。なので帯締めのポイントも左だと目立ちますし、髪飾りの向きもメインを左につける、と考えると腑に落ちます。 例えば振袖の帯締めの飾り結びも卒業式の袴のリボンも、左右どちらで結んでもいいのですが、私は左で結ぶようにしています。写真をとったとき目立つから! 基本は押さえた上で自分はこういう理由で左右選択している、と思うとなんかすっきりしますよね~。 着付けの最後にもう疲労困憊していてなんでもいいから結んどけ!みたいになりがちな帯締めですが、小さな面積でも体の中心で存在感があるものです。おしゃれの仕上げの要として楽しんでくださいね!

平組の帯締めの結び目を綺麗にする方法の巻

星わにこ
2024/12/11 00:00
平組の帯締めって結ぶのが難しい~って思うときありませんか。特に結び目はこれでいいのか? 裏と表がぐるんぐるんしてしまって、なんか正解がわからない。なんか謎に立体的だけど‥‥などなど。 柔らかいものだとそこまででもないですが、礼装用の金銀糸が入ったものなどカチカチでさらに幅が広めだったりすると難易度が上がる気がします。柔らかいものも、引き締めすぎると結び目が団子になってしまったり‥‥。 いろいろなやり方があるかと思うのですが、最終的に結び目の左側の縦の部分だけが裏が見える、と覚えると裏表に迷わなくなります。 帯締めの裏表はリバーシブルカラーになっているとわかりやすいですが、そうでないものの見分け方はこちらを参考になさってください。とにかく帯締めも帯揚げもだいたい「ふっくらしたほうが表」です。 関連記事:帯締の裏表の見分け方、房に注目☆の巻 結び目を綺麗にするポイントは、引き締めすぎないこと。ゆるく結べという意味ではなく、結び目のところは平にしたいので、平組の帯締めの幅が狭くなるほどぎゅーっとひっぱりすぎないということです。 それでも、硬い帯締めだとぼこっと立体的になってしまったり、逆に柔らかいものだとぐしゃっと根元が潰れてしまったりします。 そんなときは、まずほどよい強さで結んだ後、結び目を親指と人差し指で挟んでぎゅっと平らになるように潰します。 ぎゅっぎゅっと、裏と表から結び目の真ん中を押さえると平らな六角形になりますよ! 押さえすぎると余った部分が下の帯締めとうまく沿わなくなってしまうのでほどほどに。 羽織紐を結んだ時も同じです。羽織紐の場合は完全に ぺったり平らにすると房の方向が定まって、全体が綺麗な形になります。 結び目を潰すか潰さないかで、仕上がりがかわります。六角形の結び目が綺麗にできていると、満足度大!です。 丸組や冠組の場合は不要ですが、平組の結び目を綺麗にしたいとき、最後に一手間かけてみてくださいね。

衿にファンデーション汚れをつけない方法の巻

星わにこ
2024/12/04 00:00
もう師走!いただきもののアドベントカレンダーのチョコを一日1個食べながら焦りを隠せない私です。一方、着物を着るのにはとても楽しいシーズンですよね。忘年会やクリスマスパーティ、もう来年の新年会の予定まで入れて、何を着ていこうかワクワクしています。 そして、着物を着たらあとのお手入れもきちんとしたいところ。正絹の着物は一度着たらお手入れに出すわけではなく、シーズンの終わりなどにまとめてします。お手入れに出すときには、つけてしまったシミや汚れがあれば申告して落としてもらうようにしています。 着物で汚れるところの筆頭に、衿汚れがあります。長い期間汚れを放置すると、汚れがとれなくなったり、変色してしまったりもします。原因はだいたいファンデーション、顔や手の脂ですので、ベンジンなど揮発油でご自分でお手入れするという方もいらっしゃると思います。 でも、汚れが防げれば一番いいですよね。というわけで、今回は衿汚れの原因と防止法をご紹介します。 衿にファンデーションや顔の脂がついてしまうのは、だいたい着付のときです。裾を合わせたり帯を結んだりするときに顔ごと下を向くと、顔が衿に触れてしまいます。 また、帯結びを確認しようと必要以上に振り返って鏡を見る動作も、顔が衿に触れてしまいます。 もちろん着物を着終わった後にも同じように下や後ろを見れば衿汚れがついてしまいます。この2つの動作に気をつけましょう。 解決方法としては、必要以上に下や後ろを見ないこと。具体的には、裾合わせをするときには鏡を見ること。床を見ないで鏡を見ることで、下を向きすぎなくて済みます。また、下を見るときも、なるべく視線だけで。顔をあまり動かさないことが大切です。 この「下を見すぎる」動作をやめて、なるべく前を向いて鏡を見て着付をすると、衿汚れ防止になるだけでなく、着崩れも起こしにくいですよ。 また帯を結ぶときには、後ろを振り返りすぎないこと。体をひねるとこれも着崩れにつながりますから、なるべく正面を向いて手の感覚で帯を結び、ポイントポイントで鏡を見て確認するようにしましょう。 あと、着付けのときには汗もかきます。衿をあわせたら、てぬぐいをはさんで汗やファンデがつかないようにして帯を結ぶという方もいました。それもひとつですよね。また、紐や小物をしゃがまなくても手に取れるところに準備しておくのも大事です。 衿を合わせ終わったら、衿に指を通して少し肌と衿の間に隙間を作るのも衿汚れ防止には有効です。こちらもご参照ください。 関連記事:衿元を指1本浮かせるといいこと3つの巻 なるべく汚さないで、着物のお手入れも楽にしたいですよね。ちょっと動作を気をつけるだけでかなり防げる汚れですので、衿汚れに悩んでいる方がいらしたら参考にしてくださいね!

無理にでも着物を着る時間をつくることの巻

星わにこ
2024/11/27 00:00
気がついたら私もあと数年で還暦という年齢になりました。子育てがひと段落したら、時間ができるかな~と思っていたけど、相変わらず日々バタバタしていて落ち着いて何かに取り組める気配がありません。 私は主に仕事でいっぱいいっぱいになっていますが、この年齢だと家族のことや介護で大変な人も多い。自分の体力も衰えていくし、生きていくということはなかなか大変なことなんだなあと思います。 時間ができたらやりたいことがある、とか思っていたけれど、暇にはなかなかならないし、本当に年をとるということはできていたことができなくなっていき、思うように動けなくなっていくのだなと実感しています。 だから、やってみたいなと思っていることがあったら後回しにしないでやってみたほうがいいと思うのですが‥‥でも、時間がない! 着付けのレッスンをしていると、生徒さんが「練習する時間がありませんでした」とおっしゃることがあります。それはもちろん、予習復習をしてレッスンのときに疑問を解決して、上手くなっていくのが理想なんですけど、できないときはできないですよね。 私もお習字のレッスンに月2回いっているのですが、忙しいを言い訳に練習も思うようにできず、先生に見ていただくものを前日になんとか書き上げて持っていくのが精一杯なことがほとんど。それでも、レッスンをする場所にいき、その時間は筆を持って机に向かい、他のことは忘れて文字に取り組むと心が穏やかになります。 だから、着付けのレッスンもこの場に来て、着物を着るだけでもいいんですよとお伝えしています。着る時間がなかったら、動画を見るだけでもいいし、それができなければレッスンに来るだけでもいい。着物を着たいな、という気持ちがあって、細々とでも取り組めれば十分。 日々忙しい中、時間を作ってレッスンに来るだけでも、自分を褒めていいじゃないかと思います。 そうして細々と続けると、一定時間を経てある日気がつくとできるようになることがあります。よく資格試験に合格するには何時間勉強時間が必要、みたいな目安を言われたりしますが、なんでもある日ぱっとできるようになることはなくて、やらないとできるようにはならない。 着物も定期的に着ることで、上手くなっていく。初心者はもちろん、上手な人も、着れば着るだけこなれていきますよね。まがりなりにも続けていれば形になるということもあるし、なにより好きなことをする時間を持つという心の豊かさも大事だなあ~と感じています。 この先も、余裕があって趣味に十分に時間を注ぎ込めることもないかもしれないけれど、それでも好きなことができる時間をちょっとでもいいから持ちたい。 着物も忙しいから、面倒だから、暑いから、寒いから、雨だから、だから……とつい今日はいいか、となってしまいがちなんですが、好きな着物を着る時間が心を豊かにしてくれると感じたら、無理にでもその時間を作ることが大事なのかもな~と思います。好きなことができると、そのために頑張れたりもしますし、機嫌よく日々が過ごせますよね。 自分の誕生日は、いままで後回しで、家族や友達が何かしてくれたら嬉しいなとかそんなふうに思っていた部分があり、期待通りじゃないとがっかりすることも。でも今年の誕生日は美容院に行き、自分の食べたいものを自分で用意して自分をお祝いしてみました(笑)。案の定子供は「あ!忘れてたゴメン」と言っていましたが、自分で気に入ったように好きなものを食卓に並べたので、大変満足しました。今後はこれでいけばノンストレス! なんだか抽象的な話になってしまいましたが、自分が望んでいることを叶えてあげられるのは結局自分。好きなことをする時間って結構無理をしないと作れないし、年齢を重ねてきて、やりたいことがあったらいつやるの? いまでしょ!と感じることが多くなりました、というお話でした。

ちょっとしたパーティで着物!と着物友達(キモトモ)の巻

星わにこ
2024/11/20 00:00
先日、私が子育て真っ最中にお世話になったものの一つに勝間和代さん主催の『ムギ畑』というワーキングマザーのためのWEBサイト(現在は閉鎖)がありました。いろんな悩み事も相談すると知恵が授けられる会員制の伝言板システムにとてもお世話になったものです。 また、ムギ畑ではオフ会も盛んに行われており、また個別の部活動(?)もありました。かなり後発で入会した私(会員番号5000番台)ですが、着物とそばを愛する会「きもそば倶楽部」とクリエイターとマスコミで働くWMが集まった「くりこみ倶楽部」の仲間に入れてもらい、今でもメンバーの皆さんに大変ほんとにめっちゃどうかしてるくらいお世話になっております。 そんなムギ畑の仲間による全国オフが先日開催され、わくわくで参加してきました。今から四半世紀前に仕事をしながら子育てもしていたメンバーも、子育ても終了していたり、定年を迎えたり、もう孫がいる人もちらほら。 最も大変な時期を一緒に乗り越えてきたメンバーは絆も強いし、なによりめっちゃパワフル!! パーティは出し物に次ぐ出し物で、会場みんなで踊ったり歌ったり、本当に楽しかったです。 私はというと図々しく新刊を持っていって、皆さんに購入していただいたり(感謝)もちろん着物で参加して、キモトモの皆さんと写真を撮ってもらったり。パーティの着物の割合は1割くらいかな? 皆様素敵な装いでした。 そもそもムギ畑には、今『昭和な家スタジオ』を一緒にやっている渡部瑞穂ちゃんに誘ってもらって入ったのですが、瑞穂ちゃんと一緒に昭和な家で着替えて参加。二人で何を着るか相談したり、半衿つけをしたり、そんな時間も楽しかったです。そしていつも一緒にいるのに2ショットを撮り忘れる私たち。。。 着物を着続ける動機として、人生を一緒に楽しめるキモトモ(着物友達)がいるというのは大きいですよね。私も、彼女たちがいるかぎり、着物を着ている気がします。これからもどうぞよろしくお願いしたい! ここからクリスマスパーティや忘年会や新年会が目白押し。コロナ禍で感覚を忘れていましたが、今年はまた着物で出掛けて楽しもうかな、と思っております。

我が家の猫たちと着物のおはなしの巻

星わにこ
2024/11/13 00:00
しつこく告知させていただいておりました、この連載をまとめた新刊本『裏ワザ満載、無理なく楽しむオトナの着物生活』 が本日11月13日発売になります! もうドキドキしすぎて真っ白に燃え尽きかけのわにこです。 まだ本の話なの~?という感じですが、もう少しだけお付き合いください。 2013年のこと、私の初めての着物本『おキモノ生活のすすめ 幸せ100倍はじめませんか?』(もはや絶版)を読んでくださったいち利モールの方からWebコラムを書きませんか、とお声掛けいただき始まったこのコラム。 6月連載開始でしたので、もう足掛け12年目に突入。毎週1本のコラムを書くというのは結構大変で、常にネタを探している毎日です。私の周りの方は一度ならずこのネタ探しの犠牲‥‥いえ協力をしてくださっているはず。中には、読者の方からご連絡をいただいてコラムにさせていただいたことも。 1週間てあっという間で、「うわっっ!!もう締め切りじゃん!」(ギリギリ)というのを毎週繰り返しているわけですが(申し訳ありません)、毎度うまく描けない、これでいいのかと煩悶しつつ、今の自分にはこれしかできない!と勇気を振り絞って原稿を提出しています。『オトナの』というタイトルなのに、いつまでも未熟な自分が恥ずかしいです……。 イラストにはほぼ毎回、茶トラとキジトラの猫が登場していますが(やっと本題?)これは我が家の飼い猫で、いわし(茶)とさわら(キジ)という名前です。姉妹猫です。知人のマンションの庭で産まれてミャーミャーいっていた5匹のうち、2匹をひきとってきたのが2013年の5月。 このコラムとほぼ同じ年です。手のひらサイズの子猫だったのが、今や立派なシニア猫。この間には、家族が亡くなったり、引っ越ししたり仕事にも変化があったり、小学生だった子どもも今や大学生。正直しんどいこともたくさんありましたが、子どもと猫を私が守る!という気持ちでがんばってこれたのかなあ~と思います。 どんなにしんどくても、猫がいればそれだけで心がほっとしたものです。いえ猫様のおかげで生きているといってもいいのかもしれないのでございます(猫しもべ)。 着物好きの方には、猫好きの方も結構多いのでは?と思うのですが、猫と着物のあるあるとしては ・大事な着物ほど、上に乗る(絹のほうが好き) ・引き出しをあけると中に入る ・着付けの時、紐にじゃれてくる ・着物をかけておくと、裾の中に入り込んでいる などなどあると思います。 うちの猫と着物の事件簿としては帯締めの房を食いちぎられたことと、古着の大島紬の上におしっこをされて、うわ~ってなって洗面台でじゃーっと水を流したら、水があふれて床がびしょ濡れになってしまい、フローリングにダメージがでたことですね。どちらもね、私が出しっぱなしにしていたのがいけないという、反省案件です。猫様は悪くないんです‥‥。 で、何の話かというと、コラムイラストにでてくる猫は実在しております、ということを言いたかっただけなのでございます。 本にもこれでもかと登場してツッコミをいれてくれていますので、もしよかったらお手にとっていただけると幸いです! それから、このコラムも今後とも、変わらぬご愛顧をどうぞよろしくお願いいたします!