端午の節句、鎧兜の房にも注目!の巻
星わにこ
2016/05/04 00:00
5月5日は子どもの日、端午の節句ですね。3月3日が桃の節句で女の子の成長を祝い、端午の節句は男の子の成長を祝います。五月人形や鎧、鯉のぼりなどを飾って、柏餅を食べて‥‥。男の子がいる我が家でも、小さな鎧兜を飾りました。
さて、この鎧兜、子どもの身の守りとしての祈りをこめて、飾るもの。勇ましい武具ではありますが、とても美しい造形をしているなあ、と常々思っております。細かな小札(こざね)を組んで作る威毛の作りや色、画韋(えがわ)という鹿の皮に描かれた柄などもさることながら、実は房飾りがたくさんついているのにお気づきでしょうか? 房マニアの私には、鎧兜の装飾が非常にツボなんです!! 鎧兜だけでなく、武具や馬飾りも実は房だらけ。もうたまりません!
勝って兜の緒をしめよ、の顎で兜を固定する「忍緒(しのびお)」には立派な房がついていますし、胴の胸の部分に房飾りがついているものもあります。そして、あまり目にする機会はないかもしれませんが、背中に回ると、背中の中央に「総角(あげまき)」結びに立派な房がついていて、袖についている「水呑緒(みずのみのお)」と「掛緒(かけお)」が総角に結びつけられて、房だらけになっています。もうびっくりするほとふっさふさ。まさに房のパラダイスやぁ~~~~!!
写真左は、装束勉強会で学ばせていただいた大鎧。緒についた、たっぷりした房が美しいです!!(綺陽装束研究所・待賢殿所蔵)右は我が家の五月飾りの後ろ姿。小さいながらもちゃんと房がつけられています。鎧の背中にこんなに房があることは、意外とご存知ない方も多いのでは。
今は、大河ドラマ「真田丸」も戦国時代が舞台。戦の場面では鎧兜がたくさん登場しています。役者さんより房を目で追う私はちょっとおかしいと自分でも思いますが、鎧姿が出てくるとワ~っとテンションが上がります(笑)。
昔、背縫いがない子どもの着物に、「背守り」という縫い印をつけて、魔除けにしたといいますが、背中に真っ赤な美しい房が揺れているのを見ると、それが袖と胴を結んで固定するという役割だけでなく、背中のお守りのような意味合いもあったのかもしれません。
現代でも、威の美しい意匠は身の守りとして、帯のモチーフにもよく使われています。この時期、身につけてみたいもののひとつです。他にも、鯉のぼりや菖蒲、柏餅‥‥帯留や着物、小物、手拭など……年中行事にちなんだ、この時期ならではのモチーフを身につける楽しさも!
世の中平和で、このような武具が使われないのがなにより。美術品として愛でられることに感謝しつつ‥‥。
この端午の節句、五月飾りを見かけたら、ちょっと背中を覗いてみて下さい。房と結びの美しさに、きっと目を奪われますよ!
たかはし女将直伝☆結ばない帯揚でキレイな結び目を作る方法の巻
星わにこ
2016/01/27 00:00
何十年に一度レベルの大寒波、皆様ご無事ですかー。寒いの本当に苦手なので半泣きのわにこです。まあ、夏は暑いの本当に苦手って言ってるので、ないものねだりっぽいわけですが‥‥早く春が来て欲しい!
さて、今日は帯揚のキレイな結び目の作り方をご紹介します。以前こちらでサイドのキレイな整え方のコツを紹介しましたが、本日は前の結び目がどうしてもグシャっとなっちゃう‥‥というお悩み解決です!
いつも帯揚がめちゃめちゃキレイに整っているたかはしきもの工房の女将さんに「どうやったらそんなにキレイになるんですか?」としつこく聞いて(笑)、教わってきました~!
まずは帯揚のサイド部分のキレイな整え方のおさらいから。
>帯揚のサイドのキレイな整え方
サイドをキレイに整えるコツは、帯枕にかけた帯揚を左右にキュキュっとひっぱって、布目をまっすぐに整えること。
3つにたたんでさらに二つ折りにしたら、畳んだ状態でなるべく帯の端のまで指でしごいて、ここでも布目を整えること。
ここでテンションをゆるめず、キュッと前に引っ張っておくことが、キレイに整えるために大切なポイントです。
ここから結び目の作り方に入ります!
こうして綺麗に整った帯揚を、着物と同じ打ち合わせにあわせて、ひとからげします。キュッとひっぱったら、からげた部分をタテにします。
上と下を合わせて、前にひっぱり、クルクルとまるめます。
帯の中に、整えた結び目の部分がグシャっとならないよう気をつけながら余りの部分を押し込んでいきます。
このとき、帯枕の紐が帯の上のほうにあるとジャマで入れられないので帯枕の結び目や紐はなるべく帯の下のほうに押し込んでおくことも大事です。
結ばないので、からげるまではキュッとテンションをかけて緩まないようにして下さい。
これでキレイな結び目の出来上がり~。結び目といいつつ結んでないですが、ほどけてくることはありません。
たかはしきもの工房のべっぴん帯板を使うと芯棒がうまく押し込んだ帯揚の余りのストッパーになってくれてすごく上手く行きますよ。この帯板の芯棒が、帯を綺麗に前下がりにしてくれるだけじゃなくて、帯枕の紐があがってこないストッパーになって帯揚をのせるスペースを空けてくれるし、みぞおちが帯や帯枕の紐で圧迫されないのでとてもラクです。
>「ぺっぴん帯板」はコチラから
帯揚の端が余り過ぎるようなら、3つに畳む前にワキへ折り返しておくと帯揚の見えている部分もふっくらしてGOOD\(^O^)/ 帯揚の長さや素材によって、ご自分で調整してみてください。
ピッと一直線に帯揚が整いますよ! 結び目(に見える部分)を少し押し込んでも大人っぽいシルエットになります。ぜひお試しあれ♪
筥迫(はこせこ)には何が入っているの?の巻
星わにこ
2015/11/11 00:00
七五三シーズンですね! この季節、休日に神社を覗くと可愛らしい和服姿の子どもたちが千歳飴を持ってご家族と歩いている姿が目につきます。あどけない三歳の被布姿も、きりりと決まった五歳の袴姿も、可愛いけれどお姉さんな七歳の四つ身姿も微笑ましく、すくすく大きく育って‥‥と、他人なのにおばちゃんの涙腺は緩むのでした(阿呆)。
さて、七歳の女の子のお祝いは「帯解き(おびとき)」という、子どもの着物の付け紐を取って、初めて帯を結ぶ人生の通過儀礼。着物も四つ身という大人とほぼ同じ作りのものになります。また帯の下には、しごき帯を結びます。
その四つ身を着たときに胸に入れている、房やびらびらがついてる小さな箱のようなものが、筥迫(はこせこ)。気になりませんか? 白無垢や打掛の花嫁さんも懐中に入れていますよね。あの中には一体なにが入っているのかな~と思ったことはありませんか?
筥迫は、江戸時代の大奥や武家の女性が、打掛を着た時に懐中に入れた紙入れの一種。お金や守り札、紅板(口紅)なども入れたりしたようです。贅を競って、華やかなものを正装の時に身につけて、今で言うならパーティのクラッチバックのような感覚だったのでしょうか。サイズも現代に見られるものより大振りでした。
それが明治に入り、庶民も身につけられるようになって、サイズも小さくなり、装飾要素だけが残りました。現代では、七五三や成人式等のお祝いと婚礼の時に、飾りとして残っています。
筥迫のパーツを見てみましょう。
(わにコレ(笑)より、花嫁さんの筥迫)
まずは筥迫本体。外側は錦の艶やかな布が使ってあるものや、豪華な刺繍を施してあるものなど、とにかく華やかです。
中をあけてみると、紙を挟めるようになっていて、鏡がついているものが多いです。「はこせこ」と言っても、箱になっているわけではないのですね~。
それを開かないようにまんなかで留めているのが「胴締め」。
胴締めには、胴締めを締める紐がついていて、その先にぶら下がっているのが「落とし巾着」。匂い袋やお守りが入っているのですが、これは帯にはさんで筥迫が落ちないようにストッパーになる役割のものです。よくこの袋が可愛いので外にぶら下がっているのを見かけますが、帯の中に仕舞うのが本来の使い方です。
そして、飾り房。筥迫の上部、胴締めに差し込みます。赤いもの、白いもの、ハーフ(笑)、金、撚り房のもの、切り房のもの‥‥。これが胸元からこぼれて揺れると、うっとりしますね~(ええ?私だけ?)
この飾り房と同じところに、ビラ簪(かん)という銀のびらびらがついているかんざしを飾りとして差し込むこともあります。
七五三の筥迫は、可愛らしい色もいっぱいありますね。帯締めや草履、扇子やビラ簪、バッグなどとセットでトータルコーディネートのものなど、見ているだけで頬が緩みます。
花嫁さんの筥迫は、懐剣や抱え帯、扇子などとセットになっていて、これまた凛とした美しさがあります。
成人式や十三参りではほとんどつけることはありませんが、扇子などと共に、身につけてもおかしくない小物だと思います。
以前取材で、この筥迫を研究している「筥迫工房」の山崎さんにお話を伺ったのですが、お嬢さんの七五三のときに自分で作ってあげたいと思ったことが自作のきっかけだったとか。
山崎さんの筥迫作りワークショップは大人気で、自分の結婚式に自作をしたいという方はもちろん、七五三や十三参り、成人式やお嫁にいくお嬢さん・お孫さんに作ってあげたいという方も多いそう。自作の筥迫にお守りやお手紙、大切なものを入れて、お祝いの正装の胸元に忍ばせるなんて、素敵~~~~!!! これは大切な記念の品になりますよね。
番外編ですが、自分の楽しみのために作っても。お遊びで普段着に薄いタイプのもの、小さなものを作って、名刺入れやプリペイドカードなどを入れておくのも楽しいです。布で出来た名刺入れに房をつけるだけでもなんちゃって筥迫気分を味わえちゃいます。胸元にカード入れが入っていると、結構便利ですよ! 房がついていると取り出しもしやすいです。お茶のときの、お懐紙や帛紗を入れている感覚に近いかも?
小さな箱形に細かく細工をしてある筥迫は、日本人の美意識をぎゅっと封じ込めたかのよう。七五三のとき「開けてはいけない」と言われた記憶がある方も多いのでは。小さな美しい筥迫の宇宙を覗いてみませんか。
真夏の着物、暑さ対策に保冷剤☆冷たさ長持ちの術の巻
星わにこ
2015/08/05 00:00
毎年どんどん夏の暑さが厳しくなっているような気がする今日このごろ。例年扇風機をまわしてしのいでいたのが、今年はがっつりエアコンのお世話になっております。
先日は初盆で田舎に帰ったのですが、山の中の一軒家で夜になると涼しかったのが、しっかり暑くて参りました。やがて日本全土が亜熱帯になってしまうのか! そんな中で、夏着物を着るというミッション(?)にはやはり対策が必要ですよね。
ケーキなどを買う時についてくる小さな保冷剤を手拭にくるんで、帯の下に入れて出かけるのですが、結構あっという間に冷たくなくなってしまうのですよね。生暖かい保冷剤を身につけていても重いだけ(涙)。
対策としては、小さめの保冷バッグの中にいくつか保冷剤を入れておいて、溶けてしまったら交換したり。あとは、保冷剤を直接首筋の太い血管部分にあてると顔のほてりがすっとひきます。
駅まで急いで電車にのってほっと一息、そんなときにこの保冷剤手当をすると効果テキメン。
ハンカチにくるんで胸元にいれても汗がひきます。扇子でバタバタバタバタするよりも、そっと首筋や胸元に手をあてていたほうが、見た目も涼しげですよね。
いち利モールでもおなじみの和装小物・たかはしの女将も保冷剤愛用とのこと。使い方を伺うと、小さな銀色のアルミ保冷シートに、保冷剤を入れ、満点腰スッキリパッドの中に入れて装着するのだそう。
銀色の保冷層が重なった部分を体側にあてると、半日は冷たさが持続するそうです。より体に近い部分なので着物の上からあてるよりも冷たさもしっかり感じられますし、腰スッキリパッドには外側に防水布が貼ってありますから、保冷剤から出た結露の水滴が着物や帯にひびくこともありません。
これはイタダキ!アイデア! 帯の下や胸元に入れる場合にも応用がききますね。その場合にも、てぬぐいやミニタオルでくるんで、着物や帯に水滴がつかないようにしてくださいね。
炎天下、ちょっと長い時間歩かなければならなかったりする時など本当にこの保冷剤の冷たさがありがたいものです。
荷物にはなりますが、熱中症で倒れたりしないためにも、水分補給のペットボトルや水筒とミニ保冷剤は、真夏の必須アイテム。プラス日傘、扇子、てぬぐいで炎天下夏着物のおでかけを乗り切りましょう!
たかはしのインナーウエアでラクラク着物ライフ! の巻
星わにこ
2015/04/22 00:00
今週のいち利モールのトップページをご覧になりましたでしょうか? どーん!と「たかはしきもの工房」の女将の写真が! いち利モールでたかはしきもの工房の和装肌着が購入できるようになったんですね。
「女性が開発した女性のための和装肌着です」というキャッチフレーズがついていますが、わたくし何を隠そうたかはしインナーの大ファン!
今回いち利モールで販売開始されたものも、ほとんど持っているくらい。どうしてそんなに‥‥なのかというと、本当に着る人が気持ちよく着られるものだから。一度使うと、手放せなくなるものが多いのです。
実際毎日着物を着てお仕事をされてる女将が、自分で試して試して厳選したものを製品化しているから。がんがんお洗濯しても、へたらない。デイリーユースに本当にありがたい、頼もしさがあります。
コラムのイケメン担当Nさんからぜひオススメポイントを語って!とのお許しが出ましたのでわにこ的たかはし商品レビューを少々暑苦しく語らせていただきます(えええ)。
まず私が着物を着る時必ずつけているのが「ローライズステテコ」。裾除けの代わりにしています。ローライズなのでトイレのときも困りません。揚柳生地は肌あたりがよくて、汗を吸ってくれるので暑い季節には必須。そして寒い季節には、たっぷりとした幅があるので、空気を含んで暖かいのです。
そして洋服のときもスカートをはいたことがない私にとって、下半身がスカスカしてちょっと抵抗がある‥‥という気持ちのハードルをぐっと下げてくれた救世主でもあります。
湯文字と裾除けという昔ながらの着用方法を否定するわけではなく、パンツをはいて育った私にとってはやっぱりズボン様のものがあることが、ラクなんですよね。このステテコにはインナーつきのものもあって、そちらはトイレにいったときワンアクションで済むので着崩れもしにくく、おキモノビギナーさんにはおすすめなんですよ。
そんなわけで着物や浴衣の初めてさんには、快適で気楽なステテコを熱く薦めてしまう私です。いろんなステテコがありますが、いろいろ試しても結局これが一番快適でほどよくドレッシーで、結局ここに戻って来てしまう、魔性のステテコです。
そして「プットオンキモノブラ」。これはホックがついていなくて、履いてつけるタイプの和装ブラ。脇に流れる憎たらしいお肉を寄せて上げて、自らのお肉でデコルテの部分の補正もできるニクイやつなんです!!
最初に買ってつけた時、上半身がすごくスッキリし、胸の脇がもったりしないので、3キロは確実に痩せて見えるのが大感動でした。その後、実はどーんと太ってしまった私‥‥ちょっと窮屈になってしまって、しばらく使っていなかったのですが、先日諦めてサイズアップし(泣)Lサイズを購入したところ、やはりスッキリしました!! そして窮屈さからも解放。ちゃんとサイズは合ったものを使いましょう(自分に言い聞かせる)。
細く……細く見えるってステキ!!(痩せろよというツッコミは、どうか勘弁してやってください‥‥本人が自分に一番ツッコみたい点でございます(><))
そして、たかはしの看板商品「満点スリップ」。これは汗をブロックして着物にダメージを与えないスグレモノ。それから女性ならちょっと心配なデリケートゾーンのトラブルにも強い味方なんです。ちょっと着物を着たら汚しちゃうかも‥‥なんていう日もこのスリップがあれば、晴れ着もどんとこい。
このお話をいち利モールのイベントにて女将から開発秘話で伺ったときには、すごーく感動したんです。お洒落をしたいけど、ちょっとおっくうになったり恥ずかしかったり、そんな女性の悩みを真っ正面からどーん!とガードしてくれる頼もしい味方なんですよ! 他の商品も、「和装」というワクにとらわれず、いろんなものを試して、取り入れている姿勢がスゴイです。
防水布は通気性がすごくいいわけではないので、蒸し暑い時期にはちょっとムレちゃうかな‥‥と最初敬遠していたんですが、揚柳タイプが出て暑い季節も快適になりました。
そしてスタンダード満点スリップはこれ実は、冬にすごく強い味方なんですね。冬でも暖房の強い場所にいくと、結構汗をかくんです。そんなときこのスリップをつけていると、汗は安心。そして外を歩く時も、しっかり厚みのあるスリップが暖かいのであります。寒い時期、汗はかかないわと言わないで、ぜひぜひお試しください!!
まだまだありますが、キリがないので最後にもうひとつだけオススメを。私がハードに使っているのが洗えるメッシュ帯枕「空芯才」。デラックスとノーマルを愛用しております。お茶などで袋帯を締める時にはデラックス。普段はノーマルと使い分けています。
とても柔らかいので、帯枕をしていて固くて疲れる感がありません。椅子にもたれてもラクなんですよ。そして蒸れない。あと、帯枕カバーに使われている「エアレット」というニット生地がなんともいえずいい働きをするんです。
ジワ~っと伸びて、背中に帯がフィットして、締めてもアタリがやわらかいのでストレスがないのです。前で結んだ結び目も、帯の中に深~く仕舞えちゃいます。オススメです!
なんだか回し者みたいにいろいろ書いてしまいましたが、実際に使っているイチユーザーとしての商品レビューでございます。
逆に購入したけど使っていないものもあり、太ってしまったこともあって、満点腰パッドはお蔵入りしています。今の私にはウエスト周りの補正だけで十分なので‥‥(泣)。でも、一発でウエスト~腰回り、ヒップの補正ができるので、他の方に着せ付けのときよく使わせてもらっています。
くの一麻子も補正なしでオッケーというだけあって麻ワタがしっかり入っているので私にはちょっとハードル高いです。フットボール選手みたいになっちゃうの(号泣)
ですが、夏でも胸を脇から寄せるように衿をあわせる事でブラなしで胸を抑えてキレイに着られるので、通気性バツグンで気軽な夏着物ライフにはもってこい。前のワタが入っている部分、片方だけにしてもう片方はサラシだったりすると、太っててもスッキリ着られないかしら~!なんて妄想したり(笑)
インナーは体型や、その人が目指す着物姿によって変ってきます。たかがインナー、されどインナー。どこのインナーが絶対、誰にでもフィットするというわけではありません。
私自身も、東にいいよといわれる補正下着があれば行って試し、西におすすめという快適グッズがあればどうだとしつこく話を聞き、日々是勉強の毎日であります。予算との兼ね合いもありますし、できる範囲にはなりますがでもこういうチャレンジは楽しいです。
最初に揃えた小物、お母様からもらったもの‥‥まだまだきっと使えます。私もずっと使っているものあります。でも今使っているものより、もしかしたらもっと使いやすいものがあり、キモノ生活がより快適になるかもしれません。ぜひ、いろんなインナーを試して、自分に合ったインナーを見つけてくださいね!
着付の勉強しなおしてます。の巻
星わにこ
2015/04/08 00:00
桜も散っていよいよ新生活!の方も多いのではないでしょうか。すっかり春の陽気で体が緩んだところに、花散らしの雨で寒の戻りがきている東京です。寒い(><)
そんな中、入学式が各地で行われ、着物を着たよという話を聞くと嬉しくなります。でも、地域や学校にもよるのでしょうが、やっぱり着物の保護者は少ないようで。
私の子どもの入学式のときは、公立小学校で着物姿の保護者は自分一人だったので、ちょっとしょんぼりだったのですが、それをきっかけに「私も着たい」と言ってくれるママ友もあり、「着たいけど着れない」「面倒」「よくわからない」ということが多いのかなと思いました。嫁入りで揃えてもらったものがある、お母様の着物があるという人も多くて、これは着なくちゃもったいないですよね。
私も母が私の入学式に着た黒羽織を仕立て直して着ましたが、自分の子どもの時に母親が着たものを自分も着て子どもの成長を祝うことができるなんて、着物ならではの喜びかも。そうでなくても、母親の着物姿の記憶はきっと子どもの心に残るはず。せっかくの礼装ですから、民族衣装を胸を張って着て欲しいです。
さてさて、着物を着ていると「着せて」「教えて」と言われることが多くて、ほぼ自己流で着物を着ている自分としては自信をもってそれもできず、モゴモゴしていたのですが、昨年仕事場を持ったのをきっかけに一念発起して着付け教室に通い直しました。
最初は、仕事場で振袖写真を撮るため(!)に、振袖の着せ付けを習いにいった(またそういうピンポイントなことを‥‥)のですが、やはりきちんと習うと、いままで見えていなかったことが見えてきて、これではいかん!と猛反省。
先生の手さばきと、モタモタの自分の手さばき。未熟さを痛感するのと同時に、先生のように自分も美しく、きちんと着せられるようになりたい、着られるようになりたいと思うように。イチからやり直して、先月末講師養成コースを終了・試験合格し、初心者さんに着付を教える第一歩を踏み出すことになりました。
まだ研修期間などもありますし本格始動はこれからですが、ひとりでもたくさんの人に「着物って面白いな、楽しいな」と思ってもらえるようになりたい。
やっぱり自分で着物が着られて、おでかけできるって、本当に本当に楽しいですから!! 面倒もあるけど、それをはるかに凌駕する喜びと楽しさとワクワクドキドキが着物にはあると思います。
着物は好きだな~と思っていたけど、学んだらもっと好きになってきました。別に、着物は教室で勉強しなくても着られるものですが、機会があったらいろんなやり方を学びにいくのはおすすめです。ワンポイント講座などもたくさんありますから、自分だけのやり方にこだわらず、いろんな着方を知ってそこから自分にあったものを選んで行くというのも楽しいです。
こうでなくちゃならない、っていうものはファッションとしての着物にはないですし、体型も千差万別、着方にも正解はないと私は思っています。
また同時に、装束の勉強もご縁で始めることができ、今まで知らなかった雅な世界も体験中。十二単の襲ねの色目など本当にうっとりうっとりなのです。装束の着せつけというのも人にあわせ、場にあわせ。これいかに美しく、苦しくなく、着崩れず、また装束を痛めず着ていただけるか、知識だけでなく心の有り様も含めての勉強をさせていただいています。
伊達衿とかで着物にもこの日本古来の美意識を取り入れられないものかと妄想したり、また着物にまつわって勉強した染色などの知識で装束の理解が深まったり、相互に作用してどんどん「日本の衣装」にハマっている毎日です。
なまけものでウジウジのわたしが、一気にどかーんと動いたこの春でございます。それも、こうやってコラムで毎週着物に向き合い、いくら進んでもきりがないくらいの楽しさを実感し、また同じように思って下さる皆さんがいて、 初心に戻ってもっともっと勉強して深めた情報を責任を持ってお伝えしたいという気持ちがどんどん大きくなってきたからです。本当に感謝です。
「やってみたいけどいつか」「そのうちできたら」って思っていることはありませんか? いつかはそのうちやってくるかもしれません。でも人生は思うよりも短いとこのごろ思います。この春はじめてみませんか?
帯締の裏表の見分け方、房に注目☆の巻
星わにこ
2015/02/04 00:00
今日は立春。もう春なのですね。梅の花もほころんで、あちこちで春の気配がしはじめています。日も随分長くなってきました。
去年から友人と共同のアトリエ兼スタジオを借りて仕事をしているのですが、そこに前の住人の「一陽来復」というお札が残されており、調べてみたところ商売繁盛、金運のお守りだそうで。節分に設置するとよいと聞き早速早稲田の穴八幡宮でいただいてきました。立春から商い繁盛といきたいものです。
さてさて今日は、帯締の裏表の見分け方のお話です。なんとなく感覚で締めていましたが、実は、平組の場合は房の部分を見ると一目瞭然なんです。
房の付け根のしぼってある部分が膨らんでいる方が表、凹んでいる方が裏になります。組み模様や刺繍などしてある場合は、表の方がふっくらしているのがわかると思います。
留袖などに使う白と金銀の帯締は、金銀がゴージャスなので表かなと思いきや、白が多いほうが表なんです。
冠組(ゆるぎぐみ)の場合は、真ん中に1本筋が入っているほうが表です。某道明(ちっとも某じゃない)のものはタグがついていますが、そちらが裏側です。わかりやすいですね。ついてないものは、真ん中の筋を探せばOK!
撚り房のものなどは、あとから房を足したものなので帯締の端は平らになっています。組模様の凸凹で判別する方法になると思いますが、わからない場合は好きなほうを使ってよいと思います。三部紐なども裏表のないものが多いです。
今はリバーシブルで裏表で違う表情を楽しめるものが増えていますね。気分で締め分けるのもいいですし、帯のお太鼓の中でくるっと捻って結ぶと左右の色が変わってそれもまた素敵。何通りもの使い方ができます。
ちなみに、片側だけに模様や色などアクセントが入っているものは、華やかなほうを左側にして結びます。
帯締の裏表が違っても、正直人が見てもあんまりわからないもの。でも、知らないで裏表間違えているのと、知っていてきちんと締めている、もしくは崩して楽しんでいるのでは全然違うと思います。ちょっと胸をはって、装えますよ。
真綿パワー恐るべし!「ねこ」を背負ってあったか着物ライフの巻
星わにこ
2015/01/28 00:00
大寒過ぎ、少し寒さも緩むのかな‥‥と思っていたらまだまだ冬将軍は居座りそうですね。寒い! 布団から出るのが辛い毎日です。
最近、家にいる間中背負っているのが「ねこ」。動物の猫ではなく、長野県南木曽町で作られている防寒着の名前なのです。木綿綿や真綿の入った長方形の薄い布団のようなものを背中に背負う形です。半纏の袖も前見頃もないバージョンとでもいいましょうか。亀仙人の甲羅が平らな状態です(余計わからんわ!)
いつぞや田舎の叔母が着ていて「そんな背中だけなんで本当にあったかいんかいな」と思ったのですが、これが暖かい!! しかも、袖も前見頃もないので全く動作の邪魔にならず、背負っているのを忘れるほど。すっかり忘れていて、ふと鏡を見てびっくりしたり(笑)
昨年、キモトモのお母様の手作りのねこを譲っていただいたのですが、もう手放せなくなっております。今こうして原稿を書いている間も、背中にはねこです。
上から上着を羽織ると、一層暖かい。おうち着物のときなど、羽織の下にねこを背負うとぽかぽかです。感覚としてはダウンインナーのようなかんじですが、背中だけ、というのがミソなんですね。
背中側の首の付け根のあたりに「風門」というツボがあり、ここはまさに「風邪の門」。風邪の引き始めなど背中がゾクゾクするあたり。ここを温めてあげると、風邪を寄せ付けないそうです。着物の時は、帯があるので腰のあたりは冷えないのですが、首筋から背中の上部が結構手薄。ねこは強い味方です。腰のあたりまで覆うので、本当に温かい!
着物、洋服の上に着るとこんなかんじです。(友情出演:キモトモ&猫)
「ねこ」と似たものに「背負い真綿」があります。布でくるんであるものと、ただ真綿をのばして下着や服の上に置いて、衣類の間に挟んで使うものがあります。挟むだけ? と思いましたが意外とこれがずれないんですね。
真綿は小さくちぎってのばして足袋や靴下の先にいれると暖かいですし、ひじやひざなどにあてる方も。持っているだけでじんわり温かさを感じます。布に挟めばまさに繊維の天然カイロ!
「綿」の素材も木綿綿、ナイロン綿などいろいろありますが「真綿」はシルク100%。軽く、光沢があり保温性も高く、消臭抗菌効果まであるというまさに綿の王様やぁ~なのです。
昔は冬の着物にはこの真綿を薄くのばして入れて防寒にしました。春になると綿を抜いたことから、四月一日と書いて「わたぬき」と読む苗字がありますね。絹は布としてだけでなく、綿としても日本人の生活に密接に関わっていて、半纏や布団だけでなく、いろんなシーンで大切に使われてきたもの。
キモトモが、着物の上に着る道中着型のコートにこの真綿をいれたものを着ていて、本当に素敵でした。もっとこういうタイプの着物コートがあってもいいのにな~。
布団は羽根布団。防寒着はダウン。な現代ニッポンではありますが、ずっと使われてきた防寒の知恵、真綿も見直してみたいなと思っている、わにこ(背中にねこ)でした。
着物のお着替え一式パッキングテクニック の巻
星わにこ
2014/10/29 00:00
急に寒くなってまいりましたね~。我が家ではこたつコールが家族と猫から起こっていますが、いつ出そうかな~。
さて今日は着物のパッキングのお話です。出先で着物に着替えたいときってありますよね。お稽古ごとや、旅行などなど‥‥。そんなとき、どんな風に着物を持ち運んでいますか?
パッキングで大活躍するのが、風呂敷です。
着物、襦袢、帯はまとめてたたんで。畳紙はかさ張るので使わず、着替え用に着物を持っていく時には風呂敷に包むようにしています。畳紙型のうこんの風呂敷も使い勝手がよいので、大事な着物は包む場合も。
風呂敷に包む時には、一番外側を着物、帯、襦袢という順に重ねて畳むと、着物にシワがつきにくいのでオススメ。
中心に、帯枕や帯締、帯揚などを入れてしまいます。肌襦袢、裾除け、ステテコ、タオルなどの下着系一式に足袋も忘れずに! これは、別に薄いレーヨンの風呂敷に包みます。かさ張らないので、風呂敷の中包みに最適です。
これらをまとめて、大きめの風呂敷でまとめて包みます。きちっと形ができるので、崩れにくくて安心感があるので一番外側の風呂敷は綿を愛用しています。このとき、入れるバッグの大きさにあわせて包むのがポイントです。
着付の小物は、別に大きめの旅行ポーチに入れています。腰紐、伊達締め、衿芯、着物クリップ、コーリンベルトなどなど、一式入れていて、家で着替えるときもそこから出して、また仕舞うようにしています。都度、持ち運び用に用意する手間が省けます。(というとかっこいいが、都度用意すると絶対忘れ物をする確率がアップするので自衛策です……)
このポーチには何かのときのために、ちょっとした裁縫道具と安全ピンも入れています。あと、ヘアゴムとアメピン。
そして、ご存知の通り、これを全部持つと、結構重いんですよね~~!
スーツケースに入れてゴロゴロ転がして行く事が多いのですが、雨の日や雪の日はちょっと‥‥。そんな時は、大きめのトートバッグに入れて肩にかけていきます。そんなときは省略していいもの(肌着・補正関係など)は、ちょっと省略して最低限にします。
以前はハワイのお土産にもらったスーパーの大きなトートバッグを使っていたのですが、今はいち利モールオリジナルの着物帆布バッグを使っています。
これ、着物好きな皆さんが考えたということで、とってもよくできているんです。以前カスタムした記事をアップしましたが、シンプルな外見とお値段に似合わず、優れものなんですよ~。
一番気に入っているのが、帯板ポケット。風呂敷につつむとき、なんとなく邪魔だった帯板に専用ポケットが(感動)。帯板をうっかり忘れることがなくなります。帯枕もこちらのポケットを使っています。
そして、フラップがついているので、かぶせてしまえば中が見えない\(^O^)/
収納用のミニバッグのほうに小物ポーチを入れたら、バッグの持ち手にかければ、ダブルバッグになって、準備完了です! ザ・着物バッグというかんじがしなくて、カジュアルにも持ち運べて気に入っています♪
出かける前に、一度頭の中で着るシュミレーションをして、忘れ物がないか確かめるようにしています(一度、襦袢を忘れて気絶したわにこです。足袋をよく忘れるので要注意です(私だけ!?)。
皆様の持ち運びアイデアもありましたら、教えて下さい(^^)
柄出しもカンタン☆この一手間で帯揚をキレイに整える!の巻
星わにこ
2014/10/08 00:00
先日の台風、大変でしたね。でも、思ったより足早に通り抜けて台風一過の青空にびっくり。お陰で十三夜を拝むことができました。そしていよいよ本日10月8日の十五夜は皆既月食。すっきりと晴れてくれるといいのですが。
十三夜と十五夜のお月様、両方を愛でないと「片見月」といって、縁起が良くないのだとか。なんにしても、夜空を見上げる余裕は欲しいですね。
さて今日は帯揚をキレイに整えるコツのご紹介です。
実は今、一念発起して着付の勉強をしなおしているのですが、ちょっとした手業やコツで随分変わる!と感動の日々です。自己流はどうしても限界があり、そういうときにポイントでも教えてもらうと、ぐんと着姿が綺麗になります(あくまで当社比)。
そんなコツの中から、なんだか上手く決まらない~! 結び目の横がシワシワ~~~! 柄つきの帯揚なのに、上手いところに柄がこない~! と、悩んでいた帯揚が、綺麗に結べるようになったポイントをご紹介します。
(上手く結べる方は読み飛ばしてくださいね(^^;))
まず、帯枕は先にして結んでしまいます。そのあと帯揚を帯枕の上に通してかけます。ここで柄を出したい場所にひっぱりながら移動させます。脇の後ろの帯から覗くところとか、サイドとか、中心とか……。このとき、帯枕に帯揚をかけた部分が外れないようにうまく帯揚をひっぱってテンションをかけながらずらすのがポイント。
なかなかここでうまく帯揚を帯枕にかけられないわ、という場合は、帯枕の上だけに帯揚をかけておいて、帯枕をしてもOK。
それが決まったら、帯枕の下に帯揚をはさみます。このとき手は真後ろにはなかなかまわりませんので(笑)帯揚を帯の幅くらいに持って、両方でひっぱりながら帯枕が隠れるように包みます。
よく、帯枕に帯揚を最初からかけてゴムで留めたりしていたので、この後かけ式は最初知った時衝撃でした! 後からでも大丈夫なんですね。
そして、帯揚をひっぱりながら、内側に上から三分の一を折り、下から上に三分の一を折って3つに畳みます。そしてそれをさらに半分に折って、ここがポイント!
その状態で折った部分に指を挟み、スーッと折り目をしごきます。このとき、強めにテンションをかけながら、手が届く限り、ワキの後ろまでしごきます。すると帯揚がま~っすぐキレイに整います。
いままで、しごくのは教わったことがあっても、前の方しかしごいていなかったわたしでした。ここで綺麗に帯のところまでシワがとれたらすっきり綺麗に処理できます。
両方しごいたら、着物と同じ打ち合わせに重ねて、結ぶだけ。このコツを知ってからはすっきり結べるようになった(当社比)ので、苦手意識の強かった帯揚の処理が楽しくて仕方ありません!!
結ぶときは、結び目の幅が広くてふんわりと帯揚が見える量がたっぷりしているほど若い印象に。好みもありますが、年齢とともに、結び目は小さく、帯揚を見せる量も少なくすっきりとさせていくのが一般的です。
結ぶのがどうしてもうまくいかない!という人は、帯枕の紐をしっかり締めれば大丈夫ですから、結ばないで、結び目のような形に見えるようにクロスしてかけた状態で余りを帯の中にしまってしまうという裏技も。
着付の仕上、最後に帯揚がスッキリ決まると気分もいいですよね! 帯周りを上から見るたび「ウムウム」と自己満足の頷きをしてしまいます(阿呆)
ぜひ「ワキの後ろまでぐっとしごく」、この一手間をお試し下さい。