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できたての和菓子でお抹茶をいただく贅沢☆巻

星わにこ
2018/05/30 00:00
西荻窪の一欅庵という昭和8年に建てられた登録有形文化財の素敵な建物で、「和のくらし展」というイベントがありました。  もう6年ほど続いている、素敵な出展者さんの着物や和のモノコトに触れられる素敵なイベントです。折りにふれてはお邪魔しているのですが、このところばたばたで2年ほどご無沙汰していました。久々に伺う一欅庵は、門の脇に立つ大ケヤキも懐かしく、中に入るとふうわりと迎えてくれるような優しい雰囲気に満ちていて、思わずただいまーと言いそうになりました。  この建物は、宮大工さんによる素晴らしい細工がここかしこに残っていて、とても凝った作りになっています。お庭も緑に溢れていて、今は作られていない板ガラスの建具に色が揺らいで映って、本当に美しい空間です。  そんな建物の一角にお茶室があり、今回はそこで催された「歌舞伎茶会」に参加してきました。和三盆恵菓さんが和菓子を目の前で作ってくださるのをいただき、それを鳴海彩詠さんのお点前でお抹茶でいただくという贅沢な茶会。和三盆恵菓さんが松本幸四郎さん襲名の記念の和菓子にあうコーヒー「煎」にあう「勧進帳」の世界を映す和菓子コンテストの受賞作「瀧の水」を作り、できたてをいただきます。  鳴るは滝の水、鳴るは滝の水、日は照るとも絶えずとうたり‥‥義経を逃がすため、富樫の前で弁慶が「延年の舞」を舞う場面に因んだもの。  美しい手さばきでスッスッと色の違う餡があわせられ、包まれ、形づくられ‥‥‥あっという間に美しい、舞扇を模した紅白の練切が出来上がります。  餡の材料や、どうしてその形に作るのかなど、説明しながらよどみなく動く職人さんの手。無駄が一切なくて素晴らしいの一言。それはそれは美しくて、さながらお点前を拝見しているよう。見惚れてしまいました。製糖会社で和三盆作りに携わり、その後和菓子職人への道に飛び込んだ和三盆恵菓のご主人、頼富さん。虎屋で10年修行され、越谷でお店を構えられました。昨年オープンしたばかりですが、贅沢に和三盆を使ったとびっきりの和菓子で今注目を集めています!  できたてで水分が飛んでいない練切は、やわらかくほどけてなんとも言えない美味しさ。そして優しく、でも豊かな風味。こんな美味しい練切を食べたことがあるだろうか? いやない!と断言しちゃうほどの美味しさでした。  お干菓子の和三盆も、えっ?というほど優しく口の中でほどけていきます。こんな食感初めてかも。  お茶は茶箱でのお点前で、あえて白拍子のような髪型の彩詠さんが「舞の白」というこれまた舞に因んだ名のお薄を点ててくださいました。ほうっと口の中に広がる風味がたまりません。  お道具立ても素敵で、茶室の開け放った窓から入る心地好い緑の風とともに、ザアッと弁慶の舞のシーンが浮かぶような。逃げてー義経逃げちゃってー!そしてこの後六方飛びだな~なんて想像して、ちょっとワクワク。  本当に贅沢で、素敵なひとときでした。 私も、「瀧の水」というお題にあわせて、帯まわりは瀧をイメージしたコーデで。こういうところは本当に自己満足の世界なのですが、参加する楽しみのひとつ。他のお客様のお着物コーデを拝見するのもこれまた楽しみなのですよね~。  あまり時間がなくてゆっくりできなかったのが残念でしたが、また秋にもイベントがあるそうなので参加したいな~と思っております。  個人的なことですが、この2、3年、なんだかいろいろありすぎて、お茶をゆっくり楽しむなんて余裕も忘れていた気がします。引越しも一段落してちょっと心に余裕ができてきたのかも? なんて、懐かしい場所と変わらぬ笑顔に会えて、リラックスできた週末でした。  一欅庵は、イベント開催時は中に入って見学することもできます。今週末は西荻窪のチャサンポーというイベントで開放されていますよ。本当に素敵な場所なので、教えたくないくらい(ええ~)ですが、機会がありましたらぜひ足を運んでみてください! >一欅庵和のくらし展 >一欅庵

ひかりの茶会で見た「もてなし」と「しつらい」の茶の心の巻

星わにこ
2018/05/09 00:00
 GW明けは急に季節が巻き戻ったように寒くなってしまいましたね。ずっと仕事だったGWも終わり、ほっと一息のわにこです。  ゴールデンウイークは東京キモノショーというイベントにお仕事で入っていたのですが、私の楽しみは「ひかりの茶会」という、会場内で催されている星霜軒主催のお茶会に参加すること。  イベントが始まってから3年目、毎年違った趣向でお茶の新しい可能性を見せてくださる素晴らしいお茶会なのですが、かしこまらず、押し付けがましくなく、アートな空間装置、はっとするような美しいお道具としつらいと、美味しいお菓子とお茶を楽しめるのです。  お茶の世界は、決まりがうるさいし知識がないからと敬遠する方が多いですが、そんなことは気にすることなく、ひたすらに美しい空間と、お茶を楽しめる場。毎回、しかも毎日書も花もお点前もお菓子もお茶も変わり、そのときの出会いを大切にする、一期一会とはこういうことかと感動し、行ける日は時間を見つけて通わせていただきました。  今年は、錆和紙のアートや銀色の球体が浮かぶエントランスをくぐり、青い光の待合で時間を過ごしたあと、宇宙ステーションを思わせる円形のトラス構造に、美しい宇宙の色を思わせる絞りの反物が45反かかっている中に設えられたお茶席に案内されました。  毎日テーマが変わるのですが、私が特に感動したのは3日目の「星」のお席。自分の名前が星だから、というわけではなくです(笑)。  茶箱から、大切な思い出の品を取り出すようにお道具が取り出され、お点前がはじまる。BGMはラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」。お茶でBGMがかかるなんて、新鮮ですが、よりドラマチックにお茶の世界に入って行けるような気持ちがしました。  美しい銀河のような主菓子をいただき、お茶をいただきながら、松浦ひかり先生、吉森宗浩先生のお話に耳を傾ける。わかりやすく、やさしく、お茶の世界に誘われます。 「星」の席のテーマは、亡き人に想いを馳せる。星になった人と今を生きる人が宇宙に浮かぶ野点の席で出会う‥‥。星霜軒の名の由来ともなった吉森先生の宇宙物理学者のお父様や、亡きお母様にお茶を点てお供えし続けたという日々椀のお話を伺いなら、私も、今は亡き大切な人や猫たちを思い出していました。  それぞれの、大切な人を思い出し、お茶をいただく。それはまるで、あの世もこの世も関係なくまるで亡くなった人がニコニコ同席してくれているような。今いるこの空間が、この世ではないようなそんな感覚を覚えました。  辛い思いや、悲しい想いもあるけれど、茶箱にはたくさんのものは詰め込めません。大切で、楽しくて、美しかった思い出だけ詰めこんで、ときどき取り出して、語らって、また仕舞って‥‥。  そんな風にできたらと思ったら、ぽろりと涙がこぼれました。年ですかねー。 そして私も、いずれは星になり、この肉体から解き放たれて自由になれる。誰かが思い出してくれたときは、ニコニコの笑顔を思い出してくれるように‥‥生きていきたいなあと思いました。  お茶のお稽古をしていると、うまくできたとか手順が守れたとかそんなことばかり気にしてしまう自分がいますが、それは修練を積むしかなく、そこよりも、もてなしの心を持つことのほうが本意なのだなと改めて思う、素晴らしいホスピタリティ溢れるお茶会でした。  他の日も、テーマにそったBGMとお点前のコラボが素晴らしく、特に2日目のボレロの勇壮なメロディが流れる中、5人の男性がシンクロしてお点前をするという超絶カッコイイお茶席、残念ながら入れなかったのですが目撃した皆さんから興奮気味の報告を伺いました!見たかった!  最終日はTime to say goodbyeを聞きながら、8人でのお点前、またお客様から2人入って総勢10人で盆略点前を見せていただき、一期一会、別れと旅立ちを想い‥‥。本当に素晴らしいお茶会に参加できて、感謝の気持ちで一杯です。星霜軒では月釜も開催していらっしゃるので、いつか参加してみたいと思っております。  お茶はおもてなしとしつらいの総合芸術だということ、守るべきものと時代にあわせて変わっていくものがなければ、どんなに素晴らしいものでも続いて行くことはないということ。ただ、遊べばいいということでもなく、基本を踏まえたうえで自由に羽ばたく凄さを思い知った気がしました。  東京キモノショーでは本当にいろんな着こなしのトルソーとそしてお客様がいらして、着物に関しても、そんなことを思ったりしたのでした。いろんな好み、いろんな方向を見たり触れたりすることで自分の好みもまた化学変化を起こして、変わったり、戻ったり。それもまた楽しいものです。こうでなくてはならない、ということはない。そして、他を否定することはしたくない。という思いを新たにした5日間でした。 星霜軒

ゴールデンウィークは単衣でおでかけ!の巻

星わにこ
2018/05/02 00:00
 ゴールデンウイーク中、皆様はどんなご予定でしょうか? 平成最後の1年に突入したと思うと、1日1日を大切にしないと、とか、なんにもしてないなーという焦りとか、はわはわした気持ちになったりもして。  旅行やおでかけに、着物ででかけたい!と思うけど、東京はもう真夏日が続いております。24度超えたら単衣、というのをひとつの目安にしているのですが、もう4月から単衣まくりです。真夏日には単衣だって暑いくらいですよね。私は少しでも涼しく着られるよう、うそつきを使っています。 ●着物でうそつき!? 簡単便利なインナーの巻  着物は身八つ口(袖の付け根)が開いているし、着てしまえば意外とそんなに暑くもないものです。建物や乗り物の中は空調も効いているので、大丈夫。逆に、暑いからと肌着等を省きすぎると、汗が直接着物にいってしまうので、汗とりは必須になります。  その辺のバランスを差し引きしながら、天気予報と相談。最近は突然の雨などもあるので、ちょっと怪しいなと言うときは、薄いコートと晴雨兼用の傘を持っていきます。  このところ、毎年ゴールデンウイークにはきものイベントに参加しているのですが、今年は日本橋で今日から始まる「東京キモノショー」。アイコンにもなっている、宇山あゆみさんの人形が今年は中原淳一の世界とコラボ。めちゃくちゃ可愛いです。  そして私がなんといっても楽しみにしているのはキモノスタイル200という、マネキンでの着物展示です。着物は、やはり着るものです。実際にマネキンが着ているコーディネートを見るのはとても楽しいもの。反物や平面で見るのと違って、生きている着物と会話ができるような気がするのは私だけでしょうか。  会場に並ぶたくさんの着物や帯とおしゃべりしながら(心の中でです、心の中で(笑))ぶらぶら歩くだけでもとっても楽しいんですよ。バラエティに飛んだコーデの中からきっと好みのものが見つかるはず。また、え~っ!こんなのもあるんだ!という驚きも隠れているはずです。  毎年趣向を凝らしたお席が楽しみな、ひかりの茶会もあります。お茶は堅苦しい、敷居が高いと思っている方も、一度体験してみていただきたい素敵な世界です。今年はステージが中心ということで、それも楽しみですね。ファンションショー、アート展示やワークショップも充実しています。黒留ナイトもありますよ。東京キモノショーのすごいなと思うところは、伝統から最先端まで、いろんな着物のスタイルが一気に体験できるところかなと思っております。  私自身も着物を着るようになって本当に決まりを守って、白衿白足袋ばかりで着ていた着物。でもそれ以外の素敵でカッコいい着こなしやスタイルに触れて、これもいいんだ、あれもいいんだと目からウロコがいっぱい落ちて、楽しみ方が広がりました。  着物は興味があるけど、決まり事がいっぱいありすぎて、ちょっと‥‥という方にもぜひ見ていただきたいイベントです。  私も相変わらず、好きなので白衿白足袋が中心だけど‥‥。それしか知らないのと、たくさんある中からそれを選んでいるのでは、違うと思います。絶対そうでなくてはならない!という思い込みが外れると一気に世界が広がりますよ~! 私も会場でウロウロしているので、見かけたら声をかけてくださいね!  ゴールデンウイーク、着物に関連したイベントや場所はもちろん、着物はこうでなくてはいけない、こういうこところにしか着て行けない、というそんな思い込みも外して、いろんなところにおでかけしてみてはいかがでしょうか。

着物はめぐるよ☆「きもチャリ」今年も開催の巻

星わにこ
2018/03/09 00:00
 東京はやっと暖かくなってきたなあと思ったらまた厳しい寒さと雨。三寒四温とはよく言ったものですね。もうすぐ春ですね。  そして、東日本大震災から七年。もう七年という気も、まだ七年という気もしますが、まだまだ生活が立ち直っていない方もたくさんいらっしゃいます。クリエイター仲間で集まって「wasurenai」というチャリティイベントを毎年この時期に開催して、収益金を親を被災で亡くした子どもたちの奨学金にあてている「みちのくみらい基金」に寄付する活動を続けています。  できる範囲でできるだけ。それぞれ作品や得意な技を持ち寄って、チャリティということで、わたしは着物を寄付していただいて販売する着物のチャリティバザー、略して「きもチャリ」部門で活動しています。  昨年はコラムで寄付をお願いしたところ、全国からたくさんの寄付をお送りいただき、過去最高の売上でした。今年も、覚えていてくださって送ってくださった方もいらっしゃいます。きもチャリの開催を楽しみにしてくださっている方も増えて、ありがたい限りです。  今年も、30箱以上のダンボールが受付日に届き、嬉しい悲鳴が。着物好きの仲間が集まって、仕分けや値付けをし、陳列。これがなかなか大変な作業です。目利きというわけではありませんから、着物の状態をざっと見て1000円、3000円‥‥と仕分けていきます。だから、掘り出し物があるかもなんです。帯も500円、1000円から。すごくよいものでも、とってもお得な値段。  今年は「着物カード」というのを作って、どんな着物なのか、一言添えていただけるようお願いしました。サイズの他におばあさまのもの、お母様のもの、どこで買ったか、何に似合うか‥‥メモしていただきました。寄付してくださった方の思いが伝わって、じーんとする場面も。  ただの古着のようでも、着物ってなんだかそれだけじゃない。気持ちがこもっているような気がします。だから、こうやって着ない着物たちが箪笥から飛び出して、着る人や作る人の手にわたってまた活躍して、しかもそれが奨学金の支援になる。チャリティの開催は正直大変なこともいっぱいですが、毎年それが励みになって続けています。  着物は、そのままきてももちろんいいし、和洋ミックスにしたり、羽織なんかは洋服の上にカーディガンがわりに着ても可愛いですよ。正絹だから、軽いし暖かいです。 >チャリティその後☆箪笥から飛び出した着物たち  ここ3年会場になってきた昭和な家が、今年取り壊されることになり、このスタイルでの開催はこれが最後になります。今後どういう形になるかはわかりませんが、奨学金の寄付につながるチャリティは続けて行けたらよいなあと思っております。チャリティは、大きな負担になっては続かないので、細く長く。できるときにできるだけ。そしてなにより、関わる人が楽しいことが大事だと思います。 https://www.facebook.com/events/732091060329268/  3月9日(金)~11日(日)の開催です。このコラムがアップされるころ、ちょうど開催中です。  リサイクル品でもこれは!というものに出会ったら、お手入れして着るのも楽しいものですよ。いち利モールさんでもクリーニングはじめ、裄直しなど、いろいろな着物のお手入れメニューがあります。受け継いだ着物、出会った着物……楽しんでおしゃれに着てあげたら、着物たちも大喜びですよね。  3.11はみんなにとって忘れられない日で。それぞれの想いを抱えて過ごされると思います。もしなにか、自分が関われることがあったら、目をむけてみてみてもらえたら。  前を向いて歩き出すためにも。

歌舞伎座!高麗屋三代襲名披露にいってきたよ☆の巻

星わにこ
2018/02/28 00:00
 皆様歌舞伎は御覧になりますか? 先日、歌舞伎座の二月公演、高麗屋三代襲名披露にいってまいりました。私は、細く長く機会があればという程度ですが、一番好きな伝統芸能です。わかりやすく、華やかで、けれん味があって、役者さんたちが魅力的で。演目の着物もそうですし、観劇にいくときに着物を着ていくのも楽しみのひとつです。もちろん、他の方の着物を見るのも!  私がはじめて歌舞伎を観たのは、地元の農村歌舞伎。岐阜県中津川市加子母の明治座で、村人たちの演じる歌舞伎。子供歌舞伎もあり、同級生たちが出演する義経千本桜でした。岐阜は農村歌舞伎が盛んで、歌舞伎は身近なものという感覚で育ちましたが、東京にでてはじめて歌舞伎座へ行って、あたりまえですがケタ違いの華やかさと豪華さにくらくらしたことを覚えています。  以降、本を読んで勉強して、学生の頃は観たい演目は幕見にオペラグラスを持って通いました。毎月通う熱心なファンではなかったですが、友達に誘ってもらったり、折々に観に行きました。特に仁左衛門丈(当時は孝夫様)出演の演目のときは、張り切って出かけたものです。  仁左衛門丈の襲名披露のときは、母と名古屋の御園座公演に一緒にでかけたのもよい思い出です。花道横で仁左さまの脛に鼻血が……(すみません)。そのときの演目は郭文章。また、新歌舞伎座の柿落しで同じ廓文章を仁左衛門・玉三郎で観たのも良い思い出です。亡くなった母にも見せてあげたいな、なんて思って、形見の数珠ブレスレットをつけていきました。  実は、新歌舞伎座は今回が二度目。浅草や演舞場では観たりしていましたが、なんだか慌ただしい日々が続いていてそんな余裕もなく。今回高麗屋さんの襲名公演に誘ってもらって、スケジュール的には厳しいかなあ‥‥と思ったものの、ああそういえばここしばらく、落ち着いて歌舞伎を観ることも叶わなかったなあと、思い切って出かけることにしたのでした。  案の定、ぎっくり腰になったりしてw 万全の状態ではなかったですが、思い切って出かけてよかった!!! 着物も着て行きましたよ!  千秋楽だったのもあって、お客様も、迎える役者の奥様がたも、それはそれは素晴らしい着物姿が多く、ついキョロキョロ。詳しい友達にいろいろ教えてもらってほおおお!!あーっ!あの方は、あーっ!あの方もと心の中でキャーキャー言いながら、堪能しました。  本当に豪華な出演陣で、久々に観た私でもああ、あの役者さんがこんなに立派になってとか、変わらないとか、年をとったなあなどと感慨にふけりながら観劇することができました。観客席も着物姿の方も多く、大向うのかけ声もいつもよりたくさん! アドリブも楽しく、知らず知らず心が浮き立ちます。  歌舞伎の魅力のひとつは、世襲制にあるのだろうなあと長く観ていて思います。だから、それぞれの役者さんの後ろに先代の面影を見ては「ああ、お父さんに似てきたなあ」とか「父を超えたなー!」とか「もうちょっと頑張れ」とか(笑)そんなことを実感として思うようになってきました。昔はその役者さんのお父さんの話をされても「知らんし」とか思っていましたが(笑)、ええ、お父様の若い頃をリアルタイムで見ていて知っていますとも~~! 自分が年をとった証拠でもありますよね。  別に家族や親戚でもないけれど、子供が生まれ、成長して立派に名跡を継いで行く様を見るのは、感慨深いものがあります。見続ければ見続けるだけ、発見もあり面白さも増す。芸と、そういう血統のサブストーリーも、観客に足を運ばせる魅力となっているのでしょう。  今回は三代揃っての襲名披露と、なかなか願ってもできることではないお目出度い興行。生まれたときからかくあるようにレールが敷かれてそこでさらに自分を磨いていくというのは並大抵のことではないでしょう。白鸚を襲名した幸四郎さんが、染五郎から幸四郎を襲名するときに10代のころはそれがいやで、反発をして音楽をやったりしたこともあるというインタビューを読んだことがあります。それがなんと37年前のこと。今回お孫さんが染五郎となり、大名跡の幸四郎を息子に譲り、今はどんな風に感じていらっしゃるのでしょうか。  いつもそこにある歌舞伎。それを維持していくのも大変なことでしょう。だけど、そうだからこそ観客である我々も、折々にあのときこれを観た、誰と一緒に行った、自分自身はこうだった、などと思い出せる。舞台に足を運んで、お弁当を食べて、時の流れを感じながら、お芝居や踊りに涙ぐんだり手を打ったり。  久しぶりにゆっくりした時間を過ごして、歌舞伎に繋がる思い出にも心をめぐらせ、本当に楽しかったです。やがて今日のことも、ああ、あの襲名披露のときは観にいったと、思い出のひとつになっていくのでしょう。そしてまた、いつかの未来の幸四郎の襲名公演を、わたしは見ることが果たして出来るのでしょうか? 連れて行ってくれた友人に感謝しつつ、胸いっぱいで歌舞伎座をあとにしました。  次はいつ来られるのだろう。物理的には行くことができても、やはり強いモチベーションか、精神的に余裕があるときじゃないと無理だなあと思ってしまいます。ちょこちょこと、好きな役者さんがこの演目をやるから!なんて、着て行く着物に迷って、ときめいて。そんな芝居見物ができる余裕のある人生が送りたいと、夢ノートに書いておこう。  高麗屋三代のご襲名、誠におめでとうございました。

煌めく絹糸の旋律☆日本刺繍の世界に酔いしれるの巻

星わにこ
2018/01/17 00:00
 そろそろお正月気分も抜けて平常運転!のはずですが、まだなんとなくボーっとしているわにこです。  昨年末からこの月曜日まで銀座松屋で草乃しずか先生の日本刺繍の展覧会「煌めく絹糸の旋律」が開催されておりました。御覧になった方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。  駆け込みで観に行ったのですが、もう本当にうっとりでした。着物や帯にも、刺繍が少し使われているだけでもぐん!と豪華になりますよね。それがもう、たっぷりと贅沢に思いっきり刺繍!刺繍!刺繍!が堪能できました。  刺繍の中でも、日本刺繍は細い絹糸を使って、繊細にしかしたっぷりと刺されていて、本当に美しいものです。「煌めく絹糸」と展覧会のタイトルにもなっていますが、絹糸がつやつやと光を放ち、見るものの心を魅了します。  正倉院模様や鳥獣戯画を刺繍で表現したもの、また歴史上や物語の女性たちをイメージした百花繚乱と名付けられた艶やかな振袖の数々。お母様との合作をはじめとした、創作の原点。素晴らしい展覧会でした。  観にいらしている方たちも、お正月らしい晴れ着、刺繍の入った着物や帯、小物など素晴らしい装いの方も多く、こちらも眼福でした。  プツッ。シューッ! プツッ。シューッ!  何の音だろう? と思ったら、会場で流れていた映像に映し出されていたのは実際に刺繍をしている様子。ピン!と張られた布に針が通る時にプツッ!と小気味良い音がし、シューッ!と糸が引かれる音がします。絹糸ならではの、音ではないでしょうか。まさに、絹糸の旋律。布目に正確に刺される針。舞うように引かれる糸。心地好いリズムで繰り返されるその音に、しばし聞き入ってしまいました。  日本刺繍の技法についても詳しく解説されており、地引き、繍い切り、相良繍い(さがらぬい)、菅繍い(すがぬい)、刺し繍い、割り繍い、駒取り、まつり繍いの8つの技法について知ることができました。  もう目がハートになってしまったわたくし、DVDつき図録を購入。家でもしつこく、プツッ、シューッ! をリピート視聴しております。草乃先生の創作への想いも、熱く、伝わってきます。映像ってすごいなー。  会場ではワークショップも開催されており、私は時間がなくて参加できませんでしたが、キモトモさんたちが参加されて、素敵な猫ちゃんの手鏡や桜の桐箱など、見せてもらいました。いやあ~~あの作品と映像を観たら、やってみたくなるよね~!  以前キモトモが「日本刺繍やる!」と取り組んでいたのを、私はいいや~な~んて横目でみていた私ですが、ちょっとうずうずしちゃいました。まあでも、自分でやったら、「美しい作品」というレベルになるには相当時間がかかりそうです(汗)。  圧倒的な美意識と、デザイン力と、刺繍の技法に打ちのめされた!(気絶)という気持ちになるほどの素晴らしい展覧会でした。技法を知ると着物や帯の刺繍を見る目が、今後変わるかも! 目の保養と「知る」ことって大切ですね。そして、DVDに収録されていたこれからの創作に意欲を燃やされる草乃先生のお話を伺い、美しいものを沢山見て、自分も美意識を磨いて行きたい! と強く思った年の初めでした。

笑いってすごい!狂言のワークショップに参加☆の巻

星わにこ
2017/11/22 00:00
 11月15日、和gaku庵さん主催の狂言ワークショップ『古今あるある人間ものがたり「狂言」』に参加してきました。  今まで能を観に行って間狂言を見る、くらいの意識しかなかったのですが、今回は「狂言」について学べる、しかも夢の檜舞台に上がって実際に体験できるということでとても楽しみにして伺いました。  能は歴史上の人物や霊などの物語が多く、謡と舞で表現されオペラのようなもの。一方狂言は、名もなき庶民、一般市民の生活や生きている人たちを表現した喜劇。動物や鬼などの役以外は面を付けずに演じます。昔から変わらない、どこか憎めない滑稽な人物たちの様子が笑いを誘います。 「お客様にたくさん笑ってもらえると、演者のほうものっていくので、ぜひ狂言は構えずに、笑ってお楽しみ下さい」と、和泉流・六世 野村万之丞先生。万之丞先生はなんとまだ20歳。お話や説明もとてもお上手でわかりやすい上に爽やかなイケメンなんですよ! 袴姿も凛々しくて、本当に素敵でした。  そして実際に能舞台に白足袋を着用して上がらせていただき、簡単な所作や台詞を言ってみる、というのですが、まず構えて上半身を動かさずに歩くという基本の動作だけでも体がプルプル。次に先生の声量にびっくり! あたりまえですが、いざ自分も真似してみようと思っても全然声が出てません!  それでも二人一組で、主人と太郎冠者(たろうかじゃ)をやったり、お酒をついで飲む動作を扇を使ってやってみたり、のこぎりで垣根を切る動作をやってみたり。 写真:和gaku庵  泣いたり、笑ったり、おもいっきり大きな動作で大きな声を出す体験はとても楽しかったです。参加者の皆さんも、それぞれとても楽しんでいらして、笑顔がいっぱいの楽しいワークショップでした。  他にも貴重な面や装束も見せていただきました。狂言の装束の基本は縞熨斗目(しまのしめ=チェックの模様)の着附(きつけ)、肩衣(かたぎぬ)、半袴、腰帯で、それぞれの役に応じて色などは自由に組み合わせてよいのだそう。大正時代に作られたという装束も美しく華やかでうっとり。  洗ったりはしないものなので、汗取りの肌着の上に胴衣(どうぎ)という羽二重に綿をはさんだ汗取りをさらに着て、その上に装束をつけるそう。ウエストの補整をする場合もあるとか。補整とか汗取りとか、興味しんしんでいろいろ質問してしまいました(^^;)すみません。  七月の終わりには装束や面などを3日間かけて虫干しし、繕ったりして手入れをし、大切に受け継いでいくのだそうです。650年前の室町時代に生まれた演劇が、そのまま残り、今でも当時と同じように人々を笑わせ、幸せな気持ちにしてくれるというのは、受け継いできた方たちのたゆまぬ努力の賜物なのですね。今までとはまたちょっと別の気持ちで、狂言を鑑賞することができそうです。ありがとうございました!  和gaku庵では、日本の文化を学び楽しむ講座やお稽古がいろいろあります。日本の伝統文化を覗いてみると、着物に対する理解や面白さもぐっと深まる気がします。皆様も機会があったら、体験されてみてはいかがでしょうか? 和gaku庵 和泉流野村万蔵家 萬狂言

「はいからさんが通る」展へ袴でGO!の巻

星わにこ
2017/11/08 00:00
 芸術の秋!というわけで(?)ただいま弥生美術館で開催中の「はいからさんが通る」 展 ~大正乙女らいふ×大和和紀ワールド!~に行ってまいりました。 「はいからさんが通る」は70年代の少女漫画ですが、その後何度もアニメやドラマ、舞台や映画化されているので御存知の方も多いかと思います。  大正時代、「ハイカラさん」と呼ばれる袴姿の女学生たちは、時代の先端をいく存在でした。そんな女学生のひとり、紅緒はなかでも活動的ではねっかえり。そんな紅緒が恋をしたのが、婚約者の伊集院少尉。しかし、少尉は戦争で帰らぬ人となり‥‥波瀾万丈のストーリー、子どもの頃ドキドキで読んだものです。  大人になってすっかり忘れていましたが、袴とリボンが大好きなキモトモが「弥生美術館の『はいからさんが通る』展、袴をはいていくと100円引きになるらしいよ!コラムのネタになるんじゃない? 一緒に行かない?」と誘ってくれました。  二人で行ってもいいけれど、どうせなら皆を誘ってみよう!ということでキモトモたちに声をかけたところ、なんと7名の袴女子プラス洋装1名が集まりました!! はいからさん人気高し!!  せっかくなので、と根津の老舗『はん亭』のランチを予約。大正初期に建てられたというお店の建物はとても趣があって、はいからさん気分が盛り上がります!  串揚げのコースに舌鼓を打って、お腹も満足したところで坂を上って弥生美術館へ。アラフィフの袴集団はちょっと、いいえかなり注目を集めていたかも‥‥。しかし、赤信号みんなでわたれば怖くない(古)。恥ずかしいかなと思っていましたが、全然平気でした(笑) 長羽織を着ていると、意外と袴姿は目立たないです。まあロングスカートみたいなものですしね‥‥(違)。とにかく動きやすくて楽です。  そして、チケット売場で袴着用でご来館の方は「ハイカラさん割引」!ということで100円引き(他割引と併用不可)+大正乙女しおりをいたただきましたよ~!  入口には、紅緒さんと少尉の等身大(?)立て看板のある記念撮影コーナーが! 嬉々として写真を撮ってもらったのですが、あとで見てみて,少女漫画の登場人物と自分とのあまりの頭身差にびっくり(笑)少尉、足なっが~い!  前期・中期・後期で展示替えがあるそうなのですが、この撮影コーナー、男性が前期は少尉、中期は狼さん、後期は編集長に変わるそうです。編集長派のわたしとしては、もう一度来るしかない!?   肝心の展示は、狭い館内だしさくっと見終わるかな‥‥と思ったら、いやいや。見覚えのある懐かしのマンガ原稿、憧れたカラーピンナップ、あれもこれも、キャー!! キモトモたちも同じ気持ちだったのか、もう全員食い入るように見入っておりました。  はいからさんだけでなく、ヨコハマ物語やあさきゆめみしなどなどの原画、カラー原稿の美しさにもう、うっとり。大和和紀ワールドに浸っているうちに、あっという間に時間が過ぎてびっくり! また、実際の女学生スタイルの着物や袴、資料なども展示されていて見応えがありました。  最終回のあらすじを見て、あらためて編集長の不憫さに涙するツメ子、いえわにこ。番外編があってよかったねーなんてマニアな会話を交わせる喜び(笑)。はいからさん、も一度全部読み直したいな~。往年の少女マンガパワーに胸アツでした!  写真オッケーなキモトモと記念撮影させてもらいました! 皆様それぞれ素敵でしょ? わにこは髪の毛のカットを失敗し(涙)帽子姿です。袴楽しい!! 「はいからさんが通る」展は12月24日まで。もう前期は終わってしまいましたが、まだまだ開催されております。はいからさんファンは必見! ぜひ!袴で御覧になってくださいませ。気分もさらに盛り上がること間違いなしですですよ~。 >「はいからさんが通る」 展 ~大正乙女らいふ×大和和紀ワールド!~

芸術の秋!GINZA SIXの観世能楽堂におでかけしたよ☆の巻

星わにこ
2017/09/13 00:00
今年4月にオープンしたGINZA SIX。その地下3階に能楽堂があるのを御存知ですか? 渋谷にあった観世能楽堂がそのまま移築され、スヌーピーコラボのグッズなどでも話題になっていましたね。  恥ずかしながら、流行ものに弱いわたくしGINZA SIX自体はじめて。こんなことでもないとなかなか行けない!と、雨予報でしたが、張り切って着物でおでかけしましたよ。  キモトモ(着物友達)に招待をいただいて大倉流祖先祭へ。豪華な出演者の皆様を間近で見られて眼福でした。途切れることなく一日中開催されていますが、昼間の数時間だけ番組を拝見してきました。  友人達のお陰で、お供して足を運ぶうち、なんとなくわかるようになってきた能の世界。本を読んだり映像を観たりするのとは違い、やはり生の舞台は格別です。予習をしていくと、ああ、お話のこの部分、というのがわかって楽しいですし、ただただ目の前に繰り広げられる夢幻の世界に酔うもよし。謡を聞きながら睡魔と闘ったり負けたり(負けるんかい)するのも醍醐味です。  伝統芸能の舞台は、衣裳的にも眼福。能衣装は言うまでもなく、黒紋付袴でずらりと並ぶ囃子方や地謡の皆様かっこいい! 皆様所作が伴っているので、本当に着姿が素敵なのですよね。友人の初舞台もあったのですが、その中に女性がキリリと色無地で紅一点というのも、本当にりりしく美しかったー。  男性の袴には馬乗り(ズボン型)、行灯(スカート型)がありますが、能楽では「仕舞袴」という馬乗り型の進化形の袴を着用される方が多いとのこと。動きやすい構造で、立ったり座ったりしてもシワなどができにくいのだとか。仕舞は行灯の方もいましたが、囃子方や地謡、後見の方はほとんど仕舞袴だったのかなー。地謡の右から2番目の人かっこいい!とか(鑑賞目的がずれている気も‥‥(^^;))。短い時間でしたが堪能して参りました。  自分もまた、伝統芸能仕様の着物でお洒落をして観に行くのも楽しみのひとつ。別に決まりがあるわけではありませんが、演目にあわせたり、季節をたのしんだり。私は、観能にいくときは色無地や江戸小紋などで行くようにしています。遊びは帯や帯留などで。でも、コダワリはさりげなーくもしくは自分だけしかわからない、みたいなのが理想です。歌舞伎ともまた違う楽しさ面白さ。きっと皆様にもいろいろなコダワリがおありなのではないでしょうか。  この日は蒸し暑かったのですが、秋を意識したコーデで。むじな菊の江戸小紋に萩の刺繍帯。マダム仕様(笑)の真珠の帯留と指輪。帯揚を濃い紫で締めてみました。雨だったので草履が色の濃いカレンブロッソだったのがちょいと自分的には残念でしたが、鏡板の松色ってことで。  あと、あまりの暑さに髪を切ってしまったのですが、やっぱり着物のときはアップヘアが気分が上がりますね~。また伸ばそうと改めて思いました。  その後ランチやお茶で、同行の友人と演目について話すのもまたこれ楽しい! イケメン探しをしているのは私だけではない(笑)というのもわかりました。それぞれのツボの話を聞いて、そんな見方もあるのかとか、いろんな情報交換をしているうちにあっと言う間に時間が経って。能や芝居見物は、昔は1日がかりの贅沢な娯楽。現実を離れて贅沢な時間を過ごすのは、リフレッシュになりますね。銀座という場所もまた、華やかな気分になりました。  日々の慌ただしさに紛れて、こんな時間を忘れていた私です。これからは暑さもやわらいで、着物を楽しめる季節がやってきますね。芸術の秋でもあります。着物で鑑賞するのにピッタリな伝統芸能、能楽に興味があったらチェックしているといろいろな催しもありますよ。  私が能の世界を最初に覗いたのは、「能への誘い」というイベントでした。今年は川崎で開催されます。  能ってよくわからない、という方もまずは入門編からえいっと覗いてみるのもよし、詳しい友人に連れて行ってもらうもよし。探してみると、意外と能っていろんなところで上演されています。アンテナにひっかかったらぜひチェックしてみてくださいね! 観世能楽堂入口にて。松羽目物気取りで(笑)

印刷博物館「フォントかるた」大会へ袴姿で!の巻

星わにこ
2017/05/17 00:00
 いきなり着物の話から逸れますが(爆)、皆様「フォント」って御存知ですか。デザインや印刷に関する仕事をされている方には仕事道具。普段目にしていてもなかなか意識しないかもしれませんが、この文章を表示しているのもフォント。書体といったほうが馴染みがあるかもしれません。印刷やコンピュータで表示すようにデザインされた書体データのことです。  フォントにはたくさんの種類があって、よく使われるものから一度みたら忘れられないような特徴的なものまで、たくさんあります。読みやすく、統一して文字をデザインするだけでも大変なのに、日本語の場合は漢字も含め膨大な文字数があり、フォントを作るのは実はとても大変な作業です。  そんなフォントができるまでを展示した「印刷書体ができるまで」という展示が6月18日まで印刷博物館で行われています。ひとつの書体ができるまでに、こんなに膨大な手間と時間がかかっているのかと、圧倒される展示です。普段目にしている文字への気持ちが変わるかもしれませんよ。  その展示期間中のイベントのひとつとして「フォントかるた大会」が開催され、わにこも読手として参加してきました。 「フォントかるた」とは、全部の取り札に同じ文字が印刷されていて、書体名を聞いて、札をとるというちょっと(×)相当(○)マニアなかるたです(笑)。 このお正月に、友達のデザイナーさんがプロトタイプを作ってきて、みんなで遊んだのですが、フォントにそんなに詳しくなくても、特徴的なものだったらすぐに覚えられるし、子どもたちも混ざって大盛り上がり。  その様子をツイートしたところ話題になり、これはいいかも!とフォントかるた制作チームを結成して商品化したものですが、印刷博物館のミュージアムショップでも販売していただいて、今回のかるた大会が開かれることになったもの。  こんなマニアなかるた大会、来る人がいるのかと当初心配されましたが、物好きな方達(失礼)が集い、熱戦を繰り広げました。  フォントかるたも題材はマニアですが、歌舞伎や相撲の看板などに使われる「勘亭流」、文字にくもの巣が張ったような「くもやじ」などすぐにわかる特徴的なフォントから、よ~く見ても判別がつかない(爆)こぶりなゴシックと游ゴシックなど、初心者からマニアまで楽しめるんですよ。実はうちの小学生も参加したのですが、フォントをそんなに知らなくても、何度か遊ぶと形で覚えてきて、しかも反射神経が大人よりいい。なんと午後の部で準優勝しちゃいました(親バカですみません)。 キャプション:あなたはフォントの名前を聞いてこの札がとれるか!?  そして、そう。かるたといえば、アレです。袴ですよねー!(やっと着物の話になった(笑))。  企画段階で私達スタッフ側の脳裏にはもはや、マンガ「ちはやふる」の袴姿しか浮かんでおらず、当日は袴姿で参上。千早のマネをしてポニーテールをした解説担当は「佐々木小次郎‥‥」「強そう‥‥」などと言われて「違う!」と涙目になったりしていましたがご愛嬌(笑)。  当日はかるたをとることはありませんでしたが、これでたすき掛けをすれば闘えます!  袴は実はとても機動的で、着物のすそがはだけるのを気にすることもなくなりますし、かなり動けます! かるたのように俊敏に動かなくてはならない競技にはうってつけ。なにより自分に気合いが入りますね。  実は「袴姿とか、参加者のみなさんにひかれるのでは‥‥」とちょっと心配していたのですが、意外と好評でホっとしました。袴は卒業式だけのものじゃない! もっと普段にも袴をはいたらいいのにな。 キャプション:午後の部優勝、準優勝の皆さんと。ありがとうございました!  かるたなんて、お正月に子どもとくらいしか遊ばなかったけど、「かるた」というのはゲームとして本当によくできているなあと思います。ハイッ!ととれたときとても嬉しい! お手つきは悔しい(笑)  みなさんも袴姿でかるた、やってみませんか。か、な~り、盛り上がりますよ~(笑) >フォントかるた大会の様子:印刷博物館さんのツイートまとめより

「東京キモノショー」って何?☆伝統とこれからをやわらかく繋ぐの巻

星わにこ
2017/05/10 00:00
 ゴールデンウイーク、皆様何をして過ごされましたか? 私はなんやかやと日本橋で行われた「東京キモノショー」に入り浸っておりました。2年前同じコレド室町で行われた「わーと日本橋」と同じく、ひらめきときらめきの和のセッションということで、着物だけではなく和文化のコンテンツがいっぱいのイベントです。  着物を着せつけたキモノスタイル200は、子どもから大人まで、婚礼衣裳から普段着まであらゆるジャンルの着物が実際にマネキンに着せつけられて展示。わーとのときには、着せつけのお手伝いに入ったのが思い出されました。  イケメンの若手華道家ユニット「IKENOBOYS」によるいけばなパフォーマンスなど着物だけじゃなく、華道、書道、茶道、能、殺陣や和楽器の演奏などなどいろんな和文化がとても身近に感じられる内容。  今回私の仕事場「昭和な家1955」がフォトスポットとして参加することになり、ちゃぶ台や黒電話、お針箱の前で昭和な写真が撮れるコーナーを会場の隅に作らせてもらいました。たくさんの方が、昭和の住人になりきって、お茶の間写真を撮って下さいました! なんか途中からコントや小芝居に使われていたような!? でも楽しんでくださったらなによりです!!  私が楽しみにしていて通ったのは前回も出展されていた、裏千家の茶道家ご夫婦ユニットによる「ひかりの茶会」。会場の真ん中に設えられたドーム状の茶室で開催される毎日違うお点前でのおもてなし。宇宙をイメージしたターコイズブルーのお道具を中心に、毎日通っても主菓子もお茶も設えも違う。本当にすべてが「一期一会」なのだと思う、お茶席でした。  また、マルシェとして着物や小物の販売もありました。いち利モールでもおなじみの、和装インナーや小物のたかはしきもの工房ブースのお手伝いに入ったのですが、たくさんの方に声をかけてもらって、着物を着て楽しんでいる人とお店側の距離の近さを感じました。  いろんなイベントがありますが、これだけ長い期間着物を着た人たちを中心にいろんな人が集まるイベントはあまり知りません。運営側と参加している人たちの立ち位置がとてもフラットでやわらかく、心地のよいイベントだなあと感じました。それは、いわゆる「業者」と「客」というような垣根がなく、たまたま運営になった、入場者になった、みたいな。学祭みたいなかんじ。ただ与える与えられる関係ではない、着物にかかわる、和文化にかかわる気持ちにあまり差がないような、そんな印象が残りました。  今はSNSなどで誰でも情報が発信できますし、ユーザーの声は昔よりずっとダイレクトに響きやすい。いろんな意見や考えがあり、それを言えることは素晴らしいことです。  今まで和文化というと、伝統を守る!というような言い方ばかりされて 楽しむには敷居が高いと思われてきました。でも伝統を守っていると、実はその文化は終わってしまうとこのごろ感じています。人間は、新しいものが好きなのです。どんな素晴らしいものも「守り」に入った途端に終わります。常に、新しいものを取り入れて変化していかなくては、続いていかない。  でもだからって、自分のやりたいようにだけやると薄っぺらいものになってしまうのです。伝統文化を本気で学んだ人が新しいことにトライするからかっこよく、次の時代に繋がって行くのでは。  着物についても、誰も「こんな風に着物を着てはいけない」という人もいない。それぞれが好きなように、好きな着物を着ている。袷の人も、単衣の人も。実際真夏日もあって、綿麻の着物姿もたくさん見られました。  チケットの裏側にこんな一文が書いてありました。「4月後半から5月、袷のきものがセオリーといわれますが、きもののおしゃれを楽しむ時には、気温を目安に暑いと感じた日には、単衣で心地好くお出かけください。」  そうそう、先達のいうことは聞いた方がいいことはたくさん! 自己流でやってもだめなことっていっぱいあります。でも、年々暑くなっているし、ルールもかわっていかないと続いて行かない。いろんなことを見て知って、その上で自分たちのやり方で着物や和文化を心地好く楽しむ人がもっともっと増えたらいいな!  なんだかちょっと固くなってしまいましたが、イケメンのIKENOBOYS衣裳展示のマネキン(リアルだったのーすごくー!!(笑))を見ながら、そんなことを思ったイベントでした。 >東京キモノショー

肩揚げはいつまで?子ども着物は十三参りで卒業の巻

星わにこ
2017/04/12 00:00
 桜の花の行方が気になる季節、今年の東京は雨のタイミングが微妙でお花見日和がなかった気がします。せめて満開の後の、青空の下に赤いガクが揺れて舞い散る花ふぶき、水面にかかる花筏、地面に積もる花の雪をもう少し見ていたいような。  さて、先日四月の第一日曜日に浅草寺へ子どもをつれて十三参りにいってきました。十三参りとは数えで13歳の子どもがお寺や神社に参拝して厄よけと開運を祈るお祝い。京都が発祥の行事と言われています。  中でも虚空蔵菩薩に知恵を授けてもらう、京都の虚空蔵法輪寺への十三参りは有名。知恵詣りなどとも言い、菩薩様に知恵を授かったあと、渡月橋を振り返らずに渡り切るというエピソードは聞いたことがある方も多いのでは。  時期としては4月13日の前後1ヵ月ぐらいの期間で、東京では浅草寺などで行われています。13歳は、干支が一回りして初の厄年。男子も女子も子どもから大人に、体が変わり始める年齢でもあります。  着物も、初めて本裁ちといって、大人と同じ着物に袖を通します。ただ、大人と違うのは「肩揚げ」をすること。これが子どもの名残です。  振袖を着たお嬢さんたちは、もう背も伸びてずいぶんと大人っぽくなってはきているけれど、まだ子どものあどけなさも残っていて。この「大人のきものに、子どもの印」というアンバランスさというか、花の蕾というか、この年齢だけの清冽な美しさが感じられて、春の時期とも重なって、なんともいえない気持ちになります。  大人への仲間入り、子ども時代の卒業。十三参りの子どもたちの着物姿は、またこのときにしかない特別なもののような気がします。  うちの子どもは男子なので、ぜひ黒紋付を着せたいと思ってこの日のために準備をしました。キモトモの同じ年の女の子のお支度のお手伝いもさせてもらって、ワクワクの当日。  実は毎年、雑誌「美しいキモノ」の読者撮影で浅草寺や法輪寺で十三参りの子どもたちの撮影が行われています。そこで撮影された写真は次の年の春に、雑誌に十三参りの着物姿として紹介されるのです。友人たちが子どもたちを連れていった話を聞いたり、実際付き添ったりしてきたので、いよいよ本番!と気合いが入ります。  黒紋付はリサイクルで、お店にお願いして探してもらいました。160センチくらいの成人男性用なら小さいサイズなので、結構安く手に入れることができました。本当はお祝いでどーんと誂えたいところですが、それは成人式に譲るとして(笑)  長着と羽織に肩揚げをして袴の下は長着をはしょって、なかなかりりしい黒紋付き姿の出来上がりです! 小学校の卒業式もこれでどうだ! >参考:子ども着物の肩揚げ  浅草寺は桜が咲き始め‥‥。とてもいいお天気。時間の都合で先に撮影場所に向かって、並んでプロのカメラマンさんに撮影してもらいます。子どもの撮影と、おまけで家族も一緒に撮影してもらえるので(これは雑誌には載らない)私も気合いを入れていきました!  実は明治座「細雪」観劇イベントの次の日だったので(爆)セットしてもらった髪の毛を崩さないようにそのままがんばってキープしました(笑)。母に誂えてもらった色無地と、母の袋帯。帯揚は、オーダーで染めてもらったワニの帯揚を初おろししました。  さわやかな緑の木漏れ日の中撮影していただき、いい想い出になりました! もちろん着物カメラマン(といってもいいだろう)の渡部瑞穂ちゃんも一緒に行ってくれ、さらにたくさんのキモトモが同行してくれて本当に賑やかな御詣りに。一緒に行ってくれた女の子の振袖姿のこれまた可愛らしいこと。  外国人観光客にたくさん写真を撮られていました(^^;)  合流してご飯を食べて、皆で本堂へ御詣り。お祓いしていただいて御結印で虚空蔵菩薩様とご縁を結んでいただき、知恵を授けていただきました(ちゃんと授けられている事を願う)。  とてもとても晴れやかな1日で、また自分だけでは到底ここまで来ることすら叶わなかっただろうな、と、手を貸してくれたキモトモたちに感謝、感謝でした。ここ数年、なんだかいろいろなことがあって落ち着かない日々だったのですが、とてもよい区切りになったような気がします。本当に、感謝。  これからは、子どももだんだん言う事も聞いてくれなくなるだろうし、手が離れ、親と一緒に出歩いてくれることも少なくなるのだろうなと思うと、有難いけどちょっと淋しいような。そんな親の通過儀礼でもあるような、十三参りの春の日でした。

チャリティその後☆箪笥から飛び出した着物たちの巻

星わにこ
2017/03/29 00:00
 春というには寒い毎日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。桜の蕾が膨らむのを見ながら、桜色の小物や桜のモチーフを身につけるのがとても楽しみな時期でもあります。満開が待ち遠しいような、まだまだ楽しみにしていたいような‥‥。  さてさて、まだまだひっぱって申し訳ないのですが、先日の着物チャリティイベントでお買い上げくださった皆さんが、続々と着て写真を送ってくれたり、SNSなどに着姿をアップしてくださっています。これがまた嬉しいのです。  箪笥に眠っていた着物たちが、外に飛び出してまた新しい持ち主のところで活躍するのを見るのは、本当にウキウキ。  寄付してくれた人と、その着物を早速着てくれた人がばったり!なんてこともありました。お互いに喜んでくれて、すごく嬉しかった。  同窓会や飲み会などなどのイベントにも連れ出してもらっている着物たち。京都旅行でお花見に着ていってもらった着物も。前の持ち主さんのときとは、また違った経験をしているのでは。たくさん活躍してほしいです。  また続けていると、チャリティでゲットして何年か着てチャリティに出してもらう着物もあり、ちょっと新しい形の着物シェアになっているのかも(笑)と思ったり。箪笥の肥やしにしておくよりは、ずっといいですよね。  さてそんな中、なんとヨーロッパまで連れて行ってもらった羽織も。赤い薔薇の刺繍が入った黒絵羽の羽織を、洋服の上にジャケットがわりに羽織って出かけたら、たくさん写真を撮られたそうです。  羽織なら着物よりもずっと気軽に着られて、しっかりエキゾチックビューティに。これは素敵でした!  私も実は、裄の短い羽織をよく洋服の上にカーディガンがわりに羽織っています。夏の薄物の黒羽織などは、Tシャツの上などに羽織ると冷房除けにもなるし、絹だから肌触りはいいし、単衣なのでそっとおしゃれ着洗いで手洗いしてしまっています。  洋服に羽織、裄も気にしなくていいし、ジャケットがわりにもっと気軽に着たらいいのにと思います。全国の箪笥の中に眠っているだろう、ものすごくたくさんの羽織たちが、活躍したら素晴らしいのにな!  正統派の着方もあれば、和洋ミックスもあり。ファッションだから「正しい」「正しくない」じゃなくて、「かっこいい」「キレイ」「おシャレ」でもっともっと着物も楽しめたら、たくさんの眠っている着物たちが息を吹き返すんじゃないかな、そしてもっと街に着物姿が増えるんじゃないかなと、箪笥の中から飛び出した着物達をみながら、思う春でした。

着物で歌舞伎の日!恒例新春浅草歌舞伎の巻

星わにこ
2017/01/18 00:00
 歌舞伎ファンならご存知の、新春浅草歌舞伎。若手の花形歌舞伎俳優が出揃う「若手歌舞伎俳優の登竜門」、なんと37年の歴史があるそうです。浅草公会堂は、歌舞伎座よりも客席数が少ないため、舞台が近い! お年玉(年始のご挨拶)もあり、これから歌舞伎の世界を担っていく若手俳優さんたちを身近に感じ、一層応援したくなります。  ぬる~い歌舞伎ファンのわたくし、今回二度目の浅草歌舞伎。前回は母と二人、着物で観に行った想い出が。勘三郎丈と好江夫人が挨拶に出てたなあ、とか獅童が毛抜きをやってたとか記憶を便りにサーチしたら、なんと2004年。13年も前でした!   そのとき浅草の舞台で活躍していた勘太郎丈(現在は勘九郎丈)、七之助丈、亀治郎丈(現在は猿之助丈)はもう今や堂々たる歌舞伎座主演級の役者さんばかり。一緒に観た母ももういないし、私も年もとるわけだわ‥‥。  な~んて感傷にひたっている間もなく、お友達のおかげで花道横というスペシャルな席で観られることになり、何を着ようかどうしようか心拍数が跳ね上がります! しかも「着物で歌舞伎の日」という、着物で観劇するとプレゼントがもらえる素敵な日。きっと晴れやかな着姿のお客様がたくさん‥‥ああっ!どうしよう!!と悶々。  絞りの訪問着をひっぱり出して、鼻息荒く浅草に向かいました。新春、週末の浅草は人出も多く、華やかな雰囲気。浅草公会堂の中は、素敵な着物姿でいっぱい。粋な男着物の方もちらほら。目の保養です~~!! 入口では着物の人に記念品が配られていました。今年はハーフ手拭い。嬉しい!  さて、いよいよ開幕の前に、お年玉。この日は尾上松也丈がご挨拶でした。間近で見ても、かっこいい!! ちょっと噛んだり間違えたりもご愛嬌。好感度アップです。  文句無しで楽しめる華やかな演目が多いという浅草歌舞伎、昼夜通しで御覧になる方も多いとか。今回は夜の部、「双蝶々曲輪日記より角力場」「御存知鈴が森」「棒しばり」を観劇しました。中村隼人くんのつっころばしの可愛いこと、梅丸の美しいこと!!! 目がハートになってしまいました。若いっていいなあ!!!!  鈴が森では、白井権八が花道でスラリと振った刀に手が届きそう!! 「お若えの、お待ちなせえ」の親子競演も見所です! 棒しばりでは笑わせてもらいました。歌舞伎通のキモトモさんがとってくれた席が本当に花道横(裏側)で少しお席が高くなっていて、目の前を役者さんの足が!!足が!!  わあ~足袋に爪が書いてある!とか、素足の人、足袋の人、下駄の人草蛙の人、役柄に応じて足元も様々。臨場感たっぷりで大満足でした。こいつぁ春から縁起がいいわえ~~♪  会場内には役者さんたちが並んだ金屏風パネル前で一緒に写真が撮れたり、SNSに名台詞ふきだしをもった写真をアップするとステッカーがもらえたり、楽しいコーナーも。入場券がなくてもみられる浅草公会堂入口には、チャリティ羽子板が並べられており、贔屓の役者さんの羽子板に入札して落札するとチャリティになるという恒例のコーナーも。役者さんたちの個性あふれる直筆羽子板も面白い。  お正月の晴れやかな気分を満喫した一日でした。 コーデは絞りの訪問着/引き箔に組紐紋様の帯/七宝編み波目の帯締/だんだら模様の帯揚 でした。帯締めは紅白で、お正月やお祝いごとに重宝です(^^) 髪の毛を切ってしまったのでアップにできなかった。やはりこういうときはアップのほうが盛り上がりますよね(><)。

昭和にタイムスリップ!?着物でマネキンチャレンジの巻

星わにこ
2017/01/11 00:00
 今年の成人式も終わりましたね! 新成人の皆様、そしてご家族の皆様、おめでとうございます。私も毎年この日は、着付のお手伝いをさせていただき身が引き締まる思いがします。  東京は昼ごろまで雨模様で、ハラハラしました。今年は、お一人着付けさせていただきましたが、成人式が午後からとのことで着付が終わって外に出る頃には青空に。本当にほっとしました。またこの先1年、精進して美しく新成人のお嬢さんを送り出せますように、と切に思います。  さて、皆様マネキンチャレンジってご存知ですか? 昨年10月にアメリカの学生がSNSに投稿した動画が発端で、マネキンのように動かないでストップモーションのような状態の動画を投稿するのが大流行。ビヨンセやヒラリー・クリントン、有名スポーツ選手などがこぞって投稿しています。  マネキンになりきって静止している人たちの間をカメラが動いて撮影するのですが、これが面白いのです。中には「これどうやって止まっているの!?」と思うような動画もあって、びっくりしたり。ツイッターやインスタグラムで #manequinchallenge などのハッシュタグでたくさん見ることができます。  1月7日に、私も仕事場である「昭和な家」でマネキンチャレンジに参加しました。昭和な家は昭和30年築の二件長屋。友人とそこの半分を借りてスタジオ&アトリエにしています。昭和な家でやるのでコンセプトは「昭和30年代のお正月」ということで、参加者を募って、小道具なども凝って撮影してみました! ごらんくださいませ。 > 「昭和な家」昭和30年代のお正月  羽根つき、コマ回しをする子どもたち。年賀の挨拶にくるお客様。七輪でおもちを焼いたり、七草粥を作ったり。百人一首では熱戦が繰り広げられ、黒電話ではデートの約束? こたつにはみかん。お茶をいれたり、おみくじを見たり‥‥。柱時計のねじを巻くと、時間が動き出します。  小道具もアートディレクターの力作がいっぱい。宙に浮いている羽根つきの羽根や、コマ回しの紐、のび~るお餅やふくらむお餅。七輪の中の真っ赤におこった炭は子ども用の鹿の子。カルタが飛んで障子にささっていたり、急須から出るお茶が止まっていたり。細かいところが面白いんです。 キャプション:小道具でも遊んでいます~。うちわもレトロでしょ?  この日、実はとっても寒くて、外にいる子どもたちは「さむ~~い!!!」といいながら、一生懸命協力してくれました。  みんな自前で昭和な衣裳を用意。ヘアスタイルも昭和風にしていくれていたり、なんとカツラを用意してくれた人も! コーディネートも昭和なかんじで、ということでアンサンブルや絣模様、おばさまやお母様のものなど、本当にその年代の着物の人も。着方も、胸元をゆったりさせたり、衣紋をつめ気味にしたり工夫してくださっています。私はウールの絣の着物に割烹着、てぬぐいを姉さんかぶりのおばちゃんスタイルで参加しています。  着物の種類や柄、色、着方にも、時代の流行ってあるのですよね。着物が普段に着られていた時代には、もっともっと自由に着られていたはず。アルバムをめくったり、資料を見たりするのも楽しかったです。  そして、意外と「動かないでいる」というのが難しい。ついまばたきとかしてしまうんですよね~。カメラが来ると緊張して、目が乾く(笑)。  今はスマホで気軽に動画が撮影できますし、とっても楽しいので、みなさんもチャレンジしてみてはいかがでしょうか? できたら着物で‥‥そして#kimono #manequinchallenge などのタグで着物のマネキンチャレンジがたくさん見られたら楽しいかも!  キャプション:楽しかった! ご参加の皆様ありがとうございました!!  実は年末から風邪をこじらせて中耳炎になってしまい着物をきていなかった私。この日初着物でした。健康第一ですね。今年も楽しんでたくさん着られますように!

舞台「祇園の姉妹」明治座・マダム観劇マニュアル!?の巻

星わにこ
2016/11/16 00:00
 着物でおでかけする先といえば、王道は食事や観劇。着物で観劇といえば歌舞伎や能などの伝統芸能を思い浮かべるかもしれませんが、外せないのが「ザ☆商業演劇」。商業演劇とは、いわゆる東宝や松竹の興行で、座長公演と呼ばれるようなもの。大抵は二幕、三幕の4時間近くの長丁場で、休憩時間に食事をしたりしてゆったりとした時間を楽しみます。全部お芝居なこともあれば、歌手の座長公演であれば後半歌謡ショーだったりもします。  とにかく、劇場に入ったら仕事・家事など現実を忘れて頭をからっぽにし、芸達者な皆様のお約束バリバリの間違いない演技に、涙を流したり笑ったりすればよし。わかりやすく、カタルシスのある演目が多いですから、難しいことを考える必要もありません。  好き嫌いは分かれるかもしれませんが、私はこれが結構好き!! 特に時代劇や昭和初期などの時代物は、主に男女共に着物姿で(アタリマエですが)、着物スキーにはとってもとっても楽しいのです  今回は商業演劇の殿堂、明治座に「祇園の姉妹」というお芝居を、お友達6人で観にいってきました。着物を着るのが楽しくなる季節‥‥。華やかにお洒落して集まりましょう! ということで、訪問着や華やかな小紋のマダムが集結いたしました! 私も大好きな房がいっぱいついてる琵琶の付け下げに袋帯、パールの帯留と指輪という盛装で! いやあ~やっぱり晴れ着はいいですね。気分も晴れますっ(笑)。  舞台は昭和初期の京都・祇園。古風な姉・梅吉(檀れい)と、勘定高い妹のおもちゃ(剛力彩芽)という芸妓の姉妹のところへ、かつて姉の旦那であった古沢(松平健)の木綿問屋が倒産したという知らせが。そしてその古沢がふらりと現れ、姉妹の家に居候することに‥‥。  というオハナシなんですが、主演の二人の美しい&可愛いこと。芸妓の引き着姿も二度、普通の着物も何度も衣裳替えあり。置屋の女たちや、木綿問屋の本妻(山本陽子)に妹(大河内奈々子)らのそれぞれの役柄にあった衣裳も見所。舞妓はんや祇園の街の人々、風俗もうまく散りばめられています。  昭和11年という設定(「細雪」とほぼ同じ時代ですね)なので、長羽織姿もちらほら。特に本妻は紋付の黒羽織でビシッと決めて梅吉のところにやってきます。  ひたすらに古沢を慕う梅吉とは対照的に、男を手玉にとろうとする妹、おもちゃのおきゃんな可愛さと口先八丁にハラハラしたり。そしてダメ男のはずの古沢が憎めなかったり、その出戻りの妹(大河内奈々子)と元番頭(葛山信吾)の恋の行方にやきもきしたり。  世間の片隅で身を寄せ合う古沢と梅吉が「人生もほどいて洗って‥‥洗いはりでけたらええのに」というセリフには、やられました~! なんかもう汚れてヨレヨレになって、なにもかも最初からさっぱりとやり直ししたくなること、ありますよねっ。あれっ、ないですか(笑)  そんなこんなのうちに第一幕1時間25分終了。30分の休憩が入ります。お弁当を予約して席で食べる事もできますが、今回は食堂を予約してみました!  チケットと同じように、お弁当や食堂も予め予約ができちゃうのです。予約すると、甘味のオマケがあるので事前に予約をして支払いを済ませておき、さっと移動して、皆であれはよかったわね、あそこはどうよ、などと演目の話に花を咲かせながら綺麗な松花堂弁当のお食事。お茶も飲み放題でのんびりいだだけます。(そんな名前で予約するなというツッコミはアリで。人生是ネタでございます。予約チケットみせたらこちらです、とすぐ案内してもらえました(笑))。  食べ終わったら席に戻るとちょうどよい時間になります。そしてまた、昭和初期の祇園に心は飛んで‥‥‥。後半1時間25分もあっという間でした。  かつて映画になった作品で、その結末がちょっとアレ(アレって)だったのでどうかな~と思っていましたが、さすがは明治座の舞台。ままならぬ中にもほんわかと心に火の灯る、後味のよい終わり方になっておりました。  カーテンコールでは役者さんたちによるちょっとした小芝居も見られたり(笑)。芸達者な役者さんたちに、ひたすら拍手!!のワタクシたちでした。  混み合うエスカレーターは避けて階段で降りれば出口はすぐ。劇場横の大看板の前で記念撮影がお約束です(^^)。さすがマイキモトモ。ポーズもお見事!(笑)。ちなみにこういった集合写真の場合、レンズのゆがみで端っこのほうが膨らんで見えるので、真ん中で映った方がオトクです(?)  いやあ、それにしてもですね、4時間近く食事もとりつつ、スマホの電源も切って楽しむお芝居。映画だって2時間ですから、これはホントに贅沢ですよね~。  周りを見ると、観客の年齢層の高いこと!! 年齢を重ねても、これだけの時間お芝居を見る体力と財力。見習いたいものです。そして、アラフィフの私達などその皆様に比べれば、ピチピチの剛力彩芽ちゃんみたいなもの(あ、嘘です、すみませんすみません)。「あらお着物いいわねえ」「皆素敵ねえ」なんて袖を触られながら(笑)お褒めに預かる事もしばしばです。お世辞だって褒められて悪い気はしませんよね~(笑)。この鷹揚な感じは商業演劇の客席の特徴かも。  「祇園の姉妹」、着物好きさんの観劇におすすめです! 27日まで上演中ですよ~。  さて、着物好きさんの観劇におすすめといえば! あの! 名作舞台「細雪」、来年春の上演が決定しました。今度は次女だった賀来千香子さんが長女に、三女だった水野真紀さんが次女にスライド。三女、四女はタカラジェンヌの紫吹淳さん、壮一帆さんということで、新しい細雪になりそう。  またオーディションで一般の方が舞台に立つチャンスもあるみたいですよ!   もう二年も前になりますが、私も前回、参加させていただいたのは本当によい想い出になっております。今でも夢みたい~(笑) わにこ「細雪」オーディションに挑戦!の巻 わにこの女優体験記★「細雪」エキストラに出演しちゃいましたの巻  着物で商業演劇。もしまだ未体験でしたら、オススメいたします! マダムのお楽しみですわよ~(笑)。

キモノEXPO行ってきました!着物でイベントへGOの巻

星わにこ
2016/10/13 00:00
 急に冷え込んで、いきなり秋が深くなったようなこの数日。袷でおでかけしたくなって10月12日から開催されている「キモノEXPO」初日に行ってきました!   着物、帯から草履や小物まで、一気に見られます。いつもいち利モールのネットウインドウショッピングでコレどうかな~と思っている実物が見られるチャンスでもあり。  会場につくと、来場記念のオリジナル腰紐がもらえました。可愛くて、モスリンで使いやすそうです。なにげにウレシイ。  今回のお目当ては大人気の「体験講座」。いつも参加してみたいな~と思っていた体験講座や茶話会が会場で同時開催されているのです~(要予約)。今回は、「刺し子刺繍帯留」のワークショップに参加しました。  ワークショップの時間が来るまで、ブースを拝見。職人さん、作家さんから直接お話が聞けるのは勉強になります。きものクリニックもあるので、お手入れなども相談できます。   1)入口で~す。この看板が目印。 2)いち利モールの「ミヤコレ」いろいろ、実物が見られます 3)もうクリスマス~(><)可愛い! 年々帯留が巨大化している気がするのは私だけでしょうか。 4)帯の「扇や」さんは、帯専門。オリジナルの帯のほかに、羽織や着物、スカーフなどからのリメイク帯も請負ってくださるそう。着物1枚で名古屋帯2本、もしくは名古屋帯と半幅帯など2本の帯ができるそうなので(羽織からは1本)お母様の着物を娘二人で分ける、な~んてこともできそうですね。催事中は特別価格だそうです。 5)草履の「岩佐」さんの刺繍の猫さん鼻緒、可愛すぎる!! 6)靴底に使うゴムを草履に採用、砂利道でもラクに歩けるオリジナルの台に、職人さんがその場ですげてくれます。台と鼻緒を選んで当日お持ち帰りできるのは嬉しい。  お話を聞きながら(物欲と闘いながらw)の時間はあっという間。ワークショップの開始時間にテーブルに。「つまみ細工」や「水引帯留」のコーナーもあり、参加の皆さんの熱気がスゴイです。  わたしは「刺し子刺繍帯留」にチャレンジ! 最初に土台の布の色と糸の色を決めるのですが、これが悩むんですわ~~~~~~~~(><)  見本を見ながら、参加の皆さんと「これもいいですね」「こっちも」な~んて言っていると、全然決まりません(笑)  結局藤色に白という大好きな色のとりあわせに決定。えっと、これならあまり糸がはっきり見えない(アラが目立たない(爆))と思った……とかいう理由ではないですよ? ゴホンゴホン。でもまた、他の方が選ばれた色を見て「それもいいな~」なんて、羨ましくなったり(笑)。  先生に刺し方をデモンストレーションしていただき、早速自分で。ちょっと「離せばわかるお年頃」になってきたローガンズなワタシには、布目を数えながら刺すというのが思ったより大変(^^;)。途中解いてやりなおしたりしながら、タテヨコ&ナナメと刺していき「花十字」という模様が完成しました。  糸をつい強くひっぱってしまい、お手本のようにふんわりと作ることができませんでした。簡単なようで難しい~(><)  刺し終わったらわたを詰めて帯留の台に貼って、帯留に。遠目でみれば、なかなかのできばえ(?)満足! 所要時間は1時間半~2時間程度でした。始まると皆さん無言でひたすらちくちく。無心に針を刺していると、時間もあっという間。途中琴の生演奏もあり、素敵な音色に耳を傾けながら針を動かしていると、いろんなことも忘れて、集中できてとてもよい時間が過ごせました。その上、帯留も持って帰れて大満足!  一人で行っても、参加の皆さんお着物好きの方ばかりですから、話も弾んであっという間に時間が過ぎて行きます。  体験講座も茶話会もとても人気があり満席が多いようですが、当日でも定員に空きがある場合は参加できるそうです。予約優先だそうなので、興味がある講座があったらお問い合わせしてみてくださいね!  目の保養もたーくさんさせていただき、帰途につきました。キモノEXPOは東京・有楽町交通会館での開催は15日(土)まで、そのあとは銀座いち利さんにて2日間。また10月19日(水)から23日(日)は大阪御堂筋ホール心斎橋で開催されます。  着物でおでかけというと、どこにいこうか‥‥と悩む方が多いかもしれませんが、こういうイベントに行くのも一つの選択肢。張り切ってお洒落していくと褒めてもらえるし(笑)、身につけているものについて、詳しい人にアドバイスをもらえたりすることもあるので、きものイベントに着物で行くのはオススメですよ!  着物が見たいからと、いきなり呉服屋さんに入るのは相当覚悟がいりますが、こういうイベントだと気軽に、たくさんの商品を見る事ができるので私は好きです。  この日は、久しぶりに袷のやわらかものを着たくなって、バーガンディの付け下げに房の帯で。帯揚は夏に生藍で染めたものです。やっぱりどっしりと重いものを着ると、テンションあがります~!! お洒落しておでかけって楽しい!  秋はEXPOの他にもきものサローネ後半戦などなどきものイベント目白押し。好みのイベントにぜひ着物でおでかけしてみてはいかがでしょうか。

お茶や着物って怖~い!?楽しむココロがあればいいの巻

星わにこ
2016/10/05 00:00
 先週、友人のももせいづみさんと向山真理さんの銅版画と陶器のコラボレーション展のオープニングのお呈茶のお手伝いにいってきました。呈茶とは、お茶を差し上げること。茶道のときによく使われる言葉です。  ギャラリーを訪れてくれたお客様に、向山さんの素敵な器でお茶を楽しんでいただくという企画で、お抹茶をお出しする日とトルコのチャイをお出しする日があり、お抹茶の日のお手伝いをさせていただいたのですが、とにかく気軽に楽しんでいただきたいということで、格式ばらずにやりましょうということに。  お釜はじめ茶道具もあるもので。着物も、紬で。  茶道経験者が集まって、ああでもないこうでもないと準備をしました。そのとき、お作法も着物も茶道のドレスコードできちんとしていると、茶道をやったことがない人からすると「何も知らなくてすみません、無作法ですみません」という気持ちになって、とても緊張するんだよね、という話が出ました。  万年初心者の私も、大寄せのお茶会に出かけても「いいのかなこれであってたかな」とドキドキするので、よくわかります。まして今回はお茶がメインではなく、ギャラリーにいらしたお客様のおもてなしなので、そういう雰囲気にならないように心がけました。まあ、正式にやれと言われても、私の力ではできないわけですが(苦笑)、もともと「お客様をもてなす」心が茶道の基本のはずですから、お客様がリラックスしてお茶を飲んでくださればいいなあと、友達といろいろ考えて。  そんなわけで、気軽な装いでお手伝いに出かけました。  風が吹き抜ける白いギャラリーを抜けて、落ち着いた和室の作品展示を見ながら、お茶を楽しんでいただく趣向。廊下に釜をかけてテーブルでお茶を点ててお出ししました。お菓子もオーダーで作ってもらったという可愛い月とウサギの薯蕷饅頭。床の間には銅版画と、陶の花入れの中には銅線。とっても落ち着く空間で、釜のシュンシュンという松風(釜の鳴る音のこと)を聞きながら座っていると、日常を忘れて心がほっと安らぐような気がしました。  お茶をいただく時緊張する、という話を聞いた時、そういえば着物も同じように「どうしたらいいか緊張する」「ルールを知らないから」「着方がわからないから」といわれる事が多いかも、と思いました。  特に季節の変わり目、特にいまごろは私も「単衣にしようか袷にしようか」とか合わせる小物はこれでいいのかとか、ちょっと考え考え選びます。季節感は大事にしたいけど34度(爆)とかあったら、マジメな話、袷とか、無理っすよねー! そこらへんは臨機応変にできたらいいと思いますし、まして普段着だったら体感温度で決めなきゃやってられないですよね。  また最近は「着物警察」「着物憲兵」なる言葉もあるとか。着物を着ている人がルールを守っているか正しいかチェックする人のことなんだそうです。これは怖い(笑)。正装はさておき、普段着やファッションの着物に「絶対正解」はなくて、本人がよければそれでいいはず。洋服と同じですよね。  伝統や、しきたりを守るのも大切ですが、同時に時節に合わせて変わって行く部分もなければ、ただの化石になるだけ。着物やお茶に興味がある人にはどんどん自己流でいいから楽しんで欲しいなあと思います。本格的に極めたくなってから、学びを深めてもいいじゃないですか。最初から学ばなければやっちゃだめ!って風潮は、たくさんの人をシャットアウトして、結果どちらも気軽に手が出せないような雰囲気になってきているような気がします。  どっちも、ほんとは気軽に楽しめる、日本のよき文化だと思います。無意味に敷居を高くするようなことだけは、したくないものですよね。  極めなくってもなんちゃってでも、楽しんだもの勝ち。ギャラリーで展示を楽しむついでに、お茶美味しいわ、着物いいわね、なんておっしゃってくださるお客様と会話しながら、そんなことを思った週末でした。

「きものサローネ」は現在進行形の着物姿のお祭りだった☆の巻

星わにこ
2016/09/21 00:00
 シルバーウイーク、秋の三連休は皆様いかがお過ごしでしたか? わたしはきものサローネin日本橋に通っておりました。  今年で5回目になるきものサローネは、毎年がらりと趣向が変わり、参加する側も「同じイベントなの?」と思うくらいなんですが(笑)、今回参加してみて感じた事をちょっと書きますね。  今年のきものサローネは先週末の「着物カーニバル!」と10月末開催の「着物産地展&SHOW」と2部に分かれての開催。YUITOで行われた着物カーニバル!は、メーカーさんから職人さんの個人出展まで本当にバラエティに富んだ出展で、見ても見てもキリがないくらい。京都の名工コーナーも見応えあり。  メインステージでは着付、コーディネートやしみ抜き、下着などに関するそれぞれの達人のトークや、三味線や日本舞踊などのライブもあり、たくさんの人でにぎわっていました。体験、実演コーナーも実際に職人さんとお話しができて面白い。  個々のブースがちょっと狭くてごちゃごちゃ感はありましたが、逆にそこで自分のアンテナを張るのが楽しい部分もあり、なによりぐっと近くで直接お話できることで、出展者さんたちの着物に対する熱い気持ちが感じられたかなー。モノとの出会いもそうですが、ヒトとの出会いが面白かったです。わたしも、「コラム読んでますよ」っておっしゃっていただいたり、とても嬉しかった!  何度も参加していると、同じ出展者さんの新作も楽しみになりますし、その時買わなくても、あとから「あのときのあんなものが欲しい‥‥」とイメージが膨らんで次の機会にいただいたり、思い切ってオーダーしたり。  わたし自身は「たかはしきもの工房」さんのお手伝いに入らせていただいていて、コラムにも書いたことのある「キレイな帯揚の整え方」というミニ講座をしたりしておりました。  そんなわけであまりじっくり他のブースを見ることができなかったのですが、イベントにいらっしゃるお客様が、この暑いんだか寒いんだかどうなんだかわからない上に雨の心配がある中、着物姿の方がとても多かったことに感動。  しかも、本当にその着物姿がバラエティに富んでいて。正統派の単衣姿から浴衣衿つき、和洋ミックスまで、様々。そして、それぞれにとてもお似合いで、素敵なのです。  着物と一言で言っても、ファッションですから、好みもバラバラ。したい格好が違ってアタリマエ。たーくさんの着物姿の方にお会いしたことで、それを改めて思い出しました。  和洋ミックスでとても可愛かったのが、道行きをワンピースのように着ていた方 羽織でワンピもステキでした。着物にスニーカーもカッコイイ。ポケモンGOPlusを帯留にしている方も! やっぱり着物は着てナンボ。畳んでおいてあるよりも、人が着たほうが、はるかにイキイキするもの。  着物の着方に正解はなくて、好きなようにすればいい。売る側からの提案ではなく、実際に、着物を楽しんでいるユーザーサイドの姿に、着物の現在進行形を見せてもらった気持ちでした。 「着物はかくあらねば」なーんてつまらない事を言って着物ユーザーを減らすより、あれもある、これもあるとバラエティ豊かな提案があるほうが絶対楽しいし、着てみようという人も増えるはず。  そこから、自分の好きなものを選んで行けばいいのだから‥‥。  そんなことを思った、きものカーニバル!参加でした。  10月の「着物産地展&SHOW」は、着物ファッションショーもあり、また別な角度からの着物を楽しめるはず。100体コーデは圧巻ですよ(今年はわにこは出展していません)。きっと好みのスタイルが見つかるはず。継続は力なり、でどんな形でもこういうイベントが続いていくのはいいことだと思っています。一旦は絶滅に近かった、ファッションとして楽しむ着物もまた広がっていきますように。 おまけ:  個人的に楽しかったコーナー!!「美しいキモノ」と「趣通信」のコラボで、「美しいキモノ」の表紙ボードの前で写真が撮れるもの。「日本のおしゃれ展」にもありましたよねー!! 私も撮ってもらいましたー。わはは。ちょっとボードに近づきすぎてちっさくなっちゃった。しかも仕事終わりで化粧全落ち(^^;)でもでも、なりきりで撮ると楽しいです!(ポイントは一つだけ、恥ずかしいと思う気持ちを捨てること(爆))  趣通信さんのサイトにいくとカバーガールになりきった皆様の写真が見られますよ~。公式サイトにもイベントレポートがどんどんあがっているので、ぜひのぞいてみてください。着物の現在進行形が見られます! > きものサローネ > 趣通信

日舞発表会で衣裳着付見学☆藤娘って美しい!の巻

星わにこ
2016/08/24 00:00
 台風や豪雨で不安定なお天気が続いていますが、みなさんのところは大丈夫でしょうか?   オリンピックも終わり、東京と同じように雨が降っている閉会式でいよいよ4年後東京に来るんだな~と小池都知事の素晴らしい色留袖姿を見ながら実感が湧いてきました。庶民なワタシは着物と帯が濡れてダメになるぅ~~と気にはなりましたが、そんなことはこのセレモニーに和服で登場した意義に比べれば、きっと小さなことなのかもしれません。  次回東京オリンピックは真夏ですから、例えばメダルを渡すセレモニーアシスタントは振袖じゃなくて浴衣かな? とか色々妄想してみたり。アニメなどの他にも、伝統的な和の文化にもスポットがあたるでしょうね。世界の人に日本のよいところを見てもらうには、まず自分も知らなければいけないことがたくさんある気がします。  さて先日、日舞を習っている友人が「藤娘」を踊るというので、発表会を観に行きました。  ご好意で、衣裳の着装も見学させてもらったのですが、綿の入った裾引きに、「肌脱ぎ」と言って途中で上半身の衣裳を脱いで変えるために上半身部分が重ね着になっていて、とにかく重そう! 聞いてみると、重いけど、着付が上手なので苦しくはないよとのこと。  二人がかりで着付けていくのですが、着付師さんの手業の鮮やかさにうっとり。あっという間に藤娘姿になった友人、とっても綺麗! そして嬉しそうです。  小さいころ、藤娘のお人形が家にあって、いつも綺麗だな~と思っていました。花嫁さんの白無垢や、舞妓さんなどと同じように、憧れでした。笠を被って、藤の枝を持つと、本当にお人形さんみたい!! 見ている方もテンションがあがりまくってしまいました!  発表会は、それぞれ生徒さんが浴衣や衣装つきで踊りを披露に加え、お師匠さんとゲストの先生がたの踊りもあって見応えあり。中でも一瞬で衣裳が変わる「引き抜き」というのに大興奮。重ね着をしている上の衣裳をさっと一瞬で引き抜くというものなんですが、鮮やかです!  子どもたちの可愛らしい踊りあり、美しい衣裳あり、コミカルなもの、かっこいいものとバラエティに富んでいて、とても楽しかったです。特にお師匠さんの「夕月船頭」で粋でいなせな船頭さん姿から、他の演目の間に着替えて「吉野山」で美しい静御前に変身しての踊り、どちらもお見事でした。  周りでもちらほら、私くらいの年齢から日舞を始めたという話を聞きます。バレエをやめて日舞を始めた友人曰く、年をとっても続けられる希望が持てるのが大きいそう。そういえば、踊りは年をとってもばりばり現役の方が多いですよね。先日は、芸歴80年記念という方の舞台のお話を聞きました。6歳ではじめても86歳‥‥素晴らしいです。  ジャンプなど激しい動きがない分、筋力や持久力があれば年をとっても続けられるということなのでしょうか。そしてやはり、表現力はやればやるほど上手くなっていくし、楽しみがありますよね。  また、基本着物を着て(お稽古は浴衣で)踊りますから、所作や姿勢が綺麗になるし、知識の面では歌舞伎などでも踊りのある演目が楽しめるようになったそうです。あとやっぱり、なにしろ衣裳つきで踊れるのが楽しみだそう。そうだよね~! 私も藤娘の格好してみたい~!!  日舞って、始めるのにはとても敷居が高いものだと思っていましたが、友人はネットで近所の教室を探して通い始めたそうです。若い先生が頑張っているお教室で、話を聞いているととても楽しそうです。意外とお月謝もお手頃でした。和の習い事はいろんなルールがあるようですが、やってみたいと思ったら思い切って始めてみればいいんですよね。  50歳で始めたって、60歳で10年選手、70歳には20年選手。私も、やりたいことがあったら、今やらなきゃ! という気持ちになりました! 好きな事で頑張って、輝いている友人の姿は、本当に励みになります。同じくその晴れ姿を見にきた友人たちともワイワイおしゃべりして、とてもよい1日でした。  和文化、もっともっと親しみたいです。 取材協力: 「藤蔭善次朗日本舞踊教室」