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端午の節句、鎧兜の房にも注目!の巻

星わにこ
2016/05/04 00:00
 5月5日は子どもの日、端午の節句ですね。3月3日が桃の節句で女の子の成長を祝い、端午の節句は男の子の成長を祝います。五月人形や鎧、鯉のぼりなどを飾って、柏餅を食べて‥‥。男の子がいる我が家でも、小さな鎧兜を飾りました。  さて、この鎧兜、子どもの身の守りとしての祈りをこめて、飾るもの。勇ましい武具ではありますが、とても美しい造形をしているなあ、と常々思っております。細かな小札(こざね)を組んで作る威毛の作りや色、画韋(えがわ)という鹿の皮に描かれた柄などもさることながら、実は房飾りがたくさんついているのにお気づきでしょうか? 房マニアの私には、鎧兜の装飾が非常にツボなんです!! 鎧兜だけでなく、武具や馬飾りも実は房だらけ。もうたまりません!  勝って兜の緒をしめよ、の顎で兜を固定する「忍緒(しのびお)」には立派な房がついていますし、胴の胸の部分に房飾りがついているものもあります。そして、あまり目にする機会はないかもしれませんが、背中に回ると、背中の中央に「総角(あげまき)」結びに立派な房がついていて、袖についている「水呑緒(みずのみのお)」と「掛緒(かけお)」が総角に結びつけられて、房だらけになっています。もうびっくりするほとふっさふさ。まさに房のパラダイスやぁ~~~~!!  写真左は、装束勉強会で学ばせていただいた大鎧。緒についた、たっぷりした房が美しいです!!(綺陽装束研究所・待賢殿所蔵)右は我が家の五月飾りの後ろ姿。小さいながらもちゃんと房がつけられています。鎧の背中にこんなに房があることは、意外とご存知ない方も多いのでは。  今は、大河ドラマ「真田丸」も戦国時代が舞台。戦の場面では鎧兜がたくさん登場しています。役者さんより房を目で追う私はちょっとおかしいと自分でも思いますが、鎧姿が出てくるとワ~っとテンションが上がります(笑)。  昔、背縫いがない子どもの着物に、「背守り」という縫い印をつけて、魔除けにしたといいますが、背中に真っ赤な美しい房が揺れているのを見ると、それが袖と胴を結んで固定するという役割だけでなく、背中のお守りのような意味合いもあったのかもしれません。  現代でも、威の美しい意匠は身の守りとして、帯のモチーフにもよく使われています。この時期、身につけてみたいもののひとつです。他にも、鯉のぼりや菖蒲、柏餅‥‥帯留や着物、小物、手拭など……年中行事にちなんだ、この時期ならではのモチーフを身につける楽しさも!  世の中平和で、このような武具が使われないのがなにより。美術品として愛でられることに感謝しつつ‥‥。  この端午の節句、五月飾りを見かけたら、ちょっと背中を覗いてみて下さい。房と結びの美しさに、きっと目を奪われますよ!

日差しが気になる季節到来☆着物の日傘を選ぶポイントの巻

星わにこ
2016/04/27 00:00
 外に出ると、日差しを眩しく感じるようになりましたね。袷の羽織は桜の散る頃まで‥‥と言われますが、そんな季節の移り変わりを実感できる4月の終わりです。  月曜日、帯付き姿で外に出て、あ、日傘が欲しい!ともう一度玄関に戻って、久しぶりに大好きな百合の日傘を出しました。もう何年使っているのか‥‥生成りの布に手描きの百合が咲いているお気に入りです。  明るい日差しと新緑にウキウキしながら、美術館まで行きましたら‥‥あっ!! 月曜日って美術館博物館図書館はお休みの日、というのをすっかりと忘れていましたよorz キモトモと、なぜ日にちを決める時点で気付かないのかと顔をみ合わせることしばし‥‥。  その分おしゃべりできて楽しかったからいいのですが、年々下がる記憶力と判断力に愕然です(汗)。  せっかくなので日傘姿写真を撮ってもらいました。  そしたら‥‥結構いいじゃないですか?(自画自賛すみません)さすが夜目遠目傘のうち、という言葉があるだけのことはあります。傘最強。  日傘というと、UVカット効果の高いものや晴雨兼用の折りたたみなど実用性の高いものを選びがちですが、着物のときは、たとえ多少持ち歩きが面倒でも、雨には弱くても、UVカット効果が薄くても、美しいものを持つとどんなアクセサリーよりも素敵かも。日傘の扱いがエレガントな人を見かけると、うっとりします。(実際、紙袋につっこんで歩いたりしている自分を猛反省!)  色は白や生成りなど薄い色が涼しげに見えます。また、レフ板効果で顔色も明るく美しく見せてくれます。濃い色のものはUV効果は高いですが、顔に影がしっかり落ちてしまいますので、老けて見えることも。  手元も大きなポイントになるので、取手の形や素材もポイント。竹や木の自然素材がおすすめです。好きなチャームをつけてもいいかもしれませんね。私は、房を結んで楽しんでいます。開いた時に、房が袖口あたりにこぼれるのがお気に入りです。  着物のときは、実用性は関係ない! 美しく見えることのほうが大切だと言われたことがありますが、日傘はまさにそんな言葉の通りなのかも。  まあ、仕事や日常着物の場合はあんまりそんなことばかりもいってられませんが、せっかく着物を纏う日には、見た目優先のお洒落さも時には大切。  新緑が眩しい季節。木漏れ日の中、素敵な日傘と着物姿でおでかけください。

おキモノ旅の強い味方。水屋着(活動着)が便利!の巻

星わにこ
2016/04/20 00:00
先週からの熊本地震‥‥被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。余震が続く中不安な日々を送っていらっしゃることと思います。一刻も早く、安心できる状態に戻れますよう祈っております。  実は、14日の夜から16日まで博多に仕事で行っていたのですが、最初の地震で飛行機が空港にすぐに着陸できず、上空待機に。着いた夜も余震が続き、次の日にまさかの本震。宿泊していたホテルは13階だったのでかなり揺れ、夜中に飛び起きました。  テレビをつけると、真っ暗な中にも大きな被害があった様子が‥‥。携帯の地震警報音に東日本大震災を思い出し、一人不安な夜を過ごしました。幸い博多は大きな被害もなく通常通り仕事もでき、東京に戻ることができましたが、その後のニュースを見るにつけ、いろいろな想いがぐるぐるとしています。  ネットでも様々な情報が飛び交っていて、助かる情報もあれば、デマや困った情報もあり。無闇なシェアをしたり脊髄反射的に飛びついたりすることのないように見極めも必要だなあと改めて感じています。そして自分の身の備えも見直さなくては、ですね。  とにかく、自分の持ち場でがんばることが自分のできること。できるだけの寄付をしたり、日々の暮らしを続けることしかできませんが‥‥熊本、大分の皆さん、応援しています!  最近、着物で旅行や出張にいくことが増えたのですが、洋服と着物、両方を用意していくと、履物や上着等など荷物が膨れ上がるため、着物の場合は旅行の最初から最後まで着物で過ごしています。  乗り物でも、帯枕はやわらかメッシュのやわらかタイプのたかはしの空芯才を使うようになってからは、もたれても痛くないし、長距離もヘイキになりました。他にも特に困る事はないのですが、朝、ホテルのバイキングに行くときがちょっと面倒。  自宅では、朝食を食べてから身支度をする習慣なのですが、ホテルだとちゃんと着物に着替えてから部屋を出なくてはいけなくて。髪をセットしてお化粧して着物を着て、帯を結んで‥‥とフル装備しなくてはいけないのが意外とハードルが高い。  そこで、着物だけ羽織って、帯は結ばないで帯枕だけつけて(場合によっては帯枕もしないで)、前打ち合わせの木綿の活動着(水屋着)を着て朝食を食べにいくようにしました。これ、ラララ、ラクチーン!! ポリエステルのタイプでもいいですね。洗える素材が有難いです。  水屋着とは、お茶をされている方ならよくご存知ですが、お茶室のお勝手(水屋)でのお手伝いの時に汚れ防止につけるもの。袖口も絞られていて作業しやすいし、水仕事もおてのもの。畳の上で立ったり座ったりするものですから、丈もひざまでカバーされているものが多いです。割烹着よりガード範囲が広くて、エプロン感もあまりない優れもの。  道中着よりもかしこまりすぎず、汚れ防止もできて一石二鳥。旅先で居酒屋、なんてときも上に羽織れば、いろいろ気にせず、また周りにも気をつかわせずに重宝です。ちょっとした作業時のエプロン代わりにもなるので、着物旅には1枚持っていくとお役立ち間違いなし。  あまりエプロンエプロンしていない色柄を選ぶと、ちょっと外に出たいときにもgood。普段だけでなく、おキモノ旅のお供にもおすすめです。

大正時代の「かわいい」代表☆竹久夢二のすずらんコーデの巻

星わにこ
2016/04/13 00:00
 ずっと上を見てお花見をしていた桜のシーズンが過ぎて、足元に咲き始めたチューリップやたんぽぽに本格的な春を感じる今日このごろ。我が家の猫の額の庭にも、一斉に野花や草が生えてきて、草むしりをしなくてはと焦りを感じております(やれよ)。  この庭に、毎年もう少しするとスズランが咲きます。スズランって、本当に花の形が可愛くて、その小ささといい色といい可愛くって大好きなのですが、意外と毒があったりするのですよね(笑)。そんなところも含めて好きな花です。  フランスでは5月1日にスズラン(muguet)を愛する人に贈る風習があるそうです。 贈られた人には幸運が訪れるのだとか。少女漫画みたいで素敵です、ううう......(なぜか唸る)。  前回のコラムでおすすめした弥生美術館と併設の「竹久夢二美術館」ではただ今「大正時代の「かわいい」展」が開催中です。  そこに、夢二がデザインしたすずらんの図案も展示されていました。  いち利モールに「夢二浪漫」というシリーズの小紋があるのですが、それの元になっているものです。すずらんだけじゃなくて、気になるキノコ(!)の図案もありましたよ。  夢二は美女の絵が有名ですが、本の装丁やテキスタイルデザインなどのデザイナーとしての作品もたくさん。しかもどれもこれも、いい抜け感があって、秀逸に「かわいい」のですよね! わたしのなけなしの乙女心もぐっと掴まれます。  思いっきり乙女コーデを考えてみました。 http://bit.ly/1SLQ9Gj  淡くて儚いコーデは、そっとうつむくすずらんのイメージで。小物はピンクをメイン にパステルでまとめました。 でも、夢二の甘くなりすぎない絶妙な色使いが、いいのですね。  こんなコーデで、大正のかわいいものに会いにいってみてはいかがですか? 展示は 夢二だけでなく、中原淳一のものや、乙女的にきゅんとくるものがいっぱい。春の乙女 心をくすぐられてください!

めくるめくアンティーク着物の世界☆「谷崎潤一郎文学の着物を見る」展にいくの巻

星わにこ
2016/04/06 00:00
 桜満開!になりましたね。春になり、桜の開花にあわせて気持ちも花開くような気持ちがします。そして、淋しくもあるのが、散り行く桜。あっという間に散ってしまうからこそ、満開を心待ちにし、短い花を楽しもうと思うこの季節。いろんな舞台や映画で、桜のシーンがありますが、私が思い出すのは舞台「細雪」のラストシーン。咲き誇る桜の中に立つ四姉妹。 「どんな世の中になってもこの花だけは、咲き続けますのやろなぁ‥‥」  時代が遷り、いつまでも同じではいられない自分、家、世の中‥‥。様々な出来事を乗り越えて、たくましく美しく生きる四姉妹。その長姉である鶴子が、最後に言う台詞です。やがて年をとり、人は死ぬ。しかし、だからこそ刹那に咲き誇る、そして毎年変わらず咲く桜を愛するのかもしれません。  その「細雪」の原作者谷崎潤一郎の文学は、華麗なばかりでなく、耽美・悪魔主義とも呼ばれる妖しい美しさを描いています。そしてその作品の鍵ともなっている「着物」。谷崎文学は、着物についての描写が目につきます。ヒロインたちが纏う着物は、その容姿だけでなく性格や立ち位置までも見事に表現しているのです。  そんな「着物」から読み解く谷崎文学の展示会が、根津・弥生美術館で開催中です。4月2日、近くの東大の構内の桜がまさに満開を迎えようとしている日にそのオープニングイベントに、キモトモに誘っていただいて出かけてきました。  展示は、文章だけでなく写真や連載当時の挿絵なども豊富で、そこから読み解かれた着物一式が大野らふさんによって、実際にトルソーでコーディネートされています。よくぞこんなに似た着物を探してこられたな~と、感服!  学芸員の中村さんの解説も面白く、細雪と春琴抄くらいしか読んだ事のない私でも十分楽しめました。あわせて出版された「谷崎潤一郎文学の着物を見る」大野らふ+中村圭子(河出書房新社)も購入したのですが、ビジュアル豊富でアンティーク着物の世界に魅き込まれてしまいます。当時の着物に触れる事ができるコーナーも。ジョーゼットや錦紗など、信じられないくらい軽い手触りで夢みたい!  オープニングイベントは、まさにそんな世界を愛する皆様がいっぱいで、アンティーク着物姿の方ばかり!! あんなにたくさんの5つ紋のアンティーク振袖、見た事な~い! 振袖ばかりでなく、素晴らしいコーデのみなさんがいらして、もう本当に目の保養! 展示より華やかだったかも!?  いままで、アンティーク着物にそんなに興味はなかったのですが、今回ばかりは「おお~~!!」と鼻息が。素敵ですね~。ひらひら、ひらひらと翻る、長いお袖にうっとりです‥‥。実際に身に纏って楽しんでいる皆さんの心意気に感服。  イベントが終わった後、ひときわ素敵なアンティーク振袖をお召しの「アンティーク着物愛好会」の方に伺ってみると、今回の展示にコレクションの貸出しもされているとか。数が残っていないものだから、骨董市、オークション、お店と足繁く通って探すのだそうです。アンティーク着物愛、熱いです!  私も出かける前に、このイベントにいくならアンティーク着物だよねー‥‥とは思ったんですが、残念ながら、私の手持ちにはアンティーク着物、まったくないのでした。で、舞台版の細雪の女優さんイメージで(図々しいw)辻が花の訪問着で出かけました。正直、アンティーク着物の皆様の中で浮きまくりだったかとは思うのですが、それでも久々にどーん!とお洒落をしていったので楽しかったです! 連れて行ってくれたキモトモさんは、昭和なかんじ!となんとヘアスタイルを「耳隠し」にセット。本当に素敵でした。せっかくだから、楽しまないとですね~。 一応、わに的細雪コーデ(舞台版)  この展示会「耽美・華麗・悪魔主義 谷崎潤一郎文学の着物を見る アンティーク着物と挿絵の饗宴」は、6月26日(土)まで開催されています。期間中にはギャラリートークもあり。着物に興味のある方なら、楽しめることうけあいです。併設の竹下夢二美術館も、レトロで素敵なんですよ。ぜひ着物で、おでかけになってみませんか? http://www.yayoi-yumeji-museum.jp/yayoi/exhibition/now.html

卒業式だけじゃない!女子袴の乙女なリボンの結び方の巻

星わにこ
2016/03/23 00:00
3月も後半戦、卒業式シーズンもいよいよ佳境ですね。袴姿を街で見かけると、頭に松田聖子の「制服」が流れて、なんだか甘酸っぱい気持ちになります。  最近は振袖+袴というパターンが定着しているようですね。袴も、1色ではなく、刺繍やぼかし、ヒダの内側が別布、小紋柄などどんどん華やかなものが登場しています。  最初は「袴に刺繍!?」なんて思ったものですが、若い子たちが着ている姿を見ると振袖や中振袖とバランスがよく、可愛らしい。逆に、色無地や江戸小紋などと合わせた場合には昔ながらの1色の袴のほうがよい気がします。先生の立場だとこちらがスッキリしてよいかもしれませんね。  宮城では、小学校の卒業式に袴、というのが定着しているようです。12歳の袴もこれまた可愛い~!!   今年も何度か袴の着付をさせていただく機会があるのですが、本当に楽しみです。袴の着付けなんてカンタンでしょ、と思われるかもしれませんが、やればやるほど袴の丈のバランスや衿の抜き加減など、体型との兼ね合いもあり、キレイでラク、を追求すると奥が深いと感じています。  袴は万が一にもずり落ちたりしないように、しっかりと腰の紐を結ぶのが大事。一番上の太い紐はリボン結びにしますが、実はリボン結びって緩みやすいのですよね。なので、リボンを結ぶ時には最初に一巻き目の紐にからげておきます(図)。そうすると、緩んできにくくなります。  結び目は右か左かに寄せますので、そうするとリボンの端の紐の長さが最後に長短できてしまいます。そこで長い方を後から結び目にかけて前にたらすと、結び目が隠れて紐の長さも揃い、綺麗な蝶々になるのがポイント。  このリボンを結ぶのは右と左どちらでもいいのですが、私は左側に結ぶようにしています。着物の打ち合わせにあわせて、上前のほうにポイントがくるのにあわせています。特に振袖などは左胸にポイント柄が来る事が多いですし、写真などでも収まりがよい気がします。また、右利きが多いので左側にリボンがあったほうが邪魔にならないで立ち居振る舞いができるということもあります。どちらでもお好みで。  一番目につく部分ですから、綺麗に結びたいですね! 自分でも直せますから、着ている人も時々リボンがひっくりかえっていないかちょっと気にして直すと綺麗にキープできますよ。  袴をはくと、着物に比べていきなり身体の稼動域が大きくなります。着物を短めに着付けることもあって、足は開くし、ブーツをはけばかけっこもできたのも納得。実用性も高いものです。普段着に最適なアイテムなんですよ。もっと、袴を普段に履く人が増えてもいいのにな~。  卒業式だけじゃもったいない! 帯結びも簡単で、着物より実はハードルが低い袴。ポリエステルだったら手頃なお値段で手に入ります。袴未体験の方、一度試してみませんか?

震災5年目のきもチャリ!(お着物チャリティバザール)の巻

星わにこ
2016/03/16 00:00
 先週の3月11日‥‥震災から5年が経過しました。去年も、同じように、同じイベントについてコラムを書きましたが、また今年も書かせてください。  女性クリエイター仲間と、震災1ヵ月後から「なにかできることはないか」という気持ちで始めたチャリティイベントも今年9回目となりました。仲間のイベントに参加し続けている、というだけなんですが、できる範囲で細く長く続けて行けたらという気持ちでいます。  チャリティの寄付先は「みちのく未来基金」という、震災で親を亡くした子どもたちに奨学金を支援しようという公益法人です。震災時に0歳だった進学希望者がこの奨学金が不要となるまではおよそ四半世紀。長い活動となります。微力でも、忘れないで続けていきたい。そんな気持ちでいます。  最初はクリエイターの作品をチャリティ販売していましたが、途中から「いらない着物があるんだけど、なにかできないか」と相談をうけたことをきっかけに、不要な着物を寄付していただき、それをイベント販売して売上を寄付する、ということをはじめました。 「お着物チャリティバザール(略してきもチャリ!)」。集まる着物は玉石混交で、目利きでもなんでもない私たちにはその着物に見合った値段をつけることが難しい。なので、非常にリーズナブルなお値段で基本は着て、活かしてくださる方にお譲りしています。  何度か行って定着してきた感もあり、着物を着ない方がいらない着物をまとめて処分するときにこのイベントのことを思い出して寄付を申し出てくださったり、よく着る方でも着ないものを持ち込んで、さらにイベントで好みの物をゲットして二重で寄付をしてくださったり‥‥。毎回、協力してくれるお店もあります。続けていけるのも、ご協力してくださる皆さんのおかげ。  箪笥の肥やしの着物を、欲しい方へ橋渡しすることで、チャリティにもなり、手放した人も買った人も、そして着物も活かしてもらって、皆が笑顔になれる気がして、携わり続けています。正直手間はかかるし大変なのですが、準備段階から協力してくれる人も増え、また着物たちがどんどんお客様に笑顔で持ち帰られるのを見るのが楽しくて、続けられています。  今年も3月11日~13日の3日間、「wasurenai 2016」と題してイベントを行い、アーティストマーケットと一緒にきもチャリ!も開催しました。  きもチャリ!会場となった「昭和な家」の二階の4畳半と3畳の二間は、一番にぎわったときには寒い日だったのに、窓をあけないと暑いくらいの熱気に包まれ、たくさんの着物が広げては羽織られ、畳まれまた広げられ、皆でわいわい「これは」「あれは」と大騒ぎ。  人が羽織ると着物が違って見えるんですよね! 準備から、ずっとそこにある着物を見ている筈なのに「あら、あんな素敵なのあったっけ!」と、誰かが持っているのを見て、目が釘付けになることもしばしば。あの人が掴んでいるあの着物、買うのやめないかな~、わたし欲しいな~なんて横目で見ていたり(笑)  どんな着物にも白馬の王子様(?)みたいに、似合った素敵な人が現れるのが面白い! 私が羽織ってもなんだかイマイチなものが、違う人が羽織ると「パア~ッ」と音がするくらい素敵になったりするんです。これが不思議!! そして着物好き同士の情報交換も楽しみのひとつ。  今年は、取り壊されてしまう京都の町家から江戸縮緬の色留袖などのアンティーク、ほかにも加賀友禅の留袖や凝った裏地の袖を通してない型染め小紋などなど、びっくりのよいものもあり、それもリーズナブルなお値段で大切にしてくださる方のところにお嫁入りしていきました。  着物の他にも未使用の下着や足袋から、帯締め帯揚まで小物もいろいろで、上から下まで一式お買い上げ、という方も。あるもので、うま~くコーディネートもできちゃったりします。  シミがあったり、訳ありだったりするものも、初心者の方の練習用やステージ衣装など、いろんな活路を見いだして、活躍の場に旅立っていきました。お子さんの着物や、男性の着物も。最後まで売れなかったり、汚れでどうしようもないものは、つるし雛や裂き織りなどの細工物用に。  捨てられるはずだった着物、買ったけど似合わなくてお蔵入りになっていた着物や帯が有効活用されて、その売上が寄付できるというのはいいよね! と続けている次第です。  着物のチャリティバザーを行っている団体は他にもあります。もし不要な着物があったら、そういったところへの寄付も選択肢の一つに加えていただけたら、と思います。  着物という、好きなものに関わることで、できることをできるだけ。関わる人が笑顔になれることも、大事なこと。チャリティについてはいろいろな考え方があると思いますが、まだまだ道途中の東日本大震災の復興を応援したいと、仲間と続けている小さな活動のお話でした。

ひなまつり茶会でお手伝い☆菱餅コーデの巻

星わにこ
2016/03/02 00:00
 まだまだ気温は低いですが、日差しに春を感じるようになりましたね。先週末、子どものイベントのお茶会のお手伝いをしてきました。  NPO法人ZEROキッズでは、数年前から子どもたちの「日本文化体験」ワークショップを開催しているのですが、その集大成として「日本文化 おもしろ体験塾」という教材が完成。私もいろいろとお手伝いをさせていただきました。  そのお披露目イベントの会場には雛人形が飾られ、教材に使われた二十四節気・七十二候のイラスト展示や、雛人形の折り紙コーナーもあり、親子連れでにぎわっていました。 「ひなまつり茶会」は、子どもたちに茶道体験をしてもらおうというコーナー。緋毛氈をひいて、野点のようにしつらえました。お客様も子どもたちが多く、初めてのお茶、おいし~い!と飲んでくれる子、にが~い!とびっくりする子。可愛い~(もはや孫を見るおばあさん目線)。皆真剣に先生のお話を聞いて、えらい!  キッズの茶道ワークショップに通っている子たちが、着物を着てお運びのお手伝い。これがまた可愛い!!  私は、お手伝いの大人が少ないという理由で、このごろさぼっておぼつかないお点前をすることに。前日焦って本でブツブツ復習していたのは内緒です。結局先生に見てもらう時間もほぼなく、ぶっつけ本番。いやあ緊張した。  先生に「間違えても『アッ』という顔をしないで、粛々と進めれば大丈夫よ!」と言われ、ポーカーフェイスで頑張りましたが内心汗だくだく(笑)。まあ~無事に終わったのでよしとしましょう。していいんじゃないかな‥‥していいよね。してください(泣)。  終わった後にコーデ写真をとったのでヨロヨロですが(笑)お正月に来たピンクの江戸小紋、比翼衿がついているのですが華やかすぎるかな、と内側に折り込んで普通の衿に。 (比翼衿で着ているのはこちら)  梅と、鼓に房がついてる(はぁと)白い箔の帯。それに草色の帯締めで、名付けて「菱餅コーデ」。自分だけが楽しい(笑)ひなまつりコーデです。  久しぶりに正絹の長襦袢、たれ物の長着、1つ紋の黒羽織を着たのですが、お袖の振りが、綺麗に整っていてとっても嬉しくなりました。ふきの部分の色も見えるので、3枚が重なっているのに5色が見えてなんだか幸せ(^^)。絹の重みも心地好い。  いつも気楽にちゃちゃっと普段着を着ていますが、丁寧によそゆき着物を着るのって本当に気分があがります。  そしていくつになっても、ひなまつりは楽しいですね。子どもたちに囲まれて、楽しい楽しい一日でした。 「日本文化 おもしろ体験塾」はWEBで一般公開されている教材です。「きものの一生」という部分のイラストや動画撮影などに関わらせていただきました。  横スクロールで巻物みたいな面白いサイトです。  日本の懐かしい歌や季節や作法、エコの知恵がいっぱいつまっています。  お子さんと一緒に楽しんでも、大人が見ても楽しいです。七十二候で、1年の季節を感じるのも楽しいですよ。わたしはふろしき王子ことよこやまさんの風呂敷コーナーが好きです(笑)。興味があったらのぞいてみてくださいね。

御朱印ガール!?デビューしました☆の巻

星わにこ
2016/02/24 00:00
 皆様「御朱印」ってご存知ですか。神社仏閣へ参拝し、希望するといただける印章のことです。さらに寺院や神社の名前やご本尊の名前と参拝した日付を墨書してもらえます。  本来は、お寺に写経を納めた印だったということですが、今は参拝だけでもいただくことができます。  亡くなった母がだ~い好きで、どーんと立派なでっかい御朱印帳に特に四国八十八ヶ所の御朱印を集めていました。信仰に興味もなく、ふーん、いかにもおばさんの趣味だよね。。。なんて横目で見ていた私(笑)なのですが、キモトモさんが雑誌の付録という小さなサイズの可愛い御朱印帳に、仕事場の近所の寺院の御朱印いただいてきたの、と見せてくれたのが、とても美しい墨書で。  あら、これは私もいただいてみたい! と思ったのがきっかけで、お正月に御朱印をいただくデビューしました。  それと、神社仏閣へお参りすると心が鎮まるし、母の供養にもなるような気がして、最近信心に目覚めてきたというのもあります。これがおばさんになったということなのかっ(笑)。  最近は「御朱印ガール」という言葉ができるくらい、御朱印集めがブームなのですね。ガール、っつうか普通に母と同じく御朱印おばさんなわけですが(笑)「はじめました」とSNSでつぶやいたら意外と先輩が多かったです。今度一緒にいこうね~なんて盛り上がったり。  もともとヲタ気質でスタンプラリーなどなど大好き人間のワタクシ、「参拝の証である」という信仰のココロを忘れて蒐集に走ると歯止めがきかなくなりそうなので、自制心を持ってご縁のあった神社仏閣でいただくように心がけてただいま6ページ目。  いただくきっかけになった仕事場近くの新井薬師の御朱印を皮切りに、出張先の宮城、奈良でもいただいたり。日付も入るので、よい記念になりますね。  また、墨書していただくので墨の匂いにも心が癒されます。  御朱印をいただくときの作法は、まずきちんとご参拝をすること。その後、社務所などでお願いします。いただけるところとそうでないところがありますし、時期や時間などの制約もある場合があるので、頂けたら有難いくらいのスタンスだとよいそうです。頂いたら、お布施もしくは初穂料を納めます(大体300円くらいが相場だそうです)。  いただいた御朱印は、粗末にせず大切に扱いたいですね。  私のファースト御朱印帳は、最初にお願いしたお寺のものを頂きました。御朱印帳を置いている神社仏閣は多いようです。オリジナルのものもありますし、これもいろいろ調べたら楽しい!   基本和紙で作ってあり、蛇腹式、紐綴じ式、和綴じ式、サイズもあります。元々文具も大好きなのでたまりません。  神社仏閣のほかに、文房具店でも扱っていますし、専門店や通販もあります。可愛いものも多いのですね~。和柄のものが多いですから、これがまた見ているだけで楽しいです。自分の好きな布で作る「御朱印帳作りワークショップ」なんていうのも。  いや~御朱印帳も奥が深い!! 2冊目に入るときは、可愛いものを探してみようかな~(気が早いw)  なんか今回はあまり着物の話題でもないようですが、神社仏閣にいくと、和の美しさにたくさん触れることができます。私は房が大好きなので、あちこちから下がる美しい房を見て回るのが楽しみです(マニアですみません)。調度品の文様や、建物のモチーフなども、注意してみると楽しいですよ。  それから、旧暦や神社歴も気にしてみると面白いですね。大安仏滅は有名ですが、他にもいろいろあるんですよ。例えば、明日2月25日は一粒万倍日(いちりゅうまんばいび)。なにかを始める事によい日です。その次の26日は天赦日(てんしゃび)という大安どころじゃない最強ラッキーデー。ラッキーデーだと思うと、なんだか元気がでませんか?  八百万の神、神仏習合、なんでも信仰の対象にしてきた日本の風土。見えない力はあると、年をとって感じるようになりました。人生いろんなことがあるけれど、神様仏様ありがとう、周りへの感謝も忘れずに、毎日にこにこ過ごしたいなと思う今日このごろです。 マイファースト御朱印です。美しいですね~! 御朱印帳は蛇腹式の小タイプ。持ち歩きしやすいです。

鹿の鼻アタックも大丈夫☆最強旅行着!?フルレングス道中着の巻

星わにこ
2016/02/10 00:00
 立春を過ぎましたが、まだまだ寒い日が続きますね。先日1泊2日で奈良ににいってきました。少し寒さが緩んでいたので、アウターは大きなストールをフルレングス道中着の中に着込んで出かけました。  わたしのフルレングスの道中着は、洗える着物の反物をマイサイズで雨コートのような形に袷で仕立ててもらったもの。道中着の形で、裾までしっかり着物をガードしてくれます。チリよけにもなるし、寒い季節の雨コート代わりにもなるし、なかなか優れものなんですよ。  あと、キレイ色で作ったのでとても華やかで、下はどうでもこれを着ていると「あら、いいですね」とよく褒められます(笑)。  先日は、この下に振袖を着て出かけました(ええ)。お袖を身体側に収納することで振袖とはばれずに外出できます(ええ)。コラムに書きましたら「腕がむきだしで寒くない?」と質問をいただきましたが、そこはアームカバーで寒さガードをしました。説明不足で失礼しました。 http://ichirimall.ldblog.jp/archives/47710286.html  ポリエステルなので、暖かさという点では正直点数は低いのですが、下に羽織を着たり、大きなストールをたっぷり巻いたり、アームカバーをしたりすると結構あったかいのです。  そして、これを愛用する理由は……洗えるので汚れても平気!! 大事な着物を守ってくれるからなんです。もう少しあたたかくなると、やっぱりフルレングスの薄い単衣のちりよけを着ます。やはり絹の着物や帯はなるべく汚さないで大切に着たいですから、どこへ行くにも徒歩や公共交通機関を使う身としてはこういった自衛手段をとったほうが安心。急な雨にも、安心です。  雨コートでも代用できます。でも二部式より一部式のほうがさっと羽織れるので私はお気に入りです。いち利モールさんの『楽雨』シリーズとか色や地紋が素敵で、雨じゃなくてもちりよけにも使えそうなので、ワンピースのもほしいなぁ~。  さて奈良にはお仕事で行ったですが、朝ちょっとだけ時間があったのでプチ観光で鹿に会いにいってきました! 実は人生、初奈良\(^O^)/ 奈良と言えば、大仏と鹿ですよね~。大仏までは見に行けないけど鹿に会いたい! と言うと「鹿は野良だからそこらへんうろうろしてますよ」とか「そこらへんにいくらでもいる」「県庁にはみんな鹿に乗って通勤している」とか色んな情報が!  とにかく奈良公園にいけば会えると言われて、早朝行ってみると、鹿せんべいを売っているおじさんが。1ついただいて話を伺うと、鹿は野生です。おせんべいが欲しくても鳴けないので、ついてきたり押したりしてくるけど、大人しい動物なのでびっくりしたりしないで、と言われました。 「はーい」と返事をして公園に向かうと、い、いるわいるわ!! なんか鹿がふつ~~にウロウロしてます。動物園でしかみたことないからびっくり!!!  そして、足元には噂の鹿のフンが本当にゴロゴロと(笑)はあ~、吉永さゆりさんのあの歌は嘘じゃなかったのね~。  感心しつつ、早速せんべいを取り出すと、何頭かの鹿がさ~~~~っとこちらに向かってきます! あげると、むしゃむしゃ。可愛い!!!! はい、はいとあげていると、後ろからきた鹿にどすっ、と鼻アタックをうけてヨロッ(笑)。わわわ、とよれっていると、カバンから出ていたパンフレットをムシャッ!と齧りとられ(笑)  その場を離れようとすると、かなり長い距離鹿さんについてこられました。あとで、両手をあげて「おせんべいもうないよ」とアピールしないとついてこられるそうです。なーるほど。  ここで一首「諸手上げ せんべいなきこと示さざる 人にはつけよ 鹿の鼻跡」(お粗末!)  鹿の鼻はけっこう湿っていて(^^;)、ちょっと道中着は汚れてしまいましたが、平気です! だって洗えるんだもん。帰ってからその話をしたら、皆さん結構鼻アタックの犠牲になっているんですね。絹の道行やワンピースが汚れて泣きました~というお話も。  これ、大事な帯とかにアタックされたら悲しすぎる~~~!!  そんなわけで、やはり外を歩くときはフルレングスの道中着、おすすめです! そんなに鹿に会う事はないと思いますが……(^^;) その後は興福寺で阿修羅像と国宝ボーイズを見て、御朱印をいただいて、プチ観光満喫しました~!  いつかまたゆっくり観光したいなあ。  フルレングスの道中着のいいところをあともうひとつだけ。ホテルで廊下の自動販売機に飲物を買いに行きたいけど、もうお風呂に入ってパジャマだ‥‥というときも、これを羽織れば出られます(笑)  市販ではあんまり見かけないのですが、もっとあってもいいのになと思うんです。雨コートを別に持つ必要もないし旅行には最強!と思っております。いち利さんで商品化されませんかね? そんなわにこの愛用品のお話でした!