帯揚げの結び目が飛び出してこない方法の巻
星わにこ
2023/09/27 00:00
夏の間は「暑いし面倒臭いし帯揚げいらん」などとほざいていた私ですが、帯揚げはやっぱりあると着姿が締まりますよね。見える部分はほんのちょっと、帯の上に少し色が入っているだけなのに、存在感が大きい帯揚げ。素敵な差し色になって、コーディネートに重要な役目をはたしています。
一方で、着るときになかなか時間をとってくるくせものでもあります。もうね、帯まで結んで力を使い果たしているところに、帯揚げ。着物初心者のころは、綺麗に結びたいとおもいつつ、うまくいかなかった部分でもあります。目を瞑ってエイッと仕上げて、わーもうぐちゃぐちゃだけどゴメン!(自分に)なパートでした。
でも、しゅっと綺麗に決まっている帯揚げは、惚れ惚れしますし、憧れます。これも着付けに慣れてくるにつれて、だんだんと気を使えるようになってくるものではないでしょうか。
着付けのお悩みで「帯揚げの結び目が帯の中から飛び出してきちゃう」というのをよく伺います。今回はそんなお悩み解消のポイントをお伝えします。
まず、ゆるっと結ばないこと。布目を通して畳んで、結ぶ前にしっかり引き締めること。ゆるむと遊びが出て、飛び出しやすくなります。
そしてここからがポイントなのですが、結んだら余りの処理を横に流すのではなく、垂直に帯の中にしまうこと。
もちろんそのまま縦につっこむのは長すぎますから、帯におさまるように端をたたんで、下に向かってぐっと押し込みます。
こうすると、下方向に力が働きますから、結び目が飛び出してきにくくなります。
あとは、帯枕の紐に押し上げられて帯揚げの結び目が飛び出す事案もあります。帯枕の紐もしっかりと帯の中にしまってください。このとき、結び目だけを下に押しても動けば上にあがってきます。脇からしっかりと帯の中に入れ込むようにすると上がってきませんよ。私は、帯の下から手をいれて下にひっぱるときもあります。
いつも帯揚げの結び目がコンニチハしてきてしまう、という方、一度試してみてください。
衣替えは着物の点検とワードローブ見直しのチャンス!の巻
星わにこ
2023/09/20 00:00
暑くて永遠に終わらないように思われた夏も、少し手を緩め始めた感のある今日この頃‥‥といってもまだまだ暑くて9月も下旬になろうというのにとても単衣を着る気になれないわにこです。10月からもこの気温が高めの傾向は続くようで、とても暦通りに袷を着られるようになるとは思えません。1年中単衣で過ごしてもいいのかも?
とはいえそろそろ衣替えも視野に入ってきますね。シーズンが終わった着物をお手入れするのはもちろんなんですが、仕舞い込んでいたこれからの季節の着物をもう一度点検してみませんか。
よく着物を着る人は、着物を毎シーズンお手入れに出すというよりは「汚れたら出す」ことにしている人もいらっしゃるのではないでしょうか。私も、着た回数が少なくてそんなに汚れのない普段着などは2,3シーズンに1回お手入れに出すかな、というような感じです。
そういう着物を、いざ着ようとひろげたときに、「あっ!袖付けがほころびてたんだった」とか「裾が擦り切れかけている!」とかいったことに直面したことはありませんか。私はめちゃめちゃあります(え~)。
自分でできるちょっとした修繕や、あとでお手入れに出そうと思ったものをそのままにしてとりあえずしまってしまった前シーズンの自分よ、ちょっとここにきて座れ。
まあ私ほど後回しにする人もいないかもしれませんが(ゴホンゴホン)、なかなか、着物を着た後、すぐお手入れや修繕をしておく時間がなかったり、その時は気がつかなかったりということもあるわけで。
また夏の暑い暑い中、箪笥に仕舞われていた着物は意外と湿気を吸っていることも。秋晴れの日に、箪笥から出して拡げてできたら羽織って、虫干しがてら着物の点検をしてみてはいかがでしょうか。
意外と気づかなかった汚れを発見したりということもありますし、その着物を今後も着るかどうか検討する『箪笥の肥やし自分会議』を開催することもできます。
ほんとに、なんでもかんでも「いつか着るぅ~」「直して着るぅ~」と仕舞い込んでいると、きりがないのですよね。私だけかもしれませんが、好みが偏っていて同じようなものを何枚も何枚も持っているような場合は、お気に入りの優先順位をつけて処分していかないと、増殖の一途(しかも人からみたら同じやんけ、という)を辿ることに。
シーズン終わりにももちろん考えるわけですが、シーズンの初めにもう一度「この着物、今年着る?」ということをぜひ考えてみてください。
昨年そんな着物の保管・メンテ・処分の方法について書いた拙著『その着物、どうする?』(河出書房新社)が発売から1年4ヶ月経って、なんと3刷がかかりました。感謝です!!
同時に皆さん、着物についてはやはりお悩みなのだな、としみじみしております。
表紙をみただけではわからないのですけど、全部書き下ろしの漫画です! お片付けやお手入れ、リメイクなどについてそれぞれ達人の教えをいただいたので、自分でも読み返して役立てております。まだ読んでないわ~という方がいらしたら、よろしければネットショップとかでサンプル読んでくださいね。電子書籍も出てます!
なんて、最後宣伝になってしまい大変失礼いたしました。
衣替えのシーズンは、着物の点検とワードローブの見直しのチャンスです。着物を着る機会の多い方は尚更、これを機会に自分の着物を見直ししてみてくださいね!
「お着物で薬膳フレンチ」に行ってきたの巻
星わにこ
2023/09/13 00:00
8月のある日、仲良しのキモ友さんのお誘いで、着物着用が参加条件の「お着物で薬膳フレンチ」にいってきました。東十条にあるオーヴェルニュ地方料理のワイン食堂『La poule au pot ラ プール オ ポ』では、毎月1回、ランチの時間にシェフもお客さんも全員着物の薬膳フレンチの会を開催しています。
カウンターのみの小さなお店で、割烹着を着たシェフの渡邉美由紀さんが、手際良く料理を作って盛り付けていく様子に見惚れつつ、友達とわいわいおしゃべり。私は今回で2回目の参加になるのですが、居心地がいい店内はくつろげて、まるでお友達の家に遊びに来たみたいです。
自分ではなかなか作れない、手の込んだ体にやさしい料理がお皿に盛り付けられて、ちょっとづつ、目も体も癒される滋味深い味わいのたくさんの種類のお料理を食べることができ、とっても幸せな気分に。前菜、メイン、デザートと飲み物、女性にちょうどいいボリュームで、大満足。
フランスで料理修行を積んできた渡邉さんは、お母様が着付の仕事をされていたこともあって、もともと着物が大好き。若い頃は料亭で着物を着てアルバイトをしたこともあり、フランスにも着物を持っていき、ご自分の結婚式でも着たそうです。小紋でしたが、自分で着付けて、とっても好評だったそうです。
日本に戻って要町(池袋の立教通り)にお店をオープンし、さらに東十条に移ってから6年目。着物好きが高じて、ゆったりと体に優しい薬膳を取り入れたフランス料理を着物で楽しんでもらいたいと、この会を始めました。
地元の着付け教室の方たちや、着物好きの人たちにクチコミで広まって人気の企画だそうです。渡邉さんがその日着ている着物について伺ったところ、着物繋がりで仲良くなったお客様から、病気でもう着物が着られないからと生前形見分けだから、といただいた夏着物だそう。「せっかくだから、着ないとと思って」とおっしゃっていましたが、着物も元の持ち主さんも、とても喜んでいるだろうな~と感動。
私も、ご縁があっていただいた着物や帯を、もっと着ないとな~!と改めて思いました。着物の話をして美味しい料理に舌鼓をうっていると、時間もあっという間に過ぎてしまいます。
夏の間は、体調がいまいちだったこともあって着物を着る回数も少なくて、この会も行けるのかな‥‥とちょっと弱気だったのですが、思い切って出かけたら、暑いけれども風も抜けて爽やかで。
夏着物は着るまでが億劫で億劫でやっぱりやめようかと何度も思うのですが、着るとしゃっきり、あら不思議。テンションがあがるせいか、着ている間は苦にならない。
そして、脱いだ時が一番爽快(笑)。
キモ友の有松絞りの浴衣の思い出のお話をきいたり、麻着物コーデや半幅帯のバリエーションを楽しませてもらい。目にも心にも優しいお出かけに。コロナ禍も終わったのだなあ‥‥と会食できる日常が戻ってきてほっと一息ついたような、過ぎた日を思うとなんともいえないような、そんな夏の終わりの1日になりました。
『La poule au pot ラ プール オ ポ』さんでは毎月1回この「お着物で薬膳フレンチの会」を開催されていますので、興味のある方はぜひ。心もお腹も満たされますよ~。夜にゆったり、大人の時間もいつか‥‥。
男物の兵児帯で普段着がマイブーム!の巻
星わにこ
2023/09/06 00:00
昨年から時々男着物を着ることがあるのですが、ずっと帯は角帯を合わせていました。先日思い立って兵児帯を使ってみたら、すっごく楽でした!
きゅっと引き締めればしっかり腰をささえてくれますし、総絞りのものならちょっと弾力性があるのがまた気持ちよい。これは家に帰ったら昭和のお父さんたち、着物と兵児帯に着替えるわけです(納得)。
兵児帯は、男物も女物もサイズはあまり変わらず、幅50~75センチ、長さは3メートル50~4メートル。女性用だとポリエステルなどで軽くてふわふわしているものが多いですが、男物は結構しっかりと重さがある正絹のものが多い気がします。
おじいちゃんのものが箪笥にあった、なんていう人もいらっしゃるのでは。持つと結構ずっしりしますよね。
サイズが変わらないのであれば、男物も女物とおなじように結べばいいのでは?と思い、女性着物に合わせて結んでみました。
そのまま結ぶと幅が狭くなってしまうので、帯板を包む様にして前の幅を出します。
結び方は、普通にリボン結びかリボン返しで可愛くできます!
最初は総絞りの兵児帯を結んだのですが、結構伸びるので、あまり引き締めないで結んだら、ボリュームがあるのでお腹がぽっこり見えてお相撲さんか子供みたいなことになってしまい(本当にぽっこりだからなのでは?というツッコミはおいておいて)、しかも、後ろの結び目も重いので落ちてきそうで、仮紐で支えました。
まあなんとか形にはなったのですが、絞りなので空気も含むし、夏には暑い。。。重い。。。とマイナス面を感じてしまいました。
ただ、柔らかいので楽なんです!!!
もしかしてふわふわ結んだのが悪かったのでは?と反省し、今度はしっかり引き締めて結んでみました。すると、なんということでしょう。
絞りのゴムのような弾力で引き締めても苦しくないし、体も支えてくれるし、結び目もきちっと高い位置でキープされて下がりません。
あら素敵~~~。(体感的に)
というわけで、すっかり普段着兵児帯にハマってしまいました。帯が硬くないって、こんなに楽なんだなと目から鱗でした。男物は色もシックなので、汚れも目立たないし普段に使いやすいですよね。
総絞りのものは豪華だけどやっぱり暑いので、帯の端だけに絞りが入っているいわゆる「端絞り」というタイプのほうが夏には向いているかもしれません。
もしお手元にそういえばあるわ、なんていう方がいたらぜひ一度お試しを!
これから秋に向かいますが、兵児帯に下駄、なんて普段着スタイルにしばらくハマっていそうなわにこでした。