刺繍の半衿をたっぷり見せる着付けの巻
星わにこ
2022/11/30 00:00
クリスマスやお正月に向けて、ドレスアップした着物が着たくなる時期ですね。普段半衿は白オンリーの私でも、華やかな刺繍半衿をしたくなるシーズンです。
せっかく刺繍半衿をしたら、やっぱりしっかりと見せたいのが人の常。白半衿の場合は、すっきりと少なめに見せるのが粋な着こなしかと思いますが、綺麗な半衿はたっぷり見せたいですよね!
でもなんか、いつも着物が半衿に被ってきちゃって、半衿を見せるって難しい!というお悩みもあるのではないでしょうか。
今回は半衿をたっぷり見せて着付けるコツをご紹介します。
まず最初に
「衣紋を思い切って抜く」ことです。
その次に
「襦袢の衿をこれでもか!と深く合わせる」ことです。
衿が合わさる角度が鈍角になるようにします。これは衣紋をしっかり抜いていないとできません。
・襦袢の衿を胸の外側を通るように深く合わせる
・衿を合わせるときに、下に引かず、真横に、いやむしろ持ち上げるくらいの気持ちで合わせる
この2つのポイントを守ってください。どうしてもできない!というときは、襦袢の身幅が足りないかもしれません。
身幅のあった襦袢を着るのが一番ですが、一応身幅が足りない時の超裏技もご紹介しておきます。
長襦袢の身幅が足りない時の超☆裏技!の巻
そして最後は、
「耳の下あたりで1センチくらい半衿を見せて着物の衿を合わせる」
です。普段は、耳の下あたりから半衿をのぞかせはじめると思いますが、これをもう少し後ろから見せるのです。こうすることで、半衿が見える面積が増えます。これも衣紋をしっかり抜いて、首の横で衿が寝ているような状態でないと難しいです。すべて衣紋の抜きと連動しています。
さらに、着物の衿は浅くやや鋭角にあわせます。着物も深く合わせてしまうと半衿が見えなくなってしまいます。
この3つのポイントを心掛けて、着てみてください。刺繍の半衿をしっかり見せられますよ。
クリスマスの柄の半衿や、おめでたいお正月の半衿、大好きなモチーフの刺繍半衿などなど、ぜひぜひお好きな半衿を「見せて」着てくださいね!
都腰巻きって知ってますか?の巻
星わにこ
2022/11/23 00:00
急に寒さが深まって、袷の着物に羽織ものが欲しくなる季節になりましたね。私は、羽織はチリ避けの意味も含めて、洗える素材のものを愛用しています。でもたまに正絹の羽織や道行を羽織ると、とろ~んとした落ち感にうっとりしちゃいます。マダム度が勝手に私の中で上昇し、なんとなく所作もおほほほほ、という感じになるのが不思議。
そんな着物のおしゃれが思いっきり楽しめるシーズン、本当に嬉しいです!
冬、外は寒くても、交通機関の中やでかけた先は暖房が効いているのでそんなに暖かい肌着とかは必要だと思っていないワタシでしたが、年々寒さに弱くなってきたような‥‥。昨年たかはしきもの工房の「ぺチコ」というあったか腰巻きと出会い、寒い日に裾除け代わりにしたらめっちゃ最高でした。
しかも、洋服のときにも使えるので、ロングスカートの下に履いて暖かアイテムとして愛用していました。でもやはり、下着ではあるのでお尻のラインとかはばっちり拾うので相当スタイルのいい人でないとスカートがわりにするには、上にチュニックのような長いものを着ないと厳しいかも。というところで、一度上にジャンパースカートを着るのを忘れて外出してしまい、青ざめたことがあるほどあったかです。。。
実は、これはお客様が持っていらした、ニットの腰巻きを現代に蘇らせたものだそう。私も、このニットの腰巻きをおばあちゃんのタンスで発見して、持っていました。朱色のと、ラクダ色の2色あり、履いたらあたたかだろうなと思いつつ、そこまですることもないかと一度も着たことがなかったんですが、ニットではなく、マイクロ抗ピルアクリルというしっとりなめらかな繊維で、またとってものび~る素材の「ぺチコ」をはいてみたい!と試してみたらとってもよかったのでした。
ニットのものは「都腰巻き」という名前で、昭和の中頃まで使われていたもののようです。昔はカシミヤのものとかもあって、高価だったのよ~とデパートの売り場で着物の大先輩に教えてもらいました。
上に着る肌襦袢も同じようにニットの素材のものがあったようです。他にも、ネルの腰巻きや肌襦袢もみたことがあります。今よりももっと寒く、暖房も火鉢だったりした頃。普段に着物を来ていた時代にはこういった暖かアイテムは必要なものだったのでしょうね。古い本や雑誌をみると面白い発見もあります。
今も、新素材で汗をかくと発熱をするようなもので暖かい肌着が誕生しています。調べると、結構いろいろな暖かアイテムが毎年誕生しています。洋服用のものを流用するのもありですよね。裾除けも、あったか素材だけでなく、普段ものびーる素材でスカート型もいいかも~と思ったり、いやすててこ履いているからいいかと思ったり、いろいろネットのお店をみてまわったりするのも楽しいです。
着物のアイテムは、私はこれ!と決めてしまいがちですが、新しいアイテムを時々試してみると、便利だったり快適だったり新しい発見があります。ときどき柔らか頭で探してみるのもよきですよ。
身丈の短い着物を楽しむ2つの方法の巻
星わにこ
2022/11/16 00:00
すっかり秋も深まって、東京も木々の葉が色づいています。紅葉ばかりでなく、銀杏やその他の広葉樹も、色が一段明るくなりますので、天気のいい日に外で写真を撮るととてもキラキラしておすすめですよ!
さてさて、今日は気に入ってるんだけどサイズが小さい着物を着てしまおうというお話です。礼装では難しいかもしれませんが、普段着やファッションだったらいろんな楽しみ方ができます。
1)対丈で着て楽しむ
身丈が短いものの場合は、対丈で着てしまう。女性の着物は男性の着物とは着方が違うので、対丈で着ると着崩れやすいのですが、ちょっとしたコツでそれが防げます。
男性の着物が対丈でも着崩れないのは帯の位置が低いから。女性の帯の位置だとどうしても下が長くて、広がってしまいます。
そこで、ちょっとだけでもおはしょりを作ること。なーんだやっぱりおはしょりいるじゃん!と言われるかもしれませんが、このおはしょりは帯の中に収まる位置に作ります。いつもより、腰紐を高い位置にするのがポイント。
女性の着物の場合、このおはしょりが動きを吸収して着崩れを防いでくれる働きがありますので、帯の中にそれを作ることで問題解決ができます。
また、作ったおはしょりを整えて、裾窄まりになるようにするとグッドです。
対丈で着物を着ると、おはしょりがない分すっきり見えて脚長効果もあります。もっと対丈スタイルが増えてもいいのではないかな~と個人的には思っています。
2)身丈を短く着付ける
もう一つの方法は、ずばり裾を短く着てしまうこと。そうするともちろん足がにょっきり出てしまうので、普通に足袋と草履を履いていてはお寺の小坊主さんスタイルになってしまいます。とんちんかんちん一休さんです(古)。
なので、こんな解決方法はいかがでしょうか。
・スカート感覚でブーツや靴を履く。
・見せ襦袢を下に履く。裾除けの裾がプリーツになっているものや、レースになっているものをわざと見せていくスタイル
・上に袴もしくはスカートを履いてしまう
短く着付けると和洋ミックススタイルと相性がいいので、いろいろ楽しんでみてはいかがでしょうか。寒くなってくると、ワンピース感覚で洋服の上にオン着物を楽しむのもいいなあ、と和洋ミックスをうまーく楽しんでいる皆さんをみていて最近思います。
特にこの夏から男物を着るのにハマっているので、ちょっとそのあたりの「着物はこういう着付けでなければならない」という、思っていないつもりでも頭の片隅で固まっていた意識がほぐれてきたのかもしれません。
私はこんなふうに楽しんでるわよーなんてことがありましたら、ぜひぜひ教えてくださいね! まだまだいろいろチャレンジしてみたいな!と思っているわにこでした。
秋の信州・着物旅してきました★の巻
星わにこ
2022/11/09 00:00
秋も深まってきて、東京も少し紅葉の気配が出てきましたね。1週空いてしまいましたが、今回は信州上田のキモノマルシェに参加した次の日、合流してくれたキモトモと二人で月曜日に小布施を観光したお話です。
長野のホテルに泊まったのですが、信州割で40%オフ、平日なので地域クーポン3000円がもらえるというお得さにびっくりしました。朝食を済ませて、駅のコインロッカーにスーツケースを預けて、身軽に観光に出発!
まずは着物で善光寺詣り。紅葉もはじまっていて、とても綺麗でした。以前、牛にひかれて善光寺詣りというイベントに来て以来。おみくじをひいたらなんと「凶」。気を引き締めていきなさいということでしょうか。厄落としの絵馬を奉納してきました。
この絵馬、厄という字をくり抜いて落として奉納するんですが、厄という字に「病気」とか書いて落としている人もいたので、これはいいかもと「お腹のお肉」と書いて友達に大笑いされました。いや切実に落ちてほしいの‥‥。
そんなこんなで久々にお詣りをし、長野電鉄の善光寺下駅まで坂道をぶらぶら降ってお散歩。そこから電車で小布施に向かいました。
実は私、小布施に行ったことがなく今回が初めて。雰囲気のある街並みで着物にぴったりなんですね。ゆっくり観光しようと決めて、お昼を小布施堂で予約。そして憧れのモンブラン朱雀を『とんねる』で予約して、まずは信州小布施「北斎館」に。
北斎館では、着物をきていたため着物割で入場料が半額の500円に。知らなかったので思わぬお得で嬉しい。
今年のGW、岐阜の恵那市の中山道広重美術館でも北斎展をやっていて見たばかりだったので、今年は北斎卍様にご縁がある年なのか? と思いながら『秋のお宝大放出』という展示を楽しんできました。屋台の天井絵は大迫力! やっぱり実物を見るって大事だな~と感動。
お昼は栗尽くしの和食コース3500円。栗の茶巾絞りに椀もの、肉だんご、栗おこわにぶどう餅に栗の上生菓子。少し小雨もぱらつく寒い日だったので、あちあちのお料理で温まりました。いつもならちょっと躊躇するかもしれませんが、クーポン券で贅沢してしまいました。
そして、次は北斎を小布施に招いて逗留させたという地元の名士であり画家である高井鴻山の記念館へ。若冲の屏風絵があったり、なかなかの見応えでした。また記念館の建物自体もお屋敷で、素晴らしかった。
受付で、小さな甘柿をご自由にお持ちください、と配っておられたのでいただいていると、館長さんに声をかけられて、着物姿を褒めていただきました。着物で旅もよいものですね。
小布施の街中をぐるぐる歩いたりお店を覗いたりして、お腹をすこし空けてからいよいよ『とんねる』へ。憧れの朱雀モンブランをいただきました!! セミフレットアイスにナッツが入っているサクサクの中身に、贅沢に栗のクリームや栗あんが重ねられて、美味しかった~~~!!!
給仕されたときには「大きい!食べられるのか!?」と思いましたがぺろりでした(想定内)。9月限定の『栗点心 朱雀』というのにも憧れているので、またいつか小布施に来たいです(食べることばっかり)。
また長野電鉄で紅葉を眺めながら、長野駅に。そこから新幹線で1時間半ほどで東京に戻りました。いや~長野って近いですよね。いつも案内してくれる友達がいるので、コロナ前は友人たちが着物で旅行をよく楽しんでいたのですが、これなら気軽に来られるな~と納得です。
その頃はまだ、子供が小さくてなかなか旅行という気持ちにもなれませんでしたが、大きくなって手が離れてきた今、これからはこんな風に少しずつ友人との旅行が楽しめるようになるのかも。
今回の1泊着物旅行では、二人とも偶然、黒い洗える長羽織を羽織っていました。ちょうど気候的にもよかったし、汚れもあまり気にしないで済むし、少し小雨がぱらついても帯が濡れないので安心。キモトモは鏑木清方の『築地明石町』を見て、つい黒長羽織を誂えてしまったんだとか。わかる!
わたしは、4年くらい前かな? いち利モールで「さらり」という厚みのある紗っぽい生地の洗える長羽織を購入したものを着て行きました。これが、少しだけ透け感はあるけど、生地がしっかりしているので長いシーズン着られるし、レースの羽織感覚で着用しています。すごく優れものなので、また再販されたらいいのになと思ってます。今度は色違いが欲しいなあ。
大人の楽しみに目覚めた、秋の1泊旅行でした。