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腰紐は着付けの要、姿勢の要。の巻

星わにこ
2021/02/24 00:00
皆様、腰紐はどのあたりに締めていらっしゃいますか? 腰骨のあたり、ウエスト、いろいろ好みの位置があると思います。きちっと締められればどこでも好きなところでいいと思うのですが、私の腰紐の位置変遷のお話、ちょっとおつきあいください。 きもの初心者の頃。着付け教室で「腰紐だけはしっかり締めなさい」と言われたものの、とにかく締め付けが苦手、ユルユル大好きな私は「まあ~これくらいでいいよね~」と自分を甘やかしがちな締め具合でおりました。 この頃とにかく着崩れやすかったのは、この腰紐がゆるかったせいが大きいと思います。「胸元がどんどん詰まって、ぐだぐだになる」「立ったり座ったりしているうちに、お尻にU字型のシワができていく」「下前が落ちやすい」という三重苦を背負っておりました。 40代になって着付けをちゃんと習い直そうと思ったところ、この腰紐のゆるさを毎回毎回指摘され「そんなにゆるいのかな」と、驚きました。自分ではまあまあ締めていたつもりだったのですが、全然足りなかったみたいです。 おへそのあたりで腰紐をなるべく平らにあてたら、後ろの腰の部分で交差させたときに真横にぐっ!と引き締めること。前ではぎゅうぎゅう締めないで、でもゆるまないように結ぶこと。 こうすると、ぎゅっと締めても後ろは苦しくなく、むしろ姿勢がシャン!として気持ちがいいのです。 位置ですが、最初は締めて痛いのが怖くて、腰骨のところで結んだりしていたのですが、そうするとやっぱりずれがちになってしまって、もう少し上、おへそのあたりから少し後ろ上がりになるように締めるようにしたところ、安定しました。 この位置に結べるようになったのは、ウエスト補整をするようになったのも大きいかもしれません。補整がクッションになってくれて多少きゅっとしめても苦しく感じなくなりました。 適切な補整と、腰紐をしっかり締めることで、ぐずぐず着付けから卒業できました!(当社比) 後ろ姿、特に下半身が大変身しますので、おしりがたわむ、裾つぼまりにならない、はだけてきちゃうなんてお悩みの方がいたらぜひお試しください。 腰紐を制する者は着付を制す!(なんてオーバーでしょうか?) どうも襟元や裾がぐずぐずしてしまう方も、胸紐や伊達締めなど他の紐はぎゅうぎゅうする必要はありません。腰紐の締め具合がもしゆるかったら、位置や締め方を変えてみてはいかがでしょうか? そして、やはり腰紐をいい位置にきちっと締められると、姿勢がよくなります。やはり腰は姿勢の要なんですねー。 最近よく、おはしょりがまっすぐなる裏技として腰紐をナナメに結ぶやり方を見ますが、腰紐は体の要にもなる部分なので、よい姿勢、体がゆがまないためには平行に結んだ方がよいと思います。 このあたりも好みなのですが‥‥。もちろん、ゆるゆるゆったり着付けが好きという方はそれでもいいのです。自分の目指すきもの姿にあわせて、うまくいかない原因をつきとめたり、やりかたを考えたり、いろいろな工夫をしていくのが、これまた楽しい。 昔は着付け教室で習ったままに、そのままやるのがいいと思ったこともありますが、人の体も好みも違うわけだし、いろんなやり方にトライして自分にあったものをチョイスしていくのがいいんじゃないでしょうか。 また、以前は大丈夫だったことも、年齢とともにだめになってきたり。そんなこともあります。自分にとってのベストを常に、探す楽しみを忘れないでいたいな~なんて腰紐の話から脱線してしまいましたが、もうすぐ春! 気に入ったきもの姿ときこなしでおでかけしたいですね。

<極力そのままリメイク>お袖2枚で三角トートバッグの巻

星わにこ
2021/02/17 00:00
先日作った道行ラップスカート 早速うきうき履いてでかけようとしたところ、正絹の袷でやや重めなのかやはり小さなホック2つではウエストに止まりきらん。すぐ外れるばい(私の腹圧がありすぎという話も)ということで、どうしようかな~と思っていたところ、友達がロックつき前カンという秘密兵器を送ってくれました。 前カンとは、スカートやパンツのウエストのところについている、ジッパーをあげてからよいしょっと留めるあの金具のことです。皆様ご存知かと思いますが、もうウエストゴムの衣類と着物で生活してるとどんどん洋服に疎くなってしまって、思いつきもしませんでした! ですよね~~いりますよね~~。 ということで早速とりつけて、外れて落ちてドリフのコント(昭和)みたいなこともなく快適に履けております。ありがとうございます! この他にも紐をつけて結ぶようにすれば調整もきいていいよ、というご意見もありなるほどと思いました。肩の部分の余り布でちょっと幅広のリボンのような紐を作り、ウエストに取り付ければアクセントにもなって素敵ですよね!! 私がマメで器用なら‥‥(汗)というわけでこちらの案は、器用な方ぜひ採用お願いします。そして見せて☆ と、前置きが長くなってしまいましたが、道行ラップスカートを作ったあとに、ポロンと袖が2枚余ってしまい、これをなんとかできないものか眺めていたのですが、できるだけ縫うとこ減らしてなんとかしたい。。。。でもなんか作りたい。。。 そう思って作ったのがこちら! 袖を2枚くっつけてバッグにしちゃったバッグ(なんだそれ)。 芯などもいれてないので、くったりとしたかんじが優しく、上側の端を内側に折り込めば、ちょっとかわいい三角形になります。 もう、持ち手さえ縫うのが嫌だった私(どんだけ)、取り外しのできるバッグの持ち手というのがあるのを知り、採用!!! あとは、袖口側を一旦全部解いてぐるりと表地と裏地を縫い合わせ、袖を2枚重ねてコの字型に縫い合わせてひっくり返すだけ。 ここでかなりの厚みがあるので、手縫いだと手がかなり痛いかもしれません! 私はミシンで無理矢理縫いましたが、最後に針が折れました(涙) それが難といえば難ですが、3つのポケットがある、袋状の物体が出来上がります。あとは取っ手をパチンパチンと好きな場所にとりつけるだけ。手数はかなり少なくてバッグの形になります!(なにがしたいのか) メインの袋部分は1つですが、外側が二重になっているので、ちょっとしたものを分けて入れたりすることもできます。やっぱり正絹、手触りもよくてなかなか満足なできあがりになりました! サブバッグとしても活躍しそうです。 あと今回初めて知った、取り外しのできる持ち手は、他にもいろいろ活用できそうです! なんとか楽ができないものかといろいろ知恵をめぐらすことも、勉強になりますねえ(そればっかりもどうかとは思いますが)。 今回どうしても2枚でなんとかしたいと思ったのでこうなりましたが、袖1枚で1つのバッグにして2つ作ってもいいと思います! ちょっと薄手なので、たよりないかもしれませんが、エコバッグにはいいかも! もし道行スカートつくってみたわ!という方がいらっしゃったら、残りのお袖の行く先の参考になれば幸いです。 関連記事:羽織の袖で作ったバッグの話はこちら

昭和・平成・令和☆着物スタイルの変遷考の巻

星わにこ
2021/02/10 00:00
いつも、着物はボディを寸胴にしたほうが布が体に添ってキレイに着られます! 胸やヒップが目立たず、まっすぐなI(アイ)ラインを作った方がスマートに見えます。だから補整は大事です、と言い続けているワタシですが、先日、でも昭和の女優さんの着物姿とか帯は胸高で体もすっごくカーブしてますよね?と質問されました。 そうなんです。昭和中期のきもの雑誌を見ますと、今と全然着付けもモデルさんのポーズも違っています。流行、ということもあったと思いますが何を目指して着付けられていたのかということがまず違ったのではないでしょうか。 着物が生活に根付いていたこの頃は「着物だって、洋服と同じように足長でほっそりスタイルに見えたほうがいい!」ということがまずありました。だから、モデルさんの立ち姿もまっすぐ立つのではなく、ひねりを加えたり足を曲げたり。帯もウエストに食い込むような形で、ヒップのまるみも感じられる着付けです。 この頃の雑誌「美しいキモノ」や「きものと装い」(主婦の友別冊)などを見ても、特集で「温泉旅行にいったらこんな装い」とか、「夫婦でデート」などなど、様々なシチュエーションでの着物姿が紹介されていますし、自分で作る着物の小物やうわっぱりの製図など、まったくの普段着というよりはちょっとよそ行きだったかもしれませんが、日常に着物姿があったことがわかります。私(50代)がちょうど子どもの頃。祖母は着物が当たり前、母の世代もお正月や卒入式、なにかがあると着物を着ていた世代で、着物になじみがある人も多いでしょう。 もともと、礼装は昭和の時代でも、動き回ることが前提ではありませんから、この頃から美しくシワなく着るという傾向がありました。特に戦後に着物が着られる人が減って行く中での着付け教室などによる「着物のルール」が厳格化していく中で、いろんなしばりも生まれていき、着物離れはどんどん進んでいきました。 それが決定的になったと感じられるのがバブル時期。普段に着物を着ることがほぼなくなってきたときに、着物を「冠婚葬祭の必需品、高級品」として販売した呉服業界によって、着物は日常生活から切り離されてしまいました。このころ創刊されたのが「きものサロン(現在のきものSALON)」。女優さんたちが美しく、一分の隙もなく呉服屋さん提供の高級呉服をモデル仕立て(本仕立てではない)で着ていました。それもあって、ポーズに動きがなくなっていきました。それはそれで絵のようで美しくはありますが、これは日常生活では再現しにくい美しさといえます。 もちろん着物を愛して、普段に着ていた人もいますけれど、本当に少なかったのではないでしょうか。雑誌でも、普段に着物を楽しもう、というよりは、高級なものをいかにシワなく美しく装うかというようなところが主眼だったような気がします。このころの雑誌の着物や帯の値段を見ると「ひっ」と思うような金銭感覚です(笑)。当時20代だった私は、着物に憧れて着たいなと思っていましたが、着物一枚に帯三本なんて呪文のように言われ、言われるがままに着物を買って行ったらどうなるの?と不安にもなり、着物を一旦諦めた思い出があります‥‥。 また少し流れが変わってきたと思うのが平成中期。平成14年の「KIMONO道(後のKIMONO姫)」16年の「七緒」創刊。リサイクル着物やアンティーク着物などを安価におしゃれに楽しんで着ようという流行がやってきたのです。当時古着などで本当に安価に手に入った着物。この頃、バブルを知っている身としては「えー!着物500円とかどういうこと!?そしてこんなに自由でいいの!?」と、楽しさに再開眼して、どっぷり着物沼にはまったワタシ。 東京では、本当にこの15年で普段に着物を楽しむ人の姿が増えたなと実感します。着付教室や呉服業界リードではない、「やっぱ着物着たいじゃん!」という普段着物の流れ、そして着物を着るうちに「いいものはいいよね」と知る、伝統の技もあり。新しい素材の普段着物あり。またやはり、ここでリバイバルとでもいいましょうか、あの足長でヒップのまるみが感じられる曲線着付けが戻って来ているようにも感じます。 ただ言えるのは、曲線着付けが戻って来たからといって補整が必要じゃないわけではないということです。足長着付けは胸をかなり抑えないと難しい。あと、年齢にふさわしいかどうかというのもあります。ここも、個人差があるとは思います。 普段着に関してはここに正解はなくて、自分が「どんな着姿」が理想なのか、ステキ!!憧れ!!なりたい!!と思うのかが最優先事項。人がどういおうと、自分が着たいように着ればいいし、なりたい着物姿に、補整するしないを含めて、寄せて行くことが一番いいんじゃないかなと思います。礼装はまた、別ですけれどね。 今はYoutubeなどもあり、いろんな人のいろんな着付け方法が見られる時代。正解はないからどんどんいいとこ取りして、自分なりのきものスタイルを見つけていけばいいんじゃないかなと思っております。せっかくこの時代に「着物を着よう」という物好き(笑)な仲間は、間違い探しをするより、お互いリスペクトして大事にしたいですよね。 昭和から一般人として着物を眺め続けて来た体感はこんなところですが、うっかり年寄りの繰り言みたいになってしまい、長文となってしまったことお許しください。こうして書いてみるとやだー!もう半世紀も過ぎちゃったわ!と驚き。でもまだまだ人生長いと信じて、いろいろなことを決めつけず、楽しむ気持ちを忘れないでいたいと思います! 皆さんもいろいろ教えてくださいね。

道行をラップスカートに!ちくちくリメイクの巻

星わにこ
2021/02/03 00:00
リサイクルきもののイベントで、すごく素敵な着物のリメイクスカートを履いている方がいて、思わず声をかけたら「これ? 作るのめちゃくちゃ簡単なのよ!」とおっしゃる。 またまた‥‥。お裁縫が得意な人の「簡単」は、私信じないことにしてるんです‥‥って思っていたんですが、説明を聞いたらめちゃ簡単な行程でした。 道行の袖を外して、衿の横部分を活かして、その上で縫い代分残してまっすぐカット。三つ折りにしてゴムが通せるように縫うだけ。道行の前であわせる部分がそのままスカートの前面にきて、くるみボタンがついたとてもおしゃれなラップスカートが出来上がる!という寸法。 確かに‥‥よく見ると道行そのままの形が活かされています。手ぬい作家の髙橋恵美子先生の本に掲載されていたものだそうです。 作り方があまりにも簡単だったので、私にもできるかも?と思ったっきり忘れていたのですが、先日仕事場近くのリサイクルショップを覗いたら、セールで道行が300円で売られていたのです‥‥。状態もとてもヨイ。そこで思い出しました。ラップスカートのことを。300円なら失敗しても辛くないと思い、早速挑戦してみました まず袖をはずして、図の1の部分をカットする。(私は7センチくらい縫い代のつもりで残しました)図の2の部分が袖付けと身八つ口の部分で割れてるので、縫い合わせます。器用な人はポケットにしてもいいかもよ。 内側に三つ折りにして、ゴムが通るようにして手縫いでちくちく縫い、ゴムを通せばもうできあがり。ゴムの端は、縫い留めました。 もともとの道行のお仕立てがとてもいいし、切るときドッキドキしましたが、本当に履き心地のいいスカートができあがりました。正絹のしっとりした感じが気持ちよく、またほんとうに暖かい。 でもお洗濯はクリーニングに出すしかないかな、と思ったけど、なんとなくいけそうな生地だったので、カットして残った、肩の部分を試しに手洗いしてみました。あまりシワにもならず、脱水してすぐにアイロンをかければ問題なさそうです。 このあたりは道行の生地、裏地によって違うと思いますので、もし手洗いしてみたかったら、余った部分で手洗いテストしてみてください。 今、残った袖でバッグが作れないかな、なんて考えています。羽織の袖でバッグをつくった時と違って、衿部分の布がないから違う形がよさそう。 こういう縫うところが少ないリメイクなら私もまたできるかも? おおざっぱな私は想像だけで適当ざっくりに作ってしまいましたが、ちゃんとした道行スカートの作り方手順が知りたい方は、髙橋先生の本をおすすめします。 「簡単 手ぬいで素敵に作れる 着物リメイクの服と小物 色・柄・素材を生かすアイデア」 高橋恵美子(著/文)家の光 ステイホームでちくちく手縫い、ちょっとはまりそうです(単純)。