自分温度で単衣を着よう!の巻
星わにこ
2019/04/24 00:00
先日まで寒い寒いと思っていたら、急に暖かくなりましたね。一度ひいた風邪が抜け切らないわにこです。ちょっと身体が緩んだかな~と思ったのに、GWにはまた気温が下がりそう‥‥。一体なにを着たらいいの、と迷っちゃいますよね。
洋服は、気温で結構フレキシブルに対応するけど、着物だとつい「袷はいつまで‥‥」なんて決まりを気にしてしまいますよね。でもそんなことを言っていると、暑くてしんどい思いをする羽目に。
大体は、肌着や襦袢からどんどん涼しい仕様にしていきます。素材を変えたり、嘘つき襦袢を活用したり。
私はフォーマルでなければ、最高気温24℃を越える予報が出たら単衣を着る目安にしています。胴抜きにすることもありますが、透けない単衣なら見た目もそんなに変わりはありません。でも着心地はぐっと涼しい。裏地がない分、1枚脱いだようなものですから。
とはいえ、朝晩はぐっと冷え込んだりもするので、大きめのショールを持ち歩くようにしています。とりあえず、くびまわりが暖かいだけでも違いますよ。本来は袷の季節、まだまだ油断できないので、各々がた、ぬかりなく。
この24℃というのは、あくまでもわたしの目安。暑がりさん、寒がりさんはそのあたりを考慮して、自分の快適切り替え温度を見つけてね。だいたいこのへん、と思っておくと着るもの選びで迷う時間がぐっと短縮できます。
こうしてどんどん暦を気にしないで、気温で着るものを決めて行くと、単衣の出番は、意外と多いのです。6月と9月だけなんて、もったいない。4月後半から10月頭くらいまで、暑い日には大活躍です。
もちろん、肌寒い日もまだまだありますから、そんなときは袷の出番です。先日最高気温22℃くらいのとき、取材があって夏の着物を着たんですが、やっぱり寒かった(笑)夏着物は暑い暑いと思っていましたが、さすがに涼しいものなんですね~。やはり気温に合わせてチョイスしたほうがいい!と思い知りました(笑)
なんというか、このごろは春がなくて、いきなり冬から夏へ!みたいな気温の変化ぶり。4月から真夏日も珍しくありません。もうね~令和になりましたら、衣替えのルールもぐっとフレキシブルにしたほうがいいと思うんですよ。なんだかんだ言って、寒いのに夏着物を着たら寒いわけですから、そこらへんは心配しなくてもぐちゃぐちゃにはならないと思うのは私だけでしょうか。
結ばない帯結びも流行っているし、また着物のあるべき姿も変わっていくのではないかな~と思います。カルチャーやお洒落は、こうでなくてはならない!と言った途端に、硬直して死んでしまうもののような気がいたします。
私自身は、きっちり着ることが好きで、崩して着るんなら無理に着物じゃなくてもいいなという好みの持ち主なので、あまり冒険もしないんですが、こだわらない、自分に快適なお着物生活を、みんながそれぞれできる時代になるといいなあ。平成最後のコラムは、こんなかんじで締めてみます。キリッ。
今欲しい!二部式雨コートと晴雨兼用傘の巻
星わにこ
2019/04/17 00:00
先週から行われていた松屋銀座の「七緒の和トセトラ」に行ってきました! 銀座いち利さんも出店されていたので、早速突撃。
いつもはいち利モールのバーチャル試着室で、妄想を羽ばたかせて楽しんでいる私ですが、今回は、リアル妄想コーデに挑戦です(なんだそれ)。
あれこれステキなものの山の中、気になったものを2つご紹介します!
その1:晴雨兼用傘
とにかく天候不安定な今日このごろ。雨なんて、聞いてないよ! ということもあります。着物で出かけるときはやっぱり天気は気になりまくり。これからの季節、紫外線も気になるし、日傘にもなる晴雨兼用傘は持ち歩きたいところ。
5月が1年で一番紫外線が強い時期だそうです。新しい傘で今年は美白美人!&雨にも余裕で対処したいっっっ!! いつまでも濡れないからという理由でどうしてもそこに落ち着いてしまう、70センチの透明ジャンプ傘から卒業したい!
どうせなら、軽いもの、オシャレなもの、ある程度大きいものがほしいところ。と思っていたところにピッタリの商品がありました。
東京ノーブルの晴雨兼用傘は、大きいサイズで軽くて、タッセルつき! 房スキーとしてはたまりません! 柄もいろいろあって迷っちゃうほど。大きい長傘タイプか、持ち運びが楽な折りたたみか、悩みまくり。結局買うならテンションがあがりまくる、スカーフ柄の長傘かな~と選んでみました。あーでもやっぱり折りたたみも‥‥(どっちやねん)
その2:二部式雨コート「楽雨」
あの楽雨シリーズの新柄、今度はピンクとネイビーの二色です。ドットの地紋が可愛い! 以前のものよりさらりと軽量になっているかんじ。ピンクを試着させていただきましたが、雨の日でもテンションあがりそう~!
雨コートはずっと一部式を愛用しているのですが、もう何年使っているの?と思い返してみたら、かれこれ7、8年。そろそろ新しいのを買ってもいいかなと思うのと、二部式の上だけをコート代わりにして、下だけ持ち歩くとか、エプロンがわりに下だけ使う、とかそんなこともしてみたいと考え始めました。持っているのにまだ欲しい。だってタイプが違うんだもん‥‥と。人間とは欲張りなものです‥‥。
もうさ、傘も雨コートも、どっちも持ったらいいじゃない! という気分になってきました。正直、雨の日スタイルも、毎度同じだと飽きるんですよね~。本当に着物沼って深い。どこまで行ったら満足するんでしょうか? 悩む時間があったら、さっと決めてしまったほうがいいのに、と毎回思うんですが、なかなかできない優柔不断なわにこなのでした‥‥。
あまりに店頭で唸っていたら、試着させていただけました! ありがとうございます!
見ただけではわからなかったのですが、楽雨の下の裾よけのほうは、紐が途中ゴムになっていて、結ぶとすごいフィット感。紐の結び目を少し下のほうで止めると裾がはだけにくいんだとか。こういうお話も、直接聞けるのが嬉しいですね。あと、生地もテカテカしてなくて上品で、雨コートとしてだけでなく、ちりよけとしても大活躍しそう!
これならめちゃめちゃ明るい気分で、紫外線対策&雨の季節も乗り切れそうです。サイトの試着室での妄想も、誰にも迷惑をかけず(笑)バーチャルショッピングをニヤニヤと楽しめて大好きなのですが、やっぱり実物を見られるショッピングは楽しいですね!!
疑問点も聞けばすぐに解決するし、たまにはお店に足を運ぶのもいいなあと思った次第です。お話きかせてくださった店員さんもありがとうございました! さて、どのアイテムを入手するか、それが問題だ(まだ悩んどったんか~い!)
糸の飛び出し、ひっかけ直しに補修針!の巻
星わにこ
2019/04/10 00:00
桜のお祭りのようだった先週とはうってかわって、花散らしの雨が降ったり寒かったりな東京です。3月末からずっと卒業式、入学式、春休みの家族写真撮影と、ずっと着付のお仕事をさせていただいていたのですが、お祝いのお支度は幸せを分けていただけるようで本当に楽しいです。
さてさて、皆様はうっかり何かにひっかけて、生地の糸が飛び出しちゃった!なんてことはありませんでしょうか。ひっかけた覚えはないのに、ぴょんと飛び出した糸やループ。帯なんかで、よくありませんか? あ~なんて、指で撚ってみたりしても、ひっこむわけもなく‥‥。
かといって、はさみでチョキンと切ってしまうと、そこからほつれたり穴が空きそうで怖くてできなくて、そのままにして、忘れてまた次に締めたときに、あっ、そういえば糸が飛び出してたんだよね‥‥なんて繰り返し。
上手く直らないものかな、と思っていたら、ほつれ直しの補修針というものがあることを知りました。使い方は簡単で、ほつれやひっかけで糸が出ている根本の部分に、針を差し込みます。針の先端は、細いけれどもボールポイントといって、丸くなっているので生地をいためないそうです。針の太いほうが細かいヤスリのようになっていて、そこにほつれた糸がひっかかり、針を裏側に引き抜くと、一緒に裏に抜けるのだとか。
へえ~とは思ったのですが、そんなに上手くいくのかななんて思いつつ、ネットで検索してみると何種類か違うメーカーさんから出ている模様。和裁(というほどでもないけど)するときお世話になるみすや針から出ている、その名も「ほつれのん」というベタなネーミングのものを購入してみました。
早速試してみると‥‥帯地だったためか、ちょっと引き抜くのに力がいりましたが、おおおおお!! ほつれが裏に移動して表地はなにもなかったかのように! 糸も切ったりしないので、ほつれが広がったり穴があいたりする心配もありません。
あまりに何事もなかったかのようで、ずっとずっとそのほつれが気になっていた日々がばかばかしく思えます。もっと早くやってみればよかった! すごいぜ補修針!
うれしくなって、猫にひっかかれてループ状に糸がとびだした布地のバッグとか、半衿とか洋服とか、思いつくものをいろいろ試してみたら、どれもこれもすっきり。素晴らしい~~(><)
あまり出番は多くないかもしれませんが、お針箱に必携ですね! もし御存知ない方、使ってみたことがない方がいらっしゃったら、気になるほつれに補修針。ぜひ試していただきたいスッキリ感でした!
新元号「令和」と白大島の二部式着物?の巻
星わにこ
2019/04/03 00:00
まさに「花冷え」という言葉がぴったりの今日このごろ。桜は満開だけど、とにかく寒い(><) そんな中、新しい元号が発表になりましたね。
万葉集にある歌の序文「初春の令月にして、気淑く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫らす」からとって「令和」。最初聞いたとき、へえっ!と思いましたが、あっという間に慣れてきました。初めての国書からの引用とのことですが、元は漢詩から来ているのではないの? などいろいろ思うところはありつつ、素敵な元号に決まってよかったです。
令と聞いたとき、令嬢の令、と思った私。令月(よい月)の令だったのですね。字の形やイントネーション、アクセントは何が正しいのか、なんて話題もありますが、「決まりはない」というのが内閣府の見解です。ほんとほんと、それぞれの解釈でいいと思います。この場合、望ましいのは「自分と違う解釈をdisらない」ということだと思うのです。それが「和」だと思います。
さてさて、その元号を決める有識者会議に出席する、宮崎緑・千葉商科大学教授の着物姿も話題になっていましたね。白大島に、袖無し羽織姿ですが、帯が見えない。あの襟元の雰囲気からして二部式着物(セパレート着物)なのかなと思います。フォーマルな場所にこの着姿。好みはおいといて、いいぞもっとやれという気持ちです。着物警察が白目をむくような全てにおいての逸脱ぶりが素晴らしい! きっと新時代を感じさせるためのチョイスなのでしょうね。
映像を拝見した限りで私なりの知識で解説しますと、まず大島紬は高価ですが、紬なのでフォーマルな場所には着ない、というのが通常です。特にお召しの白大島は、大島紬親善大使もなさっているというお話ですし、下世話ですがかなりのお値段ではないでしょうか。まずはそこからズバっと外してきています。
次に二部式着物。いわゆる簡易な着方となります。帯をしないのでとっても楽ちん。二部式着物の愛用者は昔から一定数いますが、洗える二部式着物=飲食店の制服が一番ユーザーが多いイメージです。一見着物ですが、いわゆる着物とは全く着方も異なります。
そして袖無し羽織。羽織は紋付だとフォーマルになりますが、袖無し羽織はお袖がない分、気軽に羽織る防寒、ちりよけのような感じになります。お寺の奥様や呉服屋さんの女将さんが作業時や防寒に黒い袖無し羽織を着ていたり‥‥そんな印象でしょうか。あとはご隠居さん?
男性は、陣羽織のイメージでよく着ている方がいますが、こちらも着物だけではなく、作務衣とかにあわせたり、割に気軽なイメージです。
まあ、とにかく晴れの場に出る着姿としては、いわゆる常識から「これでいいのかしら?」と突っ込むどころか、あまりにすべてをズバズバ度外視してきているので、どこから突っ込んでいいかわからずしっぽを巻いて退散するしかないレベルです。実に痛快です。
どうせだったら、林真理子先生も、ばーんと志ま亀の着物とかでいらしてくださればもっともっと着物が話題になったのになと、惜しい気持ちでいっぱいです。オーソドックスな着こなしをされる林先生との対比がものすごく楽しそうです。「着物ってこんなにいろいろあるんだ!なんでもいいんだ!」と注目されたんじゃないでしょうか。内閣府にも「どちらでもいい」と言っていただきたかったところです。まあ、そこがメインの話ではないわけですが。
珍しく時事問題(?)に斬り込んでみましたが(笑)、いやほんと。新しい令和の時代には、なにが正しい、間違っているという窮屈な枠を外して、違う価値観を尊重し、世界と仲良く、和を持って尊しとなす、そんな風に生きられるようになってほしいですね。残り1ヵ月を切った平成の時代。あの、怒濤の昭和の終わりを知る人間としては、生きているうちに譲位され、混乱なく新しい時代を迎えられるよう決断された今上天皇に心より感謝して過ごしたいものです。
令和の時代。着物はいったいどうなっていくのでしょうか? いやぶっちゃけ最低限の礼さえ失しなければ、みんな好きに楽しく着たらいいですよね! 過度な「決まりはない」時代になってほしいです。ほんとに。