真綿パワー恐るべし!「ねこ」を背負ってあったか着物ライフの巻
星わにこ
2015/01/28 00:00
大寒過ぎ、少し寒さも緩むのかな‥‥と思っていたらまだまだ冬将軍は居座りそうですね。寒い! 布団から出るのが辛い毎日です。
最近、家にいる間中背負っているのが「ねこ」。動物の猫ではなく、長野県南木曽町で作られている防寒着の名前なのです。木綿綿や真綿の入った長方形の薄い布団のようなものを背中に背負う形です。半纏の袖も前見頃もないバージョンとでもいいましょうか。亀仙人の甲羅が平らな状態です(余計わからんわ!)
いつぞや田舎の叔母が着ていて「そんな背中だけなんで本当にあったかいんかいな」と思ったのですが、これが暖かい!! しかも、袖も前見頃もないので全く動作の邪魔にならず、背負っているのを忘れるほど。すっかり忘れていて、ふと鏡を見てびっくりしたり(笑)
昨年、キモトモのお母様の手作りのねこを譲っていただいたのですが、もう手放せなくなっております。今こうして原稿を書いている間も、背中にはねこです。
上から上着を羽織ると、一層暖かい。おうち着物のときなど、羽織の下にねこを背負うとぽかぽかです。感覚としてはダウンインナーのようなかんじですが、背中だけ、というのがミソなんですね。
背中側の首の付け根のあたりに「風門」というツボがあり、ここはまさに「風邪の門」。風邪の引き始めなど背中がゾクゾクするあたり。ここを温めてあげると、風邪を寄せ付けないそうです。着物の時は、帯があるので腰のあたりは冷えないのですが、首筋から背中の上部が結構手薄。ねこは強い味方です。腰のあたりまで覆うので、本当に温かい!
着物、洋服の上に着るとこんなかんじです。(友情出演:キモトモ&猫)
「ねこ」と似たものに「背負い真綿」があります。布でくるんであるものと、ただ真綿をのばして下着や服の上に置いて、衣類の間に挟んで使うものがあります。挟むだけ? と思いましたが意外とこれがずれないんですね。
真綿は小さくちぎってのばして足袋や靴下の先にいれると暖かいですし、ひじやひざなどにあてる方も。持っているだけでじんわり温かさを感じます。布に挟めばまさに繊維の天然カイロ!
「綿」の素材も木綿綿、ナイロン綿などいろいろありますが「真綿」はシルク100%。軽く、光沢があり保温性も高く、消臭抗菌効果まであるというまさに綿の王様やぁ~なのです。
昔は冬の着物にはこの真綿を薄くのばして入れて防寒にしました。春になると綿を抜いたことから、四月一日と書いて「わたぬき」と読む苗字がありますね。絹は布としてだけでなく、綿としても日本人の生活に密接に関わっていて、半纏や布団だけでなく、いろんなシーンで大切に使われてきたもの。
キモトモが、着物の上に着る道中着型のコートにこの真綿をいれたものを着ていて、本当に素敵でした。もっとこういうタイプの着物コートがあってもいいのにな~。
布団は羽根布団。防寒着はダウン。な現代ニッポンではありますが、ずっと使われてきた防寒の知恵、真綿も見直してみたいなと思っている、わにこ(背中にねこ)でした。
鬼も逃げ出す!?妄想の節分ラッキーコーデの巻
星わにこ
2015/01/21 00:00
もうすぐ節分。お正月が終わった途端にスーパー等のディスプレイが一気に節分仕様になり、恵方巻きが気になり始めます。「その年の恵方を向いて食べるとよい」という恵方巻きですが、もともとは大阪の風習を1990年代に大手コンビニがとりあげたのが全国に広まったきっかけのようですね。まあ、美味しいので食べてもいいかな~となんとなく食べたり食べなかったりしているわたしです(流されやすい)。
節分に邪気を払うという行事自体はとても古く、中国には二千年以上昔からあったとか。日本には八世紀に遣唐使が伝え、また日本の宮中での儀式と融合して、民間にも広まっていったようです。
豆は「魔目」に通じ、鬼の目つぶしができるのだとか。
地方によって様々な風習がありますが、私の生まれ育った岐阜の山奥では「鬼めくり」というものがありました。節分にはヒイラギやアセボの枝とイワシの丸干しを玄関に吊るし(トゲと生臭い匂いで鬼を撃退)、家の中では、豆を炒り、ヒイラギやアセボの葉を燃やしてパチパチと音をたてて鬼を払います。
また、鬼の絵を描いた板や紙を戸に貼ります。鬼の首と、点々を13個(うるう年は12個)、五芒星を書いたお札のようなものです。鬼はたくさん数を数えられないし、五芒星で方向を迷い、家に入ってこられないというまじないです。
子どもの頃は、夜になるとこの鬼の札を近所の家にめくりにいきました。お父さんのあとをついて家中豆まきを済ませたら、さあ出発。鬼めくりにいくと、そのおうちの人がお菓子をくれたりします。ハロウィンみたいですね。いろんな鬼をたくさん集めて、次の日には学校で枚数比べ。
思い返してみると、せっかくのお札はがしたらいかんのでは? と思うのですが、これが子どもの「鬼退治」だったのでしょうか。寒い寒い夜、滅多にできない夜の冒険、子どもの頃の楽しみでした。そして、やはり鬼の絵が上手な札があると盛り上がります。私の曾祖母(104歳まで長生きしました)がこの鬼めくりの絵を描く名人。筆でさらさら~と描くのがマジで怖い!!! 本当に鬼を追い払ってくれそうな鬼(?)でした。懐かしいです。
さていつもながら前置き長くてスミマセン! そんな節分ですが、まさに季節を分ける日。一番寒い時期ですが、この日が明ければ立春。暖かい春に向かってのけじめの日なのです。
季節の変わり目に現れるという邪気や鬼やらい(払い)をして、明るい春になーれ! そんな妄想コーデをしてみました\(^O^)/ じゃーん!
http://bit.ly/1CJ6pBs
この季節にうれしいほっこり米沢の真綿紬。明るい色で春待ち気分と、格子柄で豆を入れる「升」をイメージ。帯はころころ転がる豆みたいなドットが可愛い九寸名古屋帯で。
半衿は刺繍で鱗文様が。鱗文様は厄よけで有名な文様ですね。帯締めも市松で升のイメージ。クリスマスのとき使ったヒイラギの帯留、使ってもいいですね! 帯揚はミヤコレの「こんぺいとう」。子どもの頃もらったお菓子を思い出してみました。
そろそろ自分の年の数プラスワンのお豆を食べるのが厳しくなって参りましたが(><)、今年は頑張って食べてみようかな。ココロの鬼退治して、よい春を迎えましょう!
雪が降ったらどうする!?雪対策の巻
星わにこ
2015/01/14 00:00
寒いですね! 今年の成人式は、東京は気温は低かったものの本当によいお天気でしたね。新成人の皆様、おめでとうございます。関係ない私ですけども、まだ記憶に新しい二年前、大雪で大変だったことを思うと、ほっとしました。親御さんたちも、感慨深いものがあったのではないでしょうか。
でも、雪が降った地域もありましたね。雪の日の振袖も、見ている分には風情があって美しいものですが、寒かったのでは。またお手入れのことも想像するとドキドキしてしまいます(^^;)
どうしてもというのではない場合。雪が降った日は着物はあきらめたほうがいいのでしょうか? いえいえそんなことはありません。基本は雨の日対策と同じ。足元の工夫と、防寒対策さえしっかりすれば雪の日でも着物は楽しめます。
防寒対策は、とにかく首、手首、足首をカバーして。着物は重ね着ですし、帯まわりも暖かいですから、下着を着込んでしまうと暖かい室内で暑い思いをすることも。マフラー、手袋、アームカバー、膝下の足袋下タイツなど着脱可能なもので調節するとよいでしょう。
外で過ごす時間が多い場合は、使い捨てカイロを持ったり帯にはさんだりもよいです(これも貼るタイプを背中などに貼ってしまうと暑くなったとき困るので、取り出せる場所に)。
雪対策としては、着物が濡れたり汚れたりしないように、雨コートを着て(二部式なら下だけでOK)、その上から防寒のコートを。もしくは、道行き等を羽織った上から雨コートを着ればOK。気温と相談してプラスマイナスしてください。
寒くてサラサラの雪ならまだよいのですが、ボタ雪や溶けかけで泥はねが懸念される場合は裾をまくっておくか、洗える着物にしてしまうのもテ。
そして足元ですが「雪国の草履」といえば、憧れるのが「アザラシの毛皮の草履」です。アザラシの毛皮は撥水もしてくれ、暖かいのだとか。見た目もゴージャスで暖かそうです! 他にも、底の部分に凸凹加工がしてある、雪でも滑りにくい草履もあるそうです。
ですがですが。雪国の人に聞いてみたら「つま先も足元も寒いし、着物でもブーツはいて移動して、会場で履き替えるよ。普段着だったらそのまま」とばっさり。あ、ですよねー。
荷物は増えちゃうかもですが、一番賢い方法かも。車移動や、クロークがある場所へ行ったりするのであれば問題なし。着物=草履&下駄、と決めつけないで、状況を見て判断するフレキシブルさが大切なんですね。
ついつい着物はお約束がたくさんあって、正解かどうか答え探しにやっきになってしまう部分がありますが、ハードルをあげすぎて着ること自体を止めてしまうよりは、少し外れたってなんだって、着て楽しむ、お洒落をする、そういう気持ちのほうを大切にしたいなと、思う年のはじめでした。
振袖を着るときは。しぐさ美人で差をつけよう!の巻
星わにこ
2015/01/07 00:00
皆様、どんなお正月を過ごされましたか? あっという間に仕事始め。どうぞ本年も変わらず御贔屓の程よろしくお願いいたします。
さて、いよいよ来週月曜は成人の日ですね。新成人の皆様、おめでとうございます。振袖を着る方も多いと思いますが、初めての方はもちろん、着物に慣れている方でもあの長い袖にはちょっと手こずるのではないでしょうか。「振袖を着た時にちょっと気をつけるとよいこと」をご紹介します。
話はそれますが(いきなりかよ)、わにこも20代の頃、着物熱がゴゴゴゴ‥‥‥と上がったことがあり、当時、振袖のきものムックで読者モデル体験をさせていただいたことがあります。そのときは「きものの立ち居振る舞い~正しい姿勢で、誰もが振り返るきもの美人に」というタイトルで、立ち方、座り方、階段の上り下り、車の乗り降り、手洗いなどなど、どうしたらいいかを教えていただきました。本誌はもちろん、アウトショットの写真もいただいて大事にとってあります(^^)
写真がモノクロなのは、カラー写真がまだなかったからだからじゃないです! モノクロページだったからです!(ムキになるのが‥‥w)誌面を見ると、緊張しすぎて三白眼になっているのが笑えます。
お茶を習っていたので、普通の着物には慣れていたつもりでしたが、振袖の場合、長い袖の扱いがけっこう大変で、知らない事が多く「え~そうなんだ!」と思ったものです。そのときも、今も、多分振袖を着た時の注意点は変わっていません。内容は去年のコラムとも重複するとは思いますが「振袖を着た時のしぐさ美人になる方法」をご紹介しますね。(前振り長くてすみません(^^;)
洋服と着物、特に振袖が大きく違うのは「袖」。袖の取扱いさえポイントを抑えればほぼ勝ったと言っても過言ではありません!
袖は思ったより長いもの。普段ないものがそこにあるわけなので、これに注意です。低い姿勢をとる時には引きずらないよう注意してください。
椅子などに座る時は、膝の上に袖を置き、床につかないようにします。また、物を落としたりして拾う時や、階段の上り下りのときにも両袖をまとめて片手で持ち上げます。イラストのように持つとキレイですよ。裾も踏んだりしやすいので、しゃがむ時などは少し裾を持ち上げます。
床や地面に袖や裾をつけて汚したり、姿勢を起こす時に踏んで破いたりしないように注意です(わにこ、これで袖の付け根を破ったことがございます(涙))。
また、物をとるために腕を伸ばしたり、腕を上にあげたりするときに、袖口を片手で抑えるとエレガント。ひじまでニョッキリ見えないように。
歩き方は、少し内股に、ちょこちょこ歩きしてください。手と足は同じ方を出すと、体をねじらないので着崩れにくいですよ。(いわゆるナンバ歩きというやつですね)
車に乗るときは、袖を持って、頭を下げておしりから乗って下さい。頭をごん!とぶつけてせっかくのヘアセットが台無しになるのが防げます。車のドアを閉めるときは、自分で閉めないで運転手さんに面倒でも閉めてもらえると着崩れが防げます。振袖のときはレディファーストで大事にしてもらいましょう。
あとは、着付をしてもらったときに、慣れていない人はトイレでどうしたらいいか着物の扱いを教わってくださいね。これ実は最重要事項です(^^;)。
振袖を着たときは、日本のプリンセスドレスを着ているんだ!という意識で、いつもとはちょっと体の動かし方、しぐさをゆったりとしてみてください。エレガントな大人の女性への階段を素敵に登って下さいね!
もちろん、オトナな方も、振袖のときはプリンセス。しぐさ美人で、振袖姿の魅力をアップしてくださいね。