毎年暑さが増していくような気がする夏。それでもやはり日傘に着物姿を見ると「涼しそう」と思うのは日本人だからでしょうか。
着ている本人は暑いのはよくよく知っているはずだけど、それでもそんな女性を見ると素敵だなと目で追ってしまいます。
花火大会に行く若い人の浴衣姿とはまた違って、大人の女性がびしっと夏着物や浴衣を着こなしているのを見ると、よくぞと夏着物を着る気概に惚れ惚れしますね!
そんな私はというと今年は週3着物を着るぞ!と宣言したにもかかわらず6月にすでに熱中症になりかけかなりペースダウンしている状況のヘタレでございます……。「いのちだいじに」作戦です。
先日もいつもの着物仲間と五島美術館の「極上の仮名 ─王朝貴族の教養と美意識─」に行くことになったのですが、安定の真夏日&体調イマイチということで洋服参加。でも、私以外の4名は着物姿で、本当に目の保養をさせてもらいました。

小千谷縮、綿麻、セオアルファとそれぞれ夏らしい華やかさ、涼やかさあふれる着こなしで、素敵100万点。
五島美術館はお庭も素晴らしく、照りつける太陽と木陰のコントラストの下を日傘で歩く姿は絵になるぅぅ!! 美とは、お洒落とは、健康あってこそ……! もう若い頃のような無理はできないし、これからますます衰えるであろう体力をちょっとでもなんとかしないとと切実に思いました。
そしてほそぼそと仮名書道を習っている身としては、本で目にしている古筆切の実物が!!これでもか!!と展示されているのに大興奮! 皆様と別れてしばしぐるぐると1000年前の紙と墨を目にする奇跡!!
特にこの3年ほど高野切第一種の臨書を続けているので、これが!!紀貫之様(推し)の書いたお手蹟!本物!!と、凝視しすぎて目が血走っていたかもしれません。印刷物では見ることのできない、料紙の雲母砂子のキラキラに気絶しそうに。

キモトモが「こんな手蹟(て)のお手紙をもらったらそれは惚れるわよね」と言っていましたがウンウンガクガク頷きまくり。
他にも藤原行成、公任、小野道風はじめ綺羅星のようなスーパースターズの書蹟がずらり!! そして表装の、使われている古裂の素晴らしいこと………。
「こんなに揃うことは滅多にありません」と館長さんもおっしゃっていましたが、弩級の感動でした。今回もキモトモに行こうよと誘ってもらって会期終わりギリギリに駆け込んだのですが(会期が終わってからコラムを書いてすみません……)、本物の持つ力に圧倒され、本や動画を見て分かったつもりになっていないで、チャンスがあれば自分のみたいものを見に行こう!という気持ちになりました。
着物に、仮名書に……目と心に栄養の夏の日でした。