岐阜の鮎菓子「若鮎」まるけの茶会をしたよの巻
星わにこ
2022/07/06 00:00
『若鮎』という和菓子をご存知でしょうか? カステラ生地に求肥を包んで鮎に見立てたもので、鮎漁が解禁される夏の時期に和菓子屋さんの店頭に並びます。
鵜飼で有名な岐阜が発祥と言われていて、この季節になると食べたくなるお味。阿佐ヶ谷のうさぎやさんで買った若鮎の写真をSNSに載せたら、岐阜の鮎菓子を持っていくからお茶会をやりましょう!と、岐阜の友人・鳴海彩詠さんから連絡が。
どうせなら、いろいろな若鮎を食べ比べしよう!ということになり、上京の日程にあわせて10匹の生鮎菓子を用意することに。
2人ではもったいないからと、友人たちにも声をかけて集まって、若鮎品評会兼お茶会を開くことになりました。題して「若鮎まるけ茶会」(まるけ、は岐阜弁で「だらけ」「尽くし」という意味です)。
我が家は和室でお茶の練習ができるようになんちゃってお茶室仕様にしてあって、コロナ前は先生に出稽古をしていただいてお茶を楽しんでいましたが、それもできなくなってはや二年以上。
単なる物置になっていたところを必死で片付けて、なんとか人をお招きできる状態に。茶道具も、どこになにを仕舞ったっけ? なにがいるんだっけ? という状態でしたが、なんとか風炉を設えました。
鮎がテーマということで、お軸も鵜飼、花入も鮎籠を用意してもらい、着物のコーディネートも水と鮎のイメージで。彩詠さんは鮎の帯揚げ(!)、私は一度もしたことがない鮎の帯をすることにしました。
当日はもちろん楽しいのですが、この用意する時間というのが、お茶の楽しみの一つなのですよね~。気の合う人とのやりとりも、本当に嬉しいものです。
そして迎えた当日は、お昼に本当の鮎と朴葉寿司、美濃の地酒『百春』をいただき、まずは干菓子で薄茶をいただきました。
その後、生の若鮎10種(!)を計測、美濃和紙の巻紙の上に並べて、みんなで食べ比べ。
どれもそんなに変わらないのではと思っていましたが、並べてみると意外とみんな個性的! 色も形も結構違います。
だいたい15センチ前後、40gくらいが中間値でしょうか。体長5センチのちび鮎から、特注で作ってもらったという、体長20センチの大鮎も(求肥は三倍!)
お味も、結構お店によって違うのです。皮も洋菓子ぽいものからどら焼き風、固め、ふわふわと個性があり、求肥も硬さや風味にそれぞれ特徴が。たくさん食べすぎて、順位などすっかりわからなくなってしまいました(笑)。
いただいた鮎菓子は下記の通り(順不同)
奈良屋本店「あゆ 」←皮は硬め、求肥は甘めでミルキー
関市虎屋「小瀬の若鮎」 ←やわらかふかふか、生っぽい求肥、どら焼き感
玉井屋本舗「登り鮎 」←皮はもっちり、蜂蜜入り求肥はねっとり
此の花亭「若あゆ」 ←スポンジカステラっぽいふわふわな皮、求肥はさらっとしている
岐阜虎屋本店「長良川あゆ菓子 」←洋菓子っぽい皮、柔らかい求肥、頭に求肥が少ない
甘泉堂本店「小さな小さな鮎菓子」←紫蘇入りの求肥 いろんな味がある
末廣屋本店「鮎 」←求肥が四角く、皮と独立したかんじ
仁太郎「あゆ」←しっかりめの皮、丸い胴体にゆず入りのぷるぷる求肥
豊寿庵「あゆ川 」←固めの皮、求肥は四角っぽくもちっと弾力がある
亀甲屋本舗「うかい鮎 」「うかい鮎特注20cm」←瓦煎餅ぽい薄い皮、甘い求肥 (特注の皮は厚い)
干菓子は
玉井屋本舗「やき鮎 」←歯応えがいい
奈良屋本店「かがり焼」←素朴な美味しさ
甘泉堂本店「サブレ 鮎ビーナス」←パッケージもレトロな洋菓子風
田中屋せんべい総本家「鮎焼き」(みそ入り大垣せんべい)←この発想なかった!固い!!
岐阜虎屋本店「香ばしい干菓子あゆ 」←見た目がクッキーみたい
山本佐太郎商店「あゆピー」←柿の種が鮎の形に!!
なんと贅沢な鮎尽くし!! ああでもないこうでもないとお味見するのが本当に楽しかったです。
食べきれずに自宅に持ち帰っていただいた分もあり、味の研究は宿題にも。ちなみに我が家では、高校生が丸呑みにして平げてしまいました(笑)
ほとんどが岐阜市内のお店ですが、わにこの故郷中津川の仁太郎のものも。やはり馴染みがある分、美味しいと思いました。今回は求肥のものばかりでしたが、餡が入っていたり、求肥に肉桂やしそ、ゆずなどで風味づけしてあったり、いろんなものがあります。
岐阜では、鮎菓子を買いまわるためのタクシープランもあるそうです。5月に東京駅で岐阜の鮎菓子が買えるイベントもあったそう。
夏の間のお楽しみですので、岐阜にいかれる方はぜひ本物の鮎と鮎菓子をお楽しみいただきたいです。また、ぜひお近くの和菓子屋さんで見つけたらお味見してみてくださいね。
めちゃめちゃ暑い日でしたが、久々に着物を着てお抹茶をいただき、お菓子を楽しみ、本当によい1日でした。お茶も着物も、簡単にといっても準備はいろいろ面倒で大変。でもその面倒で大変なのが、やっぱり大好きなんだろうなあ~と再確認した1日でもありました。付き合ってくださった皆様、感謝です。
Special thanks! 鳴海彩詠
Photo by 渡部瑞穂