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肌襦袢の衿は見せるの?見せないの?の巻

星わにこ
2023/02/08 00:00
また今週も着物の衿周りについてずっと考えていたわにこです(まだなのか)。といっても、掛け衿ではなくて、衣紋のほうですが‥‥。 皆様肌襦袢はどんなものを使っていらっしゃいますか? 私はたかはしきもの工房の満点スリップを愛用しているのですが、とても衣紋が深くくれているので、まず肌着が衣紋の内側でこんにちはすることはありません。 でも昔ながらの肌襦袢って、結構この衣紋のところが詰まっている形のものが多いです。ぐっと深く抜けているのは、花嫁さん用くらい。 なぜなら、今ほど衣紋を抜いて着なかったから。また見せて着る着方もあったから。 肌襦袢に細い衿(小衿)がついている場合は、その衿に沿って襦袢を着ることでストッパーになって衣紋が安定し、また汚れも防いでくれる役割を果たしてくれます。 その場合、ちょろっと小衿が見えちゃった、というようなことではなく、しっかりと衣紋の内側に小衿が沿って見えているように着付けます。 この小衿が綺麗に見えるように、小衿用の衿芯もあります。紐で結んで止めるタイプの美容衿と呼ばれるようなものは、この肌襦袢の小衿に衿芯を入れたところに沿わせるようにして安定させて使ったりします。 今は、この肌襦袢の小衿を見せて着るという着方をすることが少なくなりました。 また、昔より衣紋をしっかり抜く着方が増えたためか、この小衿のない肌襦袢やスリップ型の肌着が増えています。礼装などでは肌襦袢の衿は見えないように着付けることがほとんどです。 だから、小衿が見えていると「見えてはいけないものが見えちゃってる」みたいな気持ちになることもあるかと思いますが、そういう着方もあると心得ておくといいと思います。 この小衿がついている肌着を見せないように着る場合、衣紋部分をぐ~っと抜いて着てもどうしてもちょろっと見えてしまうことがあります。 見せるならしっかり見せる、見せないなら見せないというわけで、この小衿を取ってしまうと、はみだしが防げます。衿全部を取るのは大変なので、衣紋の部分だけを切り取って縫えばOK。 どうも肌襦袢の衿がこんにちはしてきちゃうというお悩みがあって、肌襦袢に小衿がついている場合はそんなカスタマイズもおすすめです。 あとは、昔書いた記事ですが、脇線の「馬乗り」と呼ばれる部分をほどくことで衿を深く抜くことができるようにもなりますよ。 肌襦袢の小衿が衣紋から見えるときはどうしたらいいの?の巻 簡単に衿が抜けるようにカスタマイズしておくと、着る時あっちこっちひっぱらなくてもいいので、思い切ってやってみるのもひとつの手です。もうそんなの面倒くさ~い!という場合は新しい肌着を買ってもいいかも。 もちろん、そのときは衣紋の部分が抜けた形になっているかも要チェックや!(スラムダンク) あとは、着るときに自分で衿を詰めてしまうのも原因なので、肌襦袢を着たら後ろに引いて衣紋をすっきり抜いておきましょう。 これも、自分がどれくらい衣紋を抜いて着たいかという好みもありますので、参考にしていただければ幸いです。 着物が普段着だった時代の知恵には、「汚れを防ぐ」ということが重要視されていたんだなあ~と、衿周りについて考えてしみじみと思ったことでした。

レースや布をはさむだけ!おしゃれ掛け衿の巻

星わにこ
2023/02/01 00:00
先週からずっと掛け衿のことを考えていた私ですが、昔リサイクルで購入した紬の着物で、どうしても衿の筋汚れが目立ってしまっているものを裏表取り替えればいいのでは、と自分で取り外してみたことがあります。 結局そのときは変色が裏まで響いてしまっていたためどうにもならないな、と掛け衿を取り付けるのはあきらめて、掛け衿をとったままで着たことがあります。 掛け衿があってもなくても、そんなに気になることもなく、そのまま愛用しています。 仕立て変えのときには、本衿と掛け衿を使い回して、掛け衿の汚れているところを目立たないところにもっていったり、掛け衿自体の長さを出すために本衿を掛け衿に繰り回すこともあります。 江戸時代の町娘が、衿の汚れ防止に黒繻子の掛け衿をしているのを見たことがあると思いますが、あんな風に上から布をかけてしまってもいいのでは。 伊達襟を表に出したバージョンみたいなかんじ、幅広レースで衿を挟んでみました。じゃーん。 縫い付けなくても、挟むだけで大丈夫。ズレるのが気になるのであれば、衣紋の内側など少し縫ったり、安全ピンなどで止めてもいいかも。 汚れを防げて可愛くて一石二鳥。センスが問われるところですが、自分が楽しい、テンション上がる!と思えればよいと思います。洋服のつけ衿感覚でも楽しめそうですね。 レースが必要な長さは、伊達襟と同じくらい。110~125センチあれば十分です。下前見えない部分をケチれば100センチでもいけるかも。ここは体の厚みや帯の位置にもよりますので、自分はどれくらい必要か試してみてください。 細身で小柄な方なら100センチ不要かもしれません。 挟むだけの場合は、上前に挟んだ分がしっかり帯に抑えられる位置まで必要です。 もちろんざくざく縫い付けてしまってもいいと思います。でも、すぐ外すし面倒だなと思う場合は挟むだけでもいける、ということで(どこまでもズボラ……) もともとは汚れを防ぐため‥‥と思いましたが、可愛いし、襟元のおしゃれもいろんな可能性があるよな~とちょっと楽しくなってしまったわにこでした。

掛け衿の縫い目の位置、今昔の巻

星わにこ
2023/01/25 00:00
掛け衿(共衿)の長さって意識されたことありますか?  着物を着る時、羽織って背中心を合わせる時に目安にする方も多いのでは。でもこれ、着物によって縫い目が上のほうだったり下のほうだったりすることはありませんか? 掛け衿はそもそも、痛みやすく汚れやすい衿をカバーするもの。掛け衿を取り替えることで衿がきれいになります。 昔は取り替えられるように、着物の反物を裁つ時に、共衿二枚裁ちといってあらかじめ掛け衿を2枚とっておくこともありました。 昭和47年、48年に発行された和裁本『新しい和服裁縫』『現代和裁全書』には、一般的な裁断のほかに共衿二枚裁ちが紹介されていますが、平成14年発行の『上手に縫える着物の仕立て方』には紹介されていません。 なぜかというと、共衿二枚裁ちは普通の裁断で必要な反物の長さより50センチほど必要なので、身長が高い人が増えた今はあまりできないからということと掛け衿をつけ替えることが減ってきているからなのではないでしょうか。 これも人の好みではあるのですが、掛け衿は今は長いほうが一般的で、縫い目の位置はどんどん下のほうになってきています。中には寸法指定して長くして帯に完全に隠れるようにする方も。 これは着物雑誌のグラビアなどで本縫いの着物ではないいわゆるモデル仕立てを着用する場合、掛け衿がないため、そこに縫い目がない写真を見慣れてしまって違和感を感じなくなっているからでは?という説もあります。 でもやはり掛け衿はあるもの、ということで、量産の浴衣などでは衿は1枚の布だけど、掛け衿の位置にタックをとってあたかも掛け衿をつけているかのように見せている「なんちゃって掛け衿」みたいな縫い方もあったりします。 私の持っているものも、自分で誂えたものは掛け衿が長いし、リサイクルやいただきものは掛け衿が短いので、仕立てられた時期と比例しているように感じます。昔のものは短い、といっても身長が低くて細身の人が着れば、私が着るよりも縫い目は下の位置にくるはずですし、一言で掛け衿といっても着る人の体型や帯の位置との相関関係などでまた変わってきます。掛け衿が短めだと少し太って見えたりする気はします。 掛け衿が長めのものであれば「スッキリしてる。最近(といっても平成からもう長めだと思います)のものだな」と思うし、短めの着物を見ると「ああ、昭和な時代のものを受け継いで大切に着ていらっしゃるんだな」と好ましく思います。 私は完全に帯に隠れてしまうよりは、胸下、帯の少し上に少し掛け衿の縫い目があったほうが立体感があって好きですが、これも本当に好みですね。 一度意識し始めると、めっちゃ人の掛け衿が気になり出します(笑)。人の胸元をジロジロ見る怪しいおばちゃんにならないよう自重していますが、ちらっちらっと見るのもまた失礼かもしれず、悩ましい!!(見るな!) 自分好みの掛け衿の長さ、なかなか深くて夜しか眠れません!(寝とるやないけ!) もし「あんまり考えてみたこともないわ」という方がいらしたら、自分好みの位置について考えてみるのも楽しいですよ。

正月太りも怖くない。秘技V字で細見え効果!?の巻

星わにこ
2023/01/18 00:00
皆様、お正月はいかがお過ごしでしたでしょうか。ご多聞にもれずしっかり正月太りをしてしまった私です。 これはまずいよね~~と、まんまるころころの写真を見ながらため息をついていたところ、帯締めのちょっと細見え技というのを教えてもらいました。 それは帯締めの結び目だけを少し下に下げてV字にするというもの。 これをすると少しリズムがついて、すこし細く見える効果も! ありやなしやと‥‥。コツは、脇は真ん中で結び目だけを気持ち1センチくらい下げる、というもの。本当に気持ちなんですけどね、ちょっと粋にも見えます。 あとは帯も少し前下がりにする、おはしょりも真ん中をすこし下げるという帯周りのすっきり錯覚技と合わせるとかなりいいのでは!! 目の錯覚を利用して!お腹すっきりに見えるおはしょりラインの巻 礼装などには向かないですが、普段着やパーティには使える技ではないでしょうか。帯締めは真っ直ぐと誰が決めた、と石川さゆり先生も斜め帯締めを実践しておられます。今年の紅白も健在で思わず拍手でした。という余談はさておき‥‥ 細かいことですが、帯締めの位置は結構全身の着あがりのポイントになり、印象を左右します。 帯の位置と同じで、年齢が若いと少し上目、年配になってくると下げるという認識の方も多いのでは。 例えば振袖の帯締めの位置は、帯の真ん中から上にするのがセオリー。真ん中でもよいのですが、その位置より下がることはありません。 一方、年齢を重ねてきたら真ん中より下にするのかというと、礼装では真ん中にしますし、カジュアルでも絶対そうかというとそうでもなく、お好みもあると思います。 ただ、年齢とともに、ヒップの位置が下がるんですよね~。それでそのヒップに合わせてお太鼓を作ると、お太鼓の位置も下がるわけですよ。そうすると、その下がったお太鼓の中を抑える「て」を抑える帯締めも、位置が下がるわけですよ。だから、帯締めの位置も自然と下がってくるというわけです。 でも、前から見た時はちょっと若々しくしたいな!というわけで私は前は真ん中に持ってくる派です(笑) そしてさらにV字技を使えば、ふふふふふ。(そんなこと言ってないで痩せたらというツッコミは今年もなしでお願いします) 気軽に位置はずらせますから、着物を着たときに鏡を見ながら自分の好みの帯締めの位置を再確認してみてはいかがでしょうか?

2023成人式(二十歳を祝う会)の振袖雑感の巻

星わにこ
2023/01/11 00:00
もはや毎年恒例となってまいりました、成人式コラム。なんといっても1年で一番振袖姿が見られる、振袖好きにとって目の保養の1日。そして着付けをする身にとっては1年でもっとも緊張する日といってもいいかもしれません。 昨年の民法改正で18歳成人になりましたが、20歳を対象に20歳を祝う会として成人式の後継イベントを行っている自治体が多いようです。18歳の1月は高校3年生の受験など進路を決める時期でなかなか落ち着いてお祝い事の準備はしにくいと思われますし、飲酒喫煙なども結局20歳からしか認められないのでやはり20歳でのお祝いは、よいタイミングなのかもしれません。 コロナ禍でたくさん我慢をしたせいもあるのでしょうか。今年の成人式はまた集まりがよかったような気がします。仕事場の近くの中野区の会場は、たくさんの若者が集まって、3月中旬並みと言われる暖かさと青空の下で本当に眩しいくらいでした。本当に晴れの日を迎えられた皆様、そして見守ってこられたご家族の皆様、おめでとうございます!! さて今年はまた、昭和な家スタジオでお二人のお嬢様のお支度をさせていただきました。おふたりともママ振(お母さんの振袖)で、自分の好きな色の小物で自分らしく着こなしていて、本当に素敵でした~~! ママ振は受け継ぐ素晴らしさもありますし、SDGsですし、NHKのニュースでも3割がママ振と取り上げていました。いろんな流行はあると思いますが、自分らしい装いでお祝いできたらいいですね。 お一人は、付き添いを楽しみにしていたお母様が体調を崩してしまい、お友達が代わりにきてくださって、着付け完了後にビデオ通話をして、お嬢さんの晴れ姿にお母様が涙、涙で、私たちもおめでたいことなのに泣かないの、と笑いながらもらい泣き‥‥!  自分のお母様が十三詣りのときに作ってくれた振袖を、お嬢さん用に仕立てなおして、小物もお嬢さんが好きな色やモチーフのものを時間をかけて一緒に揃えて、やっと迎えた日ですもの‥‥。自分が付き添いに来られなくてどんなにもどかしかったことでしょう。無事に笑顔で成人式に向かう姿を見たら、泣くよねーー。 もうお一人も、ママが成人式に着た振袖で出席。スタジオのカメラマンみずほちゃんのお友達のお嬢さんということで、お支度はママ世代がみんなでわいわい。髪飾りが足りないかも?とどんどん足して華やかに。もう、どんだけ盛っても可愛い!! 今年はお二人の身長が違っていたので、背が高い方用の帯結び、低い方用の帯結びをそれぞれ研究して臨みました。なんとか思い通りに仕上がってほっとしました。本当に成人式前は毎年緊張します! 撮影も同じなのですが、一生に一度のお祝いと思うと本当に身が引き締まる思いがします。無事、送り出せたことに感謝です。 着付け終了後、成人式会場をウォッチングへ。今年は和洋ミックスコーデが少なく、古典的な着付けが多かったような気がします。本当にね、みんな違ってみんないいよねえ~~~!!とみずほちゃんと頷き合う。男子の羽織袴姿も少ないけれどいて、これもまた素敵!! 白羽織袴でお揃いで祭り鉢巻のグループもいて、ほっこりしました。 帰り道に仕事場の氏神様とお寺にお参りをしてほっと一息。と思ったら椅子からおっこちて顔面強打してしまったわにこです。ほっとしすぎ‥‥。前歯のところをぶつけてただいま、オバQみたいな唇をしております。やれやれ、マスクがあってよかったぜ‥‥。きっと気をつけて生活しなさいという、神様のおつげ。同年代の皆様、椅子に乗っての作業はやめましょう‥‥。だめ絶対。 20歳のぴかぴかパワーに触れて、今年も一年、体に気をつけて(ここ大事)がんばろうと思う年の初めでありました。

着物と落語で初笑い!笑顔は自分で掴みにいこう!の巻

星わにこ
2023/01/04 00:00
あっ!という間に年があけて、三ヶ日も終わり。皆様どんなお正月を過ごされましたか? 今年は久しぶりの帰省やおでかけをされた方も多いのではないでしょうか。 私もお友達の家でにぎやかに年を越し、三日には着物友達と落語で初笑い! 柔らか物を着ておでかけしてみんなの笑顔に会えて‥‥久々に晴れやかな年始となりました。まだまだ感染予防に気をつけなくてはいけませんが、それでも人と会えるということは、こんなに幸せなことかと改めて感じた年始です。 でかけた先は『かめあり亭新春寿寄席』亀有リリオホール。亀有といえばこち亀、というわけで、両津さんの銅像と写真を撮ったりしながら、それぞれ素敵なコーディネートのお友達とそぞろ歩き&昭和な家のカメラマンのみずほちゃんに写真を撮ってもらったりしつつ、ホールに向かいました。 客席も、着物姿がちらほら。師匠方も紋付袴姿ありで、初春らしいいでたちでした。男性着物ってやっぱり素敵。そして羽織をさっと脱ぐ所作も、何度見てもほれぼれします。そういう姿が見られるのも楽しみのひとつ。 そして、やっぱり手を叩いて笑えるって幸せ! 落語はニワカな私ですが、どの噺も笑った笑った! 中でも扇辰師匠の夢の酒、引き込まれました~。女房のいじらし強さがウケる! 江戸家子猫師匠の鶯の初鳴きも素晴らしかった。5月に5代目猫八を襲名されるそうですが、私も3代目から知っているということで長く生きてきたんだな‥‥とここでもびっくり。 権太楼師匠は一時退院での出演とのことで大丈夫かしら?と思ったのですが、火焔太鼓の熱演、すんばらしかったです。お大事になさってください!! (マスクは写真を撮る時だけ外しました) そして私のコーディネートはこちら。 松の袋帯 竹の節入りの真珠の帯留 梅の小紋 お正月、ということで組み合わせてみました。自己満足ですけど、楽しい! お友達のコーデも素敵だったので紹介しちゃいます!黒の着物に赤い半衿で、「大奥」(よしながふみ)に出てくる水野祐之進イメージコーデ、お母様の泥大島で親孝行コーデ、素晴らしい縫い締め絞り、綾秦節先生プロデュースの豪華訪問着、これまた綾秦コレクションの訪問着ととりどりで目の保養でした。 そして、自分になんかあったら着物頼むね、とお互いに依頼しあうところまで(笑)いやほんと、大事だよ‥‥。 ついなにかと億劫で、まあいいかやらなくても、と思ってしまいがちですけれど、人生後半に入り寿命は伸びているけれど健康でいろいろなことができるのはそうは長くはない。あと、年とともに無理がきかなくて明らかに稼働時間も減っている(爆)。三ヶ日くらいごろごろするか、という気持ちと、着物を着て落語にいくぞ!という気持ちで、出かけるまでには逡巡もあったわけですが(笑) 生きていくということはいろいろなことがあり、楽しいことばかりでもありませんが、雲間から光が差すように、心が晴れやかになる時は本当に幸せを感じます。また、そういう時間や瞬間は、積み上げてきたものや自分から求めていかなければなかなか手にすることができないと、この頃思います。 去年は、ちょっとしんどいなと思うと着物を着るのをやめてしまいがちでしたが、やっぱり面倒でもなんでも着てしまえば、本当に心がしゃんとするんですよね~。できないときもあるけれど、ちょっと動けるときには手を伸ばして。たくさん着物も着て楽しもう!と思っています。今年は、着物を着る機会をとコミックを描く量を増やしたい! そしてこのコラムもなんと足掛け11年目に突入です。いつもだらだらと思ったことを書いているだけのようなコラムを読んでくださって本当に感謝しております。着物好きな皆様に、楽しんでいただけるようなものがかけるよう、精進して参ります。 今年もどうぞよろしくお願いいたします!

2022年着物コーディネートを写真で振り返るの巻

星わにこ
2022/12/28 00:00
今年もあと数日となりました。無事年末を迎えることができたな~というありがたさと、一向に終わらない模様の仕事と、なんとかしなければという焦燥感と大掃除は暖かくなってからでいいか‥‥という諦めの境地などなどがない混ぜになっている年の暮れ。。 今年はどんなことがあったかすでにぱっと思い出せなくてやばい私ですが、着物のコーディネートとともに振り返ってみました! 着物を着たら自撮りをしておくようにしているのですが、データはGoogleフォトに保存をしているので、「着物」と検索すると、着物の写真がざっと出てきます。 もちろんアルバムなどに整理するのが一番なのですが、わかっちゃいるけどその一手間ができない私にとって、神のようなこの機能……。 また全部ではないんですが、FaceBookにもコーディネート写真をあげてコーディネートメモをしているのでそれも記憶の補完になっています。Instagramには手が回らず、世間に取り残されていますが、できる範囲で記録をとっておくことって大事だなと、なにもかも忘れてしまう最近よく思います。 そんな自分のコーディネートを1ヶ月につき1枚を選んでみました。よろしかったらおつきあいくださいませ。 お正月は雪輪に南天の訪問着で。一富士二鷹三茄子の袋帯に、末広りの「八」個の真珠の帯留め、絞りの帯揚げ。この帯揚げはこのコラムを始めた頃にいち利モールで購入した加藤萬のもので、以来大事に使っています。刺繍の半衿をしてめっちゃお正月気分のコーデです。 2月は大雪が降ったので、雪だるまの帯留めをしています。岐阜のイラストレーター本間希代子さんのブローチです。帯締めや絞りの帯、縮緬の帯揚げも色も抑えめにして、雪と氷感を出してみました。着物は海老茶に柴草模様の小紋です。 ちなみにこのときは、帯枕がないという危機?を風呂敷とタオルで乗り越えた模様です。 関連記事:枕紐の代用を風呂敷でしてみたぞ!の巻 3月は紅花染の紬に玉ねぎ染めの帯揚げ。たんぽぽ色をイメージしてこの時期は黄色を使うことが多いです。帯は手塚治虫の漫画に出てくる「ヒョウタンツギ」みたいな柄でパキッとしたブルーがお気に入り。 4月は唐獅子模様の色大島。胴抜き仕立てにしてあります。もう4月から結構暑くなってくるので、さわやか色の帯締め。だるま模様の帯揚げに博多帯。 5月は拙著「その着物、どうする?」が発売になりました。その発売記念パーティでのコーデです。が結婚式の二次会用に誂えてくれた翠山工房の辻が花、20代で初めて買った雲文様の帯揚げ、四十歳記念に買った菊襲の袋帯、出版記念に買った数(SUU)の白蛇の帯留。目一杯おしゃれして、幸せでした! 関連記事:出版記念パーティをしてもらったぞ★の巻 6月はもう暑い~~ということで有松絞の浴衣にうそつき衿で着物風に。麻の半幅帯にワニの帯留め。三分紐をくるくるしてみました。 7月は透ける夏紬。帯は鮎。若鮎を食べ比べる若鮎茶会のためのコーデです。このアンティークの鮎の帯は、鮎に一目惚れして購入したものの、ついぞ締める機会がないまま十年以上眠っていたものです。出番がきてよかった! 関連記事:岐阜の鮎菓子「若鮎」まるけの茶会をしたよの巻 8月は雪花絞りの浴衣に黄色の半幅。お友達がもう着ないからと譲ってくれたのです。綿麻生地でさらっとした着心地です。嬉しい。 9月は単衣の紬に、キンゾウ商店のアフリカンファブリック帯。WEGOで買った洋服用のベルトをしています。「きもチャリ!」のときに来ていたコーデ。「きもチャリ!」にご協力いただいた皆様、本当にありがとうございました。 関連記事:きもチャリ!2022ありがとうございました。の巻 10月は上田のキモノマルシェへ。トークショーに出演!?ということで、出版記念に清水の舞台から飛び降りた牛首紬を着て行きました! 帯は中野スズミさんに描いてもらったワニの帯です。牛首紬、光沢があってめっちゃテンションが上がりました。 関連記事:ご褒美着物をネットで誂えちゃった★その1の巻 関連記事:キモノマルシェ2022信州上田にお邪魔しました!の巻 11月は大島紬にワニ?の帯。オオトカゲ、いや巣穴から出てきたイタチ、果てはアンキロザウルス説まで出ているこの謎の生き物ですが、あなたは何に見えますか? 私的にはワニです。ええワニですとも‥‥。 12月はグレーの紬に木立の染め帯。冬の木々を思わせる色なので、12月になると締めたくなる帯です。一年に1回はそれぞれ、好きな着物や帯に出番があると「ああ~今年も身につけることができた」と嬉しく、またほっとするような気持ちになります。 着物を着るということは、実は気力体力がないとなかなかできないもの。余裕のない毎日の中で「そりゃあ!」と気合を入れないと着られなかったりもします。それでも着るのは好きだから。。。 一年に一度しか袖を通さないものや、数年に一度のもの、まだ身につけられていないものもあったりして、着ないからいらないと言い切れない着物はやっかいだけど私にとっては愛おしいものばかり。そしてあと何年着られるのかなと思うと、心残りのないように着たい!と思います。 来年はもう少し着る回数を増やしたいなと夢みつつ、整理もがんばらねば‥‥。 今年も、すっとこどっこいな私の拙いコラムを読んでくださって本当にありがとうございました。 どうぞよいお年をお迎えください!

大島紬リメイクのジレがとってもよかった♪の巻

星わにこ
2022/12/21 00:00
着物のリメイクの洋服って、私も何度もチャレンジしているんですけど、着こなすのが結構難しくて、作ってもそのままになっちゃったりとかしているものも多かったりしませんか? 洋裁ができて、自分の思った通りのものが作れたらいいなあと思うのですが、ここまっすぐ縫うだけ、といわれてもお針が面倒なのでなかなか重い腰があがらない‥‥。 そんなとき、お友達がすごく素敵なリメイク服をいろいろ見せてくれて、中でも大島紬で作ったジレがすごく軽くてかっこよかったので、私もお願いしてしまいました! 男物の大島紬をリメイク用に購入してほったらかしにしていたものがやっと日の目を‥‥。 そして出来上がったのがこちら、じゃーん 着物でも、洋服でもいけて、1枚上に着るだけで軽いのに風をあまり通さない大島紬はあたたかい!  着物のときは帯なしで上に羽織ってもよいかんじでした。そういえばおばあちゃんが、着物で袖なしを着て帯なしで着てたなあ‥‥。楽であったかい!! お友達のジレは衿がなかったのですが、私のものにはついていて、それもまたよき。 裏地なしなので、畳むとすごくちっちゃくなって、軽くて持ち歩きもしやすくて、いい!! ポケットもつけてもらったので、便利!  あと、大島はツルツルしているので、猫の毛がつかなくて最高です!! 自分で作れない時は、人に頼んだらいい‥‥しみじみ感じました。 この頃、男着物に慣れてしまったら、ウエストの位置に幅広い帯をするのが億劫で‥‥半幅帯でもいらん‥‥とか思ってしまって、こんな風に着るのもいいかもなと思案中。 ジレ、ロングベストは縦ラインが強調されるのですらっと見える効果もあるのが嬉しいです!!  もちろん、晴れ着でびしー!!!とお太鼓をするのは、本当に気持ちが上がるし大好き!!なんですけど、普段はもうちょっと楽にならんかな?と。これも歳をとったってことなのかな~。いやズボラなだけ? あとね、着物のリメイク服って年齢があがらないと似合わない気がするんです。着こなし年齢があるというか‥‥。もちろん、若い人でも似合っている人はいると思うんだけど、全般的に‥‥。 だいたいリメイク服を着ている年代が上しかいないというのもあるかもしれませんが、素敵!と思うと大概お姉様方(私から見て) 私も、お姉様方のエリアに足を踏み入れられたということかもしれません。そして、わかる。着物好きだけど、もっと楽に身につけたいという気持ちが‥‥。 ちょっと着物リメイク服にもはまっちゃうかも?? さて一体、どこに行こうとしているのかわにこの着物道。自分でもよくわかりませんが、今後とも見守っていただけると幸いです。。

書生風?男着物で「ツダマンの世界」を観に行ったよ。の巻

星わにこ
2022/12/14 00:00
先日、Bunkamuraシアターコクーンで上演中の『ツダマンの世界』というお芝居を見に行きました! 松尾スズキの新作で阿部サダヲ主演、吉田羊、間宮祥太朗、江口のりこ(敬称略)はじめ錚々たるメンバーで、昭和の文豪物語。そして、舞台衣装が着物中心。ということで、友だちに誘われて二つ返事でGO! 最近、男着物を部屋着にすることにすっかりはまった私は、この際文豪風に男着物ででかけてみようと思い立ち、うきうき準備。襦袢ではなく、白シャツの上に男着物と羽織で渋谷に出かけました! いやこれ、着付け一瞬でした。 そして、建て替えになってしまうという東急本店とBunkamuraの見納め。どんどんデパートが姿を消して寂しいですね。 さよなら東急本店! ももせいづみさんのBunkamuraギャラリー展示を見て、ランチを食べて、いよいよ舞台。休憩挟んで3時間半という、ここは明治座!?というような長丁場でしたが、飽きさせない松尾スズキ節と俳優さんたちの熱演で、あっという間。まだ上演中ですのでネタバレは差し控えますが、阿部氏は相変わらずキュートでめちゃくちゃだし、吉田さんは美しいしキレ気味なのもかっこよかったし、江口さんの狂言回しは流石。そして間宮くんのボンボン役はハマりすぎて、ぜひパンプアップしてゴールデンカムイの鯉登少尉をやって欲しい!と思いました(感想が明後日の方向に‥‥) そしてなんと最前列での観劇だったため、本当に舞台の中に放り込まれたような臨場感。着物姿も堪能できました。特に男性が着物姿で激しい動きをしたりするのは新鮮。間宮くんが立ち上がって走り出す時、つっ!と右手で襟先を引き上げて裾を押さえたりする所作とかが間近で見られてほんとにほんとに目の保養でした‥‥。 さて一方男着物でお出かけした感想ですが、とにかく楽!! ウエストにまったく締め付けがなく、腰骨のところが帯でささえられるので、立っていても楽。着崩れてもさっと直せるし、全くノーストレス。 ただちょっと‥‥女子トイレに入りづらかったかも(^^;) 劇場で並んでトイレにいく勇気はありませんでした(爆) 女性着物のしゃんとした感じも好きなんですが、同じ着物か?と言いたくなる楽さ。着付けも対丈だし、衣紋も抜かないのでほんとうにあっというまに着られるし、なんでこんなに差があるの? コーディネートは青の紬に茶色の羽織。これはキモチャリ!で、子どもに着せたいなと買っておいたもの。ちょうど160センチ前後にジャストサイズのもので、もう子どもは大きくなって着られないけど私は着られる(!) 羽織紐は革に穴があけられているちょっとパンクなもの。足袋はゑびす足袋さんの革?足袋をチョイス。草履は角形のものにして、雪駄を意識してみました。 昔の男性ものはサイズが小さいので、今の女性にちょうどよいサイズのものは結構リサイクルでも出回っていますし、お手頃な値段で手に入ります。もし興味があったら、ちょっと羽織ってみてはいかがでしょうか? サザエさんの波平さんが、家に帰ってきてスーツを着物に着替える感覚がわかりますよ。ちなみに、おはしょりは作らないので、自分の身長に合ったサイズが大事になります。 目安としては身長―27センチが身丈のものを選ぶと良し。細身の人は少し短め、ふくよかさんはそれより気持ち長めを選ぶとよいでしょう。 セーターの上に来てもよさげだし、また機会があったら男子着物ででかけてみようとなんだか明後日の方向に着物熱が向かい中のわにこでした。

「ひもおとし」は山陰地方の七五三?の巻

星わにこ
2022/12/07 00:00
カメラマンの友人と、着物で記念写真を撮る写真スタジオを始めて7年目。10月から12月は七五三のお祝いの写真撮影がたくさん入ります。うれしいことにお兄ちゃんやお姉ちゃんのお祝いに続いて弟さん妹さんが来てくれたりも。1、2年ですごく成長していて、びっくり! すっかり親戚のおばちゃんのような気持ちになってしまっております。 さて今回は、ママが子供の時に着た着物で3歳のお祝いをしたいというお客様。松江のご出身ということで、ご実家のほうでも記念写真を撮ったけれど、東京でもお参りと撮影を、ということでしたが、お写真を見せていただくと3歳だけど可愛く帯を結ばれていました。 山陰地方では、七五三ではなく男女ともに数えの年の4歳のときに、それまで着物にひもをつけて着ていたものをやめて帯で着るようになるということで「ひもおとし」という成長を祝う行事があるのだそうです。 今では七五三と同じように11月に行うことが多いようですが、本来はお宮参りのように年齢に合わせていつでもお祝いしてもよいものだそう。 可愛らしい振袖をつけ帯で着て、はこせこ、末広、しごきと七五三の7歳の拵えと同じようにお支度をさせていただきました。数えの4歳ということで、まだ小さいけれど、立派なレディに見えて本当に本当に可愛らしかったです。 東京のパパの実家には、ひいおばあちゃんが縫っておばさまが着たという赤いお被布があって、それも帯を拵える前に着て撮影もしました。またこれも、可愛いこと可愛いこと。 双方のおばあちゃまがお祝いの着物を大切に保管してお孫さんが身につけるという、とっても素敵な「ひもおとし」と七五三のお祝いでした。 着物のことも、ひとくくりにして「これが正解」みたいに思ってしまったりもしますが、地方によっていろいろな伝統や習慣があるのですよね。そういうものもこうして、お子さんがお祝いされることで大切に受け継がれていくとよいなあと思った秋の日でした。