2022年着物コーディネートを写真で振り返るの巻
星わにこ
2022/12/28 00:00
今年もあと数日となりました。無事年末を迎えることができたな~というありがたさと、一向に終わらない模様の仕事と、なんとかしなければという焦燥感と大掃除は暖かくなってからでいいか‥‥という諦めの境地などなどがない混ぜになっている年の暮れ。。
今年はどんなことがあったかすでにぱっと思い出せなくてやばい私ですが、着物のコーディネートとともに振り返ってみました!
着物を着たら自撮りをしておくようにしているのですが、データはGoogleフォトに保存をしているので、「着物」と検索すると、着物の写真がざっと出てきます。
もちろんアルバムなどに整理するのが一番なのですが、わかっちゃいるけどその一手間ができない私にとって、神のようなこの機能……。
また全部ではないんですが、FaceBookにもコーディネート写真をあげてコーディネートメモをしているのでそれも記憶の補完になっています。Instagramには手が回らず、世間に取り残されていますが、できる範囲で記録をとっておくことって大事だなと、なにもかも忘れてしまう最近よく思います。
そんな自分のコーディネートを1ヶ月につき1枚を選んでみました。よろしかったらおつきあいくださいませ。
お正月は雪輪に南天の訪問着で。一富士二鷹三茄子の袋帯に、末広りの「八」個の真珠の帯留め、絞りの帯揚げ。この帯揚げはこのコラムを始めた頃にいち利モールで購入した加藤萬のもので、以来大事に使っています。刺繍の半衿をしてめっちゃお正月気分のコーデです。
2月は大雪が降ったので、雪だるまの帯留めをしています。岐阜のイラストレーター本間希代子さんのブローチです。帯締めや絞りの帯、縮緬の帯揚げも色も抑えめにして、雪と氷感を出してみました。着物は海老茶に柴草模様の小紋です。
ちなみにこのときは、帯枕がないという危機?を風呂敷とタオルで乗り越えた模様です。
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3月は紅花染の紬に玉ねぎ染めの帯揚げ。たんぽぽ色をイメージしてこの時期は黄色を使うことが多いです。帯は手塚治虫の漫画に出てくる「ヒョウタンツギ」みたいな柄でパキッとしたブルーがお気に入り。
4月は唐獅子模様の色大島。胴抜き仕立てにしてあります。もう4月から結構暑くなってくるので、さわやか色の帯締め。だるま模様の帯揚げに博多帯。
5月は拙著「その着物、どうする?」が発売になりました。その発売記念パーティでのコーデです。が結婚式の二次会用に誂えてくれた翠山工房の辻が花、20代で初めて買った雲文様の帯揚げ、四十歳記念に買った菊襲の袋帯、出版記念に買った数(SUU)の白蛇の帯留。目一杯おしゃれして、幸せでした!
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6月はもう暑い~~ということで有松絞の浴衣にうそつき衿で着物風に。麻の半幅帯にワニの帯留め。三分紐をくるくるしてみました。
7月は透ける夏紬。帯は鮎。若鮎を食べ比べる若鮎茶会のためのコーデです。このアンティークの鮎の帯は、鮎に一目惚れして購入したものの、ついぞ締める機会がないまま十年以上眠っていたものです。出番がきてよかった!
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8月は雪花絞りの浴衣に黄色の半幅。お友達がもう着ないからと譲ってくれたのです。綿麻生地でさらっとした着心地です。嬉しい。
9月は単衣の紬に、キンゾウ商店のアフリカンファブリック帯。WEGOで買った洋服用のベルトをしています。「きもチャリ!」のときに来ていたコーデ。「きもチャリ!」にご協力いただいた皆様、本当にありがとうございました。
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10月は上田のキモノマルシェへ。トークショーに出演!?ということで、出版記念に清水の舞台から飛び降りた牛首紬を着て行きました! 帯は中野スズミさんに描いてもらったワニの帯です。牛首紬、光沢があってめっちゃテンションが上がりました。
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11月は大島紬にワニ?の帯。オオトカゲ、いや巣穴から出てきたイタチ、果てはアンキロザウルス説まで出ているこの謎の生き物ですが、あなたは何に見えますか? 私的にはワニです。ええワニですとも‥‥。
12月はグレーの紬に木立の染め帯。冬の木々を思わせる色なので、12月になると締めたくなる帯です。一年に1回はそれぞれ、好きな着物や帯に出番があると「ああ~今年も身につけることができた」と嬉しく、またほっとするような気持ちになります。
着物を着るということは、実は気力体力がないとなかなかできないもの。余裕のない毎日の中で「そりゃあ!」と気合を入れないと着られなかったりもします。それでも着るのは好きだから。。。
一年に一度しか袖を通さないものや、数年に一度のもの、まだ身につけられていないものもあったりして、着ないからいらないと言い切れない着物はやっかいだけど私にとっては愛おしいものばかり。そしてあと何年着られるのかなと思うと、心残りのないように着たい!と思います。
来年はもう少し着る回数を増やしたいなと夢みつつ、整理もがんばらねば‥‥。
今年も、すっとこどっこいな私の拙いコラムを読んでくださって本当にありがとうございました。
どうぞよいお年をお迎えください!
大島紬リメイクのジレがとってもよかった♪の巻
星わにこ
2022/12/21 00:00
着物のリメイクの洋服って、私も何度もチャレンジしているんですけど、着こなすのが結構難しくて、作ってもそのままになっちゃったりとかしているものも多かったりしませんか?
洋裁ができて、自分の思った通りのものが作れたらいいなあと思うのですが、ここまっすぐ縫うだけ、といわれてもお針が面倒なのでなかなか重い腰があがらない‥‥。
そんなとき、お友達がすごく素敵なリメイク服をいろいろ見せてくれて、中でも大島紬で作ったジレがすごく軽くてかっこよかったので、私もお願いしてしまいました!
男物の大島紬をリメイク用に購入してほったらかしにしていたものがやっと日の目を‥‥。
そして出来上がったのがこちら、じゃーん
着物でも、洋服でもいけて、1枚上に着るだけで軽いのに風をあまり通さない大島紬はあたたかい!
着物のときは帯なしで上に羽織ってもよいかんじでした。そういえばおばあちゃんが、着物で袖なしを着て帯なしで着てたなあ‥‥。楽であったかい!!
お友達のジレは衿がなかったのですが、私のものにはついていて、それもまたよき。
裏地なしなので、畳むとすごくちっちゃくなって、軽くて持ち歩きもしやすくて、いい!! ポケットもつけてもらったので、便利!
あと、大島はツルツルしているので、猫の毛がつかなくて最高です!!
自分で作れない時は、人に頼んだらいい‥‥しみじみ感じました。
この頃、男着物に慣れてしまったら、ウエストの位置に幅広い帯をするのが億劫で‥‥半幅帯でもいらん‥‥とか思ってしまって、こんな風に着るのもいいかもなと思案中。
ジレ、ロングベストは縦ラインが強調されるのですらっと見える効果もあるのが嬉しいです!!
もちろん、晴れ着でびしー!!!とお太鼓をするのは、本当に気持ちが上がるし大好き!!なんですけど、普段はもうちょっと楽にならんかな?と。これも歳をとったってことなのかな~。いやズボラなだけ?
あとね、着物のリメイク服って年齢があがらないと似合わない気がするんです。着こなし年齢があるというか‥‥。もちろん、若い人でも似合っている人はいると思うんだけど、全般的に‥‥。
だいたいリメイク服を着ている年代が上しかいないというのもあるかもしれませんが、素敵!と思うと大概お姉様方(私から見て)
私も、お姉様方のエリアに足を踏み入れられたということかもしれません。そして、わかる。着物好きだけど、もっと楽に身につけたいという気持ちが‥‥。
ちょっと着物リメイク服にもはまっちゃうかも??
さて一体、どこに行こうとしているのかわにこの着物道。自分でもよくわかりませんが、今後とも見守っていただけると幸いです。。
書生風?男着物で「ツダマンの世界」を観に行ったよ。の巻
星わにこ
2022/12/14 00:00
先日、Bunkamuraシアターコクーンで上演中の『ツダマンの世界』というお芝居を見に行きました! 松尾スズキの新作で阿部サダヲ主演、吉田羊、間宮祥太朗、江口のりこ(敬称略)はじめ錚々たるメンバーで、昭和の文豪物語。そして、舞台衣装が着物中心。ということで、友だちに誘われて二つ返事でGO!
最近、男着物を部屋着にすることにすっかりはまった私は、この際文豪風に男着物ででかけてみようと思い立ち、うきうき準備。襦袢ではなく、白シャツの上に男着物と羽織で渋谷に出かけました! いやこれ、着付け一瞬でした。
そして、建て替えになってしまうという東急本店とBunkamuraの見納め。どんどんデパートが姿を消して寂しいですね。
さよなら東急本店!
ももせいづみさんのBunkamuraギャラリー展示を見て、ランチを食べて、いよいよ舞台。休憩挟んで3時間半という、ここは明治座!?というような長丁場でしたが、飽きさせない松尾スズキ節と俳優さんたちの熱演で、あっという間。まだ上演中ですのでネタバレは差し控えますが、阿部氏は相変わらずキュートでめちゃくちゃだし、吉田さんは美しいしキレ気味なのもかっこよかったし、江口さんの狂言回しは流石。そして間宮くんのボンボン役はハマりすぎて、ぜひパンプアップしてゴールデンカムイの鯉登少尉をやって欲しい!と思いました(感想が明後日の方向に‥‥)
そしてなんと最前列での観劇だったため、本当に舞台の中に放り込まれたような臨場感。着物姿も堪能できました。特に男性が着物姿で激しい動きをしたりするのは新鮮。間宮くんが立ち上がって走り出す時、つっ!と右手で襟先を引き上げて裾を押さえたりする所作とかが間近で見られてほんとにほんとに目の保養でした‥‥。
さて一方男着物でお出かけした感想ですが、とにかく楽!! ウエストにまったく締め付けがなく、腰骨のところが帯でささえられるので、立っていても楽。着崩れてもさっと直せるし、全くノーストレス。
ただちょっと‥‥女子トイレに入りづらかったかも(^^;) 劇場で並んでトイレにいく勇気はありませんでした(爆)
女性着物のしゃんとした感じも好きなんですが、同じ着物か?と言いたくなる楽さ。着付けも対丈だし、衣紋も抜かないのでほんとうにあっというまに着られるし、なんでこんなに差があるの?
コーディネートは青の紬に茶色の羽織。これはキモチャリ!で、子どもに着せたいなと買っておいたもの。ちょうど160センチ前後にジャストサイズのもので、もう子どもは大きくなって着られないけど私は着られる(!)
羽織紐は革に穴があけられているちょっとパンクなもの。足袋はゑびす足袋さんの革?足袋をチョイス。草履は角形のものにして、雪駄を意識してみました。
昔の男性ものはサイズが小さいので、今の女性にちょうどよいサイズのものは結構リサイクルでも出回っていますし、お手頃な値段で手に入ります。もし興味があったら、ちょっと羽織ってみてはいかがでしょうか?
サザエさんの波平さんが、家に帰ってきてスーツを着物に着替える感覚がわかりますよ。ちなみに、おはしょりは作らないので、自分の身長に合ったサイズが大事になります。
目安としては身長―27センチが身丈のものを選ぶと良し。細身の人は少し短め、ふくよかさんはそれより気持ち長めを選ぶとよいでしょう。
セーターの上に来てもよさげだし、また機会があったら男子着物ででかけてみようとなんだか明後日の方向に着物熱が向かい中のわにこでした。
「ひもおとし」は山陰地方の七五三?の巻
星わにこ
2022/12/07 00:00
カメラマンの友人と、着物で記念写真を撮る写真スタジオを始めて7年目。10月から12月は七五三のお祝いの写真撮影がたくさん入ります。うれしいことにお兄ちゃんやお姉ちゃんのお祝いに続いて弟さん妹さんが来てくれたりも。1、2年ですごく成長していて、びっくり! すっかり親戚のおばちゃんのような気持ちになってしまっております。
さて今回は、ママが子供の時に着た着物で3歳のお祝いをしたいというお客様。松江のご出身ということで、ご実家のほうでも記念写真を撮ったけれど、東京でもお参りと撮影を、ということでしたが、お写真を見せていただくと3歳だけど可愛く帯を結ばれていました。
山陰地方では、七五三ではなく男女ともに数えの年の4歳のときに、それまで着物にひもをつけて着ていたものをやめて帯で着るようになるということで「ひもおとし」という成長を祝う行事があるのだそうです。
今では七五三と同じように11月に行うことが多いようですが、本来はお宮参りのように年齢に合わせていつでもお祝いしてもよいものだそう。
可愛らしい振袖をつけ帯で着て、はこせこ、末広、しごきと七五三の7歳の拵えと同じようにお支度をさせていただきました。数えの4歳ということで、まだ小さいけれど、立派なレディに見えて本当に本当に可愛らしかったです。
東京のパパの実家には、ひいおばあちゃんが縫っておばさまが着たという赤いお被布があって、それも帯を拵える前に着て撮影もしました。またこれも、可愛いこと可愛いこと。
双方のおばあちゃまがお祝いの着物を大切に保管してお孫さんが身につけるという、とっても素敵な「ひもおとし」と七五三のお祝いでした。
着物のことも、ひとくくりにして「これが正解」みたいに思ってしまったりもしますが、地方によっていろいろな伝統や習慣があるのですよね。そういうものもこうして、お子さんがお祝いされることで大切に受け継がれていくとよいなあと思った秋の日でした。