石けんプラス漂白剤つけおきで足袋のカンタンお手入れの巻
星わにこ
2016/08/31 00:00
台風お見舞い申し上げます。皆様のところでは大丈夫でしたか? 大雨になると、気持ちが落ち着きません。このごろの雨、降るといったら降る! という感じで容赦がない気がします。
先日は下駄に足袋を履いていてザーッと雨に降られ、鼻緒の色落ちでシミがついてしまいました。浴衣だからと雨対策をぬかっていたのもあるのですが、本当に凄い雨でびっくりしました。
足下が悪いと泥はねもついてしまうことも。石けんをつけてブラシでゴシゴシしたり洗濯板にこすりつけたり……その割にあんまり綺麗にならなくて。ただでさえおっくうな足袋洗いにため息でした。
が、このごろは脱いだら石けんで目立った汚れをゴシゴシ、とこすって、あとはオキシクリーンという漂白剤をお湯で溶かしたところに浸けておいて、次の日の朝ネットに入れて洗濯機にポン、というお手入れで済ませています。これが真っ白になるんですよ~。件の鼻緒色落ち汚れも落ちました!
漂白剤を使うときは、生地を痛めにくい酸素系がおすすめです。
石けんは、洗濯用石けんならなんでもいいのですが、廃油利用の手作り石けんファンです。少し溶けやすいのと匂いが気になることがありますがアルカリ度が高いものが多いのか、よく落ちる気がします。時々、自治体の作業所などの販売で購入できるので見つけたらまとめ買いしています。
オキシクリーンを溶かすのにお湯が必要、というのだけがちょっと面倒ですが(ズボラすぎる/笑)温度が高いと、石けんの効果もアップしますよ。
続けて着物の日のときには、2、3足まとめておいて浸けることもありますが、やっぱり、その日のうちにやっつけてしまうのが一番スッキリ! ですね。
先日は、洗ったけどなんだかすっきりしない足袋をオキシクリーンでキレイにしよう!と思い立ち、5足くらいの足袋をまとめてつけて、濯ぐときにお風呂の残り湯で‥‥と思って浴槽に入れたら、全部の足袋がつま先から浮いてきて、思わず「ひぃぃ!!」と叫んでしまいました。想像してみてください‥‥ちょっとしたホラーでした(よい子は真似しないでください)。
干すときには底や甲の部分を引っ張って形を整えシワをのばし、こはぜをとめる掛け糸(受け糸)のある側を洗濯ばさみではさんで干します。洗濯バサミの跡が残ってしまっても隠れる部分だからです。アイロンをかければいいわけですが、そこはズボラなのでちょっとでも手間を減らしたいわけです(汗)。
白くてシワひとつないピタ~ッとした足袋にシュッとした江戸前の細い鼻緒に舟形の足元には憧れますが、締め付けに弱いポッテリ足の自分は楽なストレッチの足袋ばかり……。足袋の裏は黒かったら汚れが目立たないのに!と思ったり。そのうち新素材のラクでスッキリな形でお手入れが簡単な足袋が出ないかな~!
いつかは、わたしのポッテリ足に会う足袋をオーダーしてみたい!という夢があります。足袋ひとつとっても、コダワリ始めるとキリがない世界ですね~。靴と違って、着物では足袋が丸見えになるし、汚れやすいですから気を配りたい部分。他所様のお宅にあがるときやお茶会のときなどは、足袋カバーをはいたり、替えの足袋を持っていくようにしています。
でも気軽なおでかけのときなど以前は足元なんてあんまり見えないし、気を抜いていましたが、エスカレーターとかに乗ると前の人の足元ってすごくよく見えるんですよね(汗)。それに気付いたときはちょっと冷や汗。あっ、見られてたらちょっと恥ずかしい~と思った事も何度かあります(汗)。
素足に下駄のシーズンももう終わり……。別にこれ見よがしに見せるわけではなくても、お気に入りの足袋を履いているときは気分がよいもの。キレイな足袋で楽しくおでかけしたいですね。
日舞発表会で衣裳着付見学☆藤娘って美しい!の巻
星わにこ
2016/08/24 00:00
台風や豪雨で不安定なお天気が続いていますが、みなさんのところは大丈夫でしょうか?
オリンピックも終わり、東京と同じように雨が降っている閉会式でいよいよ4年後東京に来るんだな~と小池都知事の素晴らしい色留袖姿を見ながら実感が湧いてきました。庶民なワタシは着物と帯が濡れてダメになるぅ~~と気にはなりましたが、そんなことはこのセレモニーに和服で登場した意義に比べれば、きっと小さなことなのかもしれません。
次回東京オリンピックは真夏ですから、例えばメダルを渡すセレモニーアシスタントは振袖じゃなくて浴衣かな? とか色々妄想してみたり。アニメなどの他にも、伝統的な和の文化にもスポットがあたるでしょうね。世界の人に日本のよいところを見てもらうには、まず自分も知らなければいけないことがたくさんある気がします。
さて先日、日舞を習っている友人が「藤娘」を踊るというので、発表会を観に行きました。
ご好意で、衣裳の着装も見学させてもらったのですが、綿の入った裾引きに、「肌脱ぎ」と言って途中で上半身の衣裳を脱いで変えるために上半身部分が重ね着になっていて、とにかく重そう! 聞いてみると、重いけど、着付が上手なので苦しくはないよとのこと。
二人がかりで着付けていくのですが、着付師さんの手業の鮮やかさにうっとり。あっという間に藤娘姿になった友人、とっても綺麗! そして嬉しそうです。
小さいころ、藤娘のお人形が家にあって、いつも綺麗だな~と思っていました。花嫁さんの白無垢や、舞妓さんなどと同じように、憧れでした。笠を被って、藤の枝を持つと、本当にお人形さんみたい!! 見ている方もテンションがあがりまくってしまいました!
発表会は、それぞれ生徒さんが浴衣や衣装つきで踊りを披露に加え、お師匠さんとゲストの先生がたの踊りもあって見応えあり。中でも一瞬で衣裳が変わる「引き抜き」というのに大興奮。重ね着をしている上の衣裳をさっと一瞬で引き抜くというものなんですが、鮮やかです!
子どもたちの可愛らしい踊りあり、美しい衣裳あり、コミカルなもの、かっこいいものとバラエティに富んでいて、とても楽しかったです。特にお師匠さんの「夕月船頭」で粋でいなせな船頭さん姿から、他の演目の間に着替えて「吉野山」で美しい静御前に変身しての踊り、どちらもお見事でした。
周りでもちらほら、私くらいの年齢から日舞を始めたという話を聞きます。バレエをやめて日舞を始めた友人曰く、年をとっても続けられる希望が持てるのが大きいそう。そういえば、踊りは年をとってもばりばり現役の方が多いですよね。先日は、芸歴80年記念という方の舞台のお話を聞きました。6歳ではじめても86歳‥‥素晴らしいです。
ジャンプなど激しい動きがない分、筋力や持久力があれば年をとっても続けられるということなのでしょうか。そしてやはり、表現力はやればやるほど上手くなっていくし、楽しみがありますよね。
また、基本着物を着て(お稽古は浴衣で)踊りますから、所作や姿勢が綺麗になるし、知識の面では歌舞伎などでも踊りのある演目が楽しめるようになったそうです。あとやっぱり、なにしろ衣裳つきで踊れるのが楽しみだそう。そうだよね~! 私も藤娘の格好してみたい~!!
日舞って、始めるのにはとても敷居が高いものだと思っていましたが、友人はネットで近所の教室を探して通い始めたそうです。若い先生が頑張っているお教室で、話を聞いているととても楽しそうです。意外とお月謝もお手頃でした。和の習い事はいろんなルールがあるようですが、やってみたいと思ったら思い切って始めてみればいいんですよね。
50歳で始めたって、60歳で10年選手、70歳には20年選手。私も、やりたいことがあったら、今やらなきゃ! という気持ちになりました! 好きな事で頑張って、輝いている友人の姿は、本当に励みになります。同じくその晴れ姿を見にきた友人たちともワイワイおしゃべりして、とてもよい1日でした。
和文化、もっともっと親しみたいです。
取材協力:
「藤蔭善次朗日本舞踊教室」
盆踊りで盛り上がる! 浴衣で故郷のお祭りにいきました☆の巻
星わにこ
2016/08/17 00:00
皆様お盆休みはいかがお過ごしでしたでしょうか。私は岐阜にある実家に帰りました。都合で日にちはズレたのですが(ええ)岐阜提灯を飾り、キュウリの馬にナスの牛を作り、迎え火をたいてご先祖様をお迎え。それから、ちょうど帰省時期に故郷のお祭りが2つあったのでそちらも参加してきました。
ひとつは、いつも話をすると「えっ!?」と聞き返される私の生まれ故郷、中津川市加子母、小郷地区の「なめくじ祭り」。旧暦の9万9千日に行われるこのお祭り、今年は8月11日でした。
なぜなめくじかと申しますと、ちょっと子どもには説明しづらいんですが(^^;)。時は平安末期、遠藤盛遠という若武者が袈裟御前という美しい人妻に恋をしました。盛遠は袈裟御前の夫、渡辺源左衛門亘から袈裟御前を奪おうと考え、袈裟御前から亘の寝所を聞き出します。夜になって忍び込み、斬り殺してしまったのは、夫の身代わりとなった袈裟御前その人でした。
その罪を償うために仏門に入り、盛遠は修行を積んで文覚上人という高僧になりました。その文覚上人の墓に、袈裟御前の霊が9万9千日の丑三つ時、なめくじとなってとりつくという伝承がこのお祭りの由来となっています。そのなめくじは、普通のなめくじよりも大きくて色が白く、背中に刀傷のような黒い筋があるといいます。
今年は1匹早めの時間から登場しましたが、本当に黒い筋がある、でっかいやつでした!! 写真は自粛し、イラストでお届けします(えええ)。非公認キャラクター「なめくじちゃん」を考えてみましたなめ。地元特産の檜の看板に書いてみましたなめ。なめなめ。袈裟御前がモデルなめ(笑)
私の子どもの頃は、夜中に村人が懐中電灯を持って集まってなめくじの数を数える(爆)というものでしたが、今は「なめクジ」というくじ引きや盆踊り、近くの池をたくさんの灯りが照らす万燈会(まんとうえ)があり、屋台も出て賑やかなお祭りになっています。
毎年日にちが変わるのでなかなか行けなかったのですが、今年はお盆休みでもあり、友達と子どもたちも誘って参加。皆で浴衣で行ってみました。本当に賑やかで、豪華商品もでるなめクジ購入の列にたくさんの人が並んでいました。
会場がちょうどポケモンGOのジムとポケストップでもあったため、別な意味でも熱かったかも(笑)。
そして生演奏での盆踊りも。三大盆踊りの郡上おどりほどではありませんが、岐阜の人はみんな盆踊りが大好き。「かわさき」「やっちく」など、郡上おどりでも有名な曲が始まるとウズウズ‥‥我慢できずに踊りの輪に飛び込みました(笑)。どうしても踊りたかった「春駒」まで粘って、満足して家路につきました。
岐阜出身じゃない友達は「えー!?踊るの!?えー?生演奏?」と驚いていましたが、えー、踊らないの!? やぐらの周りをぐるぐる回って踊っているうちにどんどん楽しくなって来るあの感覚、止められませんよね(笑)
そして13日は花火大会。小さな会場ですが、30分間、本当に間近で見る花火は迫力満点!!! 満喫しました!!
どちらのお祭りもコーマ地の昔ながらの浴衣で行ったのですが、汗をよく吸ってくれて気持ちよかったです。都会の明るい夜の照明の下ではちょっと気恥ずかしい気もしていたコーマ地の浴衣ですが、お祭りにはピッタリですね。懐かしい顔に出会い、笑顔をかわして‥‥なんだかとても優しい気持ちになれました。
帰省最後の夜は、送り火をたいて。明けて朝、お墓参りをして卒塔婆を納めてから帰途につきました。ご先祖様への感謝をするお盆に、浴衣はぴったりだなと改めて思ったこの夏でした。
おまけ:中津川市加子母に残る地芝居小屋「明治座」を見学してきました。花道のスッポンから顔を出す、わにおばけの巻。明治座は、いつでも見学受付していますので、お近くにいらしたらぜひ。奈落や回り舞台(手動!)もある、芝居好きにはたまらない、昔ながらの小屋です。
痩せ見え着物は濃い色の絽でキマリ!?の巻
星わにこ
2016/08/03 00:00
夏になると袖を通すのを楽しみにしている着物があります。それを着ると必ず「痩せた!?」と言われる細見え着物です。私の場合は「絽」。自分でも一瞬痩せたかと思うくらい(笑)ですが、その着物を着た時だけなので(爆)痩せ見え着物、と言っていいかと思います(体験談)。
張りのあるものも多い紗や夏紬、麻や綿など他の夏物に比べて、絽は夏物でありながら、とろりとした落ち感が特徴です。
薄い絹物が体に添うので、ズバリ痩せて見えるんです!!! 袷に比べれば裏地がないわけですし、単衣に比べても、生地が薄い。痩せ見えMAXです。特に肩のあたりがストンと落ちて、細く見えるようです。確かに着膨れして見えるシボのある麻や綿麻に比べて、かなり細く見えるのは事実。
色も関係あるようで、私の場合は濃紺の絽を着た時に必ず「痩せた!?」と聞かれます。濃い色のほうがより痩せ見えな模様。見えるだけですが。見えるだけでも、ウレシイんですぅぅ!
そんなわけで絽は私の心の支えアイテムなのですが、先日超細身の友人が「絽を着ると体がペタンコに見えちゃって‥‥だめだわ」と言っていました。うっ。ケースバイケースですね(汗)。
でももし、夏着物で着痩せを狙いたい方がいらしたら、ぜひ「濃色の絽」おすすめしたいです(笑)。
でも、絽は透けます。特に濃い色のときには逆に下に白い襦袢を着ているとスケスケ感が半端ない。下に着た襦袢の色がけっこう響くのです。緊張感を持って着なければタイヘンなことに。
そのあたりのことは去年コラムに書いていますのでよかったら‥‥。下に柄ありの襦袢を着て、わざとうっすら透かせて見せる、な~んてテクニック、憧れますねっ!
(参考:『薄物妄想コーデ☆夏着物は透け感勝負、襦袢で技あり!の巻』)
同じ着物でも、真夏は白い襦袢を着てシャキっと、秋に近づいてきたらトーンを落とした襦袢で少し透け感を落ち着かせて、なんてこともできます。
麻や綿の気軽な着物もいいけれど、正絹の絽や紗に袖を通す時には「夏着物、着ます!」という気合いが入ります。「この暑いのに着物を着る」プラス「よそゆき着物」となるわけなので、気合いも二倍、いえ二乗かもしれません。もうそんなときは、暑い顔はしない、徹底した女優気分で乗り切りたいものであります。
正絹の長襦袢+正絹の絽の装いは、思う程暑くなく、体に優しいという気がします。さすがシルク、繊維の女王! ですが、汗はかきますのでその後のお手入れを考えると、ここ一番のとき以外はなかなかできない貧乏性な私なのですが、それを圧してもなお「着るぞ!」となったときにはそれはもうテンションがあがっております。
「着物着た!!!お洒落した!!ワタシ頑張った!」というテンションでいうと、振袖と夏の正絹は、いい勝負だと思います(当社比)。
同じ絽や紗でも、着心地は正絹に負けてしまいますが、夏はやはりポリエステルなどの洗える素材はありがたいものです。暑いですが、まあ夏は何を着ても暑いから! と涼しい顔で着ちゃいます(半分意地!?)。
気がついたらもう八月。夏着物のシーズンは短い。忙しさにまぎれて「あ~今年は正絹の絽、着なかった(=気合いの入るおでかけがなかった)」と思う秋は、ちょっぴり淋しいものです。人生も短い、やっておけばよかったと思うくらいならやらなきゃアカンなと思うこのごろです(いきなり人生に言及か)。
浴衣もいいけど、夏着物ならではのお洒落も、楽しみましょう\(^O^)/