袖無し綿入れ半纏「つんぬぎ」って知ってますか?の巻
星わにこ
2020/11/11 00:00
寒くなってきましたね~! 家の中であったか上着を着たくなると我が家で登場するのが「ねこ」。お友達のお母様の手作りなのですが、これが本当に軽くてあたたかいのです。なにより作業の邪魔にならないので重宝です。我が家はこたつライフなので、これとこたつがあればけっこう寒くてもエアコンのお世話にならずに過ごせます。
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さてそんなところに、今年新たなる防具が追加されました。その名も「つんぬぎ」。SNSで、宮城出身のキモトモ(着物友達)が「つんぬぎ」をアップしていて、いいなあ~とつぶやいたところ、譲っていただけることに。
早速いただいた「つんぬぎ」。なにかといいますと、袖無しの綿入れ半纏のこと。ちゃんちゃんこを想像してもらうとよいと思います。ちゃんちゃんこと違うのは、前に紐がないことでしょうか。
東北では綿入れ半纏のことを「どんぶく」といい、胴服が語源だそう。その袖がないものなので、袖(筒)が抜けた、脱げたということで「つんぬぎ」(発音はつんぬぢ)と呼ばれています。
この袖のない綿入れ半纏は、地方によって呼び名が違います。私の生まれた岐阜では「袖無し」とか「でんち」と呼ばれていました。
東北では「つんぬぎ」、中京から西日本では「でんち」「てんこ」(殿中羽織が語源)、他に「はんこ」と呼ぶ地域もあります。形も微妙に違ったりするのですが、総じて袖のない綿入れ半纏、ということになると思います。
綿入れの防寒具は、しょっちゅう洗ったりするものではなく、布団等と同じような扱いでお手入れをします。1シーズンに一度押し洗い、綿がへたったりちぎれてきたりしたら仕立て直しをするもの。だから、汚れやすい衿の部分は黒い繻子で作られていました。
寒い地方では、必須アイテムだったもの。懐かしく思う方も多いでしょう。まだまだ愛用者も多いと思います。以前「どんぶく」をいただいたのですが、これがマジ暖かくて、布団をかけているようなかんじで、着て作業していると眠気が襲ってくるほど(笑)。
早速いただいた「つんぬぎ」を着てみると、「ねこ」よりも、前身頃がある分暖かい。でも、「ねこ」は背中により密着しているので、背中は「ねこ」のほうがダイレクトに暖かい感じがするかも。
一度着たら手放せなくなって、今も着て原稿を書いております。最近、気分転換に髪の毛を切ってボブスタイルにしたのですが、シャツの上につんぬぎを着て、ふっと鏡をみたら、そこに見覚えのあるものがいました。おい!鬼太郎!(CV.田の中勇)
どこまでも昭和の呪縛から逃れられない私でした。。。(またこのオチですみません。。)
着物の上に羽織っても、もちろんあったか。外出着ではありませんが、さむ~い季節のおうち着物の強い味方です。袖がないのって、動きやすいんですよね。「つんぬぎ」は入手しにくいかもしれませんが、袖無し半纏やポンチョ、ちゃんちゃんこは手軽に購入できますので、昭和感を恐れない勇者はぜひお試しを! それにしても、いろんな名前がついていて、定義がよくわからないけど、あったかければいいや(いいのか)。今風に言ったら、綿入りベストとかジレ?とかになるのかな。
そんなこんなで、ちょっとショッピングサイトを覗いたら、緑と黒の市松模様やピンクの麻の葉模様の半纏(袖無しじゃない)がたくさんありました! うぬぬ、どこまでいっても鬼滅の刃、恐るべし。お後がよろしいようで。