まだまだ暑い日が続く8月。夏着物のシーズン真っ盛りですね。夏の着物は透ける素材が多いですから、襦袢も透けて見えてしまいます。
ですから夏こそ、私は通しの長襦袢を着るようにしています。透けて見えなければ、お袖と裾が違っていたり、半襦袢でもうそつきでもよいのですが、夏はそういうわけにはまいりません。夏着物の透け感や、おしゃれ感を最大限に活かすのはやはり、サイズのあった長襦袢ではないかと思います。
今回は長年、夏着物を着てきた中での長襦袢に関する徒然をお話いたしますね。
着心地や涼しさという点では正絹はやはり素晴らしいのですけれど、夏は汗をしっかりかきますから、1回着てお手入れに出さなくてはと思うと躊躇してしまいます。丸洗いだけでは汗は落ちませんから、汗抜きもすると、お手入れ代が結構かかってしまうもの。
単衣仕立てだから自分で洗えると言われているものでもどうしても縦方向に縮んでしまいます。大丈夫よ!とおっしゃる方もいますが、縮むのを気にするかしないかというのも人それぞれですから、ちょっと勇気がいりますね。私も一度トライして、結構縮ませてしまったので、それ以後はチャレンジしていません。
麻の襦袢は、とにかく涼しい。そしてざぶざぶと洗えますし乾きも早い。ただ、麻も天然繊維ですから洗うと縮む特性があります。いち利では麻の長襦袢は水通ししてから仕立てていますが、それでもやはり縮みますので了承をいただいて、身丈を1寸、お袖も2分から3分長くして仕立てています。縮みすぎて足が透けてにょきっと見えてしまったりしないように、気を使っています。
また、透ける着物の下に着た時に、白ではなく濃い色だと単衣の時期から長く使っていただけるということで、最近は濃い色の麻の長襦袢もバリエーションが増えています。
そういうおしゃれが楽しめるのも、長襦袢ならでは。たとえ全く透けなくても、お気に入りの襦袢を着ているだけでうきうきしますよね。
麻の襦袢は昔に比べれば本当に柔らかくなってきましたが、それでも素材に張りがあるため、どうしても上の着物と沿わないとお袖から出てきてしまったりします。あと、少し体がふくらんで見えてしまうんですよね。
そこで重宝するのが爽竹やセオアルファの長襦袢です。こちらもざぶざぶと洗えて縮んだりもしませんから、汗をかいても気兼ねなく着られます。
昔は爽竹もちょっとパリパリした生地で、汗を吸わずに張り付くような感じがあって着にくかったんですよね。それでわざわざ筒袖を買って、腕に張り付かないように下につけたりしていたんですけれど、今は肌触りもよくなってそんな必要もなくなりました。またセオアルファは綿よりも吸湿性がいいと言われていて、汗を吸って乾かしてくれるのでとても涼しいです。
洗える襦袢は昔は、暑いし着心地は悪いし、洗えるだけがいいところのように思われていましたが、今はよいものは格段に使いやすくなっています。ある程度お値段は高くなりますが、着心地もよくてお手入れもしやすいんですよ。私はセオアルファの長襦袢などは半衿をつけたままネットに入れて、洗濯機でTシャツなんかと一緒に洗ってしまいます。
ずっと麻の長襦袢が一番涼しいと思っていたのですが、最近は新素材のものもなかなか遜色がないものが出てきたなと感じています。
長襦袢の素材にも流行り廃りもあって、昔は楊柳や綿麻、海島綿など今はあまり見ない素材のものもありました。先日、そういえば楊柳の長襦袢を持っていたなと思って着てみたら、超暑かった(笑)。肌着も楊柳のワンピース型のものとかありましたけど、今は気候が変わって暑くて着られないのではないかしら。
昔からある素材もいいけれど、新しい素材も進化しています。ご自分の好みもあると思いますのでどちらがいいとは言えませんが、試してみる価値はあると思います。
夏着物はやはり、おしゃれの醍醐味といいますか、注目度も高いもの。丈が短くなってしまって足がにょきっと透けて見えてしまっては興が削がれてしまうもの。サイズのあったものをきちんと着ることで、おしゃれ感も満足度もぐぐっとアップします。
毎年申し上げている気がしますけれど、夏着物こそ長襦袢。もう一度見直してごらんになりませんか?
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